| 【発明の名称】 |
発光素子および映像表示装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】宮浦 智子
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| 【要約】 |
【課題】光を吸収して別の光を発する発光素子であって、発する光の強度が高く、指向性も高いものを提供する。
【解決手段】微量の希土類元素を含みアルミン酸塩を主成分とする薄膜を発光部とし、発光部が発する可視光を反射する反射膜で発光部を取り囲んで、反射膜に光を射出するための開口を設ける。発光部は先細りの部位を有する形状とし、発光部の側面のうち先細りの部位の先端部に、反射膜の開口を対向させる。反射膜に、エネルギー源となる近紫外光を透過させる特性をもたせるか、あるいは、近紫外光も反射する特性をもたせて、近紫外光を透過させる開口を別途設ける。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 第1の光を吸収して、そのエネルギーにより第2の光を発する膜状ないし板状の発光部と、開口を有し、開口が対向する部分を除いて発光部の全体を取り囲み、第2の光を反射する反射膜を備えることを特徴とする発光素子。 【請求項2】 反射膜が第1の光を透過させることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。 【請求項3】 反射膜が発光部の厚さ方向に沿う面の一部分に対向する開口のみを有することを特徴とする請求項2に記載の発光素子。 【請求項4】 反射膜が発光部の厚さ方向に沿う面の一部分に対向する開口と、発光部の厚さ方向に垂直な面の一部分に対向する開口を有することを特徴とする請求項1に記載の発光素子。 【請求項5】 発光部が厚さ方向から見て先細りの部位を有し、発光部の厚さ方向に沿う面のうち反射膜の開口が対向する部分が先細りの部位の先端面となっていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の発光素子。 【請求項6】 発光部が希土類元素を含みアルミン酸塩を主成分とする薄膜であることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。 【請求項7】 アルミン酸塩がアルミン酸ストロンチウム、アルミン酸カルシウムのいずれかであり、希土類元素がディスプロシウム、ネオジウムのいずれかとユーロピウムであることを特徴とする請求項6に記載の発光素子。 【請求項8】 反射膜が銀、アルミニウム、白金、ニッケル、パラジウムの単層もしくは誘電体の多層、またはこれらの組み合わせより成ることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。 【請求項9】 映像を表示する液晶パネルと、液晶パネルの周囲に配置された請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の複数の発光素子と、液晶パネルに対向して配置され、発光素子が発した光を拡散して液晶パネルに導く拡散板を備えることを特徴とする映像表示装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、光を吸収してそのエネルギーにより別の光を発する発光素子、特に、受光終了後も光を発する発光素子に関し、映像表示装置等の照明用光源として利用される。 【0002】 【従来の技術】光をエネルギーとして吸収し、そのエネルギーにより別の光を発する材料が古くから知られている。このうち、吸収したエネルギーを蓄積しておき、受光終了後も継続して光を発する蓄光性材料は、従来より夜光塗料として標識等に用いられている。蓄光性材料の代表的なものに、希土類元素を微量に含むアルミン酸塩のセラミックスがある。この蓄光性セラミックスは、微量添加物である希土類元素の電子の一部が、主として紫外ないし近紫外の光のエネルギーを吸収して励起し、基底準位に戻る際にエネルギーを可視光として放出することで蓄光現象を示す。 【0003】蓄光性セラミックスは焼結工程を経て製造されるため、塊状または板状であり、粉砕により粒状または粉状とされる。粒状や粉状の蓄光性セラミックスは、塗料と混合して物体の表面に塗布するのが一般的な使用方法である。用途によっては、粒体または粉体を高温高圧下で再結合させて、あるいは透明な樹脂で固めて板状とすることもある。 【0004】近年では、消費電力低減のために、映像表示装置の照明用光源として蓄光性セラミックスを用いることが提案されている。例えば、特開平8−152622号公報には、蓄光性セラミックスを塗布した板を液晶パネルの背面に配置した構成が開示されており、特開平8−262439号公報には、蓄光性セラミックスの粉体を含有する層を液晶パネルの背面に配置するとともに、これに光を導く導光部材を液晶パネルの周囲に配置した構成が開示されている。これらの構成では、蓄光性セラミックスを塗布した板や蓄光性セラミックスの粉体を含有する層が大面積の発光素子として機能し、その光をバックライトとして利用することができる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】ところが、蓄光現象を利用した従来の発光素子は、各部位が発する光を直接外部に導くため、蓄光性材料の発する光の強度がそのまま、提供する光の強度となる。実際には、蓄光性セラミックスの発光強度はあまり高くないため、上記のように蓄光性セラミックスを蓄光性材料とする発光素子をバックライト光源として用いると、消費電力をある程度低減することは可能であるものの、暗い環境では、他の光源を併用しなければ、実用的な明るさで映像を提供することはできない。 【0006】レンズ等の光学素子を用いて発光素子が発した光を集光し、強度を高めることは可能である。しかし、そのためには発光素子の面積に応じた大口径の光学素子が必要になる。 【0007】また、蓄光現象を利用した従来の発光素子が発する光はあらゆる方向に進む。すなわち、発光素子が発した光には指向性がない。このため、発した光を効率よく利用するには、照明対象面に近接して発光素子を配置する必要があり、発光素子の配設位置に大きな制約がある。しかも、総発光量を増すために発光素子を大きくしても、照明対象面の照明に寄与し得るのは照射対象面に対向する部位のみに限られるから、発光素子を照射対象面よりも大面積とすることには意味がない。 【0008】本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、発する光の強度が高く、指向性も高い発光素子を提供することを目的とする。また、消費電力が少なく、明るい映像を提供することが可能な映像表示装置を実現することを目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明では、発光素子は、第1の光を吸収して、そのエネルギーにより第2の光を発する膜状ないし板状の発光部と、開口を有し、開口が対向する部分を除いて発光部の全体を取り囲み、第2の光を反射する反射膜を備えるものとする。 【0010】発光部は第2の光を反射する反射膜によって取り囲まれており、反射膜の開口が対向する部分のみが露出している。発光部が発した光の一部は開口に直接達して出射し、残りは反射膜によって1回または複数回反射された後、開口に達して出射する。したがって、発光部が発した光は集光されることになり、また、出射の方向も限定されることになる。つまり、提供する光の強度が高く、指向性も高い発光素子となる。発光部は、第1の光のエネルギーを吸収して第2の光を発するものであれば、蓄光現象を示すものであっても、単に蛍光現象を示すものであってもよい。 【0011】ここで、反射膜は第1の光を透過させるものとするとよい。このようにすると、エネルギー源となる光を反射膜を介して発光部に導き入れることができ、あらゆる方向からの光を利用することが可能な発光素子となる。反射膜に第1の光を透過させ第2の光を反射する特性をもたせることは、両光の波長の違いを利用すれば容易である。 【0012】この場合、反射膜が発光部の厚さ方向に沿う面の一部分に対向する開口のみを有するものとすることができる。この構成では、出射する光の垂直方向(発光部の厚さ方向)の広がりが小さくなり、指向性をさらに高めることができる。 【0013】反射膜は発光部の厚さ方向に沿う面の一部分に対向する開口と、発光部の厚さ方向に垂直な面の一部分に対向する開口を有するものとしてもよい。発光部の厚さ方向に垂直な面は広いから、これに対向する開口は大きくすることができ、この開口から光を発光部に導き入れることが可能である。したがって、必ずしも反射膜に第1の光を透過させる特性をもたせる必要はない。反射膜に第1の光を透過させる特性をもたせなくても、開口より入射した光は反射膜で反射されて発光部のほとんどの部位に達するため、発光効率は高い。発光部の厚さ方向に沿う面に対向する開口から出射する光の指向性が高いことは、厚さ方向に垂直な面に対向する開口がない場合と同様である。 【0014】発光部の厚さ方向に沿う面に対向する開口を反射膜が有する構成では、発光部が厚さ方向から見て先細りの部位を有し、発光部の厚さ方向に沿う面のうち反射膜の開口が対向する部分が先細りの部位の先端面となっている形状とするとよい。先細りの形状により、出射する光の水平方向(発光部の厚さ方向に垂直な方向)の広がりが小さくなり、指向性を一層高めることができる。 【0015】発光部は希土類元素を含みアルミン酸塩を主成分とする薄膜とするとよい。蓄光性を有する発光素子となる。ここで、薄膜は、セラミックスのように粒体や粉体の集合ではなく、原子、原子団または分子が密につまった固体状態であり、空隙がなく、組成の均一度が高く、透明度も高い。したがって、発光部は、どの部位にも第1の光が達し、また、どの部位も蓄光現象を示し得る効率のよいものとなる。しかも、発した第2の光が発光部内で減衰するのも抑えられる。このため、発光部を蓄光性セラミックスとする場合よりも、強度の高い光を提供することができる。 【0016】この場合、アルミン酸塩はアルミン酸ストロンチウム、アルミン酸カルシウムのいずれかとし、希土類元素はディスプロシウム、ネオジウムのいずれかとユーロピウムとするとよい。アルミン酸のストロンチウム塩やカルシウム塩は透明度の高い薄膜となり、ディスプロシウム、ネオジウム、ユーロピウムは光エネルギーの吸収とエネルギーの可視光としての放出に適している。ユーロピウムは賦活剤として、ディスプロシウムやネオジウムは共賦活剤として機能する。 【0017】反射膜は銀、アルミニウム、白金、ニッケル、パラジウムの単層もしくは誘電体の多層、またはこれらの組み合わせとするとよい。これらの金属は成膜が容易であり、特に銀は、その厚さにより、波長の異なる光を選択的に透過させたり反射したりすることができる。多層の誘電体も光を波長に応じて透過させたり反射したりするのに適する。 【0018】前記目的を達成するために、本発明ではまた、映像表示装置は、映像を表示する液晶パネルと、液晶パネルの周囲に配置された上記のいずれかの複数の発光素子と、液晶パネルに対向して配置され、発光素子が発した光を拡散して液晶パネルに導く拡散板を備えるものとする。 【0019】この映像表示装置は、発光素子が発した光を液晶パネルのバックライトとして利用する。発光素子は、液晶パネルの周囲に配置されているから、液晶パネルを透過した光ではなく、外界の光を直接受ける。このため、発光のエネルギー源となる光は減衰しておらず、その強度は高い。しかも、発光素子は、上述のように、効率よく光エネルギーを吸収し、発した光を効率よくかつ集光して出射させる構成である。さらに、発光素子の数には制約がなく、発光部の総面積を液晶パネルの面積より大きくすることもできる。したがって、発光素子からの光をバックライトとして利用するだけで明るい映像を提供することが可能であり、消費電力も抑えられる。環境が暗いときには補助のバックライト光源が必要になることもあるが、希土類元素を含みアルミン酸塩を主成分とする薄膜を発光部とすることで、補助光源の点灯が必要になる時間を短縮することも可能である。 【0020】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。第1の実施形態の発光素子1の斜視図を図1に示し、図1のA−A’での断面図を図2に示す。図1のうち実線で示した部分が発光素子1である。図2に示すように、発光素子1は、発光部11、発光部11の略全体を取り囲む反射膜12、発光部11および反射膜12を支持する基板14、ならびに反射膜12および基板14の上面を覆う保護膜16より成る。 【0021】発光部11は、希土類元素を微量に含みアルミン酸塩を主成分とする薄膜11aであり、蓄光性を有する。薄膜11aのアルミン酸塩はアルミン酸(HxAlyOz)のアルカリ土類金属等の金属塩である。具体的には、ストロンチウム(Sr)またはカルシウム(Ca)の塩、SrAl2O4、Sr4Al14O25またはCaAl2O4である。希土類元素としては、ディスプロシウム(Dy)、ネオジウム(Nd)のいずれかと、ユーロピウム(Eu)とを用いている。ユーロピウムは光のエネルギーを吸収する賦活剤となり、ディスプロシウムやネオジウムはエネルギーの光としての放出に関与して発光を長時間保つ共賦活剤となる。希土類元素は蓄光性を示すに足る1〜5%の濃度で含まれている。 【0022】薄膜11aは、254nmを中心とする波長域の光(近紫外光)のエネルギーを吸収して可視光を発するが、発する光の波長は構成成分によって異なる。例えば、SrAl2O4:Eu、Dyでは波長520nmの緑色光、Sr4Al14O25:Eu、Dyでは波長490nmの青緑色光、CaAl2O4:Eu、Ndでは波長440nmの青色光を発する。 【0023】よく知られているように、薄膜は原子、原子団または分子が密につまった固体状態であって、粒体や粉体の集合とは異なり、空隙がなく、組成の均一度が高く、透明度も高い。薄膜11aもこのような性状を有しており、密度高く充填した透明なアルミン酸塩に希土類元素が均一に分布している。したがって、薄膜11aは、どの部位でも効率よく光を吸収することが可能であり、また、発した光をほとんど減衰させることなく外部に放射することができる。薄膜11aの厚さは2μm程度である。 【0024】反射膜12は、アルミニウム(Al)の膜12aと、銀(Ag)の膜12bより成る。アルミニウム膜12aは、発光部11である薄膜11aと基板14の間に位置して薄膜11aの下面と側面を覆うが、開口13を有しており、薄膜11aの側面の一部分を開口13から露出させる。アルミニウム膜12aは、厚さが0.1μm程度であり、薄膜11aが吸収する近紫外光と薄膜11aが発する可視光をほとんど反射する。 【0025】銀膜12bは薄膜11aの上面を覆う。銀膜12bの厚さは0.05μm程度である。銀は、波長321.5nmで半透明となり、紫外光に対しては透過率が高く、可視光に対しては反射率が高いという特性を有する。したがって、銀膜12bは、薄膜11aが吸収する近紫外光をほとんど透過させ、その一方で、薄膜11aが発する可視光をほとんど反射する。 【0026】基板14はシリコン(Si)の単結晶である。基板14には深さ2μm程度の凹部が形成されており、この凹部にアルミニウム膜12aと薄膜11aが設けられている。したがって、基板14の上面の凹部以外の部位と薄膜11aの上面の高さは略同じである。薄膜11aの上面を覆う銀膜12bは、薄膜11aの周囲の基板14の上面にも設けられているが、これは、発光素子11の製造が複雑化するのを避けるためであって、基板14の上面の銀膜12bは発光素子1の機能には関与しない。 【0027】保護膜16は、厚さ0.1μm程度の酸化シリコン(SiO2)であり、薄膜11aが吸収する近紫外光を透過させるとともに、銀膜12bと基板14の上面を保護する。保護膜16は、これらの機能を果たすものであればよく、酸化シリコン以外の材料で作製することも可能である。 【0028】図1に示すように、上方から見て、発光素子1は略正方形であり、発光部11である薄膜11aは六角形である。ただし、この六角形の一辺はきわめて短く、アルミニウム膜12aの開口13は、薄膜11aの側面のうち、この辺に対応する部分に対向するように設けられている。すなわち、薄膜11aは先細りの部位を有しており、薄膜11aの側面のうち開口13が対向する部分が先細りの部位の先端面となっている。発光素子1の上面の面積は約10mm2であり、薄膜11aの面積は約6.8mm2である。また、上記の一辺の長さは20μm程度であり、したがって、開口13の面積は約4×10-5mm2である。 【0029】発光素子1は、外界からの光に含まれる近紫外光を、保護膜16および銀膜12bを透過させて、薄膜11aに導き入れる。導き入れられた近紫外光は、厚さ2μmの薄膜11aを通過する間に、大部分が吸収される。薄膜11aで吸収されずに残った近紫外光は、アルミニウム膜12aで反射され、再び薄膜11aを通過する間に吸収される。したがって、発光素子1に入った近紫外光のほとんどは薄膜11aによって吸収されることになり、また、薄膜11aのどの部位も近紫外光を吸収することになる。 【0030】近紫外光を吸収した薄膜11aは可視光を発する。この発光は薄膜11aのどの部位でも生じ、また、エネルギー源となる近紫外光が入射しなくなった後も数百分以上継続する。薄膜11aの各部が発した可視光は様々な方向に進み、一部はアルミニウム膜12aの開口13に直接達して、外部に出射する。薄膜11aの各部が発した可視光の大部分は、アルミニウム膜12aまたは銀膜12bに達して反射され、そのうちの一部は開口13に達して出射する。アルミニウム膜12aや銀膜12bで反射された可視光の残りの部分は、再びアルミニウム膜12aまたは銀膜12bに達して反射され、最終的には開口13に達して出射する。 【0031】結局、薄膜11aが発した光は、アルミニウム膜12aの開口13のみから出射し、集光されることになる。また、開口13から出射する光の広がりは、薄膜11aが薄いから、薄膜11aの厚さ方向(上面、下面に垂直な方向)については小さく、薄膜11aが先細り形状になっているため、薄膜11aの厚さ方向に垂直な方向(上面、下面に平行な方向)にも小さい。したがって、発光素子1が射出する光は高い指向性を有する。上述の薄膜11aの面積と開口13の面積から計算すると、発光素子1が射出する光の強度は、反射膜12がない場合に比べて10万倍以上にもなる。 【0032】発光素子1が射出する光の強度の経時変化を図4に示す。これは、発光素子1を太陽光に10分間さらした後、暗箱に収容し、開口13から出射する光の強度を測定した結果を表したものである。光エネルギーの吸収後1分程度で発光強度は大きく低下するものの、1000分経過後でも2mcd/m2(ミリカンデラ/平方メートル)程度の強度の光を得ることができる。 【0033】発光素子1の製造方法について説明する。図5は発光素子1の製造工程の概略を示したフローチャートである。まず、基板4の原板である大きなシリコン板をエッチングにより加工して、原板の上面に多数の凹部を形成する(ステップ#1)。凹部15を形成した原板14’の斜視図を図3に示す。凹部15は、上方から見て五角形であり、90°の頂点を3つと135°の頂点を2つ有し、90°の頂点の1つを通る直線に関して対称である。凹部15は縦3mm、横3mm、深さ2μmの大きさであり、隣合う凹部15間の距離は0.2mm程度である。 【0034】次いで、真空蒸着法により、アルミニウム膜12aを凹部15内に0.1μmの厚さで形成する(#2)。さらに、RFマグネトロンスパッタ法により、微量の希土類元素を含むアルミン塩の薄膜11aを、凹部15内に2μmの厚さで形成する(#3)。RFマグネトロンスパッタリングに際しては、アルミン酸塩の粉末と希土類元素化合物の粉末を混合したものをターゲットとするパウダー法と、アルミン酸塩の板に希土類元素化合物のペレットを載せたものをターゲットとするペレット法の、いずれをも採用することができる。 【0035】薄膜11aの形成後、真空蒸着法により、銀膜12bを薄膜11aおよび基板原板14’の上に厚さ0.05μの厚さで形成し(#4)、銀膜12bを空気にさらすことなく連続して、真空蒸着法により、保護膜16を0.1μmの厚さで形成する(#5)。 【0036】その後、原板14’をダイシングにより切断して、発光素子1の原体を多数得る(#6)。得られる発光素子1の原体は、図1の点線で示した部分を含むものとなる。この原体を研磨して、点線で示した部分を除去し、発光素子1とする(#7)。研磨は凹部15の頂点から10μmの距離まで行う。研磨により凹部15の頂点部に存在していたアルミニウム膜12aと薄膜11aが除去されて、アルミニウム膜12aに開口13が形成され、薄膜11aの側面の一部が鏡面となって外部に露出し、同時に、薄膜11aが一辺のみきわめて短い六角形となる。 【0037】なお、研磨後、基板14の側面に可視光を透過させる膜を設けて、露出した薄膜11aの表面を保護するようにしてもよい。また、ステップ#6で一方向のみに切断し、ステップ#7で一体のままの複数の原体をまとめて研磨し、最後にもう一度切断して個別の発光素子1とすることもできる。最後の切断処理を省略して、複数の発光素子1が1列に並ぶ素子としてもよい。このようにすると、線状光源として使用することができる。 【0038】ステップ#2から#5までの膜形成は、上記の方法に限らず、他の成膜方法で行ってもよい。ただし、微量の希土類元素を含むアルミン塩の薄膜11aは、RFマグネトロンスパッタ法で形成するのがよい。他の方法では、形成されたアルミン酸塩の薄膜に希土類元素がほとんど含まれなくなったり、含まれても均一に分布せずに発光効率が低下したりするからである。 【0039】発光素子1では、近紫外光を透過させて薄膜11aに導き、薄膜11aが発した光を反射するために、銀膜12bを用いているが、誘電体の多層膜をこの目的に使用することもできる。誘電体多層膜は、個々の膜の屈折率や厚さの設定によって透過率や反射率を波長ごとに相違させることが容易であり、銀膜12bに代わる材料として好適である。近紫外光に対する透過率が95%以上で、可視光に対する反射率が95%以上の誘電体多層膜の作製も可能である。ただし、製造効率の観点からは単層の銀膜12bの方が好ましい。 【0040】薄膜11aと基板14の間に位置するアルミニウム膜12aは、薄膜11aが発した光を反射するだけであるから、これに代えて、可視光に対する反射率の高い他の材料を使用してもよい。例えば、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)を用いることができる。これらの金属は、可視光に対する反射率が高い上、真空蒸着法で容易に成膜することができる。 【0041】基板14としてシリコンを用いているのは、異方性エッチングにより上記形状の凹部15を形成するのが容易な材料だからであるが、凹部15は必ずしも五角形とする必要はなく、基板14を他の材料で作製してもよい。凹部15に先細りの部位をもたせさえすれば、その先端部にアルミニウム膜12aの開口13を対向させることが可能であり、発する光の指向性を高めることができる。近紫外光に対して透明な材料で基板14を作製し、反射膜12のうち薄膜11aと基板14の間に位置する部分も銀膜や誘電体多層膜とすれば、上面に限らず、全面から光を薄膜11aに導き入れることが可能なきわめて効率のよい素子となる。 【0042】薄膜11aが発した光を出射させるための開口13は、薄膜11aの側面のどこに対向させてもよいし、薄膜11aの上面や下面に対向させてもよい。しかし、射出する光の指向性を高めるためには、凹部15に先細りの部位をもたせて、その先端部に開口13を対向させるのが、最適な構成であるといえる。また、開口13の大きさは、発光素子1の用途に応じて、自由に設定してかまわない。薄膜11aの厚さも2μmに限る必要はない。 【0043】開口13を有する反射膜12で発光部11の略全体を取り囲む本発明は、微量の希土類元素を含むアルミン塩の薄膜11a以外を発光部11とする構成にも適用可能である。例えば、アルミン塩に微量の希土類元素を含ませて焼成することにより得られる蓄光性セラミックスの薄板、そのような蓄光性セラミックスの粒体や粉体を押圧して板状としたもの、あるいは、蓄光性セラミックスの粒体や粉体を透明な樹脂で固めて板状としたものも、発光部11とすることができる。 【0044】ただし、蓄光性セラミックスは、空隙が多く、組成が不均一であり、透明度も低いため、発光効率が低く、発した光が複数回反射される間に減衰し易い。したがって、強度の高い光を得るには、本実施形態の発光素子1のように、空隙がなく、組成が均一で、透明度も高い薄膜11aを発光部11とするのがよい。 【0045】また、蓄光現象を示さず受光中のみ光を発する蛍光性材料を板状としたものも、発光部11とすることが可能である。外界からの光のうち照明に直接利用できない紫外光等を、照明に利用できるようになる。 【0046】第2の実施形態の発光素子2の断面図を図6に示す。本実施形態の発光素子2は、上記の発光素子1の銀膜12bに代えて、アルミニウム膜12cを備えるとともに、このアルミニウム膜12cの一部に開口13’を設けたものである。他の構成は発光素子1と同様であり、重複する説明は省略する。 【0047】アルミニウム膜12cは、アルミニウム膜12aと同様に、厚さが0.1μm程度であり、薄膜11aが発する可視光を反射するのみならず、薄膜11aが吸収する近紫外光も反射する。開口13’は、薄膜11aの側面に対向する開口13とは異なり、外界からの光を薄膜11aに導き入れるためのものである。したがって、開口13’は、薄膜11aの面積の1/5〜1/3程度の大きさとされている。 【0048】微量の希土類元素を含むアルミン酸塩の屈折率は1.4程度であるから、薄膜11aに対する入射角を45°とすれば、外界からの光の98%を薄膜11aに導き入れることができる。薄膜11aが発した光の一部は開口13’から出射して失われるが、使用条件により外界からの光の方向が定まる場合、本実施形態の発光素子2の方が第1の実施形態の発光素子1よりも強度の高い光を提供できることもある。アルミニウム膜12cに代えて、白金、ニッケル、パラジウム等の膜を備えてもよいことは、前述のとおりである。 【0049】第3の実施形態である映像表示装置3について説明する。映像表示装置3の斜視図および断面図を図7および図8に示す。映像表示装置3は、映像を表示する液晶パネル31、液晶パネル31を照明するための光を発する光源部32、および光源部32からの光を液晶パネル31に導く拡散板33を備えている。拡散板33は、液晶パネル31と同じ大きさを有しており、液晶パネル31の背面に配置されている。拡散板33の背面には反射板34が設けられている。 【0050】光源部32は、第1の実施形態の発光素子1をアレイ状に多数配列したもので、液晶パネル31の周囲に配置されている。各発光素子1は、保護膜16が設けられた上面が液晶パネル31の表面と同じ側を向き、開口13が拡散板33の側面に対向するように配置されている。なお、映像表示装置3の表面全体を平坦にするために、発光部32の上面にはガラスまたは樹脂より成る透明板35が備えられている。この透明板35は発光素子1が発光のエネルギー源とする近紫外光を透過させる。 【0051】発光素子1が発した光は、拡散板33にその側面より入射して拡散され、直接または反射板34で反射されて、液晶パネル31を背面から照明するバックライトとなる。液晶パネル31は、背面からのバックライトを表示した映像によって変調しつつ透過させ、変調後の光を表面側に射出する。これにより、使用者に映像が提供される。 【0052】発光部32に含まれる個々の発光素子1が射出する光は、高い指向性を有しており、全て拡散板33に入射してバックライトとなる。また、一般に液晶パネルは短波長の光を減衰させ易いが、発光部32には、液晶パネル31を透過することにより減衰した光ではなく、外界からの光がそのまま与えられるから、発光部32が利用し得るエネルギーは多い。したがって、映像表示装置3は明るい映像を提供することが可能である。 【0053】しかも、発光素子1が蓄光性を有し、高い発光強度を長時間維持するから、外界からの光がなくなった後でも、実用的に十分な明るさの映像を提供することができる。このため、映像表示装置3は、補助のバックライト光源を備える必要がほとんどなく、補助光源を備える場合でもその点灯時間を短くすることが可能であり、消費電力の少ない装置となる。 【0054】さらに、液晶パネル31の周囲に配置する発光部32の大きさには制約がない。発光素子1の発光効率が高いから、発光部32を小さくしても明るい映像の提供が可能であり、映像表示装置3は、小型化が要求される携帯電話等の携帯式機器の表示手段として好適である。また、発光部32を液晶パネル31の面積以上の大きさとすれば、映像表示装置3は、きわめて明るい映像を提供することが可能な装置となる。 【0055】 【発明の効果】第1の光を吸収して第2の光を発する膜状ないし板状の発光部を、第2の光を反射する反射膜で取り囲み、反射膜に開口を設けた本発明の発光素子では、発した光を内部で反射して反射膜の開口のみから出射させることができるため、強度が高く、指向性も高い光を提供することが可能である。したがって、照明用の光源として好適である。特に、反射膜が第1の光を透過させるようにすると、あらゆる方向からの光を発光のエネルギー源として利用することができて、きわめて効率がよい。 【0056】反射膜の開口が発光部の厚さ方向に沿う面の一部分に対向する構成では、光の垂直方向の広がりが小さくなって、提供する光の指向性が高くなる。さらに、発光部の一部を先細りの形状とし、開口が対向する部分を先細りの部位の先端面とした構成では、光の水平方向の広がりも小さくなり、指向性が一層高くなる。 【0057】希土類元素を含みアルミン酸塩を主成分とする薄膜を発光部とすると、蓄光性を有し、しかも、光エネルギーを効率よく吸収し、発した光を効率よく射出する高強度の発光素子となる。 【0058】また、本発明の映像表示装置は、上記の特徴を有する発光素子をバックライト光源として使用し、しかも、外界からの光を直接受け得る位置に発光素子を配置しており、さらに、発光素子の数に制約がないため、通常の環境では、発光素子が発する光だけで明るい映像を提供すること可能であり、消費電力も抑えられる。発光部に蓄光性をもたせることで、環境が暗くなったときに必要となる補助のバックライト光源の点灯時間を短縮することも可能であり、これにより、消費電力を一層低減することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006079 【氏名又は名称】ミノルタ株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年11月13日(2000.11.13) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100085501 【弁理士】 【氏名又は名称】佐野 静夫 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−150816(P2002−150816A) |
| 【公開日】 |
平成14年5月24日(2002.5.24) |
| 【出願番号】 |
特願2000−344654(P2000−344654) |
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