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【発明の名称】 空気調和装置の室内機
【発明者】 【氏名】古谷 志保

【氏名】佐藤 成広

【氏名】沼本 浩直

【要約】 【課題】空気調和装置の室内機内に発生する微生物の繁殖を抑制する。

【解決手段】熱交換器11、送風機12、空気の吸い込み口5、6、7および空気の吹き出し口8を備えた空気調和装置の室内機において、揮発性の抗微生物剤としてイソチオシアン酸アリルを用い、これを収納して開口部を設けた抗微生物剤収納体9を、吸い込み口6から吹き出し口8に至る空気通路に配設して微生物の繁殖を抑制する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 熱交換器、送風機、空気の吸い込み口および空気の吹き出し口を備えた空気調和装置の室内機において、前記熱交換器ならびに送風機を含む室内機内に揮散性の抗微生物剤より気化した抗微生物気化ガスが揮散するように構成したことを特徴とする空気調和装置の室内機。
【請求項2】 熱交換器、送風機、空気の吸い込み口および空気の吹き出し口を備えた空気調和装置の室内機において、前記熱交換器の上端と前記空気の吸い込み口の上面との間に揮散性の抗微生物剤を配設したことを特徴とする空気調和装置の室内機。
【請求項3】 熱交換器、送風機、空気の吸い込み口および空気の吹き出し口を備えた空気調和装置の室内機において、前記熱交換器の前面と前記空気の吸い込み口の前面との間に揮散性の抗微生物剤を配設したことを特徴とする空気調和装置の室内機。
【請求項4】 熱交換器、送風機、空気の吸い込み口および空気の吹き出し口を備えた空気調和装置の室内機において、前記空気の吸い込み口にエアフィルタを設け、そのエアフィルタの内側に揮散性の抗微生物剤を着脱可能に取付けたことを特徴とする空気調和装置の室内機。
【請求項5】 前記エアフィルタに揮散性の抗微生物剤の挿入部を形成し、前記挿入部に揮散性の抗微生物剤を嵌合させて前記抗微生物剤を前記エアフィルタに取付けたことを特徴とする請求項4記載の空気調和装置の室内機。
【請求項6】 前記エアフィルタに突起部を形成し、前記突起部を揮散性の抗微生物剤に設けた開口部に挿入して前記抗微生物剤を前記エアフィルタに取付けたことを特徴とする請求項4記載の空気調和装置の室内機。
【請求項7】 前記揮散性の抗微生物剤は、イソチオシアン酸アリルを有効成分とすることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の空気調和装置の室内機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微生物の繁殖を抑制する機能を有する空気調和装置の技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般的な空気調和装置は、ケーシングの前面および上面に空気の吸い込み口を、底面に空気の吹き出し口をそれぞれ形成し、このケーシングの内部に、エアフィルタと熱交換器と送風ファンとを収納し、送風ファンにより空気の吸い込み口から吸い込んだ空気をエアフィルタにより除塵し、ついで熱交換器により熱交換させたのち空気の吹き出し口より吹き出す構成になっている。そして、空気の吸い込み口から吹き出し口に至る空気の通風路には微生物が繁殖し易いので、その繁殖を抑制する抗微生物剤を施す処理技術が知られている。
【0003】従来の抗微生物剤の処理技術としては、材料中に抗微生物剤を混練したり、表面に抗微生物剤を塗布したりして抗微生物剤を添加したエアフィルタを用いたり(例えば、特公平8−14383号公報、特開平10−246505号公報、特開平11−207120号公報などに記載)、または抗微生物剤を被膜に添加したフィンを熱交換器に用いたり(例えば、特開平5−248781号公報、特開平5−339743号公報、特開平6−194091号公報などに記載)する技術が開示されている。また、材料中に混練したり、表面に塗布したりして抗微生物剤を添加した送風ファンを用いたり(例えば、特開平5−196246号公報、特開平5−222255号公報、特開平8−145394号公報などに記載)、抗微生物剤を混練したドレンパン、あるいは抗微生物剤を混練したプレートを配設したドレンパンを用いたり(例えば、特開平6−159710号公報、特開平7−103500号公報、特開平8−233303号公報などに記載)する技術が知られている。そして、一般的な抗微生物剤としては、非揮発性の有機系抗微生物剤、非揮発性の無機系抗微生物剤の1種類または2種類以上が併用して用いられている。
【0004】また、電子を電離して空気中の気体をイオン化し、人体に対しては有害なオゾンを低い濃度にしながら負イオンを発生させて微生物の繁殖を防止する微生物繁殖防止装置を用いたり(例えば、特開平9−119657号公報に記載)する技術が開示されている。そして、微生物繁殖防止装置は空気中の気体をイオン化する電離室とオゾンを分解して除去するオゾン分解室から構成され、空気調和装置の吹き出し口に配設されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の非揮発性の抗微生物剤を備えた空気調和装置にあっては、抗微生物剤を混練してエアフィルタや熱交換器や送風ファンなどの構成部材中に添加した場合は、通風路に露出する部材表面に抗微生物剤が浸透析出し難いことから、充分な抗微生物剤の作用効果が期待できなく、また、抗微生物剤を部材表面に塗布して添加した場合は、微生物が直接に部材表面と接触しないと充分な繁殖防止の作用効果が期待できないという問題点があった。さらに、これらの抗微生物剤はその作用効果を奏するのに時間がかかるので、抗微生物処理をした部材に付着した微生物のみの繁殖を抑制させるにとどまり、長期間、空気調和機を使用して部材にほこりが堆積しているような場合には、抗微生物処理の効果が見られないという問題点もあった。
【0006】また、負イオンによる微生物繁殖防止処理をした空気調和装置にあっては、空気中の気体をイオン化する電離室とオゾンを分解して除去するオゾン分解室が必要となるため、装置の構造が複雑で体積が大きくなり、既存の空気調和装置内に配置することは困難であるという問題点があった。
【0007】そこで、本発明は、このような問題点を解決し、微生物の繁殖を効果的に抑制することができる空気調和装置の室内機を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するために、本発明の請求項1記載に係る空気調和装置の室内機においては室内機内に揮散性の抗微生物剤より気化した抗微生物気化ガスが揮散するように構成することとした。また本発明の請求項2記載に係る空気調和装置の室内機においては、空気の吸い込み口と熱交換器上端との間に揮散性の抗微生物剤を配設することとしたものである。
【0009】そして、このようにすることにより、空気調和装置の室内機の内部雰囲気中には、有効濃度の抗微生物剤が揮発して気体状で存在したり、部材の表面に均一に付着されて存在したり、あるいは、複雑な形状部分にも容易に侵入して存在したりするようになるので、微生物と抗微生物剤が接触し易くなってその繁殖を良好に抑制することができる。
【0010】また、本発明の請求項3記載に係る空気調和装置の室内機においては、熱交換器の前面と空気吸い込み口の前面との間に揮散性の抗微生物剤を配設することとしたものである。
【0011】そして、このようにすることにより、請求項1,2に記載した発明と同様に空気調和装置の室内機の内部雰囲気中には、有効濃度の抗微生物剤が揮発して気体状で存在したり、部材の表面に均一に付着されて存在したり、あるいは、複雑な形状部分にも容易に侵入して存在したりするようになるので、微生物と抗微生物剤が接触し易くなってその繁殖を良好に抑制することができる。
【0012】また、本発明の請求項4記載に係る空気調和装置の室内機においては、エアフィルタの内側に揮散性の抗微生物剤を着脱可能に取付け固定することとした。
【0013】そして、このようにすることにより、抗微生物剤の有効成分が空気調和装置の室内機の内部へ気化ガスとして放出され易くなり、抗微生物剤の有効濃度を維持することができるので、空調部材の表面に堆積したほこりや結露水の中に存在する微生物の繁殖を効果的に抑制することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明は、各請求項に記載したような形態で実施することができ、以下にその構成に作用効果を併記して実施の態様について説明する。
【0015】第1の発明の実施の形態である空気調和機の室内機は、熱交換器の上端と空気の吸い込み口の上面との間に揮散性の抗微生物剤を設けたものである。
【0016】そして、抗微生物剤を熱交換器の上端と空気の吸い込み口上面との間に設けることにより、揮発して気体状となった抗微生物剤は、吸い込みグリル上面に形成された空気吸い込み口から吸込まれた空気とともに、空気調和装置の室内機のケーシング内部の雰囲気中に有効濃度で飛散して存在するようになるので、抗微生物剤を存在させた部分に微生物が直接接触しない場合でも、揮発したガス状の抗微生物剤が微生物と良好に接触してその繁殖を効果的に抑制することができる。また、空気調和装置の室内機のケーシング内部には、空気の吸い込み口から吹き出し口に至る空気通路が形成され、この空気通路には、通常エアフィルタ、熱交換器、送風ファンのような空調主体部材や、台枠、前面グリル、吹き出しグリル、ドレンパン、ドレンホースのような空調補助部材が配設されているのが普通であり、抗微生物剤は揮発して空気吸い込み口から吸込まれた空気によって空気通路内に飛散し、これらの部材の表面にも均一に付着して存在するようになるので、微生物と良好に接触してその繁殖を効果的に抑制することができる。なお、ここでの抗微生物剤が揮発する現象は、雰囲気中へ抗微生物剤が直接気化する場合以外に、結露により発生した水滴などに一度溶解した後に、雰囲気中に気化する場合にも発生する。
【0017】第2の発明の実施の形態である空気調和機の室内機は、熱交換器前面に揮散性の抗微生物剤を設けたものである。
【0018】そして、抗微生物剤を熱交換器前面に設けることにより、揮発してガス状となった抗微生物剤は、空気調和装置のケーシング内部の雰囲気中に有効濃度で飛散して存在するようになるので、抗微生物剤を存在させた部分に微生物が直接接触しない場合でも、微生物と良好に接触してその繁殖を効果的に抑制することができる。また、抗微生物剤は揮発して、空調主体部材や補助部材の表面にも均一に付着して存在するようになるので、微生物と良好に接触してその繁殖を効果的に抑制することができる。なお、ここでの抗微生物剤が揮発する現象は、雰囲気中へ抗微生物剤が直接気化する場合以外に、結露により発生した水滴などに一度溶解した後に、雰囲気中に気化する場合にも発生する。
【0019】また、第3の発明の実施の形態である空気調和装置の室内機は、エアフィルタの内側に揮散性の抗微生物剤を着脱可能に取付けたものである。
【0020】そして、抗微生物剤をエアフィルタの内側に着脱可能に固定することにより、揮発性の抗微生物剤の有効成分が空気調和装置内部へ放出され易くなり、雰囲気中に有効濃度を維持させることにより、空気通路中に通常存在する空調部材の表面にほこりが堆積した場合でも、ほこりの中に存在する微生物に対して抗微生物効果を有効に発揮することができる。また、抗微生物剤が水に溶解している場合は、水中において有効濃度を維持することができるので、貯溜した結露水の中に存在する微生物に対しても効果がある。
【0021】また、第4の発明の実施の形態である空気調和機の室内機は、抗微生物剤は、エアフィルタに形成した挿入部に嵌合させて取付けたものである。
【0022】そして、抗微生物剤をエアフィルタに形成した挿入部に嵌合させることにより、抗微生物剤の着脱が可能となり、揮発性の抗微生物剤の有効成分が無くなった場合に交換することができるので、抗微生物剤の有効濃度を半永久的に維持することができるので、空調部材の表面に堆積したほこりや結露水の中に存在する微生物の繁殖を効果的に抑制することができる。
【0023】また、第5の発明の実施の形態である空気調和機の室内機は、抗微生物剤は、エアフィルタに形成した突起部に抗微生物剤に設けた開口部を挿入して取付けたものである。
【0024】そして、抗微生物剤に設けた開口部をエアフィルタに形成した突起部に挿入して取付けることにより、抗微生物剤の着脱が可能となり、揮発性の抗微生物剤の有効成分が無くなった場合に交換することができるので、抗微生物剤の有効濃度を半永久的に維持することができ、空調部材の表面に堆積したほこりや結露水の中に存在する微生物に対して抗微生物効果を有効に発揮することができる。
【0025】第6の発明の実施の形態である空気調和機の室内機は、イソチオシアン酸アリルを有効成分とする揮発性の抗微生物剤を用いたものである。
【0026】そして、揮発性の抗微生物剤としては、人体に対しては無害で、微生物に対しては強い抗微生物作用を有し、使用環境で揮発しやすいもの、例えば、ヒノキチオール、チオシアン酸化合物、イソチオシアン酸化合物、イソチオシアン酸アリル、オクチルアルデヒド、オイゲノール、プロムシンナミルアルデヒドなどを一種または二種以上用いたものが好ましく、特にイソチオシアン酸アリルは、低い濃度で強い抗微生物作用を発揮できるので好ましい。
【0027】
【実施例】その実施例について、図を参照して詳述する。
【0028】先に、以下の実施例において本発明を実施した空気調和装置の室内機について、その断面模式図を示す図1を参照して説明する。
【0029】図1において、台枠1と吸い込みグリル2と吹き出しグリル3とを組み合わせて箱形状のケーシング4を形成し、吸い込みグリル2には、前面および上面に空気の吸い込み口5、6、7がそれぞれ形成され、底部に位置する吹き出しグリル3には吹き出し口8が形成されている。ケーシング4の内部には、吸い込み口5、6、7から吹き出し口8に至る空気通路が形成される。吸い込みグリル2の内側の空気通路には、揮発性の抗微生物剤収納体9および吸い込み口5、6、7に沿ってエアフィルタ10が着脱自在に取り付けられている。なお、揮発性の抗微生物剤収納体9はできるだけ薄くし、面積は広くするのが揮散効果上好ましい。
【0030】ケーシング4内の空気通路において、抗微生物剤収納体9の下流側には、プレートフィンチューブ形熱交換器11および送風ファン12が順次配置されている。プレートフィンチューブ形熱交換器11は、複数のプレートフィンを平行に配列し、その両側にそれぞれ側板を取り付け、これら側板とプレートフィンとの間に冷媒の流れるチューブが配設された構成をなしている。
【0031】送風ファン12の回転により吸い込み口5、6、7から吸い込まれた空気は、揮発性の抗微生物剤収納体9内の揮発性の抗微生物剤と接触しエアフィルタ10により除塵されたのち、プレートフィンチューブ形熱交換器11で熱交換して冷却または加熱され、吹き出し口8より吹き出される。プレートフィンチューブ形熱交換器11の下方にはドレンパン13を配設して空気が冷却されたときに発生するドレン水を貯溜するようにし、ついでドレンホースにより外部に放出するようにしている。なお、吹き出し口8には、プレートフィンチューブ形熱交換器11において冷却された冷風もしくは加熱された温風の吹き出し方向を制御する風向変更装置14が設けられている。
【0032】(実施例1)図2は、ポリプロピレンからなる抗微生物剤収納体9に揮発性の抗微生物剤を収納してその接合部を超音波溶着したものである。抗微生物剤収納体9には、2mm角の正方形の開口部15を190個設け、開口部15の内側にセルロース膜、不織布、ポリエチレン、延伸ポリプロピレン、低密度ポリエチレンを積層した徐放性シート16を熱溶着した。抗微生物剤は、有効成分としてイソチオシアン酸アリルを用い、これを樹脂に20重量%添加して混練した材料をセルロース膜で包装した。
【0033】この抗微生物剤収納体9を、プレートフィンチューブ形熱交換器11の上端と吸い込み口6との間に位置するエアフィルタ10の内側に、開口部15をプレートフィンチューブ形熱交換器11側に向けて図1に示すように設置した。
【0034】(実施例2)実施例1と同様の抗微生物剤収納体9を、プレートフィンチューブ形熱交換器11の前面と吸い込み口5との間に位置するエアフィルタ10の内側に、開口部15をプレートフィンチューブ形熱交換器11側に向けて図3に示したように設置した。
【0035】(実施例3)図4はエアフィルタ10の内側に形成した実施例1と同様の抗微生物剤収納体9を挿入するための挿入部17を示している。
【0036】この挿入部17に抗微生物剤収納体9を嵌合させて抗微生物剤収納体9を取付けた。
【0037】図4より、エアフィルタ10の内側に抗微生物剤収納体9を着脱可能に取付けることができるので、揮発性の抗微生物剤の有効成分が無くなった場合に抗微生物剤収納体9を交換することができる。
【0038】(実施例4)図5は、実施例1と同様開口部15と徐放性シート16を有しエアフィルタ10の内側に取付けるための固定用開口部18を設けた抗微生物剤収納体9を示したもので、揮発性の抗微生物剤を内部に収納してその接合部は超音波溶着したものである。
【0039】また、図6は抗微生物剤収納体9の固定用開口部18を挿入するためにエアフィルタ10の内側に形成した突起部19を示したものである。
【0040】この突起部19を固定用開口部18に挿入して抗微生物剤収納体9を取付けた。
【0041】図5より判るように、エアフィルタ10の内側に抗微生物剤収納体9を着脱可能に固定することができるので、揮発性の抗微生物剤の有効成分が無くなった場合に抗微生物剤収納体9を交換することができる。
【0042】(実施例5)実施例5における抗微生物剤収納体9は実施例1とほぼ同様の構成であるが、内部に収納する抗微生物剤は、有効成分としてヒノキチオールを用い、これを樹脂に20重量%添加して混練した材料をセルロース膜で包装した。
【0043】この抗微生物剤収納体9を、プレートフィンチューブ形熱交換器11の上端と吸い込み口6の内側との間に位置するエアフィルタ10の内側に、開口部15をプレートフィンチューブ形熱交換器11側に向けて設置した。
【0044】つぎに、以上説明した実施例における性能を確認するために、抗微生物剤収納体9を吸い込み口6の外側に設けた場合, 抗微生物剤収納体9を吸い込み口5の外側に設けた場合、抗微生物剤収納体9をプレートフィンチューブ形熱交換器11の上端と吸い込み口6の内側との間に位置するエアフィルタ10の外側に設けた場合、抗微生物剤収納体9をプレートフィンチューブ形熱交換器11の前面と吸い込み口5の内側との間に位置するエアフィルタ10の外側に設けた場合を比較例とし、それぞれについて性能を比較して以下に説明する。
【0045】(比較例1)実施例1と同様の構成の抗微生物剤収納体9を、吸い込み口6の外側に開口部15をプレートフィンチューブ形熱交換器11側に向けて設置した。
【0046】(比較例2)実施例1と同様の構成の抗微生物剤収納体9を、吸い込み口5の外側に開口部15をプレートフィンチューブ形熱交換器11側に向けて設置した。
【0047】(比較例3)実施例1と同様の構成の抗微生物剤収納体9を、プレートフィンチューブ形熱交換器11の上端と吸い込み口6の内側との間に位置するエアフィルタ10の外側に、開口部15をプレートフィンチューブ形熱交換器11側に向けて設置した。
【0048】(比較例4)実施例1と同様の構成の抗微生物剤収納体9を、プレートフィンチューブ形熱交換器11の前面と吸い込み口5の内側との間に位置するエアフィルタ10の外側に、開口部15をプレートフィンチューブ形熱交換器11側に向けて設置した。
【0049】つぎに、実施例による性能を比較例の場合と比較して、実施例の場合が優れていることを説明する試験例について説明する。
【0050】(試験例1)実施例1、2および比較例1、2における場合の試料4種について、下記の要領でカビ試験を行った結果は表1に示す通りである。
【0051】この試験は、空気調和装置の室内機内に揮発したイソチオシアン酸アリルによるカビの繁殖抑制を測定する試験で、試験菌として送風ファン12から採取したカビを用いた。試験方法は、空気調和装置の室内機に試料を設置し、試験菌を接種したPDA寒天培地を置いたシャーレをプレートフィンチューブ形熱交換器11に培地側を向けて設置し、27℃、85%R.H.に制御した室内で空気調和装置を冷房運転と停止を12時間ずつ2週間繰り返して運転した後、カビの生育を観察した。比較試験例1として空気調和装置の室内機に試料を設置せず、試験菌を接種したPDA寒天培地を置いたシャーレを吹き出し口8に培地側を空気通路に向けて設置し、27℃、85%R.H.に制御した室内で空気調和装置を冷房運転と停止を12時間ずつ2週間繰り返して運転した後、カビの生育を観察した。そして、カビの生育が認められない場合を−、僅かに認められる場合を±、緩やかに認められる場合を+、やや著しく認められる場合を++、著しく認められる場合を+++と表示した。なお、運転停止1時間後の空気調和装置内のイソチオシアン酸アリルの濃度と、運転停止直後から採取したドレン水0.1リットル中のイソチオシアン酸アリルの濃度を測定した。
【0052】
【表1】

表1より、実施例1および2における場合が、比較例1および2における場合と比べて試験菌の繁殖が抑制されているので、揮発性の抗微生物剤であるイソチオシアン酸アリルが、空気の吸い込み口から吸込まれた空気によって、吸い込み口から吹き出し口に至る空気通路内に飛散し、有効濃度を維持することにより強い抗微生物効果を有することが解る。また、揮発性の抗微生物剤として用いたイソチオシアン酸アリルは、気化した揮発成分が強い抗微生物効果を有して試験菌の繁殖を抑制し、存在させたイソチオシアン酸アリル自体に試験菌が接触しない場合でも、気化した蒸気に接触するだけで強い繁殖抑制効果を示すことが解る。さらに、イソチオシアン酸アリルは、水に溶解し一定濃度を保持した状態で揮散していることが解る。
【0053】(試験例2)実施例1、2および比較例3、4における場合の試料4種について、試験例1と同様の要領で試験を行った結果は表2に示す通りである。
【0054】
【表2】

表2より、実施例1および2における場合が、比較例3および4における場合と比べて試験菌の繁殖が抑制されているので、揮発性の抗微生物剤であるイソチオシアン酸アリルが、空気の吸い込み口から吸込まれた空気によって、吸い込み口から吹き出し口に至る空気通路内に飛散し、有効濃度を維持することにより強い抗微生物効果を有することが解る。また、揮発性の抗微生物剤として用いたイソチオシアン酸アリルは、気化した揮発成分が強い抗微生物効果を有して試験菌の繁殖を抑制し、存在させたイソチオシアン酸アリル自体に試験菌が直接接触しない場合でも、気化した蒸気に接触するだけで強い繁殖抑制効果を示すことが解る。さらに、イソチオシアン酸アリルは、水に溶解し一定濃度を保持した状態で揮散していることが解る。
【0055】(試験例3)実施例1および実施例5における場合の試料2種について、下記の要領で試験を行った結果は表3に示す通りである。
【0056】この試験は、空気調和装置の室内機内に揮発したイソチオシアン酸アリルまたはヒノキチオールによるカビ試験で、試験菌として送風ファン12から採取したカビを用いた。試験方法は、空気調和装置の室内機に試料を設置し、試験菌を接種し27±1℃で14日間培養したPDA寒天培地を置いたシャーレをプレートフィンチューブ形熱交換器11に培地側を向けて設置し、27℃、85%R.H.に制御した室内で空気調和装置を冷房運転と停止を12時間ずつ4、8、12、16週間繰り返して運転した後、シャーレを取り除いた。そして、空気調和装置を冷房運転し、バイオテスト社製RCSエアーサンプラーを用いて、運転開始直後から8分間に吹き出し口8から吹き出された空気320リットルを真菌用のエアーサンプラー専用生培地に採取し27±1℃で7日間培養した後、コロニー数を測定した。比較試験例3として空気調和装置の室内機に試料を設置せず、試験菌を接種し27±1℃で14日間培養したPDA寒天培地を置いたシャーレをプレートフィンチューブ形熱交換器11に培地側を向けて設置し、27℃、85%R.H.に制御した室内で空気調和装置を冷房運転と停止を12時間ずつ4、8、12、16週間繰り返して運転した後、シャーレを取り除いた。そして、空気調和装置を冷房運転し、バイオテスト社製RCSエアーサンプラーを用いて、運転開始直後から8分間に吹き出し口8から吹き出された空気320リットルを真菌用のエアーサンプラー専用生培地に採取し27±1℃で7日間培養した後、コロニー数を測定した。なお、試験菌を接種し27±1℃で14日間培養したPDA寒天培地は2週間毎に交換した。また、運転停止1時間後の空気調和装置の室内機内のイソチオシアン酸アリルまたはヒノキチオールの濃度を測定した。
【0057】
【表3】

表3より、揮発性の抗微生物剤として用いたイソチオシアン酸アリルおよびヒノキチオールは、強い抗微生物効果を有し、試験菌の繁殖を抑制していることが解る。また、イソチオシアン酸アリルの場合の試験菌の繁殖抑制効果は、短期間試験を実施した場合と長期間試験を実施した場合とで差がなく、ヒノキチオールの場合の試験菌の繁殖抑制効果は、長期間試験を実施した場合に多少低下するが、揮発性の抗微生物剤の場合は、長期間にわたり強い抗微生物効果を保持できることが解る。
【0058】さらに、実施例1における場合が、実施例5における場合と比べて試験菌の繁殖が抑制されているので、揮発性の抗微生物剤としては、イソチオシアン酸アリルがヒノキチオールに比べて強い抗微生物効果を有することが解る。また、前述のように、イソチオシアン酸アリルの場合の試験菌の繁殖抑制効果は、短期間試験を実施した場合と長期間試験を実施した場合とで差がないが、ヒノキチオールの場合の効果は、長期間試験を実施することにより多少低下しているので、イソチオシアン酸アリルの場合が長期間にわたり強い抗微生物効果を保持できることが解る。
【0059】
【発明の効果】本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0060】請求項1の発明によれば、室内機内に揮発性の抗微生物剤が気化して存在することになり、しかも空気吸い込み口から吸込まれた空気によって空気通路内に有効濃度で飛散することにより、微生物の繁殖を効果的に抑制し、また、微生物が、抗微生物剤自体に接触しない場合でも、抗微生物剤の気化ガスと接触すれば繁殖抑制効果が得られるので、快適な空気調和を行うことができる。
【0061】また、請求項2ならびに3の発明によれば、揮発性の抗微生物剤の有効成分が空気調和装置の室内機内部へ放出され易くすることにより、抗微生物剤の有効濃度を維持することができるので、空調部材の表面に堆積したほこり中あるいは結露水内に存在する微生物の繁殖も良好に抑制することができる。
【0062】また、請求項4、5ならびに6の発明によれば、抗微生物剤の着脱を可能にすることにより、抗微生物剤を必要により交換することによって半永久的に微生物の繁殖を効果的に抑制することができる。
【0063】また、請求項7の発明によれば、人体に悪影響を及ぼすことなく、低濃度で強い抗微生物効果を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成12年11月27日(2000.11.27)
【代理人】 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄 (外2名)
【公開番号】 特開2002−162063(P2002−162063A)
【公開日】 平成14年6月7日(2002.6.7)
【出願番号】 特願2000−358995(P2000−358995)