トップ :: G 物理学 :: G01 測定;試験

【発明の名称】 デジタル水色測定システム
【発明者】 【氏名】崔 淅珍

【氏名】荒川 久幸

【要約】 【課題】水色計測の際に発生する個人差による測定誤差を防ぐために,目視による水色判定ではなく,デジタル光学装置1により定量的にサンプリングした画像データを数値化することにより色彩を求め,あらかじめ設定された標準水色の色彩データと比較し,演算マイクロプロセッサー21によって自動的に判定させ,水色測定を標準化する方法の開発を技術課題とした。

【解決手段】デジタル水色測定システム50を構成する,デジタル光学装置1により定量的にサンプリングした画像データを数値化し,色彩データを求め,これらの色彩データ値と,標準水色の色彩データとの比較を行い,最も適切な水色の値を演算マイクロプロセッサー21によって定量的に判定することによって水色の測定手順を標準化することができ,その結果に客観的を与えることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】CCD(Charge Coupled Device)撮像デバイスを基本としたデジタル光学装置を用いて海,湖沼,川等の水表面を撮像し,この画像データから水色を計測してモニタ画面上に表示することを特徴とするシステム装置。
【請求項2】請求項1記載の水色の計測は,撮像された画像データをA/D変換して求めたデジタル色彩データと,あらかじめメモリー上に設定された標準水色色彩データと比較することによって判定を行うことを特徴とする請求項1記載の水色計測方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は海,湖沼,川などの全水域の環境調査およびその分析の際に一つの項目として持ち入られている水色測定に関する方法であり,CCD撮像デバイス11とA/D変換機15を含む,デジタル光学装置1を用いて得られた画像データの色彩データ値を基に,水色の計測を定量的に標準化する手法に係るものである。
【0002】
【発明の背景】主に水面上から見た海,湖沼,川の色を水色といい。この水色は水質調査および海洋環境調査などにおいて透明度と共に水質の特性,水塊の判断等に指標として用いられている。従来,水色の測定にはF.a.Forelが湖沼の水色を決めるために考案したフォーレル水色計が古くから用いられており,内湾水のように褐色を帯びている場合はW.Uleが考案したウーレ水色計を用いて,水面の水色を観測者が見てその水色計の標準液と比較して同じ色の水色番号を読み取る方法で行われた。しかし,このような標準液と水表面を同時に見ながら色を比較判断する方法は標準液の色彩が化学合成されており,実際の水色と異なるばかりでなく,各観測者別に個人差が生じるため,水色を決めるための判断が難しくなる場合が多い。
【0003】このような海,湖などの水色を客観的に測定する方法として,エネルギー波長分布の測定値から計算によって海の色を求める方法と海中光の色を光電的に測定する測色計も考案された。しかし,これらの方法は水中分光放射照度計,輝度計等の特殊な測定装置を用いて測定した値を判断要素とするものであり,これらの方法はコストがかかると共に,技術的に複雑なため,だれにでも簡単に使用できる方法ではない。
【0004】また,従来の標準水色計の場合,判定基準となる水色液の数が制限されており,様々な水環境に対する水色計測に用いるのは無理があり,測定された水色そのデータの信頼性をそこねていた。このため,水質等の環境変化を簡単に調査できる手法であるにもかかわらず実際の環境分析には参考の程度にとどまるのが現状である。さらに,可視用カメラセンサを持つ観測衛星からの広範囲をカバーする海洋観測方法等については多くの研究が行われているものの,水色測定の標準化および定量化等についての研究はほとんど行われてないのが現状である。
【0005】
【解決を試みた技術課題】本発明はこのような従来の問題点を解決するために行った。すなわち,水色を測る際に,個人差による測定に誤差が生じることを防ぐために,目視による水色判定ではなく,照度センサ16によって制御される絞り13とシャッタ14をもつCCD撮像デバイス11により定量的にサンプリングした画像データをA/D変換装置15によってデジタル数値化する。このデータから水色の色彩値を求め,あらかじめ設定された標準水色の色彩データと比較し,演算マイクロプロセッサー21によって自動的に判定させ,水色測定を標準化する方法の開発を技術課題としたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち請求項1記載の水色を計測する方法は,照度センサ16によって制御される絞り13とシャッタ14をもつCCD撮像デバイス11とA/D変換機15で構成されたデジタル光学装置1によって測定対象となる水表面の画像をサンプリングし,この画像をデータ処理部2に移し,演算マイクロプロセッサー21により色彩値をもとめ,この値を基にあらかじめ設定された標準水色の色彩データと比較して判断された結果をCRT等のデータ表示部5に表示することを特徴としている。この発明によれば,デジタル光学装置1は照度センサ16によって制御される絞り13とシャッタ14加えることによって水色計測対象となる画像のサンプリングを照度条件別に定量的に行うことが可能となり,対象画像の色彩を演算マイクロプロセッサー21によって数値化して判定することで水色測定の結果に客観性を与えることができる。
【0007】更に請求項2記載のデジタル色彩データによる水色計測方法は前記要件に加え,CCD撮像デバイス11から得られたサンプリング画像データはA/D変換機15によってデジタル数値に変換され,このデータから色彩値が求められる。求められた値は各光環境のもとにあらかじめ設定された標準データと比較することによって最終的に水色値が求められることを特徴としている。この発明によれば,水色測定となる対象画像の色彩を定量的に数値化し,この値と,標準データとの差異を客観的に認識することができるため,水色判定に個人差がなくなり簡単に判定することができる。さらに,サンプリングデータと比較対象となっている標準データは測定する各条件によって人為的に設定することができるため,海,湖沼,川等の様々な水環境の水色測定に応用することができる。そしてこれら各請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下,本発明の水色測定システムによる水色測定方法について説明する。なお本明細書中において水色とは,CCD撮像デバイス1を基本とするデジタル光学装置1によって撮像された画像データから求められた色彩値を意味するものである。
【0009】本発明に用いるデジタル水色計測システム50は,図1に示したようにレンズ12,絞り13,シャッタ14,CCD撮像デバイス11とA/D変換装置15で構成されるデジタル光学装置1と演算マイクロプロセッサー21とメモリー部3で構成されたデータ処理部2,バッテリー4,データ表示部5,データ通信インターフェースポート6で構成されており,さらにメモリー部3はROMメモリー31,RAMメモリー32で構成される。
【0010】前記のデジタル光学装置1はCCD撮像デバイス11の前方にシャッタ14,絞り13,レンズ12を備えてあり,一例として水表面からの光が反射され,レンズを通ってCCD撮像デバイス11の光電変換素子に達し,光を電気信号に変換した画像データをサンプリングする。サンプリングされた画像データはA/D変換機15によってデジタルデータとして変換されてデータ処理部2に送られる。
【0011】前記データ処理部2は,適宜の演算マイクロプロセッサー21,メモリー部3を備えた演算機器を構成するものであり,デジタル光学装置1から送られてくる画像データを8ビットデジタルデータとして数値化するコンバータ等を備えてある。そしてこのデジタル画像データを処理してハンターのL,a,b値および8ビットRGB値を求める。さらに,8ビットRGBの値は計算によって標準RGBデータに変換し,最終的にCIE 1931 XYZ表色系データに変換する。またデータ処理部2に備えられたROMメモリー31には天候,明るさ等の各条件によってことなる標準水色液に対するハンターのL,a,b値と8ビットRGB値などの標準データが記憶されている。
【0012】前記バッテリー部7はデジタル光学装置1,演算マイクロプロセッサー21,メモリー部3およびデータ表示部5を動かせるために必要な電力を供給する。また,前記データ表示部5は電気的な信号を変換して画像および文字として表示するいわゆる液晶画面として構成されており,画面上には,サンプリング画像,標準データとの比較よって求められた水色の値,ハンターのL,a,b値,8ビットRGB値およびCIE 1931 XYZ表色系データの値が表示される。
【0013】次にデータ通信インターフェースポート6について説明する。データ通信インターフェースポート6は一般パソコン51用通信ポートの規格となっているRS―232Cインターフェースと交換性がある,汎用構造となっており,前記データ処理部2より求められた各項目別の水色データをRAMメモリー32上に一時的に保管し,これを2進数データに変換し,通信ケーブルを介して接続したパソコン51側に送り,さらに総合的な解析のためにデータとして使用することができる。
【0014】本発明に用いるデジタル水色測定システムは上述の様に構成される。デジタル水色測定方法について図2に示すフローチャートに従って,以下に説明する。デジタル光学装置1を構成する受光レンズ12に計測する画像が入射し,光電素子に至る。光電素子では,光を電流に変換し,A/D変換機15を通して,データをデータ処理部2に伝送する。もちろん上述の測定の前には,データ処理部2内のRAMメモリー32には過去の計測データは存在しない状態で測定を行う。そして,データ処理部2に伝送された色彩データはまず,ROMメモリー31に記憶された標準データの最大値と最小値の測定範囲と比較することによって水色としての計測可否の判定を行う。
【0015】A/D変換されて送られた計測可能な水色データはデータ処理部2において水色の色彩値,すなわち,ハンターのL,a,b値および8ビットRGB値が求められ,その値とROMメモリー31に記憶された標準水色データと比較して水色値を求めると共に,A/D変換して求められた8ビットRGB値から計算式によって標準RGBに変換してCIE 1931 XYZ表色系データを求め,RAMメモリー32に保管される。
【0016】各項目別に求められ,RAMメモリー32に保管された水色測定データはデータ表示部8において各項目別に表示され,さらに人為的に削除されるまで測定結果としてRAMメモリー32に保管される。このRAMメモリー32上のデータはデータ通信インターフェースポート6によって別のパソコン51に転送られ,さらに総合的な解析のためにデータとして使用される。
【0017】ここでサンプリングされた画像からもとめられた色彩の比較対象となる標準水色液の色彩は,一般的に水色番号の増加につれて青色が薄くなるとともに,緑色が増加し,その後,褐色に近い色になる傾向となる。これらの変化をハンターのL,a,b値としてまとめ,数値化した一例を図3に示した。同図によるとb値は水色1〜11番までは徐々に増加し,その後,12〜21番までは減少し,a値は9番から徐々に増加する。
【0018】さらに,標準水色液の色彩を8ビットRGB値としてもとめ数値化した一例を図4に示した。赤色R値は水色1〜11番までは増加した後,12〜21番までは大きな変化がなく,青色B値と緑色G値は1〜11番までは徐々に増加しその後,緑色G値は徐々に減少する。
【0019】このような水色測定の過程により,水色測定のサンプリングから計測までが,定量化され,水色の判定結果に客観性を与えることが可能となる。
【0020】
【他の実施の形態】本発明は上述の実施形態を基本の実施形態とするものであるが,本発明の技術的思想に基づき,以下に示す実施形態を採ることもできる。先の実施形態においては,水色測定,表示システムそのものが一体化されているが,デジタル光学装置1からサンプリングされた画像を無線送信装置により遠隔送信し,送信されたデータは受信後,データ処理部2に入力され,水色を計測した後,そのデータはパソコン用データ通信インターフェースポート6を経由してパソコン51に送られ,ローカルまたはインタネット上で解析に使用することができる。
【0021】
【発明の効果】本発明によれば,水色測定はデジタル光学装置1により,定量的にサンプリングした画像データから求めた数値化された色彩データとあらかじめ設定された標準水色色彩データと比較することによって水色を測定するため,測定手順が標準化されデータに信頼性を持たせることが可能となる。また,比較の基準となるデータの設定を変えることによって川・湖等の各水環境に対する汚染状況の監視システム,富栄養化予告システム,海の赤潮発生予告システム装置およびBTB試薬によるPh測定時のPh値確認装置等の開発に応用することが可能となる。さらに,船舶に本発明システムを装備して航海中,自動的にデータを計測し,GPSによる位置データとあわせ,海洋観測GISシステムの開発にも応用することが可能である。
【出願人】 【識別番号】300083642
【氏名又は名称】崔 淅珍
【出願日】 平成12年12月11日(2000.12.11)
【代理人】
【公開番号】 特開2002−214042(P2002−214042A)
【公開日】 平成14年7月31日(2002.7.31)
【出願番号】 特願2000−375668(P2000−375668)