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【発明の名称】 植物の根の評価方法
【発明者】 【氏名】山浦 逸雄

【氏名】矢嶋 征雄

【氏名】田中 京子

【要約】 【課題】植物の根の接地抵抗値から大地比抵抗の影響を取り除き根本来の大きさや形態に基づく指標を数値的に得る方法。

【解決手段】従来の方法により、大地に設置する補助電極C、Pと植物/樹木10に取り付けた電極T、Eを用いて樹木10の接地抵抗を電流IとVEPから測定する。次に,電極Cの接地抵抗を電流IとVPCから測定する。これら二つの接地抵抗値と棒状電極Cの半径a、埋め込み深さbから、根と同じ接地抵抗をもつ半球状電極および円板状電極の半径に換算した等価半径を求め、また適当に定めた半径Lの棒状電極の埋め込み深さに換算した等価長を知ることができる。このようにして求めた値が、植物の根の接地抵抗測定値から大地比抵抗の影響を取り除いて、根本来のの大きさや形態に関する情報を数値的に与える指標となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 大地に根ざした植物の茎や幹の地表から離れた部位に主電極Tを取り付け、前記植物から十分離れた大地に補助電極Cを設置し、前記植物の茎や幹の前記主電極Tより下方の地表付近に電極Eを取り付け、前記植物と前記補助電極Cとの間の大地の電位分布を求めて該電位分布が平坦となる領域に電極Pを設置し、前記主電極Tと前記補助電極Cとの間に植物を通って大地を流れる測定用電流を流し、前記電極Eと前記電極Pとの間の電圧値VEPを測定し、測定した該電圧値VEPを前記測定用電流の電流値Iで割って大地と前記植物の根との間の接地抵抗値RRを求め、前記測定用電流を流した際の、前記電極Pと前記補助電極Cとの間の電圧値VPCを測定し、測定した該電圧値VPCを前記測定用電流の電流値Iで割って補助電極Cの接地抵抗値RCを求め、前記補助電極Cの半径をa、埋めこみ深さをb(b≫a)としたとき、大地の比抵抗ρを、式、ρ=2πbRC/ln(2b/a)で求め、植物の根と同じ接地抵抗をもつ半球状電極の半径をrとしたとき、植物の根の等価半径rを、式、r=ρ/(2πRR)で求めることを特徴とする植物の根の評価方法。
【請求項2】 大地に根ざした植物の茎や幹の地表から離れた部位に主電極Tを取り付け、前記植物から十分離れた大地に補助電極Cを設置し、前記植物の茎や幹の前記主電極Tより下方の地表付近に電極Eを取り付け、前記植物と前記補助電極Cとの間の大地の電位分布を求めて該電位分布が平坦となる領域に電極Pを設置し、前記主電極Tと前記補助電極Cとの間に植物を通って大地を流れる測定用電流を流し、前記電極Eと前記電極Pとの間の電圧値VEPを測定し、測定した該電圧値VEPを前記測定用電流の電流値Iで割って大地と前記植物の根との間の接地抵抗値RRを求め、前記測定用電流を流した際の、前記電極Pと前記補助電極Cとの間の電圧値VPCを測定し、測定した該電圧値VPCを前記測定用電流の電流値Iで割って補助電極Cの接地抵抗値RCを求め、前記補助電極Cの半径をa、埋めこみ深さをb(b≫a)としたとき、大地の比抵抗ρを、式、ρ=2πbRC/ln(2b/a)で求め、植物の根と同じ接地抵抗をもつ円板状電極の半径をrとしたとき、植物の根の等価半径rを、式、r=ρ/(4RR)で求めることを特徴とする植物の根の評価方法。
【請求項3】 大地に根ざした植物の茎や幹の地表から離れた部位に主電極Tを取り付け、前記植物から十分離れた大地に補助電極Cを設置し、前記植物の茎や幹の前記主電極Tより下方の地表付近に電極Eを取り付け、前記植物と前記補助電極Cとの間の大地の電位分布を求めて該電位分布が平坦となる領域に電極Pを設置し、前記主電極Tと前記補助電極Cとの間に植物を通って大地を流れる測定用電流を流し、前記電極Eと前記電極Pとの間の電圧値VEPを測定し、測定した該電圧値VEPを前記測定用電流の電流値Iで割って大地と前記植物の根との間の接地抵抗値RRを求め、前記測定用電流を流した際の、前記電極Pと前記補助電極Cとの間の電圧値VPCを測定し、測定した該電圧値VPCを前記測定用電流の電流値Iで割って補助電極Cの接地抵抗値RCを求め、前記補助電極Cの半径をa、埋めこみ深さをb(b≫a)としたとき、大地の比抵抗ρを、式、ρ=2πbRC/ln(2b/a)で求め、植物の根と同じ接地抵抗をもつ棒状電極(半径L、長さD、L≪D)の半径Lを適当に定めたとき、植物の根の等価長さDを、式、2πRRD=ρln(2D/L)で求めることを特徴とする植物の根の評価方法。
【請求項4】 大地に根ざした植物の茎や幹の地表から離れた部位に主電極Tを取り付け、前記植物から十分離れた大地に補助電極Cを設置し、前記植物の茎や幹の前記主電極Tより下方の地表付近に電極Eを取り付け、前記植物と前記補助電極Cとの間の大地の電位分布を求めて該電位分布が平坦となる領域に電極Pを設置し、前記主電極Tと前記補助電極Cとの間に植物を通って大地を流れる測定用電流を流し、前記電極Eと前記電極Pとの間の電圧値VEPを測定し、測定した該電圧値VEPを前記測定用電流の電流値Iで割って大地と前記植物の根との間の接地抵抗値RRを求め、前記測定用電流を流した際の、前記電極Pと前記補助電極Cとの間の電圧値VPCを測定し、測定した該電圧値VPCを前記測定用電流の電流値Iで割って補助電極Cの接地抵抗値RCを求め、前記補助電極Cの半径をa、埋めこみ深さをb(b≫a)、植物の根と同じ接地抵抗をもつ半球状電極の半径をrとしたとき、植物の根の等価半径rを、式、r=bRC/(RRln(2b/a))で求めることを特徴とする植物の根の評価方法。
【請求項5】 大地に根ざした植物の茎や幹の地表から離れた部位に主電極Tを取り付け、前記植物から十分離れた大地に補助電極Cを設置し、前記植物の茎や幹の前記主電極Tより下方の地表付近に電極Eを取り付け、前記植物と前記補助電極Cとの間の大地の電位分布を求めて該電位分布が平坦となる領域に電極Pを設置し、前記主電極Tと前記補助電極Cとの間に植物を通って大地を流れる測定用電流を流し、前記電極Eと前記電極Pとの間の電圧値VEPを測定し、測定した該電圧値VEPを前記測定用電流の電流値Iで割って大地と前記植物の根との間の接地抵抗値RRを求め、前記測定用電流を流した際の、前記電極Pと前記補助電極Cとの間の電圧値VPCを測定し、測定した該電圧値VPCを前記測定用電流の電流値Iで割って補助電極Cの接地抵抗値RCを求め、前記補助電極Cの半径をa、埋めこみ深さをb(b≫a)、植物の根と同じ接地抵抗をもつ円板状電極の半径をrとしたとき、植物の根の等価半径rを、式、r=πbRC/(2RRln(2b/a))で求めることを特徴とする植物の根の評価方法。
【請求項6】 大地に根ざした植物の茎や幹の地表から離れた部位に主電極Tを取り付け、前記植物から十分離れた大地に補助電極Cを設置し、前記植物の茎や幹の前記主電極Tより下方の地表付近に電極Eを取り付け、前記植物と前記補助電極Cとの間の大地の電位分布を求めて該電位分布が平坦となる領域に電極Pを設置し、前記主電極Tと前記補助電極Cとの間に植物を通って大地を流れる測定用電流を流し、前記電極Eと前記電極Pとの間の電圧値VEPを測定し、測定した該電圧値VEPを前記測定用電流の電流値Iで割って大地と前記植物の根との間の接地抵抗値RRを求め、前記測定用電流を流した際の、前記電極Pと前記補助電極Cとの間の電圧値VPCを測定し、測定した該電圧値VPCを前記測定用電流の電流値Iで割って補助電極Cの接地抵抗値RCを求め、前記補助電極Cの半径をa、埋めこみ深さをb(b≫a)、植物の根と同じ接地抵抗をもつ棒状電極(半径L、長さD、L≪D)の半径Lを適当に定めたとき、植物の根の等価長さDを、式、ln(2D/L)/D=RRln(2b/a) /(bRC)から求めることを特徴とする植物の根の評価方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、植物の根の評価方法に関する。
【0002】
【従来の技術】植物は地中に根を張り、この根から水分、栄養分を吸収して生長するから、植物の根は植物の成長に重要な役割を果たしている。昔から、植物の生育状態の良否を判断する一手法として、この根の張り具合をもって判断するという手法もある。つまり、根が植物の幹から遠くまで張っている場合には根の張り具合がよいから植物の生育状態は良好であり、逆に根の張り具合がよくない場合には植物の生育状態は不良であると判断するのである。しかしながら、食物の根は地中にあるために地上からはその張り具合を判断することはできず、たまたま地表に根の一部が露出していれば、この露出した根と幹との間の距離から根が植物の幹からどの程度遠くまで張っているのかという張り具合を判断できるが、そうでない場合には、実際に土を掘って見なければ根の根の張り具合を確かめることはできない。このように根の張り具合は容易には確認できないという課題があった。
【0003】そこで、発明者は、植物の根は地中にあって、その表面は土と接触しているのであるから、植物の根と大地との間の電気抵抗というものを考えた場合に、根の張り具合が良い場合には根と土との接触面積が増加するのであるから、根の張り具合の悪い場合と比べた場合に電気抵抗が小さくなる等、植物の根と大地との間の電気抵抗(接地抵抗)を測定することにより、植物の生育状況を判断する方法を提案した(特開平11−332377号)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、接地抵抗値は大地の比抵抗によって影響を受けるので、大地比抵抗の同じ場所における植物の根の大きさや発達状態の比較はできるが、比抵抗の異なった場所における植物の根の大きさや発達状態を正確に評価することはできない。大地の比抵抗は大地の乾湿程度などによって大きな変化を示すので、同一場所であっても雨の降った後と晴天が続いた後では異なった値となる。したがって、測定する日の大地比抵抗の値によって、根の接地抵抗値は大きくなったり小さくなったりするので、個々の根の大きさや発達状態を時間を追って正確に評価することは困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、上記のような不都合を解決しようとするものであり、大地の比抵抗の変化にかかわらず、根本来の大きさや発達状態の時間推移を知ることのできる方法を提供し、さらに詳細には、根の接地抵抗と大地比抵抗を同一回路で同時に測定するための電極配置を与え、根の大きさや発達状態を数値的に評価することのできる方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る植物の根の評価方法は、大地に根ざした植物の茎や幹の地表から離れた部位に主電極Tを取り付け、前記植物から十分離れた大地に補助電極Cを設置し、前記植物の茎や幹の前記主電極Tより下方の地表付近に電極Eを取り付け、前記植物と前記補助電極Cとの間の大地の電位分布を求めて該電位分布が平坦となる領域に電極Pを設置し、前記主電極Tと前記補助電極Cとの間に植物を通って大地を流れる測定用電流を流し、前記電極Eと前記電極Pとの間の電圧値VEPを測定し、測定した該電圧値VEPを前記測定用電流の電流値Iで割って大地と前記植物の根との間の接地抵抗値RRを求め、前記測定用電流を流した際の、前記電極Pと前記補助電極Cとの間の電圧値VPCを測定し、測定した該電圧値VPCを前記測定用電流の電流値Iで割って補助電極Cの接地抵抗値RCを求め、前記補助電極Cの半径をa、埋めこみ深さをb(b≫a)としたとき、大地の比抵抗ρを、式、ρ=2πbRC/ln(2b/a)で求め、植物の根と同じ接地抵抗をもつ半球状電極の半径をrとしたとき、植物の根の等価半径rを、式、r=ρ/(2πRR)で求めることを特徴としている。
【0007】また本発明に係る植物の根の評価方法では、大地に根ざした植物の茎や幹の地表から離れた部位に主電極Tを取り付け、前記植物から十分離れた大地に補助電極Cを設置し、前記植物の茎や幹の前記主電極Tより下方の地表付近に電極Eを取り付け、前記植物と前記補助電極Cとの間の大地の電位分布を求めて該電位分布が平坦となる領域に電極Pを設置し、前記主電極Tと前記補助電極Cとの間に植物を通って大地を流れる測定用電流を流し、前記電極Eと前記電極Pとの間の電圧値VEPを測定し、測定した該電圧値VEPを前記測定用電流の電流値Iで割って大地と前記植物の根との間の接地抵抗値RRを求め、前記測定用電流を流した際の、前記電極Pと前記補助電極Cとの間の電圧値VPCを測定し、測定した該電圧値VPCを前記測定用電流の電流値Iで割って補助電極Cの接地抵抗値RCを求め、前記補助電極Cの半径をa、埋めこみ深さをb(b≫a)としたとき、大地の比抵抗ρを、式、ρ=2πbRC/ln(2b/a)で求め、植物の根と同じ接地抵抗をもつ円板状電極の半径をrとしたとき、植物の根の等価半径rを、式、r=ρ/(4RR)で求めることを特徴としている。
【0008】さらに本発明に係る植物の根の評価方法では、大地に根ざした植物の茎や幹の地表から離れた部位に主電極Tを取り付け、前記植物から十分離れた大地に補助電極Cを設置し、前記植物の茎や幹の前記主電極Tより下方の地表付近に電極Eを取り付け、前記植物と前記補助電極Cとの間の大地の電位分布を求めて該電位分布が平坦となる領域に電極Pを設置し、前記主電極Tと前記補助電極Cとの間に植物を通って大地を流れる測定用電流を流し、前記電極Eと前記電極Pとの間の電圧値VEPを測定し、測定した該電圧値VEPを前記測定用電流の電流値Iで割って大地と前記植物の根との間の接地抵抗値RRを求め、前記測定用電流を流した際の、前記電極Pと前記補助電極Cとの間の電圧値VPCを測定し、測定した該電圧値VPCを前記測定用電流の電流値Iで割って補助電極Cの接地抵抗値RCを求め、前記補助電極Cの半径をa、埋めこみ深さをbとしたとき、大地の比抵抗ρを、式、ρ=2πbRC/ln(2b/a)で求め、植物の根と同じ接地抵抗をもつ棒状電極(半径L、長さD、L≪D)の半径Lを適当に定めたとき、植物の根の等価長さDを、式、2πRRD=ρln(2D/L)で求めることを特徴としている。
【0009】また本発明に係る植物の根の評価方法では、大地に根ざした植物の茎や幹の地表から離れた部位に主電極Tを取り付け、前記植物から十分離れた大地に補助電極Cを設置し、前記植物の茎や幹の前記主電極Tより下方の地表付近に電極Eを取り付け、前記植物と前記補助電極Cとの間の大地の電位分布を求めて該電位分布が平坦となる領域に電極Pを設置し、前記主電極Tと前記補助電極Cとの間に植物を通って大地を流れる測定用電流を流し、前記電極Eと前記電極Pとの間の電圧値VEPを測定し、測定した該電圧値VEPを前記測定用電流の電流値Iで割って大地と前記植物の根との間の接地抵抗値RRを求め、前記測定用電流を流した際の、前記電極Pと前記補助電極Cとの間の電圧値VPCを測定し、測定した該電圧値VPCを前記測定用電流の電流値Iで割って補助電極Cの接地抵抗値RCを求め、前記補助電極Cの半径をa、埋めこみ深さをb(b≫a)、植物の根と同じ接地抵抗をもつ半球状電極の半径をrとしたとき、植物の根の等価半径rを、式、r=bRC/(RRln(2b/a))で求めることを特徴としている。
【0010】またさらに本発明の係る植物の根の評価方法では、大地に根ざした植物の茎や幹の地表から離れた部位に主電極Tを取り付け、前記植物から十分離れた大地に補助電極Cを設置し、前記植物の茎や幹の前記主電極Tより下方の地表付近に電極Eを取り付け、前記植物と前記補助電極Cとの間の大地の電位分布を求めて該電位分布が平坦となる領域に電極Pを設置し、前記主電極Tと前記補助電極Cとの間に植物を通って大地を流れる測定用電流を流し、前記電極Eと前記電極Pとの間の電圧値VEPを測定し、測定した該電圧値VEPを前記測定用電流の電流値Iで割って大地と前記植物の根との間の接地抵抗値RRを求め、前記測定用電流を流した際の、前記電極Pと前記補助電極Cとの間の電圧値VPCを測定し、測定した該電圧値VPCを前記測定用電流の電流値Iで割って補助電極Cの接地抵抗値RCを求め、前記補助電極Cの半径をa、埋めこみ深さをb、植物の根と同じ接地抵抗をもつ円板状電極の半径をrとしたとき、植物の根の等価半径rを、式、r=πbRC/(2RRln(2b/a))で求めることを特徴としている。
【0011】さらに本発明に係る植物の根の評価方法では、大地に根ざした植物の茎や幹の地表から離れた部位に主電極Tを取り付け、前記植物から十分離れた大地に補助電極Cを設置し、前記植物の茎や幹の前記主電極Tより下方の地表付近に電極Eを取り付け、前記植物と前記補助電極Cとの間の大地の電位分布を求めて該電位分布が平坦となる領域に電極Pを設置し、前記主電極Tと前記補助電極Cとの間に植物を通って大地を流れる測定用電流を流し、前記電極Eと前記電極Pとの間の電圧値VEPを測定し、測定した該電圧値VEPを前記測定用電流の電流値Iで割って大地と前記植物の根との間の接地抵抗値RRを求め、前記測定用電流を流した際の、前記電極Pと前記補助電極Cとの間の電圧値VPCを測定し、測定した該電圧値VPCを前記測定用電流の電流値Iで割って補助電極Cの接地抵抗値RCを求め、前記補助電極Cの半径をa、埋めこみ深さをb(b≫a)、植物の根と同じ接地抵抗をもつ棒状電極(半径L、長さD、L≪D)の半径Lを適当に定めたとき、植物の根の等価長さDを、式、ln(2D/L)/D=RRln(2b/a) /(bRC)から求めることを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態】以下本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。発明者は、樹木と大地間の電気抵抗を接地抵抗の形で測定し、ひとつの樹木の接地抵抗の変化を日を追って測定した結果、その値の変化が樹木の生長と関係ない変動を示すことに気がつき、樹木近傍で測定した金属導体棒の接地抵抗と比較したところ同様な変化を示すことを見出した。金属導体棒の接地抵抗は、棒状導体の地面に打ち込んだ深さと棒状導体の直径および大地の比抵抗によって定まる。これら3つの定数のうち測定環境によって変動するのは比抵抗である。つまり、地中の水分量が降雨などによって増えれば、電気伝導性が増し、比抵抗は小さくなるため、接地抵抗も変化するのである。ゆえに、大地の比抵抗を植物の接地抵抗と同時に測定し、大地比抵抗の値で植物の接地抵抗値に一種の補正を施せば、大地比抵抗に影響されることなく植物本来の根の大きさや発達状態の推移を知ることができるようになる。
【0013】一般に、金属電極の電気接地抵抗Rは次の関数で表されることが知られている。R=ρ・fここで、ρは大地の比抵抗を示し、fは金属電極の地中における形態(形状と寸法)によって定まる定数である。上の式は電気伝導性をもつ植物の根に対しても成り立つから、植物の生えている場所における大地の比抵抗ρと根の形態によって定まるfとの積によって植物の接地抵抗が決定される。よって、植物の接地抵抗と大地比抵抗がわかればこれら二つの値から形状と寸法に関する定数fを求めることができる。つまり、植物の根がどのように複雑な形態と寸法を有していてもそれらに関する情報は最終的にはfというひとつの値に置き代えることができることを意味する。このfこそまさにその植物の根の大きさや発達状態を表す指標と考えることができる。
【0014】上述の指標fの大小によって根の発達状態を推定することは可能であるが、この値が単純な物理量に換算できると根の発達状態を一層理解しやすい。一般に金属電極の接地抵抗はそれと等価な半球状電極に変換して考えることが多い。すなわち、半球状電極の半径rを変えればその接地抵抗も変化するので、任意の接地抵抗はそれと等しい値をもつ半球状電極の半径に換算して考えるのである。この半径rを等価半径とよぶが、fが分かっていると等価半径rを求めることができ、その値はr=1/(2πf)である。この変換は植物の根に対しても成り立つので、結局根はいかに複雑な形状と寸法を有しており、かついかなる接地抵抗値を有していても、それと同じ接地抵抗値をもつ半球状電極の半径rに換算して考えることができる。このように、fが具体的な長さrに変換して与えられれば、この値の大小によって根の大きさや発達度合いを評価するのに好都合である。
【0015】等価半径の考え方は半球状電極の他に、円板状電極の半径に適用することも可能で、この場合は、r=1/(4f)で表される。さらに、半径L長さDの棒状電極に適用することもでき、適当な半径をもつ金属棒を接地したときに、どのくらいの深さまで埋め込めば測定対象と同じ接地抵抗値が得られるかが分かり、これは根の大きさを地中の深さ方向の値に換算することになる。棒状電極に換算した長さD(Dを等価長とよぶことにする)は、 2πfD=ln(2D/L)を解くことによって得られる。半球状電極の場合の等価半径は、根が根元から地中に放射状に伸びている場合を想定することができるのに対し、円板状電極の場合の等価半径は、根が地表に沿って地下に平面的に伸びている場合を想定できる。
【0016】図1は植物として樹木10を対象とした場合を例にとり、樹木10の接地抵抗を上述の等価半径rおよび等価長Dを算出するために必要な樹木の接地抵抗と大地12の比抵抗を同時に測定する回路を示したものである。図に示すように、大地12に根ざした樹木10の幹の地表から離れた部位に主電極Tを取り付ける。樹木10から十分離れた大地12に補助電極Cを設置する。樹木10の幹の主電極Tより下方の地表付近に電極Eを取り付ける。樹木10と補助電極Cとの間の大地12に電極Pを取り付ける。なお、電極Pは、電極E、C間の電圧分布において平坦な部分に設置する。補助電極Cの設置位置を測定樹木から5〜6m以上離す(測定樹木が太い場合にはもっと離す)と、図1の下部に示すように、電極E、C間の地表の電圧分布には平坦な部分が生じるので、電極Pをこの平坦部の中央に設置するとよい。
【0017】対象樹木10の根の接地抵抗RRを求めるためには、電源18より電極T、C間に電圧を印加し、測定回路に流れる電流Iと対象樹木の地表レベルに取り付けた電極Eと補助電極Pの間の電位差VEPを測定し、VEPをIで割ることによって求める。一方、大地比抵抗は電極Cの接地抵抗値から求める。測定回路に流れる電流Iと対象電極Cと補助電極Pの間の電位差VPCを測定すれば、電極Cの接地抵抗はVPC/Iとして求まる。電極Cには寸法が既知の棒状電極を用いるので、その半径aと、地中に打ち込んだ深さb(b≫a)および上で求めた接地抵抗RCから公式、ρ=2πbRC/ln(2b/a) により大地の比抵抗を求めることができる。この測定は比抵抗測定のために新たな電極配置をとる必要がなく、樹木の接地抵抗測定のための電極配置をそのまま利用するところに特徴がある。
【0018】前記のように、RR=ρfであり、植物の根と同じ接地抵抗をもつ半球状電極の半径をrとしたとき、r=1/(2πf)であるから、植物の根の等価半径rを、式、r=ρ/(2πRR)で求めることができる。また、植物の根と同じ接地抵抗をもつ円板状電極の半径をrとしたとき、r=1/(4f)であるから、植物の根の等価半径rを、式、r=ρ/(4RR)で求めることができる。さらに、植物の根と同じ接地抵抗をもつ棒状電極(半径L、長さD、L≪D)の半径Lを適当に定めたとき、植物の根の等価長さDを、式、2πRRD=ρln(2D/L)で求めることができる。
【0019】上述したように植物の根の等価半径rおよび等価長Dを求めるには、大地比抵抗ρの値を知る必要があり、図1に示す補助電極Cの接地抵抗値と電極寸法から算出した値を利用する。しかし、大地比抵抗値は直接知る必要はなく等価半径および等価長を算出する過程で消去できるので、最終的には植物の根の接地抵抗と補助電極Cの接地抵抗および物理的寸法が分かればよい。すなわち、植物の根の接地抵抗はRR=ρ・fR と表され、補助電極Cの接地抵抗はRC=ρ・fC と表される。これら二つの式から大地比抵抗ρを消去すると、根の形状および寸法に関する定数はfR=RRC/RCとなる。一方、半球状電極の形状および寸法に関する定数は先述したように1/(2πr)である。これをfRとすると、等価半径はr=RC/(2πRRC)と求まる。fC は補助電極C(棒状電極)の形状と寸法に関する関数で、半径をa、地中部の長さをbとするとfC=ln(2b/a)/(2πb)であり、これを先の式に代入すると、最終的に植物の根の等価半径はr=bRC/(RRln(2b/a))と求まる。この式から分かることは、対象植物の接地抵抗RRおよび棒状の補助電極Cの接地抵抗RCと寸法a、bが分かれば、等価半径rを算出でき、大地比抵抗値は直接必要としないことを示している。
【0020】上と同様にして円板状電極の等価半径rを求めると、r=πbRC/(2RRln(2b/a))で与えられる。棒状電極の場合については、適当な大きさにとった半径Lの電極が地中にどのくらいの深さまで入っているかその長さDを等価長とするので、fR=ln(2D/L)/2πDである。これと補助電極Cの定数fCから、ln(2D/L)/D=RRln(2b/a) /bRC関係が得られ、等価長Dはこの式を解くことによって与えられる。上の結果からわかるように円板状電極、棒状電極においても等価半径、等価長を求めるのに大地比抵抗値は直接必要としないことを示している【0021】以上によって得た等価半径、等価長を、いろいろな植物/樹木についてそれぞれの根の態様に応じて適用しその値の大小から、個体間の根の大きさの違い、および経時変化から根の発達状態等の比較を行う。
【0022】なお、電極T、Eは、特開平11−332377号に示したものと同様のものを使用できる。すなわち、電極Eは、1本の針状もしくは釘状の電極を用い、地表面付近の幹の外周に幹の中心に向けて差し込んで取り付ける。また、電極Tは、針状もしくは釘状のものを用いる場合には複数本使用し、幹の外周上、ほぼ同一の水平面上であって、等間隔になるように、中心に向けて差し込むようにするとよい。
【0023】あるいは、電極Eおよび/または電極Tに、導電性帯状体を用い、樹木の幹の外周面に水平に巻きつけて取り付け、樹木とは樹木の外周面と導電性帯状体との間に形成される容量(キャパシタンス)をもって電気的に接続し、電極Tから電流を幹に供給したり、また電極Eにおいて電圧を測定するようにしてもよい。なお、この場合、実際には、幹の外周面に電気的絶縁性を有する材料を巻き、その上から導電性帯状体を巻きつけるようにして、接触抵抗を無くす構成とする。導電性帯状体としては、アルミ箔、可撓性を有するスチールベルト等の導電性金属ベルト、銅網、導電性繊維フェルト等が採用し得る。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、植物の根の接地抵抗から大地の比抵抗の影響を除いて、根本来の形態的特徴を半球状電極または円板状電極の等価半径で、さらに棒状電極の等価長で数値的に表すことができるため、根の大きさや発達状態を大地の乾湿状態と関係なく評価することができる。しかして、植物の根の大きさや成長状態を大地の比抵抗に左右されることなく評価することが可能となった。
【出願人】 【識別番号】398023025
【氏名又は名称】山浦 逸雄
【出願日】 平成12年8月29日(2000.8.29)
【代理人】 【識別番号】100077621
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 隆夫 (外1名)
【公開番号】 特開2002−71608(P2002−71608A)
【公開日】 平成14年3月12日(2002.3.12)
【出願番号】 特願2000−259026(P2000−259026)