| 【発明の名称】 |
積層型ガスセンサ素子の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】粟野 真也
【氏名】黒木 義昭
【氏名】馬渕 智裕
【氏名】柳 邦夫
【氏名】林 裕之
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| 【要約】 |
【課題】積層型ガスセンサ素子自体の反りの発生が非常に少なく、使用時の剥がれ、クラック等をほとんど発生せず、高い耐久性を備える積層型ガスセンサ素子を安定して得ることができる積層型ガスセンサ素子の製造方法を提供する。
【解決手段】アルミナ粉末、ジルコニア粉末、バインダ樹脂、溶剤を用いてスラリーを調合し、ドクターブレード法により、基体用未焼成シートを作製する。一方、同様なセラミック原料粉末を用い、セラミック原料粉末の単位表面積あたりのバインダ量が同じである保護層用未焼成シートを作製する。固体電解質体用未焼成体を挟んで、一方側に、焼成後緻密であり絶縁性の基体となる、上記基体用未焼成シートを積層し、他方側に、焼成後多孔質であり絶縁性の保護層となる上記保護層用未焼成シートを積層し、得られた積層体を一体に焼成する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基体用未焼成体と、多孔質体用未焼成体とを、固体電解質体用未焼成体を挟んで対向するように積層して未焼成積層体を形成し、次いで、該未焼成積層体を一体に焼成する積層型ガスセンサ素子の製造方法であって、上記基体用未焼成体と上記多孔質体用未焼成体との焼成時の収縮率の差が1200〜1550℃において常に±3%以内であることを特徴とする積層型ガスセンサ素子の製造方法。 【請求項2】 少なくとも基体用原料粉末及び基体用バインダを混練し、次いで成形して得た基体用未焼成体と、少なくとも多孔質体用原料粉末及び多孔質体用バインダを混練し、次いで成形して得た多孔質体用未焼成体とを、固体電解質体用未焼成体を挟んで対向するように積層して未焼成積層体を形成し、次いで、該未焼成積層体を一体に焼成する積層型ガスセンサ素子の製造方法であって、上記基体用未焼成体の単位質量あたりに含有される上記基体用原料粉末の表面積を上記基体用バインダの質量により除した値をA1(m2/g)とし、一方、上記多孔質体用未焼成体の単位質量あたりに含有される上記多孔質体用原料粉末の表面積を上記多孔質体用バインダの質量により除した値をA2(m2/g)とした場合に、下記式〔1〕で表される値Xを±0.1以内に調整することを特徴とする積層型ガスセンサ素子の製造方法。 X=(A1−A2)/A1 〔1〕 【請求項3】 上記多孔質体用原料粉末は気孔化剤を含み、該気孔化剤を除く該多孔質体用原料粉末の残部と上記多孔質体用バインダとの合計を100体積%とした場合に、該気孔化剤は30〜55体積%である請求項1又は2に記載の積層型ガスセンサ素子の製造方法。 【請求項4】 上記気孔化剤はカーボン粉末である請求項3記載の積層型ガスセンサ素子の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は積層型ガスセンサ素子の製造方法に関する。更に詳しくは特に反り及び割れを生じ難く、得られる積層型ガスセンサ素子においては使用時に剥がれ、クラック等を生ずることがほとんど無い高い耐久性を有する積層型ガスセンサ素子を安定して得ることができる積層型ガスセンサ素子の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】内燃機関等において排ガス中の特定成分を検出したり、その濃度を測定する各種のセンサ(酸素センサ、HCセンサ、NOxセンサ等)に用いる積層型ガスセンサ素子が知られている。これらの積層型ガスセンサ素子においては、例えば、被測定ガスと接触する検知電極を覆い、Si、P及びPb等や、これらの化合物による検知電極の性能低下を生ずる被毒を防止する目的等でセラミック質の多孔質体が形成されることがある。一方、従来の素子では、このような多孔質な層を設けた場合に、素子自体の反りを十分に防止することができず、これらに起因するクラックを生じることがあった。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点を解決するものであり、反りをほとんど生じることなく、剥がれ及び割れ等を生じない高い耐久性を有する積層型ガスセンサ素子を安定して製造する積層型ガスセンサ素子の製造方法を提供することを目的とする。 【0004】 【課題を解決するための手段】第1発明の積層型ガスセンサ素子の製造方法は、基体用未焼成体と、多孔質体用未焼成体とを、固体電解質体用未焼成体を挟んで対向するように積層して未焼成積層体を形成し、次いで、該未焼成積層体を一体に焼成する積層型ガスセンサ素子の製造方法であって、上記基体用未焼成体と上記多孔質体用未焼成体との焼成時の収縮率の差が1200〜1550℃において常に±3%以内であることを特徴とする。 【0005】また、第2発明の積層型ガスセンサ素子の製造方法は、少なくとも基体用原料粉末及び基体用バインダを混練し、次いで成形して得た基体用未焼成体と、少なくとも多孔質体用原料粉末及び多孔質体用バインダを混練し、次いで成形して得た多孔質体用未焼成体とを、固体電解質体用未焼成体を挟んで対向するように積層して未焼成積層体を形成し、次いで、該未焼成積層体を一体に焼成する積層型ガスセンサ素子の製造方法であって、上記基体用未焼成体の単位質量あたりに含有される上記基体用原料粉末の表面積を上記基体用バインダの質量により除した値をA1(m2/g)とし、一方、上記多孔質体用未焼成体の単位質量あたりに含有される上記多孔質体用原料粉末の表面積を上記多孔質体用バインダの質量により除した値をA2(m2/g)とした場合に、上記式〔1〕で表される値Xを±0.1以内に調整することを特徴とする。 【0006】第1及び第2発明における、上記「固体電解質体用未焼成体」は、焼成されて酸素イオン伝導性を発揮する固体電解質体となる。この固体電解質体用未焼成体は、固体電解質体用原料粉末、バインダ及び溶剤等を混練した混練物(ペースト又はスラリー等)を成形することで得ることができる。この成形でスクリーン印刷法を用いると膜状(厚さ50μm未満)の固体電解質体用未焼成体を得ることができ、ドクターブレード法を用いるとシート状(厚さ50μm以上)の固体電解質体用未焼成体を得ることができる。 【0007】また、固体電解質体用未焼成体には、固体電解質体に接して積層される層(絶縁層等)の主要構成成分を、固体電解質体用未焼成体全体を100質量%とした場合に、10〜80質量%以下(より好ましくは30〜70質量%以下)の割合で含有させることが好ましい。これにより得られる素子において固体電解質体と接して積層される層との密着性を大幅に向上させることができる。 【0008】この固体電解質体用未焼成体の一面又は表裏面には基準電極及び検知電極となる電極用未焼成体を形成することができる。電極用未焼成体は、例えば、Ptを主成分として、Au、Ag、Pd、Ir、Ru、Ph等を含有し、且つ焼結結合材として平均粒径1μm未満の部分安定化ジルコニアを25質量%以下添加(外配合)した導電性の混練物を塗布することで形成することができる。また、基準電極の下側には多孔質層を形成するセラミックペースト(カーボン入り)又はカーボンペーストが塗布されていて、焼成後にこのペースト中のカーボンが消失して空隙を形成する。この空隙内には外気より酸素を取り込んで、この雰囲気を基準酸素源として用いることが出来る。基準電極とは、基準ガスと接する電極、酸素ポンプ作用により形成された一定圧力の酸素雰囲気下におかれる電極、又は、被測定ガス中の可燃性ガス成分と接触した場合に検知電極よりも高い電位を示す電極である。一方、被測定ガスに接する他方の電極が検知電極である。 【0009】上記「基体用未焼成体」は焼成されて基体となる。基体用未焼成体は、基体用原料粉末、基体用バインダ及び溶剤等を混練して得られた混練物を、ドクターブレード法等により成形した後、乾燥させることでシート状の基体用未焼成体を得ることができる。通常、基体用未焼成体の厚さは0.2mm以上とすることが好ましい。また、基体用未焼成体内には、焼成されて発熱抵抗体及び発熱抵抗体用リード部となる未焼成導電パターンを形成することもできる。この場合、焼成後に得られる基体の発熱抵抗体に電圧を印加することで、固体電解質体を活性化させるための加熱源として利用できる。 【0010】基体用未焼成体から得られる基体は、素子自体の機械的強度を補強する機能を有し、更に、高い絶縁性を発揮できることが好ましい。特に、絶縁性は温度900℃において固体電解質体の100倍以上の絶縁性を有することが好ましい。また、第1及び第2発明の製造方法により得られる積層型ガスセンサ素子(以下、単に「素子」ともいう)中において、この基体と、上記固体電解質体用未焼成から得られる固体電解質体とは直接接して形成されていても、また、例えば、基体が発熱抵抗体を備える場合には熱膨張を緩和する緩衝層等の他の機能を有する層を挟んで形成してもよい。 【0011】上記「基体用原料粉末」としては、アルミナ、ムライト、マグネシア・アルミナスピネル等のセラミック系粉末を用いることができるが、特にアルミナを主に用いることが好ましい。但し、他の層との焼成後の密着性を向上させるためにジルコニア等の他の層に含有される成分を、基体用原料粉末全体を100質量%とした場合に30質量%以下含有させることができる。また、上記「基体用バインダ」は特に限定されず、アクリル系ポリビニルブチラール樹脂、ステアリン酸アルコール及びエチルセルロース等を適宜用いることができる。尚、基体用バインダは、1種のバインダであっても、2種以上が混合されたバインダであってもよい。 【0012】上記「多孔質体用未焼成体」は、焼成されて多孔質体となる。多孔質体用未焼成体は、多孔質体用原料粉末、多孔質体用バインダ及び溶剤等を混練して得られた混練物を、スクリーン印刷等(必要であれば複数回重ねて)により薄膜状に成形し、乾燥させて得られる。また、上記の混練物をドクターブレード法等によりシート状に成形し、乾燥させて得ることもできる。尚、他の層との焼成後の密着性を向上させるためにジルコニア等の他の層に含有される成分を、多孔質体用未焼成体全体を100質量%とした場合に30質量%以下含有させることができる。上記「多孔質体用バインダ」は特に限定されず、前記基体用バインダと同様な化合物を適宜用いることができる。 【0013】上記「多孔質体用原料粉末」は、1種の粉末であっても、2種以上が混合された粉末であってもよく、前記基体用原料粉末と同様なセラミック系粉末を用いることができる。更に、第3発明のように気孔化剤を含み、気孔化剤を除く多孔質体用原料粉末の残部と多孔質体用バインダとの合計を100体積%とした場合に、気孔化剤は30〜55体積%(より好ましくは35〜50体積%)であることが好ましい。気孔化剤が30体積%未満であると焼成後に十分な気孔が得ら難く、被測定ガスが検知電極に到達し難くなる傾向にある。一方、55体積%を超えると得られる多孔質体の機械的強度が十分に得られ難くなり、また、Si、P及びPb等や、これらの化合物等により検知電極が被毒されることを十分に防止し難くなる傾向にある。 【0014】上記「気孔化剤」としては、(1)カーボン粉末、(2)テオブロミン、カフェイン及びテオフィリンといった昇華性キサンチン誘導体、(3)キサントプテリン、m−アミノ安息香酸、m−アセトアミド安息香酸、4,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸、アセトラセンカルボン酸、α−アミノ酪酸、イソニコチン酸、イソパニリン酸、イソフタル酸、5−メチルイソフタル酸、o−オキシ桂皮酸、3−オキシ−p−トルイル酸、5−オキシ−1−ナフトエ酸、5−キノリンカルボン酸、4,5−ジオキシ−2−アントラキノンカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、3,5−ピリジンジカルボン酸、(4)ペレリン、フロログルシントリメチルエーテル、フルオレセイン、ビフタリジリデン、テトラフェニルメタン、チミン、アリザリンブリー、アロキサン、イサチン、インジゴ、オキシインジゴ、インジルピン、カンタリジン、キノフタロン、2−オキシアントラキノン、1,5−ジアミノアントラキノン、1,5−ジオキシアントラキノン、1,7−ジオキシアントラキノン、アミノアントラキノン、2,4−ジオキシキノリン、アセナフテンキノン、5−オキシキノリン、2、2’−アゾナフタリン、アデニン、p−アセトトルイド、8−アミノ−2−ナフトール等を挙げることができる。また、これらは2種以上を併用することもできる。 【0015】これらの気孔化剤のうち、第4発明のように、カーボン粉末を用いることが特に好ましい。このカーボン粉末の平均粒径は1〜15μm(より好ましくは3〜10μm)のものを用いることが好ましい。更に、カーボン粉末は真球状粉末であっても、不定形状粉末であってもよい。このうち不定形状粉末を用いるとSiに対する被毒耐久性を特に向上させることができる。 【0016】このような多孔質体用未焼成体から得られる多孔質体は、通常、固体電解質体及び検知電極と直接接して形成される。この多孔質体は(1)被測定ガスに接触する検知電極がSi、P及びPb等や、これらの化合物等により被毒されることを防止する機能、(2)積層型ガスセンサ素子の使用時に水滴の付着により割れを防止する機能、及び(3)多孔質体内を被測定ガスが通過することにより、被測定ガスの成分ガスを平衡化する機能、の(1)〜(3)のうちの少なくとも1つの機能を有する。 【0017】第1発明における、上記「収縮率」とは、基体用未焼成体及び多孔質体用未焼成体が焼成時の所定温度に達した時の、焼成開始前の大きさからの収縮度合いを百分率として表した値である。即ち、焼成開始前の各未焼成体の長さをL1とし、この未焼成体を各々炉に入れて、1100℃まで毎時100℃ずつ昇温させ、この1100℃からは毎時60℃で所定温度(1250℃、1400℃、1475℃及び1550℃)まで昇温させた後、この所定温度で1時間保持し、次いで、炉冷して炉から取り出した基体及び多孔質体の長さをL2とした場合に、下記式〔2〕で示される割合S(%)を収縮率とする。 S(%)=(L1−L2)/L1×100 〔2〕 【0018】固体電解質体を挟んで対向する基体用未焼成体と、多孔質体用未焼成体との各未焼成体の収縮率の差を、1200〜1550℃の間において常に±3%以内とすることにより、焼成温度全域において収縮率の差が小さく、反りの発生を大幅に抑制できる。収縮率の差を常に±3%以内とすることにより、反りの発生率(反り発生数/製造数)は6%以下、更には1%以下に減らすことができる。 【0019】また、第2発明では、前記「値X」を±0.1以内(より好ましくは±0.07以内、更に好ましくは±0.04以内)とすることにより、第1発明と同様に収縮率の差が小さくなり、反りの発生を大幅に抑制することができる。Xを±0.1以内にすることにより、反りの発生率は6%以下、更には1%以下に減らすことができる。即ち、基体用原料粉末の表面積に対する基体用バインダの量と、多孔質体用原料粉末の表面積に対する多孔質体用バインダの量とを近づけることにより、焼成時の収縮率の差を小さくすることができる。また、前記の第1発明及び第2発明を同時に満たすことが特に好ましい。 【0020】第1発明及び第2発明の条件を達成するためには、例えば、基体用又は多孔質体用原料粉末の各々に含有される成分の種類及びその含有割合を相互に近づけることで達成することができる。更に、各原料粉末の平均粒径もより近いものとすることにより達成することができる。 【0021】尚、本明細書でいう反りとは、図2(i)に示すように素子前段部(多孔質体に上部を覆われている部分)の反りを含む高さをd1とし、図2(ii)に示すように素子前段部の実際の高さをd2とした場合のd1−d2が200μm以上であることをいう。このd1−d2が200μmを超えると使用時に割れ及びクラックを生じ易くなる傾向にある。 【0022】これまでに述べたような、基体用未焼成体、固体電解質体用未焼成体及び多孔質層用未焼成体が積層されている未焼成積層体を一体に焼成する場合に、その昇温速度、焼成温度及び焼成時間等は特に限定されないが、昇温速度は200℃/時間(より好ましくは100℃/時間)とすることが好ましい。焼成温度は1400〜1550℃(より好ましくは1450〜1520℃)とすることが好ましい。また、この温度に保持する時間は1〜2時間とすることが好ましい。 【0023】第1発明及び第2発明の製造方法によると、通常、固体電解質体の積層方向の厚さが30〜130μm(更に好ましくは50〜100μm)であり、また、発熱抵抗体が埋設されている基体の積層方向の厚さが900〜1100μmであり、多孔質体の積層方向の厚さが150〜400μm(更に好ましくは200〜300μm)である素子を得ることができる。特に、基体及び多孔質体は、固体電解質体よりも積層方向に厚いことが好ましく、上記の各積層方向の厚さを満たした上で、基体及び多孔質体は固体電解質体の積層方向の厚さの1.15〜13.3倍(より好ましくは4.0〜8.0倍)の厚さであることが好ましい。 【0024】更に、基体の相対密度は96%以上(より好ましくは98以上%、通常99.9%以下)とすることが好ましい。また、多孔質体の相対密度は40〜85%(より好ましくは50〜80%)とすることが好ましく、気孔率は15〜65%(より好ましくは20〜50%)とすることが好ましい。基体の相対密度が96%未満であると得られる素子の機械的強度が十分でないことがある。一方、多孔質体の相対密度が40%未満又は気孔率が65%を超えると十分な被毒防止効果が得られ難く、相対密度が85%を超える又は気孔率が15%未満であると被測定ガスが検知電極表面に到達するまでに時間がかかり、正確な測定が行い難くなる傾向にある。 【0025】尚、相対密度は、予め元素分析より組成を求め、この組成から算出した理論密度をρ1とし、アルキメデス法により測定した実密度をρ2とした場合に、下記式〔2〕により算出された割合D(%)である。 D(%)={ρ2/ρ1}×100 〔2〕 また、気孔率は、多孔質体の見掛け体積(気孔体積を含む)Vと、空気中における質量m1と、水中に浸漬しただけの質量m2と、水中に浸漬後十分に気孔に水を含有させた(真空脱泡、沸騰脱泡等による)質量m3と、を用いて、下記式〔3〕により算出した割合P(%)である。 P(%)={(m3−m1)/(m3−m2)}×100 〔3〕 【0026】また、基体及び多孔質体は、アルミナ及びジルコニアのうちの少なくともアルミナを含有することが好ましい。このうち、基体は、その全体を100体積%とした場合にアルミナを70体積%以上(より好ましくは80体積%以上)含有することが好ましく、多孔質体は、その全体を100質量%とした場合にアルミナを56質量%以上(より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上)含有することが好ましい。更に、基体と実質的に同じ組成により構成されていることがとりわけ好ましい。 【0027】 【発明の実施の形態】以下、実施例、図1を用いて本発明を更に詳しく説明する。 [1]素子の製造以下の製造方法では、解かり易さのために素子1個の大きさのシートに各パターンを印刷し、積層するかのように説明する。しかし、実際の工程においては、10個の素子を製造することができる大きさのグリーンシートに所要個数分の印刷を施し、積層した後、素子形状の未焼成積層体を切り出し、これらを脱脂し、焼成して素子を製造した。更に、一回の製造工程では300個の素子を一度に製造している。 【0028】(1)基体用未焼成シートの作製基体用原料粉末であるアルミナ粉末(純度99.99%以上、平均粒径0.3μm、比表面積4.8m2/g)を1000gと、基体用バインダであるブチラール樹脂115g及びジブチルフタレート47.5gと、トルエン及びメチルエチルケトンとからなる混合溶媒とを混合し、スラリーとした後、ドクターブレード法により、第1基体用未焼成体及び第2基体用未焼成体を作製した。第1基体用未焼成体は厚さ0.4mm、長さ5cmであり、焼成後は第1基体11aとなる。第2基体用未焼成体は厚さ0.25mm、長さ5cmであり、焼成後は第2基体11bとなる。尚、この第1基体用未焼成体及び第2基体用未焼成体のA1は41.74m2/gである。 【0029】(2)ヒータパターンの形成アルミナ粉末(純度99.99%以上、平均粒径0.3μm)4部と白金粉末100部を配合した導電層用ペーストを、第1基体用未焼成体(焼成後、第1基体11a)の一方の面に発熱部パターン(焼成後、発熱部121)を印刷・乾燥させ、その後、アルミナ粉末(純度99.99%以上、平均粒径0.3μm)2質量部と白金粉末100部を配合した導電層用ペーストにて、ヒータリードパターン(焼成後、ヒータリード部122)を印刷・乾燥させ、ヒータパターン(焼成後、発熱抵抗体12)を形成した。次いで、基体用第1未焼成体の基端付近に発熱抵抗体12の導通を図るためのスルーホール111aを形成し、裏面のスルーホール111aに対応する位置に発熱抵抗体用端子パターン(焼成後、発熱抵抗体用端子19a)を印刷・乾燥させた。その後、ヒータパターン上から第2基体用未焼成体(焼成後、基体の上半分)を積層し、圧着接合した。 【0030】(3)緩衝層パターンの形成(2)で作製したセラミック積層体の第2基体用未焼成体上に、アルミナ80部、ジルコニア20部を配合した緩衝層用ペーストを用いて、緩衝層パターン(焼成後、緩衝層13)を40±10μの厚さに印刷・乾燥させた。 (4)基準電極パターンの形成(3)で形成した緩衝層パターン上に、白金粉末87質量%と共沈イットリア含有ジルコニア粉末13質量%とを含有する導電層用ペーストを用いて、基準電極部パターン(焼成後、基準電極部141a)及び基準電極リード部パターン(焼成後、基準電極リード部142a)からなる基準電極パターン(焼成後、基準電極14a)を20μm±10の厚さに印刷・乾燥させた。 【0031】(5)固体電解質体パターンの形成ジルコニア粉末(純度99.9%以上、平均粒径0.3μm)50部とアルミナ粉末(純度99.99%以上、平均粒径0.3μm)50部を分散剤0.5部と共に適量のアセトンの中に混合し、樹脂製のポットによって3時間混練してスラリーを用意した。一方、バインダ20部とブチルカルビトール33.3部、ジブチルフタレート0.8部を適量のアセトンの中に混合したバインダ溶液を用意した。このバインダ溶液をスラリーに加えて、混練しながらアセトンを蒸発させて、固体電解質体用ペーストを調合した。尚、調合後のペーストに適宜ブチルカルビトールを更に加えてペーストの粘度を調整した。この固体電解質体用ペーストを基準電極部パターンを覆うように長さ方向に7.0mm、厚さ45±10μmに印刷・乾燥させ、固体電解質体パターン(焼成後、固体電解質体15)を形成した。 【0032】(6)絶縁層パターンの形成(1)で作製した未焼成基体にブチルカルビトール50部及び所要量のアセトンを加えて溶解させ、4時間混合した後、アセトンを蒸発させて、絶縁層用ペーストを調合した。この絶縁層用ペーストを緩衝層パターン上であり、固体電解質体パターンが印刷されていない部分に45±10μmの厚さで印刷・乾燥させ、絶縁層パターン(焼成後、絶縁層16)を形成した。但し、スルーホール161にあたる部分には印刷していない。 【0033】(7)検知電極パターンの形成(5)及び(6)で形成した固体電解質体パターンと絶縁層パターンの上に、(4)で調合した導電層用ペーストを用いて、検知電極部パターン(焼成後、検知電極部141b)及び検知電極リード部パターン(焼成後、検知電極リード部142b)からなる検知電極パターン(焼成後、検知電極14b)を20±10μmの厚さに印刷・乾燥させた。 【0034】(8)補強層用未焼成体の作製及び積層(1)と同様な原料及び配合割合にて調合したスラリーを用いてドクターブレード法により、第1補強層用未焼成体及び第2補強層用未焼成体を作製した。第1補強層用未焼成体は厚さ0.25mm、長さ4cmであり、焼成後第1補強層18aとなり、基端部にはスルーホール181aが形成されている。第2補強層用未焼成体は、厚さ0.4mm、長さ4.0cmであり、焼成後、第2補強層18bとなり、基端部にはスルーホール181bが形成されている。その後、第1補強層用未焼成体を(7)で形成した検知電極パターンの電極リード部パターンを覆うように積層し、その後、更に、第2補強層用未焼成体を、第1補強層用未焼成体上に積層した。 【0035】(9)電極端子用パターンの形成(2)で調合した導電性ペーストを用いて、基準電極及び検知電極の各々と信号の入出力を行う電極端子用パターン(焼成後、電極端子19b)を、スルーホール181bに対応する位置に印刷・乾燥させた。 【0036】(10)多孔質体用未焼成体の作製及び積層(1)と同様に、多孔質体用原料粉末であるアルミナ粉末(純度99.99%以上、平均粒径0.3μm、比表面積4.8m2/g)780gと、気孔化剤であるカーボン粉末(真球状粒子、平均粒径5μm)220gと、分散剤と、トルエン及びメチルエチルケトンとからなる混合溶媒とを混合し、次いで、多孔質体用バインダであるブチラール樹脂97g及びジブチルフタレート47gを加えて更に混合してスラリーとした。その後、ドクターブレード法により、厚さ250μmのグリーンシートを作製し、長さ10mm、幅4mmの多孔質体用未焼成体に成形した。尚、この多孔質体用未焼成体のA2は42.09m2/gである。その後、得られたこの多孔質体用未焼成体(焼成後、多孔質体17)を(7)で形成した検知電極部パターンを覆うように積層した。 【0037】(1)で得られた第1基体用未焼成体及び第2基体用未焼成体のA1は41.74m2/gであり、(10)で得られた多孔質体用未焼成体のA2は42.09m2/gである。従って、上記式〔1〕で表されるXは−0.008となり、±0.1以内におさまっている。 【0038】(11)脱脂及び焼成(1)〜(10)で得られた積層体を、大気雰囲気において、室温から420℃まで昇温速度10℃/時間で昇温させ、2時間保持し、脱脂処理を行った。その後、大気雰囲気において、1100℃まで昇温速度100℃/時間で昇温させ、更に、1520℃まで昇温速度60℃/時間で昇温させ、1時間保持し焼成を行い、素子1を得た。得られた素子には反りは認められず、クラック及び割れも確認されなかった。 【0039】[2]収縮率の異なる基体用未焼成体及び多孔質体用未焼成体の製造[1]における(1)〜(11)の工程のうち(1)及び(10)において配合するバインダの量を変化させることにより、表1に示す収縮率の異なる13種類の基体用未焼成体と、収縮率の異なる7種類の多孔質体用未焼成体とを製造した。 【0040】 【表1】
【0041】これら基体用未焼成体及び多孔質体用未焼成体の1200〜1550℃における収縮率は、前述の条件において〔2〕式を用いて1100℃、1250℃、1400℃、1475℃及び1550℃の各温度における値として算出した。 【0042】[3]未焼成積層体の作製[2]で得られた表1に示す各基体用未焼成体及び多孔質体用未焼成体を各々表2に示す組み合わせで[1]におけると同様に積層して未焼成積層体を得た。この実験例1〜13の組み合わせの未焼成積層体の各温度における収縮率差の最大値を[2]で求めた値から算出して表2に併記した。更に、基体用未焼成体の各A1及び各多孔質体用未焼成体の各A2を各々算出し、表2に併記した。また、実験例1〜13の基体用未焼成体と多孔質体用未焼成体との組み合わせによるXも算出し、表2に併記した。 【0043】 【表2】
【0044】[4]焼成及び評価[3]で得られた未焼成積層体を[1]の(11)と同様にして焼成して積層型ガスセンサ素子を得た。得られた各実験例1〜13素子の各々の300個の素子を、水に溶かした赤色インク内に浸漬した後乾燥させて、残存した赤色部により、素子に生じたクラック又は割れを観察した。この結果を表2に併記した。 【0045】表2の結果より、収縮率差が±3%を超える実験例1〜9の素子ではクラック及び割れがいずれにおいても認められた。これに対して、収縮率差が±3%以内である実験例10〜13の素子ではクラック及び割れは全く観察されなかった。即ち、素子を製造する場合に、バインダ量を第1発明又は第2発明の範囲となるように調整することにより、クラック及び割れのほとんど生じない素子を得ることができることが分かる。 【0046】尚、本発明の素子は概してその長さが32〜34mmであり、図1における多孔質体の後端側(後端とは長さ方向において多孔質体が形成されていない一端)から素子の後端に向かって10mm付近からはガスセンサの主体金具内に配設される固定具に固定されて使用される。このため、被測定ガスに曝されることはなく、また、使用時に反り及び割れが生じることもほとんどない。 【0047】 【発明の効果】第1発明及び第2発明によると、多孔質体を備えても、ほとんど反り及び割れを生じない積層型ガスセンサ素子を安定して得ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004547 【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年8月31日(2000.8.31) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100094190 【弁理士】 【氏名又は名称】小島 清路
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| 【公開番号】 |
特開2002−71629(P2002−71629A) |
| 【公開日】 |
平成14年3月12日(2002.3.12) |
| 【出願番号】 |
特願2000−264228(P2000−264228) |
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