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【発明の名称】 熱電対
【発明者】 【氏名】北 英紀

【要約】 【課題】保護管が金属溶湯との反応による浸食されないようにした、耐久性に優れる熱電対を得る。

【解決手段】融点が1200℃以下の金属溶湯の温度測定に使用する熱電対であつて、セラミツク製の保護管3の内部に、1200℃を超えない温度域で使用できる一対の合金素線5,6を埋設し、一対の合金素線5,6の先端を互いに結合してなる測定接点2を、耐熱性セラミツク粉末、脱水縮合型ガラスなどの無機化合物の充填材4により保護管3に固定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】融点が1200℃以下の金属溶湯の温度測定に使用する熱電対であつて、セラミツク製の保護管の内部に、1200℃を超えない温度域で使用できる一対の合金素線を埋設し、一対の合金素線の先端を互いに結合してなる測定接点を、耐熱性セラミツク粉末、脱水縮合型ガラスなどの無機化合物により前記保護管に固定したことを特徴とする熱電対。
【請求項2】前記保護管の内部に、前記一対の合金素線を埋設する耐熱性合金製のシースをとともに前記測定接点を固定した、請求項1に記載の熱電対。
【請求項3】前記耐熱性合金製のシースの内部に、前記一対の合金素線を脱水縮合型ガラスなどの無機化合物により埋設した、請求項2に記載の熱電対。
【請求項4】前記合金素線はクロメルアルメル、クロメルコンスタンタン、鉄コンスタンタン、銅コンスタンタンの内の少くとも1つである、請求項1に記載の熱電対。
【請求項5】前記保護管を形成するセラミツクは、窒化珪素(Si3N4 )にアルミナ(Al2O3)、イツトリア(Y2O3)、酸化タンタル(Ta2O5 )の内の少くとも1つまたは複合物を添加してなる、請求項1に記載の熱電対。
【請求項6】前記脱水縮合型ガラスは酸素(O )、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、燐(P )を含んでいる、請求項1に記載の熱電対。
【請求項7】前記保護管を形成するセラミツクは、少くとも酸素(O )とマグネシウム(Mg)を含んでいる、請求項5に記載の熱電対。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は融点が1200℃以下のアルミニウム溶湯、アルミニウム合金溶湯などの金属溶湯の温度測定に使用する熱電対に関するものである。
【0002】
【従来の技術】融点が1200℃以下のアルミニウム溶湯、アルミニウム合金溶湯などの金属溶湯の温度測定に使用される従来の熱電対は、ステンレスなどの耐熱性合金製のシースの内部に、温度検知体としてのクロメルアルメル線、鉄コンスタンタンなどの一対の合金素線を収容し、シースの内部の空隙にマグネシア(MgO )粉末をスクイーズ法により充填したものや、セラミツク製の保護管の内部に一対の合金素線を埋設したものが一般的である。
【0003】耐熱性合金製のシースは金属溶湯と反応し、使用回数につれて侵食が進行するので、耐久寿命が短い。耐熱性合金製のシースと金属溶湯との反応を抑制するために、温度測定の際に、耐熱性合金製のシースにセラミツク粉末を塗布することもあるが、これはセラミツク粉末が飛散し、現場環境の悪化を来す。また、セラミツク製の保護管の内部に一対の合金素線を埋設したものは、温度変化に対する応答性が良くない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は上述の問題に鑑み、保護管が金属溶湯との反応による浸食されないようにした、耐久性に優れる熱電対を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明の構成は融点が1200℃以下の金属溶湯の温度測定に使用する熱電対であつて、セラミツク製の保護管の内部に、1200℃を超えない温度域で使用できる一対の合金素線を埋設し、一対の合金素線の先端を互いに結合してなる測定接点を、耐熱性セラミツク粉末、脱水縮合型ガラスなどの無機化合物により前記保護管に固定したことを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明では熱電対として、金属溶湯に濡れにくい窒化珪素セラミツク製の保護管の内部に、クロメルアルメル線などの合金素線を収容し、保護管の内部の空隙にマグネシア(MgO )を含む脱水縮合型のガラスを充填するか、または合金素線を収容埋設する耐熱性合金製のシースを、窒化珪素セラミツク製の保護管に挿入したものである。窒化珪素セラミツクは金属溶湯と濡れないので、侵食が遅く、寿命が延びる。
【0007】
【実施例】図1に示すように、本発明による熱電対は、セラミツク製の保護管3の内部に、クロメルアルメル、クロメルコンスタンタン、鉄コンスタンタン、銅コンスタンタンなどの一対の合金素線5,6を埋設し、保護管3の内部の空隙に耐熱性セラミツク粉末、脱水縮合型ガラスなどの無機化合物の充填材4を充填して、一対の合金素線5,6の先端を互いに結合してなる測定接点2を保護管3の端部3aに固定したものである。合金素線5,6の基端は基準接点とされ、電位差計を接続される。
【0008】保護管3を形成するセラミツクは、出発原料として窒化珪素(Si3N4 )にアルミナ(Al2O3 )、イツトリア(Y2O3)、酸化タンタル(Ta2O5 )の内の少くとも1つまたは複合物を添加したものを、好ましくは、さらに少くとも酸素(O )とマグネシウム(Mg)を添加したもの(具体的にはマグネシア(MgO )を用いる)を焼結したものである。上述の脱水縮合型ガラスは酸素(O )、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、燐(P )を含んでいる。
【0009】図2に示す実施例では、クロメルアルメル、クロメルコンスタンタン、鉄コンスタンタン、銅コンスタンタンなどの一対の合金素線5,6を、マグネシア(MgO )粉末などの充填材10と一緒に埋設した耐熱性合金製のシース9を、セラミツク製の保護管3の内部に挿入したものである。耐熱性合金製のシース9の先端部はセラミツク製の保護管3の先端部3aに当接される。耐熱性合金製のシース9の内周面とセラミツク製の保護管3の外周面との空隙には、マグネシア(MgO)粉末、リン酸アルミニウム[Al2(PO3)3 ]などの充填材8が充填される。一対の合金素線5,6の先端を互いに結合してなる測定接点2は、シース9の内端部に充填材4により固定される。
【0010】図1に示す実施例と同様に、保護管3を形成するセラミツクは、出発原料として窒化珪素(Si3N4 )にアルミナ(Al2O3 )、イツトリア(Y2O3)、酸化タンタル(Ta2O5 )の内の少くとも1つまたは複合物を添加したものを、好ましくは、さらに少くとも酸素(O )とマグネシウム(Mg)を添加したものを焼結したものである。上述の脱水縮合型ガラスは酸素(O )、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、燐(P )を含んでいる。
【0011】[実施例1]窒化珪素に少量の焼結助剤を添加した粉末から、保護管3を押出成形機にて成形し、温度約1850℃の窒素雰囲気で焼成した。得られた高靭性窒化珪素セラミツクからなる保護管3の内部にクロメルアルメル線5,6を挿入し、保護管3の内部の空隙にリン酸アルミニウム[Al2(PO3)3 ]とマグネシア(MgO )との耐熱性の脱水縮合ガラス4を充填して封止固定した。
【0012】得られた本発明の熱電対を、温度700℃のアルミニウム溶湯に浸漬して温度測定試験を行つた。検出された起電力が安定化するまでの時間は5秒であり、4000回の繰返し使用が可能であることを確認した。この熱電対は温度700℃のアルミニウム溶湯に浸漬後も、保護管3に溶湯が付着することはなかつた。
【0013】[実施例2]窒化珪素セラミツク製の保護管3の内部に、ステンレス製のシース9の内部にクロメルアルメル線5,6を埋設したものを挿入し、両者の空隙に脱水縮合型ガラス8を充填した。得られた熱電対を、温度700℃のアルミニウム溶湯に浸漬して温度測定試験を行つた。検出された起電力が安定化するまでの時間は6秒であり、4000回の繰返し使用が可能であることを確認した。この熱電対は温度700℃のアルミニウム溶湯に浸漬後も、保護管3に溶湯が付着することはなかつた。
【0014】[実施例3]窒化珪素セラミツク製の保護管3の内部に、ニツケル合金製のシース9の内部に鉄コンスタンタン線5,6を埋設したものを挿入し、両者の空隙に脱水縮合型ガラス8を充填した。得られた熱電対を、温度500℃の金属溶湯に浸漬して温度測定試験を行つた。検出された起電力が安定化するまでの時間は6秒であり、6000回の繰返し使用が可能であることを確認した。この熱電対は温度500℃の金属溶湯に浸漬後も、保護管3に溶湯が付着することはなかつた。
【0015】[比較例1]従来のステンレス製のシースの内部に合金素線を埋設してなる熱電対では、検出された起電力が安定化するまでの時間は5秒であるが、繰返し使用可能の回数は400回が限界であつた。
【0016】
【発明の効果】本発明は上述のように、融点が1200℃以下の金属溶湯の温度測定に使用する熱電対であつて、セラミツク製の保護管の内部に、1200℃を超えない温度域で使用できる一対の合金素線を埋設し、一対の合金素線の先端を互いに結合してなる測定接点を、耐熱性セラミツク粉末、脱水縮合型ガラスなどの無機化合物により前記保護管に固定したものであり、窒化珪素セラミツクは金属溶湯と濡れないので、侵食が遅く、寿命が延びる。
【0017】従来の耐熱性合金製のシースのように、使用の際にセラミツク粉末を塗布する必要もなくなる。
【出願人】 【識別番号】000125934
【氏名又は名称】株式会社いすゞセラミックス研究所
【識別番号】396020800
【氏名又は名称】科学技術振興事業団
【出願日】 平成12年6月30日(2000.6.30)
【代理人】 【識別番号】100075889
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 俊夫
【公開番号】 特開2002−13984(P2002−13984A)
【公開日】 平成14年1月18日(2002.1.18)
【出願番号】 特願2000−198836(P2000−198836)