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【発明の名称】 空調用ダクトの接続構造
【発明者】 【氏名】鈴木 浩

【氏名】杉浦 正昭

【要約】 【課題】発泡樹脂シートを真空成形した第1ダクトを剛性を有する第2ダクトに密着接続する構造を提供する。

【解決手段】発泡樹脂シートを真空成形したダクト半体を両端縁部で接合した第1空調用ダクト12を、剛性を有する第2空調用ダクト14に接続する構造で、第1ダクトの第1開口部16の開口端に形成され、該開口端から中心軸線Lに対して交差する内方へ延出する係止片18と、第1開口部から係止片に亘って形成され、第1開口部を外方へ拡開させる拡開許容部22と、第2ダクトの第2開口部24から僅かに奥まった外側面に周状に凹設され、係止片の嵌入係止を許容する溝部20とからなり、拡開許容部により第1開口部を外方へ所要寸法だけ拡開させて、第2ダクトの開放側の内挿を許容し、第1開口部に形成した係止片を第2開口部の溝部へ嵌入係止させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 2枚の発泡樹脂シートを真空成形することで2つのダクト半体(10,10)を長手方向の両端縁部で接合させた第1空調用ダクト(12)を、剛性を有する合成樹脂を材質とする第2空調用ダクト(14)に接続するための構造であって、前記第1空調用ダクト(12)における第1開口部(16)の開口端に形成され、該開口端から該ダクト(12)の中心軸線(L)に対して交差する内方へ僅かに延出する係止片(18)と、前記第1開口部(16)の適宜位置から前記係止片(18)に亘って形成され、この第1開口部(16)を外方へ所要寸法だけ拡開させる拡開許容部(22)と、前記第2空調用ダクト(14)の第2開口部(24)から僅かに奥まった外側面に周状に凹設され、前記第1空調用ダクト(12)における係止片(18)の嵌入係止を許容する溝部(20)とからなり、前記第2空調用ダクト(14)の開放側を第1空調用ダクト(12)の第1開口部(16)へ内挿するに際して、前記拡開許容部(22)により第1開口部(16)を外方へ所要寸法だけ拡開させて、第2空調用ダクト(14)における開放側の内挿を許容すると共に、第1開口部(16)に形成した前記係止片(18)を第2開口部(24)に凹設した前記溝部(20)へ嵌入係止させるよう構成したことを特徴とする空調用ダクトの接続構造。
【請求項2】 前記拡開許容部(22)はV溝として形成される請求項1記載の空調用ダクトの接続構造。
【請求項3】 前記拡開許容部(22)は所要深さの有底切込みとして形成される請求項1記載の空調用ダクトの接続構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は空調用ダクトの接続構造に関し、更に詳細には、発泡樹脂シートを真空成形して得た剛性に乏しい第1空調用ダクトと、剛性を有する合成樹脂からなる第2空調用ダクトとを、パッキングを使用することなく容易に密着接続し得る接続構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両用のエアコンユニットの調温空気の吹出口から導出され、例えばインストルメントパネルに配設したベンチレータおよびデフロスタ用吹出口に分岐接続して夫々に調温空気を供給する空調用ダクトは、一般に高密度ポリエチレンを材質とするパリソンをブロー成形することで製造されていた。これに対し軽量化や防音・防湿効果を向上させるために、完成状態のダクトを長手方向に分割したダクト半体の外部輪郭をキャビティの内部輪郭とする2つの真空成形型の間に、2枚の発泡樹脂シート(例えば発泡ポリプロピレンのシート材)を介在させ、これを加熱して軟化させた後に真空成形を行なうことで、2つのダクト半体を長手方向の両端縁部で接合させた空調用ダクトを製造する方法が近年実施されている。
【0003】
【発明が解決すべき課題】前述した2つのダクト半体を接合させた空調用ダクトは、発泡樹脂シートを材質としているために軽量化や防音・防湿効果の向上は図られているが、その反面でダクトに必要な機械的な剛性は最小限の程度に止まり、高密度ポリエチレンをブロー成形したダクトの備える剛性に比べて遥かに小さいものとなっている。このため発泡樹脂シート製の空調用ダクト(以下「第1空調用ダクト」という)を、例えば高密度ポリエチレンをブロー成形して剛性を持たせた別の空調用ダクト(以下「第2空調用ダクト」という)に接続する場合、第1空調用ダクトの接続部位となる開口部は剛性を有しないために、一方のダクトに他方のダクトを密着的に挿入しようとすると、第1空調用ダクトの開口部が容易に変形して接続作業が難しくなる難点があった。
【0004】そこで一方のダクトの開口寸法を他方のダクトの開口寸法よりも大きく設定して、ダクトを挿入する接続作業を容易にすることが実施されている。しかしこの場合は、両ダクトの接続部位に空隙が生じるために、エアコンユニットから圧力を伴って供給される調温空気がここから漏出する難点がある。そこで開口寸法を大きく設定した側の空調用ダクトの開口部内側に、例えばウレタンシートの如きパッキングを予め貼り付けておくことで、調温空気の漏洩を防止する措置が図られているが、このときは別部材としてのパッキングを別途用意する必要があると共に、該パッキングを貼り付ける作業を更に必要とする、等の別の欠点が顕在化する。
【0005】
【発明の目的】本発明は、前述した課題を好適に解決するために提案されたものであって、発泡樹脂シートを真空成形した剛性に乏しい第1の空調用ダクトを、剛性を有する合成樹脂を材質とする第2の空調用ダクトに接続するに際し、パッキング材を別途必要とすることなく、両ダクトの密着的な接続を容易に達成し得る空調用ダクトの接続構造を提供することを目的とする。
【0006】
【発明を解決するための手段】前記課題を克服し、所期の目的を達成するため本発明は、2枚の発泡樹脂シートを真空成形することで2つのダクト半体を長手方向の両端縁部で接合させた第1空調用ダクトを、剛性を有する合成樹脂を材質とする第2空調用ダクトに接続するための構造であって、前記第1空調用ダクトにおける第1開口部の開口端に形成され、該開口端から該ダクトの中心軸線に対して交差する内方へ僅かに延出する係止片と、前記第1開口部の適宜位置から前記係止片に亘って形成され、この第1開口部を外方へ所要寸法だけ拡開させる拡開許容部と、前記第2空調用ダクトの第2開口部から僅かに奥まった外側面に周状に凹設されて、前記第1空調用ダクトにおける係止片の嵌入係止を許容する溝部とからなり、前記第2空調用ダクトの開放側を第1空調用ダクトの第1開口部へ内挿するに際して、前記拡開許容部により第1開口部を外方へ所要寸法だけ拡開させて、第2空調用ダクトにおける開放側の内挿を許容すると共に、第1開口部に形成した前記係止片を第2開口部に凹設した前記溝部へ嵌入係止させるよう構成したことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】次に本発明に係る空調用ダクトの接続構造について、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。図1は、実施例に係る空調用ダクトの接続構造の縦断面図であって、第1および第2空調用ダクトの接続前の状態を示している。また図2および図3は、第1空調用ダクトに第2空調用ダクトを内挿した状態を示している。更に図4は、空調用ダクトの斜視図であって、第1空調用ダクトに第2空調用ダクトを内挿する直前の状態を示している。
【0008】図4に符号12で指示する空調用ダクトは、2枚の発泡ポリプロピレンの如き発泡樹脂シートを真空成形して2つのダクト半体10,10とし、両ダクト半体10,10における長手方向の両端縁部10a,10aを接合した中空筒状体であって、内部に空気流通路が画成されている。この空調用ダクト12は発泡樹脂シートを材質としているため、先に述べたように剛性に極めて乏しいものである。なお、この発泡樹脂シートから空調用ダクト12を製造するツインコンポジット等の真空成形法は、既に技術的に画立しているので説明は省略する。また図4に符号14で指示する空調用ダクトは、例えば高密度ポリエチレンからなる中空パリソンをブロー成形した空調用ダクトであって、前記空調用ダクト12に較べてかなりの剛性を有している。本発明は、発泡樹脂シートを材質とする剛性に乏しい空調用ダクト12と、高密度ポリエチレン等を材質として高い剛性を有する空調用ダクト14とを接続する構造に関するものであるので、混同を避けるために前者のダクトを第1空調用ダクト12と称すると共に、後者のダクトを第2空調用ダクト14と称する。
【0009】図1〜図4に示すように、第1空調用ダクト12の一方の端部に矩形状に開口する第1開口部16は、後述するダクト接続作業に際し第2空調用ダクト14の開放端を容易に内挿させ得るように、ラッパ状に外側へ所要の傾斜角をもって僅かに拡開させてある。この第1開口部16には、その開口端から該ダクト12の中心軸線Lに対し直交的に交差して、開口部内方へ僅かに延出する係止片18が一体的に形成されている。すなわち前記係止片18は、第1開口部16の開口周縁から開口部内方へ指向する突出片であって、図示の如く開口部の全周縁に沿って形成されている。この係止片18は、ダクト接続時に第2空調用ダクト14の後述する溝部20へ嵌入係止されるものである。
【0010】第1空調用ダクト12の前記第1開口部16には、該開口部における適宜の位置から前記係止片18に亘ってV溝状の拡開許容部22が形成され、この拡開許容部22の存在により後述の如く、第1開口部16を外方へ所要寸法だけ拡開させ得るようになっている。すなわち第1開口部16は、先に述べた如く、ラッパ状に外側へ拡開させてあるが、このラッパ状拡開面の例えば上下に対応し合う個所に、V溝からなる拡開許容部22が形成されている。この拡開許容部22は、図4に示すように、第1開口部16だけでなく前記係止片18にかけて延在しており、常にはV溝の谷部を開放させている。すなわち図5のように、V溝をなす拡開許容部22は谷部を開放させているので、第1空調用ダクト12の第1開口部16を外方へ所要寸法だけ拡開させた状態としている。但し、拡開許容部22を常に開放させておくことは必須要件でなく、図6に示すように、この拡開許容部22を所要深さに切込んだ有底切込み部としてもよい。
【0011】殊に図4に示す如く、第2空調用ダクト14の一方の端部に矩形状に開口する第2開口部24には、その開放端から僅かに奥まった外側面に前記溝部20が周状に凹設されている。すなわち溝部20は、前記第1空調用ダクト12に設けた前記係止片18が嵌入し得る幅に設定された全周溝であって、その幅寸法は若干きつめに該係止片18の嵌入を許容する程度に設定するのが好ましい。なお、第2空調用ダクト14における第2開口部24の形状および外部寸法は、第1空調用ダクト12の断面形状と相似形であって、かつ第1開口部16がラッパ状に拡開し始める基部に密着的に当接し得る程度に設定してある。
【0012】
【実施例の作用】次に、このように構成した実施例に係る空調用ダクトの接続構造について、その使用の実際を説明する。第1空調用ダクト12の第1開口部16には、先に述べた如く拡開許容部22が形成されているために、該開口部16の開放端はラッパ状に外側へ拡開している。また第1空調用ダクト12に内挿接続されるべき第2空調用ダクト14は、その第2開口部24の形状および外部寸法を第1開口部16の拡開前の形状および外部寸法と略同等に設定してある。
【0013】従って図1および図4に示すように、第1空調用ダクト12の第1開口部16へ第2空調用ダクト14の第2開口部24を指向させ、両ダクト12,14の軸心を整列させた状態で第2空調用ダクト14を矢印方向へ移動させる。これにより第2空調用ダクト14の開放端は、図2に示すように、第1空調用ダクト12の第1開口部16へ容易に内挿される。このように第2空調用ダクト14を第1空調用ダクト12へ軸方向に所要寸法だけ挿入すると、第1開口部16のラッパ状に拡開している開口端に形成した前記係止片18は、第2空調用ダクト14の第2開口部24の外側面に周設した前記溝部20へ僅かに嵌入されるに至る。
【0014】そこで図3に示す如く、常にはV字状に谷部を開放させている前記拡開許容部22を指先で挾んで押圧すれば、ラッパ状に外側へ拡開していた第1空調用ダクト12の第1開口部16は中心方向へ閉じて収束し、この第1開口部16は第2空調用ダクト14における開放端近傍の外側面に密着する。このままで指を離すと拡開許容部22は再びV字状に開放してしまうから、閉じた状態の拡開許容部22に、図3の如くステープラーの針26で係止することで以後の開放を阻止する。拡開許容部22に施す開放阻止手段は、ステープラーの針26以外に、ヒートガンによる溶着や、接着テープの貼り付け等であってもよい。なお、拡開許容部22を閉じさせて、第1空調用ダクト12の第1開口部16を第2空調用ダクト14の外側面に密着させることで、前記溝部20に先端を臨ませていた前記係止片18は、図3に示すように該溝部20へ完全に嵌入されてしまう。すなわち接続完了後の両空調用ダクト12,14では、第1開口部16に周状に突設した前記係止片18が、第2開口部24に周状に凹設した前記溝部20に全周囲的に密着嵌合するので、ダクト中を圧力を伴って供給される調温空気が接続部位から漏洩するのを有効に防止し、また従来技術と異なり密閉用のパッキングを必要としない。
【0015】なお、図6に示すように拡開許容部22が所要深さの有底切込み部である場合は、第1空調用ダクト12へ第2空調用ダクト14を内挿するに先立ち、この第1空調用ダクト12の第1開口部16に内側から外方へ向かう力を軽く付与してやる。これにより有底切込み部22はV字状に開放し、従って第1開口部16はラツパ状に外側へ拡開して、第2空調用ダクト14の容易な内挿を許容することができる。
【0016】
【発明の効果】以上に説明した如く、本発明に係る空調用ダクトの接続構造によれば、発泡樹脂シートを真空成形した剛性に乏しい第1の空調用ダクトを、剛性のある合成樹脂を材質とする第2の空調用ダクトに接続するに際して、この第1の空調用ダクトの接続部位が簡単に変形して接続困難を来すことがなく、またパッキング材を別途必要とせずして、両ダクトの密着的な接続を容易に達成し得る優れた効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
【出願日】 平成12年11月22日(2000.11.22)
【代理人】 【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
【公開番号】 特開2002−162089(P2002−162089A)
【公開日】 平成14年6月7日(2002.6.7)
【出願番号】 特願2000−356703(P2000−356703)