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【発明の名称】 発光素子及びその製造方法
【発明者】 【氏名】武内 正隆

【要約】 【課題】低駆動電圧で、発光強度が大きく、安定性、信頼性に優れた高性能の電気化学発光素子で、さらに製造プロセスも簡易で、低コスト化、大面積化が可能な電気化学的発光素子及びその製造方法を提供すること。

【解決手段】遷移金属錯体(特にルテニウム錯体)を発光層に用いる電気化学的発光素子において、イオン伝導性物質として特定の重合性官能基を有する重合性化合物を硬化させて得られた高分子化合物と電解質塩を含む高分子固体電解質を用いる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】一般式(1)
【化1】

[式中、R1は水素原子または炭素数が10以下のアルキル基を表す。]および/または、一般式(2)
【化2】

[式中、R2は水素原子または炭素数が10以下のアルキル基を表す。R3は2価の有機基を表わす。R3はヘテロ原子を含んでいてもよく、直鎖状、分岐状または環状のいずれの構造を有するものでもよい。R4は水素原子、炭素数10以下のアルキル基、アルコキシ基、エーテル基を表わし、直鎖状、分岐状または環状のいずれの構造を有するものでもよい。xは0または1を示す。]で表される重合性官能基を有する重合性化合物を硬化させることにより得られる少なくとも一種の高分子化合物と少なくとも一種の電解質塩とを含む高分子固体電解質をイオン伝導性物質として用い、遷移金属錯体を発光層に用いることを特徴とする電気化学的発光素子。
【請求項2】遷移金属錯体がRu(ルテニウム)錯体である請求項1に記載の電気化学的発光素子。
【請求項3】請求項1または2に記載の高分子化合物が、一般式(3)
【化3】

[式中、R5は炭素数が1〜20の鎖状、分岐状及び/または環状の、ヘテロ原子を含んでも良い2価の有機基を表す。nは1〜500の整数を示す。]で表されるカーボネート構造を有することを特徴とする請求項1または2に記載の電気化学的発光素子。
【請求項4】イオン伝導性物質に少なくとも一種の溶媒が添加されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電気化学的発光素子。
【請求項5】電解質塩がアルカリ金属塩、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩から選ばれる少なくとも一種の電解質塩であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電気化学的発光素子。
【請求項6】イオン伝導性物質に添加される溶媒が炭酸エステル類、脂肪族エステル類、エーテル類、ラクトン類、スルホキシド類、アミド類から選ばれる少なくとも一種の非水有機溶媒であることを特徴とする請求項4または5に記載の電気化学的発光素子。
【請求項7】遷移金属錯体の配位子がピリジン及び/またはその誘導体、キノリン及び/またはその誘導体、キノキサリン及び/またはその誘導体、ポルフィリン及び/またはその誘導体、フタロシアニン及び/またはその誘導体の少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電気化学的発光素子。
【請求項8】遷移金属錯体の配位子が高分子に結合した高分子錯体であることを特徴とする請求項7に記載の電気化学発光素子。
【請求項9】遷移金属錯体薄膜発光層が担持された電極と対向電極が接触しないように配置された素子構成体内に一般式(1)
【化4】

[式中、R1は水素原子または炭素数が10以下のアルキル基を表す。]および/または、一般式(2)
【化5】

[式中、R2は水素原子または炭素数が10以下のアルキル基を表す。R3は2価の有機基を表わす。R3はヘテロ原子を含んでいてもよく、直鎖状、分岐状または環状のいずれの構造を有するものでもよい。R4は水素原子、炭素数10以下のアルキル基、アルコキシ基、エーテル基を表わし、直鎖状、分岐状または環状のいずれの構造を有するものでもよい。xは0または1を示す。]で表される重合性官能基を有する少なくとも一種の重合性化合物と少なくとも一種の電解質塩、少なくとも一種の重合開始剤を含む高分子固体電解質用流動性重合性組成物を注入し、発光層及び対向電極界面に該重合性組成物を均一に接触させたあと、該重合性化合物を均一に硬化させ、高分子固体電解質を形成させることを特徴とする電気化学的発光素子の製造方法。
【請求項10】遷移金属錯体がルテニウム錯体である請求項9に記載の電気化学的発光素子の製造方法。
【請求項11】硬化反応が加熱により行われることを特徴とする請求項9または10に記載の電気化学的発光素子の製造方法。
【請求項12】硬化反応が活性エネルギー線の照射により行われることを特徴とする請求項9または10に記載の電気化学的発光素子の製造方法。
【請求項13】硬化反応が加熱と活性エネルギー線の照射により行われることを特徴とする請求項9または10に記載の電気化学的発光素子の製造方法。
【請求項14】活性エネルギー線が紫外線である請求項12または13に記載の電気化学的発光素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はイオン伝導性物質に高分子固体電解質を用いた遷移金属錯体を電気化学的に酸化還元することにより発光する発光素子及び該発光素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、次世代表示材料として薄型、低電圧駆動、高輝度平面自発光を特徴とする有機エレクトロルミネッセント(EL)素子の開発が勢力的に行われ、高寿命化、フルカラー化、大画面化が急ピッチで進められ、一部実用化も行われ始めた。最も開発が進んでいる有機EL素子は、陽極/ホール輸送層/発光層/電子輸送層/陰極という構造を代表とする多層構造で直流駆動を基本とする。輸送層や発光層の代表としてはAlq3(トリス(8−キノリノール)アルミニウム)錯体等の有機系低分子化合物が用いられる。陽極はITO(酸化インジウムスズ)を代表とする透明導電性電極、陰極はMg及びその合金を代表とする低仕事関数の活性金属及びその合金が用いられている。素子の製造はITO陽極上に、まず輸送層及び発光層の低分子化合物を真空蒸着等のドライプロセスで100nm程度に成膜後、さらに陰極の金属を蒸着し封止しており、大面積化、プロセスコスト的に問題がある。また、駆動中に低分子化合物が大気中の酸素や水分及び発熱により劣化しやすく、さらに陰極金属も水分や酸素に弱いためパッケージング技術の改良も必要である。
【0003】このような観点から発光層や輸送層に湿式塗布で成膜可能なπ共役系高分子を用いて、安定性やプロセスコストの改良を検討することも盛んに行われている。例えばケンブリッジ大のフレンドらはPPV(ポリパラフェニレン)系高分子を用いたEL素子を開発している(Nature NO.347 539貢 1990年)。しかしながらこれらの素子も構造的には同じであり、電流駆動時の劣化は完全には改善されない。また低分子化合物に比べて、発光強度が低いことも問題となっている。
【0004】一方、直流駆動ではなく電気化学的な酸化還元を利用した発光素子(電気化学発光素子)が近年注目されている。このような電気化学発光素子は発光材料の酸化還元のみを利用しているので、印加電圧が低くでき、発光層/輸送層/電極の界面の制御や仕事関数のマッチングをする必要がなく、安定で製造プロセスを簡易化できるという長所を有する。こうした長所を利用したものにRu錯体を発光層に用いた電気化学発光素子が検討されている(Appl.Phys.Lett. NO.69 1689貢1996年、J.A.C.S. NO.119 3987貢 1997年等)。Ru(II)錯体は隣接した電気化学反応によって、Ru(III)、Ru(I)とが励起したRu(II)の状態を作り出す分子間反応という機構で溶液中では高効率な電気化学発光を生じることで知られている。しかしながらこれを利用した固体型素子は量子効率が0.3%と低く素子作成プロセスも複雑であった。
【0005】Thin Solid Films NO.327 663貢 1998年ではRu錯体を用いた高効率な固体型発光素子を高分子電解質の交互吸着法により試作している。また交互吸着の際に用いるアニオンの種類を検討することにおより外部量子効率で3%という値を達成した。さらに、スピンキャスト法という簡単な手法によって、単層構造で、さらに3〜5Vという低駆動電圧で大気中で1000cd/m2以上で120時間以上の発光を達成した。しかしながら、素子としての安定性はまだ不充分で、高分子電解質のイオン伝導度が不充分であり応答速度が遅いという問題点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は低駆動電圧で、発光強度が大きく、安定性、信頼性に優れた高性能の電気化学発光素子で、さらに製造プロセスも簡易で、低コスト化、大面積化が可能な電気化学発光素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題を解決するため鋭意検討した結果、遷移金属錯体、特にルテニウム錯体を発光層に用いる電気化学的発光素子においてイオン伝導性物質に特定の重合性官能基を有する重合性化合物を硬化させることにより得られるいわゆる高分子固体電解質を用いることにより、安定性、信頼性に優れ、さらに製造プロセスも簡易で、低コスト化、大面積化が可能な高輝度、低電圧駆動の電気化学発光素子が得られることを見出した。
【0008】すなわち本発明は、以下の[1]〜[14]に示された高分子固体電解質を用いた電気化学発光素子及びその製造方法に関する。
[1]一般式(1)
【化6】

[式中、R1は水素原子または炭素数が10以下のアルキル基を表す。]および/または、一般式(2)
【化7】

[式中、R2は水素原子または炭素数が10以下のアルキル基を表す。R3は2価の有機基を表わす。R3はヘテロ原子を含んでいてもよく、直鎖状、分岐状または環状のいずれの構造を有するものでもよい。R4は水素原子、炭素数10以下のアルキル基、アルコキシ基、エーテル基を表わし、直鎖状、分岐状または環状のいずれの構造を有するものでもよい。xは0または1を示す。]で表される重合性官能基を有する重合性化合物を硬化させることにより得られる少なくとも一種の高分子化合物と少なくとも一種の電解質塩とを含む高分子固体電解質をイオン伝導性物質として用い、遷移金属錯体を発光層に用いることを特徴とする電気化学的発光素子。
[2]遷移金属錯体がRu(ルテニウム)錯体である上記[1]に記載の電気化学的発光素子。
[3]上記[1]または[2]に記載の高分子化合物が、一般式(3)
【化8】

[式中、R5は炭素数が1〜20の鎖状、分岐状及び/または環状の、ヘテロ原子を含んでも良い2価の有機基を表す。nは1〜500の整数を示す。]で表されるカーボネート構造を有することを特徴とする上記[1]または[2]に記載の電気化学的発光素子。
[4]イオン伝導性物質に少なくとも一種の溶媒が添加されていることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれかに記載の電気化学的発光素子。
[5]電解質塩がアルカリ金属塩、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩から選ばれる少なくとも一種の電解質塩であることを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれかに記載の電気化学的発光素子。
[6]イオン伝導性物質に添加される溶媒が炭酸エステル類、脂肪族エステル類、エーテル類、ラクトン類、スルホキシド類、アミド類から選ばれる少なくとも一種の非水有機溶媒であることを特徴とする上記[4]または[5]に記載の電気化学的発光素子。
[7]遷移金属錯体の配位子がピリジン及び/またはその誘導体、キノリン及び/またはその誘導体、キノキサリン及び/またはその誘導体、ポルフィリン及び/またはその誘導体、フタロシアニン及び/またはその誘導体の少なくとも一種であることを特徴とする上記[1]〜[6]のいずれかに記載の電気化学的発光素子。
[8]遷移金属錯体の配位子が高分子に結合した高分子錯体であることを特徴とする上記[7]に記載の電気化学発光素子。
[9]遷移金属錯体薄膜発光層が担持された電極と対向電極が接触しないように配置された素子構成体内に一般式(1)
【化9】

[式中、R1は水素原子または炭素数が10以下のアルキル基を表す。]および/または、一般式(2)
【化10】

[式中、R2は水素原子または炭素数が10以下のアルキル基を表す。R3は2価の有機基を表わす。R3はヘテロ原子を含んでいてもよく、直鎖状、分岐状または環状のいずれの構造を有するものでもよい。R4は水素原子、炭素数10以下のアルキル基、アルコキシ基、エーテル基を表わし、直鎖状、分岐状または環状のいずれの構造を有するものでもよい。xは0または1を示す。]で表される重合性官能基を有する少なくとも一種の重合性化合物と少なくとも一種の電解質塩、少なくとも一種の重合開始剤を含む高分子固体電解質用流動性重合性組成物を注入し、発光層及び対向電極界面に該重合性組成物を均一に接触させたあと、該重合性化合物を均一に硬化させ、高分子固体電解質を形成させることを特徴とする電気化学的発光素子の製造方法。
[10]遷移金属錯体がルテニウム錯体である上記[9]に記載の電気化学的発光素子の製造方法。
[11]硬化反応が加熱により行われることを特徴とする上記[9]または[10]に記載の電気化学的発光素子の製造方法。
[12]硬化反応が活性エネルギー線の照射により行われることを特徴とする上記[9]または[10]に記載の電気化学的発光素子の製造方法。
[13]硬化反応が加熱と活性エネルギー線の照射により行われることを特徴とする上記[9]または[10]に記載の電気化学的発光素子の製造方法。
[14]活性エネルギー線が紫外線である上記[12]または[13]に記載の電気化学的発光素子の製造方法。
【0009】
【発明の実施の態様】以下に本発明を詳細に説明する。
【0010】(1)遷移金属錯体発光層及びその製造方法本発明の電気化学的発光素子の発光層にはルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金等の遷移金属錯体を用いることができるが、特にルテニウム(Ru)錯体が好適である。
【0011】本発明のRu錯体に特に制限はなく、Ru(I)/Ru(II)/Ru(III)の酸化還元反応及びこれら錯体間における電子交換が容易に行われるものであればよい。
【0012】具体的な配位子としてはピリジン、ビピリジル、フェナントロリン、キノリン、キノキサリン等の含窒素芳香族化合物及びその誘導体、ポルフィリン及びその誘導体、フタロシアニン及びその誘導体、フラン、チオフェン、セレノフェン等の含酸素または含カルコゲン芳香族化合物及びその誘導体等が上げられる。
【0013】この中で含窒素芳香族化合物、ポルフィリン、フタロシアニン及びこれらの誘導体がRuとの錯体形成能が高く好ましい。さらにピリジン、ビピリジル、キノリン、キノキサリン及びこれらの誘導体が安定な錯体を形成するので好ましい。
【0014】(2)高分子固体電解質及びその製造方法本発明のイオン伝導層に用いる高分子固体電解質は、基本的には主要構成成分である(a)高分子化合物、及び(b)電解質塩を含んでいる。さらに、(c)溶媒、その他添加物を含んでもよい。以下、各成分について詳述する。
【0015】(a)高分子化合物本発明の高分子固体電解質の主要構成成分である高分子化合物は非電子伝導性で各種有機極性溶媒を吸液、保持できるものであり、下記一般式(1)
【化11】

[式中、R1は水素原子または炭素数が10以下のアルキル基を表す。]および/または、一般式(2)
【化12】

[式中、R2は水素原子または炭素数が10以下のアルキル基を表す。R3は2価の有機基を表わす。R3はヘテロ原子を含んでいてもよく、直鎖状、分岐状または環状のいずれの構造を有するものでもよい。R4は水素原子、炭素数10以下のアルキル基、アルコキシ基、エーテル基を表わし、直鎖状、分岐状または環状のいずれの構造を有するものでもよい。xは0または1を示す。]を有する少なくとも一種の重合性化合物を重合することにより得られる重合体が、高分子固体電解質としての加工や電気化学的発光素子に用いられる電極との複合が容易であり好ましい。
【0016】一般式(1)、一般式(2)で示される1種類とは限らず、重合性化合物は複数の種類の重合性官能基を含んでいてもよい。
【0017】ここで、一般式(1)及び/または(2)で表される官能基を1つしか有さない化合物を重合してできる高分子は、架橋構造を有しておらず膜強度不足のため、薄膜にすると短絡する場合がある。したがって、一般式(1)及び/または(2)で表される官能基を2つ以上有する多官能性重合性化合物と共重合し架橋させるか、一般式(1)及び/または(2)で表される官能基を2つ以上有する多官能性重合性化合物から得られる高分子と併用することが好ましい。但し、低粘性化を目的とした場合には、官能基を一つ有する単官能性重合性化合物の低分子量体をできるだけ多く用いた方が、重合後の架橋密度が増加せずに低粘性化できるので好ましい。
【0018】単官能性重合性化合物の混合量としては、分子量や構造により一概に限定できないが、全重合性化合物の20質量%以上90質量%以下が好ましく、40質量%以上85質量%以下がさらに好ましい。
【0019】本発明の高分子固体電解質に用いられる高分子として下記一般式(3)
【化13】

[式中、R5は炭素数が1〜20の鎖状、分岐状及び/または環状の、ヘテロ原子を含んでも良い2価の有機基を表す。nは1〜500の整数を示す。]で示される分岐型カーボネート構造を有する架橋及び/または側鎖基が含まれることが好ましい。一般式(3)で示される構造は一種類とは限らず、複数種の構造が含まれてもよい。これら上記一般式(3)で示されるカーボネート構造の連続した繰り返し数nは1〜500の範囲である。
【0020】本発明の高分子固体電解質に用いられる上記重合性化合物は室温で液体でその粘度は低い方が、重合性化合物単独または電解質塩等と混合した重合性組成物を重合して高分子固体電解質とする場合の加工性や電気化学素子内に注入して重合する場合の含浸性に関して有利である。本発明の高分子固体電解質に用いられる重合性化合物の好ましい粘度としては25℃で10000mPas以下であり、5000mPasが特に好ましい。
【0021】本発明の高分子固体電解質に用いられる上記重合性化合物の分子量はできるだけ小さい方が低粘度となる傾向にあり好ましいが、小さすぎると重合後の架橋密度の増加や結晶性の上昇等で、高分子固体電解質としてのイオン伝導度の温度特性や、電気化学発光素子の電極との接触性が低下し好ましくない。粘度は分子量だけでなく、分岐鎖等の構造も影響するので、本発明の高分子固体電解質に用いられる重合性化合物の好ましい分子量としては100以上3000以下であり、150以上1500以下が特に好ましい。
【0022】本発明の高分子固体電解質に用いられる具体的な重合性化合物としては、例えば以下の一般式(4)あるいは(5)で示される化合物が挙げられる。
【化14】

[式中、R1は水素原子または炭素数が10以下のアルキル基を表わし、直鎖状、分岐状または環状のいずれの構造を有するものでもよい。R5は炭素数が1〜20の鎖状、分岐状及び/または環状の、ヘテロ原子を含んでも良い2価の有機基を表す。nは1〜500の整数を示す。R6は炭素数が1〜30の鎖状、分岐状及び/または環状のヘテロ原子及び/または不飽和結合を含んでもよい有機基を表す。]
【化15】

[式中、R2は水素原子または炭素数が10以下のアルキル基を表す。R3は2価の有機基を表わす。R3はヘテロ原子を含んでいてもよく、直鎖状、分岐状または環状のいずれの構造を有するものでもよい。R4は水素原子、炭素数10以下のアルキル基、アルコキシ基、エーテル基を表わし、直鎖状、分岐状または環状のいずれの構造を有するものでもよい。R5は炭素数が1〜20の鎖状、分岐状及び/または環状の、ヘテロ原子を含んでも良い2価の有機基を表す。R6は炭素数が1〜30の鎖状、分岐状及び/または環状のヘテロ原子及び/または不飽和結合を含んでもよい有機基を表す。xは0または1を示す。nは1〜500の整数を示す。]
【0023】一般式(3)で示されるカーボネート構造と一般式(1)で示される重合性官能基とを有する重合性化合物を合成する方法に特に制限はないが、例えば、アクロイル酸等の重合性官能基を有する酸と末端にヒドロキシル基を有するカーボネートオールとを以下のように酸触媒等の存在下で脱水縮合させることにより容易に得られる。
【0024】
【化16】

[式中、R1、R5及びnは一般式(4)と同じ意味を表す。]
一般式(3)で示されるカーボネート構造と一般式(2)で示される重合性官能基とを有する重合性化合物を合成する方法に特に制限はないが、例えば、【0025】
【化17】

[式中、R2、R3及びxは一般式(5)と同じ意味を表す。]で示されるアクリロイル系イソシアネート化合物と末端にヒドロキシル基を有するカーボネートオールとを以下のようにウレタン化反応触媒存在下で反応させることにより容易に得ることができる。
【0026】
【化18】

[式中、R2、R3、R5及びn、xは一般式(5)と同じ意味を表す。]
【0027】前記一般式(2)で示される重合性官能基を有する化合物を重合して得られる高分子化合物は、ウレタン基を含んでおり、誘電率が高くなり、高分子固体電解質とした場合のイオン伝導度が高くなるため好ましい。さらに、一般式(2)で示される重合性官能基を有する化合物は重合性が良好で、薄膜にしたときの膜強度も大きく電解液の包含能力も高くなり好ましい。
【0028】本発明の高分子固体電解質で用いる高分子を得る為に好適な一般式(3)で示されるカーボネート構造を有し、かつ一般式(1)及び/または(2)で示される重合性官能基を有する重合性化合物は、重合開始剤の存在下、重合して高分子固体電解質を形成する。これら重合性化合物はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。またはこれら重合性化合物の少なくとも一種と他の重合性化合物とを共重合させて用いてもよい。
【0029】本発明の高分子固体電解質に用いる高分子としては、前記一般式(3)で示されるカーボネート構造を有し、かつ一般式(1)及び/または(2)で示される重合性官能基を有する重合性化合物の少なくとも一種から得られる重合体及び/または前記重合性化合物を共重合成分とする共重合体と、他の高分子との混合物であってもよい。
【0030】前記一般式(3)で示されるカーボネート構造を有する高分子由来の構造単位の量は、前記一般式(3)で示されるカーボネート構造を有し、かつ一般式(1)及び/または(2)で示される重合性官能基を有する重合性化合物を単独重合するか、その他の共重合成分と共重合するか、さらに他の高分子を混合するかにより、あるいはそれらの種類により異なる為、一概にはいえないが、高分子固体電解質に用いたときのイオン伝導度及び膜強度、耐熱性、電流特性を考慮すると、高分子成分全量に対し50質量%以上含有することが好ましく、さらには70質量%以上含有することが好ましい。
【0031】本発明の前記一般式(1)及び/または(2)で示される重合性官能基を有する重合性化合物の重合は、官能基であるアクリロイル基もしくはメタクリロイル基の重合性を利用した一般的な方法で行うことができる。すなわち、前記重合性化合物単独、あるいは重合性化合物と他の前記共重合可能な重合性化合物との混合物に、AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)、BPO(ベンゾイルパーオキサイド)等のラジカル重合触媒、CF3COOH等のプロトン酸、BF3、AlCl3等のルイス酸等のカチオン重合触媒、あるいはブチルリチウム、ナトリウムナフタレン、リチウムアルコキシド等のアニオン重合触媒を用いて、ラジカル重合、カチオン重合あるいはアニオン重合させることができる。また、重合性化合物または重合性混合物は膜状等の形に成型後や各種電極材料に注入、含浸後に重合させることも可能である。
【0032】(b)電解質塩本発明で用いる電解質塩の種類は特に限定されるものではなく、電荷でキャリアーとしたいイオンを含んだ電解質を用いればよいが、高分子固体電解質中での解離定数が大きいことが望ましく、LiCF3SO3、NaCF3SO3、KCF3SO3などのトリフロロメタンスルホン酸のアルカリ金属塩、LiN(CF3SO2)2、LiN(CF3CF2SO2)2などのパーフロロアルカンスルホン酸イミドのアルカリ金属塩、LiPF6、NaPF6、KPF6などのヘキサフロロ燐酸のアルカリ金属塩、LiClO4、NaClO4などの過塩素酸アルカリ金属塩、LiBF4、NaBF4などのテトラフロロ硼酸塩、LiSCN、LiAsF6、LiI、NaI、NaAsF6、KI等のアルカリ金属塩などが例示される。アンモニウム塩としては過塩素酸テトラエチルアンモニウムなどの過塩素酸の四級アンモニウム塩、(C25)4NBF4などのテトラフロロ硼酸の四級アンモニウム塩、(C25)4NPF6などの四級アンモニウム塩、(CH3)4P・BF4、(C25)4P・BF4などの4級ホスホニウム塩などが例示される。これら電解質の中では、有機 溶媒中での溶解性、イオン伝導度から、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、パーフロロアルカンスルホン酸イミドのアルカリ金属塩や四級アンモニウム塩が好ましい。
【0033】本発明の高分子固体電解質中の高分子成分と電解質塩の複合比は、高分子の重量に対し、電解質0.1〜50質量%が好ましく、1〜30質量%が特に好ましい。複合に用いる電解質が50質量%以上の比率で存在すると、イオンの移動が大きく阻害され、逆に0.1質量%以下の比率では、イオンの絶対量が不足とな ってイオン伝導度が小さくなる。
【0034】(c)溶媒本発明の高分子固体電解質中に溶媒が含有されていると、高分子固体電解質のイオン伝導度がさらに向上するので好ましい。特に適正な非水有機溶媒を用いると素子の安定性を損なわずに高分子固体電解質の特性を向上させることができる。使用できる有機溶媒としては、本発明の高分子固体電解質に用いる高分子との相溶性が良好で、誘電率が大きく、電解質塩(b)の溶解性が高く、沸点が60℃以上であり、電気化学的安定範囲が広い化合物が適している。
【0035】そのような溶媒としては、1,2ージメトキシエタン、2−メチルテトラヒドロフラン、クラウンエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、炭酸ビニレン等の炭酸エステル類、プロピオン酸メチルや蟻酸メチル等の脂肪族エステル類、ベンゾニトリル、トルニトリル等の芳香族ニトリル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類、スルホラン等の硫黄化合物、N−メチルピロリドン、N−ビニルピロリドン、リン酸エステル類等が挙げられる。この中で、炭酸エステル類、脂肪族エステル類、エーテル類が好ましく、カーボネート類が特に好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上混合した混合溶媒として用いても良い。
【0036】有機溶媒の添加量は多いほどその高分子固体電解質のイオン伝導度が向上する。このため、一般的にはその含有量を増やすことが望ましいが、反面、添加量が過剰であると、硬化性や成膜性、高分子固体電解質としての保液性や機械強度等が損なわれる。好ましい添加量としては、本発明の高分子固体電解質に用いる高分子重量の2倍から20倍量で、3倍から12倍量以下が特に好ましい。
【0037】(d)無機酸化物以上、本発明の高分子固体電解質の構成成分を列挙したが、本発明の目的を損なわない限り、他の成分を添加することも可能である。
【0038】例えば、各種無機酸化物微粒子を添加した複合電解質としても使用でき、そうすることにより強度、膜厚均一性が改善するばかりでなく、無機酸化物と高分子間に微細な空孔が生じることになり、特に溶媒を添加した場合には空孔内にフリーの電解液が複合電解質内に分散することになり、強度改善効果を損ねることなく、逆にイオン伝導度、移動度を増加させることもできる。
【0039】使用する無機酸化物微粒子としては非電子伝導性、電気化学的に安定なものが選ばれる。またイオン伝導性であればさらに好ましい。具体的にはα、β、γ−アルミナ、シリカ、チタニア、マグネシア、ハイドロタルサイト等のイオン伝導性または非電導性セラミックス微粒子が挙げられる。
【0040】高分子固体電解質中の電解質含有液の保有量を多くし、イオン伝導性、移動度を増加させるという目的では、無機酸化物微粒子の比表面積はできるだけ大きいことが好ましく、BET法で5m2/g以上が好ましく、50m2/g以上がさらに好ましい。このような無機酸化物微粒子の結晶粒子径は重合性組成物との混合にさしつかえなければ特に限定はないが、大きさ(平均結晶粒径)としては0.01μm〜20μmが好ましく、0.01μm〜2μmが特に好ましい。
【0041】また、形状としては球形、卵形、立方体状、直方体状、円筒ないし棒状等の種々の形状のものを用いることができる。
【0042】無機酸化物微粒子の添加量は多すぎると逆に高分子固体電解質の強度やイオン伝導性を低下させたり、成膜しづらくなるという問題を生じる。従って好ましい添加量としては、高分子固体電解質に対して50質量%以下が好ましく、0.1から30質量%の範囲 が特に好ましい。
【0043】(e)高分子固体電解質の製造方法本発明の高分子固体電解質は、前記重合性化合物の少なくとも一種、あるいは前記重合性化合物を共重合成分とする共重合性組成物を、例えばフィルム状に形成した後重合し、有機溶媒に溶解した電解質塩と接触させることにより製造するか、または前記重合性化合物とその他の成分とからなる重合性組成物を調製し、例えばフィルム状に成形した後、重合(硬化反応)することにより製造することができる。
【0044】後者の方法を具体的に示せば、前記重合性化合物の少なくとも一種とアルカリ金属塩、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩または遷移金属塩のごとき少なくとも一種の電解質塩とを混合し、所望により、他の重合性化合物、可塑剤、有機溶媒及び/または無機酸化物を添加混合した重合性組成物を調製した後、フィルム状に成型して、前記開始剤の存在下あるいは非存在下に、加熱及び/または紫外線などの活性エネルギー線照射等により重合(硬化反応)させ、本発明の高分子固体電解質を得る。この方法によれば、加工面での自由度が広がり、応用上の大きなメリットとなる。
【0045】重合性組成物の好ましい加熱硬化条件としては、所望する成形温度、重合性化合物の種類や硬化性、溶剤の沸点などに応じて熱重合開始剤を選択し、その開始剤の活性酸素量が半分になる半減期に要する温度(半減期温度)を参考に決めることが出来る。熱重合開始剤の半減期と活性化エネルギーを目安に硬化温度と硬化速度を決めれば良く、例えば10時間半減期に要する温度で表せば、室温から100℃以下であり、特に40℃以上70℃以下が好ましい。
【0046】活性エネルギー線照射により重合(硬化)させる場合には、重合性化合物の種類によるが、例えば、ベンジルメチルケタール、ベンゾフェノン等の開始剤を使用して、紫外光、γ線、電子線等を照射して重合させることができる。
【0047】(3)電気化学発光素子及びその製造方法本発明の電気化学発光素子の一例として、面積1.5×1.5cmの薄膜固体素子の断面図を図1に示す。図中1は透明電導性電極で、その上に遷移金属錯体発光層2が成膜されており、さらにその上に高分子固体電解質膜3が配置されている。4は対向電極であり、5は絶縁性フィルムスペーサ、6は絶縁性樹脂封口剤、7はリード線である。
【0048】透明電導性電極1は電子伝導性が高く、かつ電気化学的に耐食性があり、できれば柔軟性のあるものが好ましく、金等の金属、ITO、酸化インジウム等の電導性酸化物、導電性高分子をポリカーボネートやポリメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート等の透明性高分子またはガラス板上に薄膜化もしくは複合したものが用いられる。
【0049】本発明では対向電極選定にあたって電子注入効率や仕事関数の性質を考慮する必要がないという、素子作製上の大きなメリットを有する。従って対向電極としては電子伝導性が高く電解質層に腐食されないものであればよく、各種金属、炭素材料、上述の透明伝導性電極のようなものでもよい。
【0050】次に本発明の電気化学発光素子の製造例について説明する。市販のITO透明電極1(1.5×1.5cm)にRu錯体の有機溶媒溶液をスピンコート後、溶媒を揮発後真空乾燥させることにより、ITO電極上に0.2μmのRu錯体発光層2を成膜した。この発光層2と対向電極4としての白金箔(1.5×1.5cm)が接触しないように、電極端部に設置したできるだけ薄い絶縁性フィルムスペーサ5を介して貼り合わせる。次に本発明の高分子固体電解質となりうる熱重合開始剤を添加した重合性組成物を電極間に注入含浸させる。その後、開口部を絶縁性樹脂封口剤6で封口した後、電極間の重合性組成物を加熱により硬化させ、発光層2、高分子固体電解質3、対向電極4が均一に密着した図1に示すような固体状電気化学発光素子が得られる。
【0051】
【実施例】以下に本発明について代表的な例を示しさらに具体的に説明する。なお、これらは説明のための単なる例示であって、本発明はこれらに何等制限されるものではない。
【0052】(実施例1):重合性化合物(化合物2)の合成下記の反応式にしたがい、化合物1(日本ポリウレタン(株)製カーボネートジオール)と市販のメタクリル酸:MAAと反応させ、以下の手順により、重合性化合物(化合物2)を得た。(式中mは自然数)
【化19】

【0053】すなわち、化合物1、50.0g及びMAA、20.0gをベンゼン中で2.2gのp−トルエンスルホン酸(PTS)を添加し、90℃で約10時間反応させた。その後、NaOH水溶液で中和後、水洗、脱水することにより、無色の粘稠液体を得た。1H−NMR、13C−NMRから化合物1とMAAが1対2で反応し化合物2が生成していることがわかった。
【0054】この化合物の重量平均分子量(GPC)は650であり、25℃の粘度は230mPasであった。
【0055】(実施例2):重合性化合物混合物(化合物4と化合物5の混合物)の合成下記の反応式にしたがい、化合物1と化合物3(日本ポリウレタン(株)製カーボネートモノオール)の混合物(モル比1:1)とMI(昭和電工製メタクリルイソシアネート)とを反応させ、以下の手順により、重合性化合物(化合物4と化合物5の混合物)を得た。
【0056】すなわち、脱水した化合物1と化合物3の1:1モル混合物50.0g及びMI、25.0gを乾燥空気中で、0.08gのジブチルチンジラウレートを添加し、50℃で約5時間反応させることにより、無色の粘稠液体を得た。1H−NMR、13C−NMRから化合物1と化合物3とMIが1:1:3で反応し化合物4と化合物5の混合物が生成していることがわかった。
【0057】この化合物の重量平均分子量(GPC)は700であり、25℃の粘度は360mPasであった。
【化20】

【0058】(実施例3):重合性組成物(A)の調製とその硬化反応実施例1で合成した化合物2:1.0gとジエチルカーボネート(DEC):7.0g、エチレンカーボネート(EC):2.0g、LiPF6:1.0g及び重合抑制剤2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(ノフマーMSD日本油脂(株)製):10mg、熱重合開始剤としてt−ヘキシルパーオキシピバレート(商品名パーヘキシルPV、日本油脂(株)製)50mgをアルゴン雰囲気中でよく混合し、高分子固体電解質用重合性組成物(A)を得た。この組成物の初期粘度は4.7mPas(25℃)であった。この重合性組成物1gをアルゴン雰囲気下60℃で120分加熱したところ硬化し、化合物2が重合した高分子固体電解質が得られた。この硬化物の赤外スペクトルでの残存二重結合は検出限界以下で、イオン伝導度は3.8mS/cm(25℃)であった。
【0059】また、この重合性組成物(A)1gを調製後、アルゴン雰囲気下、25℃で放置したところ、25時間後に粘性が急に上昇し、組成物全体の流動性がなくなり固化した。
【0060】(実施例4):重合性組成物(B)の調製とその硬化反応化合物2:1.0gの代わりに実施例2で合成した化合物4と化合物5の重合性化合物混合物:1.0gを用い、重合抑制剤ノフマーMSD(日本油脂(株)製):10mgを40mgに変えた以外は、実施例3と同様の方法で高分子固体電解質用重合性組成物(B)を得た。この組成物の初期粘度は4.8mPas(25℃)であった。この重合性組成物(B)1gをアルゴン雰囲気下60℃で60分加熱したところ硬化し、化合物4および化合物5が重合した高分子固体電解質が得られた。この硬化物の赤外スペクトルでの残存二重結合は検出限界以下で、イオン伝導度は4.8mS/cm(25℃)であった。
【0061】また、この重合性組成物(B)1gを調製後、アルゴン雰囲気下、25℃で放置したところ、15時間後に粘性が急に上昇し、組成物全体の流動性がなくなり固化した。
【0062】(実施例5):固体状電気化学発光素子(図1)の製造松崎真空(株)製のITOガラスを1.2×1.2cmに切断したITO透明電極1(1.5×1.5cm)に市販のtris-(bipyridyl)-Ru(II)(PF62のエタノール溶液をスピンコート後、エタノールを揮発後真空乾燥させることにより、ITO電極上に厚さ0.2μmのRu錯体発光層2を成膜した。
【0063】その後アルゴン雰囲気グローブボックス内でこの発光層2と対向電極としての50μmの白金箔4(1.5×1.5cm)が接触しないように、電極端部に設置した25μmのポリエチレンフィルムスペーサ5を介して貼り合わせた。
【0064】次に実施例3で調製した重合性組成物Aを電極間に1時間で注入含浸させた。その後、開口部をエポキシ樹脂封口剤6で封口した後、電極間の重合性組成物を60℃/120分加熱により硬化させ、発光層2、高分子固体電解質3、対向電極4が均一に密着した図1に示すような固体状電気化学発光素子を作製した。
【0065】この素子にITO側を陽極として6Vの直流電圧をかけたところ、1200Cd/m2の輝度で連続発光し、一週間後の輝度も800Cd/m2以上であった。
【0066】(実施例6):固体状電気化学発光素子(図1)の製造重合性組成物(A)の代わりに実施例4で調製した重合性組成物(B)を用いた以外は実施例5と同様にして、発光層2、高分子固体電解質3、対向電極4が均一に密着した図1に示すような固体状電気化学発光素子を作製した。
【0067】この素子にITO側を陽極として6Vの直流電圧をかけたところ、1100Cd/m2の輝度で連続発光し、一週間後の輝度も800Cd/m2以上であった。
【0068】
【発明の効果】本発明の遷移金属錯体(特にルテニウム錯体)を発光層に用いる電気化学的発光素子において、イオン伝導性物質として特定の重合性官能基を有する重合性化合物を硬化させて得られた高分子化合物と電解質塩とを含む高分子固体電解質を用いることにより、安定性、信頼性に優れ、さらに製造プロセスも簡易で、低コスト化、大面積化が可能な高輝度、低電圧駆動の電気化学発光素子が得られた。
【0069】また、本発明の電気化学発光素子は、固体型としては高輝度及び高速で作動でき、安全性と信頼性に優れており、各種大型、小型ディスプレイのバックライトに好適である。
【0070】
【出願人】 【識別番号】000002004
【氏名又は名称】昭和電工株式会社
【出願日】 平成12年9月1日(2000.9.1)
【代理人】 【識別番号】100118740
【弁理士】
【氏名又は名称】柿沼 伸司
【公開番号】 特開2002−75001(P2002−75001A)
【公開日】 平成14年3月15日(2002.3.15)
【出願番号】 特願2000−264950(P2000−264950)