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【発明の名称】 車両用ランプ装置
【発明者】 【氏名】酒井 清博

【要約】 【課題】アウタレンズ越しの可視エリアにおける結露を防止しつつ、ハウジングの小型化を図ることができる車両用ランプ装置を提供する。

【解決手段】表面側にアウタレンズ2を有するハウジング3の内部に密閉されたハウジング空間Aを形成すると共に、該ハウジング空間Aの内部に、インナキャップ5と筒体14によりバルブ空間Bを形成し、バルブ空間Bを外気と連通状態して、内部にバルブ6を取付けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 表面側にアウタレンズを有するハウジングの内部に密閉されたハウジング空間を形成すると共に、該ハウジング空間の内部に、ハウジング内に設けられたリフレクタの表面に密接して接合されたインナキャップと、リフレクタの裏面とハウジングの裏面部との間に接続され少なくとも気体の体積変化により膜変動可能な変形容易性を有する筒体により、ハウジング空間に対して気密性を有するバルブ空間を形成し、該バルブ空間内のリフレクタ及びハウジングの裏面部に、各々通気孔を形成して該バルブ空間を外気と連通状態して、内部にバルブを取付けたことを特徴とする車両用ランプ装置。
【請求項2】 請求項1記載の車両用ランプ装置であって、前記インナキャップの内面に、赤外線反射膜を形成したことを特徴とする車両用ランプ装置。
【請求項3】 請求項1又は請求項2記載の車両用ランプ装置であって、前記リフレクタがハウジングに対して可動で、筒体が長手方向で伸縮自在であることを特徴とする車両用ランプ装置。
【請求項4】 請求項3記載の車両用ランプ装置であって、前記筒体が、蛇腹形状であることを特徴とする車両用ランプ装置。
【請求項5】 請求項4記載の車両用ランプ装置であって、前記ハウジングの裏面部に対して取り外し可能なキャップ体により、弾性材料製の筒体の端部をハウジングに挟圧して取付けることを特徴とする車両用ランプ装置。
【請求項6】 請求項4記載の車両用ランプ装置であって、前記ハウジングの裏面部に対して取り外し可能なキャップ体に形成された取付座により、筒体の端部が取付けられていることを特徴とする車両用ランプ装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、車両用ランプ装置、特にアウタレンズ越しの可視エリアにおける結露を防止しつつ、小型化を図れる車両用ランプ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両、例えば自動車のフロント部又はリヤ部に取付けられるランプ装置は、表面側にアウタレンズを有する密閉状態のハウジング内にリフレクタを設けると共に、このリフレクタにバルブを取付けた構造にしている。
【0003】ハウジングの内部空間を密閉状態にしているのは、水が侵入しないようにするためである。但し、単に密閉化しただけでは、バルブの発生熱等による温度変化により、ハウジングの内部と外部との間に圧力差が生じ、かえって水がハウジング内に侵入しやすくなるため、ハウジングの裏面部に小さな通気孔を形成している。通気孔の形成により、ハウジングの内外の圧力が同一になるため、圧力差による水の侵入を防止できる。
【0004】尚、この通気孔から湿気がハウジング内に侵入して、アウタレンズの内面に結露を生じさせるおそれがあるため、通気孔の外部には、湿気吸収剤を含む防湿容器を取付けたり(特開平8−195104号公報参照)、或いは、圧力変化量を吸収する風船状の容積可変部を取付けている(特開平9−245507号公報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来の技術にあっては、ハウジングの外部に防湿容器や容積可変部を突出した状態で取付けていたため、ハウジングが大型化し、車体における設置スペースの確保が困難である。
【0006】この発明は、このような従来の技術に着目してなされたものであり、アウタレンズ越しの可視エリアにおける結露を防止しつつ、ハウジングの小型化を図ることができる車両用ランプ装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、表面側にアウタレンズを有するハウジングの内部に密閉されたハウジング空間を形成すると共に、該ハウジング空間の内部に、ハウジング内に設けられたリフレクタの表面に密接して接合されたインナキャップと、リフレクタの裏面とハウジングの裏面部との間に接続され少なくとも気体の体積変化により膜変動可能な変形容易性を有する筒体により、ハウジング空間に対して気密性を有するバルブ空間を形成し、該バルブ空間内のリフレクタ及びハウジングの裏面部に各々通気孔を形成して該バルブ空間を外気と連通状態して、内部にバルブを取付けた。
【0008】請求項1記載の発明によれば、アウタレンズを含むハウジング空間が密閉されているため、湿気が侵入することなく、アウタレンズ越しに見える可視エリア(特にアウタレンズの内面)に結露が発生することがない。また、筒体が膜変動して、ハウジング空間内の気体の体積変化を吸収するため、ハウジング空間内の圧力は一定に保たれる。通気孔から侵入した湿気は、バルブ空間内だけに封じ込まれるため、バルブ空間内では結露が生じるおそれがあるが、外部から見えづらく、見映え上問題になることはない。そのため、従来のように、ハウジングの外部に湿気の侵入を防止する構造を付加する必要がなく、ハウジング全体の小型化を図ることができる。従って、車体におけるランプ装置の設置スペースは小さくて済み、車体側の設計自由度が高まる。
【0009】請求項2記載の発明は、インナキャップの内面に、赤外線反射膜を形成した。
【0010】請求項2記載の発明によれば、インナキャップの内面に赤外線反射膜が形成されているため、バルブからの可視光線は、外部に透過させて明るさを確保できる一方、ハウジング空間を暖める赤外線は、遮断してハウジング空間の温度上昇を抑え、圧力変化を抑制する。
【0011】請求項3記載の発明は、リフレクタがハウジングに対して可動で、筒体が長手方向で伸縮自在である。
【0012】請求項3記載の発明によれば、筒体が長手方向で伸縮自在であるため、リフレクタをハウジングに対して可動させても、バルブ空間のハウジング空間に対する気密性は維持される。
【0013】請求項4記載の発明は、筒体が蛇腹形状である。
【0014】請求項4記載の発明によれば、筒体が蛇腹形状であるため、長手方向に伸縮自在で且つ圧力変化による膜変動も可能である。
【0015】請求項5記載の発明は、ハウジングの裏面部に対して取り外し可能なキャップ体により、弾性材料製の筒体の端部をハウジングに挟圧して取付ける。
【0016】請求項5記載の発明によれば、キャップ体により、弾性材料製の筒体の端部を挟圧して取付けるため、筒体の端部の接続作業が容易であると共に、筒体の端部がシール材として機能し、気密性を維持できる。
【0017】請求項6記載の発明は、前記ハウジングの裏面部に対して取り外し可能なキャップ体に形成された取付座により、筒体の端部が取付けられている。
【0018】請求項6記載の発明によれば、筒体の端部をキャップ体に形成された取付座に取付けたため、筒体が弾性材料製でなくても、キャップ体に対して気密性を確保した状態で接続することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、この発明の好適な実施例を図面に基づいて説明する。
【0020】図1〜図3は、この発明の第1実施形態を示す図である。自動車のフロント部に取付けられたヘッドランプであるランプ装置1は、基本的に、アウタレンズ2と、ハウジング3と、リフレクタ4と、インナキャップ5と、バルブ6とから構成されている。アウタレンズ2は、プリズムの形成されていない素通しレンズで、ハウジング3の表面側の開口に取付けられている。ハウジング3の開口の内側には、インナパネル7も取付けられている。ハウジング3の裏面部は、キャップ体3aとして、回転させることにより取り外し自在になっている。キャップ体3aは、気密性を保つために、ゴム製のOリング8を介在させた状態で取付けられている。このようなキャップ体3aを含むハウジング3と、アウタレンズ2とで区画された空間が、ハウジング空間Aで、外部に対して気密性が保たれている。
【0021】リフレクタ4は、ドーム形状をしており、内面はアルミ蒸着された反射面になっている。リフレクタ4の下端は、ボールヒンジ9を介してハウジング3に対して回動自在に支持され、上端はドライバー10を用いて回転可能なシャフト11を介して、ハウジング3に対して接離自在に支持されている。従って、このシャフト11を回転制御させることにより、リフレクタ4の上端を図2中矢示Rの何れかの方向に傾動させて、リフレクタ4の角度(光軸)を調整することができる。
【0022】リフレクタ4の表面の中心に溶着されているのが、インナキャップ5である。このインナキャップ5の内面には、シリコン酸化膜と酸化タングステンとの多層膜が蒸着され、赤外線反射膜12を形成している。従って、このインナキャップ5は、明るさを得るための可視光線は透過するが、熱を伝える赤外線は遮断する。
【0023】リフレクタ4の裏面には、中心を取り囲むように閉ループ状の取付座13が形成されていて、そこにラバー製の筒体14の一端に設けられたリング15が取付けられている。このリング15も前記キャップ体3aと同様に回転係合する構造で、間にOリング8が介在されている。筒体14は、長手方向に沿って蛇腹形状をしており、長手方向で伸縮自在であると共に、その直交方向である膜変動も容易である。
【0024】そして、この筒体14の他端16は、Oリング形状をしており、キャップ体3aとハウジング3との間で挟圧されている。従って、筒体14の他端16の取付けをキャップ体3aの取付けと同時に行えると共に、筒体14の他端16側の気密性も保たれる。このように、筒体14の両端部がそれぞれリフレクタ4及びキャップ体3aに対して気密性を保った状態で接続され、且つ、前記インナキャップ5がリフレクタ4の表面に気密性を確保した状態で溶着されているため、このインナキャップ5と筒体14により、リフレクタ4を挟んだ状態のバルブ空間Bが形成される。
【0025】バルブ6は、このバルブ空間B内におけるリフレクタ4に取付けられている(尚、バルブ6は、リフレクタ4の中心に孔を開けてキャップ体3a側に取付けても良い)。そして、バルブ空間B内のリフレクタ4及びキャップ体3aには、それぞれ通気孔17、18が形成され、バルブ空間Bを外気と連通状態にしている。
【0026】この実施形態によれば、アウタレンズ2を含むハウジング空間Aが完全に密閉化されているため、このハウジング空間Aに外部から湿気が侵入することがなく、アウタレンズ2越しに見える可視エリア(特にアウタレンズ2の内面)に結露が発生することがない。従って、アウタレンズ2越しの見映えが良く、ランプ装置1の外観品質が向上する。また、太陽熱等による加熱や、洗車時の水による冷却により、ハウジング空間A内の温度が変化しても、筒体14が膜変動して、ハウジング空間A内の気体の体積変化を吸収するため、ハウジング空間A内の圧力は常に一定に保たれる。更に、この実施形態のインナキャップ5の内面には赤外線反射膜12が施され、バルブ6から照射される赤外線を遮断するため、バルブ6の点灯によるハウジング空間Aの温度上昇を抑えられ、ハウジング空間A内における気体の体積変化を抑制する。
【0027】また、バルブ空間Bは、2つの通気孔17、18により外気と連通状態になっているため、この通気孔17、18を介して湿気がバルブ空間B内に侵入するおそれがあるが、仮に侵入しても、湿気はバルブ空間B内だけに封じ込まれるため、アウタレンズ2の内面にまで湿気が到達することはなく、アウタレンズ2の内面に結露が発生することはない。従って、ランプ装置1の外観上問題になることはない。このように、ハウジング3におけるキャップ体3aの通気孔18部分は、単に外部に露呈された状態で、そこに従来のような湿気の侵入を防止するための構造が付加されていないため、ハウジング3全体の小型化を図ることができる。従って、車体におけるランプ装置1の設置スペースは小さくて済み、車体側の設計自由度が高まる。
【0028】また、筒体14が蛇腹形状で長手方向において伸縮自在なため、光軸調整のためにリフレクタ4の角度を変えてもバルブ空間Bのハウジング空間Aに対する気密性は確保される。
【0029】図4及び図5は、この発明の第2実施形態を示す図である。この第2実施形態では、筒体19は薄い金属板で形成した蛇腹形状で、両端にリング20、21を設け、一方をリフレクタ4の裏面に形成した取付座13にOリング8を介して係合させ、他方をキャップ体22に形成した取付座23にOリング8を介して係合させている。そして、キャップ体22とハウジング3との間にも気密性を確保するためのOリング8が介在されている。この筒体19は、蛇腹形状で、長手方向に伸縮自在のため、まず一方のリング20をリフレクタ4の裏面の取付座13に係合させた後、筒体19を引き伸ばして、ハウジング3に取付ける前のキャップ体22の取付座23に係合させ、その後、キャップ体22をハウジング3に取付ける。更に、この筒体19は金属製であるが、膜変動も可能なため、ハウジング空間Aの気体の体積変化を吸収して、内部圧力を一定に保つことができる。
【0030】また、上記の実施形態では、自動車のフロント部に取付けられたランプ装置1を例にしたが、本発明は自動車のリヤ部に取付けたランプ装置にも適用可能である。
【出願人】 【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
【出願日】 平成12年7月7日(2000.7.7)
【代理人】 【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和 (外8名)
【公開番号】 特開2002−25309(P2002−25309A)
【公開日】 平成14年1月25日(2002.1.25)
【出願番号】 特願2000−206557(P2000−206557)