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【発明の名称】 樹脂製管継手構造
【発明者】 【氏名】西尾 清志
【氏名】宮本 豊
【氏名】川村 仁
【課題】異常な流体の圧力や内圧以外の機械的な異常な引抜き力が加わった場合でもチューブ抜止め機能及びシール機能を十分に発揮できて安全性を確保できる樹脂製管継手構造を提供する。

【解決手段】チューブ3よりも高硬度の材料で押圧リング20を形成する。この押圧リング20をチューブ3に外嵌させるとともに、ユニオンナット2の鍔部19の内面とチューブ3の拡径部16との間に介在させる。ユニオンナット2を継手本体1に締め付けることにより押圧リング20のエッジ部20aをチューブ3の拡径部16の拡径付け根部17に食い込み係合させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一端部に受口を有し、この受口の外周に雄ねじを設けた継手本体と、樹脂製のチューブの外周に遊嵌され、内周に前記継手本体の雄ねじに螺合される雌ねじを有し、かつ一端部に内向きに張り出した環状の鍔部を有するユニオンナットとを備えている樹脂製管継手構造において、前記継手本体の受口に対し前記チューブの一端部が拡径部を形成するとともに該拡径部の反挿入方向側斜面部とチューブ軸方向と平行なチューブ外面部とが出会う拡径付け根部を形成した状態に挿入されており、前記チューブよりも硬度の高い材料で環状に形成され、その内径部にエッジ部が設けられてなる押圧リングが、前記チューブに外嵌されるとともに前記拡径部と前記ユニオンナットの鍔部の内面との間に介在されており、前記ユニオンナットの雌ねじを前記雄ねじに螺合させて締め付けることにより前記押圧リングのエッジ部を前記チューブの拡径付け根部に当接させて前記チューブの一端部を前記継手本体に向けて押しつけてあることを特徴とする樹脂製管継手構造。
【請求項2】 一端部に受口を有し、この受口の外周に雄ねじを設けた継手本体と、樹脂製のチューブの外周に遊嵌され、内周に前記継手本体の雄ねじに螺合される雌ねじを有し、かつ一端部に内向きに張り出した環状の鍔部を有するとともに、該鍔部の内径部に押圧エッジ部を設けてあるユニオンナットとを備えている樹脂製管継手構造において、前記継手本体の受口に対し前記チューブの一端部が拡径部を形成するとともに該拡径部の反挿入方向側斜面部とチューブ軸方向と平行なチューブ外面部とが出会う拡径付け根部を形成した状態に挿入されており、前記ユニオンナットの少なくとも鍔部の押圧エッジ部が前記チューブよりも硬度の高い材料で形成されており、前記ユニオンナットの雌ねじを前記雄ねじに螺合させて締め付けることにより前記押圧エッジ部を前記チューブの拡径付け根部に当接させて前記チューブの一端部を前記継手本体に向けて押しつけてあることを特徴とする樹脂製管継手構造。
【請求項3】 前記チューブの拡径部が、チューブの一端部にインナーリングが圧入されることにより形成されている請求項1又は2記載の樹脂製管継手構造。
【請求項4】 前記チューブの拡径部がフレア加工により形成され前記継手本体の受口の雄ねじより先端側の端部外周に圧入されている請求項1又は2記載の樹脂製管継手構造。
【請求項5】 前記押圧リングが前記鍔部の内面に対し相対回転自在とされている請求項1記載の樹脂製管継手構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は樹脂製管継手構造に係り、より詳しくは半導体製造や医療・医薬品製造、食品加工、化学工業等の製造工程で取り扱われる高純度液や超純水の配管に好適に使用される樹脂製管継手構造に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の樹脂製管継手として、たとえば、図6に示すような形態のものが知られている(例えば、実公平7−20471号公報)。その樹脂製管継手は、それぞれが耐熱、耐薬品性に優れるフッ素樹脂などの樹脂によって成形された継手本体1と、ユニオンナット2を備えてなり、この継手本体1に挿入して接続するフッ素樹脂等樹脂製のチューブ3の一端部3aにはインナーリング4を圧入してある。
【0003】継手本体1は筒状の胴部5の少なくとも一端部に受口6を形成し、その受口6の内奥に第1の1次シール部7を継手本体1の軸線Cに対し交差するように形成するとともに、受口6の入口に2次シール部8を軸線Cに対し交差するように形成している。受口6の外周には雄ねじ9が形成されている。受口6の内径は胴部5の内径よりも径大に形成されており、その受口6の内奥には、軸方向外方に向けて漸次縮径して胴部5の内径面に至るテ−パ面によって前記1次シール部7が形成されている。一方、2次シール部8は、受口6の内奥から軸方向外方に向けて漸次拡径して受口6の端面に至るテ−パ面によって形成されている。
【0004】インナーリング4はフッ素樹脂などの樹脂成形品であり、その軸方向内端部に継手本体1の受口6内に嵌合できる外径の突出部10を形成するとともに、その軸方向外端部にチューブ3の一端部3aに圧入する圧入部11を形成してなり、全体としてスリーブ状になっている。突出部10の内端面には、第1の1次シール部7に当接する、テ−パ面からなる内端シール部12が形成されている。圧入部11は膨出部11aと、この膨出部11aと突出部10とをつなぐ連接部11bとからなり、連接部11bの外径は突出部10の外径よりもチューブ3の肉厚相当分だけ細く設定している。膨出部11aは軸方向外端から軸方向内端側へ向けて漸次拡径するテ−パ状の外端シール部13と、この外端シール部13の頂部から連接部11bに向かって漸次縮径するテ−パ面15とを有する断面山形状に形成されている。外端シール部13の頂部の外径、つまり膨出部11aの最大外径は連接部11bの外径よりも大きく設定されている。テ−パ面15は、その傾斜角度が前記継手本体1の2次シール部8の傾斜角度とほぼ一致するとともに、内端シール部12が1次シール部7に当接したとき、2次シール部8とテ−パ面15との対向間隔がチューブ3の肉厚相当となるよう形成されている。このインナーリング2の内径はチューブ3の内径及び継手本体1の胴部5の内径と同一か略同一に設定して流体の移動(流動)を妨げないようにしている。
【0005】このインナーリング4は、チューブ3の一端部3a内に上記突出部10を外方へ突出させる状態で圧入することによりチューブ3の一端部3aを拡径させて拡径部16を形成するとともに、該拡径部16の継手本体1への挿入方向とは反対側の反挿入方向側斜面部16aとチューブ軸方向と平行なチューブ外面部30とが出会う所に拡径付け根部17を形成する。
【0006】チューブ3の一端部3aが受口6に挿入された状態では、内端シール部12が継手本体1の第1の1次シール部7に当接するとともに、外端シール部13がチューブ3の拡径部17の第2の1次シール部となる反挿入方向側斜面部16aの内面に当接する。さらに、継手本体1の2次シール部8とインナーリング4のテ−パ面15との間に、チューブ3の一端部3aが傾斜状態で挟持される。すなわち、インナーリング4のテ−パ面15に沿って変形したチューブ3の拡径部17の挿入方向側斜面部16bが2次シール部8と当接する。
【0007】ユニオンナット2はこれの内周に前記継手本体1の雄ねじ9に螺合される雌ねじ18を形成し、かつ一端部に環状の鍔部19を内向きに張り出すとともに、該鍔部19の内周面の軸方向内端に鋭角または直角の押圧エッジ部19aを設けてある。
【0008】そして、上記インナーリング4の圧入されたチューブ3の一端部3aを継手本体1の受口6に挿入させた状態で、該一端部3aの外周に予め遊嵌させているユニオンナット2の雌ねじ18を継手本体1の雄ねじ9に螺合させて締め付ける。この締付けに伴いユニオンナット2の押圧エッジ部19aがチューブ3の拡径部17の拡径付け根部17に当接してインナーリング4を軸方向から押圧することにより該インナーリング4の内端シール部12及びチューブ3の挿入方向側斜面部16bが継手本体1の受口6の1次シール部7及び2次シール部8にそれぞれ押圧接当するとともに、チューブ3の第2の1次シール部である反挿入方向側斜面部16aの内面がインナーリング4の外端シール部13に押圧接当してシール性(密封力)を付与し、同時にチューブ3の抜止めを図っている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、ユニオンナット2の締め付けにより押圧エッジ部19aをチューブ3の拡径部16の拡径付け根部17に当接させてチューブ3の一端部3aをインナーリング4ごと継手本体1に向けて押しつけるという上記樹脂製管継手では、チューブ3の拡径部16の拡径付け根部17には緩やかなアールしか付けられていないため、押圧エッジ部19aの滑りが生じ、とくにユニオンナット2及びチューブ3は共にフッ素樹脂(PFA)からなって摩擦係数が小さく滑り易いため、強い押圧力を付与できず、またチューブ3の引抜きに対する抵抗が少なくて抜出す危険性がある。チューブ3の引抜き抵抗を大きくする方法として、ユニオンナット2を強く締め付けこの締付力によってチューブ2の引抜き力を維持させているが、これではユニオンナット2の押圧エッジ部19aがこすれて潰れやすいか、または強い応力がかかった状態となり、クリープが生じ易く、締付け力の低下を来すため、長期使用の信頼性に劣る。
【0010】チューブ3に加わる通常使用の流体圧力に対する引抜き抵抗は、上記の樹脂製管継手構造でも問題がないが、輸送される流体の温度が通常の使用温度を越えたり、流体の圧力が通常使用の圧力をはるかに越える厳しい使用条件のもとで異常な流体の圧力が加わった場合や、内圧以外の機械的な引抜き力が異常に加わった場合において、とくに危険な薬品を輸送するときに安全性を確保することが非常に重要な課題である。上記の樹脂製管継手構造においてはチューブ3の引抜き抵抗はユニオンナット2の締付力に依存しているが、これだけでは初期の施工ミスや経時変化によって締付力が弱くなった場合に安全性の問題が生じる。これらの点の配慮は重要課題である。
【0011】本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、上記のような樹脂製管継手においてチューブの拡径付け根部に対する押圧当接手段に工夫を凝らすことにより、異常な流体の圧力や内圧以外の機械的な異常な引抜き力が加わった場合においてもチューブ抜止め機能及びシール機能を十分に発揮できて安全性を確保できる樹脂製管継手構造を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、一端部に受口を有し、この受口の外周に雄ねじを設けた継手本体と、樹脂製のチューブの外周に遊嵌され、内周に前記継手本体の雄ねじに螺合される雌ねじを有し、かつ一端部に内向きに張り出した環状の鍔部を有するユニオンナットとを備えている樹脂製管継手構造において、前記継手本体の受口に対し前記チューブの一端部が拡径部を形成するとともに該拡径部の反挿入方向側斜面部とチューブ軸方向と平行なチューブ外面部とが出会う拡径付け根部を形成した状態に挿入されており、前記チューブよりも硬度の高い材料で環状に形成され、その内径部にエッジ部が設けられてなる押圧リングが、前記チューブに外嵌されるとともに前記拡径部と前記ユニオンナットの鍔部の内面との間に介在されており、前記ユニオンナットの雌ねじを前記雄ねじに螺合させて締め付けることにより前記押圧リングのエッジ部を前記チューブの拡径付け根部に当接させて前記チューブの一端部を前記継手本体に向けて押しつけてあることに特徴を有するものである。
【0013】この場合において、前記チューブの拡径部は、チューブの一端部にインナーリングを圧入することにより形成するか、またはチューブの一端部をフレア加工して前記継手本体の受口の雄ねじより先端側の端部外周に圧入することができる。また、前記押圧リングは前記鍔部の内面に対し相対回転自在とすることができる。
【0014】上記構成の樹脂製管継手構造によれば、チューブよりも高硬度の材質の押圧リングのエッジ部をチューブの拡径部の拡径付け根部に当接させるので、ユニオンナットの締付けに伴い押圧リングのエッジ部をチューブの拡径付け根部に滑らすことなく強く食い込み係合させることができて強い押圧力を付与できる。また、ユニオンナットを強く締めることなく低い締付トルクでもチューブの拡径付け根部への食込みが強くなり、ユニオンナットの締付力に依存することなく引抜き抵抗を上げることができる。したがって、施工時のミスや経時変化によるユニオンナットの締付力の低下が起こっても最も危険なチューブ抜出し事故を回避することができる。チューブよりも高硬度の材質よりなる押圧リングのエッジ部はチューブとこすれて潰れるようなことが無くなり、また強い応力にも耐えられてクリープ発生や締付け力低下を来すこともなく長期使用の信頼性に優れる。押圧リングはユニオンナットの鍔部の内面に対し相対回転自在とすることにより、ユニオンナットの締付け回転によりチューブにねじれが発生するのを防止できる。
【0015】また、本発明の樹脂製管継手構造は、上記構成の押圧リングを介在させるに代えて、前記ユニオンナットの少なくとも鍔部の押圧エッジ部を前記チューブよりも硬度の高い材料で形成し、この押圧エッジ部をチューブの拡径付け根部に当接させるようにすることもできる。
【0016】このような構成の樹脂製管継手構造においても、ユニオンナットの締付けに伴い押圧エッジ部をチューブの拡径付け根部に滑らすことなく強く食い込み係合させることができるため、上記構成の樹脂製管継手構造と同様の作用効果を発揮する。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づき説明する。図1は樹脂製管継手とチューブの一端部とを分離状態で示す半欠截断面図、図2は図1の樹脂製管継手にチューブの一端部を接続した状態の半欠截断面図である。
【0018】本発明に係る樹脂製管継手は、前述した図6に示す樹脂製管継手とはその全体的な基本構成を同じにするため、図6に示す樹脂製管継手と同一の部材、要素には同一の符号を付してその具体的な説明は省略する。以下、図6に示す樹脂製管継手と異なる部分についてのみ詳述する。
【0019】図1において、チューブ3の材質よりも硬度の高い材料で形成された押圧リング20を用意する。この押圧リング20はユニオンナット2の雌ねじ18の内径よりも小さい外径で、チューブ3のチューブ外面部30の外径と略同じ内径の断面角形の環状に形成されてその内周面の軸方向内端に直角または鋭角のエッジ部20aを形成する。なお、押圧リング20は二つ割り型に形成することもできる。
【0020】押圧リング20の材料としてはPVDF(フッ化ビニリデン)、ETFE(エチレン四フッ化エチレン共重合体)、PCTFE、PP(ポリプロピレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PC(ポリカーボネート)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、POM(ポリアセタール)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、金属全般(鉄、ステンレス、真鍮等)などが用いられる。たとえば、チューブ3の材料がPFA(パーフロロアルコキシ)やPTFE(ポリ四フッ化エチレン)である場合、押圧リング20の材料にはPP、ETFE、PVDF、PCTFE、または金属材料(鉄、ステンレス、真鍮等)を用いる。
【0021】上記押圧リング20は、チューブ3に外嵌されるとともに該チューブ3の拡径部16とユニオンナット2の鍔部19の内面との間に介在されて、そのエッジ部20aがチューブ3の拡径部16の拡径付け根部17に当接するようにしてある。
【0022】上記構成の樹脂製管継手において、図2に示すように、インナーリング4が圧入されたチューブ3の一端部3aを継手本体1の受口6に挿入して内端シール部12を1次シール部7に当接させ、次いで予めチューブ3の一端部の外周に遊嵌させてあるユニオンナット2の雌ねじ18を継手本体1の雄ねじ9に螺合して締め付け方向に回転させる。すると、このユニオンナット2の締付け回転により雌雄ねじ18,9を介してその締付トルクに対応した軸方向の推進力が発生するため、押圧リング20はエッジ部20aをチューブ3の拡径付け根部17に食い込ませてインナーリング4を継手本体1側に強く押圧する。その際、押圧リング20のエッジ部20aはチューブ3よりも高硬度の材料からなって硬いため、エッジ部20aが拡径付け根部17を滑るようなことなく拡径付け根部17への食い込みが安定確実に行われ、強い押圧作用を発揮してチューブ3の拡径部16及びインナーリング4を継手本体1に押し付ける。
【0023】かかる押圧リング20のエッジ部20aによる強い押圧作用によりインナーリング4の内端シール部12が継手本体1の第1の1次シール部7に、またチューブ3の反挿入方向側斜面部16aの内面がインナーリング4の外端シール部13にそれぞれ強い面圧で密着して気密状にシールされ、さらにチューブ3の挿入方向側斜面部16bの外面が継手本体1の2次シール部8に圧接してこの間でもシールされる。
【0024】このような1次・2次シール状態は押圧リング20のエッジ部20aがチューブ3の拡径付け根部17に強く食い込み係合することでもって確実強固に保持される。また、ユニオンナット2を強く締めることなく低い締付トルクでもチューブ3の拡径付け根部17への食込みが強くなり、ユニオンナット2の締付力に依存することなくチューブ3の引抜き抵抗を上げることができ、常温流体の時は勿論のこと、高温、高圧流体の時に異常な引抜き荷重がかかったときにもシール性を確保し得て流体の漏洩または異物の侵入を確実に防止でき、シール性能の信頼性を向上できる。
【0025】ユニオンナット2のエッジ部を直接チューブ3の拡径付け根部17に当接させて締め付けると、チューブ3にねじれが発生し、チューブ3の方向が変化して適正な配管施工が困難になることがあるが、上記押圧リング20をユニオンナット2の鍔部19の内面に対し相対回転自在に介在させておくと、ユニオンナット2の締付け回転がチューブ3に伝わるのを押圧リング20で断ち切ることができるためチューブ3にねじれが発生するのを防止でき、前記したようにチューブ3の方向が変化するようなことが無くなり配管施工が適正に行える。
【0026】また、上記ユニオンナット2の鍔部19の内面と押圧リング20との間には感圧紙21を介在させることができる。これによれば、感圧紙21にユニオンナット2の締付圧が加えられることにより感圧紙21が変色し、この変色状態を透明又は半透明な材料からなるユニオンナット2の外部から視認することにより適正な締付トルクを容易に確認することができる。
【0027】図2において、インナーリング4において突出部10と膨出部11aとをつなぐ連接部11bの外径は突出部10及び膨出部11aの最大外径よりもチューブ3の肉厚相当分だけ小さい寸法に設定する。一方、押圧リング20のエッジ部20aは、そのエッジ部20aがインナーリング4の膨出部11aの頂部は勿論のこと、連接部11bの外径よりも軸心側に位置するような内径寸法(半径)dに設定されている。そして押圧リング20のエッジ部20aの内径寸法(半径)dとインナーリング4の連接部11bの外径寸法(半径)Dとの関係において、d>Dであると、ユニオンナット2を締付けたときも第1の1次シール部7への押付け作用が弱まって好ましくないが、d≦Dに設定してあると、ユニオンナット2の締付けにより第1の1次シール部7と内端シール部12との接触面圧、および第2の1次シール部である反挿入方向側斜面部16aの内面と外端シール部13との接触面圧を共に高めることができ、また低い締付トルクでそれらの所定面圧を発生できて好ましい。
【0028】本発明は、上記実施例の樹脂製管継手以外に、例えば図3や図4に示す形態の樹脂製管継手にも同様に適用できる。図3に示す樹脂製管継手は、図1、図2に示す樹脂製管継手とは第1の1次シール部及びこの付近でのシール構造が異なり、その他の、例えば第2の1次シール部及び2次シール部などの構成は図1、図2に示す樹脂製管継手とほぼ同様であるため、同一の部材、要素に同一の符号を付してその説明を省略する。第1の1次シール部付近において、インナーリング4のチューブ3の一端部3aから突出する突出部10に、継手本体1の受口6の内奥の第1の1次シール部7に当接する突出内端面25よりも径方向外方で且つ軸方向内方へ向かって突出する円筒状シール部26が形成される一方、継手本体1の受口6の内奥における前記1次シール部7よりも径方向外方に、前記円筒状シール部26の圧入に伴い径方向の面圧を発生させてシール部を形成する円筒状溝部28が形成されている。前記1次シール部7は軸方向内方方に向けて漸次縮径するテ−パ面により形成されている。なお、この樹脂製管継手の場合、円筒状溝部28に対し円筒状シール部26の外周面のみを密着させてシール部を構成することもできる。
【0029】このような樹脂製管継手においても、上記実施例の場合と同様に、チューブ3よりも高硬度の材料からなる押圧リング20を、チューブ3に外嵌させるとともに該チューブ3の拡径部16とユニオンナット2の鍔部19の内面との間に介在させて、その押圧リング20のエッジ部20aがチューブ3の拡径部16の拡径付け根部17に当接するようにしてある。しかるときは、ユニオンナット2の雌ねじ18を継手本体1の雄ねじ9に螺合して締め付けることによって、押圧リング20のエッジ部20aをチューブ3の拡径付け根部17に強く食い込み係合させることができる。したがって、チューブ3及びインナーリング4に強い押圧力を付与できるとともに、チューブ3の引抜き阻止強度に優れるという上記効果と同様な効果を奏することができる。
【0030】また、図4に示す樹脂製管継手は、継手本体1の受口6の先端側の端部外周にチューブ3の内径より径大のチューブ端部受面24を形成し、このチューブ端部受面24の後方の外周に該受面24の外径より径大の雄ねじ9を形成している。一方、チューブ3の一端部3aはフレア加工して拡径部16を形成するとともに、該拡径部16の反挿入方向側斜面部16aとチューブ軸方向と平行なチューブ外面部30とが出会う拡径付け根部17を形成している。かくしてチューブ3の一端部3aは拡径部16を継手本体1のチューブ端部受面24に圧入して接続される。なお、チューブ3の拡径部16の反挿入方向側斜面部16aの内周面に対応する継手本体1の先端部の外周には、該内周面に沿うテ−パ面29が形成される。その他の構成については図1、図2に示す樹脂製管継手と同様であるため、同一の部材、要素に同一の符号を付してその説明を省略する。
【0031】この樹脂製管継手においても、チューブ3よりも高硬度の材料からなる押圧リング20を、チューブ3に外嵌させるとともに該チューブ3の拡径部16とユニオンナット2の鍔部19の内面との間に介在させて、その押圧リング20のエッジ部20aがチューブ3の拡径部16の拡径付け根部17に当接するようにしてある。しかるときは、ユニオンナット2の雌ねじ18を継手本体1の雄ねじ9に螺合して締め付けることにより、押圧リング20のエッジ部20aをチューブ3の拡径付け根部17に強く食い込み係合させることができる。したがって、チューブ3に強い押圧力を付与できるとともに、チューブ3の引抜き阻止強度に優れるという上記効果と同様な効果を奏することができる。
【0032】また、本発明は、上記構成の押圧リング20を介在させるに代えて、図6に示すように、ユニオンナット2の全体、または押圧エッジ部19aを含む鍔部19のみ、または押圧エッジ部19aのみ、つまり少なくとも押圧エッジ部19aのみをチューブ3よりも硬度の高い材料で形成し、この押圧エッジ部19aをチューブ3の拡径付け根部17に当接させるようにすることもできる。
【0033】例えば、チューブ3の材料がPFA(パーフロロアルコキシ)やPTFE(ポリ四フッ化エチレン)である場合、ユニオンナット2全体、もしくは少なくとも鍔部19の押圧エッジ部19aの材料にはPP、ETFE、PVDF、PCTFE、または金属材料(鉄、ステンレス、真鍮など)を用いる。
【0034】ユニオンナット2の少なくとも鍔部19の押圧エッジ部19aのみをチューブ3よりも硬度の高い材料で形成する方法としては、たとえば、ユニオンナット2の成形に際し、異材質射出成形またはインサート成形などにより押圧エッジ部19aを含む鍔部19とそれ以外の雌ねじ18を有する円筒壁部とを一体に成形するか、または押圧エッジ部19aのみと、それ以外の鍔部19及び雌ねじ18を有する円筒壁部部分とを一体に成形する。
【0035】このように構成した場合においても、ユニオンナット2の締付けに伴い押圧エッジ部19aをチューブ3の拡径付け根部17に強く食い込み係合させることができるため、上記各実施例の場合と同様にチューブ3に強い押圧力を付与できるとともに、チューブ3の引抜き阻止強度を向上できるという効果を得ることができる。
【0036】本発明の樹脂製管継手の継手本体1としては、各図示例のように軸方向両端に受口6を有するソケット形状のものに限られず、そのほかにT形状、エルボ形状、あるいは十字形状のもの、またはポンプ等流体機器に一体に形成された継手などにも同様に適用できる。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、ユニオンナットの鍔部の内面とチューブ3の拡径部との間に介在させる押圧リング、またはユニオンナットの少なくとも鍔部の押圧エッジ部をチューブよりも高硬度の材料で形成するという簡単な手段で、押圧リングのエッジ部またはユニオンナットの押圧エッジ部をチューブの拡径付け根部に強く食い込み係合させることができるので、強い押圧力を付与できてシール性を確保できる、しかもユニオンナットの締付力に依存することなく引抜き抵抗を上げることができ、施工時のミスや経時変化によるユニオンナットの締付力の低下が起こっても最も危険なチューブ抜出し事故を回避することができるという効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000229737
【氏名又は名称】日本ピラー工業株式会社
【出願日】 平成13年6月1日(2001.6.1)
【代理人】 【識別番号】100072338
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 孝一 (外1名)
【公開番号】 特開2002−357289(P2002−357289A)
【公開日】 平成14年12月13日(2002.12.13)
【出願番号】 特願2001−166386(P2001−166386)