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【発明の名称】 化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価方法及び評価装置並びに解析方法及び解析システム
【発明者】 【氏名】塩見 祐子

【氏名】北原 紅実

【氏名】鈴木 祐介

【氏名】大隈 信隆

【要約】 【課題】専門パネラーの官能評価により行われている化粧品や化粧品原料の機能性、使用性、仕上がり感などの品質評価において、専門パネラーの評価結果と相関関係を有する結果が高精度且つ再現性よく得られ、官能評価の代替手段として実際に利用することができる化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価方法及び評価装置並びに解析方法及び解析システムを提供することにある。

【解決手段】化粧品又は化粧品原料に生じるAEを検出して電気信号に変換するAEセンサと、該AEセンサにより検出された電気信号を増幅する増幅手段と、該増幅手段により増幅された電気信号のうち特定の周波数帯域を抽出するフィルタ手段と、該フィルタ手段により抽出された電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換手段と、該A/D変換手段により変換されたデジタル信号を解析する解析手段とからなることを特徴とする官能評価代替評価装置とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 化粧品又は化粧品原料の特性を評価する化粧品又は化粧品原料の評価方法において、AEを検出して電気信号に変換するAEセンサを用いて化粧品又は化粧品原料に生じるAEを検出することを特徴とする化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価方法。
【請求項2】 AEセンサを化粧品又は化粧品原料に対して略垂直方向に移動させながらAEを検出することを特徴とする請求項1に記載の化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価方法。
【請求項3】 AEセンサを化粧品又は化粧品原料に対して略水平方向に移動させながらAEを検出することを特徴とする請求項1に記載の化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価方法。
【請求項4】 化粧品又は化粧品原料の特性を評価する化粧品又は化粧品原料の評価における電気信号の解析方法であって、該電気信号は化粧品又は化粧品原料に生じるAEを検出するAEセンサにより得られてなり、該電気信号を波形処理した後に、得られた波形データの特性値を算出することを特徴とする解析方法。
【請求項5】 化粧品又は化粧品原料の特性を評価する化粧品又は化粧品原料の評価における電気信号の解析方法であって、該電気信号は化粧品又は化粧品原料に生じるAEを検出するAEセンサから得られてなり、該電気信号を波形処理した後に、解析処理して得られた波形データの特性値を算出することを特徴とする解析方法。
【請求項6】 化粧品又は化粧品原料に生じるAEを検出して電気信号に変換するAEセンサと、該AEセンサにより検出された電気信号を増幅する増幅手段と、該増幅手段により増幅された電気信号のうち特定の周波数帯域を抽出するフィルタ手段と、該フィルタ手段により抽出された電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換手段と、該A/D変換手段により変換されたデジタル信号を解析する解析手段とからなることを特徴とする化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価装置。
【請求項7】 化粧品又は化粧品原料に生じるAEを検出して電気信号に変換するAEセンサと、該AEセンサの駆動手段と、該駆動手段を制御する制御手段と、該AEセンサにより検出された電気信号を増幅する増幅手段と、該増幅手段により増幅された電気信号のうち特定の周波数帯域を抽出するフィルタ手段と、該フィルタ手段により抽出された電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換手段と、該A/D変換手段により変換されたデジタル信号を解析する解析手段とからなることを特徴とする化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価装置。
【請求項8】 化粧品又は化粧品原料に生じるAEを検出して電気信号に変換するAEセンサと、該AEセンサにより検出された電気信号を増幅する第一の増幅手段と、該第一の増幅手段により増幅された電気信号のうち特定の周波数帯域を抽出するフィルタ手段と、該フィルタ手段により抽出された電気信号を増幅する第二の増幅手段と、該第二の増幅手段により増幅された電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換手段と、該A/D変換手段により変換されたデジタル信号を解析する解析手段とからなることを特徴とする化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価装置。
【請求項9】 化粧品又は化粧品原料に生じるAEを検出して電気信号に変換するAEセンサと、該AEセンサの駆動手段と、該駆動手段を制御する制御手段と、該AEセンサにより検出された電気信号を増幅する第一の増幅手段と、該第一の増幅手段により増幅された電気信号のうち特定の周波数帯域を抽出するフィルタ手段と、該フィルタ手段により抽出された電気信号を増幅する第二の増幅手段と、該第二の増幅手段により増幅された電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換手段と、該A/D変換手段により変換されたデジタル信号を解析する解析手段とからなることを特徴とする化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価装置。
【請求項10】 化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価装置において用いられる解析システムであって、化粧品又は化粧品原料に生じるAEを検出して得られた電気信号を波形処理する波形処理手段と、該波形処理手段により得られた波形データの特性値を算出する算出手段とからなることを特徴とする解析システム。
【請求項11】 化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価装置において用いられる解析システムであって、化粧品又は化粧品原料に生じるAEを検出して得られた電気信号を波形処理する波形処理手段と、該波形処理手段により得られた波形データに対して、信号抽出処理、ノイズ除去処理、絶対値処理、エンベロープ処理、FFT処理、間引き処理のうちから選択される1種以上の解析処理を施す解析処理手段と、該解析処理手段により処理された波形データの特性値を算出する算出手段とからなることを特徴とする解析システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価方法及び評価装置並びに解析方法及び解析システムに係り、その目的は、専門パネラーの官能評価により行われている化粧品や化粧品原料の機能性、使用性、仕上がり感などの化粧品や化粧品原料の特性等の品質評価において、専門パネラーの評価結果と相関関係を有する結果が高精度且つ再現性よく得られ、官能評価の代替手段として実際に利用することができる化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価方法及び評価装置並びに解析方法及び解析システムを提供することにある。尚、本発明においてAEとは、Acoustic emission (弾性波)のことであり、AEセンサとは、Acoustic emission (弾性波)を検出して電気信号に変換する素子のことである。
【0002】
【従来の技術】「べたつき」や「なめらかさ」などの化粧品や化粧品原料の機能性、使用性、仕上がり感などの特性の評価は、従来から専門パネラーによる官能評価により行われている。しかしながら専門パネラーによる官能評価は、パネラーの個人差、パネラー自身の健康状態、或いは湿度、温度などの環境条件により大きく左右されるために、得られる結果にばらつきが生じるという問題点があった。このために、より信頼性の高い結果を得るために複数の熟練した専門パネラーによる評価が多数回必要とされた。
【0003】そこで、近年では、化粧品や化粧品原料の機能性、使用性、仕上がり感などの特性の評価において、専門パネラーの官能評価に頼らない化粧品又は化粧品原料の評価方法及び評価装置の開発が盛んに行われている。例えば、化粧品を皮膚や毛髪に塗布した際の「べたつき」を評価する方法として、圧縮試験機により化粧品に荷重を付加したときの接着力を測定して「べたつき」を評価する方法が存在している。しかしながら、この仕上がり感の評価方法では、複数の専門パネラーによる官能評価の結果と相関関係を有する結果が常に得られないという問題点が存在した。これは、前記した「べたつき」の評価方法において測定される数値は、荷重による接着力のみであり、その他の微妙な挙動を測定することはできないからである。つまり、化粧品の使用感、仕上がり感、風合いといった特徴は、人間の繊細で様々な要素が複雑に関与した感覚により判断が行われているからであり、これは単に一つの要素に置き換えられるものではないからである。例えば、前述の「べたつき」という感覚は、「化粧品の粘性による重さ」や「塗布した部分を指で触れたときの接着力」など様々な要素に分解できる感覚である。このような複合的な感覚を数値化して評価するためには、これら複数の要素一つ一つに相関のある特性値が必要とされた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】即ち、本発明の解決課題は、微細な変化を測定することができるとともに、多面的な評価に必要な複数の特性値を取得することができ、このために、専門パネラーによる官能評価の結果と常に相関関係を有する結果が得られる化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価方法及び評価装置並びに解析方法及び解析システムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記した課題を解決するためになされたものであって、請求項1に係る発明は、化粧品又は化粧品原料の特性を評価する化粧品又は化粧品原料の評価方法において、AEを検出して電気信号に変換するAEセンサを用いて化粧品又は化粧品原料に生じるAEを検出することを特徴とする化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価方法に関する。請求項2に係る発明は、AEセンサを化粧品又は化粧品原料に対して略垂直方向に移動させながらAEを検出することを特徴とする請求項1に記載の化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価方法に関する。請求項3に係る発明は、AEセンサを化粧品又は化粧品原料に対して略水平方向に移動させながらAEを検出することを特徴とする請求項1に記載の化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価方法に関する。請求項4に係る発明は、化粧品又は化粧品原料の特性を評価する化粧品又は化粧品原料の評価における電気信号の解析方法であって、該電気信号は化粧品又は化粧品原料に生じるAEを検出するAEセンサにより得られてなり、該電気信号を波形処理した後に、得られた波形データの特性値を算出することを特徴とする解析方法に関する。請求項5に係る発明は、化粧品又は化粧品原料の特性を評価する化粧品又は化粧品原料の評価における電気信号の解析方法であって、該電気信号は化粧品又は化粧品原料に生じるAEを検出するAEセンサから得られてなり、該電気信号を波形処理した後に、解析処理して得られた波形データの特性値を算出することを特徴とする解析方法に関する。
【0006】請求項6に係る発明は、化粧品又は化粧品原料に生じるAEを検出して電気信号に変換するAEセンサと、該AEセンサにより検出された電気信号を増幅する増幅手段と、該増幅手段により増幅された電気信号のうち特定の周波数帯域を抽出するフィルタ手段と、該フィルタ手段により抽出された電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換手段と、該A/D変換手段により変換されたデジタル信号を解析する解析手段とからなることを特徴とする化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価装置に関する。請求項7に係る発明は、化粧品又は化粧品原料に生じるAEを検出して電気信号に変換するAEセンサと、該AEセンサの駆動手段と、該駆動手段を制御する制御手段と、該AEセンサにより検出された電気信号を増幅する増幅手段と、該増幅手段により増幅された電気信号のうち特定の周波数帯域を抽出するフィルタ手段と、該フィルタ手段により抽出された電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換手段と、該A/D変換手段により変換されたデジタル信号を解析する解析手段とからなることを特徴とする化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価装置に関する。請求項8に係る発明は、化粧品又は化粧品原料に生じるAEを検出して電気信号に変換するAEセンサと、該AEセンサにより検出された電気信号を増幅する第一の増幅手段と、該第一の増幅手段により増幅された電気信号のうち特定の周波数帯域を抽出するフィルタ手段と、該フィルタ手段により抽出された電気信号を増幅する第二の増幅手段と、該第二の増幅手段により増幅された電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換手段と、該A/D変換手段により変換されたデジタル信号を解析する解析手段とからなることを特徴とする化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価装置に関する。請求項9に係る発明は、化粧品又は化粧品原料に生じるAEを検出して電気信号に変換するAEセンサと、該AEセンサの駆動手段と、該駆動手段を制御する制御手段と、該AEセンサにより検出された電気信号を増幅する第一の増幅手段と、該第一の増幅手段により増幅された電気信号のうち特定の周波数帯域を抽出するフィルタ手段と、該フィルタ手段により抽出された電気信号を増幅する第二の増幅手段と、該第二の増幅手段により増幅された電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換手段と、該A/D変換手段により変換されたデジタル信号を解析する解析手段とからなることを特徴とする化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価装置に関する。
【0007】請求項10に係る発明は、化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価装置において用いられる解析システムであって、化粧品又は化粧品原料に生じるAEを検出して得られた電気信号を波形処理する波形処理手段と、該波形処理手段により得られた波形データの特性値を算出する算出手段とからなることを特徴とする解析システムに関する。請求項11に係る発明は、化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価装置において用いられる解析システムであって、化粧品又は化粧品原料に生じるAEを検出して得られた電気信号を波形処理する波形処理手段と、該波形処理手段により得られた波形データに対して、信号抽出処理、ノイズ除去処理、絶対値処理、エンベロープ処理、FFT処理、間引き処理のうちから選択される1種以上の解析処理を施す解析処理手段と、該解析処理手段により処理された波形データの特性値を算出する算出手段とからなることを特徴とする解析システムに関する。
【0008】
【発明の実施の形態】まず、本発明に係る化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価方法について説明する。本発明に係る化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価方法は、AEセンサによって測定したAEから化粧品や化粧品原料の機能性、使用性、仕上がり感などの特性を評価することを特徴としている。化粧品又は化粧品原料のAEを測定することにより、化粧品又は化粧品原料の評価の過程における微細な変化を捉えることができるために精度の高い測定が可能となる。また、AEを解析することにより得られる単一若しくは複数の特性値により、化粧品や化粧品原料の機能性、使用性、仕上がり感などの特性を多面的に分析できるために、複数の専門パネラーの結果と相関関係を有する結果を常に得ることができる。
【0009】本発明に係る化粧品や化粧品原料の機能性、使用性、仕上がり感などの特性の官能評価代替評価方法において用いられるAEを検出するAEセンサとしては、化粧品又は化粧品原料に発生するAEを電気信号に変換して検出する圧電素子等の圧力センサを例示することができる。化粧品又は化粧品原料に発生するAEを測定する方法は特に限定はされない。その一例を示すと、まず、サンプルとなる化粧品又は化粧品原料を被塗布体の表面に略均一な厚さとなるように塗布する。サンプルとなる化粧品又は化粧品原料を塗布する被塗布体としては、アクリル板等の合成樹脂性の板材の他、皮膚や毛髪、或いは皮膚モデルや毛髪モデルなどを用いることができる。被塗布体として皮膚や皮膚モデル、或いは毛髪や毛髪モデルを用いた場合は、化粧品を皮膚や毛髪に塗布する実際の使用条件と略同一の条件で評価をすることが可能となる。
【0010】次に、サンプルとなる化粧品又は化粧品原料に物理的な力を加えた際に発生するAEをAEセンサにより測定する。AEの測定は、AEセンサを直接化粧品又は化粧品原料に接触させて測定することもでき、また、化粧品又は化粧品原料と間接的に接触させた状態で測定することも可能である。AEセンサを直接化粧品又は化粧品原料に接触させてAEを測定する方法としては、AEセンサを化粧品又は化粧品原料に直接接触させた状態からAEセンサと化粧品又は化粧品原料を垂直方向に引き離す又は接触させたAEセンサを被塗布体に対して水平方向に移動させた際に生じるAEを測定すればよい。
【0011】また、AEセンサを化粧品又は化粧品原料と間接的に接触させてAEを測定する方法としては、AEセンサを指や櫛などに直接取り付けて測定すると良い。具体的には、AEセンサを取り付けた指或いは櫛などを化粧品又は化粧品原料と接触させる又は接触させた指或いは櫛などを化粧品又は化粧品原料から引き離す、若しくは被塗布体に対して水平方向に移動させた際に生じるAEを間接的に測定すればよい。尚、皮膚や毛髪、或いは皮膚モデルや毛髪モデルに塗布した化粧品や化粧品原料を評価する際には、手に持ちやすく操作が簡便な治具と組み合わせて使用することも可能である。このように、AEは、化粧品又は化粧品原料とAEセンサを間接的に接触させた状態でも測定することが可能である。このために、AEセンサを指や櫛に取り付けて測定することも可能であり、実際の使用状態に則した測定を簡便に行うことができる。
【0012】上述した直接的或いは間接的な接触によるいずれの測定においても、AEを測定する際のAEセンサの動作は、評価する化粧品や化粧品原料の機能性、使用性、仕上がり感などの特性に応じて任意に設定するとよい。例えば、化粧品の「べたつき」を評価する場合には、化粧品にAEセンサを間接或いは直接的に接触させた状態で、AEセンサを化粧品から略垂直方向に引き離す際に生じるAEを測定するとよい。また、化粧品の「なめらかさ」などの表面性を評価する場合には、化粧品とAEセンサを間接或いは直接的に接触させた状態で、AEセンサを化粧品に対して略水平方向に移動させた際に生じるAEを測定するとよい。また、AEを測定する際には、AEセンサの動作を略一定の条件に維持した状態で化粧品又は化粧品原料のAEを測定することが好ましい。これは、AEセンサの動作を略一定の条件に維持することにより、測定による誤差を減少することができるからである。この場合、図1に示す圧縮・引張試験機のような駆動手段(4)にAEセンサ(1)を取り付けて測定するとよい。
【0013】以下、具体的なAEの測定方法を図面を用いて説明する。まず、化粧品の「べたつき」を測定する場合を例示する。べたつきを測定する場合は、図2や図3に示されるように、被塗布体(3)の表面に塗布した化粧品(2)とAEセンサ(1)を接触させた後に、AEセンサ(1)を矢印方向(図では略垂直方向)に移動させた際に発生するAEを測定するとよい。尚、図2に示されるように、AEセンサ(1)を指等に取付て化粧品(2)と間接的に接触させてもよく、また、図3に示されるように、AEセンサ(1)を化粧品(2)に直接的に接触させて測定することも可能である。図3のようにAEセンサ(1)を化粧品(2)に直接的に接触させて測定する場合は、AEセンサを図1に示す圧縮・引張試験機(4)のような略一定の条件でAEセンサを移動することができる装置に取り付けて測定してもよい。尚、図1中、(5)は増幅手段、(6)はフィルタ手段、(7)はコンピュータなどの解析手段であり、(8)はプリンタなどの出力手段である。(9)はディスプレイなどの表示手段であり、(10)はキーボードなどの入力手段である。
【0014】次に、化粧品の「なめらかさ」等の表面性を評価する場合について説明する。表面性を評価するには、図4や図5に示されるように、被塗布体(3)の表面に塗布した化粧品(2)とAEセンサ(1)を接触させた後に、AEセンサ(1)を矢印方向(図では略水平方向)に移動させた際に発生するAEを測定するとよい。尚、図4に示されるように、AEセンサ(1)を指等に取付て化粧品(2)と間接的に接触させてもよく、また、図5に示されるように、AEセンサ(1)を化粧品(2)に直接的に接触させることも可能である。尚、図2乃至図5のいずれの場合においても、化粧品(2)を塗布する被塗布体(3)としては、前述したいずれも用いることができ、評価目的に応じて適宜選択するとよい。
【0015】この他にも、例えば、毛髪の「まとまり」を評価する場合には、貫通孔が設けられた筒体などにAEセンサを取り付けた後に、この貫通孔に毛髪の束を挿通させた際に生じるAEを測定するとよい。また、「ごわつき」を評価する場合には、毛髪を曲げたときに生じるAEを測定するとよい。また、毛髪の「櫛通り性」を評価する場合には、AEセンサを取り付けた櫛を用いて、毛髪の束を梳いた際に発生するAEを測定するとよい。
【0016】こうして測定されたAEは、コンピューター等の解析手段(7)によって容易に扱うことができるように、アナログ信号からデジタル信号への変換が行われる。こうして得られたデジタル信号を処理・解析することにより、化粧品や化粧品原料の機能性、使用性、仕上がり感などの特性を評価することができる。以下、得られたデジタル信号などの電気信号の解析方法について、図面を参照しつつ説明する。図6は解析方法のフローチャート図である。AEを測定して得られた電気信号を処理する場合、まず、波形処理が行われる。具体的には、図7に示すような横軸を時間軸とし、縦軸を電圧値とした波形処理を例示することができる。
【0017】次に、波形処理して得られた波形データに対して、必要に応じて、以下の解析処理が施される。この解析処理としては、信号抽出処理、ノイズ除去処理、絶対値処理、エンベロープ処理、FFT処理(高速フーリエ交換)、間引き処理等を例示することができる。信号抽出処理とは、解析に必要な範囲のデータを抽出する処理であり、例えば、予め定めたレベル以上の信号を検出したときから一定時間のデータを抽出する処理である。ノイズ除去処理とは、有効データの前後のノイズデータを除去する処理であり、予め定めた信号レベル以下の区間のデータを除去する処理である。絶対値処理とは、得られた全データを絶対値とする処理である。エンベロープ処理とは、設定したΔ値に応じてエンベロープ(包絡線)とする処理である。FFT処理(高速フーリエ交換)とは、指定された時間軸領域のデータを周波数領域のデータに変換する処理である。間引き処理とは、波形の特徴を損なわないようにデータ量を削減する処理である。これらの処理は必要に応じて行えばよく、また複数組み合わせて行うことも可能である。
【0018】次に、波形処理により得られた波形データ或いは必要に応じて上記したような解析処理が施された波形データの特性値を算出する。以下、特性値の算出について図面を参照しつつ説明する。図7は波形処理されたAEの模式図であり、図8は波形処理されたAEを絶対値処理した模式図である。尚、図7及び図8の横軸は時間軸であり、図7の縦軸は電圧値であり、図8の縦軸は電圧値の絶対値である。算出される特性値としては、絶対値処理した全データの中の最大値である最大振幅値(図8のa)、データがしきい値を下回ってから、一定時間以上しきい値を超えるデータがない場合、次のしきい値が現れるまでを「イベント」とした場合のイベント数、一つ目のイベントの中での、予め設定したしきい値(図8の一点鎖線b)を超えている時間である持続時間(図8のc)、一つ目のイベントの中での、しきい値(図7の鎖線d)を超えた回数であるリングダウン数(図7の場合は12)、全データの2乗和平均であるRMS値、絶対値処理した全データのピーク面積、絶対値処理した一つ目のイベントの中でのしきい値を超えた時間からピークまでの時間である立ち上がり時間(図8のe)、絶対値処理した一つ目のイベントの中でのしきい値を超えた時間からピークまでの勾配である立ち上がり勾配(図8の二点鎖線f)、絶対値処理した一つ目のイベントの中でのサンプリング開始からしきい値を超えるまでの時間である発生時間(先頭)(図8のg)、絶対値処理した一つ目のイベントの中でのサンプリング開始からピークまでの時間である発生時間(ピーク)(図8のh)、絶対値処理した一つ目のイベントの中でのサンプリング開始からしきい値をきるまでの時間である発生時間(後尾)(図8のi)などを例示することができる。
【0019】最後に得られた特性値の平均値、標準偏差、信頼区間等が算出され、さらに、グラフ化処理(回帰直線、相関係数)等が行われる。このようにして得られた特性値のうちの1種又は2種以上を用いることにより、化粧品又は化粧品原料の特性を評価することができる。
【0020】本発明に係る化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価方法において、評価することができる化粧品としては、スタイリング剤、ヘアケア剤、育毛剤等の毛髪用化粧料、乳液、化粧水等の皮膚用化粧料、シャンプー、ボディシャンプー、洗顔料等の洗浄剤など、あらゆる化粧品の機能性、使用性、仕上がり感等を評価することができる。また、前記したような化粧品の原料の評価に用いることもできる。また、本発明に係る化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価方法において、評価することができる化粧品の特性としては、パウダーのサラサラ感、ネイルエナメルの被膜強度、化粧品を塗布した後の毛髪のごわつきやくしどおり性、化粧品を塗布したときの皮膚や毛髪のなめらかさやべたつきなど、従来では専門パネラーの官能評価に頼ることの多かった特性を評価することができる。
【0021】次に、本発明に係る化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価装置について、図面を参照しつつ説明する。まず、本発明の第一実施形態に係る化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価装置について図面を参照しつつ説明する。図9及び図10は本発明の第一実施形態に係る化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価装置を示すブロック図である。本発明の第一実施形態に係る化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価装置は、AEセンサと、増幅手段と、フィルタ手段と、A/D変換手段と、解析手段とからなる。AEセンサは、化粧品又は化粧品原料から発生するAEを検出してアナログ信号に変換するセンサである。AEセンサを構成する素材としては、圧電素子などの圧力センサが用いられる。
【0022】増幅手段は、AEセンサにより検出された微弱なアナログ信号を増幅する。フィルタ手段は、増幅手段により増幅されたアナログ信号を周波数弁別する。AEは通常の場合、数10KHz〜数100KHzの帯域であるので、これ以外の帯域の周波数信号をカットする。A/D変換手段は、フィルタ手段により周波数弁別されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0023】化粧品又は化粧品原料に物理的な力が加えられた際に生じるAEは、AEセンサにより検出される。AEセンサにより検出されたAEは、増幅手段により増幅され、そしてフィルタ手段により、周波数弁別される。フィルタ手段により、周波数弁別されたアナログ信号は、A/D変換手段によりデジタル信号に変換されて、解析手段において、所定の解析処理が施され、得られた解析結果から化粧品や化粧品原料の機能性、使用性、仕上がり感などの特性を評価することができる。
【0024】具体的な解析手段の構成を図11に例示する。図11に示す解析手段においては、ディスプレイなどの表示部、キーボード、マウス等の入力部、プリンター等の出力部、HD、FD等の記憶部、及び、CPU、RAM、ROM等から構成されている。A/D変換手段により変換されたデジタル信号は、入力インターフェース(図示せず)を介して解析手段に入力される。入力されたデジタル信号は、一旦HDやRAMなどに蓄えられた後に、予めROMやHDに備えられる解析プログラムに基づいて、CPUにより所定の処理が加えられる。
【0025】尚、図10に示すように、フィルタ手段で周波数弁別されたアナログ信号をさらに増幅する第二の増幅手段を用いても構わない。この場合、フィルタ手段と第二の増幅手段とが一つの装置内に収納された装置として、シグナルコンディショナーを例示することができる。
【0026】次に、本発明の第二実施形態に係る化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価装置について説明する。図12及び図13は本発明の第二実施形態に係る化粧品の官能評価代替評価装置のブロック図である。本発明の第二実施形態に係る化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価装置は、AEセンサと、駆動手段と、制御手段と、増幅手段と、フィルタ手段と、A/D変換手段と、解析手段とからなる。本発明の第二実施形態に係る化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価装置が、第一実施形態に係る化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価装置と異なる点は、AEセンサは駆動手段に取り付けられ、この駆動手段は制御手段により駆動を制御される点にある。
【0027】駆動手段は、AEセンサを上下方向又は水平方向に予め定めた速度で予め定めた荷重により自在に駆動することができる。このような駆動手段としては、特に限定されず、圧縮・引張試験機等を例示することができる。制御手段は、駆動手段の駆動を制御し、駆動速度、荷重、駆動方向、移動距離などを自在に制御することができる。例えば、駆動手段として圧縮・引張試験機を用いた場合は、センサがサンプルに接触するまでの速度、接触してからの圧縮速度、センサをサンプルから引き離すときの速度、圧縮荷重、圧縮時間などを制御することができる。
【0028】さらに、図13に示すブロック図では、駆動手段からの情報、例えば、付加荷重や試験開始信号を解析手段に伝達する構成としている。これは、解析手段による解析を精度の高いものとすることができるからである。
【0029】尚、図13のブロック図に示されるように、フィルタ手段で周波数弁別されたアナログ信号をさらに増幅する第二の増幅手段を用いても構わない。この場合、フィルタ手段と第二の増幅手段とが一つの装置内に収納された装置として、シグナルコンディショナーを例示することができる。
【0030】第二実施形態に係る化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価装置においては、予め定められた制御項目に従って駆動手段が駆動することにより、サンプルである化粧品又は化粧品原料のAEをAEセンサにより検出する。例えば、AEセンサを一定荷重でサンプルである化粧品又は化粧品原料に接触させた後に、AEセンサを一定速度で化粧品又は化粧品原料から引き離す際に発生するAEを測定する。検出されたAEは、増幅手段により増幅され、フィルタ手段により周波数弁別され、そしてA/D変換手段により、デジタル信号に変換されて、解析手段により所定の解析処理を施される。得られた解析結果から化粧品又は化粧品原料の特性を評価することができる。
【0031】尚、以上説明した以外の構成は、本発明に係る第一実施形態に係る化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価装置と同様であり、説明を省略する。
【0032】次に、上述したようなAEを測定する化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価において好適に用いられる、電気信号の解析システムについて説明する。この解析システムは、AEを測定して得られる電気信号を解析して化粧品の評価に必要な特性値を算出するものである。本発明に係る解析システムは、波形処理手段と、解析手段と、算出手段とから構成される。波形処理手段はAEを測定して得られたデジタル信号を波形処理し、具体的な波形処理としては、図7の模式図に示されるような、横軸を時間軸とし、縦軸を電圧値とした波形処理を例示することができる。解析手段は、波形処理された波形データに対して解析処理を加える。この解析処理としては、解析に必要な範囲のデータを抽出する信号抽出処理、予め設定したレベル以下の信号を除去するノイズ除去処理、得られたデジタル信号を絶対値処理する絶対値処理、予め設定したΔ値に応じてエンベロープ処理するエンベロープ処理、指定された時間軸領域のデータを周波数領域のデータに変換するFFT(高速フーリエ交換)処理、波形の特徴を損なわないようにデータ量を削減する間引き処理等を例示することができる。尚、解析処理は必要に応じて行われる。算出手段は、波形処理された波形データの特性値を算出する。算出される特性値としては、絶対値処理した全データの中の最大値である最大振幅値、データがしきい値を下回ってから、一定時間以上しきい値を超えるデータがない場合、次のしきい値が現れるまでをイベントとした場合のイベント数、一つ目のイベントの中での、予め設定したしきい値を超えている時間である持続時間、一つ目のイベントの中での、しきい値を超えた回数であるリングダウン数、全データの2乗和平均であるRMS値、絶対値処理した全データの面積である面積、絶対値処理した一つ目のイベントの中でのしきい値を超えた時間からピークまでの時間である立ち上がり時間、絶対値処理した一つ目のイベントの中でのしきい値を超えた時間からピークまでの勾配である立ち上がり勾配、絶対値処理した一つ目のイベントの中でのサンプリング開始からしきい値を超えるまでの時間である発生時間(先頭)、絶対値処理した一つ目のイベントの中でのサンプリング開始からピークまでの時間である発生時間(ピーク)、絶対値処理した一つ目のイベントの中でのサンプリング開始からしきい値をきるまでの時間である発生時間(後尾)などを例示することができる。
【0033】次に、本発明に係る解析システムの動作について説明する。AEセンサにより検出されたAEは、A/D変換手段によりデジタル信号に変換される。デジタル信号に変換されたAEは、まず波形処理手段により波形処理が行われる。次に、波形処理が施された波形データに必要に応じて解析手段により解析処理が加えられる。最後に、算出手段により、必要に応じて解析処理が加えられた波形データの特性値を算出する。このようにして得られた特性値、好ましくは複数の特性値から化粧品の機能性、使用性、仕上がり感や化粧品原料の品質、性状、特性等を評価することができる。
【0034】次に、本発明に係る化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価装置及び解析システムの具体的な使用方法について説明する。尚、官能評価代替評価装置としては、図13に示される官能評価代替評価装置を用い、また駆動手段としては、圧縮試験機を用いて、化粧品の「べたつき」を評価する場合を例示して説明する。化粧品の「べたつき」の評価は、化粧品にAEセンサを接触させた後に化粧品からAEセンサを引き抜く際に発生するAEを検出するものとする。本発明に係る化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価装置を用いて化粧品又は化粧品原料の特性等を評価するには、まず、駆動手段である圧縮試験機の駆動条件を制御手段によって設定する。設定する条件としては、例えば、AEセンサがサンプルに接触するまでの速度、サンプルからAEセンサを引き離すときの速度、圧縮時間、圧縮速度、圧縮荷重、AEセンサとサンプルの距離などの必要条件を設定する。
【0035】次に、駆動手段として圧縮試験機を用いる場合、本試験を行う前に、予備試験を行う。これは、本試験における計測時間とトリガレベル、即ちAE信号の入力開始のタイミングを決定するために行われる。図14は、予備試験の際の設定事項を入力する画面の一例である。図14では、サンプリング数、サンプリング速度、自動検出レベル、トリガソース、トリガレベル、トリガ極性、計測時間を入力するように構成されている。サンプリング速度とは、A/D変換手段においてアナログ信号からデジタル信号に変換する際の時間周期であり、ここでは周波数で設定する。サンプリング数とは、入力するデジタル信号数であり、サンプリング速度とサンプリング数により、後述する計測時間が決定される。自動検出レベルとは、一番高い電圧からこの設定値マイナスした電圧値をトリガレベルとする値である。(圧縮試験機を用いたテストにおいては、荷重が付加されて、サンプルから離れるタイミングを決定する機能である。)トリガソースとは、入力開始のタイミングにどの信号を使用するのかを選択するものであり、ここでは、外部トリガ、即ち、圧縮試験機からの信号を監視するように設定されている。外部トリガを選択すると、信号レベルが一定値を超えた場合、又は下回った場合に入力を開始する。トリガレベルとは、入力を開始するタイミングに使用される信号の強度であり、この値を超えた場合に入力を開始する。尚、トリガレベルはトリガソースとして内部トリガを選択した場合に有効であり、予備試験では設定は不要である。トリガ極性とは、トリガレベルより下回った(−↓)場合、或いは、上回った場合(+↑)、どちらの場合に測定を開始するのかを定めるものである。尚、トリガソースとして外部トリガを選択した場合は、信号が立ち上がった場合、又は立ち下がった場合に測定を開始する。予備試験においては、トリガソースとして外部トリガ、即ち、圧縮試験機からの信号を感知しており、ここでは、信号が立ち上がった(+↑)ときからサンプリングを行うように選択されている。各設定値の入力が終了したら、スタートボタンを押して測定を開始する。
【0036】図15は、予備試験から得られたチャート図の一例である。上段は圧縮試験機から伝達される荷重信号であり、下段は、測定したAEの波形である。上段のように、圧縮試験機の荷重信号の全てが計測時間内に納まるように、計測時間を調整する。計測時間は、サンプリング速度とサンプリング数により調整することができる。また、荷重信号が減少する箇所と自動検出レベルを示す横線Jとの交点が本試験の測定開始位置となるので、自動検出レベルの調整を適宜行う。
【0037】このようにしてトリガレベルと計測時間が定まったら、本試験に移る。図16は、本試験の際の設定事項を入力する画面の一例である。図16では、サンプリング数、サンプリング速度、トリガソース、トリガレベル、トリガ極性、計測時間を入力するように構成されている。トリガレベルは予備試験の結果から決定される。また、トリガソースは、内部トリガを選択する。内部トリガを選択した場合は、圧縮試験機からの荷重信号がトリガレベルを越えた場合(+↑)、又は下回った場合(−↓)にAE信号の入力を開始する。トリガ極性は、トリガレベル以下(−↓)となったときにサンプリングを開始するように選択されている。これは、本試験では、AEセンサを化粧品又は化粧品原料と接触させた後に、センサを引き抜く際に発生するAEを測定するからである。
【0038】必要な設定が終了したら測定を開始する。測定を開始すると、予め設定された制御項目に従って制御手段により制御された駆動手段により、一定の条件下でAEセンサによるAEの測定がなされる。測定されたAEは増幅手段により増幅され、フィルタ手段により周波数弁別された後に、A/D変換手段によりデジタル信号に変換される。次に、波形処理手段により波形処理された後に、必要に応じて解析手段により解析処理がなされる。解析手段による解析処理では、まず解析処理方法の選択がなされる。選択される解析処理方法としては、信号抽出、ノイズ除去、絶対値処理、エンベロープ処理、FFT処理、間引き処理である。
【0039】図17は解析処理の選択を行う際の設定事項を入力する画面の一例である。左欄(A0,W1〜W5)は、解析処理後の各データの格納場所であり、左から二列目の欄において、必要な解析処理が選択される。尚、A0(最上段)には波形処理後、即ち、何も解析処理が行われていない波形データが格納されており、各解析処理はこの波形データを利用して解析がなされる。以下、それぞれの解析処理について説明する。信号抽出処理を行う際には、自動処理と手動処理を選択でき、自動処理を選択する場合は、信号レベルと抽出時間を入力し、この信号レベルを超えた時間から抽出時間において定められた時間の範囲を自動的に抽出する。手動処理を選択した場合は、画面に表示される波形から、マウス等の入力装置により必要な部分を選択して抽出を行う。
【0040】ノイズ除去処理を行う際には、自動処理と手動処理を選択でき、自動処理を選択する場合は、信号レベルに記入した信号レベル以下となる区間を自動的に除去する。手動処理を選択した場合は、画面に表示される波形から、マウス等の入力装置により必要な部分を選択して抽出を行う。エンベロープ処理を行う際には、自動処理と手動処理を選択でき、手動処理を選択する場合は、包絡線の時定数であるΔtを入力する。また、自動処理を選択した場合は、予め設定されたΔt(例えば、サンプリング周期の100倍)によりエンベロープ処理が行われる。間引き処理を行う際のには、間引き数の入力を行い、この数値に基づいて算出される。この他の処理、例えば、絶対値処理の場合は、設定事項を入力する必要はない。
【0041】次に、上記したように必要に応じて解析処理が行われた波形データの特性値の算出が行われる。図18は特性値の算出を行う際の設定事項を入力する画面の一例である。図18においては、最大振幅値、持続時間、リングダウン値、RMS値、面積、立ち上がり時間、立ち上がり勾配、イベント数、発生時間(先頭)、発生時間(ピーク)、発生時間(後尾)の特性値を算出することができる。まず、必要とされる特性値をどのような解析処理が行われたデータ或いは行われなかったデータから算出するのかを、中央の欄において選択又は入力する。即ち、図17における左欄に表示されるデータ格納場所の選択が行われる。例えば、最大振幅値は、絶対値処理された全データの中の最大振幅であるので、絶対処理されたデータ(ここではW3)を選択する。次に、しきい値とΔtを入力する。Δtはイベント数を算出するために用いられる。Δtを予め定めた値(例えば、サンプリング周期の10000倍)に自動設定することもできる。設定が終了したら、決定ボタンを押すと結果が左の欄に表示される。
【0042】最後に得られた特性値の平均値、標準偏差、信頼区間等が算出され、さらに、グラフ化処理(回帰直線、相関係数)等が行われる。このようにして算出された特性値を用いて化粧品又は化粧品原料の特性を評価することが可能となる。
【0043】
【実施例】以下、実施例を示して本発明を詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施例により何ら限定されるものではない。
(実施例;シリコンを用いたべたつき評価試験)図13に示されるような官能評価代替評価装置を用いて、シリコンのべたつきを評価した。まず、検体であるシリコン100cs、シリコン500cs、シリコン1000cs(いずれも信越化学社製)それぞれ20μlを人工皮革の表面に滴下し、φ30mmの面積に均一に広げた。次に、恒温恒湿室(温度;23℃、湿度;60%)内において、AEセンサ(商品名;F217L2、株式会社昭和電気研究所製)を取り付けた圧縮試験機(テクスチャーアナライザーTA−XT2i、SMS社製)により、300gの荷重を1秒間付加させた後に、AEセンサを引き離す際に発生するAEを測定する方法により、それぞれ各10回測定した。AEの計測は、圧縮試験機からの荷重電圧が0.35vより立ち上がった時から取り込みを開始した。尚、感度は60dB(元波形の1000倍)であった。
【0044】得られた波形データの一例を図19〜21に示す。また、10回の測定から得られた波形データをノイズカットや部分抽出を行い、特性値を算出した。10回の平均値を表1〜3に示す。また、各特性値と粘度の関係を示すグラフを図22〜図24に示す。
【0045】
【表1】

【0046】
【表2】

【0047】
【表3】

【0048】表1〜3の結果及び図22〜24に示されるように、化粧品のAEを測定することにより得られる各特性値は、化粧品の粘度と相関関係を有することが分かる。従って、化粧品の「べたつき」の評価において、従来の官能評価の代替評価方法として好適に用いられることが分かる。しかも、AEから得られる特性値は多数存在し、「べたつき」を多面的に評価することが可能である。
【0049】
【発明の効果】本発明に係る化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価方法は、化粧品や化粧品原料に生じるAEを測定するものであるから、微細な変化を関知することができるために、精度の高い測定を行うことができる。しかも、AEからは複数の特性値を得ることができるために、単一の試験結果を多面的に評価することができ、従来の官能評価の代替方法として、好適に用いることができる。
【0050】本発明に係る化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価装置は、AEセンサで測定した微弱なAEを増幅してデジタル信号に変換するものであるから、コンピュータ等の解析装置において解析処理することが可能となる。また、制御手段と駆動手段を用いた化粧品又は化粧品原料の官能評価代替評価装置は、略同一の条件で化粧品又は化粧品原料のAEを測定することができるために、測定誤差を減少することができるとともに、異なる測定を比較することもできる。
【0051】本発明に係る解析方法及び解析処理システムは、AEセンサにより測定されたAEから、化粧品や化粧品原料の機能性、使用性、仕上がり感などの特性に関する評価に必要な各種特性値を算出することが可能である。
【出願人】 【識別番号】390011442
【氏名又は名称】株式会社マンダム
【識別番号】593214888
【氏名又は名称】株式会社昭和電気研究所
【出願日】 平成12年8月31日(2000.8.31)
【代理人】 【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
【公開番号】 特開2002−71652(P2002−71652A)
【公開日】 平成14年3月12日(2002.3.12)
【出願番号】 特願2000−263059(P2000−263059)