| 【発明の名称】 |
示差熱分析装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】西野 孝二
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| 【要約】 |
【課題】センサの誤動作やセンサの取り付け位置に起因する誤判別を生じることなく、セル搬送機構によって試料セルが試料測定部上に正しく載置されたか否かを常に正確に判別することのできる示差熱分析装置を提供する。
【解決手段】測定時以外における加熱炉9内の温度と、待機ステージ13上の試料セル1の温度を相違させておき、セル搬送機構12により待機ステージ13上の試料セル1を試料測定部4上に搬送したとき、DTAセンサ6からの出力が温度差を示しているか否かに基づき、試料セル1が正しく試料測定部4上に載置されたか否かを判別することで、試料セル1の有無を検出するための光学センサ等を不要とし、そのセンサの誤動作や取り付け位置に起因する誤判別の発生をなくす。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被測定試料を収容した試料セルと、参照試料を収容した参照試料セルとを、それぞれ試料測定部および参照試料測定部に載置した状態で、加熱炉により加熱しつつ、被測定試料と参照試料の温度差に係る情報を温度測定手段により経時的に測定するとともに、上記試料測定部に待機ステージに置かれた試料セルを順次自動的に搬送する自動セル搬送機構を備えた示差熱分析装置において、測定時以外における上記加熱炉内の温度と、上記待機ステージ上の試料セルの温度とを互いに相違させておくとともに、上記自動セル搬送機構による試料測定部上への搬送後の上記温度測定手段による温度差の測定結果を用いて、試料セルが試料測定部に正しく載置されたか否かを判別する判別手段を備えていることを特徴とする示差熱分析装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は示差熱分析装置に関し、更に詳しくは、被測定試料を収容した試料セルを自動的に試料測定部に搬送する機構を備えた示差熱分析装置に関する。 【0002】 【従来の技術】示差熱分析装置においては、一般に、被測定試料と、測定範囲内で熱的異常示さない物質からなる参照試料とを所定の速度で加熱ないしは冷却しつつ両者の温度差を刻々と測定し、その温度差から被測定試料の熱的性質に係る情報を得る。 【0003】また、以上のような示差熱分析装置と、熱重量測定装置とを組み合わせてなる示差熱・熱重量同時測定装置も知られており、この同時測定装置においては、被測定試料と参照試料とをそれぞれの測定部に載せた状態で加熱炉によって加熱しつつ、その重量の経時的変化を同時に測定することができ、試料の熱的性質をより有効に分析することができる。 【0004】以上のような示差熱分析装置、あるいは熱重量測定機能をも備えた示差熱・熱重量同時測定装置において、試料を収容した試料セルを自動的に試料測定部上に搬送する自動セル搬送機構(オートサンプラー)を備えた装置が知られており、この種の搬送機構を備えた装置においては、示差熱分析に供すべき複数の試料をそれぞれ試料セルに収容して待機ステージ等に載せておくことにより、各試料セルを順次試料測定部に搬送して、一連の測定を自動的に行うことができるようになっている。 【0005】また、自動セル搬送機構を備えた従来の示差熱分析装置においては、自動セル搬送機構による試料セルの試料測定部上への搬送を失敗した場合、そのことを自動的に検出して装置を停止させる等の安全機構を備えており、その安全機構は、基本的に、自動セル搬送機構による搬送動作の後、試料測定部上に試料セルが載っているか否かの判別、つまり試料測定部上の試料セルの存在の有無を光学センサ等によって検出している。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】ところで、以上のような光学センサ等による試料測定部上の試料セルの有無の検出による安全機構を備えた従来の示差熱分析装置においては、センサの誤動作によって試料の有無を正確に検出できなかったり、あるいは、センサの取り付け位置によっては、試料セルを試料測定部上に載せる少し手前で試料セルの存在を検出し、その直後に試料セルが落下した場合には、試料測定部上に試料セルが存在しないのにも係わらず、試料セルが正しく試料測定部上に載せられていると誤判別をしてしまうという問題があった。 【0007】ここで、試料セルの落下位置によっては、そのまま自動運転を継続した場合に危険を伴う場合があるため、この種の安全機構による判別は常に正確であることが重要である。 【0008】本発明はこのような実情に鑑みてなされたもので、センサの誤動作や、センサの取り付け位置に起因する誤判別を生じることがなく、試料セルが試料測定部に正しく載置されたか否かを常に正確に判別することができ、しかもその判別のための特別な機構等を必要とせず、従ってコスト的にも有利な示差熱分析装置の提供を目的としている。 【0009】 【問題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明の示差熱分析装置は、被測定試料を収容した試料セルと、参照試料を収容した参照試料セルとを、それぞれ試料測定部および参照試料測定部に載置した状態で、加熱炉により加熱しつつ、被測定試料と参照試料の温度差に係る情報を温度測定手段により経時的に測定するとともに、上記試料測定部に待機ステージに置かれた試料セルを順次自動的に搬送する自動セル搬送機構を備えた示差熱分析装置において、測定時以外における上記加熱炉内の温度と、上記待機ステージ上の試料セルの温度とを互いに相違させておくとともに、上記自動セル搬送機構による試料測定部上への搬送後の上記温度測定手段による温度差の測定結果を用いて、試料セルが試料測定部に正しく載置されたか否かを判別する判別手段を備えていることによって特徴づけられる。 【0010】ここで、本発明においては、測定時以外における加熱炉内の温度と、待機ステージ上の試料セルの温度を相違させる具体的手法として、測定時以外における加熱炉の温度を室温よりも適当温度(例えば3℃程度)だけ高くしておくとともに、待機ステージの試料セルの温度を室温とする方法、および、待機ステージの試料セルを室温よりも適当温度高くしておくとともに、測定時以外の加熱炉内の温度を室温程度とする方法などを採用することができる。 【0011】本発明は、試料測定部上に試料セルが正しく置かれているか否かを専用のセンサによって判別するのではなく、示差熱分析装置が本来的に有している温度差の測定機能を利用して、試料測定部上の試料セルの有無を検出することで、所期の目的を達成しようとするものである。 【0012】すなわち、測定時以外における加熱炉内の温度と、待機ステージで待機している試料セルの温度を相違させておくことにより、待機ステージの試料セルがセル搬送機構により試料測定部上に正しく載せられたとき、参照試料セルは加熱炉内に配置されているが故に加熱炉内の温度と等しいため、被測定試料と参照試料の温度差を検出する温度測定手段の出力に温度差の存在を示す情報が含まれることになり、その温度差があらかじめ設定されている値に達しなかったとき、試料セルの搬送ミスがあったと判断することができる。この本発明の構成によると、試料セルの有無を検出するためのセンサが不要であって、従ってその誤動作の恐れがなく、また、試料セルの有無の判別は試料測定部上に試料セルが載せられて参照試料セルとの温度差の測定が可能となった時点において行われるから、従来のようにセンサの取り付け位置に伴う誤判別も生じない。 【0013】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。図1は示差熱・熱重量同時測定装置に本発明を適用した実施の形態の全体構成図で、機械的構成を表す模式図と電気的構成を表すブロック図とを併記して示す図である。 【0014】被測定試料Sは試料セル1に収容された状態で、また、参照試料Rは同様の参照試料セル2に収容された状態で、それぞれ測定ステージ3の試料測定部4および参照試料測定部5上に載せられる。これらの各測定部4,5にはDTA(示差熱分析)センサ6が設けられているとともに、それぞれ測定ステージ3内に収容されている重量測定機構7に係合している。DTAセンサ6からの出力信号、すなわち被測定試料Sと参照試料Rの温度差に係る信号と、重量測定機構7による各試料の重量測定信号は、それぞれ刻々と制御部8に取り込まれる。 【0015】試料測定部4および参照試料測定部5は、測定中において加熱炉9によって加熱される。加熱炉9は、制御部8によって駆動制御される加熱炉移動機構10により上下動し、後述するセル搬送機構12による試料セル1の搬送時においてのみ、図示のように上方に退避するようになっており、それ以外のときには下降して試料測定部4および参照試料測定部5を炉内に収容してこれらを互いに同等の温度に加熱する。この加熱炉9の刻々の温度は、制御部8の制御下にある温度制御回路11によって制御され、測定中にはあらかじめ設定されている昇降温プログラムに従うとともに、測定の終了後、次の試料セル1を搬送するまでの間、室温よりも若干高めの温度、例えば3℃程度高い温度に維持するようになっいる。 【0016】測定に供すべき複数の試料Sは、それぞれ個別の試料セル1に収容された状態で、待機ステージ13上に載せられる。セル搬送機構12は、制御部8からの指令に基づき、待機ステージ13上の試料セル1を1個ずつ試料測定部4上に搬送する。また、測定の終了後には、試料測定部4上の試料セル1を図示しない廃棄部にまで搬送し、待機ステージ13上の次の試料セル1を試料測定部4上にまで搬送する。一方、参照試料Rは、参照試料セル2内に収容された状態で、一貫して参照試料測定部5上に載せられている。 【0017】制御部8は、上記のように各機構を順次制御するとともに、DTAセンサ6および重量測定機構7の刻々の出力をデータ処理し、示差熱測定結果および熱重量測定結果として、表示器およびプリンタ(いずれも図示せず)に出力する回路であって、実際にはコンピュータとその周辺機器によって構成されている。 【0018】そして、一連の自動測定動作は、この制御部8に設定されているプログラムに従って実行され、そのプログラムには、セル搬送機構12により試料セル1がミスなく試料測定部4上に載せられたか否か、つまり試料セル1が正しく試料測定部4上に載せられたか否かを判別する安全のためのルーチンが含まれている。 【0019】図2はそのプログラムの内容を示すフローチャートであり、以下、この図を参照しつつ自動測定動作について説明する。測定に先立ち、参照試料Rを収容した参照試料セル2が参照試料測定部5上に載せられ、測定時以外において、加熱炉9によって室温よりも若干高い温度に加熱される。被測定試料Sの測定に際して、加熱炉9を上昇させ、セル搬送機構12によって待機ステージ13上の試料セル1を試料測定部4上に搬送した後に、加熱炉9を下降させる。その状態で、一定時間にわたってDTAセンサ6の出力を読み取る。 【0020】このとき、参照試料セル2は加熱炉9によって室温よりも若干高めの温度に加熱されている一方、試料セル1は待機ステージ13上に載せられていたために室温と同等の温度であり、これら両セル1,2の間には温度差がある。従って、セル搬送機構12によって試料セル1が正しく試料測定部4上に載せられているならば、その搬送直後のDTAセンサ6の出力には、図3に例示するように、両セル間の温度差に基づき、DTA信号に吸熱側のピークが現れる。このピークの高さΔVを、あらかじめ設定されているδと比較し、ΔVがδを越えている場合には、試料セル1が正しく試料測定部4上に載置されているものと判断し、実際の測定手順を実行する。測定手順においては、加熱炉をあらかじめ設定されている条件のもとに加熱しながら、DTA信号と重量信号を刻々と読み取り、測定の終了後に加熱炉9を上昇させて、試料測定部4上の試料セル1を例えば廃棄部等にまで搬送して廃棄した後、加熱炉9を下降させ、参照試料測定部5上に参照試料セル2がのみが載せられている状態で、前記したように加熱炉9内の温度を室温よりも若干高い温度に制御して、次の試料セル1が搬送されるまで待機する。 【0021】一方、試料セル1が試料測定部4上に正しく載置されなかった場合には、DTA信号に図3のような変化が現れず、ΔVはδを越えない。従って、この場合、試料セル1の搬送ミスが生じたと判断して、自動測定動作を停止する。 【0022】以上の本発明の実施の形態において特に注目すべき点は、試料セル1が試料測定部4上に正しく載せられたか否かを判別するための特別なセンサが不要であり、測定装置が元来的に有しているDTAセンサ6の出力を用いてその判別を行う点であり、これにより、試料測定部4上に試料セル1が有るか否かを光学センサ等によって検出する従来の装置に比して、センサの誤動作やその取り付け位置に起因する誤判別が生じる恐れがなく、常に正確な判別を行うことができる。 【0023】ここで、以上の実施の形態においては、測定時以外の加熱炉9内の温度を室温よりも若干高めに設定することによって、待機ステージ13上の試料セル1の温度と参照試料セル2の温度を相違させた例を示したが、本発明はこれに限定されることなく、測定時以外の加熱炉9内の温度を室温と同等に設定するとともに、待機ステージ13に加熱手段を設け、待機ステージ13上の試料セル1の温度を室温よりも若干高めにしてもよく、この場合、試料セル1を試料測定部4上にまで搬送した直後のDTA信号のピークの向きは発熱側となるが、このピークから上記と同様にして試料セル1が正しく試料測定部4上に載せられたことを認識することができる。 【0024】また、以上の実施の形態は、示差熱・熱重量同時測定装置に本発明を適用した例を示したが、本発明は、示差熱のみを測定するDTA装置にも等しく適用し得ることは勿論である。 【0025】 【発明の効果】以上のように、本発明によれば、被測定試料と参照試料を加熱する加熱炉の測定時以外の温度と、待機ステージ上に置かれている試料セルの温度を相違させておくとともに、待機ステージ上の試料セルを試料測定部上に搬送した後に、被測定試料と参照試料の温度差に係る情報を出力するDTAセンサの出力を用いて、試料セルが試料測定部上に正しく載置されたか否かを判別するので、光学センサ等を用いて試料測定部上の試料セルの存在の有無を判別する従来の装置に比して、センサの誤動作やその取り付け位置に起因する誤判別が生じる恐れがなく、試料セルが試料測定部上に正しく載置されたか否かを常に正確に判別することができるばかりでなく、試料測定部上の試料セルの存在を検出するためのセンサが全く不要となり、コスト面においても有利である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001993 【氏名又は名称】株式会社島津製作所
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| 【出願日】 |
平成12年9月4日(2000.9.4) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100090608 【弁理士】 【氏名又は名称】河▲崎▼ 眞樹
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| 【公開番号】 |
特開2002−71602(P2002−71602A) |
| 【公開日】 |
平成14年3月12日(2002.3.12) |
| 【出願番号】 |
特願2000−266426(P2000−266426) |
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