| 【発明の名称】 |
筒内噴射式内燃機関の燃料噴射装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】佐藤 文一
【氏名】土屋 富久
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| 【要約】 |
【課題】機関出力の不必要な増大を抑えつつ、燃料噴射弁の噴孔部に堆積したデポジットを好適に除去可能な筒内噴射式内燃機関の燃料噴射装置を提供する。
【解決手段】内燃機関の制御装置は、噴射量積算値SQINJが所定値SQ1に達すると(タイミングt1)、燃料噴射圧を上昇させ、第2気筒群#4〜#6の燃料噴射を停止させるとともに、第1気筒群#1〜#3の燃料噴射量QINJ1を増大させる(タイミングt1〜t2)。噴射量積算値SQINJが所定値(SQ1+CLQ)に達すると(タイミングt2)、制御装置は第1気筒群#1〜#3の燃料噴射を停止させるとともに、第2気筒群#4〜#6の燃料噴射量QINJ2を増大させる(タイミングt2〜t3)。噴射量積算値SQINJが所定値(SQ1+2CLQ)に達すると(タイミングt3)、制御装置は全気筒において燃料が噴射される通常の燃料噴射制御を実行する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】燃料噴射弁の噴孔部から気筒内に燃料を直接噴射供給する筒内噴射式内燃機関の燃料噴射装置において、前記噴孔部のデポジットを除去すべき時期にあることを判断する判断手段と、前記除去時期にあると判断されるときに、一部の気筒における燃料噴射弁の燃料噴射量を減量するとともに、その他の気筒における燃料噴射弁の燃料噴射量を増量する燃料噴射制御手段とを備えることを特徴とする筒内噴射式内燃機関の燃料噴射装置。 【請求項2】前記燃料噴射制御手段は、前記一部の気筒における燃料噴射弁の燃料噴射量を「0」にまで減量して同燃料噴射弁の燃料噴射を停止させる請求項1記載の筒内噴射式内燃機関の燃料噴射装置。 【請求項3】前記燃料噴射制御手段は、前記その他の気筒における燃料噴射弁の燃料噴射量を増量するに際し、その燃料噴射時間及び燃料噴射圧の双方を増大させる請求項1又は2に記載の筒内噴射式内燃機関の燃料噴射装置。 【請求項4】前記燃料噴射制御手段は、前記一部の気筒における燃料噴射弁の燃料噴射時期と前記その他の気筒における燃料噴射弁の燃料噴射時期とが交互に到来するように、これら一部の気筒とその他の気筒とを選定する請求項1乃至3のいずれかに記載の筒内噴射式内燃機関の燃料噴射装置。 【請求項5】前記燃料噴射制御手段は、前記燃料噴射量の増減操作を機関負荷が所定値より大きいことを条件に行う請求項1乃至4のいずれかに記載の筒内噴射式内燃機関の燃料噴射装置。 【請求項6】前記燃料噴射制御手段は、前記燃料噴射量の増減操作を前記判断手段により前記除去時期にあると判断されたときからの時間経過に伴って徐々に行う請求項1乃至5のいずれかに記載の筒内噴射式内燃機関の燃料噴射装置。 【請求項7】前記判断手段は、全気筒若しくは特定の気筒の燃料噴射量を積算し、その積算値が所定値を超えたことに基づいて前記除去時期を判断する請求項1乃至6のいずれかに記載の筒内噴射式内燃機関の燃料噴射装置。 【請求項8】前記判断手段は、機関運転状態に応じて設定される重み付け係数に基づいて前記燃料噴射量を積算するに際して重み付けを行うものである請求項1乃至7のいずれかに記載の筒内噴射式内燃機関の燃料噴射装置。 【請求項9】前記判断手段は、機関温度が高いときほど前記重み付け係数を大きく設定する請求項1乃至8のいずれかに記載の筒内噴射式内燃機関の燃料噴射装置。 【請求項10】前記判断手段は、機関回転速度が低いときほど前記重み付け係数を大きく設定する請求項1乃至9のいずれかに記載の筒内噴射式内燃機関の燃料噴射装置。 【請求項11】前記燃料噴射制御手段は、前記燃料噴射量の増減操作を実行した後における全気筒若しくは特定の気筒の燃料噴射量を積算し、その積算値が所定値を超えたことに基づいて前記燃料噴射量の増減操作を終了する請求項1乃至10のいずれかに記載の筒内噴射式内燃機関の燃料噴射装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、燃料噴射弁の噴孔部から気筒内に燃料を直接噴射供給する筒内噴射式内燃機関の燃料噴射装置に関する。 【0002】 【従来の技術】筒内噴射式の内燃機関では、その気筒内に燃料噴射弁の噴孔部から燃料を直接噴射供給し、点火プラグの近傍にのみ燃料濃度の濃い混合気を偏在させることにより、理論空燃比よりも極めて薄い空燃比での燃焼、いわゆる成層燃焼を実現するようにしている。 【0003】ところで、こうした内燃機関では、噴射された燃料の一部が燃焼することなく、その燃料噴射弁の噴孔部に付着したままの状態になることがある。このように燃料が噴孔部に付着すると、その付着した燃料の揮発性の高い成分が機関や燃料噴射弁の熱によって蒸発し、同燃料中の炭化成分がデポジットとして噴孔部に堆積するようになる。そして、こうしたデポジットの堆積量が多くなると、燃料噴射量の減少や燃料噴霧形状の変化等、燃料噴射弁における噴射特性の劣化を招くこととなる。 【0004】そこで従来では、特開平10−339196号公報に提案されるように、デポジットの堆積によって燃料噴射弁の噴射特性が変化したと判断されるときに、燃料噴射圧を一時的に高め、これにより増大する噴射燃料の貫徹力によって噴孔部に堆積したデポジットを除去するようにしている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】このように燃料噴射圧を高めることにより、燃料噴射弁の噴孔部に堆積したデポジットを除去し、その噴射特性の回復を図ることはできる。但し、単に燃料噴射圧のみを高めるようにすると、燃料噴射弁から単位時間当たりに噴射される燃料の量が増大し、内燃機関に供給される燃料の総量が増加する結果、機関出力を不必要に増大させてしまうこととなる。このため、上記公報に記載される装置では、燃料噴射圧の変更に併せて燃料噴射弁の燃料噴射時間を短く設定することにより、こうした機関出力の増大を抑えるようにしている。 【0006】しかしながら、このように燃料噴射時間を短く設定するようにすると、燃料噴射圧を高めて噴射燃料の貫徹力を増大させたとしても、その貫徹力をデポジットに短時間しか作用させることができなくなる。このため、上記従来の装置にあっては、燃料噴射弁の噴孔部に堆積したデポジットを確かに除去することはできるものの、その除去能力については自ずと限界があり、確実なデポジットの除去という点では、なお改良の余地を残すものとなっていた。 【0007】この発明は、こうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は機関出力の不必要な増大を抑えつつ、燃料噴射弁の噴孔部に堆積したデポジットを好適に除去することのできる筒内噴射式内燃機関の燃料噴射装置を提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するための手段及びその作用効果について以下に記載する。請求項1に記載の発明では、燃料噴射弁の噴孔部から気筒内に燃料を直接噴射供給する筒内噴射式内燃機関の燃料噴射装置において、前記噴孔部のデポジットを除去すべき時期にあることを判断する判断手段と、前記除去時期にあると判断されるときに、一部の気筒における燃料噴射弁の燃料噴射量を減量するとともに、その他の気筒における燃料噴射弁の燃料噴射量を増量する燃料噴射制御手段とを備えるようにしている。 【0009】上記構成によれば、噴孔部のデポジットを除去すべき時期にあるときに、一部の気筒における燃料噴射弁の燃料噴射量を減量する一方で、他の気筒における燃料噴射弁の燃料噴射量を増量するようにしているため、デポジットを除去する上で十分な燃料噴射時間を確保したまま燃料噴射圧を高めたり、或いはデポジットを除去する上で十分な燃料噴射圧を保持しつつ燃料噴射時間をより長い時間に設定したりすることができるようになる。従って、上記その他の気筒における燃料噴射弁の噴孔部に堆積したデポジットを好適に除去することができるようになる。 【0010】ここで、上記燃料噴射量の増減操作は、燃料噴射量を減量する気筒を除いた残りの全ての気筒における燃料噴射弁の燃料噴射量を増量するようにしてもよく、そのうちの一部の気筒における燃料噴射弁の燃料噴射量を増量するようにしてもよい。 【0011】そして、上記その他の気筒として、前記残り全ての気筒の燃料噴射量を増量する場合であれ、前記一部の気筒の燃料噴射量を増量する場合であれ、こうした燃料噴射量の増量によって前記その他の気筒における燃焼爆発力が増大しても、それは上記一部の気筒における燃料噴射量の減量によって同気筒の燃焼爆発力が減少することで相殺されるようになるため、機関出力の不必要な増大を極力抑えることができるようになる。 【0012】請求項2に記載の発明では、請求項1記載の筒内噴射式内燃機関の燃料噴射装置において、前記燃料噴射制御手段は、前記一部の気筒における燃料噴射弁の燃料噴射量を「0」にまで減量して同燃料噴射弁の燃料噴射を停止させるものであるとしている。 【0013】上記構成によれば、前記その他の気筒における燃料噴射弁の燃料噴射量をより大きく増量させることができ、一層好適な除去能力を確保することができるようになる。 【0014】請求項3に記載の発明では、請求項1又は2に記載の筒内噴射式内燃機関の燃料噴射装置において、前記燃料噴射制御手段は、前記その他の気筒における燃料噴射弁の燃料噴射量を増量するに際し、その燃料噴射時間及び燃料噴射圧の双方を増大させるものであるとしている。 【0015】上記構成によれば、噴射燃料の貫徹力を増大させ、且つ、その貫徹力がデポジットに作用する時間を長く確保することができるため、一層好適な除去能力を確保することができるようになる。 【0016】請求項4に記載の発明では、請求項1乃至3のいずれかに記載の筒内噴射式内燃機関の燃料噴射装置において、前記燃料噴射制御手段は、前記一部の気筒における燃料噴射弁の燃料噴射時期と前記その他の気筒における燃料噴射弁の燃料噴射時期とが交互に到来するように、これら一部の気筒とその他の気筒とを選定するものであるとしている。 【0017】燃料噴射量が増量された気筒(増量気筒)での燃焼爆発が連続して繰り返されると、機関出力はそれに伴って徐々に増大するようになる。逆に、燃料噴射量が減量された気筒(減量気筒)での燃焼爆発が連続して繰り返されると、機関出力はそれに伴って徐々に低下するようになる。このため、例えば、増量気筒での燃焼爆発が複数回繰り返された後に、減量気筒での燃焼爆発が複数回繰り返される、といった態様で内燃機関が運転されると、機関出力の変幅が大きくなる。 【0018】この点、請求項4に記載の発明の上記構成によれば、上記減量気筒に相当する一部の気筒の燃料噴射時期と、上記増量気筒に相当するその他の気筒の燃料噴射時期とが交互に到来するようになるため、こうした機関出力の変動の増大を抑えることができるようになる。 【0019】請求項5に記載の発明では、請求項1乃至4のいずれかに記載の筒内噴射式内燃機関の燃料噴射装置において、前記燃料噴射制御手段は、前記燃料噴射量の増減操作を機関負荷が所定値より大きいことを条件に行うものであるとしている。 【0020】また、請求項6に記載の発明では、請求項1乃至5のいずれかに記載の筒内噴射式内燃機関の燃料噴射装置において、前記燃料噴射制御手段は、前記燃料噴射量の増減操作を前記判断手段により前記除去時期にあると判断されたときからの時間経過に伴って徐々に行うものであるとしている。 【0021】内燃機関の各気筒における燃焼爆発は間欠的に行われるため、僅かではあるが機関出力は周期的に変動しており、上記のように各気筒での燃料噴射量が異なっていると、こうした機関出力の変動も更に大きくなる。また、この機関出力の変動は、機関低負荷時、換言すれば機関出力が相対的に小さいときに、一層顕著になる傾向がある。 【0022】また機関出力の変動が増大する場合には、その増大速度が大きいときほど、即ち機関出力の変動幅が小さい状態から大きな状態に推移する時間が短いほど、その機関出力の変動の増大は体感され易いものとなる。 【0023】この点、請求項5に記載の発明の上記構成によれば、機関負荷が所定値より大きいことを条件にして、前記各気筒における燃料噴射量の増減操作を行うようにしているため、その増減操作によって機関出力が変動したとしても、これを小さく抑えることができるようになる。 【0024】また、請求項6に記載の発明の上記構成によれば、各気筒における燃料噴射量の増減操作をデポジットの除去時期にあると判断されたときからの時間経過に伴って徐々に行うようにしているため、こうした機関出力の変動の増大を体感し難いものとすることができるようになる。 【0025】請求項7に記載の発明では、請求項1乃至6のいずれかに記載の筒内噴射式内燃機関の燃料噴射装置において、前記判断手段は、全気筒若しくは特定の気筒の燃料噴射量を積算し、その積算値が所定値を超えたことに基づいて前記除去時期を判断するものであるとしている。 【0026】燃料噴射弁の噴孔部に対するデポジットの堆積は、噴射燃料が噴孔部に付着することに起因するものであるため、燃料噴射弁の噴射回数が多くなるほど、また一回の燃料噴射における噴射量が多くなるほど、その堆積量は多くなる傾向がある。 【0027】請求項7に記載の発明の上記構成によれば、こうしたデポジットの堆積量を推定することができ、その推定結果に基づいてデポジットの除去時期を適切に判断することができるようになる。 【0028】請求項8に記載の発明では、請求項1乃至7のいずれかに記載の筒内噴射式内燃機関の燃料噴射装置において、前記判断手段は、機関運転状態に応じて設定される重み付け係数に基づいて前記燃料噴射量を積算するに際して重み付けを行うものであるとしている。 【0029】また、請求項9に記載の発明では、請求項1乃至8のいずれかに記載の筒内噴射式内燃機関の燃料噴射装置において、前記判断手段は、機関温度が高いときほど前記重み付け係数を大きく設定するものであるとしている。 【0030】また、請求項10に記載の発明では、請求項1乃至9のいずれかに記載の筒内噴射式内燃機関の燃料噴射装置において、前記判断手段は、機関回転速度が低いときほど前記重み付け係数を大きく設定するものであるとしている。 【0031】燃料噴射量の積算値が同じであっても、デポジットの堆積し易い機関運転状態のもとで燃料噴射が行われるほど、同デポジットの堆積量は多くなる。例えば、機関温度が相対的に高くなると、燃料噴射弁の噴孔部に付着した燃料においてその揮発性の高い成分の蒸発が促進されるようになるため、デポジットが堆積し易くなる。また、機関回転速度が相対的に低くなると、燃料噴射が終了してから次の燃料噴射が開始されるまでの期間が長くなり、上記揮発成分の蒸発時間がより長く確保されるようになるため、やはりデポジットが噴孔部に堆積し易くなる。 【0032】この点、請求項8乃至10のいずれかに記載した発明の構成によれば、こうした機関運転状態に応じて変化するデポジットの堆積傾向に合わせてその堆積量を正確に推定することができ、デポジットの除去時期をより適切に判断することができるようになる。 【0033】特に請求項9又は10に記載の発明によれば、機関温度や機関回転速度に応じて付着燃料に含まれる揮発成分の蒸発度合いが変化し、デポジットの堆積傾向が変化しても、これに即したかたちで同堆積量を正確に推定することができるようになる。 【0034】また、請求項11に記載の発明では、請求項1乃至10のいずれかに記載の筒内噴射式内燃機関の燃料噴射装置において、前記燃料噴射制御手段は、前記燃料噴射量の増減操作を実行した後における全気筒若しくは特定の気筒の燃料噴射量を積算し、その積算値が所定値を超えたことに基づいて前記燃料噴射量の増減操作を終了するものであるとしている。 【0035】上記構成によれば、各燃料噴射弁の燃料噴射量を増減する期間をデポジットを確実に除去する上で必要十分な長さに設定することができ、より確実にデポジットを除去することができるようになる。 【0036】 【発明の実施の形態】[第1の実施形態]以下、この発明の第1の実施形態にかかる燃料噴射装置について図1〜図4を参照して説明する。 【0037】図1に示されるように、この燃料噴射装置が適用される内燃機関10は、6つの気筒#1〜#6を備えており、それら各気筒#1〜#6には、燃焼室12内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁14がそれぞれ設けられている。本実施形態において、各気筒#1〜#6の燃料噴射弁14による燃料噴射は、第1気筒#1→第5気筒#5→第3気筒#3→第6気筒#6→第2気筒#2→第4気筒#4→第1気筒#1→・・・・といった順序で行われる。 【0038】これら各燃料噴射弁14は、共通のデリバリパイプ16を介して高圧ポンプ18に接続されている。この高圧ポンプ18は、フィードポンプ20を介して燃料タンク22に接続されている。燃料タンク22の燃料は、フィードポンプ20から高圧ポンプ18に供給された後、この高圧ポンプ18により高圧に加圧されてデリバリパイプ16に圧送される。このようにしてデリバリパイプ16に送られた高圧の燃料は、各燃料噴射弁14に分配供給され、同弁14の開弁に伴って、その噴孔部14aから燃焼室12内に噴射される。この燃料噴射弁14の燃料噴射量は、燃料噴射時間(同弁14の開弁時間)と燃料噴射圧、即ちデリバリパイプ16内の燃料圧とに応じて設定される。 【0039】また、これら燃料噴射弁14の燃料噴射時間及び燃料噴射圧は、内燃機関10の各種制御を統括して実行する電子制御装置30によって制御される。この電子制御装置30には、機関回転速度を検出する回転速度センサ31、アクセルペダル(図示略)の踏み込み量(アクセル開度)を検出するアクセルセンサ32、並びに機関冷却水の温度を検出する水温センサ33等々、機関運転状態を把握するための各種センサの検出信号が取り込まれる。 【0040】そして、電子制御装置30は、これら検出信号等に基づいてデリバリパイプ16内の燃料圧にかかる目標値(目標燃料圧)を設定するとともに、同デリバリパイプ16に設けられた燃圧センサ34の検出信号を取り込み、同検出信号に基づいて実際の燃料圧(実燃料圧)を検出する。更に、電子制御装置30は、この実燃料圧が目標燃料圧と一致するように、高圧ポンプ18からデリバリパイプ16に吐出される燃料の量をフィードバック制御する。 【0041】また、電子制御装置30は、機関回転速度及びアクセル開度等に基づいて燃料噴射量にかかる目標値(目標燃料噴射量)を算出する。そして、デリバリパイプ16内の実燃料圧、即ち燃料噴射圧とこの目標燃料噴射量とに基づいて燃料噴射時間を算出し、この燃料噴射時間に基づいて燃料噴射弁14を開閉駆動する。電子制御装置30は、これら燃料噴射圧及び目標燃料噴射量に基づいて燃料噴射時間を算出するための演算用マップや、機関回転速度及びアクセル開度等に基づいて上記目標燃料噴射量を算出するための演算用マップ等、各種のデータが記憶されるメモリ30aを備えている。 【0042】更に、電子制御装置30は、機関運転状態に応じて燃料噴射弁14の燃料噴射時期を変更することにより、内燃機関10の燃焼形態を成層燃焼と均質燃焼との間で切り替える制御を実行する。 【0043】即ち、電子制御装置30は、機関運転状態が低負荷低回転域にあるときには、燃焼形態を成層燃焼に切り替えるべく、燃料噴射時期を各気筒#1〜#6の圧縮行程後期に設定するとともに、空燃比が理論空燃比よりも薄くなるように、目標燃料噴射量を設定する。その結果、点火プラグ(図示略)の近傍にのみ燃料濃度の濃い混合気が偏在した状態で燃焼が行われるようになる。 【0044】一方、電子制御装置30は、機関運転状態が高負荷高回転域にあるときには、燃焼形態を均質燃焼に切り替えるべく、燃料噴射時期を各気筒#1〜#6の吸気行程に設定する。その結果、燃料噴射弁14から噴射された燃料と吸入空気との混合時間が確保され、燃焼室12の混合気は噴射燃料と吸入空気とが十分に混ざり合った略均質な状態で燃焼されるようになる。この均質燃焼では、空燃比が理論空燃比や、同理論空燃比よりもリッチ或いはリーンになるように、目標燃料噴射量が機関運転状態に応じて適宜設定される。 【0045】また、電子制御装置30は、こうした燃料噴射制御や燃焼形態の切替制御にかかる処理の他、燃料噴射弁14の噴孔部14aに堆積したデポジットを除去するための処理を所定の実行条件のもとで実行するようにしている。 【0046】この除去処理において、電子制御装置30は、まず、目標燃料噴射量の積算値を算出し、その噴射量積算値と所定の判定値とを比較する。そして、電子制御装置30は、目標燃料噴射量の積算値がこの判定値を超え、デポジットを除去すべき時期にある旨判断すると、デリバリパイプ16内の燃料圧を一時的に上昇させる。 【0047】更に、電子制御装置30は、第1気筒#1、第2気筒#2、及び第3気筒#3からなる気筒群(以下、「第1気筒群」という)#1〜#3の燃料噴射量を増量するとともに、それ以外の気筒、即ち第4気筒#4、第5気筒#5、及び第6気筒#6からなる気筒群(以下、「第2気筒群」という)#4〜#6の燃料噴射を停止させる。そして、この状態を所定期間継続させた後、電子制御装置30は、第2気筒群#4〜#6における燃料噴射を再開し、その燃料噴射量を増量するとともに、第1気筒群#1〜#3の燃料噴射を停止させる。 【0048】上記のように第1気筒群#1〜#3の燃料噴射量が一時的に増量されることにより、この第1気筒群#1〜#3の各燃料噴射弁14についてそれらの噴孔部14aに堆積したデポジットが除去され、また第2気筒群#4〜#6の燃料噴射量が一時的に増量されることにより、この第2気筒群#4〜#6においても上記デポジットの除去が行われるようになる。 【0049】尚、本実施形態において、上記デポジットの除去処理は、燃焼形態が成層燃焼に設定されていることを条件に行われる。これは、成層燃焼時にあっては、燃焼室12に供給される吸入空気量が十分に確保されており、上記のように一部の気筒の燃料噴射量を増量しても、排気性状の悪化や失火の発生等を招くことがないからである。 【0050】以下、こうしたデポジットの除去処理を行う際の詳細な手順について図2及び図3のフローチャート、並びに図4のタイミングチャートを参照して説明する。尚、このフローチャートに示される一連の処理は、各気筒#1〜#6の燃料噴射時期に同期した所定クランク角毎の制御周期をもって繰り返し実行される。また、図4のタイミングチャートは、噴射量積算値SQINJ(同図(a))、機関出力T(同図(b))、並びに各気筒群#1〜#3,#4〜#6における目標燃料噴射量QINJ1,QINJ2(同図(c))について、この一連の処理の実行時におけるそれらの時間的推移の例を示している。 【0051】この一連の処理では、まず、目標燃料噴射量QINJ及び目標燃料圧PFTが読み込まれる(ステップ100)。そして、現在の噴射量積算値SQINJに対して今回読み込まれた目標燃料噴射量QINJが加算され、その加算値(SQINJ+QINJ)が新たな噴射量積算値SQINJとして設定される(ステップ110)。 【0052】次に、燃焼形態が成層燃焼に設定されているか否かが判断される(ステップ115)。そして、燃焼形態が成層燃焼に設定されていないと判断された場合には(ステップ115:NO)、デポジットの除去処理は実質的になされず、通常の燃料噴射制御が行われることになる。即ち、実際の燃料圧が目標燃料圧PFTと一致するように、高圧ポンプ18の吐出量がフィードバック制御され(図3のステップ180)、全気筒#1〜#6において燃料噴射が行われる(ステップ190)。その後、この一連の処理は一旦終了される。 【0053】一方、燃焼形態が成層燃焼に設定されている場合には(ステップ115:YES)、次に目標燃料噴射量QINJが所定値Q1を超えているか否かが判断される(ステップ120)。 【0054】上述したように各気筒群#1〜#3,#4〜#6のうち一方の気筒群の燃料噴射を停止するとともに、他方の気筒群の燃料噴射量を増量する等、燃料噴射量の増減操作を行うようにすると、各気筒群#1〜#3,#4〜#6における燃焼爆発力に差が生じるようになるため、機関出力の変動が大きくなる傾向がある。また、この機関出力の変動は、機関負荷が小さく、従って機関出力が相対的に小さいときに一層顕著になる傾向がある。 【0055】上記ステップ120では、こうした機関出力の変動の大きさが許容される範囲にあるか否かが、目標燃料噴射量QINJと所定値Q1との比較結果に基づいて判断される。所定値Q1は、上記のような燃料噴射量の増減操作により生じる機関出力の変動の大きさが許容範囲にあるか否かを機関負荷の大きさに基づいて判定するための閾値として設定されている。 【0056】ここで、目標燃料噴射量QINJが所定値Q1以下であると判断された場合(ステップ120:NO)、即ち上記燃料噴射量の増減操作によって生じる機関出力の変動が無視できないと判断される場合には、通常の燃料噴射制御を行うべく、先のステップ180及びステップ190の各処理が順次実行される。 【0057】一方、目標燃料噴射量QINJが所定値Q1を超えている場合、即ち機関出力の変動の大きさが許容範囲にある旨判断される場合には(ステップ120:YES)、噴射量積算値SQINJと所定値SQ1とが比較され、同噴射量積算値SQINJがこの所定値SQ1を超えているか否かが判断される(ステップ130)。この所定値SQ1は、各燃料噴射弁14の噴孔部14aにおいて所定量以上のデポジットの堆積があること、換言すれば、デポジットの堆積による噴射特性の変化が無視できない状態にあることを判断するための判定値である。 【0058】ここで、噴射量積算値SQINJが所定値SQ1以下であると判断された場合には(ステップ130:NO)、デポジットの堆積は殆ど無く、デポジットの堆積による噴射特性の変化は無視できるものと判断され、先のステップ180及びステップ190の各処理が順次実行される。 【0059】一方、噴射量積算値SQINJが上記所定値SQ1を超えていると判断された場合には(ステップ130:YES)、まず、燃料噴射圧を一時的に上昇させるべく、目標燃料圧PFTに対して所定値ΔPFTが加算され、実際の燃料圧がこの加算値(PFT+ΔPFT)と一致するように、高圧ポンプ18の吐出量がフィードバック制御される(ステップ140)。 【0060】次に、上記所定値SQ1に更に一定の所定値CLQが加算され、その加算値(SQ1+CLQ)と噴射量積算値SQINJとが比較される(ステップ150)。そして、噴射量積算値SQINJがこの加算値(SQ1+CLQ)以下である場合には(ステップ150:NO)、第1気筒群#1〜#3の燃料噴射量を増量するとともに、第2気筒群#4〜#6の燃料噴射を停止させることにより、第1気筒群#1〜#3の各燃料噴射弁14について、その噴孔部14aに堆積したデポジットを除去するための各処理が実行される。 【0061】即ち、まず第1気筒群#1〜#3での目標燃料噴射量QINJ1が次の演算式(1)に基づいて算出される(ステップ210)。 QINJ1←QINJ×2×K1 ・・・(1) K1:補正係数そして、このようにして算出された目標燃料噴射量QINJ1及び燃料噴射圧に基づいて更に燃料噴射時間が算出され、その燃料噴射時間に基づいて第1気筒群#1〜#3では燃料噴射が実行されるとともに、第2気筒群#4〜#6の燃料噴射は停止される(ステップ220)。尚、本実施形態において、上記のようにして算出される第1気筒群#1〜#3の燃料噴射時間は、全気筒#1〜#6において燃料噴射が行われる場合の燃料噴射時間よりも長い時間に設定される。 【0062】これら各ステップ210,220における処理の結果、図4に示されるように、噴射量積算値SQINJが上記所定値SQ1を超えたときから上記加算値(SQ1+CLQ)に達するまでの期間t1〜t2において、第1気筒群#1〜#3による燃料噴射の実行と第2気筒群#4〜#6の燃料噴射の停止とが交互に繰り返されるようになる。具体的には、第1気筒#1:噴射実行→第5気筒#5:噴射停止→第3気筒#3:噴射実行→第6気筒#6:噴射停止→第2気筒#2:噴射実行→第4気筒#4:噴射停止→第1気筒#1:噴射実行→・・・といった態様で、燃料噴射は一気筒おきに実行されるようになる。 【0063】また、この期間t1〜t2では、燃料噴射量(目標燃料噴射量QINJ1)が増量されることにより、第1気筒群#1〜#3での燃焼爆発力が増大するものの、これは第2気筒群#4〜#6の燃料噴射が停止され、同気筒群#4〜#6での燃焼爆発力が減少する(発生しない)ことによって相殺されるようになる。従って、機関出力Tは、タイミングt1以前と比較して変動量が僅かに増大するものの、同図に一点鎖線で示されるように、その平均値は殆ど変化せず一定の大きさに保持されるようになる。先の演算式(1)における補正係数K1は、このように機関出力Tの平均値が略一定に保たれるように、実験等に基づいて予め適切な大きさに設定されている。 【0064】そして、この期間t1〜t2では、第1気筒群#1〜#3における各燃料噴射弁14について、その燃料噴射圧及び燃料噴射時間の双方が増大されるため、噴射燃料の貫徹力が増大され、且つ、その貫徹力の作用時間が長く確保された状態で、それらの噴孔部14aに堆積したデポジットの除去が行われるようになる。 【0065】尚、先の所定値CLQは、この期間t1〜t2においてデポジットが確実に除去されるように、実験等に基づいて予め適切な大きさに設定されている。このステップ220の処理が実行されると、この一連の処理は一旦終了される。 【0066】一方、先のステップ150において、噴射量積算値SQINJが上記加算値(SQ1+CLQ)を超えている場合には(ステップ150:YES)、次に、上記加算値に対して更に所定値CLQが加算され、その加算値(SQ1+2CLQ)と噴射量積算値SQINJとが比較される(ステップ160)。 【0067】そして、噴射量積算値SQINJがこの加算値(SQ1+2CLQ)以下である場合には(ステップ160:NO)、第2気筒群#4〜#6の燃料噴射量を増量するとともに第1気筒群#1〜#3の燃料噴射を停止させることにより、第2気筒群#4〜#6の各燃料噴射弁14について、その噴孔部14aに堆積したデポジットを除去するための各処理が実行される。 【0068】即ち、先のステップ210の処理と同様に、第2気筒群#4〜#6での目標燃料噴射量QINJ2が次の演算式(2)に基づいて算出される(ステップ310)。 【0069】 QINJ2←QINJ×2×K1 ・・・(2) そして、このようにして算出された目標燃料噴射量QINJ2及び燃料噴射圧に基づいて更に燃料噴射時間が算出され、その燃料噴射時間に基づいて第2気筒群#4〜#6では燃料噴射が実行されるとともに、第1気筒群#1〜#3の燃料噴射は停止される(ステップ320)。尚、本実施形態において、上記のようにして算出される第2気筒群#4〜#6の燃料噴射時間は、全気筒#1〜#6において燃料噴射が行われる場合の燃料噴射時間よりも長い時間に設定される。 【0070】これら各ステップ310,320における処理の結果、図4に示されるように、タイミングt2以降、噴射量積算値SQINJが上記加算値(SQ1+2CLQ)に達するまでの期間t2〜t3において、第2気筒群#4〜#6による燃料噴射と第1気筒群#1〜#3の燃料噴射の停止とが交互に繰り返され、燃料噴射は一気筒おきに実行されるようになる。 【0071】また、この期間t2〜t3では、目標燃料噴射量QINJが増量されることで第2気筒群#4〜#6での燃焼爆発力が増大するものの、これは第1気筒群#1〜#3での燃焼爆発力が減少する(発生しない)ことによって相殺されるようになる。従って、先の期間t1〜t2における場合と同様に、機関出力Tの平均値は殆ど変化せず一定の大きさに保持されるようになる。 【0072】そして、この期間t2〜t3では、第2気筒群#4〜#6における各燃料噴射弁14について、その噴孔部14aに堆積したデポジットの除去が行われるようになる。このステップ320の処理が実行されると、この一連の処理は一旦終了される。 【0073】このようにして各気筒群#1〜#3,#4〜#6について、デポジットを除去するための処理が順に行われることで、噴射量積算値SQINJが上記加算値(SQ1+2CLQ)を超え、これが先のステップ160において判断されると(ステップ160:YES)、噴射量積算値SQINJが「0」にリセットされる(ステップ170)。そして、それ以降(図4のタイミングt3以降)は、デポジットの除去を優先する燃料噴射制御から通常の燃料噴射制御に移行すべく、先のステップ180,190の各処理が行われるようになる。即ち、一時的に上昇させていた燃料噴射圧は減圧され(ステップ180)、再び全気筒#1〜#6において燃料噴射が順次実行されるようになる(ステップ190)。 【0074】以上説明した態様をもって燃料噴射制御を実行するようにした本実施形態の燃料噴射装置によれば、以下に記載するような作用効果を奏することができる。 (1)デポジットの除去時期にあると判断されるときに、上記各気筒群#1〜#3,#4〜#6のうち、一方の気筒群の燃料噴射を停止するとともに、他方の気筒群の燃料噴射量(目標燃料噴射量QINJ1,QINJ2)を増量するようにしているため、燃料噴射弁14の噴孔部14aに堆積したデポジットを好適に除去することができるようになる。 【0075】しかも、こうした燃料噴射量の増量により各気筒#1〜#3,#4〜#6のうち一方の気筒群における燃焼爆発力が増大しても、これは燃料噴射が停止される他方の気筒群の燃焼爆発力が減少する(発生しない)ことで相殺されるようになるため、機関出力の不必要な増大を極力抑えることができるようになる。 【0076】(2)特に、燃料噴射量を増量するに際して、その燃料噴射時間及び燃料噴射圧の双方を増大させるようにしているため、噴射燃料の貫徹力を増大させ、且つ、その貫徹力がデポジットに作用する時間を長く確保することができ、一層好適な除去能力を確保することができるようになる。 【0077】(3)更に、各気筒群#1〜#3,#4〜#6の燃料噴射時期が交互に到来するように、これら第1気筒群#1〜#3と第2気筒群#4〜#6とを選定するようにしているため、これら各気筒群#1〜#3,#4〜#6のうち、一方の気筒群の燃料噴射を停止させ、各気筒群#1〜#3,#4〜#6の爆発燃焼力に差があることに起因した機関出力の変動の増大を抑えることができるようになる。 【0078】(4)また、機関負荷の大きさを反映する目標燃料噴射量QINJが所定値Q1よりも大きいことを条件に、各気筒群#1〜#3,#4〜#6のうち一方の気筒群の燃料噴射を停止させ、他方の気筒群の燃料噴射量を増量する処理を行うようにしているため、こうした処理を行うことに起因する機関出力の変動を小さく抑えることができるようになる。 【0079】(5)更に、目標燃料噴射量QINJの積算値SQINJを算出し、この積算値SQINJが所定値SQ1を超えたことを条件に、デポジットの除去時期を判断するようにしているため、燃料噴射弁14の噴孔部14aに堆積したデポジットの堆積量を推定し、その推定結果に基づいて同除去時期を適切に判断することができるようになる。 【0080】(6)また、各気筒群#1〜#3,#4〜#6の燃料噴射弁14を対象とするデポジットの除去処理を開始した後における目標燃料噴射量QINJの積算値(図4に示される各期間t1〜t2,t2〜t3における積算値)がそれぞれ所定値CLQを超えたときに、デポジットの除去処理を終了するようにしている。このため、例えば一定の時間が経過したことを条件にデポジットの除去処理を終了するようにした構成とは異なり、同除去処理の実行期間を、デポジットを確実に除去する上で必要十分な長さに設定することができ、より確実にデポジットを除去することができるようになる。 【0081】[第2の実施形態]次に、この発明の第2の実施形態について、上記第1の実施形態との相違点を中心に説明する。 【0082】本実施形態では、目標燃料噴射量QINJの積算値SQINJを算出するに際して、機関冷却水温度THWや機関回転速度NEといった機関運転状態に基づいて重み付けを行うようにしており、この点が上記第1の実施形態と相違している。 【0083】具体的には、本実施形態では、先のステップ110(図2参照)の処理において、以下の演算式(3)に基づいて噴射量積算値SQINJが算出される。 SQINJ←SQINJ+QINJ×KNE×KTHW ・・・(3) ここで、上記「KNE」は、目標燃料噴射量QINJに重み付けをして噴射量積算値SQINJを算出するための重み付け係数であり、機関回転速度NEに基づいて設定される。また、「KTHW」も同様に、目標燃料噴射量QINJに重み付けをして噴射量積算値SQINJを算出するための重み付け係数であるが、これは、機関温度と相関を有する機関冷却水温度THWに基づいて設定される。 【0084】図5は、機関回転速度NEと重み付け係数KNEとの関係を示す演算用マップである。このマップに示されるように、機関回転速度NEが低いときほど、重み付け係数KNEは大きな値に設定される。 【0085】ここで、目標燃料噴射量QINJが同じ場合、機関回転速度NEが相対的に低くなるほど、燃料噴射が終了してから次の燃料噴射が開始されるまでの期間は長くなる。そして、この期間が長くなると、噴孔部14aに付着した噴射燃料の揮発成分が蒸発する際に、その蒸発時間がより長く確保されるようになるため、デポジットが噴孔部14aに堆積し易くなる。 【0086】例えば、燃料噴射が終了してから次の燃料噴射が開始されるまでの期間が短い場合には、燃料噴射が終了した後、噴孔部14aが燃焼室12内の熱によって徐々に温度上昇し、付着燃料の揮発成分が蒸発し始めても、直ぐに次の燃料噴射が開始され、噴射燃料が噴孔部14aを通過することで同噴孔部14aが冷却されるようになる。従って、噴孔部14aの温度上昇が抑えられ、揮発成分の蒸発も促進されないため、デポジットは堆積し難いものとなる。 【0087】これに対して、燃料噴射が終了してから次の燃料噴射が開始されるまでの期間が長くなると、その燃料噴射が行われていない期間において噴孔部14aが高温になり易く、従って揮発成分の蒸発が促進されるようになるため、デポジットは堆積し易いものとなる。 【0088】このため、本実施形態では、機関回転速度NEが低く、デポジットが噴孔部14aに堆積し易い状況にあるときほど、目標燃料噴射量QINJにより大きな重み付けをして噴射量積算値SQINJを算出するようにしている。 【0089】また、図6は、機関冷却水温度THWと重み付け係数KTHWとの関係を示す演算用マップである。このマップに示されるように、機関冷却水温度THWが高いときほど、重み付け係数KTHWは大きな値として設定される。これは、機関温度が高いときほど、付着燃料における揮発成分の蒸発が促進されるため、同じ量の燃料を噴射した場合であっても、噴孔部14aにデポジットが堆積し易くなるからである。 【0090】これら図5や図6に示した演算用マップは、電子制御装置30のメモリ30aに関数データとして記憶されており、電子制御装置30は、上記演算式(3)を通じて目標燃料噴射量QINJを積算する度にこれらマップを参照し、そのときの機関回転速度NEや機関冷却水温度THWに応じた値に、各重み付け係数KNE,KTHWをその都度設定するようにしている。 【0091】以上説明した本実施形態によれば、第1の実施形態における上記(1)〜(6)の効果に加えて更に以下の効果を奏することができるようになる。 (7)機関冷却水温度THWや機関回転速度NEといった機関運転状態に基づいて設定された重み付け係数KNE,KTHWに基づいて、目標燃料噴射量QINJの積算値SQINJを算出するに際して重み付けを行うようにしたため、こうした機関運転状態に応じて変化するデポジットの堆積傾向に合わせてその堆積量を正確に推定することができ、デポジットの除去時期をより適切に判断することができるようになる。 【0092】(8)特に、機関低回転時や機関高温時といった、デポジットが噴孔部14aに堆積し易くなる状況下においては、上記重み付け係数KNE,KTHWを大きく設定して、積算値SQINJに加算される目標燃料噴射量QINJに対してより大きな重み付けを行うようにしたため、機関回転速度や、機関冷却水温度THW、即ち機関温度に応じて付着燃料に含まれる揮発成分の蒸発度合いが変化し、デポジットの堆積傾向が変化しても、これに即したかたちで同堆積量を正確に推定することができ、デポジットの除去時期を一層適切に判断することができるようになる。 【0093】本発明の各実施形態について説明したが、これら各実施形態は以下のように構成を変更して実施することもできる。 ・上記第2の実施形態では、機関回転速度NEに基づいて設定される重み付け係数KNEと、機関冷却水温度THWに基づいて設定される重み付け係数KTHWとの双方に基づいて、目標燃料噴射量QINJの重み付けを行うようにしたが、これら各重み付け係数KNE,KTHWの一方のみに基づいて上記重み付けを行うようにしてもよい。 【0094】・また、同じく第2の実施形態において、噴射量積算値SQINJが多くなるほど目標燃料噴射量QINJに対してより大きな重み付けを行うための重み付け係数を導入するようにしてもよい。こうした構成によれば、既に噴孔部14aに堆積したデポジットを核として、その後のデポジットの堆積が助長されるような傾向がある場合でも、こうした傾向に合わせて適切にデポジットの堆積量を推定することができるようになる。 【0095】・上記第2の実施形態では、目標燃料噴射量QINJを積算する際に、上記各重み付け係数KNE,KTHWに基づく重み付けを行うようにしたが、デポジットの除去処理を実行している期間(図2のステップ130において肯定判定された後、図3のステップ160において肯定判定されるまでの期間)に限っては、この重み付けを省略するようにしてもよい。 【0096】・上記各実施形態では、デポジットの除去時期にあると判断されるときに、上記各気筒群#1〜#3,#4〜#6のうち、一方の気筒群の燃料噴射を停止するとともに、他方の気筒群の燃料噴射量を増量するようにしたが、例えば、上記一方の気筒群については燃料噴射を停止させるのではなく、その燃料噴射量を減量するようにしてもよい。 【0097】・また、上記各実施形態において、デポジットの除去時期にあると判断され、全気筒噴射が行われる状態から、一方の気筒群の燃料噴射を停止するとともに他方の気筒群の燃料噴射量を増量する状態に移行する際に、一方の気筒群については燃料噴射量を徐々に減少させた後に燃料噴射を停止させるとともに、他方の気筒群については燃料噴射量を徐々に増大させて所定量にまで増量するようにしてもよい。 【0098】具体的には、図7のタイミングチャートに示されるように、デポジットの除去時期にあると判断されると(タイミングt1)、その時点から、第2気筒群#4〜#6については、目標燃料噴射量QINJ2を徐々に減少させ、失火等のおそれのある限界量QINJmin に達した時点(タイミングt2)で同目標燃料噴射量QINJ2を「0」に設定し、燃料噴射を停止させる。一方、第1気筒群#1〜#3については、目標燃料噴射量QINJ1を徐々に増大させ、第2気筒群#4〜#6の燃料噴射が停止されるタイミングt2に達した時点で、同目標燃料噴射量QINJ1を先の演算式(1)に基づき得られる値(QINJ×2×K1)に切り替える。 【0099】こうした構成によれば、全気筒噴射が行われる状態から、一方の気筒群の燃料噴射を停止するとともに他方の気筒群の燃料噴射量を増量する状態に移行する際に、その移行に伴って機関出力の変動が増大したとしても、その増大を体感し難いものとすることができ、ドライバビリティの向上を図ることができるようになる。 【0100】・上記各実施形態では、目標燃料噴射量QINJを積算し、その積算値SQINJに基づいてデポジットの除去時期を判断するようにしたが、この判断は任意の方法によって行うことができる。例えば、空燃比を理論空燃比となるようにフィードバック制御する均質燃焼時において、実際の空燃比と理論空燃比との間の乖離傾向に基づいて上記除去時期を判断するようにしてもよい。また、内燃機関10の運転時間や、燃料噴射弁14の噴射回数を積算し、これら積算値が所定の判定値に達したことに基づいて上記除去時期を判断することもできる。 【0101】・上記各実施形態では、目標燃料噴射量QINJを各気筒#1〜#6の燃料噴射時期が到来する度に積算することで、全気筒#1〜#6の燃料噴射量についてこれを積算するようにしたが、例えば特定の気筒の燃料噴射量を代表的に積算し、その積算値に基づいてデポジットの除去時期を判断することも可能である。 【0102】・上記各実施形態では、第1気筒群#1〜#3の燃料噴射弁14を対象とするデポジットの除去処理を行った後(図4のタイミングt1〜t2)、引き続き第2気筒群#4〜#6の燃料噴射弁14を対象とするデポジットの除去処理を行うようにしたが(図4のタイミングt2〜t3)、例えば、第1気筒群#1〜#3の燃料噴射弁14を対象とするデポジットの除去処理を行った後、一旦全気筒#1〜#6で燃料噴射を行う通常の燃料噴射制御に戻した後に、第2気筒群#4〜#6の燃料噴射弁14を対象とするデポジットの除去処理を行うようにしてもよい。 【0103】こうした構成によれば、燃料噴射量が増量された気筒での燃焼爆発が連続する(図4のタイミングt2近傍)ことに起因した機関出力変動の増大を抑えることができるようになる。 【0104】・上記各実施形態では、各気筒#1〜#6を2つの気筒群に分け、これら気筒群の燃料噴射弁14を対象とするデポジットの除去処理を順次行うようにしたが、各気筒#1〜#6を、例えば3つの気筒群に分けて上記デポジットの除去処理を行うようにしてもよい。この場合、1つの気筒群における燃料噴射量を減量するとともに、残りの2つの気筒群における燃料噴射量を増量するようにしてもよく、或いは残りの2つのの気筒群のうちいずれか一方の気筒群のみ燃料噴射量を増量するようにしてもよい。 【0105】・上記各実施形態では、燃料噴射弁14の燃料噴射量を増量するに際して、燃料噴射時間及び燃料噴射圧の双方を増大させるようにしたが、これらのうち一方のみを増大させることにより、燃料噴射量を増量するようにしてもよい。 【0106】・上記各実施形態では、デポジットの除去時期であるとの判断結果に基づき燃料噴射圧を上昇させる際には、機関運転状態に基づいて設定される目標燃料圧PFTに対して所定圧ΔPFTを加算し、実際の燃料圧がこの加算値(PFT+ΔPFT)と一致するように、高圧ポンプ18の吐出量をフィードバック制御するようにしたが、例えば、実際の燃料圧を燃料供給系において許容される最大圧力にまで増大させることにより、燃料噴射圧を上昇させるようにしてもよい。 【0107】・上記各実施形態では、各気筒群#1〜#3,#4〜#6に対するデポジットの除去処理の終了時期(図4のタイミングt2,t3)を判断するための上記所定値CLQを一定の値としたが、例えば燃料噴射圧及び燃料噴射時間とデポジットの除去量(除去能力)との関係を予め実験によって求めておき、各気筒群#1〜#3,#4〜#6に対してデポジットの除去処理を行う際には、そのときの燃料噴射圧と燃料噴射時間とに基づきデポジットの除去能力に合わせるかたちで、この所定値CLQを可変設定するようにしてもよい。 【0108】・上記各実施形態では、燃焼形態が成層燃焼に設定されていることを条件に、デポジットの除去処理を行うようにしたが、例えば、均質燃焼時においても、空燃比が理論空燃比よりもリーンに設定される場合には上記除去処理を行うことは可能である。 【0109】・上記各実施形態では、燃料噴射装置が適用される内燃機関として、6つの気筒を有するものを例にして説明したが、本発明にかかる燃料噴射装置は、5気筒以下、或いは7気筒以上の内燃機関にも適用することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003207 【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年6月30日(2000.6.30) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100068755 【弁理士】 【氏名又は名称】恩田 博宣
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| 【公開番号】 |
特開2002−13436(P2002−13436A) |
| 【公開日】 |
平成14年1月18日(2002.1.18) |
| 【出願番号】 |
特願2000−198176(P2000−198176) |
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