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【発明の名称】 水素吸蔵材を用いた熱利用システム
【発明者】 【氏名】原田 照丸

【氏名】盛田 芳雄

【氏名】山本 義明

【要約】 【課題】水素吸蔵材に水素が吸蔵、放出される際の発熱、吸熱反応を利用した熱利用サイクルを備えた熱利用システムの熱利用効率を高める。

【解決手段】熱利用サイクルの第一および第二の熱交換容器を連結する水素移動用配管、および各熱利用サイクルの第一の熱交換容器相互間あるいは第二の熱交換容器相互間を連結する水素バイパス配管、の少なくとも一カ所に、蓄熱式熱交換器を備えた熱利用システム。さらに、第一および第二の熱交換容器の少なくとも一方に、熱媒と水素との熱交換を行う熱交換器を設けることが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水素吸蔵材に水素が吸蔵、放出される際の発熱、吸熱反応を利用した、少なくとも一組の熱利用サイクルを備えた熱利用システムであって、前記熱利用サイクルは、第一の水素吸蔵材を収容した第一の熱交換容器、第二の水素吸蔵材を収容した第二の熱交換容器、および前記第一の熱交換容器と前記第二の熱交換容器とを連結する水素移動用配管を備えており、前記水素移動用配管に少なくとも一つの蓄熱式熱交換器を備えた熱利用システム。
【請求項2】 水素吸蔵材に水素が吸蔵、放出される際の発熱、吸熱反応を利用した、複数組の熱利用サイクルを備えた熱利用システムであって、前記各組の熱利用サイクルは、第一の水素吸蔵材を収容した第一の熱交換容器、第二の水素吸蔵材を収容した第二の熱交換容器、および前記第一の熱交換容器と前記第二の熱交換容器とを連結する水素移動用配管をそれぞれ備えており、前記各組の熱利用サイクルにおける前記第一の熱交換容器の相互間、前記第二の熱交換容器の相互間、および前記水素移動用配管の相互間のうちの少なくとも一カ所に、水素移動用のバイパス配管が設けられ、前記バイパス配管中に、少なくとも一つの蓄熱式熱交換器を備えた熱利用システム。
【請求項3】 水素吸蔵材に水素が吸蔵、放出される際の発熱、吸熱反応を利用した、少なくとも一組の熱利用サイクルを備えた熱利用システムであって、前記熱利用サイクルは、第一の水素吸蔵材を収容した第一の熱交換容器、第二の水素吸蔵材を収容した第二の熱交換容器、および前記第一の熱交換容器と前記第二の熱交換容器とを連結する水素移動用水素移動用配管を備えており、前記熱利用サイクルにおける前記第一の熱交換容器と前記第二の熱交換容器の少なくとも一方に、当該熱交換容器に熱を授受する熱媒とその熱交換容器に出入りする水素との熱交換を行う熱交換器を備えた熱利用システム。
【請求項4】 二組の熱利用サイクルを備えた前記熱利用システムであって、前記二組の各熱利用サイクルにおける前記各第二の水素吸蔵材の平衡圧力が同一温度で相互に異なり、かつ、これら平衡圧力が、前記二組の各熱利用サイクルにおける前記各第一の水素吸蔵材の平衡圧力よりも同一温度で低い請求項1〜3のいずれかに記載の熱利用システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水素吸蔵材が水素を吸蔵、放出する際の発熱作用と吸熱作用を利用したヒートポンプや冷凍装置などの熱利用システムに関する。
【0002】
【従来の技術】水素吸蔵材を使用したヒートポンプシステムなどの熱利用システムは、圧縮式、吸収式などに較べて、低振動、低騒音、省電力性、排エネルギーの有効利用、および環境負荷への低減などの観点から優れたものとして注目されている。以下に水素吸蔵材として金属水素化物を使用した従来の一般的なヒートポンプ装置について説明する。図4にその装置の概略の構成図を示し、図5にそのシステムの温度・平衡圧力のサイクル特性を示した。図5では、縦軸に平衡圧力、横軸に温度の逆数を示し、右側に向かうほど低温度を表している。
【0003】図4は、連結された一対の熱利用サイクルからなるヒートポンプシステムのブロック図である。まず、第一組の熱利用サイクルの構成と動作について説明する。この熱利用サイクルは第一の熱交換容器MH1(1)と第二の熱交換容器MH3(3)を備え、MH1(1)とMH3(3)の間は水素移動用配管4で連通されている。水素がMH1(1)とMH3(3)内の水素吸蔵材に吸蔵、放出される際の発熱、吸熱反応による熱は、熱媒配管(5および6)内を流れる熱媒により、それぞれ外部の熱交換器(7および8)に運ばれ、ここで外部との熱交換が行われる。
【0004】この熱利用サイクルには二種類の水素吸蔵材が用いられ、MH3(3)には平衡圧力が低い高温用水素吸蔵材、MH1(1)には同一温度での平衡圧力が高温用水素吸蔵材よりも高い低温用水素吸蔵材、がそれぞれ収容されている。MH3(3)に高温熱源を入力し、図5のようにThまで昇温させると、高温用水素吸蔵材の平衡圧力はD点からA点の平衡圧力まで上昇する。これにより、高温用水素吸蔵材の平衡圧力は、温度がTmでB点の平衡圧力を持つ低温用水素吸蔵材を収容したMH1(1)内の圧力より高くなり、その圧力差により水素がMH3(3)からMH1(1)に移動する。この際、MH1(1)では水素吸蔵材が水素を吸蔵することによる発熱反応により、温熱を得ることができる。
【0005】次に、図5のように、MH3(3)の温度をTmに下げると、D点の平衡圧力までMH3(3)内の圧力が降下し、MH1(1)側よりMH3(3)側に水素が移動する。この時、MH1(1)では、水素を放出することによる吸熱反応により、温度がTcに下がり、MH1(1)では冷熱を得ることができる。また同時に、MH3(3)では水素を吸蔵する発熱反応により温熱が得られる。この一連の動作を繰り返すことにより、冷暖房給湯を行うことができる。
【0006】また、MH3(3)とMH1(1)を備えた上記の第一組の熱利用サイクルに、低温用水素吸蔵材を収容した第一の熱交換容器MH1’(1’)と高温用水素吸蔵材を収容した第二の熱交換容器MH3’(3’)とを備えた第二組の熱利用サイクルを連結することにより、図4に示すヒートポンプシステムが構成される。このヒートポンプシステムの各熱利用サイクルの運転を逆位相にすると、連続的に冷熱、温熱を得ることができる。水素がMH1’(1’)とMH3’(3’)内の水素吸蔵材に吸蔵、放出される際の発熱、吸熱反応による熱は、配管(10および11)内を流れる熱媒により、それぞれ外部の熱交換器(12および13)に運ばれ、ここで外部との熱交換が行われる。MH1(1)とMH1’(1’)、MH3(3)とMH3’(3’)は、それぞれ熱媒配管(14および15)で熱交換できる構成となっている。
【0007】ところで、上記のヒートポンプシステムでは、各水素吸蔵材が温度の上下動を繰り返すことによる顕熱損失が大きく、特に冷房時の熱利用効率(入力熱量に対する出力熱量の割合)が低いという問題があった。この問題を解決するための一つの方法として、例えば特開昭60−17669号公報では、温度・平衡圧力特性の異なる3種類の水素吸蔵材を用いた、二重効用ヒートポンプシステムの例が開示されている。
【0008】これは、上記の高温用および低温用の2種類の水素吸蔵材を収容した熱交換容器MH1、MH3を用いた熱利用サイクルに、中温用の水素吸蔵材を収容した熱交換容器MH2と低温用の水素吸蔵材を収容した熱交換容器MH1’からなる熱利用サイクルを組合せて連結したものである。このシステムでは、図6のように、運転が逆位相であるA→B→C→D、A’→B’→C’→D’の二組の熱利用サイクルで冷暖房給湯を行う。
【0009】このヒートポンプシステムでは、温度Th’(D点)でのMH3からの発生熱を温度Tm’のMH2(A’点)に供給する構成としているため、システム全体の内のMH3のみに熱を供給すれば良いので、特に冷房時の熱利用効率を高めることができる。この二重効用ヒートポンプシステムでは、熱利用効率の向上を幾分かは期待できる。しかし、近年、圧縮式や吸収式のヒートポンプシステムなど、在来の熱利用システムの性能も大きく向上しつつあり、これらの性能を凌駕する水素吸蔵材使用の熱利用システムを実現するためには、熱利用効率のさらなる向上が必要である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、水素吸蔵材を使用した熱利用システムの上記の問題点を解決し、熱利用効率をさらに向上させることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の熱利用システムは、水素吸蔵材に水素が吸蔵、放出される際の発熱、吸熱反応を利用した、少なくとも一組の熱利用サイクルを備えた熱利用システムであって、前記熱利用サイクルは、第一の水素吸蔵材を収容した第一の熱交換容器と、第二の水素吸蔵材を収容した第二の熱交換容器と、前記第一の熱交換容器と前記第二の熱交換容器とを連結する水素移動用配管とをそれぞれ備えており、前記水素移動用配管に少なくとも一つの蓄熱式熱交換器を備えたものである。
【0012】さらに本発明の熱利用システムは、水素吸蔵材に水素が吸蔵、放出される際の発熱、吸熱反応を利用した、複数組の熱利用サイクルを備えた熱利用システムであって、前記各組の熱利用サイクルは、第一の水素吸蔵材を収容した第一の熱交換容器と、第二の水素吸蔵材を収容した第二の熱交換容器と、前記第一の熱交換容器と前記第二の熱交換容器とを連結する水素移動用配管とをそれぞれ備えており、前記複数組の熱利用サイクルにおける前記第一の熱交換容器の相互間、前記複数組の熱利用サイクルにおける前記第二の熱交換容器の相互間、および前記複数組の熱利用サイクルにおける前記水素移動用配管の相互間のうちの少なくとも一カ所に、水素移動用のバイパス配管が設けられ、前記バイパス配管中に、少なくとも一つの蓄熱式熱交換器を備えたものである。
【0013】さらに本発明の熱利用システムは、水素吸蔵材に水素が吸蔵、放出される際の発熱、吸熱反応を利用した、少なくとも一組の熱利用サイクルを備えた熱利用システムであって、前記熱利用サイクルは、第一の水素吸蔵材を収容した第一の熱交換容器、第二の水素吸蔵材を収容した第二の熱交換容器、および前記第一の熱交換容器と前記第二の熱交換容器とを連結する水素移動用配管とをそれぞれ備えており、前記熱利用サイクルにおける前記第一および第二の熱交換容器の少なくとも一方に、当該熱交換容器に熱を授受する熱媒とその熱交換容器に出入りする水素との熱交換を行う熱交換器を備えたものである。
【0014】さらに本発明の熱利用システムは、二組の前記熱利用サイクルを備えた熱利用システムであって、前記二組の各熱利用サイクルにおける前記各第二の水素吸蔵材の平衡圧力が同一温度で相互に異なり、かつ、これら平衡圧力が、前記二組の各熱利用サイクルにおける前記各第一の水素吸蔵材の平衡圧力よりも同一温度で低いものである。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の水素吸蔵材を用いた熱利用システムの実施の形態を具体例により説明する。各実施の形態で例示した熱利用システムは、第一の低温用水素吸蔵材を収容した第一の熱交換容器MH1と高温用水素吸蔵材を収容した第二の熱交換容器MH3を備えた第一組の熱利用サイクルと、第二の低温用水素吸蔵材を収容した第一の熱交換容器MH1’と中温用水素吸蔵材を収容した第二の熱交換容器MH2を備えた第二組の熱利用サイクルとから構成された二重効用熱利用システムである。この熱利用システムの各熱交換容器には、温度・平衡圧力特性の異なる水素吸蔵材が収容されており、それらの平衡圧力が同一温度で、高温用水素吸蔵材<中温用水素吸蔵材<第一および第二の低温用水素吸蔵材、の関係にある。但し、上記第一および第二の低温用水素吸蔵材は、同一温度での平衡圧力が相互に若干異なっていても、同一であっても良い。
【0016】以下に示す本発明の熱利用システムの各実施形態の構成は、一部を除いて、図4で説明した従来例のヒートポンプシステムと同様な構成である。従って、従来例と同様な部分については同一符号を付して説明する。
【0017】《実施の形態1》実施の形態1の熱利用システムの構成を図1のブロック図により説明する。図1に示すように、第一組の熱利用サイクルは、熱交換容器MH1(1)とMH3(3)を備え、MH1(1)とMH3(3)とは、蓄熱式熱交換器(17)を備えた水素移動用配管(4)で連結されている。ただし、水素がMH1(1)とMH3(3)内の水素吸蔵材に吸蔵、放出される際の発熱、吸熱反応による熱は、熱媒配管(5および6)内を流れる熱媒により、それぞれ外部の熱交換器(7および8)に運ばれ、ここで外部との熱交換が行われる。
【0018】また、第二組の熱利用サイクルは、前記MH1(1)とは別の低温用熱交換容器MH1’(1’)とMH2(2)を備え、MH1’(1’)とMH2(2)とは、蓄熱式熱交換器(18)を備えた水素移動用配管(9)で連結されている。ただし、水素がMH1’(1’)とMH2(2)内の水素吸蔵材に吸蔵、放出される際の発熱、吸熱反応による熱は、熱媒配管(10および11)内を流れる熱媒により、それぞれ外部の熱交換器(12および13)に運ばれ、ここで外部との熱交換が行われる。なお、MH1(1)とMH1’(1’)、MH2(2)とMH3(3)は、それぞれ熱媒配管(14および15)で熱交換できる構成となっている。
【0019】次に、この熱利用システムの動作について、図6を用いて説明する。先ず、運転モード1では、第一組の熱利用サイクルにおいて、外部の熱交換器(7)からの高温熱をMH3(3)に入力して、MH3(3)の温度をThまで昇温させる。すると、MH3(3)の圧力も上昇し、MH1(1)の圧力より高くなり、この圧力差により、水素が蓄熱式熱交換器(17)と水素移動用配管(4)を通って、MH3(3)からMH1(1)に移動する。この際、MH1(1)では水素吸蔵材が水素を吸蔵することによる発熱反応により、温熱を得ることができる。この温熱は、熱媒により、熱媒配管(6)を通って外部の熱交換器(8)に運ばれ、暖房や給湯に使用される。MH3(3)から出た高温(Th)の水素が蓄熱式熱交換器(17)を通過することにより、その内部に高温の水素からの熱が一旦蓄えられる。
【0020】一方、第二組の熱利用サイクルにおいて、外部の熱交換器(12)により、MH2(2)を冷却して、MH2(2)の温度を下げると、MH2(2)の圧力も下降し、MH1’(1’)の圧力より低くなり、この圧力差により、水素が水素移動用配管(9)を通って、MH1’(1’)からMH2(2)に移動する。この際、MH1'(1’)では水素吸蔵材が水素を放出することによる吸熱反応により、冷熱を得ることができる。この冷熱は、熱媒により、熱媒配管(11)を通って外部の熱交換器(13)に運ばれ、冷房や冷凍に使用される。また、MH2(2)では水素吸蔵材が水素を吸蔵することによる発熱反応により、温熱を得ることができる。この温熱は、熱媒により、配管(10)を通って外部の熱交換器(12)に運ばれ、暖房や給湯に使用できる。また、後に説明する運転モード3で蓄熱式熱交換器(18)内に蓄えられた熱により、水素が暖められ、このため、MH2(2)では、温熱量を多く得ることができる。
【0021】次に、運転モード2では、運転モード3で水素を運転モード1と逆に移動させるために、各熱交換容器の温度を変える。この際、熱利用効率を上げるために、各熱交換容器の温度差を利用して各熱交換容器の顕熱を回収する。この時、各水素移動用配管(4および9)と熱媒配管(5、10、6および11)は閉じておく。MH3(3)とMH2(2)を熱媒配管(14)で連通させて、熱媒により温度の高いMH3(3)側から温度の低いMH2(2)側に熱を移動させて、熱回収を行う。これにより、MH3(3)側の温度と圧力は下がり、MH2(2)側の温度と圧力は上がる。同様に、MH1(1)とMH1’(1’)を熱媒配管(15)で連通させて、熱媒により温度の高いMH1(1)側から温度の低いMH1’(1’)側に熱を移動させて、熱回収を行う。これにより、MH1(1)側の温度と圧力は下がり、MH1’(1’)側の温度と圧力は上がる。
【0022】さらに、運転モード3では、第一組の熱利用サイクルと第二組の熱利用サイクルが、運転モード1の時と逆の動きをする。つまり、運転モード2で生じた圧力差により、MH1(1)側から水素移動用配管(4)と蓄熱式熱交換器(17)を通ってMH3(3)側に水素が移動し、同時にMH2(2)側から蓄熱式熱交換器(18)と水素移動用配管(9)を通ってMH1’(1’)側に水素が移動する。この際、配管(5および10)は閉になっているが、上記のように水素が移動することにより、連続的にMH3(3)では吸蔵熱が発生し、その熱を熱媒配管(14)でMH2(2)側に運び、MH2(2)側の水素放出による吸熱に対応できる。なお、運転モード1で蓄熱式熱交換器(17)内に蓄えられた熱も利用できるので、MH2(2)側に運ぶ熱を多くできる。また、MH2(2)から出た温度Tm’の水素の熱は、蓄熱式熱交換器(18)内に一旦蓄えられる。この際、生じる発熱反応、吸熱反応により、MH1(1)では冷房を行い、MH1’(1’)では暖房給湯を行う。
【0023】次に、運転モード4では、運転モード2と同様、顕熱回収を行う。熱媒配管(6および11)を閉にしておき、MH1(1)とMH1’(1’)を熱媒配管(15)で連通させ、熱媒により温度の高いMH1’(1’)側から温度の低いMH1(19)側に熱を移動させて、熱回収する。これにより、MH1’(1’)側の温度と圧力は下がり、MH1(1)側の温度と圧力は上がる。一方、MH3(3)の温度がMH2(2)の温度より高いために、MH2(2)からMH3(3)に熱移動させてMH3(3)の温度を上げ、MH2(2)の温度を下げることができない。そこで、熱媒配管(5および10)を連通させて、それぞれ、予熱、予冷を行い、MH3(3)側の温度と圧力を上げ、MH2(2)側の温度と圧力を下げる。なお、図1に示すシステムをさらに1セット加えた構成の熱利用システムでは、MH3(3)とMH2(2)ともに2個ずつとなり、各MH3間および各MH2間のそれぞれで顕熱回収を行える。
【0024】この様な構成の熱利用システムを、以上の運転モード1から4を繰り返して運転することにより、蓄熱式熱交換器に蓄えられた熱が有効に利用され、水素ガスによる放熱損失を低減でき、熱利用効率を高めることができる。
【0025】《実施の形態2》実施の形態2の熱利用システムの構成を図2のブロック図により説明する。この熱利用システムは、MH3(3)とMH2(2)の水素移動用配管(4および9)をバイパス配管(16)によって連結し、蓄熱式熱交換器(19)が、水素移動用配管(4および9)ではなく、バイパス配管(16)に組み込まれている以外は、実施の形態1と同じ構成である。この熱利用システムの運転動作は、実施の形態1と顕熱回収の運転モードが異なる以外は同じなので、運転モード2および4についてのみ、以下に説明する。
【0026】運転モード2および4では、MH3(3)とMH2(2)の水素移動用配管(4および9)をバルブにより閉じておき、バイパス配管(16)でMH3(3)とMH2(2)を連結する。この時、水素はMH3(3)とMH2(2)間のみで移動させる。運転モード2ではMH3(3)側の圧力がMH2(2)側より高いため、水素はMH3(3)からMH2(2)側に流入し、運転モード4では、逆に、MH2(2)側の圧力がMH3(3)側より高いため、水素はMH2(2)からMH3(3)側に流入する。運転モード2では、MH3(3)からMH2(2)に移動する高温水素の熱が蓄熱式熱交換器(19)に蓄えられ、運転モード(4)では、その蓄えられた熱をMH2(2)からMH3(3)側に流入する水素が受け取る。
【0027】水素の移動後、必要に応じて、バイパス配管(16)を閉じて、熱媒配管(15)を連通させて、MH1(1)とMH1’(1)の間で、さらに顕熱回収を行う。MH3(3)の温度はMH2(2)より高いために、熱媒配管(14)を連結するだけでは、MH2(2)からMH3(3)への顕熱回収はできないが、上記の構成を採って、バイパス配管(16)を開にし、水素をMH2(2)からMH3(3)へ移動させることにより、MH3(3)の温度を上昇させることができる。また、本実施の形態では、水素ガス中の顕熱が有効に使用されるので、早く顕熱回収を行うことができ、システムの熱利用効率も向上する。
【0028】《実施の形態3》実施の形態3の熱利用システムの構成を図3のブロック図により説明する。この熱利用システムは、蓄熱式熱交換器を設けずに、MH1(1)、MH1’(1’)の水素の出入り口に熱媒配管中の熱媒と水素との熱を交換する熱交換器(20および21)を設けた以外は、実施の形態1と同じ構成である。この熱利用システムの運転動作は、運転モード1および3において、例えば、MH1(1)とMH1’(1’)から水素を放出させた時に、MH1(1)とMH1’(1’)の温度が低下すると同時に、水素ガスの温度も低下する。この水素ガスの冷熱が、熱交換器(20および21)によって、熱媒側に回収される。このようにして水素ガス中の顕熱も有効に利用できるため、システムの熱利用効率を向上させることができる。
【0029】上記の各実施の形態の熱利用システムでは、各組の熱利用サイクルに用いる二種の水素吸蔵材、相異なる組の熱利用サイクルの第一の熱交換容器内の水素吸蔵材、および相異なる組の第二の熱交換容器内の水素吸蔵材は、同一温度における平衡圧力が互いに異なったものを用いたが、これらの水素吸蔵材の同一温度における平衡圧力の関係は、必ずしも上記の関係に拘る必要はない。また、本発明における熱利用システムは、二組の熱利用サイクルを備えているものに限らず、一組、あるいは三組以上の熱利用サイクルを備えていてもよい。例えば、熱利用システムが三組の熱利用サイクルを備えている場合には、第一組の熱利用サイクルにおける第一の熱交換容器内の水素吸蔵材と第二組の熱利用サイクルにおける第一の熱交換容器内の水素吸蔵材との平衡圧力が同一温度で同じで、第三組の熱利用サイクルにおける第一の熱交換容器内の水素吸蔵材のそれが異なっていてもよい。なお、上記の各実施の形態で用いた蓄熱式熱交換器は再生器とも呼ばれ、例えば、細線、小球、チューブなどが内部に充填されたものを用いることができる。
【0030】上記の各実施の形態を説明するための図1〜3のブロック図では、バルブやポンプは図示していないが、必要に応じてこれらを設置すればよい。また、顕熱回収と熱利用のための熱媒配管を別々に設けずに、切り替えバルブを設けて共用する構成にしても良い。さらに、実施の形態1〜3を組み合わせて、本発明による各種の熱利用システムを構成することができる。
【0031】
【発明の効果】本発明の熱利用システムでは、水素ガス中の顕熱回収を効率良く行うことができるので、システムの熱利用効率を向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成12年12月5日(2000.12.5)
【代理人】 【識別番号】100072431
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 和郎
【公開番号】 特開2002−168541(P2002−168541A)
【公開日】 平成14年6月14日(2002.6.14)
【出願番号】 特願2000−370645(P2000−370645)