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【発明の名称】 放電灯装置
【発明者】 【氏名】山口 宏尚

【要約】 【課題】高電圧ワイヤおよび高電圧コネクタを廃止し、回路手段の温度上昇を防止する放電灯装置を提供する。

【解決手段】回路手段40は放電灯30に高電圧を印加する回路を有している。回路手段40のコネクタ部と放電灯30のコネクタ部31とが直接結合し電気的に接続している。放熱部材は60は反射部材20に取り付けられ、回路手段40は反射部材20と異なる位置で放熱部材60に取り付けられている。放熱部材60は熱伝導率の高い銅またはアルミ等の金属材で板状に形成されている。放熱部材60は回路手段40から鉛直下側に延びる放熱部65を有している。回路手段40の鉛直下側の大気は温度が低いので、放電灯30および回路手段40が発生する熱が放熱部65に伝導し放熱部65から放熱される。回路手段40内部の温度上昇を抑制し、回路手段40内の回路素子の作動不良を防止する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 放電灯と、前記放電灯と直接結合して前記放電灯と電気的に接続し、前記放電灯に高電圧を印加する回路手段と、前記放電灯と前記回路手段との結合部あるいは前記回路手段と接している位置から放射方向の少なくとも一方向に延び、前記放電灯および前記回路手段が発生する熱を放熱する放熱部材と、を備えることを特徴とする放電灯装置。
【請求項2】 前記放熱部材は鉛直下側に延びていることを特徴とする請求項1記載の放電灯装置。
【請求項3】 前記放熱部材を支持する支持部材を備え、前記回路手段は前記放熱部材に取り付けられていることを特徴とする請求項1または2記載の放電灯装置。
【請求項4】 前記支持部材は、前記放電灯の背後に配置され前記放電灯の光を反射する反射部材であることを特徴とする請求項3記載の放電灯装置。
【請求項5】 前記放熱部材は、前記回路手段に電源電圧を印加する配線と前記回路手段との接続箇所と、前記放電灯との間に配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の放電灯装置。
【請求項6】 前記放電灯、前記放熱部材および前記回路手段を収容するケースを備え、前記放電灯、前記回路手段および前記放熱部材は前記ケースと非接触であり、かつ可動であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の放電灯装置。
【請求項7】 前記放電灯、前記放熱部材および前記回路手段を収容するケースを備え、前記ケースには、前記放熱部材の上部位置に第1換気孔が、前記放熱部材の下部位置に第2換気孔が形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項記載の放電灯装置。
【請求項8】 前記第2換気孔は、前記ケース側に向けて前記放熱部材を仮想に延長し前記ケースと交差する位置付近に位置することを特徴とする請求項7記載の放電灯装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光源として放電灯を用いる放電灯装置において、放電灯と高電圧を発生する回路手段とを直接結合した装置に関する。
【0002】
【従来の技術】放電灯を光源として用いる放電灯装置として、例えば図6に示す車両のヘッドライト100が知られている。ケース101内に、放電灯110と、放電灯を点灯するために放電灯に20kV程度の高電圧を印加する回路手段120とが収容されている。回路手段120はケース101外に配置されていてもよい。放電灯110と回路手段120とは、高電圧ワイヤ125で電気的に接続されている。
【0003】しかし、放電灯110と回路手段120とを高電圧ワイヤ125で接続する構成では、高電圧ワイヤ125からノイズが発生することを防止するため、高電圧ワイヤ125をシールドする必要がある。さらに、高電圧ワイヤ125と放電灯110とを接続するために高電圧コネクタ126が必要になる。したがって、製造コストが上昇する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、高電圧ワイヤを用いず、放電灯と回路手段とを直接結合し電気的に接続することが考えられる。放電灯と回路手段とを直接結合すると、高電圧コネクタおよび高電圧ワイヤが不要になる。
【0005】しかし、放電灯と回路手段とを直接結合し放電灯の近傍に回路手段を配置すると、放電灯が発生する熱および回路手段自体が発生する熱により回路手段の内部温度が上昇し、回路手段の回路素子に動作不良が生じる恐れがある。本発明の目的は、高電圧ワイヤおよび高電圧コネクタを廃止し、回路手段の温度上昇を防止する放電灯装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の放電灯装置によると、放電灯と放電灯に高電圧を印加する回路手段とが直接結合し電気的に接続している。したがって、放電灯と回路手段とを接続する高電圧コネクタおよび高電圧ワイヤが不要になる。
【0007】放電灯および回路手段が発生する熱により放電灯および回路手段の中心は高温になるが、放電灯および回路手段の周囲の温度は放電灯および回路手段よりも低くなっている。放電灯と回路手段との結合部あるいは回路手段と接している位置から放射方向の少なくとも一方向に延びている放熱部材を備えることにより、放電灯および回路手段の熱が放熱部材に伝導して放熱される。したがって、回路手段を冷却し、回路手段の温度上昇を防止できる。
【0008】放電灯および回路手段が発生する熱により加熱された空気は鉛直上方に上昇する。したがって、回路手段を中心とする放射方向において鉛直下側の温度が他方向よりも低くなっている。本発明の請求項2記載の放電灯装置によると、回路手段を中心とする放射方向の中で他方向よりも温度の低い鉛直下側に放熱部材が延びているので、放電灯および回路手段から放熱部材に伝導した熱が速やかに放熱される。したがって、回路手段の温度上昇を防止できる。
【0009】本発明の請求項3記載の放電灯装置によると、放熱部材が回路手段を支持しているので、放熱部材から回路手段を取り外せば、放熱部材を取り外すことなく回路手段だけを放電灯装置から脱着できる。本発明の請求項4記載の放電灯装置によると、放電灯の光を反射する反射部材が放熱部材を支持する支持部材を兼ねているので、部品点数が減少する。
【0010】本発明の請求項5記載の放電灯装置によると、放熱部材は、回路手段に電源電圧を印加する配線と回路手段との接続箇所と放電灯との間に配置されているから、放電灯を交換するとき放熱部材が邪魔にならず、配線と回路手段とを容易に脱着できる。本発明の請求項6記載の放電灯装置によると、放電灯、回路手段および放熱部材はケースと非接触であり、かつケースに対し可動である。したがって、手動または自動により放電灯の光軸の傾きを調整できる。
【0011】本発明の請求項7記載の放電灯装置によると、放熱部材の熱を第1換気孔から外部に流れる空気により逃がすことができ、外部から第2換気孔を通して外気を導入して放熱部材を効果的に冷却できる。本発明の請求項8記載の放電灯装置によると、第2換気孔から導入された外気が放熱部材に接する時間を長くして、効果的に放熱部材を冷却できる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を示す実施例を図に基づいて説明する。本発明の放電灯装置を車両のヘッドライトに適用した一実施例を図1および図2に示す。ヘッドライト10は、ケース11、反射部材20、放電灯30および回路手段40を備えている。ケース11は、ケース本体12、レンズ13およびカバー14を有している。支持部材としての反射部材20はケース本体12に再度調整可能な機構をもつ支持部品で支持されている。反射部材20は樹脂で成形されており、反射部材20の凹面に放電灯30の光を反射する反射材が施されている。
【0013】放電灯30は径dのフランジ30aを有し、このフランジ30aは反射部材20の貫通孔20aに挿入されている。シェード32は前方に向かう放電灯30の直接光を遮断する。スプリング25は貫通孔20aの外側に形成されている支持部21に回動可能に取り付けられてU字状形状である。スプリング25の両先端間の距離をL1、後述する放熱部65の貫通孔61aの幅をL2、フランジ30aの径をdとすると、L2>d>L1の寸法関係になっている。貫通孔20aを挟んで支持部21の反対側に位置する一対の爪22にスプリング25の両端を係止することにより、スプリング25は放電灯30のコネクタ部31を貫通孔20a周囲の反射部材20に押し付けている。
【0014】回路手段40は放電灯30に高電圧を印加する回路を有している。図2に示すように、回路手段40のコネクタ部41と放電灯30のコネクタ部31とが直接結合し電気的に接続できるようになっている。コネクタ部31およびコネクタ部41は放電灯30と回路手段40との結合部である。回路手段40は、放熱部材60に取り付けるために放熱部材60の支持部63と対応する位置に取付部42を有し、また取付部42は放熱部材側端面43と同一面上に形成されている。回路手段40は、図3に示すように制御回路40aおよびスタータ回路40bをともに有してもよいし、図4に示すようにスタータ回路40bだけでもよい。スタータ回路40bは放電灯30を点灯するときに放電灯30に高電圧を印加する回路である。制御回路40aは放電灯30に供給する電力を制御する回路である。回路手段40がスタータ回路40bだけの場合、放電灯とスタータ回路とを一体に形成可能である。
【0015】放電灯30と回路手段40とを図1に示すように組み付けた状態で、放電灯30および回路手段40はケース11と非接触であり、ケース11に対し可動である。したがって、図示しない構造および説明しない制御により手動または自動により放電灯30の光軸の傾きを調整することができる。図1において、配線としての電源コード50は図示しないバッテリ電圧を回路手段40に印加する。電源コード50は、回路手段40とコネクタ51で結合し、バッテリ側とコネクタ52で結合している。
【0016】放熱部材60は、熱伝導率の高い銅またはアルミ等の金属材で板状に形成されており、放電灯30のコネクタ部31、つまり放電灯30と回路手段40との間に配置されている。図2に示すように、放熱部材60は固定部61と放熱部65とを有している。放電灯30を挿入する空間部である四角形状の貫通孔61aが固定部61に形成されている。反射部材20のボス23に取り付けるための取付部62が固定部61に一対形成されている。固定部61の対角線位置に、回路手段40を支持するための支持部63が固定部61の回路手段側端面61bと同一面上に一対形成されている。放熱部65は回路手段40から鉛直下側に延びて板状に形成されている。また、第1換気孔70a、第2換気孔70bは、ケース本体12のそれぞれ放熱部材60の上部、下部付近に位置して形成されている。本実施例では、下側の第2換気孔70bは放熱部65の下側延長付近に形成されている。
【0017】ヘッドライト10の組み付け手順を以下に説明する。
(1) 放熱部材60の貫通孔61a間にスプリング25を通した後、反射部材20のボス23と放熱部材60の取付部62とを位置合わせし、反射部材20に放熱部材60をねじ止めする。
(2) 貫通孔61a、20aに放電灯30を挿入し、スプリング25を回転させて反射部材20の方向にフランジ30aに付勢力を与えつつ、爪22にスプリング25の先端を係止させ、これにより反射部材20に放電灯30を押し付ける。
(3) 放電灯30のコネクタ部31と回路手段40のコネクタ部41とを直接結合し、放電灯30と回路手段40とを電気的に接続する。
(4) 放熱部材60の支持部63と回路手段40の取付部42とを位置合わせし、放熱部材60に回路手段40をねじ止めする。
(5) ケース本体12にカバー14を取り付ける。
【0018】図5に、ヘッドライト10内における放電灯30と回路手段40との結合部から鉛直上下方向(図示A−B)の温度分布を示す。図5では放熱部材60を省略している。放電灯30および回路手段40が発生する熱により、放電灯30および回路手段40は温度が一番高く、鉛直上方に向かうにしたがい温度は低下する。また、上昇した空気が冷えて下方に下降するので、放電灯30および回路手段40から鉛直下側に向かうにしたがい鉛直上側よりも温度が低下している。
【0019】本実施例では、ヘッドライト10内の温度分布の特性を考慮し、温度の低い鉛直下側に向けて延びる放熱部65を放熱部材60が有している。したがって、放電灯30および回路手段40が発生する熱が回路手段40の放熱部材側端面43から放熱部材60の回路手段側端面61bを経由して温度の低い大気により冷却される放熱部65に伝導し、放熱部65から放熱される。したがって、回路手段40内部の温度上昇を抑制し、回路手段40内の回路素子の作動不良を防止できる。
【0020】本実施例では、放熱部材60が鉛直下側に延びる放熱部65を有していた。放電灯30および回路手段40の周囲は放電灯30および回路手段40よりも温度が低いので、鉛直下側以外にも、放電灯30および回路手段40から放射方向の少なくとも一方向に延びる放熱部を放熱部材が有していれば、回路手段40の温度上昇を抑制することができる。
【0021】また本実施例では、反射部材20に放熱部材60をねじ止めする位置と、放熱部材60に回路手段40をねじ止めする位置とが異なっている。放熱部材60と回路手段40とを同じ位置で反射部材20にねじ止めすることもできる。しかし、反射部材20に放熱部材60とともに回路手段40をねじ止めすると、放電灯30をおよび回路手段40を取り出すときに一緒に放熱部材60が反射部材20からはずれ、放電灯30の交換が煩雑になる。さらに、強度の低い樹脂で成形された反射部材20に放熱部材60および回路手段40をねじ止めしていると、放電灯30を交換するときにねじを緩めたり締めたりすることにより反射部材20のねじ山が摩耗する恐れがある。
【0022】本実施例では、前述したように反射部材20に放熱部材60をねじ止めする位置と、放熱部材60に回路手段40をねじ止めする位置とが異なっているので、反射部材20に放熱部材60を取り付けた状態で回路手段40をケース11から取り出すことができる。また、空間部である貫通孔61a内で放電灯30が反射部材20に固定されているので、回路手段40を取り外した後に、放電灯30を固定しているスプリング25を爪22から外し回転させることで、容易に放電灯30取り外すことができる。したがって、放電灯30の交換が容易である。さらに、放電灯30と結合している回路手段40をねじ止めしている放熱部材60が金属製であるから、放電灯30を交換するときに回路手段40と放熱部材60とを結合しているねじを緩めたり締めたりしても放熱部材60のねじ山が摩耗することを防止できる。本実施例では、放熱部材60と回路手段40とをねじ止めしているが、スナップフィット、または放熱部材60に回路手段40を押し付けてから回転させる固定方法でもよい。
【0023】また、回路手段40と電源コード50との接続箇所が放熱部材60の回路手段40側であるから、回路手段40から電源コード50を取り外すときに放熱部材60が邪魔にならない。また、ヘッドライト10内の対流により暖められた空気が第1換気孔70aから出て、その分第2換気孔70bから外気が流入し、これにより外気が放熱部材60を冷却することができるので、さらに放熱部材60による放熱効果が向上する。特に第2換気孔70bから流入した外気は放熱部65の表面に沿って流れ、外気が放熱部65の表面に接する時間が長いので、より冷却効果が向上する。
【0024】本実施例では放電灯30と回路手段40との間に放熱部材60を配置したが、回路手段40の周囲または回路手段40の反放電灯側に放熱部材を配置してもよい。また、放熱部材60と回路手段40とを接触させ、ここから放熱部材60に熱を逃がしているが、放熱部材は放電灯のコネクタ部(結合部)と接触させることで熱を逃がす構成であってもよい。また、ヘッドライトの金属製ケースの一部に回路手段を接触させ、金属製ケースを放熱部材として用いてもよい。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成12年11月7日(2000.11.7)
【代理人】 【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
【公開番号】 特開2002−150829(P2002−150829A)
【公開日】 平成14年5月24日(2002.5.24)
【出願番号】 特願2000−339262(P2000−339262)