| 【発明の名称】 |
酸素濃度測定方法、および比抵抗測定方法。 |
| 【発明者】 |
【氏名】小松 伸也
【氏名】池田 勝彦
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| 【要約】 |
【課題】金属材料の品質を検査する際に、金属試験材を破壊することなく、その金属試験材中に溶解した微小量のガス成分の平均溶解濃度を精度良く且つ簡易に測定すること、および液体窒素温度における金属試験材の比抵抗値を簡易に測定することを課題とする。
【解決手段】本発明の手段は、複数の金属試料について、該金属試料中の酸素濃度Cを測定するとともに該金属試料の比抵抗値ρTを異なる2以上の温度で測定し、該比抵抗値ρTと純金属の比抵抗値ρ0Tの差(ρT−ρ0T)と、前記酸素濃度Cとの関係を一次関数Fとして予め求めた上で、金属試験材について温度Tと比抵抗値ρTとを測定し、該比抵抗値ρTと純金属の同温度Tにおける比抵抗値ρ0Tとを、前記一次関数Fに適用することにより、前記金属試験材中の酸素濃度Cを算出することを特徴とする酸素濃度測定方法による。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の金属試料について、該金属試料中の酸素濃度Cを測定するとともに該金属試料の比抵抗値ρTを異なる2以上の温度で測定し、該比抵抗値ρTと純金属の比抵抗値ρ0Tの差(ρT−ρ0T)と、前記酸素濃度Cとの関係を一次関数Fとして予め求めた上で、金属試験材について温度Tと比抵抗値ρTとを測定し、該比抵抗値ρTと純金属の同温度Tにおける比抵抗値ρ0Tとを、前記一次関数Fに適用することにより、前記金属試験材中の酸素濃度Cを算出することを特徴とする酸素濃度測定方法。 【請求項2】 前記金属が銀であり、前記一次関数Fとして下記の式1を用いることを特徴とする請求項1記載の酸素濃度測定方法。 C[質量%]=(ρT[nΩm]−ρ0T[nΩm] )/98 … (式1)【請求項3】 銀試験材について温度Tと比抵抗値ρTとを測定し、該銀試験材の比抵抗値ρTと、純銀の同温度Tにおける比抵抗値ρ0Tとを、下記の式2に適用することによって銀試験材中の酸素濃度Cを算出することを特徴とする酸素濃度測定方法。 C[質量%]=(ρT[nΩm]−ρ0T[nΩm] )/98 … (式2)【請求項4】 複数の金属試料について、該金属試料中の酸素濃度Cと、液体窒素温度における比抵抗値ρT'とを測定し、該酸素濃度Cと該比抵抗値ρT'との関係を一次関数Gとして求めた上で、請求項1〜3のいずれかに記載の酸素濃度測定方法によって算出した酸素濃度Cを、前記一次関数Gに適用することにより、液体窒素温度における金属試験材の比抵抗値ρT'を算出することを特徴とする比抵抗測定方法。 【請求項5】 前記金属が銀であり、前記一次関数Gとして下記の式3を用いることを特徴とする請求項4記載の比抵抗測定方法。 ρT'[nΩm]=C[質量%]×98+2.72 … (式3)
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、主として酸化物超伝導体の被覆に使用される銀シース材などに例示される金属試験材の酸素濃度測定方法および比抵抗測定方法に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、超伝導に使用される材料の研究が進み、徐々に超伝導温度の上昇と用途の拡大が図られており、その一例として、酸化物高温超伝導体を使用した線材が挙げられる。かかる線材は、酸化物高温超伝導体が銀シース材によって被覆された状態で製造されるため、安定な動作性能を確保するためには、該銀シース材の品質を十分に管理する必要がある。 【0003】銀シース材等の品質に大きく影響する要因として、該金属中への微小量の酸素または窒素などのガス成分の溶解によるものが知られている。従来、金属中に溶解したガス成分の濃度を測定するには、金属材料の一部を切除してこれを溶解させ、該金属材料中から含有ガスを放出させることによってガス量を測定しなければならなかった。 【0004】また、上記方法によって、たとえ金属材料の一部分についてガス成分の濃度を測定することができたとしても、該金属材料全体について平均的濃度を測定することは不可能であった。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、金属材料の品質を検査する際に、金属試験材を破壊することなく、その金属試験材中に溶解した微小量のガス成分の平均溶解濃度を精度良く且つ簡易に測定すること、および液体窒素温度における金属試験材の比抵抗値を簡易に測定することを課題とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、金属試験材中に溶解した酸素の平均溶解濃度は、該金属試験材の比抵抗値と密接な関係を有することを発見し、以下の発明を完成するに至った。 【0007】即ち、本発明の手段は、複数の金属試料について、該金属試料中の酸素濃度Cを測定するとともに該金属試料の比抵抗値ρTを異なる2以上の温度で測定し、該比抵抗値ρTと純金属の比抵抗値ρ0Tの差(ρT−ρ0T)と、前記酸素濃度Cとの関係を一次関数Fとして予め求めた上で、金属試験材について温度Tと比抵抗値ρTとを測定し、該比抵抗値ρTと純金属の同温度Tにおける比抵抗値ρ0Tとを、前記一次関数Fに適用することにより、前記金属試験材中の酸素濃度Cを算出することを特徴とする酸素濃度測定方法にある。 【0008】ここで、ρT及びρ0Tは、比抵抗の値が温度Tの値とともに変動することを示しており、その差(ρT−ρ0T)を求める際には、温度を共通のパラメータとして変化させるものである。 【0009】また、本発明の手段は、前記金属が銀である場合には、好ましくは前記一次関数Fとして下記に示す式1を用いることを特徴とする前記酸素濃度測定方法にある。 C[質量%]=(ρT[nΩm]−ρ0T[nΩm] )/98 … (式1)【0010】また、本発明の手段は、銀試験材について温度Tと比抵抗値ρTとを測定し、純銀の同温度Tにおける比抵抗値ρ0Tを下記の式4により算出し、前記銀試験材の比抵抗値ρTと前記純銀の比抵抗値ρ0Tとを、下記の式2に適用することによって銀試験材中の酸素濃度Cを算出することを特徴とする酸素濃度測定方法にある。 C[質量%]=(ρT[nΩm]−ρ0T[nΩm] )/98 … (式2)【0011】また、本発明の手段は、複数の金属試料について、該金属試料中の酸素濃度Cと、液体窒素温度における比抵抗値ρT'とを測定し、該酸素濃度Cと該比抵抗値ρT'との関係を一次関数Gとして求めた上で、上述した金属試験材中の酸素濃度測定方法によって算出した酸素濃度Cを、前記一次関数Gに適用することにより、液体窒素温度における金属試験材の比抵抗値ρT'を算出することを特徴とする比抵抗測定方法にある。 【0012】ここで、液体窒素温度とは、液体窒素を使用して温度調節された温度を示しており、具体的には概ね77[K]を示すものである。 【0013】また、本発明の手段は、前記金属が銀である場合には、好ましくは前記一次関数Gとして、下記に示す式3を用いる比抵抗測定方法にある。 ρT'[nΩm]=C[質量%]×98+2.72 … (式3) 【0014】 【発明の実施の形態】本発明に係る金属試験材の酸素濃度測定方法は、金属中に溶解した酸素濃度Cが、該金属の比抵抗値ρTと純金属の比抵抗値ρ0Tとの差(ρT−ρ0T)によって一次関数として表されることを発見したことに基づくものである。即ち、本発明に係る酸素濃度測定方法は、まず、複数の金属試料を用いて該金属試料の酸素濃度Cと比抵抗値ρTとを温度Tの関数として測定することにより、一次関数Fを予め求めておき、その後、測定対象である金属試験材について比抵抗値ρTとその際の該金属試験材の温度Tとを測定し、また、同温度Tにおける純金属の比抵抗値ρ0Tを算出し、これらを前記一次関数Fに適用することにより、金属試験材中に溶解した酸素濃度Cを算出するものである。 【0015】以下、金属として銀を用いた場合、即ち銀試験材の酸素濃度測定方法について、具体的に説明する。 【0016】比抵抗値の測定装置としては、例えば定電流電源装置から定電流を通電できるように配線された電流端子と、電圧端子とが恒温槽内に配設された測定装置を使用することができる。 【0017】そして、例えば300[K]で銀試料の比抵抗ρT=300を測定する場合には、銀試料を測定装置内に設置し、前記電流端子等に接続した上で、恒温槽内を300[K]の定点環境に調整する。次いで、電流端子を介して銀試料に定電流を導通し、直流電位差計によって電圧を測定し、オームの法則により抵抗値Rを算出する。 【0018】物質の比抵抗値ρTは、算出された抵抗値Rに、材料の断面積S及び長さlを換算することによって、ρT=(S/l)Rとして求めることができる。 【0019】また、純銀の比抵抗ρ0T[nΩm]は、従来より下記表1に示した値として求められている。 【0020】 【表1】
【0021】上記表1において、純銀の比抵抗値ρ0T[nΩm]と絶対温度T[K]との関係をグラフにプロットすれば、特に45〜500[K]においては、極めて良好な直線性を有しており、下記の式4によって精度良く直線近似することができる。 ρ0T[nΩm]=6.032×10-2×T[K]−1.806 … (式4) 【0022】一方、銀試料中に溶解した酸素濃度Cについては、従来より使用されている固体中酸素分析装置(ガス分析装置)により、比抵抗測定済みの銀試料を用いて直接求めることができる。 【0023】このようにして求めた銀試料の比抵抗値ρTと純銀の比抵抗値ρ0Tとの差(ρT−ρ0T)を変数とすれば、銀試料中に溶解した酸素濃度C[質量%]は、一次関数として表すことができる。 【0024】ここで、銀に対しては前記一次関数として、下記の式1(式2も同じ)を好適に使用することができる。 C[質量%]=(ρT[nΩm]−ρ0T[nΩm] )/98 … (式1)【0025】次いで、測定対象である銀試験材について、同様の方法によって比抵抗値ρT[nΩm]と、その際の銀試験材の温度T[K]とを測定すれば、上述のようにして求めた式1(即ち、一次関数F)及び、必要に応じて前記式4を適用することにより、銀試験材中に溶解した酸素濃度C[質量%]を求めることができる。 【0026】また、(ρT−ρ0T)とCとの一次関数(例えば、式1)を調べることによってこれを明らかにした後は、再度これを求める必要はなく、銀試験材について温度Tと比抵抗値ρTとを測定するだけで、該一次関数を適用して簡易に酸素濃度Cを求めることができる。 【0027】かかる測定方法によれば、従来のように銀試験材を溶かす必要がなく、銀試験材をそのままの状態で、酸素濃度Cを求めることができる。また、測定された酸素濃度Cは、部分的なものではなく銀試験材全体に対して求められた値であるという利点がある。 【0028】さらに、銀試験材が酸化物高温超伝導体に使用する銀シース材である場合には、該酸化物高温超伝導体は、大気中において概ね1073[K]で焼結されるために、酸素の銀シース材中への飽和固溶度は0.0035重量%となる。本発明の測定方法によれば、かかる量以下の酸素濃度を有する銀試験材について、式1によってきわめて精度良く測定することが可能であるが、かかる量以上の酸素濃度についても適用できる。 【0029】ここで、前記測定温度Tは、293〜300[K](20〜27[℃])の範囲内であれば、測定対象である金属試験材の温度制御が容易となる点で好ましい。 【0030】また、測定の簡便を考慮すれば、前記測定装置内には、金属試験材等の断面積Sを容易に測定でき、長さlが一定となる測定冶具を設けておくことが好ましい。 【0031】次に、液体窒素温度における比抵抗値ρT'の測定方法について説明する。本発明者らの研究によれば、金属の液体窒素温度T’における比抵抗値ρT'は、酸素濃度C[質量%]を変数とすることによって一次関数Gとして表されることが見出された。とりわけ、該金属が銀である場合には、前記1次関数Gが下記の式3である場合にこれらの関係が精度良く表される。 ρT'[nΩm]=C[質量%]×98+2.72 … (式3) 【0032】即ち、本発明の金属試験材の比抵抗測定方法は、複数の金属試料について、上述した酸素濃度測定方法などによって酸素濃度Cを求め、かかる該酸素濃度Cをパラメータとして液体窒素温度T’における金属試料の比抵抗値ρT'との関係を調べることによって一次関数Gを求めることができる。かかる一次関数Gを求めることができれば、任意の金属試験材について酸素濃度Cを例えば上述した方法によって求めることによって、液体窒素温度T’における比抵抗値ρT'を算出することができる。 【0033】かかる測定方法によれば、いわゆる液体窒素温度、即ち窒素の沸点である約77[K](約−196℃)という低温での金属試験材の比抵抗を、実際には該金属試験材をこのような低温にすることなく、簡易且つ正確に求めることができる。 【0034】尚、前記金属が銀である場合において、式1と式3と整理すれば、下記の式5を導くことができる。 ρT'[nΩm]=ρT[nΩm]−ρ0T[nΩm]+2.72 … (式5)また、ρ0T[nΩm]は、上述したように下記の式4として示すことができる。 ρ0T[nΩm]=6.032×10-2×T[K]−1.806 … (式4) したがって、これらを整理すれば、液体窒素温度T’における銀試験材の比抵抗値ρT'は、下記の式6ρT'[nΩm]=ρT[nΩm]−6.032×10-2×T[K]−4.526 … (式6) として表すことができるため、上述した方法によって測定した銀試験材の比抵抗値ρTとその際の測定温度T[K]とを適用することにより、直接ρT'[nΩm]を求めることも可能である。 【0035】 【発明の効果】以上のように、本発明に係る金属試験材の酸素濃度測定方法によれば、金属試験材の比抵抗値とその温度を測定することによって、簡易且つ正確に金属試験材中に溶解した酸素濃度を測定することができる。 【0036】また、本発明に係る金属試験材の比抵抗測定方法によれば、金属試験材をいわゆる液体窒素温度にまで冷却しなくとも、該液体窒素温度における比抵抗値を容易に測定することができる。 【0037】さらに、前記金属が銀である場合には、前記式1〜3を適用することによって、簡易且つ精度良く酸素濃度、あるいは比抵抗値を測定することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】399030060 【氏名又は名称】学校法人 関西大学
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| 【出願日】 |
平成12年8月28日(2000.8.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100074332 【弁理士】 【氏名又は名称】藤本 昇 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−71607(P2002−71607A) |
| 【公開日】 |
平成14年3月12日(2002.3.12) |
| 【出願番号】 |
特願2000−256690(P2000−256690) |
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