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【発明の名称】 車両用ヘッドランプ装置
【発明者】 【氏名】大久保 泰宏

【氏名】鈴木 恭史

【要約】 【課題】対向車に対して眩惑を与えず、自車の自走車線内での視認性を確保することができる車両用ヘッドランプ装置を提供する。

【解決手段】光源1に対して光軸方向にストロークする可動シェード8を設け、該可動シェード8により、リフレクタ2により反射されて正面中央部Cに向かう光を、光源1とリフレクタ2との間で遮光自在にした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 光源からの光を前方へ反射するリフレクタの、対向車線側の半分の少なくとも一部が、正面の反対向車線側を主に反対向車線側に拡散されるように照らす配光特性を有し、且つ反対向車線側の半分の少なくとも一部が、正面の対向車線側を主に対向車線側に拡散されるように照らす配光特性を有している車両用ヘッドランプ装置であって、前記光源に対して、光軸方向にストロークする可動シェードを設け、前記リフレクタにより反射されて正面中央部に向かう光を、該可動シェードにより、光源とリフレクタとの間で遮光自在にしたことを特徴とする車両用ヘッドランプ装置。
【請求項2】 請求項1記載の車両用ヘッドランプ装置であって、正面の反対向車線側を主に、反対向車線側へ拡散し且つ正面の対向車線側を主に対向車線側へ拡散する配光特性を、リフレクタの光軸よりも上側領域における略半円部分にもたせたことを特徴とする車両用ヘッドランプ装置。
【請求項3】 請求項2記載の車両用ヘッドランプ装置であって、前記可動シェードにより、光源から、リフレクタの略半円部分の対向車線側及び反対向車線側の両端部へ向かう光を遮ることを特徴とする車両用ヘッドランプ装置。
【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用ヘッドランプ装置であって、前記光源の先端部付近に、前端が塞がれたキャップ形状の固定シェードを設け、該固定シェードにより、リフレクタに反射されずに直接前方へ照射される光を遮ると共に、可動シェードを光源に対して光軸方向でストローク自在な筒形状にしたことを特徴とする車両用ヘッドランプ装置。
【請求項5】 請求項4記載の車両用ヘッドランプ装置であって、前記可動シェードの側面が、光源からリフレクタの略半円部分の対向車線側及び反対向車線側の両端部へ向かう光を遮る後向きの三角形状をしていることを特徴とする車両用ヘッドランプ装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、夜間において濡れた路面を走行する場合の安全性を高めることができる車両用ヘッドランプ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】夜間に、雨によって濡れた路面を走行する場合、自動車のヘッドランプから照射された光の殆どは、路面上の水膜による鏡面効果により、正反射光となって、進行方向前方へ向けて反射される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従って、その路面により反射された光は、対向車にとっては、間接なグレア光となり、眩惑を与えるおそれがある。また、ヘッドランプの光の殆どが、正反射光となって、進行方向前方へ反射されるということは、路面のセンターラインや路肩を確認するための再帰反射光(手前に反射する光)が減少することになるため、自車にとっても、自走車線内での視認性を低下させるおそれがあり、好ましくない。
【0004】この発明は、このような従来の技術に着目してなされたものであり、対向車に対して眩惑を与えず、自車の自走車線内での視認性を確保することができる車両用ヘッドランプ装置を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、光源からの光を前方へ反射するリフレクタの、対向車線側の半分の少なくとも一部が、正面の反対向車線側を主に反対向車線側に拡散されるように照らす配光特性を有し、且つ反対向車線側の半分の少なくとも一部が、正面の対向車線側を主に対向車線側に拡散されるように照らす配光特性を有している車両用ヘッドランプ装置であって、前記光源に対して、光軸方向にストロークする可動シェードを設け、前記リフレクタにより反射されて正面中央部に向かう光を、該可動シェードにより、光源とリフレクタとの間で遮光自在にした。ここで、対向車線側とは、左側車線走行における右側を意味し、反対向車線側とは、同車線走行における左側を意味する。二車線以下の道路においても、同じ意味において用いる。
【0006】請求項1記載の発明によれば、可動シェードにより正面中央部に向かう光を遮るため、対向車への眩惑及び自車の視認性低下の原因となる自車の正面中央部への光の照射量を減らすことができる。従って、対向車に対して眩惑を与えず、自車の自走車線内での視認性を確保することができる。路面が濡れていない場合には、可動シェードを元に戻して、正面中央部に向かう光を遮光しないようにすれば、リフレクタの本来の配光パターンが得られる。
【0007】請求項2記載の発明は、正面の反対向車線側を主に、反対向車線側へ拡散し且つ正面の対向車線側を主に対向車線側へ拡散する配光特性を、リフレクタの光軸よりも上側領域における略半円部分にもたせた。
【0008】請求項2記載の発明によれば、可動シェードにより遮光されて、正面中央部への光が制限されるのは、リフレクタの上側領域における略半円部分だけなので、下側領域により、夜間走行においてある程度必要な正面中央部への光を確保している。
【0009】請求項3記載の発明は、前記可動シェードにより、光源から、リフレクタの略半円部分の対向車線側及び反対向車線側の両端部へ向かう光を遮る。
【0010】請求項3記載の発明によれば、リフレクタの略半円部分における対向車線側及び反対向車線側の両端部へ向かう光を遮ることにより、正面中央部に向かう光を効果的に遮光することができる。
【0011】請求項4記載の発明は、前記光源の先端部付近に、前端が塞がれたキャップ形状の固定シェードを設け、該固定シェードにより、リフレクタに反射されずに直接前方へ照射される光を遮ると共に、可動シェードを光源に対して光軸方向でストローク自在な筒形状にした。
【0012】請求項4記載の発明によれば、固定シェードにより直接的なグレア光を遮ることができるため、可動シェードを光源に対して光軸方向でストローク容易な筒形状にすることができる。
【0013】請求項5記載の発明は、前記可動シェードの側面が、光源からリフレクタの略半円部分の対向車線側及び反対向車線側の両端部へ向かう光を遮る後向きの三角形状をしている。
【0014】請求項5記載の発明によれば、可動シェードの側面を後向きの三角形状にすることにより、リフレクタにおける上側領域の対向車線側及び反対向車線側の両端部へ向かう光を効果的に遮ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、この発明の好適な実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。この実施形態は、自動車のヘッドランプに関するものである。ヘッドランプは、自動車の対向車線側及び反対向車線側の左右両側に設けられ、それぞれ、前面にレンズを有する図示せぬランプハウジングの内部に、光源1とリフレクタ2を設けた基本構造になっている。図1は、その片方だけを代表して図示している。
【0016】光源1は、メタルハライドランプ等の高圧金属蒸気放電灯や高輝度放電灯(HID)等で、内部に放電部3(図5参照)を有している。リフレクタ2には、図4に示すように、光源1より下側部分に形成された扇形の下側領域4と、それ以外の上側領域5に分割された自由曲面になっている。
【0017】リフレクタ2の上側領域5のうち、特に光源1よりも上側の略半円部分6は、自動車の進行方向における近い部分を照らす光を反射するもので、この略半円部分6は、更に対向車線側及び反対向車線側の左右に分割されている。そして、図2及び図3に示すように、略半円部分6の対向車線側である右半分Aは、自動車の正面の反対向車線側である左側を主に反対向車線側へ拡散されるように照らす配光特性を有し、且つ反対向車線側の左半分Bは、正面対向車線側である右側を主に対向車線側へ拡散されるように照らす配光特性を有している。リフレクタ2の略半円部分6における対向車線側である右半分A及び反対向車線側の左半分Bは、正面中央部Cを含めて、それぞれ対向車線側及び反対向車線側の左右へ拡散するように光を反射しており、正面中央部Cにおいては、リフレクタ2の配光特性上、対向車線側及び反対向車線側の左右の反射光が重なり合う状態になっている。この正面中央部Cで重なり合う光は、リフレクタ2における略半円部分6のそれぞれ対向車線側及び反対向車線側の左右両端a、bで反射されたものである。尚、光源1の像は、リフレクタ2の配光特性により、正面中央寄りになるほど内側に倒れた状態となる。
【0018】リフレクタ2は、前述のような配光特性を有するものの、その一部を制限するための固定シェード7及び可動シェード8が光源1に対して設けられている。固定シェード7は、前端が塞がれたキャップ形状で、光源1の先端を覆うように取付けられている。この固定シェード7により、リフレクタ2により反射されずに直接前方へ照射される直接的なグレア光を遮ることができる。
【0019】可動シェード8は、光源1を内側に通過させた状態で、該光源1に対して光軸sの方向でストローク自在な筒形形状をしており、リフレクタ2の後方に設けられたソレノイド9にステー10を介して連結されている。この可動シェード8の側面8aは、図5に示すように、後向きの三角形状をしており、後方にストロークした際に、光源1からリフレクタ2の略半円部分6の左右両端部a、bへ向かう光を遮ることができる。
【0020】図1の上部は、自動車の正面を示す図であり、Rが対向車線側及び反対向車線側の左右の路肩で、Lがセンターラインを示している。路面が雨などで濡れている状態で、ヘッドランプを点灯して夜間走行する場合において、ヘッドランプから照射される光のうちで、路面上の水膜による鏡面効果により対向車に対する間接なグレア光となるのは、正面中央部Cにおける特に手前(約20m程度)までの照射光であることが分かっている(図1の斜線図示部分)。
【0021】従って、この実施形態では、上記のような濡れた路面を夜間走行する場合は、図示せぬスイッチ操作により、ソレノイド9を駆動させて、可動シェード8を後方へストロークさせ、光源1からリフレクタ2の略半円部分6における両端部a、bへ向かう光を遮るようにしている。この略半円部分6の両端部a、bから反射される光は、それぞれ正面中央部Cにおける手前に向かう光になるため、この光を遮ることにより、対向車への眩惑及び自車の視認性低下の原因となる光の照射量を減らすことができる。従って、対向車に対して眩惑を与えず、自車の自走車線内での視認性を確保することができる。尚、路面が濡れていない場合には、可動シェード8を元に戻して、正面中央部Cに向かう光を遮光しないようにすれば、リフレクタ2の本来の配光パターンが得られる。
【0022】この実施形態では、正面中央部Cに向かう全ての光を遮るのではなく、夜間走行においてある程度必要な割合(約20%)は、正面中央部Cへ向かう光を残している。また、可動シェード8により遮光されて、正面中央部Cへの光が制限されるのは、リフレクタ2の上側領域5における略半円部分6の両端部a、bだけなので、下側領域4により、前記夜間走行においてある程度必要な光を確保することができる。
【0023】更に、遮光すべき正面中央部Cの幅は、走行する道路の幅に応じて変化するため、可動シェード8のストローク量により、その正面中央部Cの幅を調整することができる。すなわち、道幅が広くて遮るべき正面中央部Cの幅が広い場合には、ソレノイド9による可動シェード8の後方ストローク量を増やし、道幅が狭くて遮るべき正面中央部Cの幅が狭い場合には、可動シェード8の後方ストローク量を減らせば良い。
【0024】
【発明の効果】この発明によれば、可動シェードにより正面中央部に向かう光を遮るため、対向車への眩惑及び自車の視認性低下の原因となる自車の正面中央部への光の照射量を減らすことができる。従って、対向車に対して眩惑を与えず、自車の自走車線内での視認性を確保することができる。路面が濡れていない場合には、可動シェードを元に戻して、正面中央部に向かう光を遮光しないようにすれば、リフレクタの本来の配光パターンが得られる。
【出願人】 【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
【出願日】 平成12年8月11日(2000.8.11)
【代理人】 【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和 (外8名)
【公開番号】 特開2002−56709(P2002−56709A)
【公開日】 平成14年2月22日(2002.2.22)
【出願番号】 特願2000−244962(P2000−244962)