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【発明の名称】 中空状コンクリート柱の超音波探傷方法
【発明者】 【氏名】八島 実

【氏名】森 章雄

【氏名】佐藤 昌夫

【氏名】堀池 友則

【氏名】津田 富造

【要約】 【課題】中空状コンクリート柱の埋設部に生じた亀裂等の欠陥の有無及びその位置特定を正確にできる。

【解決手段】下方側が地中Mに埋設されて建てられた中空状のコンクリート柱CPに対し、その埋設部Caに生じた亀裂Kを検出するものである。コンクリート柱CPの地上部Cbの表面上に、該コンクリート柱CPの軸方向で埋設部Ca側から超音波送信器1a、超音波受信器1bの順に、互いが所定の離隔距離Lを持って配置されるとともに、超音波送信器1a及び超音波受信器1bはいずれも斜角治具2により、その超音波の出入射方向が埋設部Caに指向される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一端側が埋設された埋設部と他端側に地上部とを有する中空状のコンクリート柱に対し、その地上部表面から超音波を放射し、かつ、反射した超音波の反射エコーを上記地上部表面から受信して上記コンクリート柱の埋設部の探傷を行う中空状コンクリート柱の超音波探傷方法において、超音波発信器からの出射方向及び超音波受信器への入射方向を共に上記埋設部に指向させるとともに、上記超音波発信器と超音波受信器とが所定の離隔距離をもって上記コンクリート柱の地上部表面に配設されることを特徴とする中空状コンクリート柱の超音波探傷方法。
【請求項2】 上記超音波発信器及び超音波受信器が上記コンクリート柱の一端側から他端側へ向けて、一直線上でかつ超音波発信器、超音波受信器の順に配設されることを特徴とする請求項1記載の中空状コンクリート柱の超音波探傷方法。
【請求項3】 上記超音波発信器及び超音波受信器が上記コンクリート柱の周方向上に配設されることを特徴とする請求項1記載の中空状コンクリート柱の超音波探傷方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、埋設部を有する中空状コンクリート柱に関し、その埋設部における亀裂等の欠陥を検出する中空状コンクリート柱の超音波探傷方法に関する。
【0002】
【従来の技術】コンクリート建造物としてコンクリート柱は、中空状に成形されその柱軸方向と柱周方向に骨材が配されてなる。コンクリート柱は、その下方が地中に埋設されて鉛直に建柱され、その上方に送電線、通信線等が敷設される。コンクリート柱は、その表面に経時的に生じる自然亀裂あるいは何らかの外的負荷により生じる外敵亀裂が発生する場合がある。この場合、その亀裂から雨水などの浸入によりコンクリート内部の鉄筋が腐食してくる。コンクリート内部の鉄筋の検査方法として、特開2000−199755号公報に記載の方法が知られている。本公報の記載によれば、送信コイルと受信コイルをコンクリート柱の表面に生じた亀裂を間に挟むように取り付け、送信コイルからスイーブ信号を発生させた時に受信コイルで受信した磁束の応答に基づいて鉄筋を検査する方法が説明されている。
【0003】一方、コンリート建造物の厚さ、あるいは空洞、亀裂などの内部欠陥を検査する場合、特開平10−62396号公報に記載の超音波探傷法が最も用いられている。本公報の記載によれば、被検査体となるコンクリート建造物の表面に一対の超音波送受波器を配置し、一方の超音波送受波器から超音波をコンクリート建造物に放射し、コンクリート建造物の欠陥部での反射エコーや底面で反射した底面エコーを他方の超音波送受波器で受波する超音波探傷装置が記載されている。また、超音波をコンクリート建造物へ放射する送受波位置の間隔を変化させ、これにより得られた複数の反射エコーデータに基づいて、コンクリート建造物の探傷計測での不要な雑音である表面波のエコーデータを低減して、欠陥部での反射エコーと底面で反射した底面エコーを強調するという探傷法も記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、コンクリート柱の表面に生じる亀裂はコンクリート柱の地上部のみならず、コンクリート柱の埋設部にも生じてしまう。上記特開2000−199755号公報に記載のように、コンクリートの地上部に亀裂が生じた場合、目視等により亀裂を検出することは可能である。しかしながら、コンクリート柱の埋設部では、目視による確認は不可能であり、目視するためにはコンクリート柱周りを掘削しなければならず、かなりの人員及び時間が必要になる。特にコンクリート柱の埋設部では、敷設された送電線、通信線等の荷重が直接加わり、外的負荷によって亀裂が生じる可能性が高く、一度亀裂が生じると雨水などの浸入が多大となり、鉄筋の腐食が促進されるため、埋設部に生じた亀裂を早期に検出することが要求されている。
【0005】例えば、上記特開平10−62396号公報に記載の超音波探傷法を用いた場合、コンクリート柱の地上部における内部欠陥を検出することは可能であっても、コンクリート柱の埋設部においては不可能である。したがって、未だコンクリート柱の埋設部における亀裂の検出方法が確立されていないのが現実である。
【0006】そこで本出願人は、次に記述する3つの実験を行った。検査対象物として板厚が40mmの中空状コンクリート柱を使用し、その表面に柱周方向長さ130mm、板厚方向深さ30mmのスリットを加工した。また、超音波送信器の出射方向及び超音波受信器の入射方向を柱軸方向へ指向させるため、後述する偏角治具を使用した。
【0007】第1の実験として、図7に示すように、超音波送信器1aの出射方向及び超音波受信器1bの入射方向(図中の矢印)をスリットSlに指向させるとともに、超音波送信器1a及び超音波受信器1bをコンクリート柱CPの周方向で当接配置した。そして、スリットSlと超音波送信器1a及び超音波受信器1bとの距離Lを100mm、200mm、300mm、400mmと段階的に変化させて夫々の超音波探傷実験を行った。この実験結果を図8に示す。図8は、縦軸を経過時間、横軸を反射エコー強さとした時系列グラフで示したもので、左から1番目がL=100mm、2番目がL=200mm、3番目がL=300mm、4番目がL=400mmに相当する。この結果を考察すると、距離Lの変化に対応した反射エコーを認識できていない。これはコンクリート柱CPの板厚方向からの反射波(以下、板厚波と称す)と、コンクリート柱CPの表面を超音波送信器1aから超音波受信器1bへ伝達する表面波とが入射され、スリットSlからの反射エコーがこれら板厚波と表面波に埋もれてしまったと考えられる。
【0008】第2の実験として、図9に示すように、超音波送信器1aの出射方向及び超音波受信器1bの入射方向(図中の矢印)をスリットSlに指向させるとともに、超音波送信器1a及び超音波受信器1bをコンクリート柱CPの軸方向でスリットSl側から超音波送信器1a、超音波受信器1bの順に互いを当接配置した。そして、スリットSlと超音波送信器1aとの距離Lを100mm、200mm、300mm、400mmと段階的に変化させて夫々の超音波探傷実験を行った。この実験結果を図10に示す。図10は、上記図8と同様、時系列グラフで示したもので、左から1番目がL=100mm、2番目がL=200mm、3番目がL=300mm、4番目がL=400mmに相当する。この結果を考察すると、上記実験1と同様、距離Lの変化に対応した反射エコーを認識できず、スリットSlからの反射エコーが板厚波と表面波に埋もれてしまったと考えられる。
【0009】第3の実験として、図11に示すように、超音波送信器1aの出射方向及び超音波受信器1bの入射方向(図中の矢印)をスリットSlに指向させるとともに、コンクリート柱CPの軸方向でスリットSlと超音波送信器1aの距離を10mmに固定し、この超音波送信器1aに対する超音波受信器1bの離隔距離Lを100mm、150mm、200mm、250mm、300mm、400mmと段階的に変化させて夫々の超音波探傷実験を行った。この実験結果を図12に示す。図12は、上記図8,10と同様、時系列グラフで示したもので、左から1番目がL=100mm、2番目がL=150mm、3番目がL=200mm、4番目がL=250mm、5番目がL=300mm、6番目がL=400mmに相当する。なお、各波形上の1点鎖線は、スリットSlからの反射エコーが立ち上がる位置を示した。この結果を考察すると、離隔距離Lが100mm及び150mmの場合、1点鎖線で示したスリットSlからの反射エコーが立ち上がる位置以前に、上記実験1、2で見られた板厚波及び表面波のエコーが立ち上がっていると考えられる。また、超音波送信器1aと超音波受信器1bとの離隔距離Lを持つことで、上記実験1、2で見られた板厚波及び表面波のエコーよりも減衰していることが判る。離隔距離Lが200mm、250mm、300mm、400mmの場合、1点鎖線で示したスリットSlからの反射エコーが立ち上がる位置以前には、上記実験1、2で見られた板厚波及び表面波のエコーは立ち上がっておらず、板厚波及び表面波のエコーは減衰し消滅したものと考えられる。
【0010】これらの実験結果から、中空状コンクリート柱CPの板厚が薄いと、板厚波のエコーが勢力的になり、スリットSlからの反射エコーが埋もれてしまう点、超音波送信器1aと超音波受信器1bを当接配置すると、コンクリート柱CPの表面を伝達する表面波が勢力的になり、スリットSlからの反射エコーが埋もれてしまう点が課題として考えられる。
【0011】本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、中空状コンクリート柱の埋設部に生じた亀裂等の欠陥の有無及びその位置特定を正確にできる中空状コンクリート柱の超音波探傷方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係る請求項1における中空状コンクリート柱の超音波探傷方法は、一端側が埋設された埋設部と他端側に地上部とを有する中空状のコンクリート柱に対し、その地上部表面から超音波を放射し、かつ、反射した超音波の反射エコーを上記地上部表面から受信して上記コンクリート柱の埋設部の探傷を行う中空状コンクリート柱の超音波探傷方法において、超音波発信器からの出射方向及び超音波受信器への入射方向を共に上記埋設部に指向させるとともに、上記超音波発信器と超音波受信器とが所定の離隔距離をもって上記コンクリート柱の地上部表面に配設されることを特徴とする。
【0013】本発明に係る請求項2における中空状コンクリート柱の超音波探傷方法は、上記超音波発信器及び超音波受信器が上記コンクリート柱の一端側から他端側へ向けて、一直線上でかつ超音波発信器、超音波受信器の順に配設されることを特徴とする。
【0014】本発明に係る請求項3における中空状コンクリート柱の超音波探傷方法は、上記超音波発信器及び超音波受信器が上記コンクリート柱の周方向上に配設されることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】以下実施例を示す添付図面によって詳細に説明する。図1は、本発明に係る超音波探傷装置の構成を示すブロック図であり、図2は超音波送信器又は超音波受信器が取付けられた斜角治具を示す斜視図である。
【0016】図1において、被検査対象物となるコンクリート柱CPは断面ドーナツ形状で中空状に形成されおり、その一端側が地中Mに埋設されて鉛直方向に建てられている。上記コンクリート柱CPの埋設部Caには、その表面に外的負荷あるいは経時変化による劣化によって亀裂Kが発生しているものとし、本超音波探傷装置Tを用いた反射法により上記亀裂Kを検出するものである。上記コンクリート柱CPの地上部Cbの表面上には、超音波送信器1aと超音波受信器1bが斜角治具2を介して設置される。上記超音波探傷装置Tには、パルス発生器3、このパルス発生器3から発生されたパルス波を受け、コンクリート柱CPの地上部Cbの表面に斜角治具2を介して超音波を発信する上記超音波送信器1a、コンクリート柱CPの内部からの反射波を斜角治具2を介して受信しこれを電気信号に変換する超音波受信器1b、この超音波受信器1bにより得られた電気信号を増幅する増幅器4、この増幅器4により増幅された電気信号を解析する解析装置5、この解析装置5による解析結果及び上記パルス発生器3により発生されたパルス波を表示する表示装置6、測定開始信号、測定条件等を入力する操作装置7が設けられている。
【0017】上記パルス発生器3には、パルス波を発生させるパルス発生回路3a、このパルス波の発生間隔を変更するパルス間隔変更回路3b及びこれらに接続されパルス波を上記パルス発生器3の外部に送り出すパルス駆動回路3cが設けられている。
【0018】また、上記解析装置5には、入力された電気信号をさらに増幅するアンプ回路5a、増幅された信号にフィルタをかけるフィルタ回路5b、フィルタをかけられた信号を変換するアナログ/デジタルコンバータ(ADC)5c、ゲートアレイ5d及びCPU5eが設けられている。上記ゲートアレイは同一点受信波の加算平均の算出を行うものである。
【0019】さらに、上記CPU5eには、記憶装置(図示せず)が接続されており、この記憶装置内に処理プログラムが記憶されている。また、上記パルス発生器3、アンプ回路5a、フィルタ回路5b及びADC5cは上記CPU5eにより制御される。
【0020】次に図2において、上記超音波送信器1a又は超音波受信器1bは、いずれも斜角治具2に固定されている。この斜角治具2の形状は側面視して底辺の一角を直角とする台形に形成された立方体で、底面2aと斜面2bの成す角度が31度に形成されている。この斜面2bには超音波送信器1a又は超音波受信器1bの外形に対応した円柱状の凹部2cが形成され、この凹部2c内に超音波送信器1a又は超音波受信器1bが挿入固定される。上記底面2aにはコンクリート柱CPの表面に密着させるため、コンクリート柱CPの表面形状に対応した形状に形成される。また、上記斜面2bに対向する垂直面2dは蛇腹形状に形成され、この垂直面2dから反射する超音波の超音波送信器1a又は超音波受信器1bへの入射を防いでいる。したがって、上記斜角治具2の垂直面2d側を超音波の指向方向とし、上記凹部2cに挿入された超音波送信器1a又は超音波受信器1bから底面2aを介してコンクリート柱CPの表面から超音波を送受信することになる。実際には、超音波送信器1a又は超音波受信器1bと凹部2cとの間及び底面2aとコンクリート柱CPの表面との間には、水、油あるいはグリースなどの媒質が塗布される。この斜角治具2を用いることで超音波送信器1a又は超音波受信器1bからコンクリート柱CPの表面への超音波の出入射角度は31度となり、コンクリート柱CPの内部での屈折角は60度となる。
【0021】ここで、上記超音波送信器1aと超音波受信器1bの配置について説明する。図1に示すように、超音波送信器1a及び超音波受信器1bは上記コンクリート柱CPの地上部Cbの表面上に、コンクリート柱CPの軸方向で埋設部Ca側から超音波送信器1a、超音波受信器1bの順に配置される。超音波送信器1a及び超音波受信器1bはいずれも上記斜角治具2の垂直面2dを埋設部Ca側へ配向させて設置し、超音波送信器1aを埋設部Ca近傍に配置するとともに、超音波受信器1bを超音波送信器1aに対しコンクリート柱CPの軸方向で所定の離隔距離をもって配置する。
【0022】ここで、上記コンクリート柱CPの埋設部Caの亀裂Kを検査する動作について説明する。検査員はまず、被検査対象物の名称、板厚、予め測定された超音波の音速値、加算平均回数、超音波送信器1aと超音波受信器1bとの離隔距離、測定範囲等の検査条件を上記操作装置7により入力する。この入力により上記検査条件が上記解析装置5内の記憶装置に記憶される。検査員が操作装置7の任意のキーを押下することで検査が開始される。これにより、超音波送信器1aからコンクリート柱CPの内部に超音波が送信されるとともに、超音波受信器1bにてコンクリートCPの内部から反射された反射波が受信される。この受信された反射波に基づいて上記解析装置5により加算平均処理が行われ、スペクトルグラフ図あるいは時系列を示すグラフ図が上記表示装置6に表示される。
【0023】ここで、実際に図3に示す中空状のコンクリート柱CPを被検査対象物とし、図3のA−A断面図に示すコンクリート柱CPの周方向における4点で測定を行った。被検査対象物としてのコンクリート柱CPの板厚は70mm、本コンクリート柱CPにて測定された音速値は4100m/sec、加算平均回数を1000回、超音波送信器1aを地表Cから0mm、超音波送信器1aと超音波受信器1bとの離隔距離Lを400mmとして測定した。図4に測定結果を示す。図4は、縦軸を経過時間、横軸を反射エコー強さとした時系列グラフで示したもので、左から図3のA−A断面図に示すNo1、No2、No3、No4に相当する。この図4から経過時間202.8μSecの位置でNo1とNo2に強い反射エコーが立ち上がっており、亀裂Kが生じていることが判る。
【0024】この測定結果より超音波送信器1aから亀裂Kまでの距離を求める。図5に示すように、超音波送信器1aと超音波受信器1bとの離隔距離をL(mm)、斜角治具2の斜面2bから底面2aまでの距離をL1(mm)、斜角治具2の底面2aにおける超音波送信器1aからの出射点Sから垂直面2dまでの距離をL2(mm)、斜角治具2の垂直面2dから亀裂Kまでの距離をL3(mm)とし、経過時間をt(μsec)、コンクリート柱内の音速値をVc(km/sec)、斜角治具内の音速値をVs(km/sec)とすると、経過時間tは、下記数式1で示される。
【0025】
【数1】

上記数式1を変換し、L3を求めると、下記数式2で示される。
【0026】
【数2】

【0027】上記数式2に各数値t=202.8、L=400、L1=20、L2=35、Vc=4.1、Vs=2.7を代入して、L3を求めるとL3=150.5が算出される。つまり、上記斜角治具2の垂直面2dから亀裂Kまでの距離が150.5mmであり、地表Cから150.5mmとなる埋設部Caに亀裂Kが発生していると考えられる。本測定終了後、実証確認を行ったところ図3のA−A断面図に示すNo1とNo2との間で、地表Cから約145mmとなる位置に亀裂Kが発生していることが判った。
【0028】上記測定では、超音波送信器1aと超音波受信器1bとをコンクリート柱CPの軸方向に配設したが、周方向へ所定の離隔距離Lをもって配設した場合も可能であり、この場合における地表Cから亀裂Kまでの距離の算出方法を説明する。図6に示すように、亀裂Kが超音波送信器1a及び超音波受信器1bから等距離にあるものとして考える。超音波送信器1aと超音波受信器1bとの離隔距離をL(mm)、斜角治具2の斜面2bから底面2aまでの距離をL1(mm)、斜角治具2の底面2aにおける超音波送信器1aからの出射点Sから垂直面2dまでの距離をL2(mm)、斜角治具2の垂直面2dから亀裂Kまで の距離をL3(mm)、地表Cから亀裂Kまでの距離をL4(mm)とし、経過時間をt(μsec)、コンクリート柱内の音速値をVc(km/sec)、斜角治具内の音速値をVs(km/sec)とすると、経過時間tは、下記数式3で示される。
【0029】
【数3】

上記数式3を変換し、L3を求めると、下記数式4で示される。
【0030】
【数4】

上記数式4により求められるL3を用い、下記数式5より地表Cから亀裂Kまでの距離L4を算出する。
【0031】
【数5】

【0032】上述の実施形態では、上記超音波送信器1a又は超音波受信器1bが固定される斜角治具2を別個に形成したが、超音波送信器1aまたは超音波受信器1bと一体形成してもよい。
【0033】また、超音波の出入射角度を31度に設定したが、コンクリート柱CPの板厚等により適宜変更することが望ましい。
【0034】更に、上記測定では、被検査対象物として板厚が70mmのコンクリート柱CPに対し、超音波送信器1aと超音波受信器1bとの離隔距離Lを400mmとして測定したが、コンクリート柱CPの板厚方向からの板厚波と、コンクリート柱CPの表面を超音波送信器1aから超音波受信器1bへ伝達する表面波との勢力に対し、亀裂Kからの反射エコーが上回る離隔距離Lであれば問題ない。また、コンクリート柱CPの板厚と板厚波及び表面波の減衰率とは、密接に関係していることが考えられ、本発明では、超音波送信器1aと超音波受信器1bとの離隔距離Lをコンクリート柱CPの板厚に対して、少なくとも5倍以上とれば、亀裂Kからの反射エコーを明確に判別できることが判った。
【0035】また、超音波送信器1aから出射される超音波の指向方向を考えると、超音波送信器1a及び超音波受信器1bの配置をコンクリート柱CPの周方向で配列するよりも軸方向の方が、超音波受信器1bが受信する板厚波及び表面波の影響を受け難く、亀裂Kからの反射エコーがより明確に現れる。
【0036】さらに、超音波送信器1a及び超音波受信器1bの配置をコンクリート柱CPの周方向に配列して測定する場合、コンクリート柱CPの表面に何らかの障害物が存在した場合でも、コンクリート柱CPの地表Cからわずかのスペースに超音波送信器1a及び超音波受信器1bを設置でき、測定が可能となる。
【0037】
【発明の効果】本発明による請求項1の中空状コンクリート柱の探傷検査方法によれば、コンクリート柱の埋設部に生じた亀裂等の欠陥の有無及びその位置特定を正確にできる。
【0038】本発明による請求項2の中空状コンクリート柱の探傷検査方法によれば、請求項1の効果に加え、超音波受信器が受信する板厚波及び表面波の影響を受け難く、亀裂からの反射エコーがより明確に現れる。
【0039】本発明による請求項3の中空状コンクリート柱の探傷検査方法によれば、請求項1の効果に加え、コンクリート柱の地表からわずかのスペースに超音波送信器及び超音波受信器を設置でき、測定が可能となる。
【0040】
【出願人】 【識別番号】399029905
【氏名又は名称】関西エックス線株式会社
【識別番号】591149986
【氏名又は名称】株式会社エヌ・ティ・ティ エムイ−中国
【出願日】 平成12年8月31日(2000.8.31)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−71650(P2002−71650A)
【公開日】 平成14年3月12日(2002.3.12)
【出願番号】 特願2000−262893(P2000−262893)