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【発明の名称】 乾燥装置
【発明者】 【氏名】吉 羽 洋

【氏名】津 田 武 明

【要約】 【課題】基材に設けられた塗膜の性質を劣化させたり赤外線ヒータの温度低下を招くことのない赤外線乾燥装置を提供する。

【解決手段】赤外線乾燥装置10は塗膜が形成された基材15が走行するとともに、第1乾燥ゾーン10aと第2乾燥ゾーン10bとに仕切られた乾燥炉11と、乾燥炉11の第1乾燥ゾーン10a内の基材15上方に設けられた赤外線ヒータ16とを備えている。赤外線ヒータ16の上方に給気装置18と排気装置19が設けられ、給気装置18と排気装置19によって赤外線ヒータ16上方に、赤外線ヒータ16と、平行な空気流が形成される。基材15は予熱部30のホットプレート31上で予熱され、基材15の塗膜表面から除去された蒸発溶剤は排気機構32により排気される。基材15はその後、第1乾燥ゾーン10a内で赤外線ヒータ16により加熱されて基材15に対して恒率乾燥が行なわれ、次に第2乾燥ゾーン10b内で、熱風吹付装置26からの熱風により更に加熱され減率乾燥が行なわれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】塗膜が形成された基材が内部を走行するとともに、この内部が走行する基材の上流側から順に第1乾燥ゾーンと、第2乾燥ゾーンとに仕切られた乾燥炉と、乾燥炉の入口側に設けられ、基材を載置して加熱するホットプレートを有する予熱部と、第1乾燥ゾーン内に設けられた第1乾燥機構と、第2乾燥ゾーン内に設けられた第2乾燥機構とを備えたことを特徴とする乾燥装置。
【請求項2】予熱部はホットプレートを収納する囲体を有し、囲体の上部に排気機構を設けたことを特徴とする請求項1記載の乾燥装置。
【請求項3】第1乾燥機構は第1乾燥ゾーン内の基材の上方に基材に略平行に配置された赤外線ヒータと、第1乾燥ゾーン内の赤外線ヒータ上方に配置された、空気を給気する給気装置および空気を排気する排気装置とを有し、給気装置と排気装置とによって赤外線ヒータ上方に赤外線ヒータと平行な空気流を形成することを特徴とする請求項1記載の乾燥装置。
【請求項4】給気装置を基材の走行方向の上流側および下流側のうち一方に配置し、排気装置を他方に配置したことを特徴とする請求項3記載の乾燥装置。
【請求項5】給気装置を基材の走行方向下流側に設け、排気装置を基材の走行方向上流側に設けたことを特徴とする請求項4記載の赤外線乾燥装置。
【請求項6】第1乾燥ゾーン内の基材下方に、追加給気装置と追加排気装置を設け、これら追加給気装置と追加排気装置とによって基材下方に基材と平行な空気流を形成することを特徴とする請求項3記載の乾燥装置。
【請求項7】第2乾燥機構は、基材に対して熱風を吹付ける熱風吹付装置からなることを特徴とする請求項3記載の乾燥装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は基材上に設けられた塗膜を乾燥させるための乾燥装置に係り、とりわけ塗膜の性質を劣化させることなく乾燥させることができる乾燥装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、PDP背面板にリブを形成する際、電極等が表面に形成された枚葉のガラス基板上にリブペースト材を250〜300μmの厚みで均一に塗布し、その後ペースト中に含まれる溶剤を乾燥装置内で蒸発させる。この場合、まず乾燥装置内で恒率乾燥期間では、およそ150〜180℃で乾燥させ、減率乾燥期間では220〜250℃で乾燥を行っている。いずれの乾燥期間でも、風速1m/s程度の熱風を塗膜表面に垂直または平行に給気し、発生する溶剤蒸気を塗工膜表面近傍から取り除いている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の乾燥方式では、恒率乾燥期間において塗膜表面で発生した溶剤蒸気は、給気の流れにより塗膜表面に再度戻されるため、塗膜表面上で澱みが生じ、これが塗膜表面の乾燥ムラとなっていた。また、溶剤がいつまでも滞留するため、乾燥効率も上がらない。これらを防ぐために熱風の給気風速を上げると、塗膜表面に風紋が生じてしまうという欠点がある。
【0004】本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、基材に設けられた塗膜の性質を劣化させることなく塗膜を確実に乾燥させることができる乾燥装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、塗膜が形成された基材が内部を走行するとともに、この内部が走行する基材の上流側から順に第1乾燥ゾーンと、第2乾燥ゾーンとに仕切られた乾燥炉と、乾燥炉の入口側に設けられ、基材を載置して加熱するホットプレートを有する予熱部と、第1乾燥ゾーン内に設けられた第1乾燥機構と、第2乾燥ゾーン内に設けられた第2乾燥機構とを備えたことを特徴とする乾燥装置である。
【0006】本発明によれば、塗膜が形成された基材が予熱部のホットプレート上に載置され、直接的に加熱される。次に第1乾燥ゾーンにおいて、第1乾燥機構により、基材上のヒータ上方において形成された塗膜の恒率乾燥が行われる。その後基材は第2乾燥ゾーンへ送られ、第2乾燥機構により表面の塗膜が更に乾燥されて減率乾燥が行われる。このように基材はホットプレートにより予め直接的に加熱された後、第1乾燥ゾーンに入るので、第1乾燥ゾーン内における恒率乾燥を迅速に行なうことができる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明による乾燥装置の一実施の形態を示す図である。
【0008】図1に示すように、乾燥装置、例えば赤外線乾燥装置10は、基材15が内部を走行するとともに、この内部が走行するガラス基材15の上流側から順に第1乾燥ゾーン10aと、第2乾燥ゾーン10bとに仕切壁10cにより仕切られた乾燥炉11と、乾燥炉11の第1乾燥ゾーン10a内であって基材15上方に基材15に平行に配置された赤外線ヒータ16と、第1乾燥ゾーン10a内であって赤外線ヒータ16上方に配置された給気装置18および排気装置19と、を備えている。この場合、基材15は乾燥炉11内において搬送ローラ12上を走行する。
【0009】図1において基材15としては、電極を有する枚葉ガラス基材に、予めリブペースト材が塗布されて表面に塗膜が形成されたPDP背面板用のガラス基材が考えられる。
【0010】給気装置18は基材15の走行方向Lの下流側に設けられ、予め適温に加熱された空気を供給するものである。排気装置19は基材15の走行方向Lの上流側に設けられ、給気装置18と排気装置19とによって赤外線ヒータ16上方に赤外線ヒータ16と平行な空気流を形成するようになっている。
【0011】なお、給気装置18を基材15の走行方向Lの上流側に設け、排気装置19を基材15の走行方向Lの下流側に設けてもよい。
【0012】また第1乾燥ゾーン11a内の搬送ローラ12に支持された基材15下方に、追加給気装置20と追加排気装置21とが各々設けられている。追加給気装置20は基材15の走行方向Lの下流側に設けられ、追加排気装置21は基材15の走行方向Lの上流側に設けられ、これら追加給気装置20と追加排気装置21とによって基材15下方に基材15と平行な空気流を形成している。
【0013】また図1に示すように、乾燥炉11にはその入口側に基材入口11aを介して予熱部30が設置され、その出口側に基材出口11bを介してアンローダ部25が設置されている。さらに乾燥炉11の第1乾燥ゾーン10a、および第2乾燥ゾーン10b内には、上述のように基材15を搬送する多数の搬送ローラ12が設けられている。また図11において、予熱部30は囲体30aと、囲体30a内に収納され基材11を載置して直接的に加熱するホットプレート31とを有している。さらに囲体30aの上部には、排気機構32が設けられている。
【0014】さらにまた、図1に示すように、乾燥炉11の第2乾燥ゾーン10b内には、基材15の上方に熱風吹付装置26が設けられ、基材15の下方に排気装置27が設けられている。
【0015】図1において、第1乾燥ゾーン10a内に設置された赤外線ヒータ16、給気装置18、排気装置19、追加給気装置20および追加排気装置21により第1乾燥機構が構成されている。また第2乾燥ゾーン10b内に設置された熱風吹付装置26および排気装置27により第2乾燥機構が構成されている。
【0016】次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。まず電極を有するガラス基材15に対して印刷またはコーティングによりリブペースト材が塗布され、表面に塗膜(250〜300μm)が形成された基材15が作製される。次に塗膜が形成された基材15は、予熱部30のホットプレート31上に載置され、直接的に一定時間(1〜5分間)、60〜100℃程度で加熱される。その後、基材15はウォーキングビーム等の搬送手段により、基材入口11aを介して乾燥炉11に進入し、搬入ローラ12により一定速度で乾燥炉11の第1乾燥ゾーン10a内を走行する。その後基材15は、乾燥炉11の第2乾燥ゾーン10b内へ送られ、その後第2乾燥ゾーン10b内から基材出口11bを経て外方へ排出される。
【0017】この間、予熱部30内において基材15が加熱されると、基材15上に設けられた塗膜表面から溶剤が蒸発し、蒸発した溶剤は排気機構32から除去される。このように溶剤を排気機構32から排出することにより、塗膜の乾燥効率を上昇させることができる。その後、基材15は第1乾燥ゾーン10a内において赤外線ヒータ16からの輻射熱により加熱され、基材15上に設けられた塗膜表面から更に溶剤が蒸発して除去される。基材15から除去された溶剤は上昇して、赤外線ヒータ16の上方へ達する。
【0018】このとき、赤外線ヒータ16の上方には、給気装置18と排気装置19とにより赤外線ヒータ16と平行な空気流が形成されているので、赤外線ヒータ16の上方へ達した蒸発溶剤は赤外線ヒータ16と平行な空気流により排気装置19まで運ばれ、この排気装置19から外方へ排出される。
【0019】また基材15下方にも、追加給気装置20と追加排気装置21とにより、基材15の下方に基材15に平行な空気流が形成されている。このため乾燥炉11の第1乾燥ゾーン10a内の空気流が安定し、赤外線ヒータ16上方の空気流が赤外線ヒータ16の側方または基材15の側方を通過して基材15の下方へ流れることはない。
【0020】上述のように、第1乾燥ゾーン10a内では、基材15表面に空気流が直接当たることはないので、基材15の塗膜表面が荒れたり塗膜表面からの乾燥によって塗膜表面に皮ばりを生じさせることはなく、第1乾燥ゾーン10a内において基材15の塗膜の恒率乾燥を精度良く行うことができる。また第1乾燥ゾーン10a内に入る前に、予め基材15は予熱部30で予熱されるので、第1乾燥ゾーン10a内における基材15の塗膜の恒率乾燥を迅速に行なうことができる。
【0021】次に基材15は、第2乾燥ゾーン10b内において熱風吹付装置26から吹付けられる熱風により、基材15の塗膜の減率乾燥が行われ、減率乾燥を行った熱風は、その後排気装置27から排気される。基材15の塗膜は第1乾燥ゾーン10a内で予めある程度乾燥して固化されているので、第2乾燥ゾーン10b内において熱風を基材15の型膜に吹付けても塗膜表面が荒れることはなく、熱風吹付装置26により吹付けられた熱風により、迅速に基材15の塗膜の減率乾燥を行うことができる。
【0022】なお第1乾燥ゾーン10a内における恒率乾燥は150℃〜180℃の温度で行われ、一方第2乾燥ゾーン10b内における減率乾燥は220℃〜250℃にて行われる。
【0023】以上のように本実施の形態によれば、予め予熱部30内で基材15を加熱した後、基材15に対して第1乾燥ゾーン10a内で塗膜の恒率乾燥を行なうので、第1乾燥ゾーン10a内での塗膜の恒率乾燥を迅速に行なうことができる。また第1乾燥ゾーン10a内において給気装置18と排気装置19とにより赤外線ヒータ16上方に空気流が形成されるので、このように形成された空気流が直接基材15表面に当たることはない。このため基材15に設けられた塗膜表面が荒れたり、塗膜表面からの乾燥によって塗膜表面に皮ばりを生じさせこれによって塗膜の密着性が悪化したりすることはない。このように基材15に設けられた塗膜の性質を劣化させることを防止することができる。また赤外線ヒータ16上方の空気流は、赤外線ヒータ16と平行に流れるので、赤外線ヒータ16に空気流が当たることもなく、赤外線ヒータ16の温度低下を引き起こすことはない。さらに追加給気装置20と追加排気装置21とにより、基材15の下方に基材15と平行な空気流を形成することができるので、乾燥炉11内の空気流のバランスを安定化させることができ、より確実に基材15へ直接当たる空気流をなくすことができる。第1乾燥ゾーン10a内で塗膜に対して恒率乾燥が行われた基材15は、その後第2乾燥ゾーン10b内において、熱風吹付装置26から吹付けられる熱風により減率乾燥が行われる。
【0024】なお上記実施の形態において、第2乾燥ゾーン10b内に熱風吹付装置26を設置した例を示したが、これに限らず第2乾燥ゾーン10b内に第1乾燥ゾーン10a内と同様赤外線ヒータを設置してもよい。
【0025】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、基材は予熱部のホットプレートにより予め直接的に加熱された後、第1乾燥ゾーンに入るので、第1乾燥ゾーン内における第1乾燥機構による恒率乾燥を迅速に行なうことができる。その後基材は第2乾燥ゾーン内において、すでに恒率乾燥され固化された塗膜に対して第2乾燥機構により迅速に減率乾燥を行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
【出願日】 平成12年11月22日(2000.11.22)
【代理人】 【識別番号】100064285
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 一雄 (外3名)
【公開番号】 特開2002−162162(P2002−162162A)
【公開日】 平成14年6月7日(2002.6.7)
【出願番号】 特願2000−356470(P2000−356470)