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【発明の名称】 電気化学式ガスセンサー
【発明者】 【氏名】打越 祥一

【氏名】小川 高史

【要約】 【課題】サンプリングポンプの脈動に関わり無く、センサー出力を一定に維持すること。

【解決手段】通気性隔膜5を介して被検ガスを電解液1に取り込み、前記被検ガスの濃度に対応した電気信号を出力する電気化学式ガスセンサーであって、隔膜5のガス流入側に多孔性膜12によりバッファ室13を区画形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 通気性隔膜を介して被検ガスを電解液に取り込み、前記被検ガスの濃度に対応した電気信号を出力する電気化学式ガスセンサーにおいて、前記隔膜のガス流入側に多孔性膜によりバッファ室が区画形成されている電気化学式ガスセンサー。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術の分野】本発明は、通気性隔膜を介してガスを取り込む電気化学式ガスセンサー、より詳細にはのガス取入口の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】定電位電解式ガスセンサーやガルバニ電池式ガスセンサーは、気体が透過可能な隔膜を介して被検ガスと電解液とを電極面で接触させる必要上、遠隔点のガス濃度を測定する場合には、図4に示したようにセンサーAのガス取入口Bにガス流入口Cとガス排出口Dとが形成されたキャップEを取付け、サンプリングポンプFによりガスをサンプリング流路Gを介して強制的に取り込むことが行われている。なお、図中符号Hは、バッファタンクを示す。
【0003】このようなサンプリングポンプFは、長いサンプリング流路Gを介してサンプリングガスを取り込むことも考慮して、構造が簡単で信頼性が高く、かつ吸引圧、吐出圧が大きなダイヤフラムポンプが使用されているが、サンプリング流路の長さが大幅に変わったり、またポンプの送気能力が経年変化すると、センサーAに供給できる流量が変動し、これに伴って検出出力、つまり検出感度も変動するという問題がある。このような問題を解消するため、ポンプの駆動速度を制御したり、流量制御弁を設けてセンサーAへのサンプリングガスの供給量を調整することもすることも考えられるが、サンプリング手段が複雑化するという新たな問題を招く。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、ガスサンプリング手段の構造の複雑化を招くことなく、サンプリング流路の流体抵抗の変動や、またポンプの送気能力の変動に関わりなく、検出感度を一定に維持することができる電気化学式ガスセンサーを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】このような課題を達成するために本発明においては、通気性隔膜を介して被検ガスを電解液に取り込み、前記被検ガスの濃度に対応した電気信号を出力する電気化学式ガスセンサーにおいて、前記隔膜のガス流入側に多孔性膜によりバッファ室が区画形成されている。
【0006】
【作用】被検ガスが流れ込むと、膜の流体抵抗とバッファ室との容積とにより流速を減じられてほぼ拡散によりセンサーに流れ込むからサンプリングガスの流量の変動に関わり無く検出感度が一定となる。
【0007】
【発明の実施の態様】そこで、以下に本発明の詳細を図示したこの実施例に基づいて説明する。図1は、本発明の電気化学式ガスセンサーの一実施例を示すものであって、この実施例では定電位電解式ガスセンサーとして構成されており、電解液1を収容したセル2に窓3、4、を設け、被検ガス取入口となる窓3には、通気性隔膜5に作用極として機能する物質、例えば白金黒層6を形成した作用極7が、また窓4を通気性隔膜8に対極として機能する物質、例えば銀層9を形成した対極10により封止し、さらにこれら作用極7及び対極10から離間した位置に銀線からなる参照極11を配置して構成されている。
【0008】被検ガス取入口となる窓3には、ここを封止している通気性隔膜5と一定幅Lの空間を区画するように被検ガスの透過が可能な多孔性膜12、この実施例では孔径0.2μm、多孔度72、厚さ130μmの四フッ化エチレン重合体(PTFE)の膜(アドバンテック社製の品名J020A)(膜A)を張設してバッファ室13が形成されている。なお、図中符号15は、保護枠を、また符号16は固定枠をそれぞれ示す。
【0009】この実施例において、図4に示したようなキャップEに装着するとともに、ガス排出口Dにダイヤフラムポンプで構成されたサンプリングポンプFを接続して被検ガスを取り込むと、キャップEにはポンプFやサンプリング流路の流体抵抗に応じた流量の被検ガスが流れ込む。
【0010】流れ込んだ被検ガスは、膜12に形成されている微小、かつ多数の細孔によりその流速を低減されてバッファ室13に流れ込み、ガス流としての勢いを阻害された状態で拡散により通気性隔膜5に流れ込む。これにより、センサー出力つまり作用極7と対極10とを流れる電解電流は、サンプリングポンプFの能力やサンプリング流路の流体抵抗の変動に起因するサンプリング流量の変化に左右されることなく、ガス濃度に対応した値となる。
【0011】図2は、被検ガスの流入量をパラメータ(なお、図中符号Aは100ml/min、符号Bは500ml/min、及び符号Cは1000ml/minを示す)としたときの、バッファ室13の幅Lとセンサー出力との関係を示すものであって、幅Lが1.0mm以上、つまり実用上、作用極7を構成する通気性隔膜5に密着しない程度の距離をおいて多孔性膜を配置するれば、10倍程度の流量変化に対しても検出出力を一定に維持することができる。
【0012】比較のためにろ紙(膜B)、異なる仕様(孔径0.1μm、多孔度76、厚さ90μm)の四フッ化エチレン重合体の膜(膜C)、及び作用極を構成する通気性隔膜5と同一の膜(膜D)を用いて比較実験したところ、膜Bはサンプリング流量の変動をまともに受け、また膜Cは、流量変動を若干緩和できるものの、検出精度を保証することは不可能であり、さらに膜Dは、流量変動を皆無とすることができるものの、ガス透過量が極めて少なくなるため、検出出力が極端に低下し、ガスセンサーとして使用することが不可能となる。すなわち、膜A〜Dによる検出特性をまとめると、表1のようになる。
【0013】
【表1】

【0014】なお、上述の実施例においてはセンサーのガス取入口に多孔性膜を取付けているが、図3に示したようにガスセンサーの被検ガス取入口である窓3とキャップEとの間に位置するように、キャップEに多孔性膜12を張設しても同様の作用を奏する。
【0015】また、上述の実施例においては、定電位電解式センサーに例を採って説明したが、隔膜を介して電解液に被検ガスを取り込む他の形式のガスセンサーに適用しても同様の作用を奏することは明らかである。
【0016】さらに、上述の実施例においては、被検ガスをキャップに吸引しているが、ポンプにより吸引した被検ガスを流し込むようにしても同様の作用を奏することを確認した。
【0017】
【発明の効果】以上説明したように本発明においては、通気性隔膜を介して被検ガスを電解液に取り込み、被検ガスの濃度に対応した電気信号を出力する電気化学式ガスセンサーにおいて、通気性隔膜のガス流入側に多孔性膜によりバッファ室が区画形成されているので、膜の流体抵抗とバッファ室との容積とにより流速を大幅に減じられ、バッファ室のガスが拡散によりセンサーに流れ込むから、サンプリングポンプやサンプリング流路による流量の変動を無くして規定の感度でガスを検出することができる。
【出願人】 【識別番号】000250421
【氏名又は名称】理研計器株式会社
【出願日】 平成12年9月1日(2000.9.1)
【代理人】 【識別番号】100082566
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 慶治 (外1名)
【公開番号】 特開2002−71622(P2002−71622A)
【公開日】 平成14年3月12日(2002.3.12)
【出願番号】 特願2000−264789(P2000−264789)