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【発明の名称】 ガス濃度検出装置
【発明者】 【氏名】羽田 聡

【氏名】黒川 英一

【氏名】川瀬 友生

【氏名】鈴木 敏行

【氏名】長谷田 哲志

【要約】 【課題】ノイズによる影響を削減し、ひいてはガス濃度の誤検出を防止する。

【解決手段】ガス濃度センサ100は、排ガス中のNOx濃度、HC濃度又はCO濃度の少なくとも一つの濃度である特定ガス成分の濃度を検出する。ガス濃度センサ100の検出信号はセンサ制御回路M10に入力され、該制御回路M10はセンサ検出信号から酸素濃度出力とNOx濃度出力とを算出すると共に、ガス濃度センサ100の素子インピーダンスを検出する。ヒータ制御回路M20はヒータ103の通電を制御する。センサ制御回路M10とヒータ制御回路M20とはマイクロコンピュータにて構成され、外部装置との接続用のコネクタ300に収容されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】被検出ガス中のNOx濃度、HC濃度又はCO濃度の少なくとも一つの濃度である特定ガス成分の濃度を検出するガス濃度センサと、該ガス濃度センサからのガス濃度信号を出力するマイクロコンピュータとを備え、外部装置との接続用のコネクタに前記マイクロコンピュータが収容されていることを特徴とするガス濃度検出装置。
【請求項2】前記マイクロコンピュータは、ガス濃度センサのセンサ素子部についてそのインピーダンスを検出するインピーダンス検出回路と、センサ内蔵のヒータの通電を制御するヒータ制御回路とを構成するものである請求項1に記載のガス濃度検出装置。
【請求項3】前記マイクロコンピュータは、シリアル通信によって外部装置に対して信号出力を行う請求項1又は2に記載のガス濃度検出装置。
【請求項4】前記ガス濃度センサは、被検出ガス中の酸素を排出するポンプセルと、該ポンプセルにて排出されなかった残留酸素とNOx、HC又はCOの少なくとも一つの濃度とを検出するセンサセルとを有し、前記マイクロコンピュータは、前記ポンプセルの電流を検出し、該検出したポンプセル電流に対応する目標印加電圧を求めてポンプセルの印加電圧を制御する請求項1〜3の何れかに記載のガス濃度検出装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被検出ガス中の特定ガス成分の濃度を検出するガス濃度センサを備えるガス濃度検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、例えば車両用エンジンから排出される排ガス中の窒素酸化物(NOx)の濃度を検出可能な、いわゆるNOxセンサが提案され、実用化されつつある。同NOxセンサとして酸素濃度とNOx濃度とを同時に検出可能なセンサでは、排ガス中の酸素を分解して酸素濃度を検出するためのポンプセルと、酸素分解後に同排ガス中のNOxを分解してNOx濃度を検出するためのセンサセルとを有する。この場合、酸素濃度又はNOx濃度の検出に際し所定の電圧が各セルに印加されると、その電圧印加に伴い酸素濃度又はNOx濃度に応じた電流が各セルに流れ、その電流信号がセンサから出力される。そして、各セルの検出信号は信号処理回路にて電圧信号に変換された後、制御装置(エンジン制御ECU等)に出力される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記NOxセンサの場合、センサセル電流(NOx濃度に応じたセンサ信号)が微弱であることから当該センサ信号がノイズ等の影響を受け易く、NOx濃度が誤検出されるおそれがある。一般に、NOx濃度が0〜2000ppmである場合、センサの電流出力は5〜10μAと非常に微小である。従って、例えば車両用エンジンに適用されるガス濃度検出装置では他の電気機器の影響により、ガス濃度センサから制御装置(ECU等)に到達する間にセンサ信号にノイズが重畳し、当該センサ信号が誤検出されるという問題が生ずる。
【0004】本発明は、上記問題に着目してなされたものであって、その目的とするところは、ノイズによる影響を削減し、ひいてはガス濃度の誤検出を防止することができるガス濃度検出装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、被検出ガス中のNOx濃度、HC濃度又はCO濃度の少なくとも一つの濃度である特定ガス成分の濃度を検出するガス濃度センサと、該ガス濃度センサからのガス濃度信号を出力するマイクロコンピュータとを備え、外部装置との接続用のコネクタに前記マイクロコンピュータが収容されている。
【0006】上記構成によれば、センサ信号が微弱であってもノイズの影響を受けにくくすることが可能となる。その結果、ノイズによる影響を削減し、ひいてはガス濃度の誤検出を防止して精度の良いガス濃度検出を実施することができる。
【0007】請求項2に記載の発明では、前記マイクロコンピュータは、ガス濃度センサのセンサ素子部についてそのインピーダンスを検出するインピーダンス検出回路と、センサ内蔵のヒータの通電を制御するヒータ制御回路とを構成する。この場合、既述の効果に加え、ノイズの影響を排除しつつ、インピーダンスの検出精度が確保できると共にヒータ制御性の向上を図ることができ、更にはセンサ出力精度が向上する。
【0008】また、請求項3に記載したように、前記マイクロコンピュータは、シリアル通信によって外部装置に対して信号出力を行うと良い。請求項4に記載の発明では、前記ガス濃度センサは、被検出ガス中の酸素を排出するポンプセルと、該ポンプセルにて排出されなかった残留酸素とNOx、HC又はCOの少なくとも一つの濃度とを検出するセンサセルとを有する。そして、前記マイクロコンピュータは、前記ポンプセルの電流を検出し、該検出したポンプセル電流に対応する目標印加電圧を求めてポンプセルの印加電圧を制御する。これにより、排ガス中の酸素濃度に関係なく、常に所望のセンサ電流(限界電流)が検出可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明のガス濃度検出装置を車両用エンジンの制御システムに具体化した一実施の形態を図面に従って説明する。本実施の形態におけるエンジン制御システムでは、排ガス中の酸素濃度とNOx濃度とを同時に検出可能な、いわゆる複合型ガスセンサとしてのガス濃度センサが機関排気管に配設され、同ガス濃度センサの検出結果を基に空燃比フィードバック(F/B)制御や、排気浄化触媒の診断処理等が実施される。
【0010】図1は、本実施の形態におけるエンジン制御システムの概要を示す構成図である。図1において、エンジン10は多気筒4サイクル内燃機関として構成されている。吸気管11には、エンジン10の各気筒に対して燃料を噴射供給するためのインジェクタ12が配設されている。また、排気管13にはガス濃度センサ100が配設されており、同センサ100は排ガス中の酸素濃度又はNOx濃度に応じた検出信号を出力する。
【0011】ここで、2セル構造を有するガス濃度センサ100の構成を図3を用いて説明する。ガス濃度センサ100は、ポンプセル(第1セル)110、センサセル(第2セル)120、多孔質拡散層101、大気ダクト102及びヒータ103を要件とし、これら各部材が積層されて成る。なお、同センサ100は図の右端部にてエンジン排気管13に取り付けられ、その上下面及び左面が排ガスに晒されるようになっている。
【0012】より詳細には、ポンプセル110は多孔質拡散層101と排ガス空間との間に設置される。ポンプセル110の排ガス側(図の上側)にはポンプ第1電極111が設置され、多孔質拡散層101側(図の下側)にはポンプ第2電極112が設置される。また、センサセル120は多孔質拡散層101と大気ダクト102との間に設置される。センサセル120の多孔質拡散層101側(図の上側)にはセンサ第1電極121が設置され、大気ダクト102側(図の下側)にはセンサ第2電極122が設置される。多孔質拡散層101には図の左側から排ガスが導入されて図の右方へと流通する。
【0013】ポンプセル110及びセンサセル120は積層して形成された固体電解質を有し、これら固体電解質はZrO2 、HfO2 、ThO2 、Bi2 O3 等にCaO、MgO、Y2 O3 、Yb2 O3 等を安定剤として固溶させた酸素イオン伝導性酸化物焼成体からなる。また、多孔質拡散層101は、アルミナ、マグネシャ、ケイ石質、スピネル、ムライト等の耐熱性無機物質からなる。
【0014】ポンプセル110の排ガス側のポンプ第1電極111と、センサセル120のセンサ第1,第2電極121,122とは、白金Pt等の触媒活性の高い貴金属からなる。一方、ポンプセル110の多孔質拡散層101側のポンプ第2電極112は、NOxガスに不活性な(NOxガスを分解し難い)Au−Pt等の貴金属からなる。
【0015】ヒータ103は絶縁層104に埋設され、この絶縁層104とセンサセル120との間に大気ダクト102が構成される。基準ガス室を構成する大気ダクト102には外部から大気が導入され、その大気は酸素濃度の基準となる基準ガスとして用いられる。絶縁層104はアルミナ等にて形成され、ヒータ103は白金とアルミナ等のサーメットにて形成される。ヒータ103はポンプセル110やセンサセル120を含めセンサ全体(電極含む)を活性状態にすべく、外部からの給電により熱エネルギを発生させる。
【0016】上記構成のガス濃度センサ100についてその動作を図4を用いて説明する。図4(a)に示されるように、多孔質拡散層101には図の左側から排ガス成分が導入され、その排ガスがポンプセル近傍を通過する際、ポンプセル110に電圧を印加することで分解反応が起こる。なお、排ガス中には酸素(O2 )、窒素酸化物(NOx)、二酸化炭素(CO2 )、水(H2 O)等のガス成分が含まれる。
【0017】既述の通りポンプセル110のポンプ第2電極112はNOx不活性電極(NOxガスを分解し難い電極)で形成されている。従って、図4(b)に示されるように、排ガス中の酸素(O2 )のみがポンプセル110で分解され、ポンプ第1電極111から排ガス中に排出される。このとき、ポンプセル110に流れた電流が排ガス中に含まれる酸素濃度として検出される。
【0018】また、排ガス中の酸素(O2 )はポンプセル110で完全に分解されず、その一部はそのままセンサセル近傍まで流通する。そして、図4(c)に示されるように、センサセル120に電圧を印加することにより、残留酸素(O2 )とNOxとが分解される。つまり、残留酸素(O2 )とNOxとがそれぞれセンサセル120のセンサ第1電極121で分解され、センサセル120を介してセンサ第2電極122から大気ダクト102の大気中に排出される。このとき、センサセル120に流れた電流が排ガス中に含まれるNOx濃度として検出される。
【0019】次に、酸素濃度を検出するためのポンプセル110の特性と、NOx濃度を検出するためのセンサセル120の特性とについて、図5及び図6を用いて説明する。先ずは、ポンプセル特性を図5を用いて説明する。
【0020】図5のV−I特性図に示されるように、ポンプセルは酸素濃度に対して限界電流特性を有する。同図において、限界電流検出域はV軸に対して平行な直線部分からなり、その領域は酸素濃度が濃いほど正電圧側にシフトする。
【0021】ここで、酸素濃度が変化する際に印加電圧が一定値に固定されていると、上記限界電流検出域(V軸に平行な直線部分)を用いた正確な酸素濃度検出を行うことができない。またこれは、ポンプセル110で十分量の酸素を排出することができないことにもなり、センサセル120での残留酸素が増加し、NOx濃度を検出するための電流にも大きな誤差を生じる。そこで、ポンプセルの直流抵抗成分(印加電圧増加に伴い増加する傾き部分)の角度と同等の電圧、すなわち図5の印加電圧線LX1に示すような電圧を印加する制御を行い、排ガス中の酸素濃度に関係なく常に所望のセンサ電流(限界電流)を検出可能とする。
【0022】次に、センサセル特性を図6を用いて説明する。図6のV−I特性図に示されるように、センサセルはNOx濃度に対して限界電流特性を有する。同図において、A1部分では多孔質拡散層101を通じてセンサセル120に流れ込む残留酸素によりオフセット分の電流(オフセット電流)が流れ、A2部分ではNOxの分解電流が流れる(図では1000ppmの場合を示す)。また、「A1+A2」以上の電流、すなわち図の右端の電流が大きくなる部分(NOx濃度が1000ppmの時、A3部分)ではH2 Oの分解電流が流れる。このとき、排ガス中のNOx濃度に対応する限界電流は「A1+A2」の電流値で検出される。NOx分解電流を規定する限界電流検出域はV軸に対して平行な直線部分からなり、その領域はNOx濃度が濃いほど僅かながら正電圧側にシフトする。NOx濃度を検出する際、図6の印加電圧線LX2に沿って印加電圧を制御することで、排ガス中のNOx濃度に関係なく常に所望のセンサ電流(限界電流)が検出可能となる。
【0023】一方、図1において、電子制御ユニット(以下、ECUという)20は、ガス濃度センサ100やその他図示しないセンサ群から各種エンジン運転情報(エンジン回転数、吸気圧、水温、スロットル開度など)を取り込み、これらのセンサ検出結果に基づいてインジェクタ12による燃料噴射量や点火装置15による点火時期を最適に制御する。また、同ECU20にはセンサ制御回路M10から送信される酸素濃度信号(A/F信号)やNOx濃度信号が入力される。
【0024】センサ制御回路M10は、排ガス中の酸素濃度に応じて検出される電流信号とNOx濃度に応じて検出される電流信号とをガス濃度センサ100から各々入力し、これら電流信号により酸素濃度出力とNOx濃度出力とを算出してECU20に出力する。また、同制御回路M10は、ガス濃度センサ100の活性状態を表す素子温情報(素子抵抗情報)も併せて検出し、該検出した情報もECU20に出力する。
【0025】ヒータ制御回路M20は、ガス濃度センサ100を活性状態に維持すべく、その時々の素子温情報(又は素子抵抗情報)に基づいてヒータ103の通電を制御する。但しセンサ制御回路M10やヒータ制御回路M20の詳細な構成については後述する。
【0026】ここで、符号300で示す一点鎖線枠は外部装置との接続用のコネクタであり、センサ制御回路M10とヒータ制御回路M20とがコネクタ300内に内蔵されることを示す。また、ガス濃度センサ100とコネクタ300内のセンサ制御回路M10とは信号線H1により電気的に接続され、ヒータ103とコネクタ300内のヒータ制御回路M20とは信号線H2により電気的に接続される。
【0027】図11は、ガス濃度センサ100とコネクタ300との外観を示す斜視図である。同図において、ガス濃度センサ100は、前記ポンプセル110、センサセル120、ヒータ103等を一体化した素子部150を有し、その素子部150の周囲には多数の小孔が形成されたカバー160が配設される。コネクタ300はケース310と接続部320とを有し、ケース310内には前記センサ制御回路M10とヒータ制御回路M20とを構成するための電気回路が設けられる。
【0028】また、図2のブロック図に示されるように、センサ制御回路M10は、酸素濃度検出回路M11とNOx濃度検出回路M12と素子インピーダンス検出回路M13とを備える。本実施の形態では、酸素濃度検出回路M11及びNOx濃度検出回路M12が請求項記載の信号処理回路に相当する。
【0029】酸素濃度検出回路M11は、ガス濃度センサ100のポンプセル電極に接続され、排ガス中の酸素濃度に応じてポンプセル110に流れる電流値を検出取り込んで該電流値を電圧信号に変換し、その後当該信号を外部装置に出力する。また、同検出回路M11は、その時々のポンプセル電流に応じてポンプセル印加電圧を可変に設定することで、同印加電圧を制御する。NOx濃度検出回路M12は、ガス濃度センサ100のセンサセル電極に接続され、排ガス中のNOx濃度に応じてセンサセル120に流れる電流値を検出取り込んで該電流値を電圧信号に変換し、その後当該信号を外部装置に出力する。また、同検出回路M12は、その時々のセンサセル電流に応じてセンサセル印加電圧を可変に設定することで、同印加電圧を制御する。
【0030】素子インピーダンス検出回路M13は、例えば掃引法を用いてセンサセル120(又はポンプセル110)のインピーダンスを検出し、該検出したインピーダンス情報をヒータ制御回路M20等に出力する。
【0031】ヒータ制御回路M20は、素子インピーダンス検出回路M13より出力されたインピーダンス情報に応じてヒータ103の通電を制御する。なお、本案で実用化できるヒータ制御の具体的内容については、例えば本願出願人による特願平10−275521号、或いは特開平8−278279号公報等に詳細にに開示されている。
【0032】前記図1及び図2についてより具体的な構成を図7に示す。図7の装置において制御回路200は、CPU及びA/D,D/Aコンバータを備えるマイクロコンピュータで構成され、各A/Dコンバータ(A/D0〜A/D3)には図の各端子Vc,Ve,Vd,Vbの電圧が各々入力される。また、D/Aコンバータ(D/A1,D/A0)からはポンプ指令電圧Vb,センサ指令電圧Vcが各々出力され、D/Aコンバータ(D/A2,D/A3)からはNOx濃度信号,酸素濃度信号が各々出力される。
【0033】制御回路200のD/A1から出力される指令電圧Vbは、増幅回路211の非反転入力端子に入力される。増幅回路211の出力端子は、酸素濃度に応じて流れるポンプセル電流Ipを検出するための電流検出抵抗212の一端に接続され、電流検出抵抗212の他端はガス濃度センサ100のポンプ第1電極111に接続されると共に増幅回路211の反転入力端子に接続される。これにより、ポンプ第1電極111の電圧は常に指令電圧Vbと同じ電圧になるよう制御される。電流検出抵抗212の両端子は制御回路200のA/D2,A/D3に各々接続される。
【0034】従って、制御回路200のD/A1からの指令電圧Vbがポンプセル110に印加されると、電流検出抵抗212の両端子電圧Vd,Vbの差及び電流検出抵抗212の抵抗値R1によりポンプセル電流Ip(酸素濃度)は、Ip=(Vd−Vb)/R1として算出される。なお、制御回路200と増幅回路211と電流検出抵抗212とから前記図2の酸素濃度検出回路M11が構成される。
【0035】一方、制御回路200のD/A0から出力される指令電圧Vcは、LPF(ローパスフィルタ)230を介して増幅回路221の非反転入力端子に入力される。LPF230は例えば抵抗及びコンデンサからなる一次フィルタでよい。増幅回路221の出力端子は、NOx濃度に応じて流れるセンサセル電流Isを検出するための電流検出抵抗222の一端に接続され、電流検出抵抗222の他端はガス濃度センサ100のセンサ第2電極122に接続されると共に増幅回路221の反転入力端子に接続される。これにより、センサ第2電極122の電圧は常に指令電圧Vcと同じ電圧になるよう制御される。電流検出抵抗222の両端子は制御回路200のA/D0,A/D1に各々接続される。
【0036】従って、制御回路200のD/A0からの指令電圧Vcがセンサセル120に印加されると、電流検出抵抗222の両端子電圧Ve,Vcの差及び電流検出抵抗222の抵抗値R2によりセンサセル電流Is(NOx濃度)は、Is=(Ve−Vc)/R2として算出される。なお、制御回路200と増幅回路221と電流検出抵抗222とから前記図2のNOx濃度検出回路M12が構成される。
【0037】また、制御回路200は、掃引法を用いてセンサセル120の交流インピーダンスを検出する。つまり、センサセル120のインピーダンス検出時において、制御回路200は、D/A0にてセンサセル印加電圧を瞬間的に変化させる。この印加電圧はLPF230により正弦波的になまされつつセンサセル120に印加される。交流電圧の周波数は10KHz以上が望ましく、LPF230の時定数は5μs程度で設定される。そして、電流検出抵抗222の両端子電圧Ve,Vcの変化がA/D1,A/D0で読み取られ、その時の電圧変化量と電流変化量とからセンサセル120の交流インピーダンスが算出される。インピーダンス検出値は、シリアル通信等により出力される。なお、制御回路200と増幅回路221と電流検出抵抗222とから前記図2の素子インピーダンス検出回路M13が構成される。
【0038】また、制御回路200は、デューティ比信号である制御指令値をI/Oポートから出力してMOSFETドライバ300を駆動する。このとき、MOSFET310により電源320(例えばバッテリ電源)からヒータ103へ供給される電力がPWM制御される。なお、制御回路200とMOSFETドライバ300とMOSFET310とから前記図2のヒータ制御回路M20が構成される。
【0039】次に、制御回路200内のCPUにより実行される印加電圧制御を図8に示すフローチャートに従い説明する。図8の処理は、図示しないメインルーチンの途中にて実施される印加電圧制御サブルーチンである。
【0040】図8において、先ずステップ101,102では、前記図7の電流検出抵抗212の両端子電圧Vd,VbをそれぞれA/D2,A/D3により読み取る。次に、ステップ103,104では、前記図7の電流検出抵抗222の両端子電圧Ve,VcをそれぞれA/D1,A/D0により読み取る。
【0041】ステップ105ではポンプセル電流Ipを算出し、続くステップ106では、図5に示した印加電圧線LX1を用い、前記算出したポンプセル電流Ipに対応する目標印加電圧を求める(マップ演算する)。さらにステップ107では、前記求めた目標印加電圧を指令電圧VbとしてD/A1から出力する。次に、ステップ108ではセンサセル電流Isを算出し、続くステップ109では、図6に示した印加電圧線LX2を用い、前記算出したセンサセル電流Isに対応する目標印加電圧を求める(マップ演算する)。さらにステップ110では、前記求めた目標印加電圧を指令電圧VcとしてD/A0から出力する。
【0042】その後、ステップ111では、前記算出したセンサセル電流IsをNOx濃度電流としてD/A2からECU等、外部装置に出力する。最後にステップ112では、前記算出したポンプセル電流Ipを酸素濃度電流としてD/A3からECU等、外部装置に出力する。ステップ111,112でガス濃度信号を出力する際、シリアル通信を介して出力してもよい。
【0043】次に、インピーダンス検出手順を図9のフローチャートに従い説明する。このインピーダンス検出処理も印加電圧制御と同様、制御回路200内のCPUにより実施される。図9には、図示しないメインルーチンの途中にて実施されるインピーダンス検出サブルーチンを示す。なお、インピーダンス検出の周期は、エンジン始動時には128ms、定常運転時には256msというように可変に設定される。
【0044】図9において、先ずステップ201,202では、電圧変化前の電流検出抵抗222の両端子電圧Ve,VcをA/Dコンバータにより読み取る(この電圧値をVe1,Vc1とする)。その後、ステップ203では、現在のセンサセル印加電圧Vsに対し所定の交流電圧ΔVsを加算した電圧(Vs+ΔVs)をD/A0から出力する。このとき、図10に示されるように、LPF230の時定数に合わせ正弦波的に印加電圧(Vc,Ve端子電圧)が変化する。
【0045】さらにその後、ステップ204,205では、電圧変化後の電流検出抵抗222の両端子電圧Ve,VcをA/Dコンバータにより読み取る(この電圧値をVe2,Vc2とする)。Ve2,Vc2のA/D読み取りは、電圧変化から25μs程度だけ後に行えばよい。
【0046】ステップ206では、センサセル120のインピーダンスZacを下式を用いて算出する。
Zac=(Vc2−Vc1)/{(Ve2−Vc2)−(Ve1−Vc1)}
最後に、ステップ207では、印加電圧を元の電圧値Vsに戻すためのΔVs2をD/A0から出力し、センサセル120に印加する。
【0047】以上の通り、酸素濃度やNOx濃度の検出に際し、ガス濃度センサ100への印加電圧が制御されると共に、その電圧印加に伴って流れる電流値(ポンプセル電流Ip、センサセル電流Is)が検出される。また、インピーダンス検出時にも、電圧印加に伴って流れる電流値(センサセル電流Is)が検出される。かかる場合、ガス濃度センサ100の電流信号が微弱であることから、当該信号がノイズの影響を受け易く、ガス濃度の検出精度が悪化する原因となる。特に図6からも分かるように、センサセル電流は、NOx濃度=2000rpmでも10μA程度しか電流が流れず、ノイズ対策が必須となる。
【0048】そこで本実施の形態ではノイズの影響を軽減すべく、図1に示す構成においてガス濃度センサ100とセンサ制御回路M10とを結ぶ信号線H1の長さ、並びにヒータ103とヒータ制御回路M20とを結ぶ信号線H2の長さを規定する。つまり、信号線の長さ(センサからの配線長さ)とセンサ信号レベルとの関係は図12になると考えられ、この関係に従い配線長さを規定する。
【0049】具体的には、排ガス中の酸素濃度を検出するコップ型或いは積層型A/Fセンサに比べ、本実施の形態の如くNOx濃度を検出するガス濃度センサ(NOxセンサ)の場合、配線長さを比較的短くすることが要求される。つまり、前記信号線H1,H2の長さを短くし、ノイズの影響を受けにくくする。
【0050】またこの場合、ガス濃度検出装置が車両に搭載された状態では、その搭載状態でガス濃度センサ100とコネクタ300との距離をセンサ信号が微弱であるほど短くするとよい。
【0051】一方、ガス濃度センサ100の素子部はセラミックで作られており、製造時におけるセンサ個々の特性バラツキが大きく、製造時の歩留まりが悪い。すなわち製造条件の僅かな変化によりセンサ出力特性やインピーダンスがばらつき、これらが規格外となるものは廃棄処分としなければならず生産歩留まりが大きく低下する原因となる。ここで言う特性バラツキとは、例えば検出ガス濃度に対するセンサ信号の出力特性バラツキ、センサの直流特性バラツキ、交流特性バラツキなどがある。例えば図13に示されるように、二点鎖線の理想特性に対して実線の実出力の如く出力特性が変動する場合、検出誤差が生ずる。
【0052】また、ガス濃度センサ100を早期活性させるためにヒータ103の抵抗値を小さくしていることから、車両毎の配線抵抗が相違すると、ヒータ制御性にバラツキが生じ、ヒータ制御に異常を来すという問題が生ずる。つまり、ヒータの加熱性能が低下したり、ヒータの電力検出に誤差が発生する。従って、素子の活性遅れや過昇温を招く。
【0053】これらの問題に対して本実施の形態では、センサ個々の特性バラツキを調整又は補正するための機能を前記図2の検出回路M11〜M13に持たせると共に、配線抵抗による誤差分を調整又は補正するための機能をヒータ制御回路M20に持たせることを考える。
【0054】調整/補正機能としては、例えば各回路のゲイン調整やオフセット調整を可能としたもので、センサの出荷時にセンサ毎に調整を行う。調整の方法としては、・調整部品を取り付ける。
・薄膜抵抗体を薄膜トリミングで合わせ込む。
・ICチップ上の抵抗をON・CHIPトリミングで合わせ込む。
等の方法がある。
【0055】例えば図14に示されるように、酸素濃度検出回路M11の出力側に調整/補正回路M31を設けると共に、NOx濃度検出回路M12の出力側に調整/補正回路M32を設ける。調整/補正回路M31,M32には調整部品としての抵抗体を設け、該抵抗体のトリミングにより広いガス濃度検出範囲で出力特性を調整する。
【0056】或いは、マイクロコンピュータを使用した場合ではゲイン/オフセット調整を内部演算で行い、この演算に使用する値を出荷時にメモリに記憶させる。演算の方法としては、一般的なマップ演算等が有効である。さらには、この演算で使用する値をA/Dコンバータ等を介して外部から入力可能としておき、この入力値を用いて調整する方法もある。
【0057】以上の調整/補正機能により、前記図13の出力特性において、実出力を理想特性に一致させることができる。素子インピーダンス検出回路M13についても同様に、調整部品(抵抗体)を備える調整/補正回路M33を接続する。又は、マイクロコンピュータによる補正値を入力する。そして、それによりインピーダンス検出値のセンサ個々の特性バラツキを補正すればよい。
【0058】さらに、ヒータ制御回路M20についても同様に、調整部品(抵抗体)を備える補正回路を接続したり、マイクロコンピュータによる補正値を入力したりし、それにより配線抵抗による誤差分を補正すればよい。
【0059】以上詳述した本実施の形態によれば、以下に示す効果が得られる。
(a)ガス濃度センサ100とセンサ制御回路M10,ヒータ制御回路M20とを電気的に接続するための信号線H1,H2の長さを、或いは両者間の距離を、当該センサ100による検出信号のレベルに応じて規定することとし、センサ信号が微弱であるほど、信号線H1,H2を短くするようにした。換言すれば、ガス濃度センサ100と制御回路M10,M20とを近づけるようにした。本構成によれば、センサ信号が微弱であってもノイズの影響を受けにくくすることができる。その結果、ノイズによる影響を削減し、ひいてはガス濃度の誤検出を防止して精度の良いガス濃度検出を実施することができる。またこの場合、ガス濃度センサ100と各回路M10,M20との間の最大距離も規定できることから、比較的高温になるセンサ取付部付近の熱害の影響が回避できる。
【0060】(b)酸素濃度検出回路M11、NOx濃度検出回路M12、素子インピーダンス検出回路M13及びヒータ制御回路M20が一体化されて何れもコネクタ300内に収容される。従って、ノイズの影響を排除しつつ、インピーダンスの検出精度が確保できると共にヒータ制御性の向上を図ることができ、更にはセンサ出力精度が向上する。また、各回路を一体化することで、構成が簡素化できるという効果が得られる。
【0061】(c)排ガス中の酸素濃度を検出するためのポンプセル110と、NOx濃度を検出するためのセンサセル120とを備える、いわゆる複合型ガスセンサとしてのガス濃度センサ100では、センサセル電流が微弱となり、ノイズの影響を受けると正確なNOx濃度検出が困難になるが、上記構成によれば既存の問題が解消され、顕著な効果が得られる。
【0062】(d)センサ個々の特性バラツキを補正するための調整/補正機能をセンサ制御回路M10に持たせると共に、ヒータ103の配線抵抗による誤差分を補正するための調整/補正機能をヒータ制御回路M20に持たせるようにした。以上により、ガス濃度センサ100の個体差が解消され、センサの実出力を理想特性に一致させることができる。また、ヒータ制御性が安定し、素子部の活性遅れや過昇温の問題が解消される。その結果、ガス濃度センサ並びにガス濃度検出装置の歩留まりが大幅に改善される。この場合、ECU20によりセンサ毎に複雑な調整を行うのではないため、当該ECU20に負担を強いることはなく、比較的簡易な手法で調整/補正機能を持たせることができる。
【0063】なお、本発明の実施の形態は、上記以外に次の形態にて具体化できる。上記実施の形態では、酸素濃度検出回路M11、NOx濃度検出回路M12、素子インピーダンス検出回路M13及びヒータ制御回路M20を何れもコネクタ300に内蔵し、ガス濃度センサ100とコネクタ300とを結ぶ信号線H1,H2の長さ、並びに両者間の距離を規定したが、この構成を変更する。微弱なセンサセル電流を取り込んでNOx濃度検出を行うNOx濃度検出回路M12だけをコネクタ300内に設けると共に、その際のセンサ100からの信号線の長さを規定する。つまり、ガス濃度センサ100とNOx濃度検出回路M12との間の信号線の長さ、或いは両者間の距離をノイズ影響の少ない範囲で短くする。
【0064】又は、NOx濃度検出回路M12に加え、酸素濃度検出回路M11、素子インピーダンス検出回路M13及びヒータ制御回路M20の何れかをコネクタ300内に内蔵してもよい。各回路M11〜M13,M20はガス濃度センサ100に対してできるだけ近くに配置されるとよいのは勿論であるが、信号線の長さを選択的に設定することで、設計の自由度が高まる。またこの場合、ガス濃度センサ100と各回路M11〜M13,M20との間の最大距離も規定できることから、比較的高温になるセンサ取付部付近の熱害の影響が回避できる。
【0065】上記実施の形態では、前記図7の構成において、ポンプ第2電極112とセンサ第1電極121との共通端子をGNDに接地したが、当該共通端子を所定の正電圧で浮かすように構成してもよい。この場合、ポンプセル,センサセルの各々において負電流を流すことが可能となり、通常負電流が流れにくいリッチガスに対しても、多孔質拡散層101内のガス濃度を一定に保つ(例えば酸素濃度を常にストイキ状態に保つ)ことができる。その結果、リッチガスの検出を可能にしてガス濃度の検出範囲を拡大させると共に、リッチガスからリーンガスへの復帰に際し、ガス濃度出力の応答遅れを改善することができる。
【0066】本発明は、排ガス中の酸素濃度から空燃比(A/F値)を検出するA/Fセンサにも適用できる。この場合、固体電解質及び拡散抵抗層等がコップ形状に成形される、いわゆるコップ型A/Fセンサや、板状の固体電解質及び拡散抵抗層等が積層されてなる、いわゆる積層型A/Fセンサに適用してもよい。例えば積層型A/Fセンサでは、A/F=12〜18での電流出力が−0.75〜0.4mAであり、やはり当該電流出力が微弱であるためにノイズの影響を受ける。これに対し本発明を適用することで、ノイズによる影響を削減し、ひいてはガス濃度の誤検出を防止することができる。因みに、A/F=12〜18での電流出力が−0.75〜0.4mAの場合、1A/F当たりの電流値は約0.2mAとなり、空燃比検出の精度要求はその10%以下、すなわち20μA以下となる。
【0067】また、前記図2に示す2セル構造のガス濃度センサ100の他に、3セル構造のガス濃度センサや、4個以上のセルを持つ構造のガス濃度センサにも適用できる。
【0068】複合型ガスセンサとして、酸素濃度とNOx濃度とを検出可能なガス濃度センサの他、酸素濃度とHC濃度又はCO濃度とを検出可能なガス濃度センサにも適用できる。HC濃度又はCO濃度を検出する場合、ポンプセルにて排ガス(被検出ガス)中の余剰酸素を排出し、センサセルにて余剰酸素排出後のガス成分からHC又はCOを分解する。これにより、酸素濃度に加え、HC濃度又はCO濃度が検出できる。勿論、NOx濃度、HC濃度又はCO濃度の何れか一つのみを検出するガス濃度センサにも適用できる。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社日本自動車部品総合研究所
【出願日】 平成10年12月4日(1998.12.4)
【代理人】 【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣 (外1名)
【公開番号】 特開2002−71640(P2002−71640A)
【公開日】 平成14年3月12日(2002.3.12)
【出願番号】 特願2001−204729(P2001−204729)