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【発明の名称】 車両用ヘッドランプ装置
【発明者】 【氏名】鈴木 英治

【要約】 【課題】簡単な取付構造で、長年使用してもリテーナがシェードから外れない車両用ヘッドランプ装置を提供する。

【解決手段】ベースパネル14の切欠部15内に差し込まれる凸部18の先端に、ベースパネル14の反対側面に当接するストッパ部19が形成されているため、光軸方向Sでストロークするプランジャ9から大きな力が加わっても、リテーナ16がベースパネル14から外れることはない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 前端開口に集光レンズが取付けられたホルダーの内部に、ホルダーと一体又は別体で楕円面を基本にした反射面を有するリフレクタを設けると共に、該リフレクタの第1焦点に相当する位置に光源を設け、リフレクタからの反射光を第2焦点を経てから集光レンズにより屈折させて前方へ照射するもので、前記リフレクタの第2焦点の下側位置に、上端部と下端部の間に設定された回動軸を中心に前後回動自在に支持されたハイビームとロービームとを切り換えるシェードを設けると共に、該シェードの下端部付近に光軸方向にストロークするプランジャを備えたソレノイドを設け、該プランジャの先端部を、基部よりも大径で上下方向において断面円形となる形状にし、前記シェードの下端部に、所定の上下幅を有する横長板形状のベースパネルを設け、該ベースパネルに対して、プランジャの先端部に内接して上下方向での回動を可能にすると共にプランジャの基部を通過させる部分を有する形状の溝部がソレノイド側に開放した状態で形成されたリテーナを、取付けた車両用ヘッドランプ装置であって、前記リテーナの反ソレノイド側の端部に、ベースパネルの下端から形成された切欠部内へ下方から差し込まれる凸部を形成すると共に、該凸部の先端に凸部よりも大きくてベースパネルの反対側面に当接するストッパ部を形成し且つリテーナの溝部が下面から上下途中位置までの非貫通状態で形成されていることを特徴とする車両用ヘッドランプ装置。
【請求項2】 請求項1記載の車両用ヘッドランプ装置であって、前記シェードの最適なハイビーム位置で、リテーナの溝部の上面がプランジャの基部に干渉して、それ以上のシェードの回動が規制されることを特徴とする車両用ヘッドランプ装置。
【請求項3】 前端開口に集光レンズが取付けられたホルダーの内部に、ホルダーと一体又は別体で楕円面を基本にした反射面を有するリフレクタを設けると共に、該リフレクタの第1焦点に相当する位置に光源を設け、リフレクタからの反射光を第2焦点を経てから集光レンズにより屈折させて前方へ照射するもので、前記リフレクタの第2焦点の下側位置に、上端部と下端部の間に設定された回動軸を中心に前後回動自在に支持されたハイビームとロービームを切り換えるシェードを設けると共に、該シェードの下端部付近に光軸方向にストロークするプランジャを備えたソレノイドを設け、該プランジャの先端部を基部よりも大径で上下方向において断面円形となる形状にすると共に、シェードの下端部に所定の上下幅を有する横長板形状のベースパネルを設け、該ベースパネルに対して、プランジャの先端部に内接して上下方向での回動を可能にすると共にプランジャの基部を通過させる部分を有する形状の溝部がソレノイド側に開放した状態で形成されたリテーナを、取付けた車両用ヘッドランプ装置であって、前記リテーナの反ソレノイド側の端部に、ベースパネルの上端から形成された切欠部内へ上方から差し込まれる凸部を形成すると共に、該凸部の先端に凸部よりも大きくてベースパネルの反対側面に当接するストッパ部を形成し、且つリテーナの溝部が、上面から上下途中位置までの非貫通状態か、或いは上面から下面に至る上下貫通状態で形成されていることを特徴とする車両用ヘッドランプ装置。
【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用ヘッドランプ装置であって、前記シェードのベースパネルとソレノイドとの間に、引っ張り方向に作用する付勢手段を設けたことを特徴とする車両用ヘッドランプ装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、車両用ヘッドランプ装置、特に照射範囲を切り換えられるプロジェクター型の車両用ヘッドランプ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車のヘッドランプは、通常走行時において、高い位置の光を遠方まで照射するハイビーム(走行ビーム)と、対向車とのすれ違い時等において対向車に眩惑を与えないように低い位置の光を近くに照射するロービーム(すれ違いビーム)を切り換えられるようになっている(類似技術として、特開平10−236222号公報参照)。
【0003】この種のヘッドランプは、前端開口に集光レンズが取付けられたホルダーの内部に、ホルダーと一体又は別体で楕円面を基本にした反射面を有するリフレクタを設け、そのフレクタの第1焦点に相当する位置に光源を設けている。光源からの光は、リフレクタで反射された後、いったん第2焦点で集光されてから、集光レンズで屈折されて、前方へ照射される。
【0004】そして、ホルダーの内部には、上下中間位置に設定された回動軸を中心にして前後回動自在に支持されたシェードが設けられている。このシェードの下端部は、ソレノイドのプランジャに接続され、該プランジャを光軸方向でストロークさせることにより、シェードの上端部が前後に回動する。シェードの上端部が前後に回動することにより、その高さ位置が変化し、リフレクタからの反射光の一部を遮断してハイビームとロービームを切り換えることができる。
【0005】上下中間位置の回動軸を中心にして前後回動自在なシェードの下端部に、ソレノイドのプランジャを接続しているため、光軸方向で直線的にストロークするだけのプランジャの先端部と、光軸方向で円弧軌跡を描くシェードの下端部との間に、両者間の上下方向での位置ずれを吸収するための機構が設けられている。その位置ずれ吸収機構としては、シェードの下端部にプランジャの先端部の上下方向での回動を許容する溝部をリテーナを取付け、このリテーナとプランジャとの間で、両者間の動きの違いを吸収するようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来の技術にあっては、シェードの下端部とプランジャとの間にリテーナを介在させて、両者の動きの違いを吸収するようになっているが、光軸方向でストロークするプランジャからリテーナに対して大きな力が加わるため、長年使用している間にリテーナがシェードの下端部から外れてしまうおそれがある。このような外れを防止するには、リテーナを複数のビスや接着剤等を用いて強固にシェードの下端部へ取付ければ良いが、そうすると今度はリテーナの取付作業が面倒になる。
【0007】この発明は、このような従来の技術に着目してなされたものであり、簡単な取付構造で、長年使用してもリテーナがシェードから外れない車両用ヘッドランプ装置を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、リテーナの反ソレノイド側の端部に、ベースパネルの下端から形成された切欠部内へ下方から差し込まれる凸部を形成すると共に、該凸部の先端に凸部よりも大きくてベースパネルの反対側面に当接するストッパ部を形成し、且つリテーナの溝部が下面から上下途中位置までの非貫通状態で形成されている。
【0009】請求項1記載の発明によれば、ベースパネルの切欠部内に差し込まれる凸部の先端に、ベースパネルの反対側面に当接するストッパ部が形成されているため、光軸方向でストロークするプランジャから大きな力が加わっても、リテーナがベースパネルから外れることはない。また、リテーナの凸部をベースパネルの切欠部内に下から差し込むだけなので取付作業が容易である。リテーナの凸部を下側から差し込んだだけでも、リテーナの溝部が下面から上下途中位置までの非貫通状態のため、溝部の上面がプランジャの先端部により下側から支持され、リテーナの下側への抜けは防止される。
【0010】請求項2記載の発明は、シェードの最適なハイビーム位置で、リテーナの溝部の上面がプランジャの基部に干渉して、それ以上のシェードの回動が規制される。
【0011】請求項2記載の発明によれば、シェードの最適なハイビーム位置で、リテーナの溝部の上面がプランジャの基部に干渉して、それ以上のシェードの回動が規制されるため、ソレノイドのプランジャが仮にオーバーストロークしてもシェードは最適なハイビーム位置で停止する。
【0012】請求項3記載の発明は、リテーナの反ソレノイド側の端部に、ベースパネルの上端から形成された切欠部内へ上方から差し込まれる凸部を形成すると共に、該凸部の先端に凸部よりも大きくてベースパネルの反対側面に当接するストッパ部を形成し、且つリテーナの溝部が、上面から上下途中位置までの非貫通状態か、或いは上面から下面に至る上下貫通状態で形成されている。
【0013】請求項3記載の発明によれば、ストッパ部によりリテーナの外れが防止されること、及びリテーナの取付作業が容易なことは前1項と同様である。リテーナの凸部をベースパネルの切欠部に上側から差し込む構造で、リテーナが下側へ抜けることがないため、リテーナの溝部は非貫通状態でも、貫通状態でも、どちらでも構わない。
【0014】請求項4記載の発明は、シェードのベースパネルとソレノイドとの間に、引っ張り方向に作用する付勢手段を設けた。
【0015】請求項4記載の発明によれば、引っ張り方向に作用する付勢手段を設けたことにより、プランジャの引き込み時におけるベースパネルの状態が安定し、シェードのがたつきが防止される。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、この発明の好適な実施形態を図1〜図7に基づいて説明する。
【0017】図1〜図5は、この発明の第1実施形態を示す図である。この実施形態に係るヘッドランプ1のホルダー2は、前端開口3を有する容器形状をしており、その前端開口3には、外面が非球面の集光レンズ4が取付けられている。ホルダー2の後部は、断面楕円形をしており、その内面に蒸着が施されてリフレクタ5になっている。
【0018】ホルダー2の後端には、バルブホルダ6が設けられ、そこに放電式のバルブ(光源)7が取付けられている。このバルブ7は、メタルハライドランプ等の高圧金属蒸気放電灯や高輝度放電灯(HID)等で、放電部7aは、リフレクタ5の第1焦点Aに位置している。従って、このバルブ7から発せられた光は、リフレクタ5で反射された後、いったん第2焦点Bで集光してから、集光レンズ4により屈折されて前方へ照射される。
【0019】ホルダー2の内部における第2焦点Bの下方位置には、ソレノイド8が固定されている。ソレノイド8の前面には、前後方向(光軸Sに沿った方向)にストロークするプランジャ9が設けられている。プランジャ9の先端部10は、基部よりも大径の球状になっている。
【0020】ホルダー2の内部における第2焦点Bの下方位置には、シェード11が設けられている。このシェード11は、回動軸12を中心にして前後に回動自在に支持されている。シェード11は、回動軸12を中心に、全体が直角に折り曲がった状態になっており、上端部13は、上向きの湾曲形状になっている。下端部は、所定の上下幅を有する横長板形状のベースパネル14が下向きに形成されている。このベースパネル14の中央部には、下端から切欠部15が形成されている。
【0021】このベースパネル14の切欠部15が形成された部分には、リテーナ16が取付けられている。このリテーナ16には、下面から上下途中位置まで非貫通状態の溝部17が形成されている。この溝部17は、プランジャ9の先端部10に内接して上下方向での回動を可能にすると共にプランジャ9の基部を通過させる部分を有する形状を有しており、ソレノイド8側に開放した状態で形成されている。
【0022】このリテーナ16の反ソレノイド8側の端部には、前記ベースパネル14の切欠部15に相応する形状で且つベースパネル14と同じ厚さの凸部18が形成されている。そして、この凸部18の先端には、リテーナ16の本体と同じ断面形状を有するストッパ部19が一体的に形成されている。また、シェード11のベースパネル14とソレノイド8との間には、引っ張り方向に作用するスプリング(付勢手段)20が設けられている。
【0023】リテーナ16は、その凸部18をベースパネル14の切欠部15内へ下側から差し込むことにより取付けられる。取付けた状態でストッパ部19がベースパネル14の反対側面に当接してソレノイド8側への外れが防止される。このようにして取付けられたリテーナ16の溝部17内に、プランジャ9が下から挿入される。リテーナ16の溝部17の上面17aが、プランジャ9の先端部10により下側から支持された状態になるため、リテーナ16の下側への抜けは防止される。リテーナ16の凸部18をベースパネル14の切欠部15内に下から差し込むだけなので取付作業が容易である。
【0024】プランジャ9の先端部10は、リテーナ16の溝部17内に挿入された状態で、溝部17に対して内接した状態となる。従って、プランジャ9は、リテーナ16に対して相対的に上下方向で回動可能になり、プランジャ9とリテーナ16との間に無理な力が作用しない。
【0025】ソレノイド8のプランジャ9を前後にストロークさせると、リテーナ16が前後に押されるため、シェード11のプランジャ9も前後に回動し、シェード11の上端部13の高さ位置が変化する。シェード11は、プランジャ9の引き込み状態では、その上端部13が第2焦点B付近に位置し、リフレクタ5からの反射光L1、L2のうち、リフレクタ5の下側で反射されて上方へ照射される反射光L1の一部を遮断し、ロービームにすることができる。また、プランジャ9を突出させて、リテーナ16を押せば、シェード11の上端部13が後方へ下がるように回動し、ハイビームに切り換えられる。この実施形態では、シェード11の上端部13を直線状に形成したが、実際は希望する配光パターンに合わせて、種々の形状のカットラインに形成される。
【0026】プランジャ9の引き込み状態では、図3に示すように、溝部17の上面17aがプランジャ9の基部に干渉し、それ以上のシェード11の回動が規制されるように設計されている。従って、ソレノイド8のプランジャ9が仮にオーバーストロークしてもシェード11は、常に最適なハイビーム位置で停止することになる。また、ベースパネル14とソレノイド8との間に引っ張り方向に作用するスプリング20が設けられているため、プランジャ9の引き込み時におけるベースパネル14の状態が安定し、シェード11のがたつきが防止される。
【0027】この実施形態では、前述のように、ベースパネル14の切欠部15内に差し込まれる凸部18の先端に、ベースパネル14の反対側面に当接するストッパ部19が形成されているため、光軸Sの方向でストロークするプランジャ9から大きな力が加わっても、リテーナ16がベースパネル14から外れることはない。
【0028】図6は、この発明の第2実施形態を示す図である。この第2実施形態では、ベースパネル21の上端に切欠部22を形成し、リテーナ23の溝部24も上面から途中位置まで非貫通状態で形成した。凸部25も、リテーナ23の上側に形成した。ストッパ部19によりリテーナ23の外れが防止されること、及びリテーナ23の取付作業が容易なことは先の実施形態と同様である。
【0029】この第2実施形態によれば、リテーナ23の凸部25をベースパネル21の切欠部22に上側から差し込む構造のため、リテーナ23の溝部24が上側に開放した非貫通状態でも、リテーナ23が下側へ抜けることはない。尚、図7のように、上下に貫通した溝部26にしても、リテーナ23が下側へ抜けることはない。
【0030】尚、以上の各実施形態においては、プランジャ9の先端部10を球状にして、リテーナ16、23の溝部17、24、26を先端部10に相応する形状にしたが、これに限定されるものでなく、プランジャ9は先端部10が基部よりも大径で上下方向において断面円形となる形状であれば良く、溝部17、24、26はプランジャ9の先端部10に内接して上下方向での回動を可能にする形状であれば良い。
【0031】
【発明の効果】この発明によれば、ベースパネルの切欠部内に差し込まれる凸部の先端に、ベースパネルの反対側面に当接するストッパ部が形成されているため、光軸方向でストロークするプランジャから大きな力が加わっても、リテーナがベースパネルから外れることはない。また、リテーナの凸部をベースパネルの切欠部内に下から差し込むだけなので取付作業が容易である。リテーナの凸部を下側から差し込んだだけでも、リテーナの溝部が下面から上下途中位置までの非貫通状態のため、溝部の上面がプランジャの先端部により下側から支持され、リテーナの下側への抜けは防止される。
【出願人】 【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
【出願日】 平成12年10月24日(2000.10.24)
【代理人】 【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和 (外8名)
【公開番号】 特開2002−133914(P2002−133914A)
【公開日】 平成14年5月10日(2002.5.10)
【出願番号】 特願2000−324356(P2000−324356)