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【発明の名称】 車両用灯具の反射鏡の反射面設計方法
【発明者】 【氏名】川島 宏之

【氏名】達川 正士

【要約】 【課題】配光パターンの制御性及び設計作業の効率が向上される車両用灯具の反射鏡の反射面設計方法を提供する。

【解決手段】本発明に係る反射面RSの設計方法は、X軸(光軸)及びY軸を含むXY平面上にXY曲線Qを生成するステップと、XY曲線Q上に存在する複数の基点Pのそれぞれについて、基点Pを含むと共に基点Pにおける光の反射方向に平行で、かつ、XY平面に垂直な平面(UZ平面)上にXZ曲線Rを生成するステップと、XY曲線Q及び複数のXZ曲線Rに基づいて、反射面RSの面形状を生成するステップとを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両用灯具に用いられる反射鏡の反射面設計方法であって、光源が配置される光源位置を通り前記光源からの光が反射鏡によって反射される方向となる光軸、及び前記光軸に直交する第1基本軸、を含む第1基本平面上に第1基本曲線を生成する第1基本曲線生成ステップと、前記第1基本曲線上に存在する複数の所定点のそれぞれについて、前記所定点を含むと共に前記所定点において前記光源からの光が反射される方向に平行で、かつ、前記第1基本平面に垂直な第2基本平面上に、前記第1基本平面に直交する第2基本軸方向に伸びる第2基本曲線を生成する第2基本曲線生成ステップと、前記第1基本曲線及び前記複数の第2基本曲線に基づいて、前記反射面の面形状を生成する面形状生成ステップと、を備えることを特徴とする車両用灯具の反射鏡の反射面設計方法。
【請求項2】 前記第2基本曲線上の点における反射角度を調整する反射角度調整ステップをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具の反射鏡の反射面設計方法。
【請求項3】 前記第2基本曲線の位置又は形状を上下方向又は前後方向に調整する反射面調整ステップをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具の反射鏡の反射面設計方法。
【請求項4】 前記第2基本曲線生成ステップによって生成される第2基本曲線は3次以上の曲線であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用灯具の反射鏡の反射面設計方法。
【請求項5】 前記面形状生成ステップは、一の第2基本曲線と隣接する第2基本曲線との間に部分曲面を張るステップを繰り返すことによって、前記複数の部分曲面からなる前記反射面の面形状を生成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両用灯具の反射鏡の反射面設計方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の車両に用いられる車両用灯具の反射鏡の反射面設計方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両用灯具は、所定の光源位置に配置される光源(光源バルブ)と、光源バルブからの光を光軸の方向へと反射する反射鏡と、反射鏡からの反射光を透過して灯具の外部へと出射するレンズと、を有して構成される。
【0003】このような構成を有する車両用灯具において、灯具から出射される光の配光パターンは、主に、光源バルブからの光に対する反射鏡の反射面形状やその位置関係によって設定される。すなわち、反射鏡の反射面へと入射された光源バルブからの光は、反射面の各部位において、それぞれでの面形状によって決まる反射方向や光拡散条件などの反射条件によって反射されて、反射光として灯具から出射される。また、反射光の光拡散条件などの反射条件の一部は、反射光が透過されるレンズによっても設定される。
【0004】前照灯などの車両用灯具に用いられる反射鏡の反射面としては、特公昭45−7397号公報、及び特開平6−267302号公報に記載されたものなどがある。例えば、特公昭45−7397号公報に示されている前照灯では、反射面の長径方向の断面形状を双曲線とし、双曲線と同一の焦点を有して双曲線に接する回転放物面群の包絡面によって、反射面の面形状を生成している。
【0005】また、特開平6−267302号公報に示されている前照灯では、回転放物面を反射面の基本面形状とするとともに、光軸に直交する回転中心軸を設定している。そして、この回転中心軸を中心として、光軸から離れるにしたがって増加する回転角度で回転放物面の各部位を回転させて、反射面の面形状を生成している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記した車両用灯具から出射される光に対しては、それぞれの灯具の種類、用途、車両での設置位置に応じて、得られる配光パターンが、反射鏡からの反射光が出射される範囲や、各反射方向での光強度などについて一定の条件を満たすことが要求される。これに対して、放物線や双曲線などの2次曲線や回転放物面などの単純な組合せを反射面の面形状とする上記の構成では、一般に、それぞれの灯具で要求される配光パターンを実現することが困難である。
【0007】すなわち、車両用灯具においては、上記した配光パターンなどの(1)機能に関する側面からの条件に加えて、自動車などの車両に取り付けた状態で使用されることから、(2)形状に関する側面からの条件(形状制約条件)、及び(3)外観に関する側面からの条件(外観制約条件)が課せられる。特に、近年、車体構成上の制限や、車両のデザイン性の高まりなどにより、灯具に対して様々な条件が課せられるようになっている。
【0008】したがって、車両に適用される灯具の反射鏡においては、その面積や奥行きなどに対して課せられた形状面及び外観面からの制約条件を満たした上で、要求される配光パターンが得られる反射面形状を実現しなくてはならない。このとき、回転放物面や双曲線などを用いた面形状からなる反射面では、反射面設計の自由度が小さく、上記の機能、形状、外観の諸条件をすべて満たすように反射面を作成することは困難である。
【0009】また、そのような面形状に対して変形(回転や各部位の微調整など)を加えた面形状からなる反射面の場合でも、反射面形状の変形と配光パターンの変化との対応が必ずしも明確ではないために、変形による配光パターンの制御性が充分に得られない。このため、要求される配光パターンを実現する反射面設計において、設計作業の効率が低下して反射面設計に長時間を要するという問題を生じる。
【0010】本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものであり、配光パターンの制御性及び設計作業の効率が向上される車両用灯具の反射鏡の反射面設計方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係る車両用灯具に用いられる反射鏡の反射面設計方法は、光源が配置される光源位置を通り光源からの光が反射鏡によって反射される方向となる光軸、及び光軸に直交する第1基本軸、を含む第1基本平面上に第1基本曲線を生成する第1基本曲線生成ステップと、第1基本曲線上に存在する複数の所定点のそれぞれについて、所定点を含むと共に所定点において光源からの光が反射される方向に平行で、かつ、第1基本平面に垂直な第2基本平面上に、第1基本平面に直交する第2基本軸方向に伸びる第2基本曲線を生成する第2基本曲線生成ステップと、第1基本曲線及び複数の第2基本曲線に基づいて、反射面の面形状を生成する面形状生成ステップと、を備えることを特徴とする。
【0012】上記した車両用灯具の反射鏡の反射面設計方法は、光軸(X軸)及び第1基本軸(Y軸)を含む第1基本平面(XY平面、例えば水平面)上の単一の第1基本曲線(XY曲線)と、第1基本曲線上の点からほぼ第2基本軸(Z軸)方向に伸びる複数の第2基本曲線(XZ曲線)とを反射面形状の骨格として生成し、それらに基づいて曲面を張ることによって反射面形状を生成している。このように、骨格となる第1基本曲線及び複数の第2基本曲線を反射面設計に用いることにより、その設計作業の効率が向上される。
【0013】また、第2基本曲線生成ステップでは、第1基本曲線の所定点における光の反射方向に平行な平面上に第2基本曲線を生成することとしている。このとき、それぞれの第2基本曲線の全体が光の反射方向を向き、第2基本曲線上の各点からの反射光が、ほぼ同一の反射方向に出射されることとなる。従って、各第2曲線と、得られる配光パターンでの各パターン部分との対応が単純化されるので、配光パターンの制御性が向上される。
【0014】また、上記の車両用灯具の反射鏡の反射面設計方法は、(1)第2基本曲線上の点における反射角度を調整する反射角度調整ステップ、あるいは(2)第2基本曲線の位置又は形状を上下方向又は前後方向に調整する反射面調整ステップ、をさらに備えることを特徴としても良い。このように第2基本曲線を調整するステップを備えることにより、配光パターンのきめこまかな要求や、車両用灯具が取り付けられる車両の仕様に対応することができる。
【0015】また、上記の車両用灯具の反射鏡の反射面設計方法は、第2基本曲線生成ステップによって生成される第2基本曲線は3次以上の曲線であることが好ましい。第2基本曲線として3次以上の曲線を用いることにより、2次曲線を用いる場合に比べて微調整が可能になると共に、4次以上の高次の曲線を用いる場合に比べて計算が複雑化しない。
【0016】また、上記の車両用灯具の反射鏡の反射面設計方法において、面形状生成ステップは、一の第2基本曲線と隣接する第2基本曲線との間に部分曲面を張るステップを繰り返すことによって、前記複数の部分曲面からなる前記反射面の面形状を生成することを特徴としても良い。
【0017】このようにそれぞれの第2基本曲線の間に部分曲面を生成することにより、効率的に反射面を生成することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図面とともに本発明による車両用灯具の反射鏡の反射面設計方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0019】まず、本発明による車両用灯具の反射鏡の反射面設計方法の概略について説明する。図1は、本発明による車両用灯具の反射鏡の反射面設計方法を概略的に示す模式図である。図1中、符号RSは、設計の対象となる反射面を、符号Fは、光を供給する光源(光源バルブ)が配置される光源位置を、また、符号Axは、光源位置Fを通り光源バルブからの光が反射鏡によって反射される方向となる光軸をそれぞれ示している。これらの光源位置F及び光軸Axは、反射面設計の基本条件としてあらかじめ与えられる。
【0020】以下に説明する反射面設計方法を用いて設計される反射面RSは、光源バルブ、反射鏡、及びレンズからなる前照灯などの車両用灯具において、光源バルブからの光を反射し、レンズを介して灯具から出射させる反射鏡の反射面として用いられるものである。
【0021】また、以下においては、図1にX、Y、Zの座標軸をそれぞれ示すように、光軸Axの方向である灯具の前後方向をX軸とする。また、このX軸に直交し第1基本軸となる軸(例えば、灯具の水平方向)をY軸とし、X軸及びY軸に直交し第2基本軸となる軸(例えば、灯具の垂直方向)をZ軸とする。
【0022】本発明による反射面設計方法においては、反射面RSの面形状は、X軸(光軸Ax)及びY軸を含む第1基本平面であるXY平面上のXY曲線(第1基本曲線)Qと、XY曲線Q上の複数の点からそれぞれほぼZ軸方向に伸びる複数のXZ曲線(第2基本曲線)Rとを骨格とし、これらに基づいて曲面を張ることによって反射面形状を生成する。
【0023】単一の第1基本曲線であるXY曲線Qは、XY平面上において設定された複数の基点Pそれぞれの位置に基づいて生成された曲線からなる。図1においては、例として、X軸上にある基点P0を含む12個の基点P-5〜P6、及びそれらの基点P-5〜P6をなめらかに接続して生成されたXY曲線Qが示されている。
【0024】また、複数の第2基本曲線であるXZ曲線Rは、XY曲線Q上にある複数の基点Pそれぞれから、ほぼZ軸方向に伸びる曲線からなる。図1においては、例として、上記した基点P-5〜P6それぞれから、Z軸方向に伸びる12本のXZ曲線R-5〜R6が示されている。
【0025】以下、これらの複数の基点P、XY曲線Q、及び複数のXZ曲線Rの生成を含む反射面RSの設計を実行するための反射面設計方法について説明する。
【0026】ここで、光源位置Fに配置された光源バルブから供給された光(入射光)の反射面RSへの入射角度α、及び反射面RSで反射された反射光の光軸Axからみた反射角度βについて、図2を用いて定義しておく。
【0027】入射角度α及び反射角度βは、図2に示すように、光軸AxであるX軸に対してXY平面上で定義される。入射角度αは、光源位置FからXY曲線Q(反射面RS)上の点Aへの入射光の光路とX軸とがなす角度によって、X軸の負の方向を0°として定義される。また、反射角度βは、XY曲線Q上の点Aからの反射光の光路とX軸とがなす角度によって、X軸の正の方向を0°として定義される。図2においては、XY曲線Q上の点A1、A2において、入射角度がα1、α2、反射角度がβ1、β2でそれぞれ反射される2つの光路l1、l2を、例として示してある。
【0028】図3は、本発明による車両用灯具の反射鏡の反射面設計方法の一実施形態を示すフローチャートである。なお、以下においては、反射面RSのうち、Y≧0かつZ≧0のYZ平面での第1象限内にある面部分(図1での右上部分)の反射面形状の生成を例として説明する。ただし、他の象限内の面部分についても、同様な方法で面形状を生成することができる。それらの各面部分については、第1象限について求められた面形状をそのまま用いても良いし、それぞれ別々の面形状として生成し、それらを合わせて全体の反射面形状とすることも可能である。
【0029】図3に示す反射面設計方法においては、まず、反射面RSの設計の基本的な諸条件(パラメータ)を設定する(S100)。この基本的なパラメータとしては、光源位置FのX座標、及び始点での焦点距離f0などがある。また、必要に応じて、反射面RSの上端、下端のZ座標なども設定される。ただし、光源位置FのX座標は通常では0として、反射面形状の生成に用いる座標系の原点が光源位置Fとされる。
【0030】続いて、XY曲線Q、複数のXZ曲線R、及び反射面RSの面形状の生成に用いられる複数の基点Pの基点個数を指定する(S101)。
【0031】基点個数が指定されたら、XY平面上に設定される複数(ここでは、n+1個)の基点P0〜Pnについて、それぞれのY軸方向の位置を指定する(S102)。このY軸方向の位置は、例えば、各基点のY座標によって指定することが好ましい。あるいは、各基点での光源位置Fからの光の入射角度αによって指定しても良い。ここでは、各基点P0〜PnのY座標y0〜ynによってY軸方向の位置が指定されたものとする。ただし、全体の始点である基点P0のY座標は、y0=0である。また、他の基点P1〜PnのY座標は、条件yi-1<yi(i=1〜n)を満たすように、光軸Ax側から順に指定される。
【0032】次に、基点P0〜Pnについて、それぞれの基点Pi(i=0〜n)において光源位置Fからの入射光が反射される方向となる反射方向を指定する(S103)。この反射方向は、例えば、各基点で反射される反射光の光軸Axからみた反射角度βによって指定することが好ましい。あるいは、灯具から所定距離を置いた面での配光パターンにおける位置によって指定しても良い。ここでは、各基点P0〜Pnでの反射角度β0〜βnによって反射方向が指定されたものとする。
【0033】各基点P0〜Pnに対するY座標y0〜yn及び反射角度β0〜βnの指定が終了したら、複数の基点P0〜PnそれぞれのXY平面上での位置を決定するとともに、決定された基点P0〜Pnそれぞれの位置に基づいて、XY平面上の第1基本曲線となるXY曲線Qを生成する(S104、第1基本曲線生成ステップ)。それぞれの基点Piの位置は、その基点Piに対して指定されたY座標yi、反射角度βi、及び隣接する基点Pi-1またはPi+1の位置などを参照して決定される。また、XY曲線Qは、例えば、得られた基点P0〜Pnをなめらかに接続することによって生成される。
【0034】XY曲線Qが生成されたら、続いて、生成されたXY曲線Qに対して、基点P0〜PnそれぞれからほぼZ軸方向に伸びる複数の第2基本曲線となるXZ曲線R0〜Rnを生成する(S105、第2基本曲線生成ステップ)。本実施形態においては、上記のように位置が決定された基点P0〜Pnが第1基本曲線上に存在して第2基本曲線の生成に用いられる複数の所定点として用いられる。各XZ曲線Riは、所定点である基点Piを含むと共に、基点Piでの反射方向に平行で、かつ、XY平面に垂直な平面(第2基本平面)上に、基点Piを通る所定形状の曲線(例えば、放物線や双曲線)によって生成される。
【0035】XY曲線Q、及び複数のXZ曲線R0〜Rnを生成したら、それらの曲線Q、R0〜Rnに基づいて、反射面RSの面形状を生成する(S106、面形状生成ステップ)。以上によって、反射面RSの設計を終了する。
【0036】なお、図1においては、反射面RSの面形状を、その外形が光軸Axの方向からみて略長方形として示しているが、最終的に反射鏡として作成される反射面の外形は、車体側から課せられる形状制約条件などの諸条件に基づいて決定される。この場合、上記した面形状の生成を終了した後、反射面RSの実際の外形形状(デザイン形状)に合わせて不要な部分を削除するトリム化が行われる。
【0037】上記した反射面設計方法においては、X軸(光軸Ax)及びY軸を含むXY平面(例えば水平面)上の単一のXY曲線Qと、XY曲線Q上の点からほぼZ軸方向(例えば垂直方向)に伸びる複数のXZ曲線Rとを反射面RSの骨格として生成し、それらに基づいて曲面を張ることによって反射面RSの面形状を生成している。このように、骨格となるXY曲線(第1基本曲線)及び複数のXZ曲線(第2基本曲線)を反射面設計に用いることにより、その設計作業の効率が向上される。
【0038】また、複数のXZ曲線Rそれぞれの生成に用いる所定点として、XY平面上に、指定された基点個数、Y座標(基点位置)、及び反射角度(反射方向)に基づいてそれぞれの位置が決定される複数の基点Pを設定している。これによって、各基点及びXZ曲線に対して、位置や反射条件に関するパラメータを指定して反射面形状の生成を指示することが可能となり、配光パターンの制御性が向上される。
【0039】特に、各基点Pにおける面形状を曲率や焦点距離などによって指定せず、その基点Pでの光の反射条件となる反射方向によって指定している。このとき、パラメータとして用いられる反射角度などの反射方向は、得られる配光パターンに直接的に対応するパラメータとなるので、要求される配光パターンに対応した反射面形状の設計が容易化される。
【0040】また、第2基本曲線生成ステップ(S105)において、それぞれのXZ曲線Riを各基点Piに対して指定された反射方向に平行で、かつ、第1基本平面であるXY平面に直交する第2基本平面(XZ平面から反射方向に傾いた平面)上に生成している。このとき、XZ曲線Ri全体が指定された反射方向を向き、XZ曲線Ri上の各点からの反射光が、ほぼ同一の反射方向に出射されることとなる。したがって、各XZ曲線Riと、得られる配光パターンでの各パターン部分との対応が単純化されるので、配光パターンの制御性がさらに向上される。
【0041】図3のフローチャートに示した反射面設計方法におけるXY曲線の生成方法(S104)、複数のXZ曲線の生成方法(S105)、及び反射面RSの面形状の生成方法(S106)について、その具体的な実施例とともに説明する。
【0042】まず、XY曲線の生成方法について、図4及び図5を参照して説明する。図4は、XY曲線の生成方法の一実施例を示すフローチャートである。また、図5は、図4に示したXY曲線の生成方法を説明する図である。
【0043】図4のフローチャートに示すXY曲線の生成方法では、指定された分割数n(基点個数n+1)によって、XY曲線Qをn本のXY曲線Qi(i=1〜n)に分割して、XY曲線の生成を行っている。また、基点Piの決定、及びXY曲線Qiの生成の順序としては、最も内側(光軸Ax側)でX軸上の基点P0から、外側に向かって順次行うこととしている。
【0044】最初に、i=0として、XY曲線Q全体の始点となる基点P0(x0,y0)=(x0,0)の位置を決定する(S200)。このX軸上にある基点P0の位置は、指定された光源位置F(通常は(0,0))及び焦点距離f0から、ただちに決定される。なお、パラメータとして設定された焦点距離f0は、この基点P0の位置決定に用いられ、他の基点の位置決定には、直接は用いられない。
【0045】基点P0の位置が決定されたら、i=1として(S201)、基点Piの決定、及びXY曲線Qを分割したXY曲線Qiの生成(i=1〜n)を開始する(S202)。ここで、基点Pi及びXY曲線Qiに対して指定されているパラメータとしては、基点PiのY軸方向の位置を指定するY座標yi、及び基点Piでの光の反射方向を指定する反射角度βiがある。
【0046】図5は、基点番号iでの基点Piの決定方法、及びXY曲線Qiの生成方法を示している。この図5に示すように、既に位置の決定を終了している基点Pi-1を始点Psとし、これから位置を決定する基点Piを終点Peとする(S203)。このとき、始点Psの位置(xs,ys)=(xi-1,yi-1)は、いずれも既知、終点Peの位置(xe,ye)=(xi,yi)は、yeが指定されていて既知、xeが未知である。また、始点Psでの入射角度αs=αi-1及び反射角度βs=βi-1は、いずれも既知、終点Peでの入射角度αe=αi及び反射角度βe=βiは、αeが未知、反射角度βeが指定されていて既知である。
【0047】次に、基点P0〜Ps間で既に生成されているXY曲線Q1〜Qi-1を、指定されているパラメータ条件を満たすように終点Peに向けて延長する。そして、基点Pi=Peの位置を決定するとともに、基点Ps〜Pe間のXY曲線Qiを生成する(S204)。
【0048】基点Piの位置の決定、及びXY曲線Qiの生成を終了したら、i=nであるかどうかを判断する(S205)。i<nであれば、位置が決定されていない基点があるので、i=i+1として(S206)、次の基点の決定、及びXY曲線の生成を行う。i=nであれば、すべての基点Pi(i=0〜n)の決定、及びXY曲線Qi(i=1〜n)の生成を終了しているので、得られたXY曲線Qiから全体のXY曲線Qを生成して(S207)、基点の決定及びXY曲線の生成を終了する。
【0049】続いて、XZ曲線の生成方法について説明する。図6は、XZ曲線の生成方法の一実施例を示すフローチャートである。また、図7は、図6に示したXZ曲線の生成方法を説明する図である。
【0050】図6のフローチャートに示すXZ曲線の生成方法では、各基点Piに対して指定された反射方向に平行で、かつ、XY平面(第1基本平面)に直交するUZ平面(第2基本平面、XZ平面から反射方向に傾いた平面)を設定し、そのUZ平面上で、XZ曲線Riの生成を行っている。このUZ平面は、各基点Piごとに設定される。また、XZ曲線Riの生成の順序としては、最も内側(光軸Ax側)でXZ平面上のXZ曲線R0から、外側に向かって順次行うこととしている。
【0051】i=0として(S301)、XZ曲線Riの生成(i=0〜n)を開始する(S302)。ここで、XZ曲線Riに対して指定されているパラメータとしては、既に決定されている基点Piの位置(xi,yi)、及びXZ曲線Ri(基点Pi)での光のY軸方向での反射方向を指定する反射角度βiがある。
【0052】あるいは、上端反射角度、下端反射角度、上下調整係数、前後調整係数などがさらに指定されている場合もある。それぞれについて順に説明すると、上端反射角度、下端反射角度とは、XZ曲線の端点におけるZ軸方向での反射角度をいう。この反射角度を指定してXZ曲線上の各点における反射角度を調整することによって、配光パターンの上下方向への広がりを調整することができる。なお、図7に示す例では、XZ曲線Riの上端は点Ti、下端はXY平面上の基点Piである。
【0053】また、上下調整係数、前後調整係数とは、XZ曲線の位置又は形状を上下方向、前後方向に調整するための係数である。これらの調整係数を指定してXZ曲線を調整することにより、配光パターンの上下位置や広がりを調整することができる。
【0054】まず、XZ曲線Riの生成に用いるUiZ平面を設定する(S303)。図7は、基点番号iでのXZ曲線Riの生成方法を示している。この図7に示すように、X軸、Y軸、及びZ軸からなる座標軸に対して、X軸に代えてUi軸を、また、Y軸に代えてVi軸を設定する。Ui軸は、基点Piでの反射角度βiで指定される反射方向に平行で、Z軸に直交する軸として設定される。また、Vi軸は、Ui軸及びZ軸に直交する軸として設定される。そして、このUi軸及びZ軸から、基点Piを含む平面として、図7に示すUiZ平面が設定される。
【0055】次に、XZ曲線Riを生成するのに必要な形状パラメータを決定する(S304)。例えば、XZ曲線Riを放物線によって生成する場合には、光源位置F及び基点Piの位置関係や、基点Piに対して指定されている反射方向などを参照して、必要な形状パラメータとして放物線の焦点距離fiなどが決定される。また、XZ曲線Riの上端、下端での反射角度や調整係数などがデフォルト値以外に指定されていれば、それらに基づいて形状パラメータの決定または調整が行われる。この場合、曲線としては、放物線に限らず、必要に応じて他の2次曲線や3次以上の曲線などが用いられる。
【0056】特に、3次以上の曲線とした場合には、曲線形状の微調整を行うために好適である。また、3次曲線は、4次以上の高次の曲線に比べて複雑な計算を要しないという利点もある。なお、曲線の決定にあたっては、基点Piの座標を一旦原点にシフトさせて曲線を決定した後に、決定された曲線を元の基点Piに戻す方法によって曲線を形成することが計算上、好適である。
【0057】形状パラメータの決定を終了したら、その形状パラメータに基づいて、UiZ平面上で、放物線または3次以上の曲線などによってXZ曲線Riを生成する(S305)。
【0058】XZ曲線Riの生成を終了したら、i=nであるかどうかを判断する(S306)。i<nであれば、生成されていないXZ曲線があるので、i=i+1として(S307)、次のXZ曲線の生成を行う。i=nであれば、すべてのXZ曲線Ri(i=0〜n)の生成を終了しているので、得られた複数のXZ曲線Riから反射面RSの面形状を生成して(S308)、XZ曲線の生成及び反射面形状の生成を終了する。
【0059】なお、反射面RSの面形状の生成については、すべてのXZ曲線の生成を終了してから全体として面形状の生成を行っても良いが、XY曲線Qを分割したXY曲線Qiと同様に、反射面RSをn個の部分曲面RSi(i=1〜n)に分割し、各XZ曲線Riの生成が終了するごとに順次面形状を生成しても良い。具体的には、例えば、XZ曲線R0〜R1間に部分曲面RS1を生成し、次いで、これにつながるようにR1〜R2間に部分曲面RS2を生成する。以降、部分曲線RSiの生成を繰り返すことによって、複数の部分曲面RSiからなる反射面RSの面形状を生成する。図7においては、生成が終了したXZ曲線Riと、既に生成されているXZ曲線Ri-1との間での反射面RSiの面形状の生成が示されている。
【0060】上述した反射面設計方法は、例えば、以下に示す構成の反射面設計システムに適用することができる。図8は、本発明による車両用灯具の反射鏡の反射面設計システムの一実施形態の構成を示すブロック図である。
【0061】図8に示す反射面設計システム1は、反射面RSの設計に用いられるパラメータを設計者に入力させるパラメータ入力部2と、入力されたパラメータに基づいて反射面RSを生成する反射面生成部3とを備えて構成されている。
【0062】パラメータ入力部2は、基点個数(分割数)や、各基点P0〜PnのY座標y0〜yn、及び各基点P0〜Pnでの反射角度β0〜βn等の各パラメータを入力させる機能を有している。これらの各パラメータを入力することによって、図3のフローチャートにおける各指定ステップS101〜S103を実行させることができる。また、パラメータ入力部2は、反射面RSの設計に先立って設定される光源位置FのX座標や始点での焦点距離f0などの基本的なパラメータ(S100参照)を入力させる機能を有する構成としても良い。
【0063】反射面生成部3は、各基点P0〜Pnの位置を決定するとともにXY曲線Qを生成するXY曲線生成部(第1基本曲線生成部)31と、XZ曲線R0〜Rnを生成するXZ曲線生成部(第2基本曲線生成部)32と、生成されたXY曲線Q及びXZ曲線R0〜Rnに基づいて反射面RSの面形状を生成する面形状生成部33とを有している。これらの各生成部31〜33によって、それぞれ図3のフローチャートにおける各生成ステップS104〜S106を実行させることができる。
【0064】また、本実施形態の反射面設計システム1は、反射面RSの設計に用いられる設計画面を設計者に表示する設計画面表示部(ディスプレイ)4と、設計画面を作成するとともにその表示を設計画面表示部4に指示する画面表示指示部5とをさらに備えている。
【0065】尚、図8に示す反射面設計システム1を具現化するには、XY曲線、複数のXZ曲線、及び反射面形状等を生成するCPU、システム1の処理動作に必要なプログラム等が記憶されたROM、プログラム実行中に一時的にデータが記憶されるRAM、ハードディスク等の外部記憶装置、マウスやキーボード等の入力装置、及び、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ等の表示装置等のハードウエアが利用される。
【0066】上記した反射面設計システムにおいては、上述した反射面設計方法を適用するとともに、基点個数、Y座標、及び反射角度の各パラメータを、それぞれ設計者に入力させることによって指定している。
【0067】このように、反射面設計時に各パラメータを入力させる構成とすることによって、例えば、各基点のY軸方向の位置を、適宜間隔を変えつつ指定するなど、それぞれの灯具での具体的な条件などを考慮して、最適なパラメータを指定することが可能となる。
【0068】ただし、これらの各パラメータは、例えば、各基点のY軸方向の位置をY軸に対して等間隔に指定するなど、適当なパラメータの指定方法をあらかじめ定めておいて、自動的に指定を行うことも可能である。あるいは、パラメータ入力部2より基点個数、基点位置、反射方向等を入力させるのではなく、これらの情報をデータベースに記憶させておき、反射面生成部3がデータベース内の記憶情報を読み出すようにしてもよい。
【0069】図8に示す反射面設計システム1のように、各パラメータを設計者に入力させる場合には、設計画面表示部4に入力画面を表示し、これを参照して形状パラメータを入力させることができる。図9に、このような入力画面の構成の一例を示す。この入力画面40は、複数の基点Pについて、基点個数の入力を指示し、または入力された基点個数を表示する基点個数表示領域41と、複数の基点P及びXY曲線Qについてのパラメータの入力を指示するとともに、入力されたパラメータを表示するXY曲線パラメータ表示領域42と、XZ曲線Rについてのパラメータの入力を指示するとともに、入力されたパラメータを表示するXZ曲線パラメータ表示領域43とを有して構成されている。
【0070】また、この入力画面40には、光源位置(X方向)、反射面上端(Z方向)、反射面下端(Z方向)、及び焦点距離についても、それぞれ表示領域が設けられている。また、基点個数表示領域41においては、XY曲線Qの分割数によって基点個数(基点個数=分割数+1)が指定(図9では分割数=9、基点個数=10)されている。
【0071】また、XY曲線パラメータ表示領域42は、XY曲線Q及び複数のXZ曲線Rの生成に用いられる複数の基点Pのそれぞれに対して、各パラメータを指定するように構成されている。具体的には、各基点Pの番号(0〜9)を表示する領域42aと、各基点PのY座標の入力を指示する領域42bと、各基点Pでの反射角度の入力を指示する領域42cとを有して構成されている。
【0072】同様に、XZ曲線パラメータ表示領域43は、複数のXZ曲線Rの生成に用いられる複数の基点Pのそれぞれに対して、各パラメータを指定するように構成されている。具体的には、各基点Pの番号(0〜9)を表示する領域43aと、各基点Pから伸びるXZ曲線Rの上端での反射角度の入力を指示する領域43bと、各基点Pから伸びるXZ曲線Rの下端での反射角度の入力を指示する領域43cと、各基点Pから伸びるXZ曲線Rに対する上下調整係数の入力を指示する領域43dと、各基点Pから伸びるXZ曲線Rに対する前後調整係数の入力を指示する領域43eとを有して構成されている。
【0073】図9においては、入力画面40は、それぞれの領域内の各入力欄に、入力されるパラメータ値の例が表示された状態で示されている。また、これらの表示領域内の各入力欄は、設計者がパラメータ値を入力する前では、空欄またはデフォルト値が表示された状態で示される。
【0074】本発明による車両用灯具の反射鏡の反射面設計方法は、上記した実施形態及び実施例に限られるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、各基点及びXZ曲線に対する各パラメータについては、各基点のY座標及び反射角度によって指定する上記の方法に限られない。また、XZ曲線及び反射面の各部分曲面を生成する順序については、外側の基点から内側に向かって実行しても良い。
【0075】
【発明の効果】本発明による車両用灯具の反射鏡の反射面設計方法は、以上詳細に説明したように、次のような効果を得る。すなわち、第2基本曲線生成ステップにおいては、第1基本曲線の基点における光の反射方向に平行な平面上に第2基本曲線を生成することとしているので、それぞれの第2基本曲線の全体が光の反射方向を向き、第2基本曲線上の各点からの反射光が、ほぼ同一の反射方向に出射されることとなる。これにより、各第2曲線と、得られる配光パターンでの各パターン部分との対応が単純化されるので、配光パターンの制御性が向上される。
【出願人】 【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
【出願日】 平成12年12月18日(2000.12.18)
【代理人】 【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹 (外4名)
【公開番号】 特開2002−184214(P2002−184214A)
【公開日】 平成14年6月28日(2002.6.28)
【出願番号】 特願2000−383961(P2000−383961)