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【発明の名称】 湿度センサ
【発明者】 【氏名】小谷 勉

【氏名】後藤 真史

【要約】 【課題】小型化を図りつつ特性が安定化されて製造コストを低減する。

【解決手段】それぞれ複数のくし歯が形成された検出部14Aを先端側に有した一対のくし形電極14が、セラミック基板12上に備えられる。セラミック基板12に形成されているくし形電極14の周囲に、発泡性材料Eによる枠部材16がこの検出部14Aを囲むような四角い環状に形成されて、配置されている。この枠部材16の内側のくし形電極14が形成された部分を含むセラミック基板12の表面全体が、雰囲気中の湿気を吸収し得る高分子感湿膜18で覆われている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電極が形成された基板の表面を感湿膜が覆っている湿度センサであって、前記電極の周囲に発泡性材料による枠部材を配置し、この枠部材の内側全域を感湿膜で覆うようにしたことを特徴とする湿度センサ。
【請求項2】 発泡性材料が、発泡性シリコーンゴム又は発泡性ウレタンゴムとされることを特徴とする請求項1記載の湿度センサ。
【請求項3】 スクリーン印刷により基板上に枠部材となる発泡性材料が設けられたことを特徴とする請求項1或いは請求項2記載の湿度センサ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、小型化を図りつつ特性を安定化して製造コストを低減した湿度センサに係り、特に湿度を高精度で測定する為の湿度センサとして好適なものである。
【0002】
【従来の技術】気体中の相対湿度の変化を例えば電気抵抗の変化として湿度の値を測定する湿度センサが、エアコン等に広く使用されている。また、湿度センサとして、一対の電極が形成された基板上の部分を有機高分子材料等の材料による感湿膜で覆った構造のものが、従来より存在している。そして、この感湿膜の基板上への従来の形成方式を大別すると、感湿膜形成用の溶液中に電極部分を浸して感湿膜を形成するディップ方式と、電極部分に感湿剤を塗布して感湿膜を形成する塗布方式とが、知られている。
【0003】図5には、感湿膜形成用の溶液中に基板の電極部分を浸して感湿膜を形成するこのディップ方式が、示されている。つまり、図5(A)に示す基板112の電極114が存在する部分を感湿膜形成用の溶液L中に図5(B)に示すように浸してこの溶液Lを付着することで、この溶液Lに浸された基板112の部分に、図5(C)に示すように感湿膜118が形成されることになる。
【0004】一方、図6には、基板の電極部分に感湿剤を塗布して感湿膜を形成する塗布方式が、示されている。つまり、図6(A)に示す基板112に、感湿剤はみ出し防止用の図6(B)に示す枠部材であるダム116を形成すると共に、このダム116の内側全域にディスペンサ120から感湿剤Sをたらして、図6(C)に示すように感湿膜を形成していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】図5に示すディップ方式では、基板112の電極114上に形成された感湿膜118の膜厚が不均一となり、結果として、本来高い測定精度が要求される湿度センサの湿度測定値がばらついて不良品が多くなり、これに伴って湿度センサの歩留りが低下する欠点があった。
【0006】具体的には、従来のディップ方式の場合、感湿膜形成用の溶液Lとして例えばアクリル形4級アンモニウム塩溶液が用いられているが、この溶液Lに浸した後の感湿膜の膜厚は1μm以下となる。しかし、このような薄い膜厚では、セラミック製の基板の表面と電極材表面との間のぬれ性の相違、洗浄状態の維持管理の困難性及び、溶液に加わる重力や表面張力により形成される溶液の溜まり部の存在等により、電極114上において均一な厚みの膜を形成することが出来ず、特性が不安定となる結果として湿度センサの歩留りが低下することになる。
【0007】一方、上記のディップ方式の欠点がないものとして図6に示す感湿剤Sをディスペンサ120等で塗布する塗布方式も採用されている。但し、この塗布方式では、塗布後の乾燥時間を考慮して溶剤に溶解された感湿剤Sを用い、感湿剤Sを塗布し乾燥した後において、必要な部分に所定厚みで均一に感湿膜を成膜させる為、塗布厚を厚くして電極114の周囲の部分まで感湿膜で完全に覆う必要がある。
【0008】従って、シリコーン等の樹脂にてダム116を形成する構造としているが、図6(C)に示すように感湿剤Sがダム116からはみ出さないようにするには、塗布面の一辺を3.8mmの正方形とした場合、図7に示すように、感湿剤Sの塗布直後における感湿剤Sの高さH3に対してダム116の高さH4は80μm必要であった。しかし、ダム116の高さを80μmとする為には、ダム116の底面の幅も大きくする必要があり、小型化を要求される湿度センサには実質的に採用が困難であった。
【0009】本発明は上記事実を考慮し、小型化を図りつつ特性が安定化されて製造コストが低減され得る湿度センサを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1による湿度センサは、電極が形成された基板の表面を感湿膜が覆っている湿度センサであって、前記電極の周囲に発泡性材料による枠部材を配置し、この枠部材の内側全域を感湿膜で覆うようにしたことを特徴とする。
【0011】請求項1に係る湿度センサの作用を以下に説明する。本請求項に係る湿度センサは、基板に形成された電極の周囲に発泡性材料による枠部材を配置し、この枠部材の内側全域に感湿剤を塗布して、電極が存在する基板の表面部分である枠部材の内側の全域を感湿膜で覆うようにした。つまり、電極の周囲の部分に発泡性材料を設け、設けられた後における発泡性材料の発泡によって発泡性材料を膨張させて、感湿剤のはみ出しを防ぐのに充分な高さを確保する様にしている為、枠部材の内側からの感湿剤のはみ出しを確実に防ぐことができる。また、発泡後における発泡性材料の基板との接着面側寄り部分がオーバーハングとなるので、湿度センサの製造時において液状の感湿剤を保持する保持力が高くなり、湿度センサの小型化を図ることもできる。
【0012】従って、発泡性材料による枠部材の存在で、湿度センサの小型化が図れるだけでなく、感湿膜を充分な膜厚にできるのに伴って、感湿膜の膜厚のばらつきも少なくできるので、湿度センサの特性が安定化されて歩留りが高まり、湿度センサの製造コストを低減することが可能となる。
【0013】さらに、発泡性材料の発泡比率を変化させるだけで、枠部材の高さを変化できるのに伴って、基板の表面に形成された感湿膜の膜厚をも容易にコントロールできるようになる。この結果として、感湿膜の膜厚が変更された場合でも容易に対応することが可能となる。一方、発泡性材料の発泡比率を変化させるだけで、塗布幅に対する発泡後の発泡性材料の高さの比を変更できるので、この塗布幅に対する高さの比の自由度が高く、多種多様の応用が可能ともなる。
【0014】請求項2に係る湿度センサの作用を以下に説明する。本請求項は請求項1と同様の構成を有して同様に作用するが、さらに、発泡性材料が、発泡性シリコーンゴム又は発泡性ウレタンゴムとされるという構成を有する。つまり、これら発泡性シリコーンゴムや発泡性ウレタンゴム等の一般的で低コストな材料により発泡性材料が形成されているので、より一層低コストで感湿膜の膜厚のばらつきを少なくでき、この結果として、湿度センサの製造コストを一層低減できるようになる。
【0015】請求項3に係る湿度センサの作用を以下に説明する。本請求項は請求項1と同様の構成を有して同様に作用するが、さらに、スクリーン印刷により基板上に枠部材となる発泡性材料が設けられるという構成を有する。つまり、電極が形成された基板が多数並んでいる状態でスクリーン印刷により発泡性材料を基板上に設けれることにより、大量の基板に発泡性材料を一度に設けることができ、これに伴って湿度センサを容易に多量生産できる。この為、湿度センサの製造の際の作業性が優れ、湿度センサの製造コストをより一層低減できるようになる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明に係る湿度センサの一実施の形態を説明することにより、本発明を明らかにする。図1から図3は本実施の形態に係る湿度センサ10を示す図である。本実施の形態では、それぞれ複数のくし歯が形成された検出部14Aを先端側に有した一対のくし形電極14が、セラミック基板12上に備えられた構造とされている。
【0017】これら一対のくし形電極14は、酸化ルテニウム等の電極材からなっていると共に、検出部14Aの複数本のくし歯を等間隔で有しており、一方のくし形電極のくし歯と他方のくし形電極のくし歯とが相互に挟み合う様に、これら一対のくし形電極14は相互に対向して配置されている。さらに、一対のくし形電極14の各端部には、四角形のパッド部14Bがそれぞれ設けられており、図示しないリード端子がそれぞれ半田付けされて、これらパッド部14Bに固定されるようになっている。
【0018】一方、セラミック基板12に形成されているくし形電極14の周囲には、発泡性材料Eによる枠部材16がこの検出部14Aを囲むような四角い環状に形成されて、配置されている。この枠部材16の内側のくし形電極14が形成された部分を含むセラミック基板12の表面全体が、雰囲気中の湿気を吸収し得る感湿膜である高分子感湿膜18で、図3に示すように覆われている。
【0019】次に、本実施の形態に係る湿度センサ10の製造工程を説明する。先ず、セラミック基板12が多数並んでいる状態で、これらセラミック基板12に一対のくし形電極14を印刷等によりそれぞれ形成してから、図4(A)に示すように、発水性をそれぞれ有する発泡性シリコーンゴム或いは発泡性ウレタンゴムによる発泡性材料Eを、一対のくし形電極14の検出部14Aを高さH1の高さでそれぞれ囲むように、スクリーン印刷によってセラミック基板12上に設ける。
【0020】この後、図4(B)に示すように、発泡性材料Eを3倍程度の大きさに発泡させて必要な高さである高さH2の枠部材16とする。但し、セラミック基板12との接着面側は膨張し難いので、発泡後における発泡性材料Eのセラミック基板12との接着面側寄り部分がオーバーハング形状となる。つまり、発泡性材料Eの接着面の部分よりその上側の部分が外周に張り出した形状となっている。
【0021】さらに、図4(C)に示すように、溶剤に溶解された感湿剤Sをこの枠部材16の内側全域に塗布して乾燥してから熱処理することで、枠部材16の内側に位置するくし形電極14の検出部14Aを高分子感湿膜18で覆うようにした。最後に、多数並んでいるセラミック基板12を分離するように切断すると共に、くし形電極14のパッド部14Bにリード端子をそれぞれ半田付けして固定し、湿度センサ10が完成される。
【0022】次に、本実施の形態に係る湿度センサ10の作用を説明する。本実施の形態に係る湿度センサ10は、セラミック基板12に形成されたくし形電極14の周囲に発泡性材料Eによる枠部材16を配置し、この枠部材16の内側全域に感湿剤Sを塗布して、くし形電極14が存在するセラミック基板12の表面部分である枠部材16の内側の全域を高分子感湿膜18で覆うようにした。
【0023】つまり、くし形電極14の周囲の部分に枠部材16となる発泡性材料Eを設け、設けられた後における発泡性材料Eの発泡によって発泡性材料Eを膨張させて、感湿剤Sのはみ出しを防ぐのに充分な高さを確保する様にしている為、枠部材16の内側からの感湿剤Sのはみ出しを確実に防ぐことができる。また、発泡後における発泡性材料Eのセラミック基板12との接着面側寄り部分がオーバーハングとなるので、湿度センサ10の製造時において液状の感湿剤Sを保持する保持力が高くなり、湿度センサ10の小型化を図ることもできる。
【0024】従って、発泡性材料Eによる枠部材16の存在で、湿度センサ10の小型化が図れるだけでなく、高分子感湿膜18を充分な膜厚にできるのに伴って、高分子感湿膜18の膜厚のばらつきも少なくできるので、湿度センサ10の特性が安定化されて歩留りが高まり、湿度センサ10の製造コストを低減することが可能となる。
【0025】さらに、発泡性材料Eの発泡比率を変化させるだけで、枠部材16の高さを変化できるのに伴って、セラミック基板12の表面に形成された高分子感湿膜18の膜厚をも容易にコントロールできるようになる。この結果として、高分子感湿膜18の膜厚が変更された場合でも容易に対応することが可能となる。一方、発泡性材料Eの発泡比率を変化させるだけで、図3に示す塗布幅Dに対する発泡後の発泡性材料Eの高さH2の比を変更できるので、この塗布幅Dに対する高さH2の比の自由度が高く、多種多様の応用が可能ともなる。
【0026】他方、本実施の形態では、セラミック基板12上に枠部材16となる発泡性材料Eがスクリーン印刷によって設けられるだけでなく、この発泡性材料Eが発泡性シリコーンゴム或いは発泡性ウレタンゴム等の材料で形成されている。つまり、枠部材16を構成する発泡性材料Eが、これら発泡性シリコーンゴム或いは発泡性ウレタンゴム等の一般的な材料により形成されているので、より一層低コストで高分子感湿膜18の膜厚のばらつきを少なくでき、この結果として、湿度センサ10の製造コストを一層低減できるようになる。
【0027】また、くし形電極14が形成されたセラミック基板12が多数並んでいる状態でスクリーン印刷により発泡性材料Eをセラミック基板12上に設けることにより、大量のセラミック基板12に発泡性材料Eを一度に設けることができ、これに伴って、湿度センサ10を容易に多量生産できるようになる。この為、湿度センサ10の製造の際の作業性が優れ、湿度センサ10の製造コストをより一層低減できるようになる。
【0028】尚、上記実施の形態では、発泡性材料として、発泡性シリコーンゴムや発泡性ウレタンゴムを採用することとしたが、他の発泡性を有する樹脂材等の材料でもよく、また発泡性材料は、加熱により発泡する材料や、常温や低温で発泡する材料であっても良い。さらに、上記実施の形態では、基板としてセラミック製のセラミック基板を採用したが他の材料の基板としても良く、また、一対のくし形電極を酸化ルテニウムで形成したが、金や白金等の電極材で形成しても良い。一方、本発明は上記の湿度センサだけでなく、膜部材を必要とする他の電子部品にも適用することができる。
【0029】
【発明の効果】本発明の湿度センサによれば、小型化を図りつつ特性が安定化されて製造コストを低減することが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000003067
【氏名又は名称】ティーディーケイ株式会社
【出願日】 平成12年9月5日(2000.9.5)
【代理人】 【識別番号】100101269
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 道夫
【公開番号】 特開2002−71612(P2002−71612A)
【公開日】 平成14年3月12日(2002.3.12)
【出願番号】 特願2000−268073(P2000−268073)