| 【発明の名称】 |
呈色紙およびその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】河合 泰功
【氏名】渡辺 富雄
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| 【要約】 |
【課題】塩素系溶剤、アルコール、アミンなどの有機溶剤に対して、特に排水に流出した場合を想定して水の存在下においても簡易に呈色識別(同定)できる呈色紙を提供する。
【解決手段】少なくとも3種の呈色剤、及び紙力増強剤を含み、マンセル表色系において、紙の色相がマンセルHueで10.0R以上、10.0Y以下の範囲であって、かつ明度がマンセルValueで5.0以上、10.0以下の範囲でかつ、彩度がマンセルChromaで0.5以上5.0以下の範囲であることを特徴とする呈色試験紙であり、さらには紙のかさ密度が0.1g/cc以上、1.0g/cc以下、厚さが0.1mm以上、0.3mm以下、紙のステキヒト・サイズ度が100秒以上でかつ、塩素系溶剤と接触した際には赤色に、アルコール類と接触した際には黄色を及びアミン類と接触した際には暗緑青色を呈することを特徴とする呈色試験紙である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】ステキヒト・サイズ度が100秒以上の耐水性を有し、かつ有機溶剤に接触した際に少なくとも1色の呈色を示す呈色紙。 【請求項2】塩素系溶剤、アルコール類、及びアミン類と接触した際に各々異なる色を示す呈色剤を含有することを特徴とする請求項1記載の呈色紙。 【請求項3】呈色剤が2,5,2',5'TetraMethyltriphenylmethane-4,4'-Diazo-bis-β-hydroxynaphtoic anilid(以下TMDと略す)、4-(4'-Phenylazoyl)Phenylazo-Phenol(以下PPPと略す)並びに、Ethyl-bis-(2,4-Dinitrophenyl)Acetate(以下EDAと略す)の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の呈色紙。 【請求項4】パルプ、紙力増強剤、定着剤、サイズ剤、沈殿剤及び呈色剤の混合スラリーに凝集剤を添加して抄紙することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の呈色紙。 【請求項5】紙力増強剤として繊維状ポリビニルアルコールを用いることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の呈色紙の製造方法。 【請求項6】請求項1乃至5のいずれかに記載される呈色紙を用いてなる呈色試験紙。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ミストや液滴状の薬品が識別できる試験紙に関するものである。特に、性状の異なる有機溶剤である薬品の種別を分析機器や特殊な技術を用いずに瞬時に同定できる試験紙に関する。 【0002】 【従来の技術】液状の薬品を簡便に識別するものとして、例えば水溶液の酸性やアルカリ性の度合いを測定できるPH試験紙などが知られている。また、水溶液中の特定のイオン種を半定量的に測定する試験紙なども市販されている。しかしながら、有機溶剤に関して、その溶剤の種類を瞬時に同定できる試験紙はない。 【0003】有機溶剤種の同定には、経験的にその色、粘性、臭い、他の化合物との溶解性などによって見当を付け、その後に化学分析や機器分析等により同定を行っているのが実状である。 【0004】たとえば、化学分析による方法では、塩素含有有機物のフラスコ燃焼法で得たCl2を捕集後、酸化還元反応を利用する方法がある。アミンに対してはキンヒドロンによる呈色方法が挙げられる。またアルコールに対しては、硝酸セリウムアンモニウムとHNO3酸性で配位化合物形成による呈色が利用される。機器分析ではクロマトグラフ法や吸光法などによって同定される。しかしながら、係る方法の分析によると試験機器や設備が必要となり、容易にかつ速やかに同定することは困難である。 【0005】上記に示したような化学分析や機器分析による方法では、緊急時、例えば研究室や実験室等において液状の薬品(有機溶剤など)を流出した際、その物質が何であるか不明の場合には適切な対策を速やかに判断できない。酸やアルカリを流出した場合には、PH試験紙等でPHを測定して、中和する事により適切な対策を打つことが可能となる。しかしながら、有機溶剤などが流出した場合には、PH試験紙では呈色しないため、物質の特定ができずに適切な対策を打つことが困難である。 【0006】近年地球環境保全意識の高まりより、薬品類の事業設備外への流出を防ぐために、誤って流出した薬品の迅速な処置をする必要から、流出物の容易で速やかな同定手段が望まれている。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】本発明は塩素系溶剤やアルコール、アミンなどの溶剤に対して、特に排水に流出した場合を想定して水の存在下においても、簡易に瞬時に呈色識別(同定)できる呈色試験紙を提供するものである。 【0008】 【課題を解決するための手段】前記課題を解決するために本発明者らは鋭意検討の結果、本発明に至った。即ち、少なくとも3種の呈色剤、及び紙力増強剤を含み、マンセル表色系において、紙の色相がマンセルHueで10.0R以上、10.0Y以下の範囲であって、かつ明度がマンセルValueで5.0以上、10.0以下の範囲でかつ、彩度がマンセルChromaで0.5以上、5.0以下の範囲であることを特徴とする呈色試験紙であり、さらには紙のかさ密度が0.1g/cc以上、1.0g/cc以下、厚さが0.1mm以上、0.3mm以下、紙のステキヒト・サイズ度が100秒以上でかつ、塩素系溶剤と接触した際には赤色に、アルコール類と接触した際には黄色を、及びアミン類と接触した際には暗緑青色を呈することを特徴とする呈色試験紙である。 【0009】さらに、呈色する呈色剤として、粒径100μm以下でかつ1μm以下の比率が1%未満である粉体状の呈色剤を用いることを特徴とする呈色試験紙である。 【0010】また、内面サイズ法により抄紙するに際して、パルプと紙力増強剤と定着剤とサイズ剤並びに沈殿剤と呈色剤粉体とを混合スラリーとした後、凝集剤を添加して抄紙することを特徴とする請求項1記載の呈色試験紙の製造方法に関するものである。 【0011】紙力増強剤であるPVAは1.0重量%以上、10.0重量%以下、含有していることが望ましい。含有量が少ないと紙の強度が弱く、含有量が多いと対象とする有機溶剤の浸透性が悪く発色性が悪くなるといった問題がある。 【0012】 【発明の実施の形態】試験紙はマンセル表色系において、色相が10.0R以上、10.0Y以下好ましくは、5.0YR以上、5.0Y以下の範囲であって、かつ明度が5.0以上、10.0以下、好ましくは、6.5以上、8.5以下の範囲でかつ、彩度が0.5以上、5.0以下、好ましくは1.0以上、3.0以下の範囲である。それ以外の場合には呈色した際の識別性が悪くなると傾向がある。 【0013】呈色試験紙は紙のかさ密度が0.1g/cc、以上、1.0g/cc以下、好ましくは、0.3g/cc以上、0.6g/cc以下の範囲であって、厚さが0.1mm以上、0.3mm以下、好ましくは、0.15mm以上、0.20mm以下である。かさ密度が0.1g/cc未満の場合、紙強度が不足すると共に、同定すべき薬剤の微少液滴が付着した場合に、液滴が広がらず、結果として液滴を識別することができなくなる。又、1.0g/ccを越える紙は製造が困難な傾向になる。同様に、紙の厚さが0.1mm未満の紙は製造が困難であり、0.3mmを越える場合は液滴が広がりにくいといった問題がある。 【0014】又、呈色試験紙は紙のステキヒト・サイズ度が100秒以上、好ましくは、200秒以上であることが望ましい。100秒未満の場合は試験紙が水に濡れた際に極微量の溶剤で呈色する事が困難な傾向になる。 【0015】本発明で用いる呈色剤は、次に示す組み合わせが最適であるが、本発明において必ずしも制限されるものではない。呈色試験紙が異なる溶剤に異なる呈色を示すことは、呈色剤として2,5,2',5'TetraMethyltriphenylmethane-4,4'-Diazo-bis-β-hydroxynaphtoic anilid(以下TMDと略す)、4-(4'-Phenylazoyl)Phenylazo-Phenol(以下PPPと略す)並びに、Ethyl-bis-(2,4-Dinitrophenyl)Acetate(以下EDAと略す)を含有することで得られる。 【0016】同定識別すべき溶剤の組み合わせを塩素系溶剤、アルコール類及びアミン系溶剤とした場合は液体が呈色試験紙に付着した際にTMDは塩素系溶剤にのみ溶解し赤変して、付着した液滴が塩素系溶剤であることを知らしめる。また、付着した液体がアルコール類の場合は電子の振動によりPPPを深色化し、呈色試験紙が黄色の発色をして付着した液滴がアルコール類であることを知らしめる。同様に、付着した液体がアミン系溶剤の場合は電荷がベンゼン環に遷移することにより、呈色試験紙が緑色の発色をして付着した液滴がアミン系溶剤であることを知らしめる。 【0017】この呈色試験紙に接触する有機溶剤の量は、少なくとも0.01μLt以上であれば十分である。これ以下では判定が困難になる傾向があるが、逆に多くつきすぎても効果は同じとなる。この有機溶剤が水とともに呈色紙に付着するだけで十分である。 【0018】呈色試験紙は、呈色剤の粒径が1μm以上、100μm以下でかつ、好ましくは、5μm以上75μm以下のものが望ましい。呈色剤の粒径が100μmを越えると、極微量溶剤の呈色が識別困難となり、また1μm以下を越えると紙の地色が濃くかつ明度が暗くなるために極微量有機溶剤の呈色を識別困難となるので本発明の目的とする呈色試験紙を得ることができない。 【0019】さらに、呈色剤の粒径が1μm以下の占める割合が、1%未満、好ましくは、0%である。1%以上の場合、紙の地色が濃くかつ明度が暗くなり極微量の有機溶剤の呈色の識別が困難となる。 【0020】呈色試験紙は、呈色剤であるTMDを0.2重量%以上、2.0重量%以下、PPPを1.0重量%以上、10.0重量%以下、EDAを1.0重量%以上、10.0重量%以下含有していることが望ましい。呈色剤の含有量が少ないと呈色した際の呈色が薄いために識別が困難となり、含有量が多いと紙の地色が濃くかつ明度が暗くなるために極微量の溶剤の呈色を識別困難となるので本発明の目的とする呈色試験紙を得ることができない。 【0021】 【実施例】以下に実施例を示す。 【0022】紙のステキヒト・サイズ度はJIS P8122で定められた『紙のステキヒト・サイズ度試験法』に基づき測定した。この値が大きい程、紙の耐水性が高いことを示す。 【0023】色相、明度、彩度については、JIS Z8721で定められた『三属性による色の表示方法』に基づき測定した。 【0024】呈色性能の試験方法として、サンプルが標準状態(20℃、RH60%に放置)と水に濡れた状態(20℃の水に30分間浸漬させておく)で、テトラクロロエチレン(薬品A)、イソプロピルアルコール(薬品B)、ジメチルアミン(薬品C)をそれぞれ0.1及び0.01μLt滴下して、発色性能は滴下後5秒以内に発色したものを合格として○×で判定し、識別性能は滴下5秒後に赤色、黄色、緑色に識別できたものを合格として○×で判定した。 【0025】実施例 1叩解度SR−15のNBKPパルプとLBKPパルプを各50部、繊度1.1デシテックス、繊維長3mmの繊維状バインダー(PVA)3部、色相調整用の黄色染料(bayer japan製のR.B.Y.7GL)0.01部を混合した後、硫酸アルミニウム5部と白色ロジン(荒川化学製のサイズパインN−771)5部を順に混合する。次に、ここに消泡剤(明成化学製のホームレスP0)5部を混合させた後、あらかじめ呈色剤の5倍の分散剤(明成化学製のディスパーTL)を用いて水中に分散させた平均粒径25μmでかつ1μm以下の比率が0.8%であるTMD0.7部、PPP5部、EDA5部を混合し、最後にアニオン系高分子凝集剤(PAM)0.2部を混合して湿式抄紙を行い、坪量75g/m2の呈色試験紙を作成した。 【0026】実施例 2実施例1と同処方で湿式抄紙を行い、坪量100g/m2の呈色試験紙を作成した。 【0027】比較例 1実施例1で使用したのと同じ叩解度SR−15のNBKPパルプとLBKPパルプを各50部、繊維状バインダー3部、黄色染料0.01部、硫酸バンド5部と白色ロジン5部並びに消泡剤5部、さらにあらかじめ呈色剤の5倍の分散剤を用いて水に分散させた平均粒径25μmでかつ1μm以下の比率が0.8%であるTMD0.7部、PPP5部、EDA5部とアニオン系高分子凝集剤0.2部を一度に混合して湿式抄紙を行い、坪量75g/m2の呈色試験紙を作成した。 【0028】比較例 2実施例1で使用したのと同じ叩解度SR−15のNBKPパルプとLBKPパルプを各50部、繊維状バインダー3部、黄色染料0.01部を混合した後、硫酸アルミニウム5部と白色ロジン5部を順に混合する。次に、ここに消泡剤5部を混合させた後、あらかじめ呈色剤の5倍の分散剤を用いて水中に分散させた平均粒径14μmでかつ1μm以下の比率が15%であるTMD0.7部、PPP5部、EDA5部を混合し、最後にアニオン系高分子凝集剤0.2部を混合して湿式抄紙を行い、坪量75g/m2の呈色試験紙を作成した。 【0029】上記実施例1と2及び比較例1と2の呈色試験紙の性量を表1に、呈色性能を比較した結果を表2に示す。 【0030】 【表1】
【0031】 【表2】
【0032】 【発明の効果】以上説明したように、本発明の呈色試験紙は3種類の呈色剤を使用し、その粒径制御や色相調整により塩素系溶剤、アルコール、アミンなどの有機溶剤の呈色識別性に非常に優れている。又、非常に高い耐水性を有しているために排水等に有機溶剤が流出した場合など多量の水の存在下においても極微量の有機溶剤を呈色識別することが可能である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003160 【氏名又は名称】東洋紡績株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年8月24日(2000.8.24) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2002−71662(P2002−71662A) |
| 【公開日】 |
平成14年3月12日(2002.3.12) |
| 【出願番号】 |
特願2000−254379(P2000−254379) |
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