| 【発明の名称】 |
電気泳動方法,電気泳動装置及びキャピラリアレイ |
| 【発明者】 |
【氏名】伊名波 良仁
【氏名】坂井 友幸
【氏名】高橋 智
【氏名】前嶋 宗郎
【氏名】小沢 美穂
【氏名】小島 正也
【氏名】時永 大三
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| 【要約】 |
【課題】複数のキャピラリを用いて、電気泳動により核酸などの試料を分離,分析する方法において、キャピラリ内に発生するジュール熱を外部に引き出すこと。
【解決手段】試料供給部とゲル供給部ならびに検出部とを有し複数のキャピラリから構成されたキャピラリアレイのキャピラリ内に蛍光標識した試料を供給し、気体循環式によりキャピラリアレイの温度を制御しながら該試料を電気泳動によりキャピラリ内を移動、分離し、該キャピラリ同士が接触又は近接しあう領域において、該複数のキャピラリを固体に接触して該キャピラリ内に発生する熱を引き出す電気泳動方法,装置及びそれに用いられるキャピラリアレイ。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】試料供給部,ゲル供給部及び検出部とを有し複数のキャピラリから構成されたキャピラリアレイのキャピラリ内に蛍光標識した試料を供給し、該キャピラリの温度を制御する加熱・冷却手段と該キャピラリアレイとの間に気体流を形成してキャピラリアレイの温度を制御し、該試料を電気泳動によりキャピラリ内を移動させて分離することを特徴とする電気泳動方法。 【請求項2】試料供給部とゲル供給部ならびに検出部とを有し複数のキャピラリから構成されたキャピラリアレイのキャピラリ内検出部とを有し複数のキャピラリから構成されたキャピラリアレイのキャピラリ内に蛍光標識した試料を供給し、加熱・冷却手段から該キャピラリアレイを離し、該キャピラリアレイと該加熱・冷却手段との間に気体流を形成してキャピラリアレイの温度を制御し、該試料を電気泳動によりキャピラリ内を移動させて分離することを特徴とする電気泳動方法。 【請求項3】試料供給部とゲル供給部ならびに検出部とを有し複数のキャピラリから構成されたキャピラリアレイのキャピラリ内に蛍光標識した試料を供給し、該キャピラリアレイと該キャピラリアレイの温度を制御する加熱・冷却手段との間に気体流を形成してキャピラリアレイの温度を制御しながら該試料を電気泳動によりキャピラリ内を移動,分離し、該キャピラリ同士が接触又は近接しあう領域の少なくとも一部において、該複数のキャピラリを固体に接触して、該キャピラリ内に発生する熱を該固体に拡散し、又は該キャピラリを加熱することを特徴とする電気泳動方法。 【請求項4】試料供給部とゲル供給部ならびに検出部とを有し複数のキャピラリから構成されたキャピラリアレイのキャピラリ内に蛍光標識した試料を供給し、加熱・冷却手段と気体流によりキャピラリアレイの温度を制御し、該試料を電気泳動によりキャピラリ内を移動させて分離し、気体流に接するキャピラリアレイを該加熱手段から離間させ、かつ該キャピラリを固体と接触させ、該キャピラリと該加熱手段の間に気体流を形成して、キャピラリの温度制御を行うことを特徴とする電気泳動方法。 【請求項5】試料供給部,ゲル供給部及び検出部を有し、複数のキャピラリを有するキャピラリアレイと、該キャピラリアレイと該キャピラリアレイを加熱・冷却する手段の間に気体流を形成する手段と、該キャピラリアレイ内の試料に電圧を印加する手段とを有することを特徴とする電気泳動装置。 【請求項6】試料供給部,ゲル供給部及び検出部を有し、複数のキャピラリを有するキャピラリアレイと、気体循環式のキャピラリ温度制御手段と、該キャピラリアレイ内の試料に電圧を印加する手段と、該キャピラリ同士が接触又は近接しあう領域の少なくとも一部において、該キャピラリの外周に接触する固体を有することを特徴とする電気泳動装置。 【請求項7】試料供給部,ゲル供給部及び検出部を有し、複数のキャピラリを有するキャピラリアレイと、気体循環式のキャピラリ温度制御手段と、該キャピラリアレイ内の試料に電圧を印加する手段と、該ゲル供給部と該検出部ならびにその近傍のキャピラリの外周に接触する固体を有することを特徴とする電気泳動装置。 【請求項8】試料供給部,ゲル供給部及び検出部を有し、複数のキャピラリを有するキャピラリアレイと、気体循環式のキャピラリ温度制御手段と、該キャピラリアレイ内の試料に電圧を印加する手段と、該キャピラリアレイを該温度制御手段の加熱又は冷却手段から離間して支持する手段とを有することを特徴とする電気泳動装置。 【請求項9】試料供給部,ゲル供給部及び検出部を有し、複数のキャピラリを有するキャピラリアレイと、気体循環式のキャピラリ温度制御手段と、該キャピラリアレイ内の試料に電圧を印加する手段と、該キャピラリアレイを該温度制御手段の加熱又は冷却手段から離間して支持する手段と、該ゲル供給部と該検出部ならびにその近傍のキャピラリの外周に接触する固体を有することを特徴とする電気泳動装置。 【請求項10】複数のキャピラリと、該キャピラリの端部に位置する試料供給端と、検出部と、キャピラリ同士が接触又は近接しあう領域の少なくとも一部において、該キャピラリに接触する固体とを有することを特徴とするキャピラリアレイ。 【請求項11】複数のキャピラリと、該キャピラリの端部に位置する試料供給端と、該キャピラリの他端部に位置するゲル供給部と、それら両部間に位置する検出部と、キャピラリ同士が接触又は近接しあう領域ならびに離間した領域においてキャピラリに接触する固体とを有することを特徴とするキャピラリアレイ。 【請求項12】複数のキャピラリと、該キャピラリの端部に位置する試料供給端と、該キャピラリの他端部に位置するゲル供給部と、それら両部間に位置する検出部と、上記ゲル供給部及び検出部の近傍において、該キャピラリに接触する固体とを有することを特徴とするキャピラリアレイ。 【請求項13】複数のキャピラリと、該キャピラリの端部に位置する試料供給部と、該キャピラリの他端部に位置するゲル供給部と、それら両部間に位置する検出部と、上記検出部の近傍において、該キャピラリに接触する固体とを有することを特徴とするキャピラリアレイ。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、複数のキャピラリ内で電気泳動によって蛍光標識されたDNAなどの試料を分離し、塩基配列などを検出,分析する電気泳動装置,電気泳動方法及びキャピラリアレイに関する。 【0002】 【従来の技術】DNAの塩基配列および塩基長の決定等を目的として、キャピラリを用いた電気泳動法が用いられている。複数のキャピラリを用いたマルチキャピラリ電気泳動方法は、すでに広く知られ、多くの特許明細書等に記載されている。USP5,366,608においてはキャピラリ内の蛍光標識試料からの蛍光検出部のキャピラリ密度を、試料導入部のキャピラリ密度を高くする。USP5,516,409及びUSP5,529,679においては、マルチキャピリをフローセルと組み合わせて、キャピラリから吐出する蛍光標識試料からの蛍光を検出する。USP5,582,705においては,キャピラリアレイの検出部をマウント上に配置して、キャピラリの一部の皮膜を除去してキャピラリアレイに透光部を形成し、その透光部の側方からレーザ光を照射し、蛍光を検出する。USP5,790,727においては、キャピラリアレイの検出部に光ファイバを配置して蛍光を検出する。キャピラリアレイの検出部近傍をV溝アッセンブリに密接している。 【0003】USP4,985,129においてはコイル状に巻かれた1本のキャピラリをハウジング内に設置すること、キャピラリを取り囲む部屋の中に熱放散メンバーを設けることが記載されている。この公知例においては、マルチキャピラリにおける熱集中の問題が考えられていない。 【0004】ガラスキャピラリ中のポリアクリルアミド等のゲルに測定対象であるDNAを含む試料を注入して、キャピラリの両端部に電圧を印加する。試料中のDNA合成物はキャピラリ内を移動し、分子量の大きさ等によって分離されキャピラリ内にDNAバンドを生じる。各DNAバンドには蛍光色素が加えられており、レーザ光の照射によって発色し、これを蛍光計測手段で読み取り、DNAの配列を決定する。ここで、電気泳動におけるDNAの分離能を向上するために、全泳動時間にわたってキャピラリを例えば50℃という、ある一定温度に保つことが重要である。これは、上記一定温度において、ゲル中でのDNAの移動速度が一定になるためである。 【0005】キャピラリ電気泳動装置における、キャピラリの温度制御方式としては、電気泳動装置に設けられた温度制御板にキャピラリを接触させる接触温度調節方式,電気泳動装置に設けられた恒温槽内に温度調節した空気などの気体を循環し、キャピラリを該気体中に設置して、キャピラリの温度を調節する空調方式,電気泳動装置に設けられた水槽内に温度調節した水などの液体を循環し、キャピラリを該液体中に設置して、キャピラリの温度を調節する液体温度調節方式がある。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】ペルチエ素子などの加熱・冷却装置を設けた温度制御板にキャピラリを直接接触させる接触温度調節方式においては、電気泳動時にキャピラリにおいて発生するジュール熱を効果的にキャピラリから取り除くことができるというメリットがある。しかしながら、温度制御板の微妙な温度変化が直接キャピラリに伝達されてしまうため、温度制御板の温度を極めて正確に一定温度に制御する必要性がある。しかし、温度制御のために電源を頻繁にオン,オフするため、温度の変動は避けられなかった。 【0007】液体温度調節方式においては、キャピラリにおいて発生するジュール熱を効果的にキャピラリから取り除くことができるというメリットがある。しかしながら、装置内に液体を循環させる必要があり、装置が複雑かつ高価になる。 【0008】気体循環式たとえば空調方式又は空気循環式においては、電気泳動装置の装置構成が単純であるというメリットがある。また、キャピラリと恒温槽内のヒータ部との間に空気が介在するために、ヒータの温度揺らぎがキャピラリに与える影響が緩和されるというメリットがある。しかしながら、キャピラリから空気への熱伝達が小さいため、キャピラリで発生するジュール熱の放散が不十分である。キャピラリからの熱放散が不十分であれば、電気泳動速度に影響があり、分析結果に悪影響を与える。したがって、本発明の目的は、キャピラリ内に発生する熱を効果的に放散又は引き出すことのできる電気泳動方法,電気泳動装置及びキャピラリアレイを提供することである。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明は、試料供給部とゲル供給部ならびに両部間に位置する検出部とを有し複数のキャピラリから構成されたキャピラリアレイのキャピラリ内に蛍光標識した試料を供給し、該キャピラリアレイとキャピラリアレイの温度を制御する加熱・冷却手段との間に気体流を形成してキャピラリアレイの温度を制御しながら該試料を電気泳動によりキャピラリ内を移動,分離し、該キャピラリ同士が接触又は近接しあう領域の少なくとも一部において、該複数のキャピラリを固体に接触して、該キャピラリ内に発生する熱を該固体に拡散する電気泳動方法を提供する。キャピラリの温度制御は、キャピラリアレイを加熱・冷却する為のペルチエ素子と、キャピラリアレイに気体循環流を与えるファンなどの気体循環手段を備えている。又、上記キャピラリアレイは、上記加熱・冷却手段に直接接触しない様に恒温槽内に配置される。また、恒温槽内にはファンなどが設けられていて、空気を循環してキャピラリ内に発生するジュール熱を制御する。このような恒温槽においては、一般にペルチエ素子などの加熱・冷却手段は、頻繁なスイッチのオン,オフにより、温度が変動している。したがって、熱源/冷却源にキャピラリアレイが直接接触すると、キャピラリアレイの温度が一定せず、電気泳動による分離能に悪影響を与える。本発明では、キャピラリアレイと、加熱・冷却手段の間に循環気体流を形成することにより、加熱・冷却手段からの加熱・冷却エネルギーを気体流を介してキャピラリアレイに伝達する。また、キャピラリアレイと気体流との熱伝達はきわめて劣るので、キャピラリアレイに気体よりも熱伝導性の良い固体を接触し、キャピラリアレイからの熱放散・冷却を促進することによって、キャピラリアレイの温度を精度よく制御することができる。 【0010】キャピラリアレイは試料導入部では間隔が開いており、蛍光検出部では間隔が狭くなっていて、キャピラリ同士が接触するか、ほぼ接触するように配置され、一平面上に並ベられ共通面(coplanar)を形成する。そして、共通面におけるキャピラリの一部の皮膜(ポリイミドなど)が除去されて、外部から照射されるレーザ光がキャピラリ内の蛍光標識試料を照射できるようになっている。共通面の横方向に光透過性の導波部が形成される。この導波部の一方向又は両方向からレーザ光などの光で照射して、キャピラリ内の蛍光標識試料を照射して蛍光を発生させる。したがって、キャピラリの皮膜を除去した部分に、光を照射するオン・カラム照射方式が好ましい。また、本発明は、オンカラム方式に限らず、シースフロー方式,スキャン方式などの他のレーザ照射方式にも適用可能である。この検出部近傍において、該キャピラリの外周を実質的に取り囲むように固体を接触させ、又は必要に応じ光導波路を形成することが望ましい。これにより、キャピラリ内に発生するジュール熱を外部によく引き出すことができる。上記固体は空気よりも熱伝導率の高い物質であることが必要である。また、この固体は熱容量が大きく、キャピラリから熱を該固体に拡散できることが望ましい。固体と加熱・冷却手段との間に気体流を循環させることにより、キャピラリアレイに熱を伝え、又は熱を奪うことができる。 【0011】また、上記キャピラリアレイのゲル供給部,検出部及び検出部近傍を上記固体により取り囲むことができる。これによりキャピラリが密集し、熱が集中しやすい部分の熱を外部に効率よく引き出すことができる。固体でキャピラリを取り囲む場合に、電気泳動の分離能が向上する効果の割合は、検出部の片側におけるキャピラリ密集領域,検出部のもう一方の片側のキャピラリ密集領域、その他の領域がおおむね、40:40:20である。前記3つの領域のうち最初の2つの部分の熱を効率よく放散させることが電気泳動の分離能を向上するために効果的である。さらに、上記固体は金属,高分子材料及び無機材料から選ばれた少なくとも1つを含むことが好ましい。これらの材料は単独でも組み合わせても良い。特に高分子材料にその熱伝導性をよくするために、種々の無機充填材を添加するのがよい。たとえばシリカ,アルミナ,チタニアなどの無機粉末,銅粉末などの金属粉末などがある。 【0012】更に又、上記固体は該キャピラリの外面に接着剤等の樹脂を施すと、キャピラリ外面と樹脂との間の隙間がなくなり、又はきわめて少なくなり、キャピラリからの熱を効率よく引き出すことができる。この樹脂に熱伝導性の高い無機粉末や金属粉末を添加してもよい。 【0013】本発明によれば、加熱手段と気体流によりキャピラリアレイの温度を制御し、該試料を電気泳動によりキャピラリ内を移動させて分離し、気体流に接するキャピラリを該加熱手段から離間させ、該キャピラリと該加熱手段の間に気体流を形成して、キャピラリの温度制御を行うことを特徴とする電気泳動方法が提供される。更に、気体流に接するキャピラリを該加熱・冷却手段から離間させ、かつ該キャピラリを固体と接触させ、該キャピラリと該加熱手段の間に気体流を流して、キャピラリの温度制御を行う電気泳動方法が提供される。 【0014】本発明は更に、試料供給部,ゲル供給部及び検出部を有し、複数のキャピラリを有するキャピラリアレイと、該キャピラリアレイと該キャピラリアレイを加熱・冷却する手段の間に気体流を形成する手段と、該キャピラリアレイ内の試料に電圧を印加する手段とを有することを特徴とする電気泳動装置を提供する。また、気体循環式のキャピラリ温度制御手段と、該キャピラリアレイ内の試料に電圧を印加する手段と、該キャピラリ同士が接触又は近接しあう領域において、該キャピラリの外周に接触する固体を有する電気泳動装置を提供する。更に、該ゲル供給部と該検出部ならびにその近傍のキャピラリの外周に接触する固体を有する電気泳動装置を提供する。更に、試料供給部,ゲル供給部及び検出部を有し、複数のキャピラリを有するキャピラリアレイと、気体循環式のキャピラリ温度制御手段と、該キャピラリアレイ内の試料に電圧を印加する手段と、該キャピラリアレイを該温度制御手段の加熱又は冷却手段から離間して支持する手段とを有する電気泳動装置を提供する。また、本発明は該ゲル供給部と該検出部ならびにその近傍のキャピラリの外周に接触する固体を有する電気泳動装置を提供する。 【0015】上記装置において、上記固体は空気よりも熱伝導率の高い物質である事が望ましく、該キャピラリの外周を実質的に取り囲むように固体を接触させることが望ましい。また、検出部及び検出部近傍を上記固体により取り囲むように配置することが望ましい。また、上記固体は金属,高分子材料及び無機材料から選ばれた少なくとも1つを含むことが望ましい。更に、上記固体は該キャピラリの外面に施された樹脂であることができる。この樹脂はその樹脂よりも熱伝導率の高い無機粉末又は金属粉末を含むことができる。 【0016】本発明は、複数のキャピラリと、該キャピラリの端部に位置する試料供給端と、検出部と、キャピラリ同士が接触又は近接しあう領域の少なくとも一部において、該キャピラリに接触する固体とを有することを特徴とするキャピラリアレイを提供する。更に、複数のキャピラリと、該キャピラリの端部に位置する試料供給端と、検出部と、キャピラリ同士が接触又は近接しあう領域ならびに離間した領域においてキャピラリに接触する固体とを有することを特徴とするキャピラリアレイを提供する。また、本発明は、検出部の近傍のキャピラリの少なくとも1つの部分に接触する固体とを有するキャピラリアレイを提供する。更に又、本発明は、検出部近傍において、該キャピラリに接触する固体とを有することを特徴とするキャピラリアレイを提供する。上記キャピラリにおける固体材料,高分子材料樹脂材料などの説明は上記電気泳動方法や電気泳動装置について説明した事項が適用される。 【0017】キャピラリの全長領域のうち、キャピラリ同士が接触し合う領域においては、キャピラリにおいて発生するジュール熱が放散されにくい状況になっている。この領域のキャピラリを固体と接触することにより、キャピラリにおいて発生するジュール熱を効果的に放散することができる。キャピラリに接触する固体は、空気よりも熱伝導率の高い材質であることが望ましい。銅板又はアルミ板などの金属板を用いてもよい。ただし、金属のみでキャピラリを挟み込む場合には、キャピラリと金属板との接触面積が小さくなり、熱伝達が小さくなる場合があるので、これを避けるために、キャピラリと金属板との間に、弾力性が大きく、かつ、熱伝導性が大きいゴムなどの高分子を挿入することによって、キャピラリとの接触面積を大きくすることができる。また、キャピラリと金属板との間に挿入するゴムとしては、特に熱伝導性が大きくなくても、厚さが薄ければかまわない。もちろん、ゴムに熱伝導率の高い充填材粉末を添加することができる。このような高熱伝導性のゴムはすでに市販されている。また、本発明は、キャピラリの全長領域のうち、キャピラリを上記固体によって挟み込まない領域において、キャピラリ同士の接触を防ぐキャピラリ固定手段を有するキャピラリアレイを提供する。キャピラリ同士の接触を防ぐキャピラリ固定手段を設けることにより、気体循環手段においてキャピラリに接触する気体の体積が増大し、キャピラリにおいて発生するジュール熱を有効に放散することができる。 【0018】また、本発明は、気体循環式のキャピラリ温度制御手段を有する電気泳動装置を用いて使用されるキャピラリアレイにおいて、キャピラリ間の空間が高分子あるいは金属などの固体によって埋められていることを特徴とするキャピラリアレイを提供する。従来の気体循環式のキャピラリ温度制御手段においては、特にキャピラリが密集している領域においては、キャピラリに接触する気体の体積が小さくなるため、熱の放散が不十分となる。このような領域の気体を排除し、固体で生めることによってジュール熱を有効に放散できるようになる。ジュール熱の媒体としては、熱伝導性の大きい金属などが望ましいが、樹脂等を用いても構わない。キャピラリをモールド樹脂等で固めた構成のものであってもよい。また、キャピラリを樹脂等で埋め、その樹脂に金属板を接触させることにより、熱の放散をより効果的にすることができる。熱媒体として金属を用いる場合には、キャピラリ内部と金属との短絡を防ぐ目的で、金属表面とキャピラリの間に絶縁材料を挿む方がよい。 【0019】上記キャピラリアレイは、ペルチエ素子などの加熱・冷却手段を備え、気体循環を行うように空間部を備えた恒温槽内に取り付けられる。空間内には少なくとも1個のファン、好ましくは2個のファンを設置し、キャピラリアレイに気体流を与える。キャピラリアレイは加熱・冷却手段に直接接しないように設置する。加熱・冷却手段又はそれを設置した恒温槽の内壁面から離してキャピラリアレイを設置し、キャピラリアレイと加熱・冷却手段又は上記内壁面との間には気体流を形成する。キャピラリ内に発生したジュール熱を効率よく放出するため、恒温槽内のキャピラリ部分に熱伝導性の良い固体たとえば1mm厚さのアルミ板を接触する。 【0020】キャピラリアレイの検出部近傍はキャピラリが集中し、たとえば恒温槽からの出口付近では、キャピラリ同士が接触するかきわめて近接する。このような部分はジュール熱が集中し、電気泳動速度等に影響を与える。そこで、この部分(検出部近傍)においては、熱伝導性の高い高分子や金属などの固体を接触しあるいは固体でキャピラリアレイを取り囲むように接触して、熱放散を促進する。 【0021】本発明は、気体循環式のキャピラリ温度制御手段を有する電気泳動装置および前記電気泳動装置を用いて使用されるキャピラリアレイにおいて、キャピラリで発生するジュール熱が、直接気体に伝達されるのではなく、キャピラリで発生するジュール熱がキャピラリの表面積よりも大きな表面積を有する固体に熱伝導し、前記固体から気体に熱が伝達される構成を有する電気泳動装置およびキャピラリアレイを提供する。キャピラリから発生する熱をいったん表面積の大きな媒体に熱伝導し、空気との接触面積が大きい上記媒体から空気に熱を放散する構造をとることにより、キャピラリから空気への熱伝達を著しく大きくすることができる。その意味で、本発明は、空調−接触−併用方式ということができる。 【0022】キャピラリに接触させる熱媒体手段は、装置側に付属するものであってもよいし、装置外でキャピラリに取り付け、キャピラリ−熱媒体手段の組合せを形成し、この組合せを装置に取り付けてもよい。また、熱媒体手段はキャピラリに接着剤等で接着されているような、キャピラリアレイの一部分であってもかまわない。キャピラリにおいて、上記熱媒体と接触させる領域は、キャピラリ全体であってもよいし、また、キャピラリの一部分であってもかまわない。特に、キャピラリが密集し、キャピラリ同士が接触し合う検出部付近やキャピラリアレイ端においては単位体積当りの熱発生量が多いため、この領域に熱媒体を取り付けることは効果的である。 【0023】キャピラリにおいて、蛍光検出部と試料導入端の間の領域以外においては、必ずしもDNAのゲル内移動速度を一定に保つ必要はないため、キャピラリを例えば50℃などという高温に保つ必要はない。しかしながら、このような領域においても、ジュール熱の放散が不十分である場合には、泳動の分離能が劣化することがある。したがって、蛍光検出部と試料導入端の間の領域以外においても、キャピラリを熱媒体に接触させることによって分離能を向上させることができる。ただし、この場合においては、前記熱媒体を50℃などの高温に保つ必要はなく、ただ単に、キャピラリを熱媒体に接触させるだけでよい。 【0024】また、蛍光検出部と試料導入端の間の領域内であっても、熱媒体を接触させるのが全キャピラリ長に比べて小さな領域であるならば、熱媒体をキャピラリに接触させるだけでよく、この熱媒体を循環気体によって温度調整する必要はない。したがって、蛍光検出部から、試料導入端(負電極端)に向けてキャピラリが密集している領域に、熱媒体を接触させるだけでもかまわない。この熱媒体を循環気体によって温度調節する必要はない。循環気体によって温度調節しない熱媒体(あるいは熱浴)の条件としては、熱伝導率が大きく、体積が大きく、かつ、熱容量が大きいものが望ましい。 【0025】 【発明の実施の形態】[実施例1]本発明が適用される気体循環式のキャピラリ温度制御手段を有する電気泳動装置を図2に示す。キャピラリアレイ1の一方の端には、負電圧を印加できるように電極(試料導入端)2が形成されている。DNAを注入する際には、負電極2をDNAサンプルを含む溶液に、また、注入したサンプルの電気泳動を行う際には、負電極をバッファ液3に浸して、電圧を印加する。 【0026】キャピラリアレイ1のもう一方の端には、泳動媒体であるゲルをキャピラリに注入する手段であるゲルブロック4への接続部5が形成されている。キャピラリ内部の泳動媒体であるゲルをキャピラリ内に充填する際には、バルブ6を閉じ、シリンジ10を押し込むことによって、シリンジ10内のゲルをキャピラリ1内に注入する。電気泳動をする際には、バルブ6を開放し、バッファ3に浸った負電極2とバッファ12に浸ったアース電極7との間に電圧を印加する。 【0027】キャピラリアレイにおける蛍光検出部8にレーザ光9を照射し、検出部8から発せられる蛍光を観測することにより、DNAを検出する。キャピラリはポリマ薄膜で覆われているが、検出部においては、ポリマ被膜が除去され、石英がむき出しの状態になっている。図3に検出部付近の正面図(図3a)と上面図(図3b)を示す。キャピラリアレイ1の検出部はアレイ台15上に形成されている。このアレイ台15は、アレイホルダ13とホルダふた16によって電気泳動装置に固定される。蛍光検出窓17から蛍光が検出される。 【0028】検出部と恒温槽の壁14は接している。また、ゲルブロックへの接続端5は、止め具14によって、ゲルブロックに固定されている。泳動の際には、気体循環式の恒温槽11によって、キャピラリ1を一定温度に保っている。恒温槽11内の空気はファン38,39によって循環され、キャピラリアレイの熱を放散させる。 【0029】ここでは、いわゆるサイズマーカーと呼ばれる、塩基長が既知のDNAサンプルを測定対象とした。恒温槽内の温度を60℃,検出部と試料導入端の間の長さを36cm、キャピラリに印加する電圧を、1cmあたり319Vとした。電気泳動装置のDNA分離能を示す標識の一つにクロスオーバーポイント(COP)がある。これは、検出部における1塩基相当の分離長と、1塩基のDNAバンドの半値全幅が等しくなる塩基長を意味し、値が大きいほど電気泳動の分離能が大きいことを表す。 【0030】本発明の実施例1の電気泳動装置(検出器周辺部分のみ表示)およびキャピラリアレイを図1a(正面図),1b(上面図)に示す。ゲルブロック接続端と検出部の間の領域、および、検出部から恒温槽の壁にかけての5cm領域においては、キャピラリが互いに接しあう密集状態になっている。この領域において、無機粉末を充填した熱伝導性ラバーシート18を介してアルミ製のアレイホルダ13とホルダふた16によってキャピラリを挟み込む構造をとっている。 【0031】このような構造の電気泳動装置およびキャピラリアレイを使用した場合のCOPは、330塩基であった。本発明により、ラバーシート及びアルミ製キャピラリホルダを使用しないときのCOPに比べ、約80塩基の分離能向上を達成することができた。 【0032】本実施例においては、蛍光検出部と負電極端(試料導入端)の間の領域内において、ただ単に熱媒体をキャピラリに接触させているだけであって、キャピラリの温度制御を行っていない。蛍光検出部と試料導入端の間の領域内において、温度調節しない熱媒体に対してキャピラリを接触させる長さ(5cm)の、蛍光検出部−試料導入端間の長さ(36cm)に対する割合が小さいので、蛍光検出部と試料導入端の間の領域において温度調節しない熱媒体をキャピラリに接触させても、電気泳動の分離能に与える影響が無視できる程度に小さいと推測される。 [実施例2]実施例2の該略図を図4a,図4b,図4cに示す。実施例1と同様の構成において、恒温槽内でキャピラリ21同士が互いに接触することを避けるため、キャピラリアレイ1がキャピラリ保持手段22をもち、また、恒温槽1内の壁24には、この保持手段22を固定する設置手段20を設けた。この保持手段22を図4aに示すように、恒温槽内に3個所設けた。図4bに示すように、このキャピラリアレイ保持手段22および設置手段20により、キャピラリ同士が接触すること、および、キャピラリと恒温槽の内壁が接触することを防ぐことができる。図4cは、恒温槽の壁,保持手段,設置手段の詳細図である。以上の方法により、気体循環型の恒温槽において、キャピラリに接触する気体の体積が増大し、キャピラリにおいて発生するジュール熱を有効に放散することができる。 【0033】このような構造の電気泳動装置およびキャピラリアレイを使用した場合のCOPは、340塩基であった。本実施例により、キャピラリアレイに複数の保持手段22と複数個保持手段を設けた場合には、設けない場合に比べ、約90塩基の分離能向上を達成することができた。 [実施例3]実施例3のキャピラリアレイの該略図を図5a(正面図),図5b(aにおける破線部での断面図)に示す。キャピラリアレイ1がアルミ板31にエポキシ系の接着剤34によって固定されている。なお、キャピラリ内部とアルミ板31表面との間の絶縁を確保するために、アルミ板上には厚さ25μmのポリイミドシート33が接着されている。このゼツエンシート33は、接着剤自身が必要な耐圧を持っていれば、不要である。 【0034】検出部8とゲルブロック接続端5の間の領域についても、キャピラリをエポキシ系接着剤を用いてアルミ板31上に固定した。このアルミ板付きキャピラリアレイを固定具32によって、ペルチエ素子30などの加熱・冷却装置30及びファン38,39を備えた恒温槽11の空間a内に固定した。このキャピラリアレイを用いて、比較例1と同様の測定を行った結果、COP値は360塩基であった。本実施例により、キャピラリ全体及びゲル供給部5近傍の熱放散性対策をしない場合に比べて、100塩基以上の分離能の向上を達成することができた。 [実施例4]実施例4のキャピラリアレイを図6に示す。実施例3と異なる点は、アルミ板をキャピラリ全体ではなく、検出部8近傍及び負電極側(試料導入側)に向けてキャピラリが密集状態になっている長さ5cmの領域にアルミ板A40をエポキシ系接着剤によって固定し、検出部8からゲルブロック接続端5の領域のキャピラリにおいて、アルミ板B41をエポキシ系接着剤によって固定したことである。アルミ板A40およびアルミ板B41の両方を取り付けた場合のCOP値は340塩基であった。本実施例により、キャピラリアレイの放熱対策をしない場合に比べて、約90塩基の分離能の向上を達成することができた。 【0035】また、アルミ板B41のみを取り付けた場合には、COP値は300塩基であった。この場合は、放熱対策をしない場合に比べて、約50塩基の分離能の向上を達成することができた。 [実施例5]実施例5の電気泳動装置(恒温槽部分11のみ表示)およびキャピラリアレイを図7a(正面図),図7b(断面図)に示す。キャピラリアレイ1を接着剤等によってアルミ板50に取り付けるのではなく、キャピラリを熱伝導性ラバーシート53を介してふたアルミ板51によってネジ52を用いて挟み込む構造になっている。熱伝導ラバーシートおよびアルミ板は電気泳動装置の一部分である。このような構造の電気泳動装置およびキャピラリアレイを使用した場合のCOPは、340塩基であった。本実施例により、キャピラリアレイの熱放散対策をしない場合に比べて、約100塩基の分離能向上を達成することができた。 【0036】 【発明の効果】本発明によれば、キャピラリで発生した熱が効率よく除去できるので、キャピラリ間の検出誤差が小さくなり、電気泳動効率が向上する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005108 【氏名又は名称】株式会社日立製作所
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| 【出願日】 |
平成12年8月25日(2000.8.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075096 【弁理士】 【氏名又は名称】作田 康夫
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| 【公開番号】 |
特開2002−71642(P2002−71642A) |
| 【公開日】 |
平成14年3月12日(2002.3.12) |
| 【出願番号】 |
特願2000−260851(P2000−260851) |
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