| 【発明の名称】 |
空気分離方法および装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】橋本 保
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| 【要約】 |
【課題】昼夜間欠運転における装置の再起動をより迅速にかつより安定した状態で行うことができるようにする。
【解決手段】空気分離部S2と寒冷生成部S3との間には、空気分離部S2から寒冷生成部S3に向けて寒冷用の原料窒素を送り込む寒冷原料用窒素管路P31,P32と、寒冷生成部S3で生成した寒冷を空気分離部S2に向けて送り返す寒冷管路P33,P35とが配管され、空気分離部S2には、得られた液体酸素を貯留する液酸貯槽24が設けられ、この液酸貯槽24と上記蒸留手段との間には、空気分離部S2の始動時に窒素液化用の液体酸素を液酸貯槽24から液酸供給弁を介して高圧蒸留塔20の頂部に延設された主凝縮器21に送り込む始動用液酸管路P27が配管されている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 圧縮および冷却した原料空気を空気分離部での蒸留処理により少なくとも窒素と酸素とに分離する空気分離方法において、一旦停止した空気分離部の運転を再開するに際し、運転中に貯留した液体酸素を、空気分離部で分離されて保持されている気体窒素を液化するための冷熱源として使用することを特徴とする空気分離方法。 【請求項2】 圧縮および冷却された原料空気を蒸留することにより少なくとも窒素と酸素とに分離する空気分離部を備えてなる空気分離装置において、空気分離部には、得られた液体酸素の少なくとも一部を貯留する液酸貯槽が設けられ、この液酸貯槽には、空気分離部の始動時に窒素液化用の液体酸素を、空気分離部内に保持されている気体窒素または空気を液化するための冷熱源として送り込む始動用液酸管路が接続され、上記管路には開閉弁が設けられていることを特徴とする空気分離装置。 【請求項3】 上記空気分離部は、原料空気を蒸留して高酸素濃度の液体空気にする高圧蒸留塔と、この高圧蒸留塔の塔頂からの窒素を蒸留用の寒冷として液化する主凝縮器と、上記高圧蒸留塔の塔底から供給された液体空気を蒸留して液体酸素にする低圧蒸留塔とを備え、上記低圧蒸留塔と主凝縮器との間には、低圧蒸留塔の塔底の液体酸素を窒素凝縮用の冷熱源として主凝縮器に送り込む液酸素導出管路が設けられ、この液酸素導出管路に抜出し管路を介して液酸貯槽が接続されていることを特徴とする請求項2記載の空気分離装置。 【請求項4】 上記主凝縮器から導出された酸素蒸気を低圧蒸留塔に還流するガス酸素還流管路が配管され、上記液酸素導出管路には、塔底の液体酸素を送出する液酸ポンプと、この液酸ポンプの下流側で分岐して低圧蒸留塔に液体酸素を戻す液酸戻し管路と、同下流側で分岐して上記液酸貯槽に向かう液酸抜出し管路とが配管されているとともに、上記液酸素導出管路の液酸戻し管路より下流側、上記ガス酸素還流管路、上記液酸戻し管路および液酸抜出し管路には、それぞれ開閉自在の液酸遮断弁、気酸遮断弁、戻り液酸遮断弁および液酸抜出し弁が設けられていることを特徴とする請求項3記載の空気分離装置。 【請求項5】 上記空気分離部で分離された気体窒素を液化して寒冷を生成する寒冷生成部が設けられ、空気分離部から寒冷生成部に向けて寒冷用の原料窒素を送り込む寒冷原料用窒素管路と、寒冷生成部で生成した寒冷を空気分離部に向けて送り返す寒冷管路とが配管され、上記寒冷原料用窒素管路および寒冷管路には開閉自在の寒冷用窒素遮断弁および寒冷遮断弁がそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の空気分離装置。 【請求項6】 上記寒冷生成部は生成した液体窒素を貯留する液窒貯槽を備え、装置内に設けられた可動部分を有する窒素の圧縮膨張用の機器のケーシング内に上記液窒貯槽内の窒素を送り込む保守用窒素管路と、この保守用窒素管路を開閉する開閉弁とが設けられていることを特徴とする請求項5記載の空気分離装置。 【請求項7】 上記寒冷生成部は生成した液体窒素を貯留する液窒貯槽を備え、原料空気を圧縮する原料空気圧縮機およびその下流側に上記液窒貯槽内の窒素を送り込む保守用窒素管路と、この保守用窒素管路を開閉する開閉弁とが設けられていることを特徴とする請求項5記載の空気分離装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、安価な深夜電力を利用することにより運転コストを低減させた上で安定した間欠運転を確保し得る空気分離方法および装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、例えば特許第2782355号公報に記載されているような空気分離装置が知られている。この空気分離装置は、安価な深夜電力を利用して夜間に装置を運転する一方、昼間は運転を停止する、いわゆる昼夜間欠運転を効率的に実施するように構成されたものであり、所定の低温に冷却された原料空気を窒素と酸素とに分離する蒸留塔がメインの装置として採用され、この蒸留塔内での所定の蒸留操作によって塔底の液体空気の蒸気が塔内を上昇しながら塔頂に向かうにつれて窒素リッチになり分離されるようになっている。そして、昼夜間欠運転を効率的に切り換えるために蒸留塔内の気体(窒素ガスおよび酸素ガス)および液体(液体窒素および液体酸素)を蒸留塔内に閉じ込める遮断弁が各所に設けられている。 【0003】かかる空気分離装置によれば、昼間の運転停止時に全ての遮断弁を閉止することにより、蒸留塔内は、運転時の圧力分布および組成分布が確保された状態を維持するため、夜間の装置運転開始時には、蒸留塔内の圧力分布および組成分布を所定のものにするために通常必要とされる慣らし運転が不要になり、迅速な再起動を図ることができると説明されている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記遮断弁をすべて閉止することによって、たとえ蒸留塔内の圧力分布を所定の値に維持し得たとしても、再起動時に蒸留塔に原料空気の供給が開始されると、この新たな変動要因の動的付加によってせっかく静的に維持されていた蒸留塔内の圧力バランスや組成分布が平衡を失ってしまう。具体的には、再起動によって新たに蒸留塔に供給される原料空気を蒸留するために充分な寒冷が確保されておらず、これによって蒸留塔内の組成分布が定常状態のものに比べて大きく変動してしまうのである。従って、動的な平衡状態が維持されることによって実現する安定運転が確保されるまでには結局長時間を要するという問題点が存在する。 【0005】そして、長時間のアイドル運転が余儀なくされると、この間に分離された窒素は製品規格を満足するものでないことから廃棄せざるを得ず、これによって生産性の悪化を来すという問題点に波及する。 【0006】本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、昼夜間欠運転における蒸留塔の再起動をより迅速にかつより安定した状態で行うことができる空気分離方法および装置を提供することを目的としている。 【0007】 【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、圧縮および冷却した原料空気を空気分離部での蒸留処理により少なくとも窒素と酸素とに分離する空気分離方法において、一旦停止した空気分離部の運転を再開するに際し、運転中に貯留した液体酸素を、空気分離部で分離されて保持されている気体窒素を液化するための冷熱源として使用することを特徴とするものである。 【0008】請求項2記載の発明は、圧縮および冷却された原料空気を蒸留することにより少なくとも窒素と酸素とに分離する空気分離部を備えてなる空気分離装置において、空気分離部には、得られた液体酸素の少なくとも一部を貯留する液酸貯槽が設けられ、この液酸貯槽には、空気分離部の始動時に窒素液化用の液体酸素を、空気分離部内に保持されている気体窒素または空気を液化するための冷熱源として送り込む始動用液酸管路が接続され、上記管路には開閉弁が設けられていることを特徴とするものである。 【0009】請求項1および2記載の発明によれば、例えば昼夜間欠運転で昼間に停止していた装置を夜間に再起動するに際し、運転中に貯留していた液体酸素を気体窒素または空気液化用の冷熱源として使用することにより、得られた液体窒素または液体空気で即座に蒸留用の寒冷を賄うことが可能になり、これによって装置再起動時の立ち上げを迅速に行うことができる。 【0010】そして特に請求項2の発明によれば、装置の運転を夜間に再開するに際し、空気圧縮冷却部からの原料空気の蒸留手段への供給開始に合わせて液酸供給弁を開弁することにより、液酸貯槽に貯留されていた液体酸素が始動用液酸管路を通って蒸留手段に送り込まれ、運転再開の当初は蒸留手段内で不足気味の液体酸素が補われてこの液体酸素との熱交換によって蒸留手段内で気体窒素または空気が液化され、液体窒素が即座に蒸留手段内で寒冷としての機能を果たすため、蒸留手段内は迅速にかつ安定した状態で運転モードの圧力分布および組成分布になる。 【0011】従って、運転再開の当初から製品規格を満足する窒素を得ることが可能になり、その分生産性の向上が達成される。 【0012】請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、上記空気分離部は、原料空気を蒸留して高酸素濃度の液体空気にする高圧蒸留塔と、この高圧蒸留塔の塔頂からの窒素を蒸留用の寒冷として液化する主凝縮器と、上記高圧蒸留塔の塔底から供給された液体空気を蒸留して液体酸素にする低圧蒸留塔とを備え、上記低圧蒸留塔と主凝縮器との間には、低圧蒸留塔の塔底の液体酸素を窒素凝縮用の冷熱源として主凝縮器に送り込む液酸素導出管路が設けられ、この液酸素導出管路に抜出し管路を介して液酸貯槽が接続されていることを特徴とするものである。 【0013】この発明によれば、例えば夜間の装置運転時には、空気圧縮冷却部から空気分離部に導入された原料空気は、高圧蒸留塔において蒸留されて気体窒素が塔内を上昇し、頂部から導出され主凝縮器で液体酸素との熱交換により液化して導出される一方、塔底には富酸素液体空気が貯留される。この富酸素液体空気は順次抜き出されて低圧蒸留塔に供給され、塔頂から流下する寒冷との熱交換でさらに蒸留されて高純度の窒素が塔頂から導出される一方、塔底には分離された液体酸素が貯留される。 【0014】このように蒸留塔を高圧蒸留塔と低圧蒸留塔とに分けることにより、蒸留塔の高さ寸法を抑えることが可能になり、設備的に蒸留等建設を容易にした上で原料空気の分離処理を支障なく行い得るようになる。 【0015】請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、上記主凝縮器から導出された酸素蒸気を低圧蒸留塔に還流するガス酸素還流管路が配管され、上記液酸素導出管路には、塔底の液体酸素を送出する液酸ポンプと、この液酸ポンプの下流側で分岐して低圧蒸留塔に液体酸素を戻す液酸戻し管路と、同下流側で分岐して上記液酸貯槽に向かう液酸抜出し管路とが配管されているとともに、上記液酸素導出管路の液酸戻し管路より下流側、上記ガス酸素還流管路、上記液酸戻し管路および液酸抜出し管路には、それぞれ開閉自在の液酸遮断弁、気酸遮断弁、戻り液酸遮断弁および液酸抜出し弁が設けられていることを特徴とするものである。 【0016】この発明によれば、低圧蒸留塔の塔底に貯留した液体酸素は、液酸ポンプの駆動で酸素導出管路を通って主凝縮器での窒素の液化に冷熱源として利用されたのち気体酸素になり、酸素還流管路を通って低圧蒸留塔の底部に戻され、再度蒸留に掛けられる。また、酸素導出管路を流れる液体酸素は、その一部が液酸戻し管路を通って低圧蒸留塔に戻されるとともに、他の一部が液酸抜出し管路を通って液酸貯槽に貯留される。 【0017】このような高圧蒸留塔、主凝縮器および低圧蒸留塔の連係作用によって夜間は安価な深夜電力を消費しながら原料空気が深冷分離されて高純度の窒素が生産されるとともに、所定純度の液体酸素が生産される。 【0018】そして、夜間の運転再開の始動時には、液酸供給弁を開放して液酸貯槽内の液体酸素を主凝縮器に送り込むことによってそれとの熱交換で窒素が液化されるとともに、気酸遮断弁の開放で気化した酸素は酸素還流管路を通って低圧蒸留塔の底部に還流されるが、この還流された酸素蒸気は、停止期間中も運転されていた液酸ポンプにより循環している液体酸素と接触し、窒素がストリッピングされて塔底の液体酸素は急速に定常運転中の所定の純度まで回復する。 【0019】その後、低圧蒸留塔の塔底に貯留される液体酸素の純度が定常状態に回復した頃合いを見計らって液酸供給弁を閉止するとともに、液酸抜出し弁を開くことによって、空気分離装置は夜間の定常運転に戻ることになる。 【0020】請求項5記載の発明は、請求項2乃至4のいずれかに記載の発明において、上記空気分離部で分離された気体窒素を液化して寒冷を生成する寒冷生成部が設けられ、空気分離部から寒冷生成部に向けて寒冷用の原料窒素を送り込む寒冷原料用窒素管路と、寒冷生成部で生成した寒冷を空気分離部に向けて送り返す寒冷管路とが配管され、上記寒冷原料用窒素管路および寒冷管路には開閉自在の寒冷用窒素遮断弁および寒冷遮断弁がそれぞれ設けられていることを特徴とするものである。 【0021】この発明によれば、例えば夜間の運転時には寒冷用窒素遮断弁および寒冷遮断弁を開放することにより空気分離部および寒冷生成部間における所定の気液の流通が適正に行われて空気分離操作が実行される一方、昼間の停止期間中は、寒冷用窒素遮断弁および寒冷遮断弁を閉止することにより、空気分離部と寒冷生成部との間は、気液の流通が遮断された状態になるため、空気分離部の酸素を含んだ汚染された気体の寒冷生成部への侵入が防止され、これによって夜間の再起動時に酸素を含んだ純度の低い寒冷(寒冷は高純度の製品窒素になる)が生成されるという不都合が回避される。 【0022】請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、上記寒冷生成部は生成した液体窒素を貯留する液窒貯槽を備え、装置内に設けられた可動部分を有する窒素の圧縮膨張用の機器のケーシング内に上記液窒貯槽内の窒素を送り込む保守用窒素管路と、この保守用窒素管路を開閉する開閉弁とが設けられていることを特徴とするものである。 【0023】この発明によれば、装置の運転停止中に、液窒貯槽に貯えられている液体窒素が、窒素の純度低下を防ぐ目的で装置内の可動部分を有する機器のケーシング内に供給されるため、ケーシング内は気化した窒素ガスが充満し、これによって可動部分の隙間を通して外気が機器内に入り込むことを確実に防止することが可能になり、侵入した空気による装置内の汚染が防止され、再起動時の窒素の純度低下が防止される。 【0024】請求項7記載の発明は、請求項5記載の発明において、上記寒冷生成部は生成した液体窒素を貯留する液窒貯槽を備え、原料空気を圧縮する原料空気圧縮機およびその下流側に上記液窒貯槽内の窒素を送り込む保守用窒素管路と、この保守用窒素管路を開閉する開閉弁とが設けられていることを特徴とするものである。 【0025】この発明によれば、液窒貯槽に貯えられている液体窒素が、機器の防錆を目的で原料空気圧縮機およびその下流側に供給されるため、原料空気圧縮機およびその下流側の管路内に気化した窒素ガスが充満し、これによって原料空気圧縮機およびその下流側の管路内が防錆される。 【0026】 【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る空気分離装置の一実施形態を示す系統図である。なお、図1において、太い実線で空気または富酸素空気が通る管路を、太い一点鎖線で酸素が通る管路を、太い点線で窒素が通る管路をそれぞれ示している。 【0027】図1に示すように、空気分離装置Sは、圧縮された原料空気Aを液化温度まで冷却する空気圧縮冷却部S1と、この空気圧縮冷却部S1からの原料空気Aを蒸留することにより窒素と酸素とに分離する蒸留手段を備えた空気分離部S2と、この空気分離部S2からの窒素を用いて液体製品製造用の寒冷を生成する寒冷生成部S3とを備えた基本構成を有している。 【0028】蒸気空気圧縮冷却部S1は、原料空気供給管路P1に上流側から下流側に向けて順次設けられた、原料空気Aを所定の高圧(120Pa〜1000Pa)に昇圧する原料空気圧縮機10と、原料空気Aを事前冷却するプレクーラー11と、プレクーラー11により事前冷却された原料空気Aを清浄化処理する吸着精製装置12と、この吸着精製装置12で精製された原料空気Aを分離された低温ガスとの熱交換で冷却する主熱交換器13とからなっている。 【0029】上記吸着精製装置12は、内部にアルミナゲルやゼオライト等の吸着材の充填された複数基の吸着塔によって形成されている。これらの吸着塔は、適宜切り換え運転されるようになっており、休止中の吸着塔内の吸着材が空気分離部S2で得られた窒素ガスによって再生され、これによって吸着精製装置12の精製効率の低下が防止されるようになっている。原料空気Aは、かかる吸着精製装置12を通過することにより、水分および二酸化炭素が吸着除去される。 【0030】上記主熱交換器13は、冷熱源として空気分離部S2で生成した窒素ガスや酸素ガス、および寒冷生成部S3で生成した窒素ガスが用いられ、原料空気Aはこれら冷熱源との熱交換で液化温度近傍にまで冷却され、空気分離部S2に供給されて以下に述べる分離処理に供される。 【0031】上記空気分離部S2は、高圧蒸留塔20と、この高圧蒸留塔20の頂部に連設された主凝縮器21と、高圧蒸留塔20に隣接配置された低圧蒸留塔22と、低圧蒸留塔22の塔底から液体酸素LOを抜き出す液酸ポンプ23と、この液酸ポンプ23によって抜き出された液体酸素LOの一部を貯留する液酸貯槽24とからなっている。 【0032】そして、上記原料空気供給管路P1の下流端は高圧蒸留塔20の塔底より若干上方位置に接続され、この位置に供給された原料空気Aは塔内を上昇しながら流下してくる還流液と接触して蒸留処理が施されることにより、沸点が酸素のそれより低い窒素は窒素ガスGNとして分離される一方、酸素は液化して流下し、これによって塔底には富酸素液体空気AOが貯留されることになる。 【0033】高圧蒸留塔20の塔底と低圧蒸留塔22の中部位置との間には、富酸素液体空気管路P21が配管されている。そして、高圧蒸留塔20内と低圧蒸留塔22内の圧力差によって塔底に溜まった富酸素液体空気AOは低圧蒸留塔22の中部位置に供給されるようになっている。そして、低圧蒸留塔22に供給された富酸素液体空気AOは低圧環境で蒸留に付され、窒素がストリッピングされて上昇して塔頂に高純度の窒素ガスGNが集まるとともに、塔底に液体酸素LOが貯留されるようになっている。 【0034】一方、高圧蒸留塔20内で分離された窒素ガスGNは、塔頂から管路P22を通して抜き出され、主凝縮器21内の熱交換器21aに導入されることにより、熱交換器21aが浸漬している低圧蒸留塔22あるいは液酸貯槽24からの液体酸素LOとの間で熱交換が行われて液化し、液体窒素LNとなって高圧蒸留塔20の頂部に戻される。塔頂に戻された液体窒素LNは、その一部が還流液として高圧蒸留塔20内を流下するとともに、残部が低圧蒸留塔22の蒸留用還流液および製品液体窒素として高圧蒸留塔20から抜き出されるようになっている。 【0035】そして、本実施形態においては、高圧蒸留塔20、主凝縮器21および低圧蒸留塔22は、それぞれ各種の管路で有機的に結合され、それらの気液が相互に作用し合うことによって効果的に空気の深冷分離が実行されるとともに、昼夜間欠運転における夜間運転の始動が迅速かつ適正に行われるようになっている。以下、これらの管路について説明する。 【0036】まず、低圧蒸留塔22の塔底と主凝縮器21との間には酸素導出管路P23が配管されているとともに、この酸素導出管路P23に液酸ポンプ23が設けられ、この液酸ポンプ23の駆動によって低圧蒸留塔22の底部に貯留している液体酸素LOが主凝縮器21内に供給され、熱交換器21a内の窒素ガスGNを液化させるようになっている。かかる酸素導出管路P23には、後述する液酸戻し管路P26より下流位置に凝縮器向け液酸遮断弁25が設けられている。 【0037】また、主凝縮器21の頂部と低圧蒸留塔22の底部の液位より若干上方位置との間には酸素還流管路P24が配管され、主凝縮器21内で気化した酸素ガスGOは、この酸素還流管路P24を通って低圧蒸留塔22内に戻されるようになっている。かかる酸素還流管路P24には開閉自在の気酸遮断弁26が設けられている。 【0038】また、酸素還流管路P24からは廃酸素排出管路P240が分岐され、上記主熱交換器13を通って系外に導出されている。従って、主凝縮器21の頂部から導出された酸素ガスGOは、その一部が低圧蒸留塔22に戻されるとともに、残部が廃酸素として廃酸素排出管路P240を通り、主熱交換器13における原料空気Aとの熱交換で常温にまで昇温された後に系外に排出されるようになっている。 【0039】また、酸素導出管路P23からは液酸ポンプ23の下流位置で液酸抜出し管路P25が分岐され、この液酸抜出し管路P25の下流端は液酸貯槽24に接続されている。従って、液酸ポンプ23の駆動で低圧蒸留塔22の塔底から抜出された液体酸素LOの一部は、この液酸抜出し管路P25を通って液酸貯槽24に供給され、液酸貯槽24内に貯留されるようになっている。かかる液酸抜出し管路P25には、開閉自在の液酸抜出し弁27が設けられている。 【0040】また、液酸抜出し管路P25より下流側の酸素導出管路P23からは液酸戻し管路P26が分岐され、その先端は低圧蒸留塔22の中部位置より若干下方位置に接続されている。従って、液酸ポンプ23の駆動で低圧蒸留塔22の塔底から酸素導出管路P23を介して抜き出された液体酸素LOは、その一部が液酸戻し管路P26を通って低圧蒸留塔22に戻され、富酸素液体空気AOの蒸留に利用されることになる。上記液酸戻し管路P26には、開閉自在の戻り液酸遮断弁28が設けられている。 【0041】また、液酸貯槽24の底部と主凝縮器21との間には始動用液酸管路P27が配管されている。この始動用液酸管路P27は、昼間停止されていた空気分離装置Sを夜間に始動するに際し、液酸貯槽24内の液体酸素LOを主凝縮器21に供給するためのものであり、こうすることによって始動時に不足しがちの主凝縮器21内の液体酸素LOが補充され、熱交換器21a内の窒素ガスGNを確実に液化することによって始動時の安定操業が確保されるようになっている。かかる始動用液酸管路P27には液酸供給弁29が設けられている。また、液酸供給弁29の蒸留側の始動用液酸管路P27からは製品液体酸素導出管路P28が分岐されている。この製品液体酸素導出管路P28には製品酸素送出弁290が設けられ、この製品酸素送出弁290の開閉操作で液体酸素LOの出荷調整が行われるようになっている。 【0042】そして、低圧蒸留塔22の上部位置には、寒冷生成部S3からの液体窒素が供給される管路、塔頂から高純度の窒素ガスGNを抜き出す管路、および塔頂より若干下方位置から中純度の窒素ガスGNを抜き出す管路がそれぞれ接続されているが、これらについては寒冷生成部S3との関連で後述する。 【0043】上記寒冷生成部S3は、空気分離部S2の低圧蒸留塔22で分離され、空気圧縮冷却部S1の主熱交換器13で原料空気Aとの熱交換に供された窒素ガスGNを受け入れて冷却し、得られた液体窒素LNを蒸留用の寒冷として空気分離部S2に戻すとともに、余剰分を製品液体窒素として出荷するセクションである。 【0044】かかる寒冷生成部S3は、主熱交換器13を介して低圧蒸留塔22から送り込まれた窒素ガスGNを昇圧する低圧窒素圧縮機30と、この低圧窒素圧縮機30の下流側に設けられた高圧窒素圧縮機31と、高圧窒素圧縮機31によって所定の圧力に昇圧された窒素ガスGNをさらに圧縮する高温膨張タービン32および低温膨張タービン33と、これら膨張タービン32,33で加圧された窒素ガスGNを略−60℃に予備冷却する冷凍機34と、熱交換により窒素ガスGNを液化して寒冷にする窒素冷却器35と、液化した液体窒素LNを貯留するとともに、気液に分離する気液分離器36と、この気液分離器36からの液体窒素LNを貯留する液窒貯槽37とからなっている。 【0045】上記低圧窒素圧縮機30と、低圧蒸留塔22の塔頂との間には主熱交換器13を介して低圧窒素ガス管路(寒冷原料用窒素管路)P31が配管され、低圧蒸留塔22の頂部から導出された高純度の低圧窒素ガスGNLはこの低圧窒素ガス管路P31を通して低圧窒素圧縮機30に供給されて中圧にまで昇圧され、高圧窒素圧縮機31に供給されるようになっている。 【0046】また、後述する寒冷供給管路P33と高圧窒素圧縮機31との間には主熱交換器13を介して中圧窒素ガス管路(寒冷原料用窒素管路)P32が配管され、寒冷供給管路P33内を流れる高純度の中圧窒素ガスGNMはこの中圧窒素ガス管路P32を通して高圧窒素圧縮機31に供給されるようになっている。 【0047】従って、空気分離部S2で分離生成した低圧窒素ガスGNLおよび寒冷生成部S3で生成した中圧窒素ガスGNMは、いずれも高圧窒素圧縮機31を通って2000kPa〜5000kPaに昇圧され、高圧窒素ガスGNHになる。この高圧窒素ガスGNHは、寒冷生成部S3内の所定の管路を移送されつつ、冷凍機34で略−30℃〜−60℃にまで冷却され、引き続き各膨張タービン32,33の断熱膨張仕事によってさらに冷却されるとともに、窒素冷却器35での高圧窒素ガスGNH相互の熱交換によって系内の熱バランスが調節され、一部が高圧窒素圧縮機31に戻される一方、他の一部が液体窒素LNとして気液分離器36に貯留されるとともに、残部および気液分離器36で分離された窒素ガスGNが寒冷として主凝縮器21の熱交換器21aに戻されるようになっている。 【0048】そして、上記寒冷を熱交換器21aに戻すために、気液分離器36および低温膨張タービン33の出口側と、高圧蒸留塔20の頂部および熱交換器21a間に配管された管路P22との間に第1寒冷供給管路P33が配管されている。 【0049】また、気液分離器36の底部と液窒貯槽37の頂部との間には、気液分離器36内に貯留されている液体窒素LNを液窒貯槽37に送り込むための液窒抜出し管路P34が設けられ、気液分離器36に溜まった液体窒素LNは、液窒抜出し管路P34を通って一旦液窒貯槽37に貯留された後、製品液体窒素導出管路P37を介して出荷されるようになっている。この製品液体窒素導出管路P37には製品窒素送出弁390が設けられ、この製品窒素送出弁390の開閉操作で、液体窒素LNの出荷調整が行われるようになっている。 【0050】かかる液窒抜出し管路P34の適所と上記低圧蒸留塔22の塔頂との間には第2寒冷供給管路P35が配管されているとともに、高圧蒸留塔20の頂部と第2寒冷供給管路P35との間には液窒連絡管路P36が配管され、液窒抜出し管路P34から第2寒冷供給管路P35に分流した液体窒素LNおよび液窒連絡管路P36を通って導出される主凝縮器21からの液体窒素LNが合流点で第2寒冷供給管路P35に合流し、蒸留用の寒冷として頂部から低圧蒸留塔22内に供給されるようになっている。上記第2寒冷供給管路P35の低圧蒸留塔22手前には、還流窒素弁39が設けられている。 【0051】また、上記低圧窒素ガス管路P31には低圧窒素遮断弁41が設けられているとともに、上記中圧窒素ガス管路P32には中圧窒素遮断弁42が設けられている。また、第1寒冷供給管路P33には気状寒冷遮断弁(寒冷用窒素遮断弁)43が設けられているとともに、第2寒冷供給管路P35には液状寒冷遮断弁(寒冷用窒素遮断弁)44が設けられている。 【0052】そして、これらの遮断弁41〜44を全て閉止することにより、空気圧縮冷却部S1および空気分離部S2と、寒冷生成部S3との気液の流通が遮断されるようになっている。これらの遮断弁41〜44は、夜間の装置運転中は全て開弁されるとともに、昼間の停止中は全て閉止され、これによって空気圧縮冷却部S1および空気分離部S2からの酸素成分が寒冷生成部S3に侵入し、空気分離装置S内を汚染するのを防止し得るようになっている。 【0053】また、製品液体窒素導出管路P37からは開閉弁38を介して保守用窒素管路P38が分岐され、昼間の運転停止時に空気の進入を防ぐために、各所に窒素を送り込むようになされている。これを示すために、図1には保守用窒素管路P38に円付き数字を記入している一方、保守用窒素が供給される位置にも円付き数字を記入している。そして、対応した数字の位置に保守用窒素が供給される。 【0054】具体的には、空気分離装置Sの運転停止時に保守用の窒素を原料空気圧縮機10(■)、低圧窒素圧縮機30および高圧窒素圧縮機31(■)、高温膨張タービン32(■)並びに低温膨張タービン33(■)に導入し、これらの内部に窒素ガスを充満させることによって内部に空気が侵入することを阻止し、原料空気圧縮機10、窒素圧縮機30,31および膨張タービン32,33内が空気で汚染されるのを防止するようにしている。 【0055】以下、本実施形態の作用について説明する。まず、夜間の装置の定常運転中においては、まず低圧窒素遮断弁41、中圧窒素遮断弁42、気状寒冷遮断弁43および液状寒冷遮断弁44が開通されて空気圧縮冷却部S1および空気分離部S2と寒冷生成部S3との間における気液が流通可能状態とされている。また、戻り液酸遮断弁28および液酸供給弁29が閉止された状態で凝縮器向け液酸遮断弁25、気酸遮断弁26および液酸抜出し弁27が開通され、これによって低圧蒸留塔22塔底の液体酸素LOの一部が酸素導出管路P23を通って主凝縮器21に供給され、ここで気化して酸素還流管路P24を通って低圧蒸留塔22に戻されるとともに、同残部が液酸抜出し管路P25を通って液酸貯槽24に供給され、ここで貯留されるようになっている。また、還流窒素弁39が開通され、これによって寒冷生成部S3からの液体窒素LNが第2寒冷供給管路P35を通って低圧蒸留塔22の塔頂に供給されるようになっている。 【0056】そして、原料空気圧縮機10によって所定の圧力に昇圧された原料空気Aは、原料空気供給管路P1を流下しながらプレクーラー11により事前冷却された後、吸着精製装置12で水分および二酸化炭素が吸着除去され、主熱交換器13で空気分離部S2および寒冷生成部S3からの低温の窒素ガスGNとの熱交換によって液化温度近傍にまで冷却されて高圧蒸留塔20の塔底に導入される。 【0057】高圧蒸留塔20に導入された原料空気Aは、ここで第1段階回目の蒸留に付されて塔内を上昇する窒素ガスGNが主凝縮器21に導入される一方、塔底に溜まった富酸素液体空気AOは低圧蒸留塔22に送り込まれてここで第2段回目の蒸留処理が施され、高純度の窒素ガスGNが塔頂に集められるとともに、液体酸素LOが塔底に溜められる。この塔底に貯留された液体酸素LOは、液酸ポンプ23の駆動で酸素導出管路P23を通って主凝縮器21に供給され、熱交換器21a内の窒素ガスGNに冷熱を与えて窒素ガスGNを液化するとともに、自身は気化して頂部から導出され、一部は廃酸素排出管路P240を通り、主熱交換器13を介して系外に排出されるとともに、残部は酸素還流管路P24を通って低圧蒸留塔22の底部に戻されて再度蒸留に付される。 【0058】一方、主凝縮器21の熱交換器21aから導出された液体窒素LNは、一部が高圧蒸留塔20内で蒸留用の寒冷として利用され、残部が液窒連絡管路P36を通して抜き出され、第2寒冷供給管路P35を通って供給された寒冷生成部S3からの液体窒素LNと合流して低圧蒸留塔22の頂部に供給され、低圧蒸留塔22での蒸留用の寒冷として利用される。 【0059】そして、低圧蒸留塔22で塔頂に集められた高純度の低圧窒素ガスGNLは、低圧窒素ガス管路P31を通して抜き出され、寒冷生成部S3に導入される。そして、寒冷生成部S3に導入された低圧窒素ガスGNLは、低圧窒素圧縮機30により昇圧された後、中圧窒素ガス管路P32を通って循環している中圧窒素ガスGNMと合流し、以後、高圧窒素圧縮機31、高温膨張タービン32、低温膨張タービン33、冷凍機34および窒素冷却器35により所定の冷却処理が施され、一部は液体窒素LNになって気液分離器36を介して第2寒冷供給管路P35を通り、低圧蒸留塔22の蒸留用の寒冷として利用されるとともに、残部は第1寒冷供給管路P33を通って主凝縮器21に戻され、ここで再度液化されてこれも低圧蒸留塔22の寒冷として利用される。 【0060】このような処理が各所における圧力分布および組成分布が安定した定常状態で実行されることにより、液窒貯槽37に製品液体窒素が順次貯留されていくとともに、液酸貯槽24に製品液体酸素が順次貯留されていることになる。これらの製品は適宜あるいは連続的に抜き出されて出荷される。 【0061】つぎに、夜間行われていた操業を昼間に停止する停止方法について説明する。操業停止に際しては、まず、低圧窒素圧縮機30および高圧窒素圧縮機31の運転を停止すると同時に、製品酸素送出弁290および製品窒素送出弁390を閉止する。こうすることによって寒冷生成部S3内への窒素ガスGNの流入がなくなるとともに、液酸貯槽24からの液体酸素LOの抜き出し、および液窒貯槽37からの液体窒素LNの抜き出しが停止され、寒冷生成部S3内での気液の流動がなくなることにより高温膨張タービン32および低温膨張タービン33は自動的に停止する。ついで冷凍機34の運転も停止する。 【0062】図2は、上記の操作で寒冷生成部S3が停止された状態を示す系統図である。なお、図2において、細い線で示している管路に係る部分が停止状態になっている部分を示しており、太い線で示している管路に係る部分は稼働状態を示している。すなわち、図2に示すように、低圧および高圧窒素圧縮機30,31を停止するとともに、製品送出弁290,390を閉止した状態では、寒冷生成部S3は全く停止された状態になっているが、原料空気圧縮機10が停止されていないことから、空気圧縮冷却部S1および空気分離部S2は運転状態を継続しており、原料空気圧縮機10の駆動で系内に供給された原料空気Aは、空気分離部S2のみの運転によって分離されることになる。従って、電力消費量が空気分離部S2の略2倍である寒冷生成部S3のみを昼間停止して操業を行う場合は、上記のような処置が取られるのである。 【0063】因みに夜間の操業時に続いて液酸抜出し弁27および戻り液酸遮断弁28は閉止状態が継続されている。また、低圧および高圧窒素圧縮機30,31、各膨張タービン32,33には、中圧窒素ガス管路P32を介して軸封用に中圧窒素ガスGNMが供給されるため、これらの機器が侵入した空気で汚染される不都合が回避される。 【0064】つぎに、昼間、寒冷生成部S3に加えて空気分離部S2をも停止する場合について説明する。この場合は、上記のように寒冷生成部S3を停止したのち、空気分離部S2と寒冷生成部S3との間に設けられた低圧窒素遮断弁41、中圧窒素遮断弁42、気状寒冷遮断弁43、および液状寒冷遮断弁44をそれぞれ閉止する。こうすることによって空気分離部S2と寒冷生成部S3との間の気液流通状態が完全に遮断される。ついで、吸着精製装置12における吸着材の再生処理が完了したタイミングを見計らって原料空気圧縮機10を停止する。これによって空気分離部S2への原料空気Aの供給が完全に止められ、高圧蒸留塔20および低圧蒸留塔22は蒸留機能が失われ、空気分離装置Sは停止状態になる。 【0065】そしてこの停止状態にあっては、空気分離部S2と寒冷生成部S3との間は遮断弁41〜44の閉止によって気液の流通が遮断された縁切り状態になっているため、空気分離部S2内の酸素が寒冷生成部S3に移ることによる汚染が生じることはなく、再起動時に寒冷生成部S3内が酸素で汚染されていることにより定常状態に戻るまでに長時間を要するという従来の不都合が回避され、空気分離装置Sの迅速な立ち上げが実現する。 【0066】また、本実施形態においては、原料空気圧縮機10の稼働が止められた夜間の運転停止中であっても、凝縮器向け液酸遮断弁25および液酸抜出し弁27が閉止され、かつ、戻り液酸遮断弁28が開通された状態で液酸ポンプ23の駆動が継続され、これによって低圧蒸留塔22の塔底に溜まった液体酸素LOが酸素導出管路P23を通って低圧蒸留塔22の中部と底部との間で循環されている。こうすることで、低圧蒸留塔22の下部位置が常に適正な冷却状態を維持し、運転再開時に酸素還流管路P24を通って低圧蒸留塔22の底部に戻された酸素ガスGOが即座に液化され、これによって主凝縮器21に供給される窒素液化用の冷熱源を運転再開当初から確保し得るようになっている。 【0067】つぎに、空気分離装置Sの運転停止中の保全処置について説明する。この保全処置は、可動部分を備えた機器(具体的には原料空気圧縮機10、窒素圧縮機30,31および膨張タービン32,33)に存在する僅かな隙間(例えば軸と軸受との間に存在する軸封部の隙間)を通って侵入してくる空気を遮断するものであり、そのために保守用窒素管路P38の開閉弁38を開通し、所定の管路を介して可動機器内に供給し、それらの内部圧力を大気圧より高く維持することによって空気の侵入を防止するのである。 【0068】図3は、空気分離装置Sの運転停止中の保全処置を説明するための系統図である。この図では、保全処置が施される部分を太線で示している。本実施形態においては、保全用の窒素は、■で示す原料空気圧縮機10、■で示す低圧窒素圧縮機30および高圧窒素圧縮機31、■で示す高温膨張タービン32、並びに■で示す低温膨張タービン33に供給されるようになっている。 【0069】原料空気圧縮機10については、図3中の■で示すように、原料空気圧縮機10の出口若しくは入口、または圧縮機のケーシング内に窒素が供給される。これによって原料空気圧縮機10内および前後の原料空気供給管路P1内に窒素ガスが充満するため、原料空気圧縮機10の可動部分を介した大気中の湿分の侵入が確実に防止され、原料空気圧縮機10を停止後に湿潤状態になり易い圧縮機内や管路内が乾燥状態になることによって防錆効果を得ることができる。 【0070】低圧および高圧窒素圧縮機30,31については、図3中の■で示すように、これらの軸封部に高純度の窒素ガスが供給され、これによって軸封部への大気中の酸素、二酸化炭素、水分の侵入が確実に防止される。 【0071】高温膨張タービン32および低温膨張タービン33については、図3中の■および■で示すように、これらタービンの軸封部に常時高純度の窒素ガスが供給され、これによって軸封部への大気中の酸素、二酸化炭素、水分の侵入が確実に防止される。 【0072】つぎに、昼間停止されていた空気分離装置Sの再起動について図1を基に説明する。本実施形態が対象としている昼夜間欠運転においては、空気分離装置Sは、1日に1回必ず起動と停止とが行われ、これの繰り返しで操業が継続される。そして、1日当りの停止時間は10〜14時間であるため、この程度の停止期間であれば、主凝縮器21および低圧蒸留塔22の塔底に貯留されている液体酸素LO、並びに高圧蒸留塔20の塔底に貯留されている富酸素液体空気AOは、外部から侵入してくる熱によって一部は気化するものの大部分は液状が維持され、これによって空気分離装置Sは全体的に低温状態が保持されている。 【0073】これに加えて、上記空気分離部S2と寒冷生成部S3との間の気液縁切り処置によって寒冷生成部S3内が酸素で汚染されることが有効に防止されていること、および保全用の窒素ガスが装置内の可動機器に供給されて空気が系内に侵入することを防止していることにより、空気分離装置Sは再起動を容易にかつ迅速に行い得る環境になっている。 【0074】このときの弁の開閉状態は以下のようになっている。すなわち、低圧窒素遮断弁41、中圧窒素遮断弁42、気状寒冷遮断弁43および液状寒冷遮断弁44は閉止されて空気分離部S2と寒冷生成部S3との間は気液の流通が遮断された状態になっている。また、還流窒素弁39も閉止され、液状寒冷遮断弁44の閉止とで低圧蒸留塔22内の気体が寒冷生成部S3内に逆流することの阻止が完全に行われるようになされている。また、液酸抜出し弁27および凝縮器向け液酸遮断弁25が閉止された状態で戻り液酸遮断弁28が開通され、この状態で液酸ポンプ23が運転されることによって低圧蒸留塔22の塔底の液体酸素LOが酸素導出管路P23を介して循環移動されている。また、液酸供給弁29が閉止され、液酸貯槽24内の液体酸素LOが始動用液酸管路P27を通って主凝縮器21内に供給されるのが阻止された状態になっている。 【0075】そして、空気分離装置Sを起動するに際しては、弁の開閉状態を上記のままに維持して、まず、原料空気圧縮機10が起動され、これによって高圧の原料空気Aを高圧蒸留塔20に送り込んで高圧蒸留塔20内を所定の高圧状態にし、ついで気酸遮断弁26を開通する。そうすると高圧蒸留塔20の塔頂の空気が管路P22を通って主凝縮器21の熱交換器21aに供給され、ここで熱交換器21aの外側に存在する液体酸素LOによって冷却されて液化し、高圧蒸留塔20の塔頂に戻される。この塔頂に還流された液体空気は、蒸留用の寒冷の役割を果たしながら高圧蒸留塔20内を順次流下し、これによって高圧蒸留塔20内の酸素が液化するため、塔頂部の蒸気は酸素濃度が急速に低下して高純度の窒素ガスになる。 【0076】また、主凝縮器21内で気化した酸素は、酸素ガスとなって主凝縮器21の頂部から抜き出され、酸素還流管路P24を通って低圧蒸留塔22の底部に供給される。 【0077】そして、本実施形態においては、空気分離装置Sの停止中も液酸ポンプ23の運転が継続されているため、酸素導出管路P23を介して低圧蒸留塔22の中部と底部との間で液体酸素LOが循環され、これによって低圧蒸留塔22の中部以下は酸素が液化するのに適した温度になっている。この状態で主凝縮器21からは酸素ガスGOが酸素還流管路P24を通って低圧蒸留塔22の底部に還流されるため、この酸素ガスは液酸戻し管路P26から低圧蒸留塔22の中部位置に戻されて流下する液体酸素LOとの向流接触で速やかに液化し、これによって塔底に貯留している液体酸素LOはその純度が上昇し、低圧蒸留塔22の下部は急速に定常運転状態に回復する。 【0078】また、これと同期して還流窒素弁39を開通すると、主凝縮器21の熱交換器21aで液体酸素LOとの熱交換で液化した液体窒素LNが液窒連絡管路P36および第2寒冷供給管路P35を通って低圧蒸留塔22の頂部に供給されるため、これに押されて塔頂に滞留していたガスが廃窒素放散管路P39を通って大気中に放散され、これによって低圧蒸留塔22頂部の酸素濃度が急速に低下して低圧蒸留塔22の上部も定常運転状態に迅速に回復する。 【0079】そして、高圧蒸留塔20の頂部、および低圧蒸留塔22の頂部が所定の窒素濃度にまで回復した頃合いを確認し(この確認については過去の操業実績から時間管理で充分に用を達することができる)、低圧窒素遮断弁41、中圧窒素遮断弁42、気状寒冷遮断弁43および液状寒冷遮断弁44を開いて空気分離部S2と寒冷生成部S3との間の気液縁切り状態を解消すると同時に低圧窒素圧縮機30、高圧窒素圧縮機31および冷凍機34を起動する。こうすることによって寒冷生成部S3が起動され、空気分離装置Sが待機運転状態になる。 【0080】そして、以下が本発明に係る重要な操作であるが、この待機運転中に主凝縮器21内に貯留されていた液体酸素LOが減少するのを補うために液酸供給弁29が開通されるのである。すなわち、夜間の運転停止中には、主凝縮器21内に、熱交換器21a中の窒素ガスGNを液化するための冷熱源としての液体酸素LOが封じ込められているが、この液体酸素LOは、運転停止中に低圧蒸留塔22から補給されないため、系外からの外熱を得て僅かずつ気化し、廃酸素排出管路P240を通って系外に排出されることによって量的に充分なものとはなっていないのである。 【0081】従って、この状態で原料空気圧縮機10が起動されると、高圧蒸留塔20の塔頂から管路P22を通って多くの窒素ガスGN(当初は窒素濃度が低い)が、熱交換器21aに供給されるが、これとの熱交換によって貯留されていた液体酸素LOは速やかに気化してしまうため、運転再開当初は主凝縮器21内で窒素ガスGNを液化するための冷熱源が不足することになる。この冷熱源の液体酸素LOが第2寒冷供給管路P35を通して寒冷生成部S3から定常的に供給されるまでは非常に長時間を要するのである。かかる不都合を解消するために、本実施形態においては、運転再開の当初に液酸貯槽24に貯留されている液体酸素LOが始動用液酸管路P27を通して主凝縮器21内に導入され、この貯留液体酸素の助けを借りて熱交換器21a内の窒素ガスGNの液化が促進されるのである。 【0082】そして、低圧蒸留塔22の底部に貯留している液体酸素LOの濃度が所定の値にまで回復した頃合いを見計らって、液酸供給弁29を閉止すると同時に、気酸遮断弁26を開通して低圧蒸留塔22底部の液体酸素LOを主凝縮器21に供給するようにして空気分離部S2の再起動の操作が完了する。 【0083】本実施形態は、以上詳述したように、液酸貯槽24と主凝縮器21との間に始動用液酸管路P27が配管され、この始動用液酸管路P27に液酸供給弁29を設けているため、夜間の定常運転時には液酸供給弁29を閉止して液酸貯槽24内の液体酸素LOが主凝縮器21内に供給されない通常の運転を行う一方、空気分離部S2の始動時には、液酸供給弁29を開通して液酸貯槽24内の液体酸素LOを主凝縮器21内に供給することにより、主凝縮器21内の液体酸素LOの立ち上がり時初期不足を補って熱交換器21a内の窒素ガスGNの液化が支障なく行われ、これによって始動当初から高圧蒸留塔20および低圧蒸留塔22の蒸留用寒冷が確保されるため、空気分離部S2を迅速に定常運転に復帰させる上で有効である。 【0084】また、たとえ昼間の運転停止中であっても、液酸ポンプ23だけは駆動して低圧蒸留塔22の底部の液体酸素LOを酸素導出管路P23および液酸戻し管路P26を介して低圧蒸留塔22の中部と底部との間で循環させておくことにより、空気分離部S2の運転を再開したときに主凝縮器21の頂部から導出され、かつ、酸素還流管路P24を通して低圧蒸留塔22の底部に導入された酸素ガスGOは低圧蒸留塔22内で流下してくる液酸戻し管路P26からの液体酸素LOと向流接触して急速に液化されるため、低圧蒸留塔22の底部に貯留している液の酸素濃度が元の濃度に迅速に戻り、低圧蒸留塔22が定常の運転状態に速やかに復帰する。 【0085】さらに、空気分離装置Sの昼夜間欠運転において、昼間の停止中は低圧窒素遮断弁41、中圧窒素遮断弁42、気状寒冷遮断弁43および液状寒冷遮断弁44を閉止して空気分離部S2と寒冷生成部S3との間の気液流通を遮断して両者間を縁切り状態にしているため、空気分離部S2の酸素分が寒冷生成部S3に移動することがなく、従って寒冷生成部S3の酸素による汚染が確実に防止され、寒冷生成部S3の立ち上げを迅速に行うことが可能になる。 【0086】加えて、昼間の休止中は、液窒貯槽37に貯留されている液体窒素LNを、可動部分を有する原料空気圧縮機10、低圧窒素圧縮機30、高圧窒素圧縮機31、高温膨張タービン32および低温膨張タービン33のケーシング内に供給するようにしているため、休止中にこれらを介して外気が系内に侵入して空気分離装置Sを汚染し、これによって迅速な運転再開が阻害されるような不都合を確実に回避することができる。 【0087】 【発明の効果】請求項1および2記載の発明によれば、昼間に一旦停止された空気分離装置の運転を夜間に再開するに際し、空気圧縮冷却部からの原料空気の蒸留手段への供給開始に合わせて液酸供給弁を開弁することにより、液酸貯槽に貯留されていた液体酸素が始動用液酸管路を通って蒸留手段に送り込まれ、運転再開の当初は蒸留手段内で不足気味の液体酸素が補われてこの液体酸素との熱交換によって蒸留手段内で気体窒素が液化され、液体窒素が即座に蒸留手段内で寒冷としての機能を果たすため、蒸留手段内をタイムラグなく迅速にかつ安定した状態の定常運転に戻すことができる。 【0088】従って、従来のように、夜間に運転を再開した当初は長時間のアイドル運転を余儀なくされ、この間に分離された窒素は製品規格を満足するものでないことから廃棄せざるを得ないような不都合を回避することができ、運転コストを抑えた上で生産性の向上を達成することができる。 【0089】請求項3記載の発明によれば、昼間の運転停止期間中は高圧蒸留塔および主凝縮器と、低圧蒸留塔との間を縁切り状態にするとともに、特に低圧蒸留塔で塔底に貯留された液体酸素を塔内外で循環させるようにしているため、停止期間中の各塔の圧力分布や組成分布を停止前と同様に維持させることができる上、運転再開の始動時には主凝縮器から送り込まれた酸素蒸気は循環している液体酸素と接触し、直ちに液体酸素中の窒素を追い出して酸素濃度を上昇させ、これによって低圧蒸留塔を迅速に定常運転状態に戻すことができる。 【0090】請求項4記載の発明によれば、例えば昼間の運転停止期間中は、各弁の閉弁操作によって高圧蒸留塔および主凝縮器と、低圧蒸留塔との間を縁切り状態にするとともに、特に低圧蒸留塔で塔底に貯留された液体酸素を塔内外で循環させることが可能であり、停止期間中の各塔の圧力分布や組成分布を停止前と同様に確保することができる上、運転再開の始動時には主凝縮器から送り込まれた酸素蒸気を循環している液体酸素と接触させ、直ちに液体酸素中の窒素を追い出して酸素濃度を上昇させて定常運転状態に戻すことができるため、装置の迅速な定常運転化を実現する上で好都合である。 【0091】請求項5記載の発明によれば、寒冷原料用窒素管路および寒冷管路には開閉自在の寒冷用窒素遮断弁および寒冷遮断弁をそれぞれ設けたため、夜間の運転時には寒冷用窒素遮断弁および寒冷遮断弁を開放することにより空気分離部および寒冷生成部間における原料空気および寒冷の所定の流通が行われて空気分離操作が実行される一方、昼間の停止期間中は、寒冷用窒素遮断弁および寒冷遮断弁を閉止することにより、空気分離部と寒冷生成部との間を気液の流通が遮断された状態にすることができ、これによって空気分離部の酸素を含んだ汚染された気体の寒冷生成部への侵入が防止され、夜間の起動時に寒冷生成部を迅速に立ち上げることができる。 【0092】請求項6記載の発明によれば、装置の運転停止中に、液窒貯槽に貯えられている液体窒素が、装置内の可動部分を有する機器のケーシング内に供給されるため、ケーシング内は気化した窒素ガスが充満し、これによって可動部分の隙間を通して外気が機器内に入り込むことを確実に防止することが可能になり、侵入した空気による装置内の汚染が防止される。 【0093】請求項7記載の発明によれば、液窒貯槽に貯えられている液体窒素が、機器の防錆を目的で原料空気圧縮機およびその下流側に供給されるため、原料空気圧縮機およびその下流側の管路内に気化した窒素ガスが充満し、これによって原料空気圧縮機およびその下流側の管路内を確実に防錆することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001199 【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
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| 【出願日】 |
平成12年11月30日(2000.11.30) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100067828 【弁理士】 【氏名又は名称】小谷 悦司 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−168561(P2002−168561A) |
| 【公開日】 |
平成14年6月14日(2002.6.14) |
| 【出願番号】 |
特願2000−364062(P2000−364062) |
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