| 【発明の名称】 |
照明装置及び演色性改善フィルタ |
| 【発明者】 |
【氏名】横谷 良二
【氏名】青木 慎一
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| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 樹脂製のライトガイドと、当該ライトガイドの一端から光を導入する光源装置と、500〜650nmの波長域のスペクトル強度を低下させる演色性改善フィルタを備えたことを特徴とする照明装置。 【請求項2】 前記演色性改善フィルタは、少なくとも500〜650nmの波長域において、全光束を100として正規化した場合に、当該波長域の単位波長当たりのスペクトル強度の平均値を、基準光における前記波長域の単位波長当たりのスペクトル強度の平均値に近づける光学特性を有することを特徴とする請求項1記載の照明装置。 【請求項3】 前記光源装置にハロゲンランプが用いられ、前記演色性改善フィルタは、その透過特性が575nm付近をピークとするなだらかな凹型カーブを描くことを特徴とする請求項1又は2いずれかに記載の照明装置。 【請求項4】 前記光源装置にメタルハライドランプが用いられ、前記演色性改善フィルタは、その透過特性が550nm付近をピークとするなだらかな凹型カーブを描くことを特徴とする請求項1又は2いずれかに記載の照明装置。 【請求項5】 前記ライトガイドの他端から光が出射され、当該出射端近傍に前記演色性改善フィルタを備えたことを特徴とする請求項1、2、3又は4いずれかに記載の照明装置。 【請求項6】 前記ライトガイドの他端から光が出射され、前記入射端近傍に前記演色性改善フィルタを備えたことを特徴とする請求項1、2、3又は4いずれかに記載の照明装置。 【請求項7】 前記ライトガイドの入射端側に、熱線カットフィルタを備えたことを特徴とする請求項1〜6何れかに記載の照明装置。 【請求項8】 前記演色性改善フィルタは、熱線カットフィルタを兼ね備えたことを特徴とする請求項7記載の照明装置。 【請求項9】 前記ライトガイドの入射端に光透過性の保護板を密着させたことを特徴とする請求項1〜8何れかに記載の照明装置。 【請求項10】 前記演色性改善フィルタが、ライトガイドの入射端に密着されたことを特徴とする請求項1〜8何れかに記載の照明装置。 【請求項11】 光透過性の基板のいずれか一方の面に、500〜650nmの波長域のスペクトル強度を低下させる光学多層膜が形成されたことを特徴とする演色性改善フィルタ。 【請求項12】 少なくとも500〜650nmの波長域において、全光束を100として正規化した場合に、当該波長域の単位波長当たりのスペクトル強度の平均値を、基準光における前記波長域の単位波長当たりのスペクトル強度の平均値に近づけるものであることを特徴とする請求項11記載の演色性改善フィルタ。 【請求項13】 前記光学多層膜は、高屈折率層と低屈折率層が多層に積層されてなり、前記高屈折率層若しくは低屈折率層のいずれか一方の膜厚が、所望する特性ピーク波長(λa)に対応する光学膜厚(nd=2×λa/4)よりも厚く若しくは薄く、かつ、当該ピーク波長(λa)の2倍の波長(2λa)に、選択的光学特性ピークの中心波長が存在することを特徴とする請求項11又は12いずれかに記載の演色性改善フィルタ。 【請求項14】 前記選択的光学特性ピークの中心波長(2λa)が、1080〜1260nmにあることを特徴とする請求項11、12又は13何れかに記載の演色性改善フィルタ。 【請求項15】 前記選択的光学特性ピークの中心波長(2λa)が、1040〜1220nmにあることを特徴とする請求項11、12又は13何れかに記載の演色性改善フィルタ。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は照明装置及び演色性改善フィルタに関する。具体的には、アクリル樹脂などの樹脂製ライトガイドを導光部材とした照明装置及び当該照明装置に用いられる演色性改善フィルタに関する。 【0002】 【従来の技術】近年、アクリル樹脂などの樹脂製ライトガイドを導光部材とした照明装置が汎用されている。図23及び図24に示すものは、当該照明装置100を示す概略的構成図であって、照明装置100は、光源装置120と光源装置120から出射された光を導光するライトガイド110とを具備している。光源装置120は、光を出射する光源121と、光源121から出射された光をライトガイド110の入射端に集光するための集光装置122とから構成されている。光源121としては、比較的発光波長の小さな光源が用いられ、例えば図23に示すようなメタルハライドランプや図24に示すようなハロゲンランプが用いられる。また、集光装置122には、ライトガイド110入射端への熱負荷を軽減するため、主に近赤外光を透過して裏面から放出するダイクロイックミラーが使用される。 【0003】しかし、このようなライトガイド110を用いた照明装置100においては、ライトガイド110出射端から出射される出射光の演色性が悪いものであった。図25は、当該照明装置100における出射光の波長特性を示す図であって、同図(a)は光源121としてハロゲンランプを用いたもの、同図(b)はメタルハライドランプを用いたものであって、各図には、用いられるライトガイド110の長さを変化させたものを示している。 【0004】各図から分かるように、ハロゲンランプを用いた場合には(同図(a)参照)、出射直後には平均演色評価数Raが96であったものが、5mではRa=88、10mではRa=81と低下し、また、メタルハライドランプを用いた場合には(同図(b)参照)、出射直後のRaが88であったものが、5mではRa=81にまで低下し、さらに図示はしないが、10mではRa=71にまで低下する。 【0005】すなわち、ガラス製のライトガイド110を用いた場合には、特定波長での吸収帯がないため、Raの減衰が非常に小さいが、このようにアクリル樹脂からなるライトガイド110を用いた場合には、導光過程において図25(a)(b)に示すように一定波長の光が吸収されるため、ライトガイド110入射光に比べて出射光の演色性が低下する。 【0006】このため、美術館や博物館における展示物用照明など、演色性が重視される用途には、上記欠点から樹脂製のライトガイド110を用いることができず、高価なガラス製のライトガイド110を用いざるを得なかった。また、メタルハライドランプは高効率ではあるがランプ自体の演色性が悪いためにこのような用途には不向きであり、ランプ自体の演色性がよいハロゲンランプが用いられる。従って、図24に示すように、光源121としてハロゲンランプを用いると共にガラス製のライトガイド110とにより照明装置100を構成する必要がある。 【0007】しかしながら、ハロゲンランプでは、ハロゲンランプ自体の発光効率(lm/W)が低く、ライトガイド110への入射効率が低いため、出射光の効率も低いものとなる。また、ガラス製のライトガイド110ではコストが高くなると共に容易に切断することができないため、施工性が悪いものとなっていた。 【0008】一方、照明装置の演色性を高めるものとして、例えば特開平5−3023号公報や特開平11−178839号公報には、ハロゲンランプを光源とした照明装置において、フィルタあるいはランプの球管に色温度補正膜を設置することによって、色温度を上昇させ、演色性を高める方法が開示されている。 【0009】しかしながら、これらは光源自体の演色性を改善するにすぎず、導光過程における吸収を考慮したものではなく、導光過程における吸収による影響を少なくすることができない。 【0010】また、特開平5−67456号公報には、点灯直後の演色性を改善した放電灯が開示されているが、この放電灯においても、光源自体の演色性を改善するにすぎず、導光過程における吸収による影響を小さくできない。また、436nm及び546nm付近の波長成分に対しては低透過率となり、578nm付近の波長成分に対しては高透過率となるようなフィルタを形成する必要があり、複数の光透過率が小さくなるようにフィルタを成膜することは非常に困難なものであった。 【0011】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技術の欠点に鑑みてなされたものであって、ライトガイド長の長さ如何に拘らず演色性の低下の少ない照明装置を安価に提供することを目的とするものである。 【0012】 【課題を解決するための手段】本発明に係る照明装置は、樹脂製のライトガイドと、当該ライトガイドの一端から光を導入する光源装置と、500〜650nmの波長域のスペクトル強度を低下させる演色性改善フィルタを備えたことを特徴としている。 【0013】この場合、前記演色性改善フィルタは、少なくとも500〜650nmの波長域において、全光束を100として正規化した場合に、当該波長域の単位波長当たりのスペクトル強度の平均値を、基準光における前記波長域の単位波長当たりのスペクトル強度の平均値に近づける光学特性を有するものが好ましく用いられる。 【0014】さらに具体的には、光源装置にハロゲンランプを用いた場合には、演色性改善フィルタとして、透過特性が575nm付近をピークとするなだらかな凹型カーブを描くものが望ましく、また、光源装置にメタルハライドランプを用いた場合には、透過特性が550nm付近をピークとするなだらかな凹型カーブを描く演色性改善フィルタを用いるのが望ましい。 【0015】これらの照明装置においては、ライトガイドの光出射端近傍若しくは光入射端近傍に演色性改善フィルタが配置される。 【0016】また、ライトガイドの入射端側に、熱線カットフィルタを備えるのが好ましく、この場合にはさらに熱線カットフィルタを兼ね備えた演色性改善フィルタを用いるのが望ましい。 【0017】また、ライトガイドの入射端にさらに光透過性の保護板を密着させるか、あるいは前記演色性改善フィルタをライトガイドの入射端に密着させるのが望ましい。 【0018】本発明に係る演色性改善フィルタは、光透過性の基板のいずれか一方の面に、500〜650nmの波長域のスペクトル強度を低下させる光学多層膜が形成されたことを特徴としている。 【0019】この場合、少なくとも500〜650nmの波長域において、全光束を100として正規化した場合に、当該波長域の単位波長当たりのスペクトル強度の平均値を、基準光における前記波長域の単位波長当たりのスペクトル強度の平均値に近づけるようにするのが好ましい。 【0020】さらに具体的には、前記光学多層膜は、高屈折率層と低屈折率層が多層に積層されてなり、前記高屈折率層若しくは低屈折率層のいずれか一方の膜厚を、所望する特性ピーク波長(λa)に対応する光学膜厚(nd=2×λa/4)よりも厚くするか若しくは薄くし、しかも、当該ピーク波長(λa)の2倍の波長(2λa)に、選択的光学特性ピークの中心波長が存在するように設計される。 【0021】このとき、前記選択的光学特性ピークの中心波長(2λa)が、1080〜1260nm、若しくは、1040〜1220nmに位置するものが望ましい。 【0022】 【発明の実施の形態】図1は本発明の一実施の形態に係る照明装置1を示す概略的構成図であって、当該照明装置1は、光を導光するライトガイド10と光源装置20及び本発明に係る演色性改善フィルタ30とを備えている。光源装置20は、従来の光源装置120と同様な構成のものであって、光源21と集光装置22とから構成されている。当該光源21としては、ハロゲンランプやメタルハライドランプなど各種のランプが用いられるが、本発明の照明装置1においては、演色性に優れたハロゲンランプが好ましく用いられる。 【0023】また、集光装置22としては、回転楕円形状のダイクロイックミラーが用いられており、当該ダイクロイックミラーは、その第1焦点に光源21の発光中心が位置し、第2焦点近傍にライトガイド10の入射端が位置するように配置されている。 【0024】ライトガイド10は、軟質アクリル樹脂などの樹脂をコアとし、その周囲がフッ素系樹脂で覆われた樹脂製の光ファイバから作製されており、その終端面から光が出射される終端発光タイプのものが用いられている。当該ライトガイド10の長さは、特に限定されるものではないが、光ファイバの減衰特性や照明装置1の目的、用途などによって適宜設定される。 【0025】演色性改善フィルタ30は、ライトガイド10端面からの出射光の演色性を高めるために配置されるものであって、図1に示す照明装置1においては、ライトガイド10の終端に配置されている。この演色性改善フィルタ30は、可視広域において透明性を有する基板の少なくとも片面に以下の光学特性を有する光学多層膜が形成されたものである。 【0026】当該基板には、透明性を有する樹脂やガラスなどの板材、樹脂製のフィルムやシートなどが用いられる。当該樹脂としては、例えば、アクリル酸樹脂(PMMA)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)などが挙げられる。また、基材の厚さとしては特に限定されるものではなく、以下に述べるように、用いられる光源21の種類や配置位置によっても異なるが、概ね数mm程度の厚みに設定される。 【0027】光学多層膜は、ライトガイド10端面からの出射光の平均演色評価数(Ra)に敏感な波長範囲、具体的には、用いる光源21の種類によっても異なるが、概ね500〜650nmの範囲の波長域のスペクトル強度を減じるものであって、全光束が100となるように正規化した基準光と出射光の波長特性において、演色性改善フィルタ30を透過した光の500〜650nmの範囲の単位波長当たりのスペクトル強度の平均値が、基準光の単位波長当たりのスペクトル強度の平均値に近づくように設計される。また、他の波長域、少なくとも約430〜約500nm未満及び約650〜約680nm付近の光の大部分が透過できるように設計される。 【0028】一般に平均演色評価数Raを改善するためには、基準光源となる黒体放射あるいはCIE昼光(一般には、その色温度から、ハロゲンランプには黒体放射、メタルハライドランプにはCIE昼光が用いられる)のスペクトル強度に、そのスペクトル形状ができるだけ高い相関関係を有するようにすることが考えられる。従って、ライトガイド10端面からの出射光のRaを改善する一つの方法としては、例えば図2に示すように、そのスペクトル範囲内において、基準光源のスペクトル形状を縮小した特性となるようなフィルタを用いることが考えられる。図2は、基準光源とランプ単体並びにライトガイドからの出射光について、全光束を100として正規化した場合におけるスペクトル強度を示す図であって、上記フィルタを用いた場合にはRa改善後のスペクトルは、基準光源又はランプ単体における場合とほぼ相似形状になっているが、この方法では、Ra改善に敏感ではない波長の光もカットされるため、フィルタによる光のロスが大きくなり、照明装置全体の器具効率が小さくなる。例えば、図2に示す場合には、その効率は、フィルタ挿入前の約65%に低下する。 【0029】本発明においては、このような基準光源のスペクトル形状と相似状になるようなフィルタを用いるのではなく、Raの変化に敏感な波長域の光を最低限カットすることによって、フィルタの挿入による効率の低下を小さくしつつ、Raを大幅に改善することを目的としたものである。 【0030】より具体的に言えば、演色性改善フィルタ30に用いられる光学多層膜は、高屈折率膜及び低屈折率膜が交互に積層されたものであって、目標波長(λa)の2倍の波長近傍に、非常に強い選択的光学特性(バレー)の中心波長(2λa)が来るように設計される。すなわち、目標波長(λa)が上記波長域である500〜650nmの範囲、さらに具体的に言えば、ハロゲンランプを用いた場合には、目標波長(λa)が540〜630nmであって、最も望ましくはバレーの中心波長(2λa)が1150nm付近になるように、また、メタルハライドランプを用いた場合には、目標波長(λa)が520〜610nmであって、最も望ましくはバレーの中心波長(2λa)が1100nm付近になるように設定される。 【0031】また、このような光学多層膜においては、高屈折率膜、低屈折率膜いずれか一方の膜厚を、光学膜厚(nd=2λa/4)から多少増減させることによって、目標とする波長付近(λa)にバレーの中心があり、数十〜200nmの波長幅(スペクトル強度図において下に凸となった範囲)の範囲に設計することが望ましい。 【0032】また、光学多層膜における光学膜厚(nd)のズレは、目標とする中心波長(λa)の透過率及び波長幅の関係から、光学膜厚(nd)の0.8〜1.2倍の範囲内に納まるのが望ましく、入射光の角度依存性やコスト、色補正、効率の低下度合を考慮すれば、7〜14層の積層構造にするのが好ましい。このような積層構造を採用することにより、最表層の膜厚を変化させることによって、他の層の膜厚を変化させることなく、上記目標波長(λa)を数〜数十nm程度、中心波長(2λa)の透過率変化を数〜20%程度変化させることができ、簡単に色の微調整を行なうことができる。 【0033】さらに、高屈折率膜及び低屈折率膜の積層順序はいずれであってもよいが、基板への密着性がよい膜を第1の膜層とするのが、演色性改善フィルタ30の耐久性の観点から望ましい。また、最表面層は低屈折率層とし、当該最表面層の膜厚をその他の低屈折率層の光学膜厚の略1/2とすることによって、バレー(下に凸となった範囲)以外の可視光域における分光特性をほぼフラットにすることができる。従って、積層数が奇数の場合には低屈折率層を第1の膜層として、また、積層数が偶数の場合には高屈折率層を第1の膜層として高屈折率膜及び低屈折率膜が積層される。 【0034】この高屈折率膜には、例えば、酸化チタン(TiO2)や五酸化タンタル(Ta2O5)、酸化セリウム(CeO2)等が用いられ、低屈折率膜には、例えば、酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、フッ化マグネシウム(MgF2)等が用いられる。 【0035】また、高屈折率膜及び低屈折率膜の形成には、真空蒸着法やイオンプレーティング法、スパッタリング法、ゾルゲル法等が一般的に用いられる。また、耐久性を向上させるためには、基板の温度を上げたり、高密度プラズマを用いたイオンプレティングや化学的気槽法(CVD)を用いるのが好ましい。もちろん、本発明においては、上記方法に限定するものではなく、成膜時に基板が耐え得る温度であり、目標とする光学多層膜が得られる成膜方法であればどのような方法であっても差し支えないものである。 【0036】図3は、ハロゲンランプ(図ではハロゲンと記す。)及びメタルハライドランプ(図ではメタハラと記す。)を用いた場合において、各波長での透過率を0.1とした時のRaの変化を示す図であって、ある波長での透過率のみを0.1(他の透過率を1とする)とした時のRaの変化量を全波長域において測定したものである。この図において、Raの変化に大きく寄与する波長範囲(Raに敏感な領域)は、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ双方において、概ね500〜650nmであると言え、さらに詳しく言うならば、ハロゲンランプを用いる場合では、やや高波長側である540〜630nmであって、メタルハライドランプを用いる場合ではそれよりもやや低波長側である520〜610nmであると言える。 【0037】従って、当該波長領域内において、ライトガイド10終端からの出射光のスペクトルと基準光源のスペクトルが可能な限り高い相関関係となるようなフィルタを作製することにより効率的にRaの改善に寄与できる。 【0038】なお、Raは各波長域のエネルギーに相互依存するため、図3のスペクトル図からは最適な演色性改善フィルタの光学特性を決めることはできないが、図3から求められた上記波長範囲において、基準光源のスペクトルとの相関性を向上させることは、簡略的には効果的な方法であると言える。 【0039】また、上記演色性改善フィルタ30はライトガイド10終端のみならず、ライトガイド10の入射端に配置することによっても、同様な効果を発揮することができるが、光源21の近傍に演色性改善フィルタ30に配置する場合には、フィルタ30への熱負担が大きくなる。従って、フィルタ30への耐熱性を考慮すれば、図1に示すように、ライトガイド10の出射端に演色性改善フィルタ30を配置するが好ましいと言える。 【0040】次に、図4は本発明の別な実施の形態に係る照明装置1を示す概略的構成図であって、当該照明装置1においては、ライトガイド10の入射端には、ファイバ端面を保護するための保護板11が配置されており、当該保護板11と光源21との間に、熱線カットフィルタ23が配置されている。当該熱線カットフィルタ23は、例えばガラスから作製され、光源21から発せられた出射光に含まれる熱線、すなわち近赤外線領域よりも波長の長い波長域帯をカットするものである。このように熱線カットフィルタ23を用いることにより、入射光による発熱が少なくなり、ライトガイド10からの発熱を防ぐことができる。 【0041】また、保護板11は、ライトガイド10入射端にゴミや埃などが付着するのを防止するためのものであって、少なくとも可視光域の光が透過でき、耐熱性のある例えばガラス材などから作製されている。一般にライトガイド10は大部分の光を透過するために、上記したように熱線カットフィルタ23を光源21側に配置しておけば、ある程度の光が入射してもその端面の温度上昇は低く抑えることができる。しかし、ライトガイド10入射端が露出された状態であれば、当該入射端にゴミや埃が付着して、入射光によって付着したゴミ等が発火し、あるいは燃えカスに入射光が吸収されて高温状態になる。その結果、樹脂製のライトガイド10自体が燃え上がる危険性が考えられる。この照明装置1では、ライトガイド10入射端に保護板11が備えられているため、ゴミや埃等の付着がなく、ライトガイド10自体の発火を抑えることができる。 【0042】図5は、本発明のさらに別な実施の形態に係る照明装置1の概略的構成図である。この照明装置1においては、図4に示す照明装置1とほぼ同様な構成であるが、当該照明装置1にあっては、演色性改善フィルタ30は、ライトガイド10入射端側において、熱線カットフィルタ23と保護板11との間に配置されている。このように、演色性改善フィルタ30は、ライトガイド10の出射端側や入射端側のいずれにも配置することもできる。 【0043】このように、図5に示すような配置構成を採用することによって、照明装置1の設置後に、容易に手が届く光源装置20の内部にフィルタ30を配置することが可能であって、演色性改善フィルタ30の交換など設置後のメンテナンス作業をも容易にできる。 【0044】次に図6に示す照明装置1においては、演色性改善フィルタ30は熱線カットフィルタ23を兼ね備えたものが使用されている。具体的には、演色性改善フィルタ30は上記基板の片側に透過率を変化させるための光学多層膜が形成されており、その反対面に熱線反射機能を有する光学多層膜が形成されたものである。当該演色性改善フィルタ30は、その熱線反射型機能を有する光学多層膜を光源21側に対向させて配置されている。 【0045】このように、演色性改善フィルタ30と熱線カットフィルタ23とを兼ね備えたものを用いることによって、その取付けが簡単になると共に取付部材を共用化でき、コストの低減を図ることができる。さらに、2つのフィルタ厚さ(主に基材の厚さである)が、実質的に一つのフィルタ分の厚さで済むため、フィルタ通過による光のロスが低減されるという効果も発揮される。 【0046】図7は本発明のさらに別な実施の形態に係る照明装置1の概略的構成図であって、この照明装置1においては、基板にガラス板を使用した演色性改善フィルタ30と熱線カットフィルタ23を兼ね備えたものが利用されており、演色性改善フィルタ30の光学多層膜側が、ライトガイド10の入射端に密着されている。この構成によれば、演色性改善フィルタ30(熱線カットフィルタ23)の基板がライトガイド10端面の保護板11の機能を果たすため、さらに部品点数の削減が図られ、照明装置1の製造コストを削減できる。また、フィルタ通過による光のロスもより低減される。 【0047】上記各実施の形態においては、ライトガイド10の終端から光を出射させる終端出射型の照明装置1について説明したが、本発明は側面発光型のライトガイド10にも適用可能なものである。図8はその側面発光型のライトガイド10に適用したものを示す図であって、同図(a)は演色性改善フィルタ30が備えられたライトガイド10を示す概略的斜視図、同図(b)はその概略的断面構造図である。このライトガイド10は、側面からの光漏れを積極的に行なうようにしたものであって、側面全周から発光されるものである。演色性改善フィルタ30は、円筒状の基板に上記光学特性を有する光学多層膜が形成されたものであって、演色性改善フィルタ30の空洞内にライトガイド10が挿通される。このように、側面発光型のライトガイド10にも適用することができる。 【0048】さらに図9に示すものも、側面発光型のライトガイド10に適用したものであるが、図9に示すライトガイド10は、断面矩形状をしており、アクリル樹脂に微細な拡散反射粒子が練り込まれたものであり、4つの側面から発光が可能なものである。 【0049】このように断面矩形状の側面発光型ライトガイド10にも適用できるものであり、図8や図9に示すような側面発光型のライトガイド10に適用した場合には、ライトガイド10の側面が演色性改善フィルタ30で覆われる構造となるため、ライトガイド10側面にゴミや埃が付着し、ゴミ、ホコリによる発光効率の低下を防ぐことができる。 【0050】また、図10に示すものは、ライトガイド10側面の一部領域からのみ光が出射されるタイプに適用したものであって、コアの側面一部領域に、コアとクラッドの界面にライトガイド10の長手方向に沿って、拡散反射塗料が塗布された拡散反射膜が設けられている。また、演色性改善フィルタ30は平板状をしており、ライトガイド10側面から出射された出射光の照射領域の少なくとも一部領域、図ではその全ての領域が含まれるように配置されている。本発明はこのような構成の照明装置1にも適用ができるものでもある。 【0051】 【実施例】次に本発明の実施例である演色性改善フィルタ及び照明装置を各種作製し、本発明による効果を確認した。 【0052】(演色性改善フィルタの作製例)○○mm厚のガラス板に、表1及び表2に示すように、高屈折率層及び低屈折率層を真空蒸着法によって積層し、実施例である演色性改善フィルタを作製した。次に、当該演色性改善フィルタのRa改善性について、ハロゲンランプ及びメタルハライドランプを用いて測定した。その結果を、ハロゲンランプについては表1に、メタルハライドランプについては表2に示した。なお、Ra改善性は、演色性改善フィルタの近傍に光源を配置し、フィルタ透過直後において透過光のスペクトルを測定して求めた。 【0053】 【表1】
【0054】 【表2】
【0055】(照明装置の作製例)次に、本発明の効果について詳細に検討するため、さらに本発明に係る別な演色性改善フィルタを作製すると共に当該フィルタ及び終端発光型ライトガイドを用いて各種照明装置を作製した。 【0056】(照明装置1)図1に示すように回転楕円形状のダイクロイックミラー反射鏡の第1焦点に、ハロゲンランプを、前記反射鏡の第2焦点にライトガイドの入射端を配置した。また、ライトガイドの長さを5mとして、演色性改善フィルタをライトガイドの出射端に配置して実施例である照明装置を作製した。 【0057】当該照明装置に用いた演色性改善フィルタの分光透過率特性を図10に、また、当該照明装置におけるライトガイド出射光の分光特性を図11に、さらに、当該ライトガイド出射光のスペクトルを、全光束を100として正規化した場合について図12に示した。尚、図11及び図12には、比較例として、演色性改善フィルタを用いない場合についても示した。 【0058】この演色性改善フィルタにおいては、530〜600nm付近において幅広い吸収ピークを示し、500〜650nmでのスペクトル強度の波長平均を算出したところ、フィルタを用いなかった場合には、基準光(黒体放射)では4.93、試料光が4.74で、基準光に対する試料光の割合は96.1%であったのに対し、フィルタを用いた場合には、基準光では4.93、試料光では4.86となり、その割合は98.6%に向上した。 【0059】また、Raの改善度を測定したところ、フィルタ無しの場合にはRa=88であったのに対し、フィルタを用いた場合にはRa=96へと向上し、器具効率(光の透過率)もフィルタ無しの場合を100とすれば、フィルタを用いた場合には87%であり高効率なものであった。 【0060】(照明装置2)光源にメタルハライドランプを用いて、上記照明装置1と同様な構成である照明装置を作製した。当該照明装置に用いた演色性改善フィルタの分光透過率特性を図14に、また、当該照明装置におけるライトガイド出射光の分光特性を図15に、さらに、当該ライトガイド出射光のスペクトルを、全光束を100として正規化した場合について図16に示した。尚、図15及び図16には、比較例として、演色性改善フィルタを用いない場合についても示した。 【0061】この演色性改善フィルタにおいては、545nm付近及び570nmに吸収ピーク(バレー)を示し、500〜650nmでのスペクトル強度の波長平均を算出したところ、フィルタを用いなかった場合には、基準光(CIE昼光)では4.52、試料光が4.24で、その基準光に対する試料光の割合は93.8%であったのに対し、フィルタを用いた場合には、基準光では4.51、試料光では4.39となり、その割合は97.3%に向上した。 【0062】また、Raの改善度を測定したところ、フィルタ無しの場合にはRa=83であったのに対し、フィルタを用いた場合にはRa=96へと向上し、器具効率(光の透過率)もフィルタ無しの場合を100とすれば、フィルタを用いた場合には81%であり高効率なものであった。 【0063】(照明装置3)照明装置1と同様な構成な照明装置(光源はハロゲンランプである)を作製した。当該照明装置に用いた演色性改善フィルタの分光透過率特性を図17に、また、当該照明装置におけるライトガイド出射光の分光特性を図18に、さらに、当該ライトガイド出射光のスペクトルを、全光束を100として正規化した場合について図19に示した。尚、図18及び図19には、比較例として、演色性改善フィルタを用いない場合についても示した。 【0064】この演色性改善フィルタにおいては、540〜630nmの範囲で全体がなだらかな下に凸となり、575nm付近に吸収ピークを示した。また、500〜650nmでのスペクトル強度の波長平均を算出したところ、フィルタを用いなかった場合には、基準光(黒体放射)では4.93、試料光が4.74で、その基準光に対する試料光の割合は96.1%であったのに対し、フィルタを用いた場合には、基準光では4.92、試料光では4.85となり、その割合は98.5%に向上した。 【0065】また、Raの改善度を測定したところ、フィルタ無しの場合にはRa=88であったのに対し、フィルタを装着した場合にはRa=96へと向上し、器具効率(光の透過率)もフィルタ無しの場合を100とすれば、フィルタを用いた場合には84%であり高効率なものであった。 【0066】この演色性改善フィルタによれば、フィルタの透過特性が1つのピークを持つ連続曲線であるため、フィルタの設計、作製が非常に容易である。 【0067】(照明装置4)光源にメタルハライドランプを用いて、照明装置1と同様な構成な照明装置を作製した。当該照明装置に用いた演色性改善フィルタの分光透過率特性を図20に、また、当該照明装置におけるライトガイド出射光の分光特性を図21に、さらに、当該ライトガイド出射光のスペクトルを、全光束を100として正規化した場合について図22に示した。尚、図21及び図22には、比較例として、演色性改善フィルタを用いない場合についても示した。 【0068】この演色性改善フィルタにおいては、520〜610nmの範囲で全体がなだらかな下に凸となり、550nm付近に吸収ピークを示すものであって、上記照明装置3で用いた演色性改善フィルタの吸収ピークをほぼ20nm短波長側にシフトさせたものである。また、500〜650nmでのスペクトル強度の波長平均を算出したところ、フィルタを用いなかった場合には、基準光(CIE昼光)では4.52、試料光が4.24で、その基準光に対する試料光の割合は93.8%であったのに対し、フィルタを用いた場合には、基準光では4.49、試料光では4.36となり、その割合は97.1%に向上した。 【0069】また、Raの改善度を測定したところ、フィルタ無しの場合にはRa=83であったのに対し、フィルタを装着した場合Ra=95へと向上し、器具効率(光の透過率)もフィルタ無しの場合を100とすれば、フィルタを用いた場合には80%であり高効率なものであった。 【0070】このように本発明の演色性改善フィルタを用いて照明装置を構成することにより、樹脂製のライトガイドの端面から出射される出射光の演色性を向上させることができた。 【0071】 【発明の効果】本発明によれば、平均演色評価数(Ra)の変化量が大きな波長域、すなわち、ハロゲンランプにおいては、540〜630nmの波長域、あるいはメタルハライドランプにおいては、520〜610nmの波長域のスペクトル強度を低下させる演色性改善フィルタが用いられているので、樹脂製のライトガイド出射端及び基準光源から出射された光の正規化された波長特性において、単位波長当たりのスペクトル強度の平均値を、基準光源のそれに近づけさせることができる。この結果、ライトガイド長による減衰如何に拘らず、演色性の低下を防ぐことができる。 【0072】また、本発明の演色性改善フィルタは、一定波長域のスペクトル強度を全体的に低下させるものであるために、その設計も比較的容易に行なえ、安価に演色性改善フィルタを提供できる。 【0073】特にコストの低い樹脂製光ファイバから作製されたライトガイドを用いて照明装置を構成できるため、その施工も容易なものとなり、ライドガイドを用いた照明装置を安価に提供できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005832 【氏名又は名称】松下電工株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年7月21日(2000.7.21) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100111556 【弁理士】 【氏名又は名称】安藤 淳二 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−42526(P2002−42526A) |
| 【公開日】 |
平成14年2月8日(2002.2.8) |
| 【出願番号】 |
特願2000−220126(P2000−220126) |
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