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【発明の名称】 発光装置
【発明者】 【氏名】末広 好伸

【氏名】加藤 英昭

【要約】 【課題】光源からの光量を有効利用可能な発光装置を提供する。また、所定の仮想面に映し出される光模様の鮮明度を確保しつつ、装置を小型化し、装置構造に基づく光模様の推測を困難なものとする。

【解決手段】光源10の前方に、光源からの光を被投光面40に向けて反射する複数の反射面21を備えた反射体20を配設する。各反射面21は、自己が反射した光の大部分を、光源10よりも後方位置において各反射面毎に設定された集光領域D内に集束させるような凹面形状をなす。集光領域D内に集束された光は、そこを通過後発散して被投光面40に到達する。そして、被投光面40上には複数の反射面21からの反射光が重なり合った光模様が形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 光を投射する発光装置であって、主として光の投射方向と反対側に光を放つように設置された光源と、前記光源の前方に設置されるとともに前記光源からの光を投射方向に向けて反射する複数の反射面を有する反射体とを備え、前記複数の反射面の各々は、自己が反射した光の大部分を、前記光源の位置またはそれよりも後方位置において各反射面毎に設定された集光領域内に集束させるような凹面形状をなし、各反射面によって反射されかつ対応する集光領域内に集束された光が当該集光領域の通過後発散して、前記複数の反射面からの反射光が重なり合った光を形成するようにしたことを特徴とする発光装置。
【請求項2】 前記集光領域を通過後、所定の仮想面上に、前記複数の反射面からの反射光の重なり合った光による光模様が形成されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】 前記反射体の中心は前記光源の中心軸線上に位置しており、前記複数の反射面は、前記中心軸線を取り囲むように配置されるとともに、該中心軸線から等角度間隔にて放射方向に延びる複数の仮想分割線によって区画される互いに同形状の凹面として提供されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】 前記反射体は6面の反射面を有しており、前記6面の反射面は、前記中心軸線を取り囲むように配置されるとともに、該中心軸線から等角度間隔にて放射方向に延びる6つの仮想分割線によって区画される互いに同形状の凹面として提供されていることを特徴とする請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】 前記複数の反射面に対応する複数の集光領域の各々は、一つの集光点とみなし得る程度の狭面積に設定され、かつこれらの集光領域は、前記光源よりも同一距離だけ後方に位置するとともに前記中心軸線から等距離の位置にてそれぞれ対応する反射面と対向配置され、前記複数の反射面の各々は、前記光源を一つの焦点とし、対応する集光領域をもう一つの焦点とする楕円面に準じた凹面として提供されていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の発光装置。
【請求項6】 前記集光領域が設定される位置には、当該集光領域を包含可能な光学窓が形成された遮蔽板が配設されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項7】 前記光源は、半導体発光素子を利用した光源であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項8】 前記光源は、それが発する光を特定方向に集める偏向レンズを備えていることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、外部に光を投射するための発光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えばディスコ等のサービス業に従事する店舗では、意図的に暗くした店内をきらびやかに装飾するための光を発する各種投光器等の発光装置が利用されている。このような投光器の一種に、スクリーンや壁面に対して所定の幾何学パターンを映し出す光模様投射装置が存在する。
【0003】この種の従来の光模様投射装置では、例えば中心に光源となる電球を配置するとともに、その中心光源から所定距離R1だけ離れた位置に球面状の遮光曲面を設け、その遮光曲面に所定の幾何学パターンのスリットを形成している。つまり、従来の投射装置は、電球を内包した半径R1の球体または半球状物体の表面にスリットを形成したものとして提供されている。そして、電球から発された光のうちスリットを通過したものだけが当該投射装置の外に放出され、光源から所定距離R2(R1<R2)離れた位置に設置された所定の仮想面としての被投光面をなすスクリーン等に前記スリットの幾何学パターンに対応した光模様を映し出していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従来構成の光模様投射装置には、次のような難点が存在する。
【0005】(イ)光源としての電球から発される光のうち実際に外部に放出されて被投光面上での光模様形成に貢献するのは、スリットを通過したものだけである。そして、スリットを通過できない光は、遮光曲面の内側で無駄に反射されまたは吸収されて熱エネルギーに変換されてしまい、本来の目的に有効利用されない。このため、光源からの光量のうちの一部しか有効利用されず、エネルギー損失が大きい。
【0006】(ロ)光には、スリットにより影のエッジを出すためには制限がある。つまり、前記光源からスリットまでの距離R1に比してスリットから被投光面までの距離(R2−R1)が過度に大きくなると、被投光面上に結像された光模様がぼけてしまう。このため、被投光面上の光模様の幾何学パターンをある程度鮮明に保つためには、光源からスリットまでの距離R1に対する光源から被投光面までの距離R2の比率(R2/R1)を所定の範囲内に保つ必要がある。従って、一定の上限が存在する。距離R2は設置空間の環境条件そのものであるから、距離R2に適合させて距離R1(すなわち、光模様投射装置の筐体半径)を設定するより仕方がない。しかし、そうすると多くの場合、光模様投射装置の大径化(=大型化)が避けられない。
【0007】(ハ)従来の光模様投射装置では、被投光面に映し出される光模様と、遮光曲面に形成されたスリットの幾何学パターンとが完全一致しているため、光源を点灯する以前に、スリットの幾何学パターンから光模様の形態を容易に理解できてしまう。このように、装置と光模様との関係が極めて容易に予測可能であると、観客にとっては意外性がなく面白みに欠ける。
【0008】本発明の目的は、光源からの光量を極力有効利用することができる発光装置を提供することにある。さらに、仮想面に映し出される光模様の鮮明度を確保しつつ小型化が可能な発光装置を提供することにある。加えて、投射装置が被投光面に作り出す光模様を、外部から観測可能な装置構造に基づいて予測することが困難な発光装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、光を投射する発光装置であって、主として光の投射方向と反対側に光を放つように設置された光源と、前記光源の前方に設置されるとともに前記光源からの光を投射方向に向けて反射する複数の反射面を有する反射体とを備え、前記複数の反射面の各々は、自己が反射した光の大部分を、前記光源の位置またはそれよりも後方位置において各反射面毎に設定された集光領域内に集束させるような凹面形状をなし、各反射面によって反射されかつ対応する集光領域内に集束された光が当該集光領域の通過後発散して、前記複数の反射面からの反射光が重なり合った光を形成するようにしたことを特徴とする。
【0010】この発光装置によれば、光源が発した光は、光源前方の反射体に設けられた凹面形状の各反射面によって反射される。各反射面による反射光は、対応する集光領域に一旦集められ、そこを通過後は発散する。この各反射光は、その断面形状が、各反射面の正面形状を反映したものとなる。ここで、集光領域に一旦集束させるという光路設定のために、一つの反射面が作り出す光の断面形状は、その反射面の正面形状を反転または倒立させたものとなる(図3参照)。さらに、複数存在するそれぞれの反射面からの反射光が互いに重なり合うように発散される。このように、本装置には、光源が発する光を無駄に遮る内部構造が存在せず、光源が発した光の大部分が、各反射面によって反射されて、外部に効率よく放射される(すなわち、光の外部反射効率が高い)。
【0011】請求項2の発明は、請求項1に記載の発光装置において、前記集光領域を通過後、所定の仮想面上に、前記複数の反射面からの反射光の重なり合った光による光模様が形成されるようにしたことを特徴とする。
【0012】この発光装置によれば、仮想面上に結像される光模様は、各反射面の反転形状を重ね合わせたものとなる。ここで、本装置には、光源が発する光を無駄に遮る内部構造が存在せず、光源が発した光の大部分が、各反射面によって反射されて仮想面に到達し光模様の形成に有効利用され、光模様の鮮明度確保に貢献する。
【0013】また、複数の反射面からの反射光の重なり合いによって仮想面上の光模様の形状が決定されるため、該装置を単に外部から目視観察しても、その内部構造と光模様の形状との間の因果関係を推し量ることは、通常極めて困難である。
【0014】請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の発光装置において、前記反射体の中心は前記光源の中心軸線上に位置しており、前記複数の反射面は、前記中心軸線を取り囲むように配置されるとともに、該中心軸線から等角度間隔にて放射方向に延びる複数の仮想分割線によって区画される互いに同形状の凹面として提供されていることを特徴とする。
【0015】この構成によれば、複数の反射凹面のいずれもが、同形状をなしかつ光源の中心軸線に対する位置的対称性をもって配置される。このため、各反射凹面が外部投射される光の各々に対して、断面形状の同一性及び配置の対称性を付与することができる。ひいては、各反射面からの反射光が重なり合ってできる光に対しても、その断面形状に幾何学的な対称性や規則性を付与することが可能となる。
【0016】請求項4の発明は、請求項3に記載の発光装置において、前記反射体は6面の反射面を有しており、前記6面の反射面は、前記中心軸線を取り囲むように配置されるとともに、該中心軸線から等角度間隔にて放射方向に延びる6つの仮想分割線によって区画される互いに同形状の凹面として提供されていることを特徴とする。
【0017】請求項4は、後述する最良の実施形態及び変更例の一部に開示した反射体の構造に本発明を限定するものである。その技術的意義は後ほど明らかとなるが、その要点を説明すると、6つの反射凹面は、120度の位相間隔で配置される3つの反射凹面で一つのグループを構成し、各グループの3つの反射凹面が投射する反射光がほぼ重なり合って一つの断面略三角形状の光が作り出される。各3つの反射凹面からなる二つのグループ間には60度の位相ズレがあるため、各グループが作り出す断面略三角形状の光も60度の位相ズレをもって重なり合い、その結果、一つの断面六芒星形状の光が作り出される(図4参照)。個々の反射凹面の形状や配列に関する知見から、このような断面六芒星形状の光の出現を予測することは極めて困難であろう。
【0018】請求項5の発明は、請求項3または請求項4に記載の発光装置において、前記複数の反射面に対応する複数の集光領域の各々は、一つの集光点とみなし得る程度の狭面積に設定され、かつこれらの集光領域は、前記光源よりも同一距離だけ後方に位置するとともに前記中心軸線から等距離の位置にてそれぞれ対応する反射面と対向配置され、前記複数の反射面の各々は、前記光源を一つの焦点とし、対応する集光領域をもう一つの焦点とする楕円面に準じた凹面として提供されていることを特徴とする。
【0019】請求項5は、後述する最良の実施形態及び変更例の一部に開示した集光領域の設定手法に本発明を限定するものである。その技術的意義は後ほど明らかとなるが、この構造を採用することの利点を一言で言えば、複数の反射面に対応させて複数の集光領域を現実に設定することが容易になる。また、各反射面の凹面形状を既知の光学技術を利用して設計することが容易になる。
【0020】請求項6の発明は、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の発光装置において、前記集光領域が設定される位置には、当該集光領域を包含可能な光学窓が形成された遮蔽板が配設されていることを特徴とする。
【0021】このような遮蔽板の配設により、外部からの光が装置内部に入射することが抑制され、そのような外光が本装置から投射される光の視認性に対する攪乱要因となることが回避される。また、光学窓付き遮蔽板の存在により、各反射面からの光が光学窓を介して外部に投射するのを妨害することなく、外から装置内部を覗くことをできなくすることができる。このため、観客はますます、当該発光装置が投射する光の形状を事前に予測することができず、光の断面形状が映し出されたときの意外性が増大する。
【0022】請求項7の発明は、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の発光装置において、前記光源は、半導体発光素子を利用した光源であることを特徴とする。このため、半導体発光素子は点存在に近く、発光装置を全体として小型化することが容易になる。
【0023】請求項8の発明は、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の発光装置において、前記光源は、それが発する光を特定方向に集める偏向レンズを備えていることを特徴とする。
【0024】この構成によれば、光源の偏向レンズの集光特性を種々変更することで、外部に投射される光における輝度分布を調節することが可能となる(図6及び図7参照)。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の最良の実施形態を図1〜図5を参照して説明する。図1及び図2に示すように、本実施形態の発光装置をなす光模様投射装置は、光源10と、その光源の中心軸線方向前方側(図2では下側)に設けられた反射体としての基台20と、前記光源の中心軸線方向後方側(図2では上側)に設けられた遮蔽板30とを備えている。図1(A)及び(B)に示すように、基台20及び遮蔽板30はいずれも、ほぼ同じ面積の平面六角形状をなす。基台20と遮蔽板30とは互いに対応する6つの隅部に立設された6本の支柱24によって連結され、両者は該装置の軸線(光源10の中心軸線Zに一致する)の方向に所定間隔を隔てて配置されている。光源10は、遮蔽板30の中心部から軸線方向に延びる支持棒31により基台20と遮蔽板30の中間に保持されている。
【0026】図1(B)及び図2に示すように、基台20の上面側(光源と対向する側)には、複数の反射凹面21A〜21F(本例では6つ)が形成されている。6つの反射凹面は中心軸線Zを取り囲むように配置され、かつその中心軸線Zから等角度間隔(本例では60度間隔)で放射状に延びる6つのエッジ線22(仮想分割線に相当する)により区画されている。
【0027】すなわち、6つの反射凹面21A〜21Fの全てが同一形状をなすとともに、各々が光源10側から見て平面略扇形状をなしている。これらの反射凹面は、それぞれの扇の要が中心軸線Zに集められた形で互いに隣接配置されるとともに、隣り合う二つの反射凹面の側辺境界には前記エッジ線22が位置している。かかる反射凹面21A〜21Fを基台20に設けた結果、基台20の上面側には、前記6つの反射凹面が内壁面となる上に開口した一つのゼリーカップ状の凹部23が構成される。図2からわかるように、光源10は、その前方発光面が前記凹部23内に進入する位置に配設されている。
【0028】本例では光源10として発光ダイオード(LED)が用いられている。具体的には図5に示すように、光源10は、略円柱状の支持体11と、その下面(前方面)に固着された半導体発光素子12と、その発光素子を封止する半径Rの半球状透明樹脂13とを備えている。半導体発光素子12は、支持体11内に設けられた給電線(破線で示す)を介して外部から電流が供給される。
【0029】透明樹脂13は、発光素子12の全露出面を覆って外気との接触を遮断しつつ、該素子を支持体11の下面に保持する。本例では、完全な半球体の中心に発光素子12が位置し、発光素子12から発される光線はいずれも半球体表面に対し直角に入射するため、光線が半球体表面から外に向かう際には屈折しない。このため、半球状の透明樹脂13は偏向レンズとして機能せず、発光素子12が発する光は半球状の全方位に均等に放射される。そして、支持体11の下側に突出形成された半球状透明樹脂13の全体が前記凹部23内にすっぽりと収容されているため、発光素子12から発射された光はほぼ全て、前記6つの反射凹面21A〜21Fに到達し各凹面で反射されて向きを変える。
【0030】各反射凹面は、金属表面を鏡面仕上げすることによりまたは物理的もしくは化学的蒸着によって金属膜を形成することにより提供される金属光沢面であるが、個々の反射凹面の構成要素となる曲線または曲面には幾何学的計算に基づく特徴が付与されている。図3は、一つの反射凹面21に着目した場合の中心軸線Zからの一放射方向断面及び正面形状の概要を示す。
【0031】図3によれば、反射凹面21には、扇の要位置に相当する頂点P1から扇の外周円弧を構成する外縁点P2までの全範囲において任意の反射点Pxが存在する。そして、任意の反射点Pxで反射された全ての光線が、特定の集光領域D内に集束するように反射凹面21の凹面形状が設定されている。集光領域Dは、光源10よりも軸線方向後方であって中心軸線Zから放射方向に所定距離の位置に設定されている。
【0032】集光領域Dの面積は、それ自体で一つの集光点と見なせるほどに小さい。そして、光源10の中心から任意の反射点Pxまでの光路長をL1とし、その反射点Pxから集光領域Dまでの光路長をL2とした場合、反射凹面21上の全ての反射点Pxにおいて常にL1+L2が一定値となるように反射凹面21の形状が設定されている。換言すれば、反射凹面21の凹面形状は、光源10の中心を第1焦点とするとともに集光領域Dを第2焦点とする楕円を前記中心軸線Zの周りで回転させた場合に得られる回転楕円面に沿って設定されている。
【0033】つまり、本例では、6つの反射凹面21A〜21Fのそれぞれに対応する6つの集光領域(または集光点)Dが光源10よりも後方に設定され、しかも6つの集光領域Dは、中心軸線Zの周りにおいて等角度間隔(本例では60度間隔)にて中心軸線Zから等距離の位置に存在している。そして、各反射凹面21は前述のような回転楕円面に準じた凹面形状をなし、光源10から受けた全ての光を自己に対応する集光領域Dに集束させるべく反射する。なお、図3に示唆するように、集光領域Dに集められた光はそこを通過した後発散して、当該光模様投射装置から所定距離の位置に設置された所定の仮想面をなす被投光面40(例えばスクリーンや壁面)上に到達する。
【0034】図1(A)及び図2に示すように、遮蔽板30には複数個の光学窓としての透孔32(反射凹面数に対応した数、すなわち6個)が貫通形成されている。これらの透孔32は前記6つの集光領域Dに対応して設けられており、各透孔32の内部空間内には、対応する集光領域Dが完全に包含される。つまり、遮蔽板30は6つの集光領域Dの設定位置に配設されるとともに、集光領域Dに集束された光の通過を妨げないように6つの透孔32が形成されている。各透孔32の面積は、集光領域Dの設定面積及び遮蔽板30の板厚との関係で決まるが、遮蔽板30が極めて薄くかつ集光領域Dが一つの集光点とみなせるほど小さい場合には、透孔32も限りなく点存在に近づけることができる。
【0035】この光模様投射装置の機能の本質に鑑みれば、遮蔽板30はその機能発揮のための必須コンポーネントではない。但し、遮蔽板30を設けることで、光源10以外からの光線(攪乱光)が基台20の各反射凹面に入射するのを抑制することができ、光模様形成に関与する光線の制御が確実となる等の副次的効果がもたらされる。
【0036】次に、この光模様投射装置による光模様形成の概要を説明する。図3に示すように、光源10から発された光は各反射凹面によって反射され、集光領域Dに集束された後発散して被投光面40上に達する。一つの反射凹面21にのみ着目した図3によれば、反射凹面21の扇形の頂点P1で反射された光線は、その後左下がりの光路をたどり集光領域Dを通過後、被投光面40の下半部の点P1’に達する。他方、反射凹面21の外周円弧を構成する外縁点P2で反射された光線は、その後左上がりの光路をたどり集光領域Dを通過後、被投光面40の上半部の点P2’に達する。
【0037】その結果、被投光面40上には、反射凹面21の正面扇形形状を上下反転させつつ拡大したような略扇形形状の光模様が映し出される。この光模様は、対応する反射凹面21の正面形状とほぼ相似形をなす。また、光模様の拡大倍率は、集光領域Dと被投光面40との距離に応じて変化する。
【0038】前述のように、本例の光模様投射装置には6つの反射凹面21A〜21Fが存在し、それぞれの反射凹面21A〜21Fによって各反射凹面21A〜21Fに対し反転・拡大した略扇形形状の光模様が提供される。そして、これら6つの略扇形光模様が重なり合って、あたかも一つの幾何学模様が創出される。図4は、個々の反射凹面21A〜21Fが作り出す略扇形光模様と、それらが組み合わさって一つの幾何学模様が合成される様子を概念的に示す。
【0039】図4における最上段の三つの図形41A,41C及び41Eは、それぞれ反射凹面21A,21C及び21Eによって作り出される略扇形光模様である。これら三つの略扇形光模様41A,41C及び41Eは各図形の重心位置がほぼ一致するような位置関係を保ちつつ被投光面40上に映し出されること、三つの反射凹面21A,21C及び21Eは中心軸線Zの周りに120度の位相間隔で配置されていること、さらに各反射凹面21A,21C及び21Eの頂点P1での角度が60度であることといった三つの要因により、略扇形光模様41A,41C及び41Eの各々が有する三つの頂点は、被投光面40上のほぼ同一位置に集まる。その結果、図形42に示すような合成された光模様が出現する。
【0040】すなわち、三つの略扇形光模様41A,41C及び41Eの重なり合いによってほぼ正三角形状の図形42(図4では倒立正三角形)が浮かび上がる。この正三角形の内部領域は、三つの反射凹面からの反射光が重なり合うため、相対的に輝度の高い中輝度領域となる。逆に、その正三角形の各辺を弦とする三つの円弧状領域(破線円弧で示す)は、前記中輝度領域よりも相対的に輝度の低い低輝度領域となる。
【0041】他方、図4における最下段の三つの図形41B,41D及び41Fは、それぞれ反射凹面21B,21D及び21Fによって作り出される略扇形光模様である。これら三つの略扇形光模様41B,41D及び41Fは各図形の重心位置がほぼ一致するような位置関係を保ちつつ被投光面40上に映し出されること、三つの反射凹面21B,21D及び21Fは中心軸線Zの周りに120度の位相間隔で配置されていること、さらに各反射凹面21B,21D及び21Fの頂点P1での角度が60度であることといった三つの要因により、略扇形光模様41B,41D及び41Fの各々が有する三つの頂点は、被投光面40上のほぼ同一位置に集まる。その結果、図形43に示すような合成された光模様が出現する。
【0042】すなわち、三つの略扇形光模様41B,41D及び41Fの重なり合いによってほぼ正三角形状の図形43(図4では正立正三角形)が浮かび上がる。この正三角形の内部領域は、三つの反射凹面からの反射光が重なり合うため、相対的に輝度の高い中輝度領域となる。逆に、その正三角形の各辺を弦とする三つの円弧状領域(破線円弧で示す)は、前記中輝度領域よりも相対的に輝度の低い低輝度領域となる。
【0043】加えて、本例では、六つの略扇形光模様41A〜41Fは各図形の重心位置がほぼ一致するような位置関係を保ちつつ被投光面40上に映し出され、しかも、三つの反射凹面21A,21C及び21Eの一群と残り三つの反射凹面21B,21D及び21Fの一群とは中心軸線Zの周りに60度の位相間隔で配置されている。このため、図形42と図形43とはほぼ重心位置を同じくしかつ位相が互いに60度ずれた位置関係にある。これにより、両図形42及び43が重なることで、図形44に示すような六芒星形の光模様が出現する。
【0044】ここで、図形44には、中心の正六角形領域と、その正六角形の各辺に隣接する6つの小三角形領域とが存在する。各小三角形領域は、図形42または43の正三角形内部領域と同じく中輝度領域である。他方、図形44の正六角形領域は、前記小三角形領域(中輝度領域)よりも相対的に輝度の高い高輝度領域となる。仮に図形42または43における低輝度領域の輝度を1とすれば、中輝度領域の輝度は3程度、高輝度領域の輝度は6程度となり、図形44においては、高輝度領域及び中輝度領域との相対関係において低輝度領域の存在を視覚的に認識することが難しくなる。このため、一見して被投光面40上には、図4に示す六芒星形の明確な輪郭線を持つが如き図形44が浮かび上がる。
【0045】本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。・LEDのように点光源とみなせるほど小さな光源10を用いているため、光模様投射装置を全体として小型化することが容易となる。
【0046】・光源10から発された光のほぼ全てが6つの反射凹面21A〜21Fによって反射され、途中遮られることなく被投光面40上に到達する。つまり、光模様投射装置の内部において遮光される光がほとんどなく、光源10からの光は必ず外部に放射される。換言すれば、内部的な遮光によるエネルギー損失が極めて少なく光の外部放射効率が高い。
【0047】一般に、LEDのような半導体発光素子12を用いた光源の場合には、その光量の少なさが問題となることが多いが、本件装置によれば、外部放射効率が高いためLED光源の光量の少なさが問題視される場面が減る。逆に言えば、本件装置は、発光量の少ない小型光源の利用を可能とする点で極めて優れた光模様投射装置と言える。
【0048】・本実施形態では、6つの反射凹面21A〜21Fがそれぞれに描く個々の光模様41A〜41Fを互いに重ね合わせて、一つの合成光模様44を現出している。この合成された光模様44の幾何学パターンは、各反射凹面の形状や配列から容易に推定できるものではなく、また、そもそも本例に限って言えば、小さな透孔32しか持たない遮蔽板30の存在によって各反射凹面の形状や配列を外部から確かめることができない。このため、この光模様投射装置によれば、観客が光源10の点灯時に被投光面40に映し出される光模様44のパターンを事前に推定することは不可能である。そして、光源10の点灯時に出現する光模様44のパターンは、観客にとって意外性があり極めておもしろいものとなる。
【0049】・前述のように個々の光模様41A〜41Fを重ね合わせて一つの合成光模様44を現出しているため、個々の光模様41A〜41Fの一つ一つの輝度が低い場合でも、合成光模様44の輝度を十分に高めて鮮明なものとすることができ、被投光面40での幾何学パターンのぼけを抑制することができる。なお、この事実は、発光量の少ない小型光源を利用する際に有利に働く。また、光模様投射装置の小型化を図りつつ、該投射装置から被投光面40までの距離の限界値(つまり光模様44をある程度鮮明に視認可能な距離の最大値)を従来以上に拡大することが可能となる。
【0050】・この光模様投射装置では、遮蔽板30は必須のコンポーネントではないが、遮蔽板30を設けることで、光源10以外からの光線(攪乱光)が基台20の各反射凹面に入射するのを抑制して、光模様形成に関与する光線の制御を確実なものとすることができる。また、遮蔽板30は外部からの光を遮るため、例えば該投射装置を野外に設置したとしても、LED等を構成する樹脂が一日中、野放図に日光等にさらされることがなく、樹脂の劣化が遅れ、結果的に耐用時間が長くなる。さらには、遮蔽板30の表面に予め各種模様を印刷等しておくことで、遮蔽板30を装飾用の化粧板として役立たせることも可能である。
【0051】(その他の実施形態)上記実施形態の各種変更例を以下に示す。
(変更例1)上記実施形態では、光源10としてのLEDを構成する透明樹脂13を半径Rの半球形状としたが、その透明樹脂13の形状を図6(A)に示すように、半径Rの半球(破線で示す)を外方向に引き延ばしたような形状(つまりLEDの中心軸線Zに長軸が一致するような楕円断面を持つ立体形状)に変更してもよい。かかる形状を採用すれば、半導体発光素子12から発される光線が透明樹脂13の湾曲表面を通過して外に向かう際に、中心軸線Z寄りの屈折を受ける。すなわち、透明樹脂13は、光源10の周方向(図の水平方向)よりも前方方向(図の垂直下向き)に光を集める偏向レンズとして機能する。
【0052】この場合、各反射凹面21において、その外周円弧を構成する外縁点P2よりも頂点P1に近い領域の光量が相対的に増加し、六芒星形の光模様44にあっては頂点P1’に近い三角形領域(図6(B)に梨地模様で示す)の輝度が、上記実施形態(図1〜図5)の場合よりも相対的に高まる。つまり、光源10の透明樹脂13の形状を変更することにより、光模様44での輝度分布の調節が可能となる。
【0053】(変更例2)上記変更例1とは逆に、光源10としてのLEDを構成する透明樹脂13の形状を図7(A)に示すように、半径Rの半球(破線で示す)を内方向に押し潰したような形状(つまりLEDの中心軸線Zとの直交方向に長軸が一致するような楕円断面を持つ立体形状)に変更してもよい。かかる形状を採用すれば、半導体発光素子12から発される光線が透明樹脂13の湾曲表面を通過して外に向かう際に、中心軸線Zから遠ざかる方向への屈折を受ける。すなわち、透明樹脂13は、光源10の前方方向(図の垂直下向き)よりも周方向(図の水平方向)に光を集める偏向レンズとして機能する。
【0054】この場合、各反射凹面21において、その頂点P1よりも外縁点P2に近い領域の光量が相対的に増加し、六芒星形の光模様44にあっては頂点P2’に近い六角形領域(図7(B)に梨地模様で示す)の輝度が、上記実施形態(図1〜図5)の場合よりも相対的に高まる。つまり、光源10の透明樹脂13の形状を変更することにより、光模様44での輝度分布の調節が可能となる。
【0055】(変更例3)上記実施形態並びに変更例1及び2で用いた光源10において、レンズ的役目を果たす透明樹脂を設けずに半導体発光素子12を裸状態にするとともに、その半導体発光素子からは主として紫外線を発生させ、さらに被投光面40上には蛍光塗料等の蛍光物質を被覆しておいてもよい。この場合には、半導体発光素子12から発された紫外線は、そのエネルギー量を落とすことなく反射凹面21で反射された後に被投光面40上の蛍光物質に照射される。すると、制御された反射光を受けた部分のみが蛍光を発し、所定の幾何学模様が浮かび上がる。
【0056】(変更例4)上記実施形態では、基台20に形成する反射凹面の数を6個としたが、図8(A)に示すように12個の反射凹面21を基台に付与してもよい。この場合、各反射凹面は中心軸線Zの周りに30度間隔で配置され、各反射凹面21に対応して12個の集光領域D(破線円で示す)が設定されることになる。なお、各反射凹面21は上記実施形態と同じく回転楕円面に準じた凹面として提供される。上記実施形態において、6面の反射凹面に代えて図8(A)のような12面の反射凹面21を設置した場合、被投光面40上には、図8(B)に示すような光模様が映し出される。この光模様には、12個の反射凹面21の頂点に対応して12個の芒(「のぎ」または「とげ」の意味)が表れる。図8(A)と図8(B)とを比較してわかるように、この場合も反射凹面の形状や配置から光模様の幾何学パターンを推測することは非常に難しく、観客はその模様に意外性を感じる。
【0057】(変更例5)本発明における光源10は、LED等の半導体発光素子を利用したものに限定されない。その他の光源として、白熱電球、小型豆球タイプの冷陰極管または熱陰極管を採用してもよい。但し、被投光面40上に映し出される光模様の形状が明確となり、あるいはその輪郭等を潰さないためには、点存在に近い光源を用いることが望ましい。その意味でLEDは、工業的に入手可能な光源部品の中でも最善の選択肢となる。
【0058】(変更例6)上記実施形態では、基台20に設けられた6つの反射凹面21のどれも同形状とし、各反射凹面を中心軸線Zの周囲に等角度間隔にて配置した。つまり、中心軸線Zにとって全ての反射凹面が等価な存在(これを軸対称形と呼ぶ)となるように構成した。本発明の趣旨を逸脱しない限り、複数の反射凹面は互いに同形状である必要はなく、また、中心軸線Zの周囲に等角度間隔にて配置可能な形状である必要もない。
【0059】すなわち、例えば図9に示すように、頂点の内角が30度、60度、90度の略扇形反射凹面を二つずつ準備し、合計6つの異形反射凹面を中心軸線Zの周囲に配置してもよい。このような反射凹面群を介して映し出される光模様は、単なる対称形ではない複雑な幾何学形状を呈する。
【0060】(変更例7)上記実施形態では、光源10と基台20とを別体としていたが、両者を一体化することも可能である。例えば図10に示すように、肉薄で長尺なリードフレーム51を水平方向に延設し、その中心位置に半導体発光素子12を固定する。発光素子12への給電は、リードフレーム51に沿って設けられた給電線を介して行う。このリードフレーム51及び発光素子12を内部に封入する形で透明な樹脂材料52(例えば透明なエポキシ樹脂)をモールドし、全体として巨大な透明レンズ体状に仕上げる。
【0061】樹脂材料52をモールドする際に使用する金型(付形用の型)の内壁面を、上記実施形態における複数の反射凹面21の凹面形状に対応させておくことで、樹脂モールドの完了後には前記透明レンズ体の底部に上記反射凹面21の回転楕円面に対応する凸面53を複数形成することができる。そして、これらの凸面53に対し例えば物理的または化学的な蒸着処理により金属(例えば銀)を付着させることで、凸面の表面に反射膜54を形成することができる。この反射膜54の内側面は、発光素子12からの光を反射する反射凹面の役目を果たす。図2に示す光源10及び基台20に代えて、図10に示すような反射膜付きの樹脂モールド品を用いても、前記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0062】(変更例8)上記変更例7のように蒸着処理による反射膜54の形成工程を経ずとも、光源10と基台20との一体化は可能である。例えば図11に示すように、複数の反射凹面21が形成された扁平ゼリーカップ型の金属製反射体55を予め準備しておく。そして、この反射体55と、リードフレーム51及び発光素子12を内部に封入する形で透明な樹脂材料52(例えば透明なエポキシ樹脂)をモールドし、図11に示すような樹脂モールド品を一挙に完成させてもよい。図2に示す光源10及び基台20に代えて、図11に示すような樹脂モールド品を用いても、前記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0063】なお、変更例7及び8における透明な樹脂材料52は、透明なガラス材料で置換されてもよい。すなわち、変更例7及び8で用いる材料52は、電気絶縁性を備えた光透過性材料であれば、どうようなものでもよい。
【0064】(変更例9)上記実施形態においては、遮蔽板30上に透孔32を形成することで光学窓を構成したが、この透孔32を光透過性材料で封止してもよい。
(変更例10)上記実施形態及び各変更例においては、反射凹面の凹面形状は滑らかに連続したものを想定していたが、反射した光を特定の集光領域Dに集束させるような面構成である限り、滑らかな凹面である必要はない。例えば、極めて多数の微小平面を個々の微小平面の角度を微妙に変化させつつ配列することで、前記反射凹面と光学的に等価な凹状多面体を構成してもよい。このような凹状多面体も、本件明細書でいう「反射凹面」の範疇に含まれる。
【0065】(変更例11)上記実施形態及び各変更例においては、光模様投射装置からの光を被投光面40に投射して、その光に基づく光模様を映し出すようにした。これに対して、光模様投射装置からの光を、例えば微粒子(煙、微小浮遊物等)が浮遊する媒質(空気等の気体、水等の液体等)中を通過させ、当該光の外形形状を浮かび上がらせるようにしてもよい。また、上記実施形態及び各変更例の光模様投射装置は、その光模様投射装置を被投光面40側から見るようにすることで、例えば信号等の光源として利用することもできる。
【0066】次に、上記実施形態及び各変更例からさらに把握される技術的思想の要点を列挙する。
(1)請求項1〜8に記載の発光装置において、前記光源の発光面は、前記反射体に設けられた複数の反射凹面によって構成される凹部(より具体的にはゼリーカップ状の凹部)内に進入配置されていること。
【0067】(2)請求項1〜8に記載の発光装置において、光源と反射体とが光透過性材料によって一体化されていること。
【0068】
【発明の効果】以上詳述したように各請求項に記載の発光装置によれば、光源からの光量を有効利用することができる。
【0069】請求項2の発明によれば、仮想面に映し出される光模様の鮮明度を確保しつつ装置の小型化を図ることができる。また、この発光装置が仮想面に作り出す光模様を、当該装置を外部から観測して予測することが困難となり、映し出される光模様の意外性を確保することができる。
【0070】請求項3及び請求項4の発明によれば、請求項1または請求項2の発明の効果に加えて、投射される光の断面形状に幾何学的な対称性や規則性が付与され、その光を可視化すると見るからに美しい幾何学模様が形成される。
【0071】請求項5の発明によれば、請求項3または請求項4の発明の効果に加えて、本件装置の光学的設計が容易になる。請求項6の発明によれば、請求項1〜請求項5のいずれか一項の発明の効果に加えて、遮光板の採用により、光投射時の外光による攪乱が回避される等の副次的効果がもたらされる。
【0072】請求項7の発明によれば、請求項1〜請求項6のいずれか一項の発明の効果に加えて、装置の小型化が容易になる。請求項8の発明によれば、請求項1〜請求項7のいずれか一項の発明の効果に加えて、光源の偏向レンズ特性を変えることで、外部に投射される光の輝度分布調節が可能となる。
【出願人】 【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
【出願日】 平成12年7月26日(2000.7.26)
【代理人】 【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣 (外1名)
【公開番号】 特開2002−42520(P2002−42520A)
【公開日】 平成14年2月8日(2002.2.8)
【出願番号】 特願2000−225572(P2000−225572)