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【発明の名称】 車両用灯具
【発明者】 【氏名】小山 広雄

【氏名】芥川 貴志

【要約】 【課題】本発明は、簡単な構成により、すれ違いビームを構成する際に光源から出射する光の利用効率を向上させるようにした、車両用灯具を提供することを目的とする。

【解決手段】光源11付近を第一焦点とする楕円系反射面12と、この楕円系反射面の第二焦点付近を焦点位置とする放物系反射面13と、を備え、光源からの光を楕円系反射面及び放物系反射面で反射させて前方に照射する、車両用灯具10において、上記放物系反射面13の焦点付近に端縁が位置するように、ほぼ水平に配設され且つ下側に反射面を有する反射鏡14を備えており、楕円系反射面で反射された光が、放物系反射面の焦点付近で上記反射鏡により部分的に反射されることにより分配され、上記反射鏡で反射された光が、放物系反射面の下部領域で反射されると共に、上記反射鏡で反射されない光が、放物系反射面の上部領域で反射されて、それぞれ前方に向かってやや下方に照射されるように、車両用灯具10を構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 光源と、光源付近を第一焦点とする楕円系反射面と、この楕円系反射面の第二焦点付近を焦点位置とする放物系反射面と、を備えており、光源からの光を楕円系反射面で反射させた後、放物系反射面で反射させることにより、前方に向かって光を照射する、車両用灯具において、上記放物系反射面の焦点付近に端縁が位置するように、ほぼ水平に配設され且つ下側に反射面を有する反射鏡を備えており、楕円系反射面で反射された光が、放物系反射面の焦点付近で上記反射鏡により部分的に反射されることにより分配され、上記反射鏡で反射された光が、放物系反射面の下部領域で反射されて、前方に向かって下方に照射されると共に、上記反射鏡で反射されない光が、放物系反射面の上部領域で反射されて、前方に向かって下方に照射されることを特徴とする、車両用灯具。
【請求項2】 上記放物系反射面が、下部領域及び上部領域にて、それぞれ互いに独立的に設定されていることを特徴とする、請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】 楕円系反射面で反射された光を、放物系反射面の焦点付近に導く反射板が備えられていることを特徴とする、請求項1または2に記載の車両用灯具。
【請求項4】 さらに、走行ビーム専用の第二の放物系反射面を備えていて、上記反射板が、退避可能に支持されており、この反射板が退避位置に移動したとき、楕円系反射面で反射された光が、第二の放物系反射面に導かれることを特徴とする、請求項3に記載の車両用灯具。
【請求項5】 上記楕円系反射面が、光源の前側に配設されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の車両用灯具。
【請求項6】 上記反射鏡が、僅かに後退し得るように構成されており、楕円系反射面で反射された光が、反射鏡の後退した領域を通過することにより、放物系反射面の延長領域で反射されて、前方に向かって真っ直照射されることを特徴とする、請求項1,2または5の何れかに記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば自動車の前部に設けられた前照灯または補助前照灯として使用される車両用灯具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、このような車両用灯具は、例えば図7に示すように構成されている。図7において、車両用灯具1は、例えばPES等の光源2と、光源からの光を前方に向かって反射させる反射面3と、光源2または反射面3からの光を集光させる投影レンズ4と、光源2から投影レンズ4への光路中にて投影レンズ4の焦点付近に配置されたカットオフのための遮光板5と、から構成されている。
【0003】このような構成の車両用灯具1によれば、光源2から出射した光が、直接にまたは反射面3で反射されて投影レンズ4に入射し、投影レンズ4によって集束されることにより、前方に向かって照射され、所定の範囲を照明するようになっている。その際、投影レンズ4に入射する光の一部が遮光板5によって遮断されることにより、すれ違いビームとしての所望の配光特性が得られるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような構成の車両用灯具1においては、すれ違いビームとしての配光特性以外の光を、遮光板5により遮断することにより、すれ違いビームの明確な明暗境界線を構成するようにしている。しかしながら、光源2からの光の一部を遮光板5により遮断しているために、光源2からの光の一部が、配光に利用されなくなってしまい、光の利用効率が低下する。このため、明るい光源2を使用したとしても、配向特性における光度が低くなってしまう。また、光源2として、例えばD2Rを使用する場合には、電球管側面に遮光物を配置することによって、不要な光を遮断するようにしており、同様に光の利用効率が低く、配向特性における光度が低くなってしまう。
【0005】本発明は、以上の点から、簡単な構成により、すれ違いビームを構成する際に光源から出射する光の利用効率を向上させるようにした、車両用灯具を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的は、本発明の構成によれば、光源と、光源付近を第一焦点とする楕円系反射面と、この楕円系反射面の第二焦点付近を焦点位置とする放物系反射面と、を備えており、光源からの光を楕円系反射面で反射させた後、放物系反射面で反射させることにより、前方に向かって光を照射する、車両用灯具において、上記放物系反射面の焦点付近に端縁が位置するように、ほぼ水平に配設され且つ下側に反射面を有する反射鏡を備えており、楕円系反射面で反射された光が、放物系反射面の焦点付近で上記反射鏡により部分的に反射されることにより分配され、上記反射鏡で反射された光が、放物系反射面の下部領域で反射されて、前方に向かってやや下方に照射されると共に、上記反射鏡で反射されない光が、放物系反射面の上部領域で反射されて、前方に向かってやや下方に照射されることを特徴とする、車両用灯具により、達成される。
【0007】本発明による車両用灯具は、好ましくは、上記放物系反射面が、下部領域及び上部領域にて、それぞれ互いに独立的に設定されている。
【0008】本発明による車両用灯具は、好ましくは、楕円系反射面で反射された光を、放物系反射面の焦点付近に導く反射板が備えられている。
【0009】本発明による車両用灯具は、好ましくは、さらに、走行ビーム専用の第二の放物系反射面を備えていて、上記反射板が、退避可能に支持されており、この反射板が退避位置に移動したとき、楕円系反射面で反射された光が、第二の放物系反射面に導かれる。
【0010】本発明による車両用灯具は、好ましくは、上記楕円系反射面が、光源の前側に配設されている。
【0011】本発明による車両用灯具は、好ましくは、上記反射鏡が、僅かに後退し得るように構成されており、楕円系反射面で反射された光が、反射鏡の後退した領域を通過することにより、放物系反射面の延長領域で反射されて、前方に向かって真っ直照射される。
【0012】上記構成によれば、光源から楕円系反射面で反射された光は、この楕円系反射面の第二の焦点すなわち放物系反射面の焦点付近に向かって進む。そして、反射鏡の下側の反射面で反射された光は、放物系反射面の下部領域に入射して、前方に向かってやや下方に反射されると共に、反射鏡で反射されない光は、放物系反射面の上部領域に入射して、同様に前方に向かってやや下方に反射される。これにより、放物系反射面の焦点付近に向かって下方から進む光は、全体が放物系反射面の下部領域及び上部領域で反射されることにより、すれ違いビームとしての配光特性を有することになる。
【0013】従って、光源から楕円系反射面で反射されて、放物系反射面の焦点付近に下方から入射する光は、そのすべてがすれ違いビームとして利用されることになり、光源からの光の利用効率が上昇する。これにより、同じ光源を使用する場合、より明るいすれ違いビームの配光特性が得られると共に、同じ明るさのすれ違いビームを実現するためには、より光量の低い光源を使用することができる。
【0014】上記放物系反射面が、下部領域及び上部領域にて、それぞれ互いに独立的に設定されている場合には、下部領域及び上部領域を、それぞれ入射光を前方に向かってやや下方に反射させるように、最適化することができる。また、独立的に設定せずに一つの曲線の一部が楔状に内側に突出部分を有していても同様である。
【0015】楕円系反射面で反射された光を、放物系反射面の焦点付近に導く反射板が備えられている場合には、楕円系反射面で反射された光が、この反射板により反射されることによって、放物系反射面の焦点付近に導かれ、一部が反射鏡で反射され、また残りが反射鏡で反射されずに、それぞれ放物系反射面で反射されて、前方に向かってやや下方に照射される。
【0016】さらに、走行ビーム専用の第二の放物系反射面を備えていて、上記反射板が、退避可能に支持されており、この反射板が退避位置に移動したとき、楕円系反射面で反射された光が、第二の放物系反射面に導かれる場合には、通常は、即ち反射板が挿入されているときには、楕円系反射面で反射された光が、この反射板により反射されることによって、放物系反射面の焦点付近に導かれ、一部が反射鏡で反射され、また残りが反射鏡で反射されずに、それぞれ放物系反射面で反射されて、前方に向かってやや下方に照射され、すれ違いビームを形成する。これに対して、反射板が退避位置に移動すると、楕円系反射面で反射された光が、第二の放物系反射面に導かれることにより、この第二の放物系反射面によって前方に向かって真っ直照射され、走行ビームを形成する。
【0017】上記楕円系反射面が、光源の前側に配設されている場合には、光源から出射した光は、前方に向かって進んで、楕円系反射面により後方に向かって反射され、この楕円系反射面の第二の焦点すなわち放物系反射面の焦点付近に向かって進む。従って、楕円系反射面が光源の前側に配設されていることにより、車両用灯具の全長が短く構成されることになる。
【0018】上記反射鏡が、僅かに後退し得るように構成されており、楕円系反射面で反射された光が、反射鏡の後退した領域を通過することにより、放物系反射面の延長領域で反射されて、前方に向かって真っ直照射される場合には、通常は、楕円系反射面で反射された光の一部が反射鏡で反射され、残りが反射鏡で反射されずに、それぞれ放物系反射面に入射して、前方に向かってやや下方に照射されることにより、すれ違いビームを形成する。これに対して、反射鏡が僅かに後退すると、楕円系反射面で反射され且つこの後退した領域を通過する光が、放物系反射面の延長領域に入射して、前方に向かって真っ直に反射されることにより、部分的に走行ビームを形成する。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、この発明の好適な実施形態を図1乃至図6を参照しながら、詳細に説明する。尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0020】図1は、本発明による車両用灯具の第一の実施形態の構成を示している。図1において、車両用灯具10は、自動車の一例のすれ違いビーム用の前照灯であって、光源としてのバルブ11と、楕円系反射面12と、放物系反射面13と、平面反射鏡14と、から構成されている。
【0021】上記バルブ11は、一般に自動車の前照灯または補助前照灯に使用されるバルブであり、ソケット11aにより光軸がまっすぐ前方に延びるように固定保持されると共に、ソケット11aから給電されるようになっている。
【0022】上記楕円系反射面12は、バルブ11を第一焦点(後側の焦点)とし且つ長軸がバルブ11の光軸とほぼ一致する楕円系反射面から構成されており、その内面が反射面として形成されている。ここで、楕円系反射面は、回転楕円面,楕円柱だけでなく、楕円面を基本とした自由曲面を含むものである。尚、図示の場合、楕円系反射面12は、約上半分が省略されている。
【0023】上記放物系反射面13は、バルブ11の前側に配置されていて、その焦点位置が上記楕円系反射面12の第二焦点(前側の焦点)付近に位置するような前方に向かって凹状の放物系反射面として構成されている。ここで、放物系反射面は、回転放物面,放物柱だけでなく、放物面を基本とした自由曲面や焦点間距離が非常に長い長楕円も含むものである。尚、図示の場合、放物系反射面13は、バルブ11の光軸より下側の下部領域13aと、上側の上部領域13bと、から構成されており、これらの下部領域13a及び上部領域13bは、それぞれ入射光を前方に向かってやや下方に反射させるように、互いに独立的に最適な形状に形成されている。ここで、下部領域13aと上部領域13bとの間には、後方から光が入射する窓部13cが形成されている。
【0024】上記反射鏡14は、バルブ11の光軸に沿ってほぼ水平に、即ち放物系反射面13の窓部13cの上端にて、放物系反射面13の上部領域13bの端部に接触するように配設されていると共に、その前端縁が、上記放物系反射面13の焦点位置付近に位置するように配設されている。また、反射鏡14は、その下側が反射面として構成されている。
【0025】本発明実施形態による車両用灯具10は、以上のように構成されており、バルブ11がソケット11aから給電され、発光することにより、バルブ11から出射した光は、楕円系反射面12で反射されて、この楕円系反射面12の第二焦点付近に向かって上方に進む。
【0026】そして、楕円系反射面12の第二焦点付近に進んだ光Lは、反射鏡14の前端縁より後方に入射するほぼ半分の光L1が、反射鏡14の反射面により反射されて、やや下方に向かって進み、放物系反射面13の下部領域13aに入射して、この下部領域13aにより前方に向かってやや下方に反射される。これに対して、反射鏡14の前端縁より前方に入射するほぼ半分の光L2が、反射鏡14の反射面により反射されずに、そのままやや上方に向かって進み、放物系反射面13の上部領域13bに入射して、この上部領域13bにより前方に向かってやや下方に反射される。
【0027】このようにして、本発明実施形態による車両用灯具10によれば、バルブ11から出射して楕円系反射面12で反射された光Lは、反射鏡14によって光L1及びL2に分配された後、それぞれ放物系反射面13の下部領域13a及び上部領域13bで反射されることによって、いずれも自動車の前方に向かってやや下方に照射される。これにより、各光L1,L2は、それぞれ図2(A)及び(B)に示すように、水平線より下方でやや半円状の所謂すれ違いビームを形成するようになっている。従って、バルブ11から出射して楕円系反射面12で反射された光Lがすべてすれ違いビームを形成するために利用されるので、バルブ11からの光の利用効率が向上することになり、すれ違いビームに関して、より明るい配光特性が得られる。
【0028】図3は、本発明による車両用灯具の第二の実施形態の構成を示している。図3において、車両用灯具20は、自動車の一側のすれ違いビーム用の前照灯であって、光源としてのバルブ21と、楕円系反射面22と、反射板23と、放物系反射面24と、反射鏡25と、から構成されている。
【0029】上記バルブ21は、一般に自動車の前照灯または補助前照灯に使用されるバルブであり、上方に向かって光を出射するように固定保持されている。
【0030】上記楕円系反射面22は、バルブ21を第一焦点(後側の焦点)とし且つ長軸が前方に向かって斜め下方に延びる楕円系反射面から構成されており、その内面が反射面として形成されている。ここで、楕円系反射面は、回転楕円面,楕円柱だけでなく、楕円面を基本とした自由曲面を含むものである。尚、図示の場合、楕円系反射面22は、約下半分が省略されている。
【0031】上記反射板23は、楕円系反射面22の長軸に対して斜めに配設されており、上記楕円系反射面22で反射されて第二焦点に向かう光を上方に向かって反射させるように構成されている。
【0032】上記放物系反射面24は、バルブ21の前側に配置されていて、その焦点位置が上記楕円系反射面22の第二焦点(前側の焦点)に向かって反射板23により反射された光の集束位置付近に位置するような前方に向かって凹状の放物系反射面として構成されている。ここで、放物系反射面は、回転放物面,放物柱だけでなく、放物面を基本とした自由曲面を含むものである。尚、図示の場合、放物系反射面24は、反射板25より下側の下部領域24aと、上側の上部領域24bと、から構成されており、これらの下部領域24a及び上部領域24bは、それぞれ入射光を前方に向かってやや下方に反射させるように、互いに独立的に最適な形状に形成されている。ここで、下部領域24aと上部領域24bとの間には、後方から光が入射する窓部24cが形成されている。
【0033】上記反射鏡25は、前方に向かってほぼ水平に、即ち放物系反射面24の窓部24c内に配設されていると共に、その前端縁が、上記放物系反射面24の焦点位置付近に位置するように配設されている。また、反射鏡25は、その下側が反射面として構成されている。
【0034】本発明実施形態による車両用灯具20は、以上のように構成されており、バルブ21が給電され、発光することにより、バルブ21から出射した光は、楕円系反射面22で反射されて、この楕円系反射面22の第二焦点付近に向かって下方に進んで、第二焦点の手前で反射板23に入射し、この反射板23で反射されて、上方に進む。その際、光Lは、上記第二焦点の反射板23による鏡像位置に集束する。
【0035】そして、上記鏡像位置付近に進んだ光Lは、反射鏡25の前端縁より後方に入射するほぼ半分の光L1が、反射鏡25の反射面により反射されて、下方に向かって進み、放物系反射面24の下部領域24aに入射して、この下部領域24aにより前方に向かってやや下方に反射される。これに対して、反射鏡25の前端縁より前方に入射するほぼ半分の光L2が、反射鏡25の反射面により反射されずに、そのまま上方に向かって進み、放物系反射面24の上部領域24bに入射して、この上部領域24bにより前方に向かってやや下方に反射される。
【0036】このようにして、本発明実施形態による車両用灯具20によれば、バルブ21から上方に向かって出射して楕円系反射面22及び反射板23で反射された光Lは、反射鏡25によって光L1及びL2に分配された後、それぞれ放物系反射面24の下部領域24a及び上部領域24bで反射されることによって、いずれも自動車の前方に向かってやや下方に照射される。これにより、各光L1,L2は、水平線より下方でやや半円状の所謂すれ違いビームを形成するようになっている。従って、バルブ21から出射して楕円系反射面22で反射された光Lがすべてすれ違いビームを形成するために利用されるので、バルブ21からの光の利用効率が向上することになり、すれ違いビームに関して、より明るい配光特性が得られる。
【0037】図4は、本発明による車両用灯具の第三の実施形態の構成を示している。図4において、車両用灯具30は、図3に示した車両用灯具20における反射板23の代わりに、可動式反射板31と、この可動式反射板31を駆動する駆動部32と、走行ビーム専用の第二の放物系反射面33と、を備える点で異なる構成であり、その他の構成は、図3に示した車両用灯具20と同じであるから、同じ構成要素には同じ符号を付して、その説明は省略する。尚、この場合、バルブは、図1の車両用灯具10におけるバルブ11と同じものが使用されており、以下バルブ11として説明する。
【0038】上記可動式反射板31は、図4にて鎖線で示す挿入位置と、実線で示す退避位置との間を移動し得るように配設されている。そして、可動式反射板31は、挿入位置では、図3における反射板23と同様に、楕円の両焦点を結ぶ線を横切るように配設されており、上記楕円系反射面22で反射されて第二焦点に向かう光を上方に向かって反射させるように構成されている。また、可動式反射板31は、退避位置では、図4に示すように、実質的に楕円系反射面22の外側に移動することにより、上記楕円系反射面22で反射されて第二焦点に向かう光を遮ることがない。これにより、第二焦点に向かう光は、そのまま第二焦点を通過して、後述する第二の放物系反射面33に入射する。
【0039】上記駆動部32は、駆動源としてのソレノイド32aと、ソレノイド32aに一側のアームが連結され、他側のアームが可動式反射板31に連結されたレバー32bと、から構成されている。これにより、ソレノイド32aが動作すると、レバー32bを介して、可動式反射板31が挿入位置と退避位置との間で移動するようになっている。尚、駆動部32は、このような構成に限らず、可動式反射板31を挿入位置と退避位置との間で移動することができれば、任意の構成のものを使用することができる。
【0040】上記第二の放物系反射面33は、その焦点位置が上記楕円系反射面22の第二焦点(前側の焦点)付近に位置するような前方に向かって凹状の放物系反射面として構成されている。ここで、放物系反射面は、回転放物面,放物柱だけでなく、放物面を基本とした自由曲面を含むものである。尚、第二の放物系反射面33は、入射光を前方に向かってまっすぐに反射させるように形成されている。
【0041】このような構成の車両用灯具30によれば、先づ可動式反射板31が挿入位置に在るときには、図3に示した車両用灯具20とほぼ同様に動作する。即ち、バルブ11から出射した光は、楕円系反射面22で反射されて、この楕円系反射面22の第二焦点付近に向かって下方に進んで、第二焦点の手前で可動式反射板31で反射されて、上方に進み、上記第二焦点の可動式反射板31による鏡像位置に集束する。
【0042】そして、上記鏡像位置付近に進んだ光Lは、反射鏡25の前端縁より後方に入射するほぼ半分の光L1が、反射鏡25の反射面により反射されて、下方に向かって進み、放物系反射面24の下部領域24aに入射して、この下部領域24aにより前方に向かってやや下方に反射される。これに対して、反射鏡25の前端縁より前方に入射するほぼ半分の光L2が、反射鏡25の反射面により反射されずに、そのまま上方に向かって進み、放物系反射面24の上部領域24bに入射して、この上部領域24bにより前方に向かってやや下方に反射される。
【0043】従って、バルブ11から出射して楕円系反射面22及び反射板23で反射された光Lは、反射鏡25によって光L1及びL2に分配された後、それぞれ放物系反射面24の下部領域24a及び上部領域24bで反射されることによって、いずれも自動車の前方に向かってやや下方に照射される。これにより、各光L1,L2は、水平線より下方でやや半円状の所謂すれ違いビームを形成するようになっている。
【0044】これに対して、可動式反射板31が駆動部32により退避位置に退避したときには、バルブ11から出射した光は、楕円系反射面22で反射されて、この楕円系反射面22の第二焦点付近に向かって下方に進み、さらに上記第二焦点を通過して、第二の放物系反射面33に入射して、この第二の放物系反射面33により前方に向かってまっすぐに反射される。従って、バルブ11から出射して楕円系反射面22で反射された光Lは、すべて第二の放物系反射面33で反射されることによって、自動車の前方に向かって真っ直に照射される。これにより、光L1は、所謂走行ビームを形成するようになっている。
【0045】このようにして、車両用灯具30によれば、可動式反射板31が挿入位置にあるときには、バルブ11から出射して楕円系反射面22で反射された光Lがすべてすれ違いビームを形成するために利用されるので、バルブ11からの光の利用効率が向上することになり、すれ違いビームに関して、より明るい配光特性が得られる。また、可動式反射板31が退避位置にあるときには、バルブ11から出射して楕円系反射面22で反射された光Lがすべて走行ビームを形成するために利用されることになる。従って、車両用灯具30によれば、すれ違いビームのより明るい配光特性を備えた二灯式前照灯を実現することができる。さらに、この場合、可動式反射板31は、配向特性に影響を与える所謂カットオフラインを構成しないので、すれ違いビームと走行ビームの切り替えが高精度で且つ再現性よく行なわれることになる。
【0046】図5は、本発明による車両用灯具の第四の実施形態の構成を示している。図5において、車両用灯具40は、自動車の一例のすれ違いビーム用の前照灯であって、光源としてのバルブ41と、楕円系反射面42と、放物系反射面43と、反射鏡44と、から構成されている。
【0047】上記バルブ41は、一般に自動車の前照灯または補助前照灯に使用されるバルブである。
【0048】上記楕円系反射面42は、バルブ41を第一焦点(前側の焦点)とする楕円系反射面から構成されており、その内面が反射面として形成されている。ここで、楕円系反射面は、回転楕円面,楕円柱だけでなく、楕円面を基本とした自由曲面を含むものである。尚、図示の場合、楕円系反射面42は、約上半分及び後側が省略されている。
【0049】上記放物系反射面43は、バルブ41の後側に配置されていて、その焦点位置が上記楕円系反射面42の第二焦点(後側の焦点)付近に位置するような前方に向かって凹状の放物系反射面として構成されている。ここで、放物系反射面は、回転放物面,放物柱だけでなく、放物面を基本とした自由曲面を含むものである。尚、図示の場合、放物系反射面43は、バルブ41の光軸より下側の下部領域43aと、上側の上部領域43bと、から構成されており、これらの下部領域43a及び上部領域43bは、それぞれ入射光を前方に向かってやや下方に反射させるように、互いに独立的に最適な形状に形成されている。
【0050】上記反射鏡44は、バルブ41の光軸に沿ってほぼ水平に、即ち放物系反射面43の下部領域43aと上部領域43bとの境界付近から前方に突出するように配設されていると共に、その前端縁が、上記放物系反射面43の焦点位置付近に位置するように配設されている。また、反射鏡44は、その下側が反射面として構成されている。
【0051】本発明実施形態による車両用灯具40は、以上のように構成されており、バルブ41が給電され、発光することにより、バルブ41から出射した光は、楕円系反射面42で反射されて、この楕円系反射面42の第二焦点付近に向かって上方に進む。
【0052】そして、楕円系反射面42の第二焦点付近に進んだ光Lは、反射鏡44の前端縁より後方に入射するほぼ半分の光L1が、反射鏡44の反射面により反射されて、やや下方に向かって進み、放物系反射面43の下部領域43aに入射して、この下部領域43aにより前方に向かってやや下方に反射される。これに対して、反射鏡44の前端縁より前方に入射するほぼ半分の光L2が、反射鏡44の反射面により反射されずに、そのままやや上方に向かって進み、放物系反射面43の上部領域43bに入射して、この上部領域43bにより前方に向かってやや下方に反射される。
【0053】このようにして、本発明実施形態による車両用灯具40によれば、バルブ41から出射して楕円系反射面42で反射された光Lは、反射鏡44によって光L1及びL2に分配された後、それぞれ放物系反射面43の下部領域43a及び上部領域43bで反射されることによって、いずれも自動車の前方に向かってやや下方に照射される。これにより、各光L1,L2は、それぞれ水平線より下方でやや半円状の所謂すれ違いビームを形成するようになっている。従って、バルブ41から出射して楕円系反射面42で反射された光Lがすべてすれ違いビームを形成するために利用されるので、バルブ41からの光の利用効率が向上することになり、すれ違いビームに関して、より明るい配光特性が得られる。
【0054】この場合、楕円系反射面42がバルブ41の前側に配設されていることにより、バルブ41の後方のスペースが少なくて済み、車両用灯具40全体が小型に構成されることになる。尚、この車両用灯具40においては、バルブ41から出射した光が直接に放物系反射面43の下部領域43aに入射することを防止するために、図5に示すように、このような光を遮断するためのフード45が備えられていてもよい。
【0055】図6は、本発明による車両用灯具の第五の実施形態の構成を示している。図6において、車両用灯具50は、図5に示した車両用灯具40における反射鏡44の代わりに、可動式反射板51と、この可動式反射板51を駆動する駆動部52と、を備える点で異なる構成であり、その他の構成は、図5に示した車両用灯具40と同じであるから、同じ構成要素には同じ符号を付して、その説明は省略する。
【0056】上記可動式反射板51は、図6にて鎖線で示す挿入位置と、実線で示す退避位置との間を移動し得るように配設されている。そして、可動式反射板51は、挿入位置では、図5における反射鏡44と同様に、バルブ41の光軸に沿ってほぼ水平に、即ち放物系反射面43の下部領域43aと上部領域43bとの境界付近から前方に突出するように配設されていると共に、その前端縁が、上記放物系反射面43の焦点位置付近に位置するように配設されている。
【0057】また、可動式反射板51は、退避位置では、図6に示すように、上記挿入位置から僅かに後方に移動することにより、上記第二焦点位置と退避位置における可動式反射板51の前端縁との間の領域に入射する光を、反射させずに通過させる。これにより、この領域に入射する光L3は、そのまま第二焦点付近を通過して、放物系反射面43の上部領域43aに入射する。尚、放物系反射面43の上部領域43aに関して、上記光L3が入射する領域43cは、入射する光を前方に向かって真っ直に反射させるように形成されている。
【0058】上記駆動部42は、図示の場合、駆動源としてのソレノイド42aから構成されている。これにより、ソレノイド42aが動作すると、可動式反射板51が挿入位置と退避位置との間で移動するようになっている。尚、駆動部42は、このような構成に限らず、可動式反射板51を挿入位置と退避位置との間で移動することができれば、任意の構成のものを使用することができる。
【0059】このような構成の車両用灯具50によれば、先づ可動式反射板51が挿入位置に在るときには、図5に示した車両用灯具40とほぼ同様に動作する。即ち、バルブ41から出射した光は、楕円系反射面42で反射されて、この楕円系反射面42の第二焦点付近に向かって上方に進み、第二焦点の手前で可動式反射板51で反射されて、上方に進む。
【0060】そして、上記第二焦点付近に進んだ光Lは、可動式反射板51の前端縁より後方に入射するほぼ半分の光L1が、可動式反射板51の反射面により反射されて、下方に向かって進み、放物系反射面43の下部領域43aに入射して、この下部領域43aにより前方に向かってやや下方に反射される。これに対して、可動式反射板51の前端縁より前方に入射するほぼ半分の光L2が、可動式反射板51の反射面により反射されずに、そのまま上方に向かって進み、放物系反射面43の上部領域43bに入射して、この上部領域43bにより前方に向かってやや下方に反射される。
【0061】従って、バルブ41から出射して楕円系反射面42で反射された光Lは、可動式反射板51によって光L1及びL2に分配された後、それぞれ放物系反射面43の下部領域43a及び上部領域43bで反射されることによって、いずれも自動車の前方に向かってやや下方に照射される。これにより、各光L1,L2は、水平線より下方でやや半円状の所謂すれ違いビームを形成するようになっている。
【0062】これに対して、可動式反射板51が駆動部52により退避位置に退避したときには、バルブ41から出射した光は、楕円系反射面42で反射されて、この楕円系反射面42の第二焦点付近に向かって上方に進み、さらに上記第二焦点を通過して、放物系反射面43の上部領域43b及び領域43cに入射する。これにより、上部領域43bに入射した光は、前方に向かってやや下方に反射されると共に、領域43cに入射した光は、この領域43cにより前方に向かってまっすぐに反射される。従って、バルブ41から出射して楕円系反射面42で反射された光Lは、すべて放物系反射面43で反射されることによって、自動車の前方に向かってやや下方及び真っ直に照射される。これにより、光L1は、所謂走行ビームを形成するようになっている。
【0063】このようにして、車両用灯具50によれば、可動式反射板51が挿入位置にあるときには、バルブ41から出射して楕円系反射面42で反射された光Lがすべてすれ違いビームを形成するために利用されるので、バルブ41からの光の利用効率が向上することになり、すれ違いビームに関して、より明るい配光特性が得られる。また、可動式反射板51が退避位置にあるときには、バルブ41から出射して楕円系反射面22で反射された光Lがすれ違いビーム及び走行ビームを形成するために利用されることになる。従って、車両用灯具50によれば、すれ違いビームのより明るい配光特性を備えた二灯式前照灯を実現することができる。
【0064】尚、上述した実施形態においては、いずれも自動車の前照灯に本発明を適用した場合について説明したが、これに限らず、補助前照灯に対して本発明を適用し得ることは明らかである。また、上述した実施形態においては、反射鏡14,25,44及び可動式反射板51は、何れも平面反射鏡として構成されているが、これに限らず、曲率を有していてもよいことは明らかである。
【0065】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、光源から楕円系反射面で反射された光は、この楕円系反射面の第二の焦点すなわち放物系反射面の焦点付近に向かって進む。そして、反射鏡の下側の反射面で反射された光は、放物系反射面の下部領域に入射して、前方に向かってやや下方に反射されると共に、反射鏡で反射されない光は、放物系反射面の上部領域に入射して、同様に前方に向かってやや下方に反射される。これにより、放物系反射面の焦点付近に向かって下方から進む光は、全体が放物系反射面の下部領域及び上部領域で反射されることにより、すれ違いビームとしての配光特性を有することになる。従って、光源から楕円系反射面で反射されて、放物系反射面の焦点付近に下方から入射する光は、そのすべてがすれ違いビームとして利用されることになり、光源からの光の利用効率が上昇する。これにより、同じ光源を使用する場合、より明るいすれ違いビームの配光特性が得られると共に、同じ明るさのすれ違いビームを実現するためには、より光量の低い光源を使用することができる。このようにして、本発明によれば、簡単な構成により、すれ違いビームを構成する際に光源から出射する光の利用効率を向上させるようにした、極めて優れた車両用灯具が提供され得る。
【出願人】 【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
【出願日】 平成12年9月19日(2000.9.19)
【代理人】 【識別番号】100079094
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 輝緒
【公開番号】 特開2002−93215(P2002−93215A)
【公開日】 平成14年3月29日(2002.3.29)
【出願番号】 特願2000−283686(P2000−283686)