| 【発明の名称】 |
ガスセンサ |
| 【発明者】 |
【氏名】石川 聡
|
| 【要約】 |
【課題】基準ガスとして大気を外部から導入して機能するガスセンサにおいて、その通気性に優れたガスセンサを提供する。
【解決手段】本発明に係る酸素センサにおいては、通気孔16aおよび挿通孔16bが形成された押え部材16の表面に親水性コート30が施されている。そのため、挿通孔16b付近に水滴が付着しても、親水性コート30に導かれて流れ出ることとなり、通気孔16a付近に溜まり難くなる。つまり、通気孔16aを水滴が塞ぐことがなくなり、通気性を確保することができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 検出素子に基準大気を供給する基準ガス空間を形成する筐体と、撥水性材料により形成され、前記筐体の開口部に装着されて該筐体と共に基準ガス空間を形成するシール部材と、外部空間に面した前記シール部材の上端面に開口部を有し、該開口部から前記基準ガス空間に外気を導入する通気孔と、前記通気孔の開口部を囲むように前記上端面に開口部を有する挿通孔を介して外部空間から前記基準ガス空間に導かれ、撥水性材料で被覆された複数のリード線と、を備えたガスセンサにおいて、前記上端面の少なくとも一部が親水性を有する部分であること、を特徴とするガスセンサ。 【請求項2】 前記通気孔は通気性のフィルタによって閉塞されていること、を特徴とする請求項1記載のガスセンサ。 【請求項3】 前記フィルタの外部空間に面した面は撥水性を有している事を特徴とする請求項2記載のガスセンサ。 【請求項4】 前記通気孔および前記挿通孔は前記シール部材の下端面に開口部を有し、且つ、該下端面において前記通気孔の開口部を囲むように前記挿通孔の開口部が配置されており、前記下端面の少なくとも一部が親水性を有する部分であること、を特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のガスセンサ。 【請求項5】 前記挿通孔の開口部は、前記シール部材の軸心を中心とするピッチ円上に配設されており、前記親水性を有する部分はピッチ円を横切って連続して形成されていること、を特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のガスセンサ。 【請求項6】 検出素子に基準大気を供給する基準ガス空間を形成する筐体と、撥水性材料により形成され、前記筐体の開口部に装着されて該筐体と共に基準ガス空間を形成するシール部材と、外部空間に面した前記シール部材の上端面に開口部を有し、該開口部から前記基準ガス空間に外気を導入する通気孔と、前記通気孔の開口部を囲むように前記上端面に開口部を有する挿通孔を介して外部空間から前記基準ガス空間に導かれ、撥水性材料で被覆された複数のリード線と、を備えたガスセンサにおいて、前記シール部材の上端面の近傍において外部空間に露出した前記リード線の被覆部表面の少なくとも一部が親水性を有する部分であること、を特徴とするガスセンサ。 【請求項7】 前記親水性を有する部分には親水性コートが施されていること、を特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のガスセンサ。 【請求項8】 前記シール部材は親水性材料であることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のガスセンサ。 【請求項9】 前記リード線の被覆部は親水性材料であることを特徴とする請求項6記載のガスセンサ。 【請求項10】 前記親水性コートとして、メッキを施したこと、を特徴とする請求項7記載のガスセンサ。 【請求項11】 前記メッキは、Niメッキであること、を特徴とする請求項10記載のガスセンサ。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、基準ガスとしての大気を外部から導入して機能するガスセンサに関する。 【0002】 【従来の技術】従来より、混合ガス中から特定のガス成分の濃度を検出するガスセンサとして、HCセンサやNOxセンサ等種々のものが知られている。この種のガスセンサの一つとして、例えば特開平9−54063号公報に示される外気導入型のガスセンサがある。このガスセンサは、図5に示すように、ガスセンサの上部に設けられたシール部材500の中央を軸方向に貫通するように、外部空間の外気を基準ガス空間に導入する通気孔500aを形成すると共に、この通気孔を硬質の撥水性フィルタにより閉塞することにより、その通気性と防水性を保持している。そして、シール部材のこの撥水性フィルタの周囲には複数の挿通孔が設けられ、この挿通孔に、検出素子の電極に接続されたリード線502が挿通されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記構成では、結露等により複数の挿通孔の各々の入口付近に水分が付着した場合に問題が生じる可能性がある。すなわち、通常、リード線502は撥水性材料(例えばPTFE、PFAなど)によって被覆され、またシール部材も撥水性材料(例えばフッ素ゴムなど)で形成される。そのため、各挿通孔付近に水滴が付着すると、リード線502の被覆部(撥水性材料からなる部分)にはじかれてシール部材500の中央に集結し、通気孔500aを塞いでしまう可能性がある。この結果、撥水性フィルタの通気性が損なわれ、ひいてはガスセンサの検出精度が低下するという問題が生じる。 【0004】またガスセンサは、使用中は排気ガスからの熱により高温となっているが、使用後には温度が低下し、その内部に負圧が発生する。そのとき、シール部材に配設された撥水性フィルタに水が付着していると、負圧により、水分が水蒸気として酸素センサ内部に浸入し凝縮することによって、内部の絶縁抵抗が低下することも考えられる。 【0005】本発明はこうした問題に鑑みてなされたものであり、基準ガスとして大気を外部から導入して機能するガスセンサにおいて、その通気性に優れたガスセンサを提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段及び発明の効果】上記課題に鑑み、請求項1記載のガスセンサのシール部材においては、通気孔の開口部およびこの開口部を囲むように挿通孔の開口部が形成された上端面の少なくとも一部を親水性を有する部分とした。 【0007】この様に構成された請求項1のガスセンサにおいては、通気孔の開口部が形成されたシール部材の上端面が親水性を有していることから、挿通孔付近に水滴が付着しても、親水性を有する部分に導かれて外部に流れることができるため、通気孔付近に溜まり難くなる。つまり、通気孔を水滴が塞ぐことを抑制し、その通気性能を確保することができる。 【0008】なお、通気孔は単なる孔でも良いが、防水性を高めるために、請求項2に記載の様に、通気フィルタによって閉塞することが好ましい。通気フィルタとしては、特開平9−54063の様に硬質の通気フィルタを通気孔に挿入して通気孔を防水的に閉塞してもよい。また、別の手段としては、通気孔の中にシート状の通気フィルタを押し込み、通気フィルタの内側に別の筒状部材を挿入して、通気フィルタを通気孔内壁と筒状部材の間に狭持する様にしても良い。この様に通気フィルタにシート状の材料を用いると、通気量を多くする事が出来るので、基準ガス空間に新鮮な酸素を大量に供給できるので好ましい。 【0009】また、別の方法としては、通気フィルタをシール部材の下端面の上から覆うように配置しても良い。この様にすると、筒状部材が不要になるので、コスト的にメリットが大きい。通気フィルタとしては、請求項3の様に少なくとも外部空間に面した面は撥水性を有するようにすると、その周りの親水性の部分との相乗効果で一層水滴を排除する能力が高まる。 【0010】次に、シール部材の上端面における通気孔および挿通孔の開口部の配置と、下端面におけるそれらの開口部の配置とが同様である場合、即ち、通気孔および挿通孔がシール部材の下端面に別の開口部を有し、且つ、下端面において通気孔の開口部を囲むように挿通孔の開口部が配置されている場合には、請求項4の様に、下端面にも親水性を有する部分を形成すると良い。 【0011】この様に、外気側(即ち外部空間)に露出させる面が上端面であるか下端面であるかを区別せずに筐体の開口部に装着できる形状をシール部材が有する場合、下端面にも親水性コートを施せば、上端面および下端面のいずれを外気側に露出させても、請求項1の効果を得ることができる。つまり、この効果が得られるようにシール部材を筐体に組み付けるにあたって、その上下を区別する必要がないため、作業負担が少なくなる。 【0012】ところで、挿通孔は出来るだけシール部材の中でバランス良く配置することが防水性を良好に維持する上で好ましい。その為、シール部材の中心軸を中心とした仮想的なピッチ円上に配置すると挿通孔とリード線の間の防水性が良好に維持できる。そして、この様な配置においては、請求項5に記載の様に、ピッチ円を横切るように親水性を有する部分を形成するとよい。この様にすれば、ピッチ円の内側の領域(即ち通気孔のある領域)から外側の領域に水滴が流れ易くなり、より確実に通気性の確保を図ることができる。 【0013】なお、上記課題を解決するには、請求項6の構成を採ることもできる。即ち、請求項6記載のガスセンサにおいては、シール部材の上端面の近傍において外部空間に露出したリード線の被覆部(即ち、リード線を被覆している撥水性材料からなる部分)の表面の一部が親水性を有する部分である。 【0014】このように構成された請求項6記載のガスセンサにおいては、水滴がリード線にはじかれて通気孔付近に集結する、ということがなくなる。つまり、通気孔を水滴が塞ぐことがなくなり、通気性を確保することができるのである。親水性を有する部分を形成する手段としては、請求項7の様に親水性コートを施すことが考えられる。親水性コートの材料としては、ポリエチレングリコール変性ポリシロキサン等を用いることができる。 【0015】また、最初に撥水性のフッ素樹脂をコーティングしてから、その表面を処理することで、フッ素樹脂に親水性を持たせるという技術も開発されている。(商品名:スミフロンコート。住友電工製) 一方、請求項8、9の様にシール部材やリード線の被覆部そのものを親水性の材料に変えることが考えられる。親水性の材料としては、フッ素ゴムに微小な金属フィラーを混合したもの等を用いる事が出来る。 【0016】また、親水性を持たせる手段としては、例えば、請求項10に記載の様に、シール部材の外表面やリード線の被覆部の表面にメッキを施すことが考えられる。メッキの材料としても、様々な金属、合金が考えられるが、例えば、請求項11記載の様に、Niを用いることができる。また、この他にも、クロムメッキ、や亜鉛メッキ、白金メッキなどを施すことでも親水性を持たせることが出来る。 【0017】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面と共に説明する。図1は、本発明のガスセンサの第1実施例としての酸素センサについて、全体的構成を示す断面図である。図1に示すように、この酸素センサ1は、ZrO2を主成分とする固体電解質体により先端が閉じた中空軸状に形成された検出素子2、検出素子2内に配置された軸状のセラミックヒータ3、検出素子2を支持する主体金具9、主体金具9の上部に連設され内側に基準ガス空間を形成する外筒13、外筒13の上部開口部47に配設されたシールユニット14、検出素子2の出力電圧を外部に取り出すためのリード線20,21などから構成されている。また、後述の様に、セラミックヒータ3に通電するためのリード線22,23も設けられている(図3(c)参照)。なお、本実施例においては主体金具9および外筒13が、請求項の「筐体」を構成している。 【0018】シールユニット14は、図2(a)、(b)に示す様に、円柱状の基礎部材15と押え部材16との間に、円形のシート状の撥水性フィルタ50を介装させて構成されたものである。基礎部材15および押え部材16は耐熱性を確保するためにフッ素ゴムで形成されている。 【0019】押え部材16には、図2(b)に示すように、中央を軸方向に貫通して外気を導入する通気孔16aが形成されている。そして、押え部材16には、図3(a)にも示す様に、通気孔16aの周りに等間隔で配置され、複数のリード線20〜23を通過させるために同本体を軸方向に貫通する挿通孔16bが、リード線20〜23と同数形成されている。なお本実施例においては、この押え部材16、請求項の「シール部材」に相当する。 【0020】一方、基礎部材15にも、その円柱状の本体の中央を軸方向に貫通して外気を導入するための通気孔15aと、この通気孔15aの周りに等間隔で配置され、リード線20〜23を挿通するために同本体を軸方向に貫通する4つの挿通孔15bとが形成されている。 【0021】撥水性フィルタ50には、上記挿通孔15a,16bに対応する位置に挿通孔50aが形成されている。撥水性フィルタ50は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の未焼成成形体を延伸することにより得られる多孔質繊維構造体(例えば、商品名:ゴアテックス(ジャパンゴアテックス(株)))であり、水滴等の水を主体とする液体の透過は阻止し、かつ気体(空気、水蒸気等)の透過は許容する。 【0022】基礎部材15および押え部材16に夫々形成された通気孔15a,16aがつながるよう、しかも、基礎部材15および押え部材16並びに撥水性フィルタ50に夫々形成された挿通孔15b,16b,50aがつながるよう、これら基礎部材15と押え部材16との間に撥水性フィルタ50を挟み込むことによりシールユニット14が構成される。 【0023】このように構成されたシールユニット14が外筒13の上部開口部47の内側に配置され、外筒13を介して径方向に加締められることにより、外筒13及びシールユニット14が互いに密着し、外筒13の上部開口部47におけるシール性が確保される。 【0024】さて、本実施例においては、シールユニット14を構成する押え部材16が外部空間に露出されるため、図3に示すように、外部空間に露出される押え部材16の上端面において、通気孔16aの周囲には、Niメッキからなる親水性コート30が施されている。 【0025】この親水性コート30は、図3(a)に示す如く、4つの挿通孔16bのピッチ円(押え部材16の軸心を中心とし、4つの各リード線装通孔16bの中心を通る円)を横切るよう施されている。即ち、親水性コート30は、ピッチ円の内側の領域から外側の領域に亘って形成されている。 【0026】図3(b)は、図3(a)におけるA−A断面図である。押え部材16は上述のように円柱状に形成されているが、図3(b)に示す如く、その上端面および下端面の両表面に上記の親水性コート30が施されている。この様に構成された本実施例の酸素センサ1においては、通気孔16aおよび挿通孔16bが形成された押え部材16の上端面に親水性コート30が施されていることから、挿通孔16b付近に水滴が付着しても、親水性コート30に導かれて流れることができるため、通気孔16a付近に溜まり難くなる。つまり、通気孔16aを水滴が塞ぐことがなくなり、通気性を確保することができる。 【0027】また、特に親水性コート30は、挿通孔16bのピッチ円を横切るように形成されていることから、ピッチ円の内側領域(即ち通気孔16aのある領域)から外側領域に水滴が流れ易くなり、より確実に通気性の確保を図ることができる。また、押え部材16の上端面および下端面の両面に親水性コート30を施していることから、上端面および下端面の何れの面を外気側(外部空間側)に露出させても良いことになる。即ち、押え部材16を用いて外筒13の上部開口部47をシールするに当たり、押え部材16が裏であるか表であるかを考慮して組み付ける必要がないため、組み付け作業が行いやすいという効果を奏する。 【0028】次に第2実施例について説明する。図4は、第2実施例としての酸素センサにおいて、シールユニットを外筒の上部開口部147に配設した様子を示す斜視図である。図4に示すように、本実施例の酸素センサにおいては、外部に露出したリード線120〜123の被覆部表面には、押え部材116の近傍において、シールユニットと同様にNiメッキからなる親水性コート130が施されている。 【0029】第2実施例の酸素センサに関して、上記以外の構成については、第1実施例の酸素センサと同様であるので、説明を省略する。以上の様に、本実施例の酸素センサにおいては、リード線120〜123の被覆部表面に親水性コート130が施されていることから、水滴がリード線120〜123にはじかれて通気孔116a付近に集結する、ということがなくなる。つまり、通気孔116aを水滴が塞ぐことがなくなり、通気性を確保することができる。 【0030】以上、本発明の実施例について説明したが、本発明の実施の形態は、上記実施例に何ら限定されることなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。例えば、通気孔16a,116aや挿通孔16b等の配置や形状等は上記実施例のものに限られず、設計の便宜上適宜変更しうるものである。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000004547 【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
|
| 【出願日】 |
平成12年8月31日(2000.8.31) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100082500 【弁理士】 【氏名又は名称】足立 勉 (外1名)
|
| 【公開番号】 |
特開2002−71627(P2002−71627A) |
| 【公開日】 |
平成14年3月12日(2002.3.12) |
| 【出願番号】 |
特願2000−263854(P2000−263854) |
|