トップ :: G 物理学 :: G01 測定;試験




【発明の名称】 自動分析装置
【発明者】 【氏名】神原 克宏

【氏名】内田 裕康

【氏名】寺山 孝男

【氏名】亘 重範

【氏名】加藤 宗

【要約】 【課題】音波により被攪拌物を攪拌する手段を有する自動分析装置において、音波発生源の経時的変化や個体差を補正し、常に最適な音波強度を保ち、効果的な攪拌を継続可能な自動分析装置を実現する。

【解決手段】圧電素子30が駆動部14により所定の印加電圧と周波数とで加振されて発生された振動は反応槽4の恒温水内を音波として伝播し圧電素子30に対向する受波素子31に到達する。受波素子31は受けた音波の強度に応じて電圧を生じ、この電圧を検出部15が検出し、これに応じた検出値を検出部15が制御部13へ伝え、受波を示す信号が検出部15から標示部35へ伝えられ標示部35が点灯する。制御部13は検出部15から送られた検出値と記憶部12からの圧電素子30を駆動する所定の印加電圧基準値とを比較演算する。この比較演算結果に基づき駆動部14が圧電素子30に印加する印加電圧値を補正する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】反応容器内に収容されたサンプルおよび試薬を分析対象として、サンプルの物性を分析する分析手段と、上記反応容器の外部に設けられ、この反応容器に向けて音波を照射する音波発生手段とを有する自動分析装置において、上記音波発生手段から発生された音波の照射強度を検出する音波強度検出手段と、上記音波強度検出手段によって検出された音波の照射強度に基づいて、上記音波発生手段から発生される音波の照射強度を調整する調整手段と、を備えることを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】請求項1記載の自動分析装置において、上記音波強度検出手段は、照射音波のエネルギーを電気エネルギーに変換するエネルギー変換器であることを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】請求項1記載の自動分析装置において、上記音波発生手段は、上記音波強度検出手段を兼ねることを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】請求項1記載の自動分析装置において、上記音波強度検出手段は、上記音波発生手段に印加する電圧または電流を検出する電圧または電流検出器であることを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】請求項1記載の自動分析装置において、上記音波発生手段から発生される音波の状態を音波発生に連動して標示する標示手段を備えることを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】請求項5記載の自動分析装置において、上記標示手段は、光を発する視覚的標示器又は可聴音を発する聴覚的標示器であることを特徴とする自動分析装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動分析装置に係り、特に容器内に注入されたサンプルおよび試薬を混合するための攪拌に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動分析装置としては、例えば、血清等のサンプルに所望の試薬を混合して反応させた反応液を分析対象とし、その吸光度を測定することで化学分析を行う自動分析装置が知られている。この種の自動分析装置は、サンプルおよび試薬を反応容器に注入する機構と、反応容器内のサンプルおよび試薬を攪拌する機構と、反応中または反応が終了したサンプルの物性を分析する機構等とを備えて構成されている。
【0003】特に、特開2000−146986号公報では、反応容器内のサンプルおよび試薬を攪拌する機構を、反応容器外部から反応容器に向かって音波を照射し、容器内部の被攪拌物とは非接触にて攪拌を行う非接触攪拌手段とする方法が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記公報記載の音波による非接触攪拌手段では、音波を照射する位置や被攪拌物の性状に応じて音波強度や周波数を制御することで、被攪拌物間のキャリーオーバーを引き起こすことなく効率的な混合を行うことが可能である。
【0005】しかしながら、照射する音波の強度は、音波の発生源となる振動子に印加する電圧などで制御されるため、振動子の経時的な劣化や個体差が大きい場合、同一の印加電圧でも所望の音波強度が常に得られるとは限らない。
【0006】さらに、攪拌に必要な強度を持つ音波を照射できない場合、被撹拌物の攪拌効率が低下することとなり、例えば、検体と試薬等との混合程度に敏感な分析項目では分析結果に影響を及ぼす可能性がある。また、攪拌手段に用いる音波が超音波である場合、音波を聞き取ることができないのが通常であり、視覚的に認識する手段を持たない非接触攪拌手段では、超音波が被撹拌物に照射されたか否かの確認が困難である。本発明の目的は、音波により被攪拌物を攪拌する手段を有する自動分析装置において、音波発生源の経時的変化や個体差を補正し、常に最適な音波強度を保ち、効果的な攪拌を継続可能な自動分析装置を実現することである。また、本発明の他の目的は、音波により被攪拌物を攪拌する手段を有する自動分析装置において、音波による攪拌が行われていることを標示可能な自動分析装置を実現することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明は次のように構成される。
(1)反応容器内に収容されたサンプルおよび試薬を分析対象として、サンプルの物性を分析する分析手段と、上記反応容器の外部に設けられ、この反応容器に向けて音波を照射する音波発生手段とを有する自動分析装置において、上記音波発生手段から発生された音波の照射強度を検出する音波強度検出手段と、上記音波強度検出手段によって検出された音波の照射強度に基づいて、上記音波発生手段から発生される音波の照射強度を調整する調整手段とを備える。
【0008】(2)好ましくは、上記(1)において、上記音波強度検出手段は、照射音波のエネルギーを電気エネルギーに変換するエネルギー変換器である。
【0009】(3)また、好ましくは、上記(1)において、上記音波発生手段は、上記音波強度検出手段を兼ねる。
【0010】(4)また、好ましくは、上記(1)において、上記音波強度検出手段は、上記音波発生手段に印加する電圧または電流を検出する電圧または電流検出器である。
【0011】(5)また、好ましくは、上記(1)において、上記音波発生手段から発生される音波の状態を音波発生に連動して標示する標示手段を備える。
【0012】(6)また、好ましくは、上記(5)において、上記標示手段は、光を発する視覚的標示器又は可聴音を発する聴覚的標示器である。
【0013】音波強度検出手段により、音波発生手段から発生された音波の照射強度が検出され、検出された音波の照射強度に基づいて、音波発発生手段から発生される音波の照射強度が調整される。
【0014】これにより、音波発生源の経時的変化や個体差を補正し、常に最適な音波強度を保ち、効果的な攪拌を継続可能な自動分析装置を実現することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0016】(第1の実施形態)図1は、本発明の第1実施形態に係る自動分析装置の概略構成を示す斜視図であり、図2は、図1に示す自動分析装置が備える攪拌機構の周辺の断面図である。本発明の第1の実施形態に係る自動分析装置は、図1に示すように、主として、サンプルディスク1と、試薬ディスク2と、反応ディスク3と、反応槽4と、サンプリング機構5と、ピペッティング機構6と、攪拌機構7と、測光機構8と、洗浄機構9と、表示部10と、入力部11と、記憶部12と、制御部13とを備える。図1において、サンプルディスク1には、採取したサンプルが入れられた複数の試料容器16が、円形ディスク17の円周上に固定されて配置されている。そして、円形ディスク17は、図示しないモータや回転軸等から構成される駆動機構により、周方向回転し、所定の位置で停止することができる。また、図1において、試薬ディスク2には、サンプルと混合して反応させるための試薬が入れられた複数の試薬ボトル18が、円形ディスク19の円周上に固定されて配置されており、これらの試薬ボトル18の周囲は、温度制御された保冷庫20になっている。
【0017】また、円形ディスク19は、図示しないモータや回転軸等から構成される駆動機構により、位置決め可能に周方向回転する。また、図1において、反応ディスク3には、サンプルおよび試薬を入れるための反応容器21を保持した反応容器ホルダ22が複数取り付けられており、駆動機構23により、周方向回転と停止とを一定サイクルで繰り返して、反応容器21を間欠移送する。また、図1において、反応槽4は、反応容器21の移動軌跡に沿って設置され、サンプルと試薬との化学反応を促進するために、例えば、温度制御された恒温水により、反応容器21内の反応液を一定温度に制御する恒温槽である。なお、この反応容器21は反応槽4内を移動する。また、図1において、サンプリング機構5は、プローブ24と、支承軸25に取り付けられたアーム26と、支承軸25を回転中心にサンプルディスク1と反応ディスク3との間を往復可能にする駆動機構とを備えている。
【0018】そして、サンプリング機構5は、予め定められたシーケンスに従って、サンプルディスク1の回転と共に定位置に移送されてくる試料容器16内のサンプルを、反応容器21に供給する。
【0019】上述したサンプリング機構5と同様に、ピペッティング機構6は、プローブ27と、支承軸28に取り付けられたアーム29と、支承軸28を回転中心に試薬ディスク2と反応ディスク3との間を往復可能にする駆動機構とを備えている。
【0020】そして、ピペッティング機構6は、予め定められたシーケンスに従って、試薬ディスク2の回転と共に定位置に移送されてくる試薬ボトル18内の試薬を、反応容器21内に供給する。
【0021】なお、試料容器16及び試薬ボトル18の各々には、異なる種類のサンプル及び試薬が入れられており、必要量が反応容器21に供給される。また、図1において、攪拌機構7は、その位置(攪拌位置)に移送されてきた反応容器21の側面から音波を照射することで、反応容器21内のサンプルおよび試薬を撹拌して混合する非接触攪拌機構である。
【0022】この撹拌機構7は、攪拌位置で反応容器21の側面から音波を照射可能になる位置に固定した音源となる圧電素子30と、この圧電素子30を駆動する駆動部14と、圧電素子30の対面に固定され照射音波のエネルギーを電気エネルギーに変換するエネルギー変換器として働く受波素子31と、この受波素子31の出力を検出する検出部15と、発光体となるLEDを有する標示部35とを備える。駆動部14と検出部15とは、制御部13に接続され、攪拌機構7全体は制御部13により制御される。なお、攪拌機構7においては、図2に示すように、音源となる圧電素子30と受波素子31とは、その片面が反応槽4の恒温水に浸されるようにして設けられている。
【0023】圧電素子30は、電極32を複数個有し、駆動部14によって所定の印加電圧と周波数で、複数の電極32のうち、選択された電極32が圧電素子30が加振され、加振される電極32によって音波の照射位置を変えることが可能な構成となっている。
【0024】また、本発明の第1の実施形態における受波素子31は、圧電素子を用いているが、照射音波のエネルギーを電気エネルギーに変換するエネルギー変換器として働く素子であればよく、例えば、照射音波のエネルギーを熱として検出した後、その感知した熱エネルギーを電気エネルギーに変換する感熱素子でもよい。図2において、サンプルおよび試薬が注入された反応容器21は、反応容器ホルダ22によって反応ディスク3に固定され、反応ディスク3の周方向回転に従って、恒温水を入れた反応槽4に浸漬された状態で移動する。
【0025】そして、反応容器21が攪拌位置に移送されて停止すると、圧電素子30が駆動部14によって所定の印加電圧と周波数で加振される。圧電素子30が加振されることによって発生された振動は、反応槽4の恒温水内を音波として伝播し、反応容器21の側面に到達する。
【0026】この音波は、反応容器21の壁面を通過して、内部の被撹拌物であるサンプルおよび試薬に作用し、旋回流を引き起こす。この旋回流によって、サンプルの移動が促進され、サンプルおよび試薬の撹拌が行われることとなる。
【0027】図1に戻って、測光機構8は、図示していないが、光源と、光度計と、レンズと、測光信号処理部とを備えている。この側光機構8は、反応容器21内の反応液の吸光度を測定するなど、サンプルの物性を光で測定する。
【0028】また、洗浄機構9は、複数のノズル33と、その上下駆動機構34とを備えており、反応容器21内の反応液を吸引し、洗浄液を吐き出し、その位置(洗浄位置)に移送されてきた反応容器21を洗浄する。
【0029】また、図1において、表示部10は、分析項目や分析結果等の各種画面表示を行う。また、入力部11は、分析項目等の各種情報の入力を行う。また、記憶部12は、受波素子31の受波強度に応じた出力の基準となる基準値や各機構を制御するための予め定めたシーケンス(プログラム)および分析項目等の各種情報を記憶している。本発明の第1の実施形態に係る自動分析装置は、上記に記載のほかに、シリンジやポンプ等を構成要素として持ち、それらも含め、全て、記憶部12に記憶されているシーケンスに従って、制御部13により制御される。以上のように構成された自動分析装置は、分析開始の指示があるとリセット動作を行う。リセット動作は、各機構の予め定められた初期位置への移動や試薬ディスク2に架設されている試薬の試薬情報取得など、分析動作を始めるための準備動作である。続いて自動分析装置の分析動作について、以下に説明する。まず、洗浄機構9により洗浄された反応容器21が、反応ディスク3の駆動によって試料注入位置に移送されてくると、サンプルディスク1が回転し、サンプルが入った試料容器16をサンプリング位置に移送する。試薬ディスク2も、同様に、所望の試薬ボトル18をピペッティング位置へ移送する。
【0030】続いて、サンプリング機構5が動作し、プローブ24を用いて、サンプリング位置に移送されてきた試料容器16から、試料注入位置に移送されてきた反応容器21へサンプルを注入する。
【0031】サンプルが注入された反応容器21は、試薬注入位置に移送され、ピペッティング機構6の動作により、試薬ディスク2上のピペッティング位置に移送されてきた試薬ボトル18から、試薬注入位置に移送されてきた反応容器21へ試薬が注入される。
【0032】その後、反応容器21は、攪拌位置に移送され、攪拌機構7により、サンプルおよび試薬の攪拌が行われる。この際、攪拌が行われている間、標示部35が点灯する。
【0033】攪拌が完了した反応液は、反応容器21が光源と光度計との間を通過する際に、測光機構8により吸光度が測定される。この測定は、数サイクル間行われ、測定が終了した反応容器21は、洗浄機構9により洗浄される。このような一連の動作が、各反応容器21に対して実行され、本発明の第1の実施形態に係る自動分析装置による分析が行われる。さて、攪拌機構7において、本実施形態の特徴となる点について説明する。本発明の第1の実施形態に係る攪拌機構7は、リセット動作の過程で制御部13の指示に従い、次の調整動作を行う。以下、調整動作過程にある攪拌機構7の攪拌位置における縦断面図である図3を用いて説明する。まず、攪拌位置において、反応容器21が圧電素子30から照射される音波の伝播を阻害しない位置で反応ディスク3が停止する。その後、圧電素子30が駆動部14により所定の印加電圧と周波数とで加振される。圧電素子30が加振されることによって発生された振動は、反応槽4の恒温水内を音波として伝播し、圧電素子30と対向する位置に取付けられた受波素子31に到達する。この受波素子31は、受けた音波の強度に応じて電圧を生じる。
【0034】この受波素子31が発生した電圧を、検出部15が検出し、この検出した電圧に応じた検出値を検出部15が制御部13へ伝える。同時に、受波を示す信号が検出部15から標示部35へ伝えられ、標示部35が点灯することで圧電素子30が音を発していることを示す。
【0035】制御部13では、検出部15から送られた検出値と、記憶部12から読込まれる圧電素子30を駆動するための所定の印加電圧に応じた基準値とを比較演算する。
【0036】制御部13は、比較演算結果に基づき、駆動部14が圧電素子30に印加する印加電圧値を補正する。補正された印加電圧値は、分析動作に反映され、最適な印加電圧により圧電素子30は駆動されることとなる。以上の調整動作により、音源となる圧電素子30が経時的変化による劣化を生じた場合でも、常に攪拌するに最適な音波強度による音波照射ができ、効果的な攪拌が可能となる。
【0037】また、故障などによる圧電素子30の交換があった場合においても、本発明の第1の実施形態においては、圧電素子30の個体差による音波強度のばらつきを補正することが可能であり、サンプルおよび試薬の攪拌は、常に最適な音波強度により効果的に行われる。
【0038】また、撹拌機構7の超音波発生による撹拌動作中は、標示部35が点灯することで、人間の耳に聞こえない超音波の発生を視覚化することにより、攪拌機構7の動作を使用者に知らせることが可能となる。
【0039】つまり、本発明の第1の実施形態によれば、音波により被攪拌物を攪拌する手段を有する自動分析装置において、音波発生源の経時的変化や個体差を補正し、常に最適な音波強度を保ち、効果的な攪拌を継続可能な自動分析装置を実現することができる。なお、上記の標示部35は、LEDの発光を用いた視覚的標示器としているが、スピーカによる構成として可聴音を発生し、聴覚的に攪拌機構7の動作を認識させるようにしてもよい。さらに、上記の攪拌機構7における特徴的な調整動作は、リセット動作において行われているが、イニシャライズ動作においてのみ実行することも可能である。イニシャライズ動作は、装置電源投入後、リセット動作に加え、アプリケーションの読込みや反応槽4の恒温水の入替えなど、装置立上げのために行われる動作である。攪拌機構7における調整動作がイニシャライズ動作で実行されれば、リセット動作が簡略化され、リセット動作の実行時間が短縮される。
【0040】(第2の実施形態)上述した本発明の第1の実施形態による自動分析装置における攪拌機構7は、音波を反応容器21の側面から照射する構成であるが、攪拌効率を向上させるために、側面からの照射に加えて反応容器21の底面から音波を照射する構造とすることもできる。
【0041】図4及び図5は、上述した、側面からの照射に加えて反応容器21の底面から音波を照射する構造となっている自動分析装置の例の攪拌機構周辺における断面図である。
【0042】そして、図4は反応槽4の底面に音源となる圧電素子36を備えた例であり、図5は反応槽4に側面からの音波を反射して、反応容器21の底面側から音波を照射する反射板37を備える構成となっている。図4及び図5に示した例においては、音源である圧電素子36から照射された音波を、受波素子により受波することが困難であったり、固定された反射板37で音波の進路が阻害されるために、圧電素子30に対向する位置で音波を受波できない場合であっても、音波の検出手段を以下の構成にすることにより、音波強度に応じた出力が検出可能であり、圧電素子30、36を駆動するための印加電圧を調整できる。図6は、本発明の第2の実施形態における自動分析装置の攪拌機構周辺における断面図である。以下、図6を用いて第1の実施形態と異なる点を中心に第2の実施形態を説明する。図6において、攪拌機構7における音源となる圧電素子30、36は、攪拌位置で反応容器21の底面および側面から音波を照射可能に反応槽4の底面および側面に設置され、共に所定の印加電圧と周波数で駆動部14により加振されて音波を発生する。なお、側面側の圧電素子30は電極32を複数個有し、加振される電極32によって音波の照射位置を変えることが可能であり、底面側の圧電素子36は、音波を照射するための加振用電極38と検出用電極39とを備えている。また、側方側の各電極32は駆動部14と接続されている他、検出部15とも接続されており、底面側の加振用電極38は駆動部14と接続され、検出用電極39は検出部15と接続されている。
【0043】そして、圧電素子30、36が自身に生じた歪みに応じて電圧を発生するエネルギー変換器として作用することを利用することで、圧電素子30、36を音波の発生源とすると共に音波強度検出素子をも兼ねさせる構成としている。また、圧電素子30、36の駆動に連動する標示部35を有し、その構成と動作は上述した第1の実施形態と同様である。以上の構成において、本発明の第2の実施形態では、以下のような調整動作を行う。まず、反応ディスク3は、攪拌位置において反応容器21が圧電素子30、36から照射される音波の伝播を阻害しない位置で停止する。その後、反応容器21の側面側の圧電素子30の上部から電極32に駆動部14により所定の印加電圧を順次印加して加振する。
【0044】この際、電極32は、同一の圧電素子30上に形成されているので、1つの電極32に電圧が印加され、加振されることにより、その振動が圧電素子30全体に伝わるため、結果として加振された電極32以外の電極32に電圧が発生する。この発生した電圧を検出部15が検出し、電極32が加振されたことの検出値として制御部13に伝える。
【0045】制御部13では、記憶部12に記憶された基準値と検出値とを比較演算し、その結果に基づき、圧電素子30に印加する印加電圧値を補正する。
【0046】側面側の圧電素子30の補正に続き、以下のように底面側の圧電素子36の補正を行う。
【0047】駆動部14は、所定の印加電圧を加振用電極38に印加し、圧電素子36を加振する。この際、圧電素子36の振動により、検出電極39から振動に応じた電圧が出力される。この電圧を検出部15は検出し、電極38が加振されたことの検出値として制御部13に伝える。
【0048】制御部13では、記憶部12に記憶された基準値と検出値とを比較演算し、その結果に基づき、圧電素子36に印加する印加電圧値を補正する。
【0049】以上のようにして、反応容器21の側面側、底面側共に補正された印加電圧値は、分析動作に反映され、最適な印加電圧により圧電素子30、36は駆動されることとなる。
【0050】本発明の第2の実施形態によれば、音波により被攪拌物を攪拌する手段を有する自動分析装置において、反応容器21の側面からの照射に加えて反応容器21の底面から音波を照射する構造となっている場合であっても、音波発生源の経時的変化や個体差を補正し、常に最適な音波強度を保ち、効果的な攪拌を継続可能な自動分析装置を実現することができる。なお、本発明の第2の実施形態では、反応容器21の側面側の圧電素子30において、検出部15は加振されていない電極32からの出力を検出しているが、側面側の圧電素子30上にも底面側同様検出専用の電極を設け、加振による電圧を検出するように構成してもよい。また、圧電素子30、36の経時的な劣化が生じた場合は、圧電素子30、36の電気的なインピーダンスが変化するため、加振した電極から検出される電圧または電流の変化を検出するように構成してもよい。
【0051】(第3の実施形態)上述した本発明の第2の実施形態では、加振による圧電素子30、36内における振動の伝播によって誘起される出力、または圧電素子30、36の電気的なインピーダンスの変化による出力変化を利用しているが、圧電素子30、36がエネルギー変換器として作用することを、より積極的に利用した例が本発明の第3の実施形態である。次に、この第3の実施形態について説明する。
【0052】図7は、本発明の第3の実施形態である自動分析装置の攪拌機構周辺における断面図である。以下、図7を用いて、本発明の第3の実施形態と第2の実施形態との異なる点を中心に説明する。第3の実施形態における攪拌機構7は、反応容器21の底面から音波を照射する音源となる圧電素子36を反応槽4の底面に備え、反応容器21の側面から音波を照射する音源となる電極32を複数個有する圧電素子30を反応槽4の側面に備え、各圧電素子30、36の電極32、40は駆動部14および検出部15と接続されている。
【0053】また、圧電素子30、36の駆動に連動して動作する標示部35を備え、その構成と動作は第1の実施形態と同様である。また、一部の反応容器ホルダ22は、反応容器21の底面側の圧電素子36から発せられる音波を側面側の圧電素子30へ反射し、逆に側面側より発せられる音波を底面側に反射するような反射面を持つ反射ブロック41を備えている。
【0054】なお、反射ブロック41は、側面側の電極32の数個分取付けられており、それぞれの反射面は電極32の高さに合わせて構成されている。以上の構成において、次のような調整動作を行う。まず、攪拌位置において、反応容器の側面側の圧電素子30の最上位に位置する電極32と反射面の高さを同じにする反射ブロック41が圧電素子30と対向する位置で反応ディスク3を停止させる。その後、側面側の最上位に位置する電極32を駆動部14により所定の印加電圧と周波数とで加振する。
【0055】加振された電極32から発せられた音波は、反射ブロック41を反射して、底面側の圧電素子36に照射される。底面側の圧電素子36からは入射音波強度に応じた電圧が出力され、検出部15は検出電圧に応じた検出値を制御部13に伝える。そして、制御部13は、検出部15からの検出値と基準値とを比較演算して最上位に位置する電極32に印加する印加電圧値を補正する。
【0056】続いて、反応ディスク3を回転し、最上位から2番目の電極高さに対応する反射面を有する反射ブロック41が電極32に対向する位置で停止させる。続いて、最上位から2番目の電極32を駆動部14により所定の印加電圧と周波数とにより加振する。
【0057】最上位から2番目の電極32から発せられた音波は、反射ブロック41を反射して底面側の圧電素子36に照射され、入射音波強度に応じた電圧が圧電素子36から出力される。検出部15で、圧電素子36から出力された電圧を検出し、この検出電圧に応じた検出値を制御部13に伝える。
【0058】制御部13は、検出部15からの検出値と基準値とを比較演算して最上位から2番目の電極32に印加する印加電圧値を補正する。
【0059】上述したと同様にして、順次、最下部に位置する電極32まで印加電圧の補正を繰返す。
【0060】そして、最後に、反応ディスク3は回転させず、底面側の圧電素子36を加振し、発せられた音波を反射ブロック41で反射させ、側面側の圧電素子30で受波する。
【0061】側面側の圧電素子30は、入射音波強度に応じた出力電圧を生じるので、検出部15でこの電圧を検出し、検出電圧に応じた検出値を制御部13に伝える。制御部13は、検出値と基準値とを比較演算して、同様の印加電圧の補正を底面側の圧電素子30に対して行う。それぞれ補正された印加電圧値は、分析動作に反映され、最適な印加電圧により圧電素子30、36は駆動されることとなる。
【0062】本発明の第3の実施形態においても、第2の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、音波により被攪拌物を攪拌する手段を有する自動分析装置において、音波発生源の経時的変化や個体差を補正し、常に最適な音波強度を保ち、効果的な攪拌を継続可能な自動分析装置を実現することができる。また、音波により被攪拌物を攪拌する手段を有する自動分析装置において、音波による攪拌が行われていることを標示可能な自動分析装置を実現することができる。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【出願日】 平成12年8月31日(2000.8.31)
【代理人】 【識別番号】100077816
【弁理士】
【氏名又は名称】春日 讓
【公開番号】 特開2002−71697(P2002−71697A)
【公開日】 平成14年3月12日(2002.3.12)
【出願番号】 特願2000−263926(P2000−263926)