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【発明の名称】 水素吸蔵合金を利用した熱利用システム
【発明者】 【氏名】丸橋 勤

【要約】 【課題】熱媒体を切り替える熱媒体切替弁の内部で熱媒体の混流が発生しないように、熱媒体の切り替え時に、熱媒体の流れを一時的に停止させる手段を採用すると、熱媒体の流路内にウォーターハンマー現象、あるいはその現象に近い液圧波動が発生し、機器内に損傷が発生する可能性がある。

【解決手段】熱媒体切替弁29による熱媒体の切り替え開始前から完了後まで、バイパス流路40を開き、熱媒体が熱媒体切替弁29および各熱交換器をバイパスするようにする。すると、熱媒体切替弁29に熱媒体が流れないため、熱媒体切替弁29の内部において熱媒体の混流が発生しない。また、熱媒体切替弁29の切り替え中は、熱媒体はバイパス流路40を通って流れるため、熱媒体の流れは停止せず、熱媒体の流路内にウォーターハンマー現象等の液圧波動が発生しない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】水素吸蔵合金と熱媒体の熱交換を行う複数の熱交換器と、温度の異なる熱媒体を前記複数の熱交換器に切り替えて供給する熱媒体切替手段と、を備え、熱媒体と熱交換して水素吸蔵合金の水素の吸蔵と放出とを行わせ、水素の放出時に生じる吸熱作用や水素の吸蔵時に生じる放熱作用を利用して冷熱や温熱を得る水素吸蔵合金を利用した熱利用システムにおいて、前記熱媒体切替手段は、移動した位置に応じて前記熱交換器に供給される熱媒体を切り替える熱媒体切替弁体を有する熱媒体切替弁と、この熱媒体切替弁および前記熱交換器をバイパスして、前記熱媒体切替弁および前記熱交換器の上流から下流に熱媒体を導くバイパス流路と、前記熱媒体切替弁体の移動開始前に、前記バイパス流路を開いてから前記熱媒体切替弁および前記熱交換器に流入する熱媒体の流れを停止させ、前記熱媒体切替弁体の移動完了後に熱媒体を前記熱媒体切替弁および前記熱交換器に流してから前記バイパス流路を閉じる混合防止弁と、を備えることを特徴とする水素吸蔵合金を利用した熱利用システム。
【請求項2】請求項1の水素吸蔵合金を利用した熱利用システムにおいて、前記熱媒体切替弁および前記熱交換器に流入する熱媒体の流れを停止させる時期、あるいは前記熱媒体切替弁体の移動完了後に熱媒体を前記熱媒体切替弁および前記熱交換器に流す時期は、前記混合防止弁の切替時期によって決定されることを特徴とする水素吸蔵合金を利用した熱利用システム。
【請求項3】請求項1または請求項2の水素吸蔵合金を利用した熱利用システムにおいて、前記混合防止弁は、熱媒体の流れを前記バイパス流路か、または前記熱媒体切替弁および前記熱交換器に切り換える三方弁体と、電磁ソレノイドや電動モータ等の電気的アクチュエータの作動によって前記三方弁体を直接あるいは間接的に駆動する駆動手段とを備え、この駆動手段は制御装置によって制御されることを特徴とする水素吸蔵合金を利用した熱利用システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水素吸蔵合金の水素の吸蔵と放出とを繰り返して行わせ、水素の放出時に生じる吸熱作用を利用して冷熱を得る、あるいは水素の吸蔵時に生じる放熱作用を利用して温熱を得る水素吸蔵合金を利用した熱利用システムに関する。
【0002】
【従来の技術】水素吸蔵合金を利用した熱利用システム(例えば、冷却装置)は、水素吸蔵合金を加熱するための加熱用熱媒体(以下、加熱水とする)、水素吸蔵合金を冷却するための冷却用熱媒体(以下、放熱水とする)、水素吸蔵合金によって冷却される冷熱出力用熱媒体(以下、冷熱出力水とする)、水素吸蔵合金の水素吸蔵および水素放出を抑制するための抑制用熱媒体(以下、抑制水)など、複数の熱媒体を切り替えて、水素吸蔵合金と熱交換している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】温度の異なる複数種類の熱媒体を切り替えて水素吸蔵合金に供給する熱媒体切替手段として、図19に示すように、移動位置に応じて熱媒体を切り替える熱媒体切替弁体100を有する熱媒体切替弁を用いることを考察した場合、熱媒体の切り替えを行うために熱媒体切替弁体100が移動する際、熱媒体切替弁体100の移動前{図19(a)参照}において熱媒体のシールが確保されている状態であっても、熱媒体切替弁体100の移動中{図19(b)参照}において熱媒体のシールが崩れ、熱媒体の混流が発生してしまう(但し、水圧a≠水圧b)。
【0004】そこで、図19(c)に示すように、熱媒体切替弁体100の弁長を2倍にするとともに、各間のシール材101の数を増やすことにより、上記の不具合を解決することができる。つまり、熱媒体切替弁体100の弁長を2倍にするとともに、各間のシール材101の数を増やすことにより、熱媒体切替弁体100の移動中{図19(d)参照}であっても熱媒体のシールが確保でき、熱媒体の混流を防ぐことができる。
【0005】熱媒体の混流を防ぐために、熱媒体の切り替え時は、熱媒体切替弁体100の移動開始の直後と、熱媒体切替弁体100の移動終了の直前との間に、熱媒体の流れが一時的に停止{図19(d)参照}する。この熱媒体の流れの一時的な停止によって、熱媒体の流路内にウォーターハンマー現象、あるいはその現象に近い液圧波動が発生する。このため、その波動によって、機器内に損傷が発生する可能性がある。
【0006】一方、図20に示すように、熱媒体の流路に開閉切替弁102を設け、熱媒体の切り替え時に流路を閉じることによって、熱媒体の切り替え時に熱媒体の混流が発生しないようにすることが考えられる(周知技術ではない)。これによって、短い熱媒体切替弁体100{図19(a)参照}を用いた熱媒体切替弁が使用できる。しかるに、この場合であっても、熱媒体の切り替え時に、開閉切替弁102の開閉によって熱媒体の流れが一時的に停止するため、上記同様、熱媒体の流路内にウォーターハンマー現象、あるいはその現象に近い液圧波動が発生し、機器内に損傷が発生する可能性がある。
【0007】
【発明の目的】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、熱媒体切替弁による熱媒体の切り替え時に、熱媒体の混流を防ぐとともに、熱媒体の流れが一時停止して、熱媒体を流す流路内にウォーターハンマー現象、あるいはその現象に近い液圧波動が発生する不具合を回避できる水素吸蔵合金を利用した熱利用システムの提供にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の水素吸蔵合金を利用した熱利用システムは、上記の目的を達成するために、次の技術的手段を採用した。
(請求項1の手段)水素吸蔵合金を利用した熱利用システムは、水素吸蔵合金と熱媒体の熱交換を行う複数の熱交換器と、温度の異なる熱媒体を前記複数の熱交換器に切り替えて供給する熱媒体切替手段と、を備え、熱媒体と熱交換して水素吸蔵合金の水素の吸蔵と放出とを行わせ、水素の放出時に生じる吸熱作用や水素の吸蔵時に生じる放熱作用を利用して冷熱や温熱を得るものであって、前記熱媒体切替手段は、移動した位置に応じて前記熱交換器に供給される熱媒体を切り替える熱媒体切替弁体を有する熱媒体切替弁と、この熱媒体切替弁および前記熱交換器をバイパスして、前記熱媒体切替弁および前記熱交換器の上流から下流に熱媒体を導くバイパス流路と、前記熱媒体切替弁体の移動開始前に、前記バイパス流路を開いてから前記熱媒体切替弁および前記熱交換器に流入する熱媒体の流れを停止させ、前記熱媒体切替弁体の移動完了後に熱媒体を前記熱媒体切替弁および前記熱交換器に流してから前記バイパス流路を閉じる混合防止弁と、を備えることを特徴とする。
【0009】(請求項2の手段)請求項1の水素吸蔵合金を利用した熱利用システムにおいて、前記熱媒体切替弁および前記熱交換器に流入する熱媒体の流れを停止させる時期、あるいは前記熱媒体切替弁体の移動完了後に熱媒体を前記熱媒体切替弁および前記熱交換器に流す時期は、前記混合防止弁の切替時期によって決定されることを特徴とする。
【0010】(請求項3の手段)請求項1または請求項2の水素吸蔵合金を利用した熱利用システムにおいて、前記混合防止弁は、熱媒体の流れを前記バイパス流路か、または前記熱媒体切替弁および前記熱交換器に切り換える三方弁体と、電磁ソレノイドや電動モータ等の電気的アクチュエータの作動によって前記三方弁体を直接あるいは間接的に駆動する駆動手段とを備え、この駆動手段は制御装置によって制御されることを特徴とする。
【0011】
【発明の作用および効果】(請求項1の作用および効果)熱媒体切替弁体の移動開始前から移動完了後まで、熱媒体を、熱媒体切替弁および熱交換器をバイパスさせている。このため、熱媒体切替弁体の移動時は、熱媒体切替弁に熱媒体が流れないため、熱媒体切替弁体の切り替え途中において、例えシール材によるシールが崩れた状態であっても、熱媒体の混流が熱媒体切替弁の内部で発生しない。また、熱媒体切替弁体の移動時は、熱媒体切替弁に熱媒体が流れないが、熱媒体はバイパス流路を通って熱媒体切替弁および熱交換器の上流から下流に流れるため、熱媒体の流れは停止しない。このため、熱媒体の流路内にウォーターハンマー現象、あるいはその現象に近い液圧波動が発生する不具合がなく、液圧波動によって機器内に損傷が発生する不具合を回避できる。
【0012】(請求項2の作用および効果)熱媒体の切り替え時に、熱媒体の流れを停止させる時期、あるいは熱媒体の流れを再開させる時期を混合防止弁が決定するものであるため、混合防止弁の制御によって熱媒体の供給タイミングを変える制御(いわゆる位相制御)を容易に実施できる。
【0013】(請求項3の作用および効果)制御装置によって混合防止弁を制御できるため、制御装置によって熱媒体の供給タイミングを容易に制御できる。また、サイクルの運転状態に応じて熱媒体の供給タイミング(位相角)を適切に変化させて、サイクルの運転効率を向上させることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を、実施例および変形例に基づき説明する。
〔実施例の構成〕この実施例を図1〜図15を用いて説明する。この実施例は、水素吸蔵合金を利用した冷房装置を示すものであり、セルSの内部に封入した水素吸蔵合金の水素放出作用により生じた吸熱によって、セルSに沿って流れる冷熱出力用熱媒体(例えば、水)を冷却し、その冷却された冷熱出力用熱媒体で室内に吹き出される空気を冷却して室内を冷房するものである。
【0015】セルSは、図2に示すように、スティック型に設けられたものであり、その内部には水素平衡温度が異なる3種の水素吸蔵合金が封入される。この3種の水素吸蔵合金は、高温合金HM(同一平衡水素圧で水素平衡温度が最も高い高温度水素吸蔵合金の粉末)と、中温合金MM(中温度水素吸蔵合金の粉末)と、低温合金LM(同一平衡水素圧で水素平衡温度が最も低い低温度水素吸蔵合金の粉末)とに分類されるものであり、1つのセルS内の長手方向に沿って、それぞれ別々に封入されるものである。つまり、セルSの内部には、高温合金HMが封入された第1セルパートS1 と、中温合金MMが封入された第2セルパートS2 と、低温合金LMが封入された第3セルパートS3 とが設けられる。なお、各合金種の関係を図3のPT冷凍サイクル線図を用いて説明すると、水素吸蔵合金の特性が、相対的に高温側(図示左側)にあるのが高温合金HM、低温側(図示右側)にあるのが低温合金LM、両者の中間にあるのが中温合金MMである。
【0016】セルSは、図2に示すように、筒状のスティックパイプ1と、このスティックパイプ1内に挿入された水素が素通りできるパイプフィルタ2と、スティックパイプ1とパイプフィルタ2との間に封入される高温、中温、低温合金HM、MM、LMをそれぞれ別々に封入するための仕切壁であるセパレータ3とから構成されるスティック状のものであり、両端は蓋材4あるいは塑性加工等によって気密に閉塞されるものである。また、スティックパイプ1とパイプフィルタ2との間には、内側と外側との間で水素移動が可能な熱伝導性材よりなる筒状のフィン5が配置されている。
【0017】スティックパイプ1は、セルSの外殻を構成するものであり、ステンレス、アルミニウム、銅など、耐圧性、熱伝導性、耐久性、加工性などに優れた材料によって構成される円筒パイプよりなる。なお、スティックパイプ1の表面に凹凸をロール成形や液圧成形等によって設けて、熱媒体や水素吸蔵合金との接触面積を増大させて伝熱性能を向上させるように設けても良い。
【0018】パイプフィルタ2は、スティックパイプ1の内部において水素の移動を自由にするものであり、スティックパイプ1の全長に亘って配置されている。パイプフィルタ2は、水素が素通りできるパイプ状のフィルタであり、パイプに形成された多数の微小穴によって水素が素通りでき、且つ水素吸蔵合金がパイプ内に進入するのを阻止するように設けられている。この微小穴を有するパイプフィルタ2は、金属パイプ(ステンレス、アルミニウム、銅など)にエッチング処理して形成されたものなどを用いている。なお、スティックパイプ1に対するパイプフィルタ2の位置決めは、セパレータ3によってなされる。
【0019】セパレータ3は、スティックパイプ1とパイプフィルタ2との間に形成される容積部分を3つのセルパートS1 、S2 、S3 に仕切るものであり、この3つのセルパートS1 、S2 、S3 には、上述したように高温、中温、低温合金HM、MM、LMがそれぞれ別々に封入される。このセパレータ3は、熱の遮断に優れる樹脂(例えば、ナイロン等)によって設けられるものであり、この実施例ではスティックパイプ1とパイプフィルタ2との間にフィン5が配置されるため、このフィン5の両端に樹脂製のセパレータ3が配置される。
【0020】フィン5は、各セルパートS1 、S2 、S3 内において熱の伝わりを良くするためのものであり、フィン5を挿入することにより、各セルパートS1 、S2 、S3 内における高温、中温、低温合金HM、MM、LMの熱ムラが抑えられる。このフィン5も円筒パイプ形状を呈するものであり、水素吸蔵合金とパイプフィルタ2との間における水素の流れを阻害しないように配慮する必要から、例えば打抜き穴を多数形成した金属薄板(ステンレス、アルミニウム、銅など)を筒状に形成したものである。なお、フィン5を放射状に形成して内外方向の熱の伝導改善に用いても有効である。また、放射状のフィン5の外周端を、スティックパイプ1にろう付けや圧入し、熱の伝導性を高めるのも有効であり、アルミニウム材を利用した場合では、押し出し成形等により、スティックパイプ1とフィン5とを一体化して熱の伝導性を高めるようにしても良い。
【0021】スティック形状に設けられたセルSは、図4(a)に示すように熱媒体が流れる熱媒体通路T内に多数(例えば38本)並べられて使用されるものである。熱媒体通路Tは、樹脂製のブロックケース6によって構成されるものであり、この実施例の熱媒体通路Tは、ブロックケース6の前面から熱媒体を供給し、再びブロックケース6の前面から熱媒体を排出するものであり、各熱媒体通路Tはブロックケース6の背面側でUターンするように設けられている。
【0022】1つの熱媒体通路T内に配置されるセルSのグループ(以下、セルグループG)は、連続した出力を出すために3つ用いられる。つまり、水素駆動を行うセルグループGと、第1冷熱出力を行うセルグループGと、第2冷熱出力を行うセルグループGとが用いられるものであり、水素駆動部α→第1冷熱出力部β→第2冷熱出力部γが順次繰り返して実行されることで、連続した出力が得られる。そして、3つのセルグループGは、図5に示す第1〜第3熱交換ユニット1a〜1c内にそれぞれ組み込まれるものである。
【0023】2段サイクルは、高温合金HMから低温合金LMへ水素を移動させる水素駆動部αと、低温合金LMから中温合金MMへ水素を移動させる第1冷熱出力部βと、中温合金MMから高温合金HMへ水素を移動させる第2冷熱出力部γとから構成される。
【0024】水素駆動部αは、加熱用熱媒体と高温合金HMとを熱交換して高温合金HMを加熱するとともに、冷却用熱媒体と低温合金LMとを熱交換して低温合金LMを冷却することで、高温合金HMから低温合金LMへ水素を移動させるものである。この時、中温合金MMは抑制用熱媒体と熱交換されるが、その中温合金MMを収容する合金収容室の内圧は上昇し、中温合金MMが水素を放出するように設定されている。
【0025】第1冷熱出力部βは、冷却用熱媒体と中温合金MMとを熱交換して中温合金MMを冷却することで、低温合金LMから中温合金MMへ水素を移動させるものである。この時、高温合金HMは抑制用熱媒体と熱交換されて、高温合金HMの水素の吸蔵と放出とが抑制される。また、この時、低温合金LMは、室内空気を冷房して冷熱が奪われた冷熱出力用熱媒体と熱交換されるが、その冷熱出力用熱媒体の温度(例えば10℃くらい)では、低温合金LMは水素を放出するように設けられている。
【0026】第2冷熱出力部γは、冷却用熱媒体と高温合金HMとを熱交換して高温合金HMを冷却することで、中温合金MMと低温合金LMから高温合金HMへ水素を移動させるものである。この時、中温合金MMおよび低温合金LMは、室内空気を冷房して冷熱が奪われた冷熱出力用熱媒体と熱交換されるが、その冷熱出力用熱媒体の温度(例えば13℃くらい)では、中温合金MMおよび低温合金LMは水素を放出するように設けられている。
【0027】ここで、第1、第2冷熱出力部β、γで低温合金LMおよび中温合金MMに熱交換される冷熱出力用熱媒体は、低温合金LMおよび中温合金MMが水素を放出する際に熱が奪われて冷房に適した低温(約7℃)になる。上記で示した加熱用熱媒体は、図示しない加熱手段(例えば、燃焼装置)によって加熱されるものである。抑制用熱媒体は、加熱用熱媒体の一部が使用されるものである。冷却用熱媒体は、外気と熱交換されて冷却された熱媒体を使用するものであり、例えばクーリングタワー等を使用して、外気中に熱媒体の一部を蒸発させることによって冷却したものを使用するものである。
【0028】上記で示した水素駆動部α、第1冷熱出力部β、第2冷熱出力部γは、各セルパートS1 、S2 、S3 の水素吸蔵合金(高温合金HM、中温合金MM、低温合金LM)と熱交換される熱媒体を切り替えることによって実行されるものであり、熱媒体の切り替えは、図5に示す熱媒体切替手段7によって成される。つまり、この熱媒体切替手段7による熱媒体の切り替えによって、3つのセルグループGが水素駆動部α→第1冷熱出力部β→第2冷熱出力部γを1段づつずらした状態で実行するように設けられている。
【0029】この熱媒体切替手段7の構造を図1および図6〜図15を用いて説明する。この実施例に示す熱媒体切替手段7は、温度の異なる各熱媒体(加熱水、放熱水、抑制水、冷熱出力水)と、各熱交換器(高温合金熱交換器Sa、中温合金熱交換器Sb、低温合金熱交換器Sc)とを個別に対応させた冷媒個別対応択一弁タイプのものである。
【0030】この冷媒個別対応択一弁タイプは、第1〜第3熱交換ユニット1a〜1cにおけるそれぞれの高温合金熱交換器Saに対して熱媒体の切り替えを行う高温合金用切替ユニット7aと、第1〜第3熱交換ユニット1a〜1cにおけるそれぞれの中温合金熱交換器Sbに対して熱媒体の切り替えを行う中温合金用切替ユニット7bと、第1〜第3熱交換ユニット1a〜1cにおけるそれぞれの低温合金熱交換器Scに対して熱媒体の切り替えを行う低温合金用切替ユニット7cとを備える。
【0031】高温合金用切替ユニット7aは、第1熱交換ユニット1aの高温合金熱交換器Sa、第2熱交換ユニット1bの高温合金熱交換器Sa、第3熱交換ユニット1cの高温合金熱交換器Saに対して熱媒体の切り替えを行うものであり、各熱交換器の両側に、加熱水切替用のaタイプ弁11、抑制水切替用のbタイプ弁12、放熱水切替用のcタイプ弁13がそれぞれ配置される。なお、このa、b、cタイプ弁11、12、13は、熱媒体切替弁に相当するものである。なお、aタイプ弁11は、図6(a)に示すものであり、bタイプ弁12は、図6(b)に示すものであり、cタイプ弁13は、図6(c)に示すものであり、以下にその構造を説明する。
【0032】aタイプ弁11は、図6(a)に示すように、aタイプバルブボディ14と、周囲に複数のシール材(Oリング)10が装着されたaタイプ中空弁15とから構成される。なお、このaタイプ中空弁15および後述するb、cタイプ中空弁20、25は、熱媒体切替弁体に相当するものである。aタイプバルブボディ14は、加熱水循環経路16(図1参照)に接続される図7(a−1)に示す外部加熱水分配・収集用ポート17と、高温合金熱交換器Sa側に接続される図7(a−3)に示すセル側加熱水供給・排出用ポート18とを備える。aタイプ中空弁15は、図7(a−2)に示すものであり、aタイプバルブボディ14内で3つの停止位置のいずれかに停止して、外部加熱水分配・収集用ポート17と、セル側加熱水供給・排出用ポート18の連通の切り替えを行うものである。
【0033】具体的には、第1停止位置では図8(a−1)に示すように第1熱交換ユニット1aの高温合金熱交換器Saへ加熱水の供給(あるいは排出)を行い、第2停止位置(中間停止位置)では図8(a−2)に示すように第3熱交換ユニット1cの高温合金熱交換器Saへ加熱水の供給(あるいは排出)を行い、第3停止位置では図8(a−3)に示すように第2熱交換ユニット1bの高温合金熱交換器Saへ加熱水の供給(あるいは排出)を行うものである。
【0034】bタイプ弁12は、図6(b)に示すように、bタイプバルブボディ19と、周囲に複数のシール材(Oリング)10が装着されたbタイプ中空弁20とから構成される。bタイプバルブボディ19は、抑制水循環経路16a(図1参照)に接続される図7(b−1)に示す外部抑制水分配・収集用ポート22と、高温合金熱交換器Sa側に接続される図7(b−3)に示すセル側抑制水供給・排出用ポート23とを備える。bタイプ中空弁20は、図7(b−2)に示すものであり、bタイプバルブボディ19内で3つの停止位置のいずれかに停止して、外部抑制水分配・収集用ポート22と、セル側抑制水供給・排出用ポート23の連通の切り替えを行うものである。
【0035】具体的には、第1停止位置では図8(b−1)に示すように第2熱交換ユニット1bの高温合金熱交換器Saへ抑制水の供給(あるいは排出)を行い、第2停止位置では図8(b−2)に示すように第1熱交換ユニット1aの高温合金熱交換器Saへ抑制水の供給(あるいは排出)を行い、第3停止位置では図8(b−3)に示すように第3熱交換ユニット1cの高温合金熱交換器Saへ抑制水の供給(あるいは排出)を行うものである。
【0036】cタイプ弁13は、図6(c)に示すように、cタイプバルブボディ24と、周囲に複数のシール材(Oリング)10が装着されたcタイプ中空弁25とから構成される。cタイプバルブボディ24は、放熱水循環経路21(図1参照)に接続される図7(c−1)に示す外部放熱水分配・収集用ポート26と、高温合金熱交換器Sa側に接続される図7(c−3)に示すセル側放熱水供給・排出用ポート27とを備える。cタイプ中空弁25は、図7(c−2)に示すものであり、cタイプバルブボディ24内で3つの停止位置のいずれかに停止して、外部放熱水分配・収集用ポート26と、セル側放熱水供給・排出用ポート27の連通の切り替えを行うものである。
【0037】具体的には、第1停止位置では図8(c−1)に示すように第3熱交換ユニット1cの高温合金熱交換器Saへ放熱水の供給(あるいは排出)を行い、第2停止位置では図8(c−2)に示すように第2熱交換ユニット1bの高温合金熱交換器Saへ放熱水の供給(あるいは排出)を行い、第3停止位置では図8(c−3)に示すように第1熱交換ユニット1aの高温合金熱交換器Saへ放熱水の供給(あるいは排出)を行うものである。
【0038】中温合金用切替ユニット7bは、上述した高温合金用切替ユニット7aと同じ構造のものであり、高温合金用切替ユニット7aで切り替えた熱媒体が加熱水・抑制水・放熱水であったものを、抑制水・放熱水・冷熱出力水に置き換えたものである。
【0039】低温合金用切替ユニット7cも、上述した高温合金用切替ユニット7aと同じ構造のものであり、高温合金用切替ユニット7aで切り替えた熱媒体が加熱水・抑制水・放熱水であったものを、放熱水・冷熱出力水・戻り冷熱出力水に置き換えたものである。なお、この戻り冷熱出力水とは、図1に示すように、第2冷熱出力部γの低温合金LMと熱交換される冷熱出力水であり、第1冷熱出力部βの低温合金LMおよび第2冷熱出力部γの中温合金MMと熱交換される冷熱出力水に対して区別したものである。
【0040】上記に示した高温合金用切替ユニット7a、中温合金用切替ユニット7b、低温合金用切替ユニット7cにおける各aタイプ弁11、bタイプ弁12、cタイプ弁13が、第1停止位置→第2停止位置→第3停止位置を繰り返す。この時、第1停止位置では、第1熱交換ユニット1aが水素駆動部α、第2熱交換ユニット1bが第1冷熱出力部β、第3熱交換ユニット1cが第2冷熱出力部γを行う。第2停止位置では、第1熱交換ユニット1aが第1冷熱出力部β、第2熱交換ユニット1bが第2冷熱出力部γ、第3熱交換ユニット1cが水素駆動部αを行う。第3停止位置では、第1熱交換ユニット1aが第2冷熱出力部γ、第2熱交換ユニット1bが水素駆動部α、第3熱交換ユニット1cが第1冷熱出力部βを行う。
【0041】この第1停止位置→第2停止位置→第3停止位置における各熱交換ユニット1a〜1cの状態および使用される熱媒体の種類の関係を、図9(a)、(b)に示す。
【0042】この実施例に使用される熱媒体切替弁(a、b、cタイプ弁11、12、13)は、温度の異なる熱媒体にそれぞれ対応して複数設けられている。そして、それぞれの熱媒体切替弁が切り替えられることによって、複数の熱交換器へ熱媒体を切り替えて供給する。このため、図10、図11に示すように、高温合金熱交換器Saに対し、加熱水を切り替えるaタイプ弁11がセル入口側とセル出口側とで2組、抑制水を切り替えるbタイプ弁12がセル入口側とセル出口側とで2組、放熱水を切り替えるcタイプ弁13がセル入口側とセル出口側とで2組が用いられている。また、中温合金熱交換器Sbに対しては、抑制水を切り替えるaタイプ弁11がセル入口側とセル出口側とで2組、放熱水を切り替えるbタイプ弁12がセル入口側とセル出口側とで2組、冷熱出力水を切り替えるcタイプ弁13がセル入口側とセル出口側とで2組が用いられている。さらに、低温合金熱交換器Scに対しては、放熱水を切り替えるaタイプ弁11がセル入口側とセル出口側とで2組、冷熱出力水を切り替えるbタイプ弁12がセル入口側とセル出口側とで2組、戻り冷熱出力水を切り替えるcタイプ弁13がセル入口側とセル出口側とで2組が用いられている。つまり、熱媒体切替弁の数は、合計18組用いられている。
【0043】上述したように、aタイプ中空弁15、bタイプ中空弁20、cタイプ中空弁25は、それぞれ第1、第2、第3停止位置の3つの位置に停止するように設けられている。aタイプ中空弁15、bタイプ中空弁20、cタイプ中空弁25は、それぞれ放熱水の流体圧によって駆動されるものであり、それぞれを中間位置(第2停止位置)に停止させるため、それぞれに親弁30が配置されている(図12参照)。なお、放熱水は、各熱交換ユニット1a〜1cと、図示しない放熱器とを循環するものであり、図13に示す放熱水循環経路21に配置された放熱水循環ポンプPにより駆動されるものである。
【0044】aタイプ中空弁15、bタイプ中空弁20、cタイプ中空弁25を第1、第2、第3停止位置の3つの位置に停止させる手段を図13を用いて説明する。なお、ここでは、a、b、cタイプ中空弁15、20、25を1つのモデル弁(以下、熱媒体切替弁体31)として説明し、a、b、cタイプバルブボディ14、19、24を1つのバルブボディ32として説明する。そして、a、b、cタイプ弁11、12、13を1つの熱媒体切替弁29として説明する。熱媒体切替弁体31を第1、第2、第3停止位置の3つの位置に停止させるために、熱媒体切替弁体31の一端側(図示上側)には、熱媒体切替弁体31より大径の親弁30が配置されている。
【0045】親弁30および熱媒体切替弁体31を収容するバルブボディ32には、熱媒体切替弁体31の下端に連通する下端ポート32a、親弁30の下端(熱媒体切替弁体31の上端でもある)に連通する中間ポート32b、親弁30の上端に連通する上端ポート32cが設けられており、下端ポート32a、中間ポート32b、上端ポート32cに対する放熱水の供給および排出状態によって、図14に示すように、親弁30の停止位置および熱媒体切替弁体31の停止位置が決定される。つまり、熱媒体切替弁体31の反親弁30側のバルブボディ32内と、親弁30の熱媒体切替弁体31側のバルブボディ32内と、親弁30の反熱媒体切替弁体31側のバルブボディ32内とにおける流体の圧力差により、熱媒体切替弁体31を、第1、第2、第3停止位置の3つの停止位置に設定するように設けられている。
【0046】下端ポート32aには、熱媒体切替弁体31の反親弁30側のバルブボディ32内の圧力を正圧と負圧とに切り替える下端電磁弁33が接続されている。この下端電磁弁33は、通電OFF で下端ポート32aを放熱水循環ポンプPの吸引側(負圧側)に接続し、通電ONで下端ポート32aを放熱水循環ポンプPの吐出側(正圧側)に接続するものであって、バネ33aによって復帰する電磁ソレノイド33bと、バネ33aおよび電磁ソレノイド33bによってスライドする正負切替弁33cとから構成される。
【0047】中間ポート32bには、親弁30の熱媒体切替弁体31側のバルブボディ32内の圧力を正圧と負圧とに切り替える中間電磁弁34が接続されている。この中間電磁弁34は、通電OFF で中間ポート32bを放熱水循環ポンプPの吐出側(正圧側)に接続し、通電ONで中間ポート32bを放熱水循環ポンプPの吸引側(負圧側)に接続するものであって、バネ34aによって復帰する電磁ソレノイド34bと、バネ34aおよび電磁ソレノイド34bによってスライドする正負切替弁34cとから構成される。
【0048】上端ポート32cには、親弁30の反熱媒体切替弁体31側のバルブボディ32内の圧力を正圧と負圧とに切り替える上端電磁弁35が接続されている。この上端電磁弁35は、通電OFF で上端ポート32cを放熱水循環ポンプPの吸引側(負圧側)に接続し、通電ONで上端ポート32cを放熱水循環ポンプPの吐出側(正圧側)に接続するものであって、バネ35aによって復帰する電磁ソレノイド35bと、バネ35aおよび電磁ソレノイド35bによってスライドする正負切替弁35cとから構成される。
【0049】具体的な熱媒体切替弁体31の駆動を図14を参照して説明する。下端電磁弁33をOFF 、中間電磁弁34をOFF 、上端電磁弁35をOFF することにより、下端ポート32aが放熱水循環ポンプPの負圧側に接続され、中間ポート32bが放熱水循環ポンプPの正圧側に接続され、上端ポート32cが放熱水循環ポンプPの負圧側に接続される。これにより、熱媒体切替弁体31が下側へ駆動されて第1停止位置に停止する{図14(a)参照}。
【0050】下端電磁弁33をON、中間電磁弁34をON、上端電磁弁35をONすることにより、下端ポート32aが放熱水循環ポンプPの正圧側に接続され、中間ポート32bが放熱水循環ポンプPの負圧側に接続され、上端ポート32cが放熱水循環ポンプPの正圧側に接続される。これにより、熱媒体切替弁体31が上側へ駆動されるが、駆動力の大きい親弁30が下側に駆動されて停止するため、熱媒体切替弁体31は親弁30に規制されて中間位置(第2停止位置)で停止する{図14(b)参照}。
【0051】下端電磁弁33をON、中間電磁弁34をON、上端電磁弁35をOFF することにより、上記の第2停止位置の状態から上端ポート32cのみが放熱水循環ポンプPの負圧側に接続される。これにより、駆動力の大きい親弁30が上側に駆動されて停止するため、熱媒体切替弁体31がさらに上側へ駆動されて、第3停止位置で停止する{図14(c)参照}。
【0052】続いて、下端電磁弁33をOFF 、中間電磁弁34をON、上端電磁弁35をONすることにより、上端ポート32cが放熱水循環ポンプPの正圧側に接続され、下端ポート32a、中間ポート32bが放熱水循環ポンプPの負圧側に接続される。これにより、駆動力の大きい親弁30が下側に駆動されて熱媒体切替弁体31を下側(中間位置)に押し戻す{図14(d)参照}。その後、上記の接続を繰り返すことで、熱媒体切替弁体31が第1停止位置→第2停止位置→第3停止位置を順次繰り返す。なお、下端電磁弁33、中間電磁弁34、上端電磁弁35の通電は、図示しない制御装置により、上述した接続が得られるように通電制御される。
【0053】一方、図1に示すように、加熱水循環経路16、放熱水循環経路21、冷熱出力水循環経路37のそれぞれには、上述した熱媒体切替弁体31が、停止位置(第1、第2、第3停止位置のいずれか)から次の停止位置(第1、第2、第3停止位置のいずれか)に移動する際に、熱媒体切替弁29によって切り替えられる熱媒体の流れを停止させることなく、且つ熱媒体が熱媒体切替弁29内で混流するのを防ぐための混合防止弁36が配置されている。加熱水循環経路16、放熱水循環経路21、冷熱出力水循環経路37のそれぞれには、熱媒体切替弁29および各熱交換器Sa〜Scをバイパスして、熱媒体切替弁29および各熱交換器Sa〜Scの上流から下流に、それぞれの熱媒体を導くバイパス流路40が設けられている。
【0054】また、各混合防止弁36は、熱媒体の切り替えを行う際、合金間の水素移動を効果的に行わせるために、複数種類の熱媒体の供給タイミングを変える、いわゆる位相制御にも用いられるものである。具体的には、混合防止弁36によって、各熱交換器Sa〜Scへの熱媒体の流れを停止させる時期、あるいは各熱交換器Sa〜Scへの熱媒体の流れを再開させる時期を熱媒体の種類等に応じてずらすように設定されるものであり、この実施例では水素吸蔵用の放熱水を他の熱媒体よりも先に供給を開始して吸蔵状態にしておき、少し遅れて水素放出用の熱媒体(加熱水や冷熱出力水)を供給して水素の移動速度を速める吸蔵優先位相制御を行うものである。なお、水素放出用の熱媒体(加熱水や冷熱出力水)を他の熱媒体よりも先に供給を開始して放出状態にしておき、少し遅れて水素吸蔵用の熱媒体(放熱水)を供給して水素の移動速度を速める放出優先位相制御を行っても良い。この実施例に示すように、位相制御が各熱媒体切替弁体31の切り替えによって行われるのではなく、加熱水循環経路16、放熱水循環経路21、冷熱出力水循環経路37のそれぞれに設けられた混合防止弁36によってまとめて行えるため、位相制御を容易に実施することができる。
【0055】混合防止弁36は、図1に示すように、熱媒体循環経路(加熱水循環経路16、放熱水循環経路21、冷熱出力水循環経路37)の熱媒体の流れを、バイパス流路40か、熱媒体切替弁29および各熱交換器Sa〜Scかに切り換える三方弁体36aと、この三方弁体36aの一端に配置された弁体復帰用のバネ36bと、三方弁体36aを駆動するための駆動手段38とから構成される。
【0056】この駆動手段38は、三方弁体36aの他端側(復帰用のバネ36bとは逆側)に放熱水の正圧(放熱水循環ポンプPの下流側圧力)を印加することで、三方弁体36aを駆動して混合防止弁36を作動させるものであり、正圧と排圧とを切り替える正排切替弁体38aと、この正排切替弁体38aを駆動する電磁ソレノイド38b(電気的アクチュエータに相当する)とから構成される。この電磁ソレノイド38bは、図示しない制御装置によって通電制御されるものであり、この電磁ソレノイド38bの通電時期によって、熱媒体切替弁29の切り替え時に熱媒体の流れを停止させるとともに、位相制御を実施するものであるため、位相制御における位相角を容易に変更することができる。
【0057】混合防止弁36は、図15の(a)〜(c)に示すように、三方弁体36aが停止位置から次の停止位置へ移動する際、熱媒体切替弁体31の移動開始前に、バイパス流路40を開いてから熱媒体切替弁29および各熱交換器Sa〜Scに流入する熱媒体の流れを停止させ、熱媒体切替弁体31の移動完了後に熱媒体を熱媒体切替弁29および各熱交換器Sa〜Scに流してからバイパス流路40を閉じるものである。なお、図15の(a’)〜(c’)に示すように、三方弁体36aが停止位置から次の停止位置へ移動する間に、熱媒体の流れが一旦停止する通常の3方切替弁は、流れが停止した際に、熱媒体の流路内にウォーターハンマー現象、あるいはその現象に近い液圧波動が発生する可能性があるため、混合防止弁36として不適切なものである。
【0058】なお、この実施例では、電磁ソレノイド38bの作動によって三方弁体36aを間接的に駆動する例を示したが、三方弁体36aを電磁ソレノイド38bで直接的に駆動するように構成しても良い。また、サイクルの運転状態に応じて電磁ソレノイド38bの通電時期を制御装置によって変化させることにより、位相角を適切に変化させて効率を向上させても良い。さらに、電磁ソレノイド38bに代えて、電動モータ等、電気信号によって起動する他の電気的アクチュエータを用いても良い。
【0059】次に、熱媒体切替手段7の切り替え作動を説明する。18個の熱媒体切替弁体31(6本のaタイプ中空弁15、6本のbタイプ中空弁20、6本のcタイプ中空弁25)が第1停止位置に設定された状態では、上述したように、第1熱交換ユニット1aが水素駆動部αに設定され、第2熱交換ユニット1bが第1冷熱出力部βに設定され、第3熱交換ユニット1cが第2冷熱出力部γに設定される。次に、18個の熱媒体切替弁体31が第2停止位置に設定された状態では、第1熱交換ユニット1aが第1冷熱出力部βに設定され、第2熱交換ユニット1bが第2冷熱出力部γに設定され、第3熱交換ユニット1cが水素駆動部αに設定される。次に、18個の熱媒体切替弁体31が第3停止位置に設定された状態では、第1熱交換ユニット1aが第2冷熱出力部γに設定され、第2熱交換ユニット1bが水素駆動部αに設定され、第3熱交換ユニット1cが第1冷熱出力部βに設定される。
【0060】つまり、18個の熱媒体切替弁体31が第1停止位置→第2停止位置→第3停止位置に順次切り替わることにより、第1熱交換ユニット1aが水素駆動部α→第1冷熱出力部β→第2冷熱出力部γに順次切り替わり、第2熱交換ユニット1bが第1冷熱出力部β→第2冷熱出力部γ→水素駆動部αに順次切り替わり、第3熱交換ユニット1cが第2冷熱出力部γ→水素駆動部α→第1冷熱出力部βに順次切り替わるものである。
【0061】次に、水素駆動部α、第1冷熱出力部β、第2冷熱出力部γの各作動を、図3に示すPT冷凍サイクル線図を用いて説明する。水素駆動部αに切り替えられたセルグループGは、高温合金HMが加熱水と熱交換され、中温合金MMが抑制水と熱交換され、低温合金LMが放熱水と熱交換される。高温合金HMが加熱水(95℃)と熱交換されることにより、高温合金HMを収容する合金収容室の内圧が上昇し、高温合金HMが水素を放出(図3の■)する。中温合金MMが抑制水(65℃)と熱交換されることにより、中温合金MMを収容する合金収容室の内圧が上昇し、中温合金MMが水素を放出(図3の■’)する。低温合金LMが放熱水(32℃)と熱交換されることにより、低温合金LMを収容する合金収容室の内圧が下がり、低温合金LMが水素を吸蔵(図3の■)する。そして、水素駆動部αが実行されたセルグループGは、熱媒体切替手段7によって第1冷熱出力部βへ切り替えられる。
【0062】第1冷熱出力部βに切り替えられたセルグループGは、高温合金HMが抑制水と熱交換され、中温合金MMが放熱水と熱交換され、低温合金LMが冷熱出力水と熱交換される。高温合金HMが抑制水(65℃)と熱交換されることにより、高温合金HMを収容する合金収容室の内圧が高温合金HMが水素の吸蔵および放出を行わない圧力に設定される。中温合金MMが放熱水(33℃)と熱交換されることにより、中温合金MMを収容する合金収容室の内圧が下がり、中温合金MMが水素を吸蔵(図3の■)し、低温合金LMが水素を放出(図3の■)する。低温合金LMが水素を放出するため、低温合金LMの合金収容室内で吸熱が生じ、低温合金LMと熱交換された冷熱出力水が例えば7℃に冷やされる。なお、低温合金LMは、第2冷熱出力部γで冷却された冷熱出力水の温度(例えば10℃くらい)では、低温合金LMを収容する合金収容室の内圧が中温合金MMを収容する合金収容室の内圧より高くなるように設けられている。そして、第1冷熱出力部βが実行されたセルグループGは、熱媒体切替手段7によって第2冷熱出力部γへ切り替えられる。
【0063】第2冷熱出力部γに切り替えられたセルグループGは、高温合金HMが放熱水と熱交換され、中温合金MMおよび低温合金LMが冷熱出力水と熱交換される。高温合金HMが放熱水(35℃)と熱交換されることにより、高温合金HMを収容する合金収容室の内圧が下がり、高温合金HMが水素を吸蔵(図3の■)する。中温合金MMが水素を放出(図3の■)するとともに、低温合金LMも水素を放出(図3の■’)するため、中温合金MMおよび低温合金LMの合金収容室内で吸熱が生じ、中温合金MMおよび低温合金LMと熱交換された冷熱出力水が例えば10℃に冷やされる。なお、中温合金MMは、室内空気と熱交換して温度上昇した冷熱出力水の温度が13℃くらいでは、中温合金MMを収容する合金収容室の内圧が高温合金HMを収容する合金収容室の内圧より高くなるように設けられている。そして、第2冷熱出力部γが実行されたセルグループGは、熱媒体切替手段7によって水素駆動部αへ切り替えられる。
【0064】なお、第1、第2冷熱出力部β、γで低温合金LMおよび中温合金MMが水素を放出する際に熱が奪われて低温(7℃)になった冷熱出力水は、図示しない室内空調機の室内熱交換器に供給されて、室内に吹き出される空気と熱交換されて室内を冷房する。
【0065】〔実施例の効果〕上述したように、熱媒体切替弁29による熱媒体の切り替え時において、熱媒体切替弁体31の移動開始前から移動完了後まで、熱媒体を熱媒体切替弁29および各熱交換器Sa〜Scをバイパスさせている。このため、熱媒体切替弁体31の移動時は、熱媒体切替弁29に熱媒体が流れないため、熱媒体切替弁29の切り替え途中において、シール材10によるシールが崩れた状態であっても、熱媒体の混流が熱媒体切替弁29の内部で発生しない。これによって、棒状を呈した熱媒体切替弁体31の弁長を約1/2ほどに短縮できるとともに、シール材10の数を約1/2に少なくすることができる。
【0066】ここで、この実施例では、18本の熱媒体切替弁体31を用いるため、熱媒体切替弁体31の弁長を約1/2ほどに短縮できることによって、熱媒体切替手段7を小型、軽量化できる。一方、各熱媒体切替弁体31のシール材10の数を約1/2ほどに少なくすることができるため、シール材10による移動抵抗も約1/2ほどに低減できる。このため、各熱媒体切替弁体31の切り替えをスムーズに行うことができるとともに、放熱水の圧力によって各熱媒体切替弁体31を確実に切り替えることができる。
【0067】また、熱媒体切替弁体31の移動中は、熱媒体切替弁29に熱媒体が流れないが、熱媒体はバイパス流路40を通って熱媒体切替弁29および各熱交換器Sa〜Scの上流から下流に流れるため、熱媒体の流れは停止しない。このため、熱媒体が流れる熱媒体循環経路(加熱水循環経路16、放熱水循環経路21、冷熱出力水循環経路37)の内部にウォーターハンマー現象、あるいはその現象に近い液圧波動が発生する不具合がない。この結果、液圧波動によって熱媒体循環経路に損傷が発生する不具合を回避でき、信頼性を高めることができる。
【0068】〔変形例〕上記の実施例では、抑制用熱媒体(抑制水)、放熱用熱媒体(放熱水)、冷熱出力用熱媒体(冷熱出力水)を各熱交換器に対して直列供給する例を示したが、図16に示すように並列供給するように設けても良いし、直列供給を行う部分と並列供給を行う部分とを混在して用いても良い。なお、直列供給と並列供給の変更は、バルブボディ32側における熱媒体の接続回路の変更によって行うことができる。全て直列供給の場合におけるバルブボディ32側の熱媒体接続回路の一例を図17に示し、全て並列供給の場合におけるバルブボディ32側の熱媒体接続回路の一例を図18に示す。
【0069】上記の実施例では、熱媒体切替弁29の熱媒体切替弁体31、混合防止弁36の三方弁体36aを駆動する熱媒体の一例として、放熱用熱媒体(放熱水)を用いた例を示したが、加熱用熱媒体(加熱水)や冷熱出力用熱媒体(冷熱出力水)を用いても良い。
【0070】上記の実施例では、熱媒体切替手段7の一例として、各熱媒体(加熱水、放熱水、抑制水、冷熱出力水)と、各熱交換器(高温合金熱交換器Sa、中温合金熱交換器Sb、低温合金熱交換器Sc)とを個別に対応させた冷媒個別対応択一弁タイプの例を示したが、各熱交換器(高温合金熱交換器Sa、中温合金熱交換器Sb、低温合金熱交換器Sc)に対応して熱媒体を切り替える部分セル対応切替弁タイプや、各熱交換ユニット毎(第1〜第3熱交換ユニット1a〜1c毎)に対応して熱媒体を切り替える出力セル対応切替弁タイプに本発明を適用しても良い。
【0071】上記の実施例では、室内を冷房する例を示したが、冷熱出力用熱媒体を冷蔵運転や冷凍運転に用いるなど、他の冷却装置として用いても良い。上記の実施例では、室内を冷房する例を示したが、冷暖房装置に適用しても良い。具体的な一例を示すと、燃焼装置で加熱された加熱水を室内空調機の室内熱交換器に導いて室内暖房を行うように設けても良い。また、燃焼装置で加熱された加熱水を床暖房マット、浴室乾燥機などに接続し、加熱水の供給によって床暖房、浴室暖房などを行うように設けても良い。
【0072】上記の実施例では、1サイクルで2段の冷熱出力を得る2段サイクルに本発明を適用した例を示したが、1段サイクルや、3段以上のサイクルに本発明を適用しても良い。上記の実施例では、各熱媒体の一例として水を用いたが、不凍液やオイルなど他の液体の熱媒体を用いても良いし、空気、蒸気、ガスなど気体性の熱媒体を用いても良い。
【出願人】 【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
【出願日】 平成12年11月30日(2000.11.30)
【代理人】 【識別番号】100080045
【弁理士】
【氏名又は名称】石黒 健二
【公開番号】 特開2002−168542(P2002−168542A)
【公開日】 平成14年6月14日(2002.6.14)
【出願番号】 特願2000−366366(P2000−366366)