| 【発明の名称】 |
断熱型ワッシャ |
| 【発明者】 |
【氏名】市川 厚男
|
| 【要約】 |
【課題】マフラーからマフラープロテクタへの伝熱を遮断するとともに、これらを連結するボルトの締付トルクを維持することができる断熱型ワッシャを提供する。
【解決手段】自動二輪車のマフラー1とその表面を覆うマフラープロテクタ2とを連結させるボルトBの締付トルクを維持しつつマフラー1からマフラープロテクタ2への伝熱を遮断すべく、ボルトBの頭部とマフラープロテクタ2又はマフラープロテクタ2とマフラー1の間に配設される断熱型ワッシャ3であって、線状の金属材をワッシャ形状に形成したものである。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】自動二輪車のマフラーとその表面を覆うマフラープロテクタとを連結させるボルトの締付トルクを維持しつつ前記マフラーから前記マフラープロテクタへの伝熱を遮断すべく、前記ボルトの頭部と前記マフラープロテクタ又は前記マフラープロテクタとマフラーの間に配設される断熱型ワッシャであって、線状の金属材をワッシャ形状に形成したものであることを特徴とする断熱型ワッシャ。 【請求項2】前記金属材は、ステンレスから成ることを特徴とする請求項1記載の断熱型ワッシャ。 【請求項3】前記ステンレスに断熱材から成る繊維を寄り合わせ、これをワッシャ形状に形成してものであることを特徴とする請求項2記載の断熱型ワッシャ。 【請求項4】前記断熱材から成る繊維は、ガラス繊維又はキュプラ繊維であることを特徴とする請求項3記載の断熱型ワッシャ。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、自動二輪車のマフラーとその表面を覆うマフラープロテクタとを連結させるボルトの締付トルクを維持しつつ、当該マフラーからマフラープロテクタへの伝熱を遮断することができる断熱型ワッシャに関する。 【0002】 【従来の技術】自動二輪車のマフラーは、エンジンの排気を排出すべく二輪車の後方に向かって延設されたもので、高温の排気が通過するため、その表面温度は極めて高くなる。このように高温となったマフラーに対して人が接触するのを防止するため、通常、マフラー表面を覆うようにしてマフラープロテクタが配設されている。 【0003】当該マフラープロテクタは、ボルトによってマフラーに固定されており、このボルトのボルト頭とマフラープロテクタとの間及びマフラープロテクタとマフラーとの間には、従来、ゴム材等から成る断熱性のガスケットが介在されていた。これにより、マフラーの温度がマフラープロテクタ側に伝わるのを抑制し、マフラープロテクタの表面温度が極めて上昇するのを防止していた。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、自動二輪車のマフラーには高熱の他、過大な振動も加わるため、マフラープロテクタを連結するためのボルトに介在させたガスケットがへたってしまい、断熱効果の低下やマフラーとマフラープロテクタとを連結するボルトの締付トルクの低下(トルクダウン)を生じさせてしまうという問題があった。 【0005】また、マフラーの表面は、エンジンの駆動時に高温となる一方、エンジン停止時には常温(即ち、外気と同等の温度)となるため、加熱・冷却が繰り返されることとなり、ガスケットの劣化が更に促進され、ボルトのトルクダウンが顕著となっていた。 【0006】本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、マフラーからマフラープロテクタへの伝熱を遮断するとともに、これらを連結するボルトの締付トルクを維持することができる断熱型ワッシャを提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、自動二輪車のマフラーとその表面を覆うマフラープロテクタとを連結させるボルトの締付トルクを維持しつつ前記マフラーから前記マフラープロテクタへの伝熱を遮断すべく、前記ボルトの頭部と前記マフラープロテクタ又は前記マフラープロテクタとマフラーの間に配設される断熱型ワッシャであって、線状の金属材をワッシャ形状に形成したものであることを特徴とする。 【0008】請求項2記載の発明は、前記金属材がステンレスから成ることを特徴とする。 【0009】請求項3記載の発明は、前記ステンレスに断熱材から成る繊維を寄り合わせ、これをワッシャ形状に形成してものであることを特徴とする。 【0010】請求項4記載の発明は、前記断熱材から成る繊維が、ガラス繊維又はキュプラ繊維であることを特徴とする。 【0011】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。本実施形態の断熱側ワッシャは、図4に示すように、自動二輪車のマフラー1とマフラープロテクタ2とを連結させるためのボルト部に適用され、マフラー1側からマフラープロテクタ2側への伝熱を抑制するものである。尚、図中の符号4は自動二輪車の後輪を示し、符号7はリヤアーム8に取り付けられたサスペンションを示している。 【0012】マフラー1は、先端が自動二輪車のエンジン5から延出された排気管6に接続されるとともに、後端がフィニッシャ1bに形成された中空の筒状部材から成り、エンジン5の駆動により生じる排気ガスをフィニッシャ1bから吐出するよう構成されたものである。かかるマフラー1は、耐熱効果が認められる材料(一般的には耐熱性の金属)から成るものである。 【0013】また、図1に示すように、マフラー1が自動二輪車に取り付けられた際に外側を向く面には、ステー1aが2つ溶接により固定されており、その頂部面にはボルトBを挿通し得るボルト孔1aaが形成されている。更に、ステー1aの頂部裏面にはボルトBと螺合し得るナットNが溶接により固定されている。 【0014】尚、ステー1aは、溶接による溶着性の観点から、マフラー1と同質の材質が好ましいが、断熱効果のある他の材質のものを用いてもよい。また、ステー1aの頂部自体に雌ネジを切っておき、ナットNの溶接を不要としたものを用いてもよい。 【0015】マフラープロテクタ2は、マフラー1の外周面における曲率より若干小さな曲率を有する断面半円弧状の部材から成り、マフラー1の一表面を覆うようにして取り付けられる。かかるマフラープロテクタ2により、高熱となったマフラー1に人が接触するのを防止できるとともに、石跳ね等でマフラー1表面に傷が付くのを防止できる。 【0016】また、マフラープロテクタ2のステー1aに対応する箇所には、ボルトBを取り付けるための孔部2aが形成されており、その内周面にはボルト取付板2bが溶接により固定されている。このボルト取付板2bには、図3に示すように、ステー1aのボルト孔1aaに対応してボルト孔2baが形成されており、ボルトBがこれらボルト孔を挿通し、その先端がナットNに螺合されるよう構成されている。 【0017】更に、ボルトBのボルト頭とボルト取付板2b表面との間及びボルト取付板2bとステー1aの頂部表面との間には、断熱型ワッシャ3が介在する。かかる断熱型ワッシャ3は、汎用のワッシャと同様、ボルトBの締付トルクを維持すると同時に、マフラー1の熱がマフラープロテクタ2へ伝わるのを遮断する役割を果たすものである。 【0018】即ち、断熱型ワッシャ3は、線状のステンレス材を固めてワッシャ形状に形成されたものであり、例えばダイに形成されたワッシャ形状の凹部に線状のステンレス材を所定量挿入し、プレス加工で圧縮成形することにより形成されたものである。尚、かかる断熱型ワッシャ3の製造方法についての詳細は後述する。ここで、ワッシャ形状とは、汎用のワッシャの外観形状を指し、円板形状の中央部にボルトを挿通し得る孔を有する形状のことをいうが、外観形状が直方体等の矩形状のもの、楕円形等の異形状のものとしてもよい。 【0019】従って、中実に形成された通常のワッシャに比べて、断熱型ワッシャ3内には空隙が多く存在し、かかる空隙による空気断熱が可能となるとともに、ステンレス材が外気にさらされる表面積が大きくなり、効率的に放熱を行うことができる。即ち、マフラー1の熱は断熱型ワッシャ3で効率良く遮断、放出され、マフラープロテクタ2への伝熱を遮断するのである。 【0020】更に、断熱型ワッシャ3が線状のステンレス材から成り、高温でもへたらず、弾性を常に維持することができるので、いかなる温度領域においてもボルトBのトルクダウンを防止することができる。即ち、ゴム材等から成る断熱材では、高温でへたってしまい、その後の弾性を維持することができないため、トルクダウンが生じてしまうのに対し、本実施形態における断熱型ワッシャ3は、上記理由によりトルクダウンが生じないのである。 【0021】上記断熱型ワッシャ3を構成する線状のステンレス材に、予めガラス繊維又はキュプラ繊維等断熱性の繊維を寄り合わせておき、これをプレス圧縮してワッシャ形状に固めるようにしてもよい。この場合、マフラー1からマフラープロテクタ2への断熱効果が更に向上する。尚、ステンレス材を他の材質の線状部材としてもよく、これに寄り合わせる繊維を断熱効果が高い他の材料のものとしてもよい。 【0022】上記のように、断熱型ワッシャ3を介在させつつボルトBにてマフラープロテクタ2をマフラー1に取り付けると、図2で示すような構成となる。即ち、マフラー1の側面をマフラープロテクタ2で覆うとともに、ボルトBのボルト頭がマフラープロテクタ2の孔部2a内に収まることとなり、高熱部分に人が接触しにくくなっている。 【0023】本実施形態の断熱型ワッシャ3によれば、公知の断熱材で成形するものに比べ、低コストにて製造可能であるとともに、断熱効果を維持しつつボルトBのトルクダウンを確実に防止することができる。即ち、エンジン5の駆動に伴うマフラー1の加熱及び冷却の繰り返しが行われ、且つ走行時の過大な振動が加えられても断熱型ワッシャの締付トルクを維持することができる。 【0024】次に、本実施形態に係る断熱型ワッシャ3の製造方法について説明する。まず、図5で示すように、ボビン9に巻かれたステンレス線材10を編み機11にてコイル状にメリヤス編みする。かかるメリヤス編みは、例えば図11で示すような面を持ったものとなるようステンレス線材10を構成させるのが好ましく、編み上がったメッシュ状の面を持ったコイル状の筒状材12を巻き取っておく。次に、巻き取った筒状材12を引き延ばしつつ、長手方向に対し所定寸法づつカッティングする(図6参照)。筒状材12のカッティングは、例えばシャーリングマシンによるシャーリングによって行われるが、他のカッティング方法であってもよい。 【0025】続いて、図7で示すように、上記の如く所定長さにカッティングされた筒状材12を、メス側のダイ13に形成されたワッシャ形状の凹部13aに挿入し、オス側のダイ14を衝合させて、その凸部14aを凹部13aに合致させる(図8参照)。こうして、凹部13a内の筒状材12は、凸部14aによりプレス圧縮されてワッシャ形状に固められる。尚、断熱性の繊維(例えば、ガラス繊維やキュプラ繊維等)を断熱型ワッシャ3内に介在させるには、予めステンレス線材10の周りに寄り合わせておき、これを編み機11にてメリヤス編みするのが好ましい。 【0026】上記の如く、予めステンレス線材10を編み機10にてコイル状に編んでおくことにより、ワッシャ形状の凹部13aへの挿入を容易にしている。即ち、ステンレス線材10をそのまま凹部13aへ挿入することによっても本実施形態に係る断熱型ワッシャ3を得ることができるが、その場合、凹部13aの周方向に対し均等にステンレス線材10が充填されるよう制御しつつ挿入しなければならないのに対し、コイル状に編んであれば、所定長さの筒状材12を凹部13aに挿入するのみで、周方向への充填が均等とされるからである。 【0027】 【実施例】以下に本発明を実施例においてより具体的に説明する。尚、実施例は本発明を例示的に示したものであって本発明を制限するものではない。まず、ヒートサイクルテストにおける実施例と比較例1とのトルクダウンについて比較する。実施例としてのSUSメッシュ成形品は、直径が0.2mmの線状のステンレス材を圧縮成形して重量0.45gとしたものであり、比較例1としての断熱型ワッシャは、鉄製(パワーベストタイプの材料)の円環状部材の表裏面にゴム材を貼り合わせたものである。これらは共に、直径12mm、ボルト挿通用の中央孔の直径5.8mm、厚さ2mmのワッシャ形状とされたものである。 【0028】上記実施例及び比較例1をそれぞれ3つ用意し(n=1〜3)、図9で示すように、汎用のワッシャ102を介してM6−20ボルト101でSK材103に締め付けた後、300℃の加熱1時間及び冷却30分を1サイクルとして、1〜5サイクル終了後におけるトルクチェック(N=3)を実行した。尚、M6−20ボルト101の初期締付トルクを70kgf・mとする一方、各サイクルの最後は完全冷却を施した。同図中の符号104は、試料(実施例又は比較例1)を示している。 【0029】各試料における上記実験結果を以下の表1に示す【0030】 【表1】
【0031】上記表1からも明らかなように、比較例1における各サイクル終了後の締付トルクは、戻し(ボルトの取り外し方向)及びマーク(ボルトの取付方向)でいずれも0となり、締付トルクが完全に失われている。これに対し実施例のものは、各サイクル終了後の締付トルクがほぼ維持されており、トルクダウンの防止が図られていることが分かる。 【0032】次に、上記実施例(SUSメッシュ成形品)と比較例2との断熱評価テストについて説明する。比較例2における断熱型ワッシャは、円環状のゴム材の表裏面に鉄製(パワーベストタイプの材料)の円環状部材を貼り合わせたものであり、外形形状は、上記ヒートサイクルテストのものと同様の寸法とされている。本テストでは、図10で示すように、熱源温度235℃(誤差3℃)を有するバンドヒータ105上に実施例又は比較例2の試料107を載置し、この上面に接触温度計106を接触させて、経過時間毎の温度を測定した。実験結果を以下の表2に示す。 【0033】 【表2】
【0034】上記表2からも明らかなように、実施例における測定値は、比較例2のものに比べて各経過時間における温度が低く、断熱及び放熱効果が高くなっている。従って、本実施例の断熱型ワッシャを自動二輪車のマフラーとマフラープロテクタとの間に介在させれば、マフラー側からマフラープロテクタ側への伝熱を遮断して、マフラープロテクタの表面温度を安全な温度(例えば60℃前後)に維持することができる。 【0035】 【発明の効果】請求項1の発明によれば、断熱側ワッシャが線状金属から成り、空気との接触面積を増大させているので、マフラーからマフラープロテクタへの伝熱を遮断するとともに、これらを連結するボルトの締付トルクを維持することができる。 【0036】請求項2の発明によれば、ステンレスから成る断熱側ワッシャを用いるので、断熱効果及びボルトの締付トルク維持に加え、耐久性を向上させることができる。 【0037】請求項3の発明によれば、断熱材から成る繊維をステンレスに寄り合わせ、これを断熱側ワッシャとして形成しているので、断熱効果を更に向上させることができる。 【0038】請求項4の発明によれば、ステンレスに寄り合わせる断熱材をガラス繊維又はキュプラ繊維としているので、断熱効果をより確実なものとすることができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】591284313 【氏名又は名称】有限会社浜松ガスケット製作所
|
| 【出願日】 |
平成12年11月1日(2000.11.1) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100095614 【弁理士】 【氏名又は名称】越川 隆夫
|
| 【公開番号】 |
特開2002−139016(P2002−139016A) |
| 【公開日】 |
平成14年5月17日(2002.5.17) |
| 【出願番号】 |
特願2000−334450(P2000−334450) |
|