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【発明の名称】 ヒートポンプ式空調装置
【発明者】 【氏名】中島 謙司

【氏名】北村 清貴

【要約】 【課題】アキュームレータ10を大型化することなく、低外気温時や長期間放置後の圧縮機2起動時にも液圧縮を防止できるヒートポンプ式空調装置1を提供する。

【解決手段】アキュームレータ10部、又は圧縮機2とアキュームレータ10との間の吸入側冷媒通路20に、液冷媒をガス化するための蒸発促進手段30を設けたことを特徴とする。これにより、アキュームレータ内で、又は圧縮機に吸入される直前で液冷媒がガス化されるため、アキュームレータを大型化することなく、圧縮機起動時の液圧縮を防止することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 冷媒を圧縮する圧縮機(2)と、前記冷媒と空気とを熱交換して前記冷媒を冷却する第1熱交換器(4、8)と、前記冷媒を減圧する減圧手段(5、7)と、前記冷媒と空気とを熱交換して前記冷媒を加熱する第2熱交換器(4、8)と、前記冷媒を気液分離して蓄えるレシーバ(6)とアキュームレータ(10)とを環状に冷媒配管で接続して形成されたヒートポンプサイクルと、このヒートポンプサイクルを制御する制御装置(400)とを備えたヒートポンプ式空調装置において、前記アキュームレータ(10)部、又は前記圧縮機(2)と前記アキュームレータ(10)との間の吸入側冷媒通路(20)に、液冷媒をガス化するための蒸発促進手段(30)を設けたことを特徴とするヒートポンプ式空調装置。
【請求項2】 前記蒸発促進手段(30)として、前記アキュームレータ(10)内に前記冷媒を加熱するアキュームレータ加熱手段(12)を設けると共に、前記アキュームレータ(10)と前記レシーバ(6)とを連通させた液冷媒回路(13)とを設け、前記制御装置(400)は、前記アキュームレータ(10)内の液冷媒の状態に応じて前記アキュームレータ加熱手段(12)および前記液冷媒回路(13)の作動を制御し、前記アキュームレータ(10)内の前記冷媒を加熱して、その圧力上昇で前記アキュームレータ(10)内の前記液冷媒の一部を、前記液冷媒回路(13)を介して前記レシーバ(6)へ移動させることを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ式空調装置。
【請求項3】 前記制御装置(400)は、前記圧縮機(2)と前記アキュームレータ(10)とを含む室外機(300)の環境となる外気温度(To)が設定温度(to)より低い場合、又は、前記圧縮機(2)を含むヒートポンプ式空調装置(100)の停止時間(H)が設定時間(h)より長い場合に、前記圧縮機(2)を起動する前に前記アキュームレータ加熱手段(12)による加熱を行なうことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のヒートポンプ式空調装置。
【請求項4】 前記アキュームレータ加熱手段(12)に、エンジン(1)の冷却水を利用したことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のヒートポンプ式空調装置。
【請求項5】 前記アキュームレータ加熱手段(12)に、電気ヒータ(17)を用いたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のヒートポンプ式空調装置。
【請求項6】 前記圧縮機(2)を加熱する圧縮機加熱手段(18a、18b)を設け、前記制御装置(400)は、前記アキュームレータ加熱手段(12)および前記圧縮機加熱手段(18a、18b)を制御して、前記アキュームレータ(10)および前記圧縮機(2)内の前記冷媒を加熱することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のヒートポンプ式空調装置。
【請求項7】 前記圧縮機加熱手段(18a、18b)に、エンジン(1)の冷却水を利用したことを特徴とする請求項6に記載のヒートポンプ式空調装置。
【請求項8】 前記蒸発促進手段(30)として、前記圧縮機(2)と前記アキュームレータ(10)との間の吸入側冷媒通路(20)に、前記圧縮機(2)へ供給する冷媒を減圧する減圧部(24)を設けたことを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ式空調装置。
【請求項9】 前記蒸発促進手段(30)として、前記圧縮機(2)と前記アキュームレータ(10)との間の吸入側冷媒通路(20)に開閉手段(25)を設け、前記制御装置(400)は、前記圧縮機(2)の運転開始と同時に前記開閉手段(25)を駆動させ、前記吸入側冷媒通路(20)を全閉から全開まで所定時間(T)をかけて開路したことを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ式空調装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷暖房を行なうヒートポンプ式空調装置に関するものであり、特に水冷式のエンジンで駆動する圧縮機により冷媒回路中の冷媒を循環させるヒートポンプ式空調装置に適用して好適である。
【0002】
【従来の技術】従来のヒートポンプ式空調装置は、冷暖房のためにヒートポンプサイクルを回す際、圧縮機に戻る冷媒はアキュームレータにて気液分離されて、冷媒ガスのみが圧縮機に送られるようになっている。これは圧縮機が液冷媒を吸入して液圧縮を起こすことにより、弁故障等が発生して圧縮機の寿命が低下することを防ぐためである。
【0003】ここで、圧縮機は冷暖房運転が行なわれない時には停止し、停止時間が長くなると、圧縮機を含む室外機部は外気温とほぼ同じ温度で推移する。そして外気温度が低い場合には冷媒が液化し、アキュームレータや圧縮機の内部に液冷媒が溜まり、圧縮機の起動時に液圧縮が発生することとなる。
【0004】この対策として、従来、圧縮機にヒータを装着し、このヒータを発熱させて圧縮機を所定温度以上に昇温し、圧縮機内の冷媒を気化させてから起動するようにしたものが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、室内熱交換器と室外熱交換器が離れて設置されるような場合には冷媒の封入量が多くなり、低外気温時に長期間放置したりして冷媒の液化が進むと、その液冷媒がアキュームレータからオーバーフローして圧縮機に流れ込んだり、圧縮機がアキュームレータから液冷媒を吸入したりして、上記のヒータだけでは圧縮機が起動時に液圧縮を起こすという問題が防ぎきれず、アキュームレータを大型化する等の対応が必要であった。
【0006】本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、アキュームレータを大型化することなく、低外気温時や長期間放置後の圧縮機起動時にも液圧縮を防止できるヒートポンプ式空調装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、アキュームレータ(10)部、又は圧縮機(2)とアキュームレータ(10)との間の吸入側冷媒通路(20)に、液冷媒をガス化するための蒸発促進手段(30)を設けたことを特徴とする。
【0008】これにより、アキュームレータ内で、又は圧縮機に吸入される直前で液冷媒がガス化されるため、アキュームレータを大型化することなく、圧縮機起動時の液圧縮を防止することができる。
【0009】請求項2に記載の発明では、蒸発促進手段(30)として、アキュームレータ(10)内に冷媒を加熱するアキュームレータ加熱手段(12)を設けると共に、アキュームレータ(10)とレシーバ(6)とを連通させた液冷媒回路(13)とを設け、制御装置(400)は、アキュームレータ(10)内の液冷媒の状態に応じてアキュームレータ加熱手段(12)および液冷媒回路(13)の作動を制御し、アキュームレータ(10)内の冷媒を加熱して、その圧力上昇でアキュームレータ(10)内の液冷媒の一部を、液冷媒回路(13)を介してレシーバ(6)へ移動させることを特徴とする。
【0010】これにより、アキュームレータ内の液冷媒の液面を下げることができ、圧縮機の起動時に液冷媒を吸入して液圧縮を起こすのを防ぐことができる。
【0011】請求項3に記載の発明では、制御装置(400)は、圧縮機(2)とアキュームレータ(10)とを含む室外機(300)の環境となる外気温度(To)が設定温度(to)より低い場合、又は、圧縮機(2)を含むヒートポンプ式空調装置(100)の停止時間(H)が設定時間(h)より長い場合に、圧縮機(2)を起動する前にアキュームレータ加熱手段(12)による加熱を行なうことを特徴とする。
【0012】これにより、特に冷媒の液化が進んで液圧縮が起き易い低外気温時や長期間放置後の条件の時にだけ、上記のアキュームレータ内の液冷媒の液面を下げてからの圧縮機起動が行われることとなる。
【0013】請求項4に記載の発明では、アキュームレータ加熱手段(12)に、エンジン(1)の冷却水を利用したことを特徴とする。
【0014】これにより、暖機運転時にエンジンの冷却水をアキュームレータ内に通すことで、冷媒の加熱も同時に行なえ、エンジンの排熱を利用した省エネルギーな加熱手段とできる。
【0015】請求項5に記載の発明では、アキュームレータ加熱手段(12)に、電気ヒータ(17)を用いたことを特徴とする。
【0016】これにより、エンジンの冷却水利用と比べて電気エネルギーが必要とはなるが、加熱手段としてアキュームレータに電気ヒータを巻き付けるだけで比較的簡単に構成できる。
【0017】請求項6に記載の発明では、圧縮機(2)を加熱する圧縮機加熱手段(18a、18b)を設け、制御装置(400)は、アキュームレータ加熱手段(12)および圧縮機加熱手段(18a、18b)を制御して、アキュームレータ(10)および圧縮機(2)内の冷媒を加熱することを特徴とする。
【0018】これにより、液冷媒が溜まって液圧縮の原因となりやすい部分を同時に加熱制御して、液圧縮を防ぐこととなる。
【0019】請求項7に記載の発明では、圧縮機加熱手段(18a、18b)に、エンジン(1)の冷却水を利用したことを特徴とする。
【0020】これにより、従来は電気ヒータにて加熱していた圧縮機に対しても、エンジンの冷却水を外面に通すことで排熱を利用した省エネルギーな加熱手段となり、アキュームレータの加熱手段と合せて構成し制御することにより、コストも抑えることができる。
【0021】請求項8に記載の発明では、蒸発促進手段(30)として、圧縮機(2)とアキュームレータ(10)との間の吸入側冷媒通路(20)に、圧縮機(2)へ供給する冷媒を減圧する減圧部(24)を設けたことを特徴とする。
【0022】これにより、圧縮機に吸入される冷媒は、減圧部で圧力が低下することによって蒸発が促進されてガス状冷媒となり、液圧縮が防止できる。
【0023】請求項9に記載の発明では、蒸発促進手段(30)として、圧縮機(2)とアキュームレータ(10)との間の吸入側冷媒通路(20)に開閉手段(25)を設け、制御装置(400)は、圧縮機(2)の運転開始と同時に開閉手段(25)を駆動させ、吸入側冷媒通路(20)を全閉から全開まで所定時間(T)をかけて開路したことを特徴とする。
【0024】これにより、液圧縮が発生し易い圧縮機の起動直後は、開閉手段で吸入側冷媒通路が絞られ、アキュームレータ側に対して圧縮機側が低圧となって、開閉手段を通過した冷媒がその圧力低下により蒸発が促進されてガス状冷媒となることより液圧縮が防止できる。なお、開閉手段は徐々に絞りを弱めて全開となり、定常運転となる。
【0025】なお、上記各手段に付した括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示す。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0027】(第1実施形態)図1は、本発明の第1実施形態におけるヒートポンプ式空調装置100の構成を概略的に示す模式構成図である。本実施形態は、水冷式のエンジン(例えばディーゼルエンジン)1によって駆動されるもので、このヒートポンプ式空調装置100は定置型あるいは車両搭載型の空調装置として用いられ、屋内や車室内を冷暖房することができるが、本実施形態では定置型に適用したものとして述べる。
【0028】ヒートポンプサイクル200(図1中2点鎖線で囲んだ部分)は、各機能部材間を冷媒配管で接続して構成され、屋内暖房時には、圧縮機2→四方弁3→室内熱交換器4→室内機電動弁5→レシーバ6→室外機電動弁7→室外熱交換器8→四方弁3→冷媒加熱器9→アキュームレータ10→圧縮機2の順に冷媒を流通(実線矢印)させて暖房している。
【0029】また、屋内冷房時には、圧縮機2→四方弁3→室外熱交換器8→室外機電動弁7→レシーバ6→室内機電動弁5→室内熱交換器4→四方弁3→冷媒加熱器9→アキュームレータ10→圧縮機2の順に冷媒を流通(破線矢印)させて冷房している。
【0030】室内熱交換器4は、暖房時には凝縮器である第1熱交換器として機能し、冷房時には蒸発器である第2熱交換器として機能する。また、室外熱交換器8は、暖房時には蒸発器である第2熱交換器として機能し、冷房時には凝縮器である第1熱交換器として機能する。
【0031】そして、暖房時には、室外機電動弁7が冷媒を減圧する減圧手段である膨張弁として機能し、冷房時には、室内機電動弁5が減圧手段である膨張弁として機能する。
【0032】エンジン1は、クランクプーリ1aに巻き付けられたVベルト1bにより圧縮機2に設けられたプーリ2aに駆動力を伝達するようになっている。そして、プーリ2aと圧縮機2との間には、プーリ2aに伝達された駆動力を圧縮機2に伝達または遮断する駆動力切替手段である電磁クラッチ2bが設けられている。
【0033】圧縮機2には従来の液冷媒を気化させるための電気ヒータが内蔵されている。また、圧縮機2の吐出側(四方弁3側)に接続された冷媒配管21には、圧縮機2が吐出した冷媒からオイルを分離する周知のオイルセパレータ22が設けられており、オイルセパレータ22で分離されたオイルはオイルリターンチューブ23を介して、圧縮機2の吸入側(アキュームレータ10側)に接続された冷媒配管20の経路中に圧縮機2前後の差圧により戻されるようになっている。
【0034】11は冷却水回路であり、エンジン1の本体内に形成されエンジン1を冷却するための図示しない冷却水通路と、この冷却水通路出口から冷媒加熱部である冷媒加熱器9、冷却水切替弁113、冷却水ポンプ114を順次流れ、上記冷却水通路入口に戻る第1冷却水回路111と、上記冷却水通路出口からラジエータ115、冷却水切替弁113、冷却水ポンプ114を順次流れ、上記冷却水通路入口に戻る第2冷却水回路112とから構成されている。
【0035】ここで、冷却水ポンプ114は電動ポンプであり、冷却水切替弁113は第1冷却水回路111と第2冷却水回路112とを切り替える電磁切替弁である。また、ラジエータ115は冷却水と外気とを熱交換する周知の熱交換器であり、冷媒加熱器9は、例えば金属等からなる2重管式の熱交換器であり冷却水と冷媒とが熱交換可能になっている。また、上記冷却水通路の出入口と各部材9、113〜115は例えばゴムホース等によって連結されている。
【0036】また、本発明での新たな構成として、冷却水回路11の上記冷却水通路出口から分岐してアキュームレータ加熱手段12としてアキュームレータ10内を通り、冷却水ポンプ114を流れて上記冷却水通路入口に戻る冷却水回路13が構成され、電磁弁14にて開閉される。また、アキュームレータ10の底部からレシーバ6の上部に連通する液冷媒回路15が構成され、電磁弁16にて開閉される。
【0037】上記構成を有するヒートポンプ式空調装置100において、各構成要素のうち室内熱交換器4および室内機電動弁5は、室内機を構成して室内の適所に設置され、その他のものは、室外機300(図1中1点鎖線で囲んだ部分)を構成して室外の適所に設置されている。そして、ヒートポンプ式空調装置100は、電子回路等からなる制御手段である制御装置400を有し、この制御装置400は、図示しない室内に設けられたコントローラ、図示しない外気温センサ・冷媒温度センサ・水温センサ等からの情報を入力し、室内機および室外機300を作動制御するようになっている。
【0038】次に、本実施形態の作動を上記構成に基づいて説明する。
【0039】制御装置400は、ヒートポンプ式空調装置100に電力供給されているときには、図示しないコントローラからの情報に基づいて、暖房運転時の制御処理、又は冷房運転時の制御処理のいずれかを実行する。
【0040】まず、暖房運転時の作動について説明する。例えば外気温が低い時、図示しないコントローラの暖房スイッチがONされ、ON信号が制御装置400に入力されると、制御装置400は暖房運転時の制御処理を実行する。制御装置400は四方弁3を暖房側(実線)に切り替えるとともに、エンジン1を起動し圧縮機2を駆動する。また、室内機電動弁5を全開にするとともに、室外機電動弁7を膨張弁として機能する開度に調節する。
【0041】圧縮機2を出た高温のガス冷媒は、まずオイルセパレータ22にてオイルが分離される。なお分離されたオイルは冷媒配管20と冷媒配管21との差圧により、オイルリターンチューブ23を介して冷媒配管20に送られる。オイルセパレータ22を出た冷媒は、四方弁3を通り、室内熱交換器4で凝縮し、暖房を行なった後、レシーバ6で気液分離、室外機電動弁7で減圧され、室外熱交換器8で蒸発し、四方弁3を再び通り、続いて冷媒加熱器9で、エンジン排熱を回収した冷却水との熱交換により加熱された後、アキュームレータ10から圧縮機2に戻る。
【0042】エンジン1の起動に合わせて、冷却水ポンプ114も起動され、冷却水切替弁113は冷却水が第1冷却水回路111に流れる方向に切り替えられる。冷却水ポンプ114によって圧送された冷却水は、エンジン1内の冷却水通路を流れ、エンジン排熱を吸熱した後、冷媒加熱器9に入り、ここで、室外熱交換器8で蒸発した冷媒と熱交換して冷媒を加熱する。その後、冷却水切替弁113から冷却水ポンプ114に戻り、再びエンジン1内の冷却水通路に送られる。
【0043】このように冷却水が循環するため、エンジン1の排熱は冷却水に回収され、冷媒加熱器9にて冷媒の加熱に利用されて、ヒートポンプサイクル200の暖房熱源の一部となる。
【0044】次に、冷房運転時の作動について説明する。例えば外気温が高い時、図示しないコントローラの冷房スイッチがONされ、ON信号が制御装置400に入力されると、制御装置400は冷房運転時の制御処理を実行する。制御装置400は四方弁3を冷房側(破線)に切り替えるとともに、エンジン1を起動し圧縮機2を駆動する。また、室外機電動弁7を全開にするとともに、室内機電動弁5を膨張弁として機能する開度に調節する。
【0045】圧縮機2を出た高温のガス冷媒は、まずオイルセパレータ22にてオイルが分離される。なお分離されたオイルは冷媒配管20と冷媒配管21との差圧により、オイルリターンチューブ23を介して冷媒配管20に送られる。オイルセパレータ22を出た冷媒は、四方弁3を通り、室外熱交換器8で凝縮し、レシーバ6で気液分離、室内機電動弁5で減圧され、室外熱交換器8で蒸発し、冷房を行なった後、四方弁3を再び通り、続いて冷媒加熱器9からアキュームレータ10に送られ、アキュームレータ10にて気液分離され、圧縮機2に戻る。
【0046】エンジン1の起動に合わせて、冷却水ポンプ114も起動され、冷却水切替弁113は冷却水が第2冷却水回路112に流れる方向に切り替えられる。冷却水ポンプ114によって圧送された冷却水は、エンジン1内の冷却水通路を流れ、エンジン排熱を吸熱した後、ラジエータ115に入る。その後、冷却水切替弁113から冷却水ポンプ114に戻り、再びエンジン1内の冷却水通路に送られる。このように冷却水が循環するため、エンジン1の排熱は冷却水に回収され、ラジエータ115にて外気と熱交換して放熱される。
【0047】次に、装置起動時の制御装置400の制御動作を図2に示すフローチャートで説明する。
【0048】図示しないコントローラのスイッチがONされ、ON信号が制御装置400に入力されると、制御装置400は起動時の制御処理を実行する。まず、ステップS1として、エンジン1を起動すると共に、冷却水ポンプ114も起動させる。
【0049】次にステップS2で、当ヒートポンプ式空調装置100の停止期間が長期でないかを、制御装置400内の積算タイマで前回の空調装置100の使用停止時点よりカウントしている停止時間Hが設定時間hを超えていないかで判定する。超えている場合は後述のステップS4の動作を行なうものとし、超えていない場合は次のステップS3に進む。
【0050】ステップS3では、圧縮機2とアキュームレータ10とを含む室外機300の環境温度が低くないかを、図示しない外気温センサで検出する外気温度Toが設定温度toより低いかで判定する。低い場合は次に説明するステップS4の動作を行なうものとし、低くない場合は後述のステップS7の動作を行なうものとする。
【0051】空調装置100の停止期間Hが長い、又は、環境温度Toが低いと判定された場合は、まずステップS4で圧縮機2に内蔵される電気ヒータをONさせると共に、冷却水回路13の電磁弁14と、液冷媒回路15の電磁弁16とを開く。これにより、圧縮機2内の液冷媒が気化されると共に、アキュームレータ10内の液冷媒がエンジンの冷却水で加熱されて蒸発が促進され、その圧力上昇でアキュームレータ10内の液冷媒は液冷媒回路15からレシーバ6内へ移動することとなる。
【0052】次にステップS5で、エンジン1の冷却水温が充分に上がったかどうかを、図示しない水温センサで検出する水温Twが40℃以上かで判定する。超えた場合はステップS6で圧縮機2に内蔵される電気ヒータをOFFさせると共に、冷却水回路13の電磁弁14と、液冷媒回路15の電磁弁16とを閉じる。そして、ステップS7で圧縮機2の電磁クラッチ2bをONさせることで冷媒の圧縮を開始してヒートポンプサイクルを始動させる。
【0053】上記の構成と作動により、特に冷媒の液化が進んで液圧縮が起き易い低外気温時や長期間放置後の条件の時にだけ、アキュームレータ10内の液冷媒を加熱して蒸発を促進し、その圧力上昇でアキュームレータ10内の液冷媒の液面を下げてから圧縮機2の起動が行われ、起動時に液冷媒を吸入して液圧縮を起こすのを防ぐことができる。
【0054】また、暖機運転中のエンジン1の冷却水をアキュームレータ10内に通すことで、上記した冷媒の加熱も同時に行なえ、エンジンの排熱を利用した省エネルギーな加熱手段とできる。
【0055】図3は、アキュームレータ加熱手段12として電気ヒータ17を用いた場合の概略構成図である。これにより、エンジン1の冷却水利用と比べて電気エネルギーが必要とはなるが、アキュームレータ加熱手段12としてアキュームレータ10に電気ヒータ17を巻き付けるだけで比較的簡単に構成でき、従来の圧縮機2の電気ヒータと一緒に通電制御すればよいため、既設の装置100に本発明を適用する場合などに容易である。
【0056】図4は、圧縮機2の加熱手段にエンジン1の冷却水を利用した場合の概略構成図であり、(a)は圧縮機2の周りを二重のジャケット構造18aとして、その間に冷却水回路13からの冷却水を通して加熱したもの、(b)は圧縮機2の周りに冷却水配管18bを取り廻して、そこに冷却水回路13からの冷却水を通して加熱したものである。
【0057】これにより、従来は電気ヒータにて加熱していた圧縮機2に対しても、エンジン1の冷却水を外面に通すことで排熱を利用した省エネルギーな加熱手段となり、アキュームレータ加熱手段12と合せて構成し制御することにより、コストも抑えることができる。
【0058】(第2実施形態)図5は、本発明の第2実施形態におけるヒートポンプ式空調装置100の構成を概略的に示す模式構成図である。図1の第1実施形態と異なるのは、アキュームレータ加熱手段12と液冷媒回路15がない替わりに、圧縮機2とアキュームレータ10との間の吸入側冷媒通路20に、減圧部として膨張タンク24を設けている。
【0059】これにより、圧縮機2に吸入される冷媒は、膨張タンク24で圧力が低下することによって蒸発が促進されてガス状冷媒となり、液圧縮が防止できる。
【0060】また、膨張タンク24でアキュームレータ10から吸入した液冷媒をトラップさせて、圧縮機2に流さないという効果もある。なお、膨張タンク24に一時的に溜まった冷媒も、定常運転の中で蒸発してゆく。
【0061】(第3実施形態)図6は、本発明の第3実施形態における圧縮機2とアキュームレータ10との間の概略構成図である。前提となるヒートポンプ式空調装置100の構成は、図5の第2実施形態と同じであるが、異なるのは膨張タンク24の替わりに、吸入側冷媒通路20に開閉手段としての電動弁25を設けている。
【0062】作動として、図示しないコントローラのエアコンスイッチがONされ、ON信号が制御装置400に入力されると、制御装置400は冷房又は暖房の運転制御処理を開始する。そして図7に示すように、制御装置400から圧縮機2の運転を開始する信号が出ると同時に電動弁25を駆動させて、吸入側冷媒通路20を全閉から全開まで所定時間(T)をかけて開路するようにした。
【0063】これにより、液圧縮が発生し易い圧縮機2の起動直後は、電動弁25で吸入側冷媒通路20が絞られ、アキュームレータ10側に対して圧縮機2側が低圧となって、電動弁25を通過した冷媒がその圧力低下により蒸発が促進されてガス状冷媒となることより液圧縮が防止できる。なお、電動弁25は徐々に絞りを弱めて全開となり、定常運転となる。
【0064】図8は、吸入側冷媒通路20を絞る開閉手段として、電磁弁26を複数個並列に設けたもので、これらの電磁弁25を圧縮機2の運転開始と同時に順次開いて行くようにしてもよい。前記の電動弁25は連続的に開いていくのに対して、段階的に開いていく違いとなるが、同等の効果が得られる。
【0065】上記実施形態では、エンジン1はディーゼルエンジンであったが、これに限らず、ガソリンエンジン、ガスエンジン等であってもよい。
【0066】また、上記実施形態では、圧縮機2はエンジン1により駆動される構成であったが、圧縮機2は電動圧縮機等のエンジン駆動以外のものであってもよい。
【0067】また、本発明はヒートポンプサイクルのみならず、他の冷媒圧縮式冷凍サイクルに適用してもよい。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成12年12月28日(2000.12.28)
【代理人】 【識別番号】100096998
【弁理士】
【氏名又は名称】碓氷 裕彦 (外1名)
【公開番号】 特開2002−168534(P2002−168534A)
【公開日】 平成14年6月14日(2002.6.14)
【出願番号】 特願2000−400836(P2000−400836)