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【発明の名称】 車両用灯具のレンズとボディの締結構造
【発明者】 【氏名】江藤 豊蔵

【氏名】勝又 保博

【要約】 【課題】前面レンズやシール材の仕様が異なる同一タイプの灯具に対してランプボディを共通化できる車両用灯具のレンズとボディの締結構造の提供。

【解決手段】光源を収容したボディ10の前面開口部に周設したシール溝20と、ボディの前面に組み付ける前面レンズに形成した、シール溝20と係合可能なシール脚32と、シール脚32に形成した、シール溝20外側壁の端面20a1に当接しシール脚32のシール溝20への挿入量を規制するフランジ部34と、シール溝20内に装填されたシール材26と、フランジ部34とシール溝形成壁20a間に介装したプレートスプリングと、を備えたレンズとボディの締結構造で、シール溝の外側壁20aには、フランジ部34の外周縁に当接してシール脚32を溝幅方向に位置決めし、かつ前面レンズの横ずれを抑制する立壁22を形成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 光源を収容したランプボディの前面開口部に周設されたシール溝と、前記ランプボディの前面開口部に組み付けられる前面レンズに形成された、前記シール溝と係合可能なシール脚と、前記シール脚の付け根側に形成され、前記シール溝の外側壁の端面に当接してシール脚のシール溝内への挿入量を規制するフランジ部と、前記シール溝内に装填されたシール材と、前記フランジ部と前記シール溝形成壁間に介装されたプレートスプリング等のレンズ固定手段と、を備えた車両用灯具のレンズとボディの締結構造において、前記シール溝の外側壁には、前記フランジ部の外周縁に当接して、前記シール脚をシール溝の溝幅方向に位置決めするとともに、前記前面レンズの横ずれを抑制する立壁が形成されたことを特徴とする車両用灯具のレンズとボディの締結構造のレンズとシール溝間の締結構造。
【請求項2】 前記立壁の高さは、前記フランジの高さとほぼ同一に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具のレンズとボディの締結構造。
【請求項3】 前記シール溝の外側には、前記立壁をバックアップする補強リブが形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用灯具のレンズとボディの締結構造。
【請求項4】 前記前面レンズは、合成樹脂で構成されるとともに、前記フランジ部におけるスプリング被掛止部には、フランジ部延在方向所定間隔に縦スリットが形成されたことを特徴とする1〜3いずれかに記載の車両用灯具のレンズとボディの締結構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ランプボディのシール溝に前面レンズのシール脚がシール材を介して係合一体化されるとともに、シール脚とシール溝の係合部がプレートスプリング等のレンズ固定手段によって締結されている車両用灯具に係わり、特に前面レンズやシール材の仕様が異なる場合に適用できる車両用灯具のレンズとボディの締結構造に関する。
【0002】
【従来の技術】車両用灯具であるトラック用のヘッドランプは、図14に示すように、バルブ3を挿着したリフレクター2を内部に収容する容器状のランプボディ1の前面に、前面レンズ4が組み付けられて一体化されている。そして、前面レンズ4とランプボディ1とは、ランプボディ1の前面開口部に形成されたシール溝5に、前面レンズ4側のシール脚7がシール材8を介して係合されるとともに、この係合部にプレートスプリング9が装着されてシール溝5内が封止されて、防水が図られた構造となっている。
【0003】図14符号7aは、シール脚7の外側面に周設されたフランジ部で、このフランジ部7aがシール溝5の外側壁5aの前縁に当接することで、シール脚7のシール溝5内における挿入量が設定されるようになっている。
【0004】そして、トラック用のヘッドランプでは、長期の耐久性を求めるため、今まではガラス製の前面レンズが主流であったが、最近では、リペア性およびリサイクル性の観点から、レンズ交換可能な灯具構造であることを条件として、軽量化に有利な樹脂製前面レンズが利用される傾向にある。
【0005】即ち、シール溝に塗布した発泡シール材の発泡途中にシール脚をシール溝に挿入し、あるいは予め発泡シール材(発砲ガスケット)を内部に成形一体化したシール溝にシール脚を挿入し、あるいは予めシール脚の先端部に成形一体化した発泡シール材(発砲ガスケット)をシール溝に挿入して、シール脚とシール溝間係合部に発泡シール材を装填した灯具を構成できる。そして、前面レンズが破損した場合には、発泡シール材(発砲ガスケット)ともども交換すればよい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、使用環境の異なる諸外国毎で要求される前面レンズの耐久性やシール脚とシール溝間係合部におけるシール性は異なり、さらに、たとえレンズ交換可能な灯具構造であっても、レンズ交換に必要な設備が整っていない地域もあるので、樹脂製前面レンズを用いたレンズ交換可能な灯具構造を全世界向けに共通化することは困難である。
【0007】また、ガラス製レンズと樹脂製レンズでは、成形性と強度の観点からガラス製レンズの方が厚くならざるを得ず、従ってガラス製前面レンズの方が重くなる。この結果、シール溝の形状や構造もレンズ(シール脚)の形状や重量に合わせた形状や構造とする必要があって、前面レンズおよびシール材の仕様みならずランプボディに形成するシール溝の形状も仕向国毎にそれぞれ異なることとなって、仕向国毎に専用のランプボディの設計を余儀なくされていた。
【0008】このように従来では、同一モデルのヘッドランプであっても、前面レンズとシール材の仕様に合わせてランプボディを用意しなければならず、それぞれのランプボディを成形するための金型がそれぞれ必要で、それだけ製造設備にコストがかかるとか、ランプボディの保管管理が面倒である等の問題があった。
【0009】本発明は前記従来技術の問題点に鑑みなされたもので、その目的は、前面レンズやシール材の仕様が異なる同一モデルの灯具に対してランプボディを共通化できる車両用灯具のレンズとボディの締結構造を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段および作用】前記目的を達成するために、請求項1に係る車両用灯具のレンズとボディの締結構造においては、光源を収容したランプボディの前面開口部に周設されたシール溝と、前記ランプボディの前面開口部に組み付けられる前面レンズに形成された、前記シール溝と係合可能なシール脚と、前記シール脚の付け根側に形成され、前記シール溝の外側壁の端面に当接してシール脚のシール溝内への挿入量を規制するフランジ部と、前記シール溝内に装填されたシール材と、前記フランジ部と前記シール溝形成壁間に介装されたプレートスプリング等のレンズ固定手段と、を備えた車両用灯具のレンズとボディの締結構造において、前記シール溝の外側壁に、前記フランジ部の外周縁に当接して、前記シール脚をシール溝の溝幅方向に位置決めするとともに、前記前面レンズの横ずれを抑制する立壁を形成するように構成した。
【0011】ランプボディのシール溝は、前面レンズの仕様(ガラス製、樹脂製)およびシール材の仕様(発泡ガスケット、ホットメルト)のいずれにも対応できる形状に形成されている。具体的には、ガラス製レンズ全体が樹脂製レンズに比べると、シール脚を含めて厚肉となることから、シール溝の溝幅は、ガラス製前面レンズのシール脚に対応する大きさに形成されている。
【0012】(作用)前面レンズが樹脂製であろうがガラス製であろうが、シール溝に装填されるシール材が発泡ガスケットであろうがホットメルトであろうが、フランジ部がシール溝の外側壁の端面に当接して、シール脚のシール溝内への挿入量が規制され(シール脚とシール溝がシール溝深さ方向に位置決めされ)るとともに、フランジ部の外周縁がシール溝側の立壁に当接して、シール脚とシール溝がシール溝の溝幅方向に位置決めされる。そして、前面レンズ側のフランジ部とランプボディ側のシール溝形成壁間に介装したプレートスプリング等のレンズ固定手段によって、シール脚とシール溝がこの位置決めされた形態に固定保持される。
【0013】また、前面レンズが樹脂製の場合にはそれほど問題ではないが、前面レンズがガラス製の場合には、前面レンズに重量があるため、前面レンズの自重により、前面レンズがランプボディに対し下方にずれたり、走行中の振動やエンジンの震動等による前面レンズの慣性重量により、前面レンズがシール溝の溝幅方向にずれる(以下、これを横ずれという)おそれがあるが、フランジ部に当接する立壁が前面レンズの横ずれを抑制する。
【0014】また、発泡ガスケット仕様の車両用灯具では、プレートスプリング等のレンズ固定手段による固定を解除することで、シール脚および発泡ガスケットをシール溝から簡単に分離でき、新たな前面レンズと発泡ガスケットに交換できる。
【0015】請求項2においては、請求項1に記載の車両用灯具のレンズとボディの締結構造において、前記立壁の高さを、前記フランジの高さとほぼ同一に形成するようにした。
(作用)前面レンズがランプボディに締結された形態(シール脚がシール溝に係合した形態)において、フランジ部の外周縁部全面が立て壁に当接できるので、前面レンズの横ずれが一層抑制される。
【0016】また、シール材が発泡ガスケット仕様の灯具では、シール溝に塗布した発泡ガスケット材の発泡途中にシール脚をシール溝に挿入し、あるいは予め発泡ガスケットを内部に成形一体化したシール溝にシール脚を挿入し、あるいは予めシール脚の先端部に成形一体化した発泡ガスケットをシール溝に挿入することで、シール脚とシール溝間係合部が構成されるが、シール脚(発泡ガスケット)をシール溝に係合(挿入)する際に、フランジ部の外周縁が立壁の内側に沿って案内されるので、シール脚(発泡ガスケット)をシール溝にスムーズに係合(挿入)させることができる。シール材がホットメルト仕様の灯具においても、フランジ部を案内する立壁の作用は同じで、シール脚のシール溝への係合がスムーズとなる。
【0017】請求項3においては、請求項1又は2に記載の車両用灯具のレンズとボディの締結構造において、前記シール溝の外側に、前記立壁をバックアップする補強リブを形成するようにした。
(作用)シール溝の外側に形成された補強リブが立壁をバックアップして、立壁の変形や前面レンズの横ずれを確実に抑制する。
【0018】請求項4においては、請求項1〜3のいずれかに記載の車両用灯具のレンズとボディの締結構造において、前記前面レンズを合成樹脂で構成するとともに、前記フランジ部におけるスプリング被掛止部に、フランジ部延在方向所定間隔に縦スリットを形成するようにした。
(作用)隣接する縦スリットで挟まれたリブが所定間隔に連続して、フランジ部におけるスプリング被掛止部を構成している。スプリング被掛止部に薬品が付着したり、衝撃力が作用した場合には、スプリング被掛止部を構成する全てのリブが破損するのではなく、破損リブは薬品が付着したり衝撃力が作用した一部のリブにとどまる。
【0019】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を、実施例に基づいて説明する。
【0020】図1〜図9は、本発明の一実施例である日本仕様のトラック用のヘッドランプを示すもので、図1は同ヘッドランプの正面図、図2は同ヘッドランプの右側面図、図3は同ヘッドランプの水平断面図(図1に示す線III−IIIに沿う断面図)、図4は同ヘッドランプの縦断面図(図1に示す線IV−IVに沿う断面図)、図5はランプボディの前面開口部の斜視図(ランプボディの下面側から見た斜視図)、図6はシール脚とシール溝間係合部の立壁形成位置における拡大断面図、図7はシール脚とシール溝間係合部のプレートスプリング装着位置における拡大断面図、図8は前面レンズのフランジ部に形成したスプリング被掛止部の拡大斜視図、図9は前面レンズをランプボディに組み付ける(シール脚をシール溝に挿入する)工程を示す図である。
【0021】これらの図において、符号10は、容器形状の合成樹脂製のランプボディで、ランプボディ10の前面開口部に合成樹脂製の前面レンズが組み付けられて、灯室Sが画成されている。ランプボディ10内には、バルブ14A,14Bの挿着されたリフレクタユニット12が、一個の玉継ぎ手と2本のエイミングスクリューから主として構成されたエイミング機構(図示せず)によって、上下左右に傾動できるように支持されている。即ち、リフレクタユニット12は、走行ビーム形成用のリフレクタ12Aと走行ビームおよびすれ違いビーム形成用のリフレクタ12Bとが一体に形成された構造で、リフレクタ12A,12Bのバルブ挿着孔にバルブ14A,14Bが挿着されている。そして、エイミング機構のエイミングスクリュー(図示せず)の回動操作により、ヘッドランプの光軸を上下左右方向に傾動調整できる。
【0022】符号13は、リフレクタ12Bに固着されてバルブ14Bの前方に配置された配光(すれ違いビーム)形成用のシェード、符号15は、ランプボディ10の前面開口部の内側で、リフレクタユニット12り囲むように延在するエクステンションリフレクターで、その表面にはアルミ蒸着面が形成されて、灯室S内全体をリフレクターユニット12一の金属色に見せるためのものである。
【0023】また、ランプボディ10の前面開口部には、シール溝20が周設されており、一方、前面レンズ30の周縁部には、シール脚32が周設されている。そして、ウレタン系の熱硬化性発泡シール材である発泡ガスケット26を介してシール溝20にシール脚32を係合し、シール脚32とシール溝20間の係合部にプレートスプリング40を介装することで、前面レンズ30とランプボディ10が締結されて、防水が図られたヘッドランプとして一体化されている。
【0024】図9は、シール溝20に塗布した発泡ガスケット材の発泡途中に、シール脚32をシール溝20に挿入する工程を示す図である。
【0025】即ち、シール溝20には、まずシール材塗布ノズル(図示せず)によって発泡ガスケット材料26´が帯状に塗布される。発泡ガスケット材料26´は、溶融ウレタン材料と窒素ガスとがミキサーにおいて混合されたもので、ノズルからシール溝20に塗布されると同時に、一次発泡(窒素ガスによる発泡)を開始する。そして、発泡ガスケット材料の塗布後、図9仮想線に示すように、シール脚32を一次発泡中の発泡ガスケット26内に挿入し、シール脚32とシール溝20間の係合部にプレートスプリング40を装着することで、シール脚32を発泡ガスケット26内に圧着した形態に保持する。ついで、この灯具を恒温恒湿炉(図示せず)内に入れて、二次発泡(ウレタンが水分と反応して二酸化炭素を出す発泡)させると、硬化した発泡ガスケット26がシール脚32とシール溝20の双方に密着した形態となる。
【0026】符号34は、シール脚32の外側面に周設されたフランジ部で、このフランジ部34がシール溝20の外側壁20aの前縁20a1に当接することで、シール脚32のシール溝20内への挿入量が設定される。即ち、プレートスプリング40ばね力により、シール溝20内の発泡ガスケット26がシール脚32で圧縮されるので、フランジ部34がシール溝の外側壁20aの前縁20a1に当接することで、発泡ガスケット26とシール溝20内周面間の圧接力が規定される。なお、フランジ部34は、縦断面L字型に形成されており、その強度を高めるために、図1,6,8に示すように、フランジ延在方向所定間隔に補強リブ34aが設けられている。
【0027】また、ランプボディ10の左右の側面および上下の側面に対応するシール溝20の外側壁20aには、フランジ部34の外周縁に当接して、シール脚32をシール溝20の溝幅方向に位置決めするとともに、前面レンズ30の横ずれを阻止する立壁22がそれぞれ延出形成されている。立壁22は、図6に示すように、その高さHが前面レンズ30のフランジ部34の高さH1ととほぼ同一に形成されるとともに、ランプボディ10の外側に向けて傾斜した形状で、シール溝20の幅方向中央部に正確にシール脚32を挿入するガイドとして作用する。
【0028】即ち、シール脚32をシール溝20に挿入する際には、図9仮想線で示すように、フランジ部34の外周縁が立壁22の内側に当接し、シール脚32の挿入に伴ってフランジ部34が立壁22に沿って案内されるので、シール脚32先端部を発泡途中の発泡ガスケット26内にスムーズに挿入させることができる。
【0029】また、前面レンズ30が樹脂製の場合にはそれほど問題ではないが、後述する第2,第3の実施例に示すように、前面レンズがガラス製の場合には、前面レンズに重量があるため、前面レンズの自重により、前面レンズがランプボディに対し下方にずれたり、走行中の振動やエンジンの震動等による前面レンズの慣性重量により、前面レンズがシール溝の溝幅方向にずれる(以下、これを横ずれという)おそれがあるが、フランジ部34に当接する立壁22が前面レンズ30の横ずれを抑制する。特に、フランジ部34と立壁22の高さが同一で、フランジ部34外周縁の全面が立壁22でバックアップされるので、立壁22が変形したり、前面レンズ30が横ずれしたりしない。
【0030】符号24は、シール溝20の外側にシール溝延在方向等間隔に設けられた、立壁バックアップ用の補強リブである。この補強リブ24は、符号24aで示すように、シール溝20の外側壁20aからランプボディ10の側壁に連設されており、この補強リブ24は、立壁22のみならずシール溝20全体をバックアップして、立壁22およびシール溝20に作用する前面レンズ30の自重や慣性重量に対抗できるようになっている。即ち、補強リブ24の存在によって、前面レンズ30の横ずれや立壁22を含むシール溝20全体の変形が確実に阻止される構造となっている。
【0031】また、図7に示すように、前面レンズ20のフランジ部34とシール溝20の外側壁20a間には、プレートスプリング40が装着されて、前面レンズ30とランプボディ10(シール脚32とシール溝20間の係合部)が締結されているが、フランジ部34におけるスプリング被掛止部35には、図8に拡大して示すように、フランジ部延在方向所定間隔に縦スリット36が形成されて、隣接する縦スリット36,36で挟まれて連続する複数のリブ37によってスプリング被掛止部35が構成されている。
【0032】そして、スプリング被掛止部35(連続する複数のリブ37)に薬品が付着したり衝撃力が作用する等して、スプリング被掛止部35が破損するような場合には、スプリング被掛止部35を構成する全てのリブ37が破損するのではなく、薬品が付着したり衝撃力が作用した一部のリブ37が破損するにとどまる。このため、破損しないで残ったリブ37を、新たなスプリング被掛止部として利用することができ、前面レンズ30を交換しなくて済む。
【0033】また、前面レンズ30が破損等して交換したい場合には、プレートスプリング40を取り外してレンズ30とランプボディ10間のの固定を解除し、シール脚32をシール溝20から抜き出し、さらに、発泡ガスケット26もシール溝20から簡単に抜き出すことができる。そして、シール溝20に新たな発泡ガスケット材料を塗布した上で、新たな前面レンズ30を組み付ければよい。
【0034】なお、前記した実施例では、シール溝20に塗布した発泡ガスケット材料26´の発泡途中に、シール脚32をシール溝20(内の発泡ガスケット材料)に係合(挿入)することで、シール脚32とシール溝20間係合部を構成するようになっているが、図10に示すように、予め発泡ガスケットを内部に成形一体化したシール溝にシール脚を挿入したり、図11に示すように、予めシール脚の先端部に成形一体化した発泡ガスケットをシール溝に挿入することで、シール脚とシール溝間係合部を構成することもできる。
【0035】即ち、図10は、シール溝20に塗布した発泡ガスケット材料を発泡硬化させて、シール溝20に発泡ガスケット26を成形一体化し、この発泡ガスケット26が成形一体化されているシール溝20にシール脚32を挿入して、シール脚32とシール溝20を係合し、プレートスプリング40を所定位置に装着することで、前面レンズ30とランプボディ10を締結する。
【0036】一方、図11(a)符号50は、発泡ガスケット26を成形するための転写治具である。この転写治具50の表面には、シール脚32に対応するエンドレスなシール材成形溝52が形成されている。そして、この成形溝52に例えば塗布ノズルによって塗布された発泡ガスケット材料26´は、塗布と同時に一次発泡を開始する。そして、図11(a)仮想線に示すように、シール脚32を一次発泡中の発泡ガスケット26(発泡ガスケット材料26´)内に挿入し、プレートスプリング40を装着することで、シール脚32を発泡ガスケット26内に圧着した形態に保持し、発泡ガスケット26の表面層をある程度硬化させる。ついで、成形溝52から発泡ガスケット26ともどもシール脚34を分離し、シール脚32の先端部に発泡ガスケット26を成形一体化した前面レンズ30を恒温恒湿炉内に入れて、二次発泡させる。そして、二次発泡が終了し硬化した発泡ガスケット26を、図11(b)に示すように、シール溝20に挿入し、シール脚32とシール溝20とを係合させ、プレートスプリング40を所定の部位に装着して、前面レンズ30とランプボディ10を締結する。
【0037】図12は、本発明の第2の実施例を示し、(a)は第2の実施例である欧州仕様のトラック用のヘッドランプの要部であるシール脚とシール溝間係合部の立壁形成位置における拡大断面図、(b)はシール脚をシール溝に係合する工程を示す図である。
【0038】前記した第1の実施例では、前面レンズ30の耐久性が緩やかなため樹脂製レンズ30を使用し、シール脚32とシール溝20間係合部におけるシール性も緩やかなため、シール材としてシール溝20からの分離の容易な発泡ガスケット26を用いてレンズ交換可能に構成された灯具構造であったが、この第2の実施例では、前面レンズに要求される厳しい耐久性を満足するように、ガラス製前面レンズ30Aを使用するとともに、弾性シール材として前記第1の実施例に用いた発泡ガスケット26と同様の発泡ガスケット26Aを用いて、レンズ交換可能な灯具構造に構成した、欧州仕様のトラック用のヘッドランプを示している。
【0039】ガラス製前面レンズ30Aは、前記第1の実施例における樹脂製前面レンズ30に比べて、所定の強度を確保するにはシール脚32Aを含む全体がどうしても厚肉となり、それだけ前面レンズ30Aの自重が大きく、前面レンズ30Aの自重や慣性重量がシール溝20側に設けた立壁22に作用して、立壁22やシール溝20を変形させるおそれがあるが、シール溝22の外側に設けられている補強リブ24が立壁22をバックアップして、立壁22を含むシール溝20全体の変形を確実に阻止する。したがって、耐久性に優れたガラス製前面レンズ30Aを用いた欧州仕様では、立壁22を含むシール溝20の変形やガラス製前面レンズ30Aの横ずれが生じない、シール溝20の耐久性に優れた構造となっている。
【0040】また、シール脚32Aとシール溝20間に発泡ガスケット26Aを装填する方法は、前記した第1の実施例と同様の方法(図9参照)で行うが、シール脚32Aの先端面における厚さ方向中央位置には、横断面円弧状の幅狭の凸条部33がシール脚延在方向に延びて、シール溝20内において一次発泡中の発泡ガスケット26A内にシール脚32Aを挿入する際に、幅狭の凸条部33が発泡ガスケット26Aの幅方向中央部位置にスムーズに侵入できて、発泡ガスケット26A中に大気が取り込まれたり、発泡ガスケット26Aがシール溝幅方向に偏った形態とならないようになっている。
【0041】即ち、シール脚32Aは、樹脂製前面レンズ30のシール脚32に比べると厚く、その先端面は、シール脚32Aの厚さ方向にほぼ平坦であるため、一次発泡中の発泡ガスケット26A内にシール脚32Aを挿入する際に、大気中の空気が気泡として発泡ガスケット26A内に取り込まれるおそれがある。また、シール脚32Aの平坦な先端面に押された一次発泡中の発泡ガスケット26Aがシール脚先端面に沿ってシール溝幅方向に偏って滑動し、発泡ガスケット26Aがシール溝幅方向(シール脚厚さ方向)に偏った形態となるおそれがある。このように発泡ガスケット26A中に気泡が混入したり、発泡ガスケット26Aがシール脚32A(シール溝20の溝幅)に対し偏った形態となると、発泡ガスケット26Aをシール溝20に係合したときにシール性が不十分となるおそれがある。
【0042】しかし、本実施例では、一次発泡中の発泡ガスケット26Aのシール溝幅方向中央部位置にシール脚32A先端部の尖った凸条部33がスムーズに侵入するため、発泡ガスケット26A中に気泡が取り込まれることがないし、尖った凸条部33によって発泡ガスケット26Aがシール溝幅外方向に均等に押圧されるので、発泡ガスケット26Aは溝幅外方向(シール脚32A厚さ方向外方)に均等に移動し一次発泡が終了して表面層が硬化する。このため、シール脚とシール溝20間において、発泡ガスケット26Aはシール溝20の内周面に幅方向均一に圧接保持された形態となって、高性能のシール性が確保される。
【0043】また、前面レンズ30Aが破損等して交換したい場合には、前記第1の実施例の場合と同様、プレートスプリング40を取り外してレンズ30Aとランプボディ10間の固定を解除し、シール脚32Aをシール溝20から抜き出し、さらに発泡ガスケット26Aもシール溝20から簡単に抜き出すことができる。そして、シール溝20に新たな発泡ガスケット26Aを塗布した上で、新たな前面レンズ30Aを組み付ければよい。
【0044】図13は、本発明の第3の実施例を示し、(a)は本発明の第3の実施例の要部であるシール脚とシール溝間係合部の立壁形成位置における拡大断面図、(b)はシール脚をシール溝に係合する工程を示す図である。
【0045】この第3の実施例では、前面レンズに要求される厳しい耐久性を満足するように、ガラス製前面レンズ30Bを使用し、シール脚とシール溝間係合部に要求される厳しいシール性も満足するように、シール材としてホットメルト26Bを使用した、北米仕様のトラック用のヘッドランプを示している。
【0046】前記した2つの実施例では、シール脚32(32A)とシール溝20間に装填するシール材として、シール脚32(32A)やシール溝20から簡単に分離できる発泡ガスケット26(26A)を使用して、簡単にレンズ交換できる構造であったが、本実施例では、シール脚32Bとシール溝20間に接着性の高いホットメルトが装填されているため、シール溝20からシール脚32Bを分離することは困難で、レンズ交換できない構造となっている。
【0047】なお、前記した第1〜第3の実施例では、前面レンズのシール脚とランプボディのシール溝間のレンズ固定手段がプレートスプリング40で構成されているが、シール脚とシール溝外側壁間に設けた解除可能な凹凸ランス係合部で構成してもよく、またプレートスプリングと凹凸ランス係合部の両者で構成してもよい。
【0048】また、前記第1,2の実施例では、前面レンズのシール脚32とランプボディのシール溝20間にシール材として発泡ガスケット26が装填された構造となっているが、発泡ガスケット26に代えて、従来公知のゴム紐を装填する構造であってもよい。
【0049】また、前記実施例では、ランプボディ10内において、光源であるバルブ14A,14Bを装着したリフレクターユニット12が傾動可能に支持されたリフレクター可動型のヘッドランプを例にとって説明したが、ランプボディの内側にリフレクタが一体に形成され、光源であるバルブが直接ランプボディに装着されたランプユニットが、車体に取り付け固定されるランプハウジングに対し傾動可能に支持されたユニット可動型のヘッドランプの、前面レンズとランプボディの締結構造についても同様に適用することができる。
【0050】また前記実施例では、ヘッドランプを例にあげて、前面レンズとランプボディの締結構造について説明したが、ヘッドランプに限るものではなく、その他の車両用灯具のレンズとボディの締結構造にも広く適用することができる。
【0051】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項1によれば、前面レンズやシール材の仕様が異なる車両用灯具についてランプボディを共用できるので、1種類のランプボディを用意すればよく、それだけランプボディの製造設備が簡潔になるとともに、ランプボディの保管管理も容易となり、灯具のコストを安価にできる。
【0052】前面レンズが樹脂仕様の場合は勿論、ガラス仕様の灯具であっても、前面レンズの横ずれが防止されるので、灯具の長期使用が保証される。
【0053】また、発泡ガスケット仕様の車両用灯具では、前面レンズが破損等した場合には、発泡ガスケットおよび前面レンズを新たなものに交換できる。
【0054】請求項2によれば、特に、シール材が発泡ガスケット仕様の場合に、前面レンズの組付けをスムーズに遂行できるので、前面レンズを破損した場合のレンズ交換が簡単となる。
【0055】請求項3によれば、補強リブを設けることで、立壁の変形や前面レンズの横ずれが確実に阻止されるので、特にガラス製前面レンズ仕様の車両用灯具のシール溝の耐久性が保証される。
【0056】請求項4によれば、合成樹脂製前面レンズのフランジ部に薬品が付着したり衝撃力が作用するなどして、スプリング被掛止部が破損するようなことがあっても、スプリング被掛止部の一部だけが破損するにとどまるので、破損しないリブを新たなスプリング被掛止部として利用することで、前面レンズを交換するまでもなく引き続き使用できる。換言すれば、スプリング被掛止部が部分的に破損しても、前面レンズのリサイクル品としての利用可能性が向上する。
【0057】
【出願人】 【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
【出願日】 平成13年4月18日(2001.4.18)
【代理人】 【識別番号】100087826
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 秀人
【公開番号】 特開2002−313115(P2002−313115A)
【公開日】 平成14年10月25日(2002.10.25)
【出願番号】 特願2001−120154(P2001−120154)