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【発明の名称】 エンジンフック
【発明者】 【氏名】櫛部 聡

【氏名】大隅 康之

【要約】 【課題】マニホールド取付フランジとの締結が容易で、組付け工数を削減することができるエンジンフックを提供する。

【解決手段】エンジンフック1の締結孔7をマニホールド取付フランジ3の取付用孔9に一致させると共にエンジンフック1の固着部6をマニホールド取付フランジ3に溶接により接合してエンジンフック1を構成した。このように構成することで、従来のエンジンフックのように、ボルト4をシリンダヘッド10の螺子孔に螺合する際に、当該エンジンフック1の締結孔7をマニホールド取付フランジ3の取付用孔に位置合わせする必要がなく、ボルト4を締結孔7と取付用孔とに容易に挿通させることができ、作業効率が向上して組付け工数を削減することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エキゾーストマニホールドのマニホールド取付フランジを板金で形成し、該マニホールド取付フランジに設けられるエンジンフックにおいて、前記エンジンフックは、吊り上げ部材が係合する係合孔と前記マニホールド取付フランジに当接される固着部と締結部とを有し、前記固着部が溶接により接合されると共に前記締結部がボルトにより前記マニホールド取付フランジを介してシリンダヘッドに締結されることを特徴とするエンジンフック。
【請求項2】 前記固着部は、前記マニホールド取付フランジの側縁に立設した外周リブに接合されることを特徴とする請求項1に記載のエンジンフック。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンフックに関するもので、特に、板金製のマニホールド取付フランジに取り付けられるエンジンフックの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、エンジンにはエンジンフックが設置されており、エンジンを車体に組付ける際、或いはエンジンを車体から取り外す際には、該エンジンフックに吊り上げ部材を係合してクレーン等でエンジンを吊り上げている。そして、図6に示すように、エンジン(図示せず)の重心位置に基づいて、エンジンフック21がエキゾーストマニホールド22のマニホールド取付フランジ23に設置される場合がある。
【0003】一般に、エンジンフック21は、図6に示すように、上記吊り上げ部材を係合する係合孔26と、当該エンジンフック21を固定するためのボルト25が挿通される締結孔27とを、板状部材に配設して形成されている。そして、このようなエンジンフック21をマニホールド取付フランジ23に取り付ける際には、エンジンフック21の締結孔27をマニホールド取付フランジ23に形成された螺子孔28に位置合わせして、締結孔27に挿通したボルト25を螺子孔28に螺合し、該ボルト25が締め付けられていた。
【0004】しかしながら、エンジンフック21の締結孔27を図示しないシリンダヘッドに連結されたマニホールド取付フランジ23の螺子孔28に位置合わせするのは、煩雑であると共に時間を要し効率の悪い作業であった。また、ボルト25を締め付ける際に、ボルト25の回転に伴いエンジンフック21も回転してしまうので、作業者は一方の手でボルト25を締付しながら他方の手でエンジンフック21を押える必要があり、面倒で効率の悪い作業であった。
【0005】また、このようなエンジンフック21を用いて図示しないエンジンを吊り上げた場合には、当該エンジンフック21にボルト25回りのモーメントが発生し、ボルト25が緩んでしまう恐れがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、マニホールド取付フランジとの締結が容易であると共にその締結用のボルトの緩みを防止したエンジンフックを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、エキゾーストマニホールドのマニホールド取付フランジを板金で形成し、該マニホールド取付フランジに設けられるエンジンフックにおいて、エンジンフックは、吊り上げ部材が係合する係合孔とマニホールド取付フランジに当接される固着部と締結部とを有し、固着部が溶接により接合されると共に締結部がボルトによりマニホールド取付フランジを介してシリンダヘッドに締結されることを特徴とする。
【0008】このように構成することで、固着部が溶接によりマニホールド取付フランジに接合されると共に締結部をボルトによりマニホールド取付フランジを介してシリンダヘッドに締結させることができる。
【0009】また、上記目的を達成するために、本発明のうち請求項2に記載の発明は、固着部は、マニホールド取付フランジの側縁に立設した外周リブに接合されることを特徴とする。
【0010】このように構成することで、マニホールド取付フランジのシール面に溶接による熱歪みが発生するのを防止して、当該シール面のシール性能を確保することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の一実施の形態のエンジンフックを図1ないし図4に基づいて説明する。まず、本実施の形態のエンジンフック1の概略を説明する。本実施の形態のエンジンフック1は、エキゾーストマニホールド2のマニホールド取付フランジ3が板金により形成され、該マニホールド取付フランジ3にボルト4により締結されるエンジンフック1であって、図1に示すように、吊り上げ部材(図示せず)が係合する係合孔5と、マニホールド取付フランジ3に当接する固着部6と、ボルト4(図4参照)が挿通される締結孔7を備えた締結部8とを具備し、該締結孔7をマニホールド取付フランジ3に形成された取付用孔9に一致させると共に固着部6をマニホールド取付フランジ3の側縁に立設したリブ13に溶接で接合して構成した。
【0012】これにより、エンジンフック1をマニホールド取付フランジ3に締結させるためのボルト4(図4参照)を、エンジンフック1に形成された締結孔7とマニホールド取付フランジ3の取付用孔9とに挿通させる際に、締結孔7を取付用孔9に位置合わせすることが不要となり、当該ボルト4を容易にシリンダヘッド10に形成された螺子孔11に螺合することができる構造になっている。
【0013】また、エンジンフック1が、溶接による接合部12(図1、図2及び図4参照)とシリンダヘッド10に締結したボルト4とで固定されることにより、エンジン(図示せず)を吊り上げた際に、当該エンジンフック1にボルト4の回りのモーメント(図3中のM)が発生するのを抑制してボルト4の緩みを防止する構造になっている。さらに、エンジンフック1の固着部6をマニホールド取付フランジ3のリブ13に溶接して接合したことにより、マニホールド取付フランジ3のシール面3aに溶接による熱歪みが生じるようなことがなく、当該シール面3aのシール性能を損ねるようなことがないように構成されている。
【0014】次に、本実施の形態のエンジンフック1の詳細を説明する。図1ないし図3に示すように、本実施の形態のエンジンフック1は、吊り上げ部材(図示せず)が係合する係合孔5とボルト4を挿通する締結孔7とが形成された板状部材の断面を、所要形状に形成することで当該エンジンフック1に固着部6と締結部8とを設けて、該締結部8に位置した締結孔7をマニホールド取付フランジ3に形成された取付用孔9に一致させると共に固着部6をエキゾーストマニホールド2のマニホールド取付フランジ3に溶接により接合した構造になっている。詳述すると、締結部8はマニホールド取付フランジ3の略中央部からマニホールド取付フランジ3下方の下端近傍まで当該マニホールド取付フランジ3に当接するように延出して形成され、この締結部8は、マニホールド取付フランジ3のフランジ面3bから離間する方向にマニホールド取付フランジ3のリブ13の高さまで延出する第1折曲部を介して固着部6と連続して形成されている。この固着部6は、マニホールド取付フランジ3の上部側に沿って延出して形成され、上方にマニホールド取付フランジ3のリブ13への固着箇所が設けられている。また、この固着部6は、マニホールド取付フランジ3のフランジ面3bから離間する方向に延出する第1折曲部より大きい第2折曲部を介して係合孔5が形成される係合部と連続して形成されている。これらの締結部8と固着部6と係合部とはフランジ面3bと略平行に形成されている。
【0015】上記マニホールド取付フランジ3はプレス成形することで形成されており、図1及び図3に示すように、ガスケット14(図4参照)を介してシリンダヘッド10に圧締されるシール面3aの側縁には補強用のリブ13が立設されている。また、マニホールド取付フランジ3には、複数(本実施例では3本)の排気管15が接続されており、そのシール面3aには、それぞれの排気管15と、対応するシリンダヘッド10の排気ポート(図示せず)とを連通する図示しない連通孔が配設されている。
【0016】また、エンジンフック1は、締結孔7をマニホールド取付フランジ3に形成された取付用孔9に一致させるようにして締結部8をマニホールド取付フランジ3のフランジ面3bに当接させることにより、固着部6がマニホールド取付フランジ3の上部側のリブ13の端部13aに当接されるように構成されており、この2つの部材1,3の当接した部位をすみ肉溶接することにより、固着部6とリブ13とを接合する構造になっている。そして、図4に示すように、エンジンフック1の締結部8とマニホールド取付フランジ3とをボルト4でシリンダヘッド10に締結させることにより、エンジンフック1は接合部12とボルト4とを併用してマニホールド取付フランジ3に固定される構造になっている。さらに、このエンジンフック1は、エキゾーストマニホールド2の偏倚側に取り付けられている。
【0017】このような構成において、本実施の形態のエンジンフック1の作用を説明する。本実施の形態のエンジンフック1は、締結孔7をマニホールド取付フランジ3の取付用孔9に一致させると共に固着部6をマニホールド取付フランジ3に溶接で接合したことにより、ボルト4を締結孔7と取付用孔9とに容易に挿通させることができ、従来のエンジンフック21(図6参照)のように、当該エンジンフック21をボルト25で取り付ける際にエンジンフック21の締結孔27をマニホールド取付フランジ23の螺子孔28に位置合わせする必要がなくなり、作業効率が向上して組付け工数を削減することができる。
【0018】また、本実施の形態のエンジンフック1は、溶接による接合とボルト4による締結とを併用してマニホールド取付フランジ3に取り付けられることにより、エンジン(図示せず)を吊り上げた際に、当該エンジンフック1にボルト4の回りのモーメント(図3中のM)が発生することを抑制することが可能となり、該モーメントが作用することでボルト4が緩んでしまい、マニホールド取付フランジ3のシール面3aのシール性能が低下してガスケット14から排気ガスがリークしてしまうような事態を防止することができる。
【0019】また、本実施の形態のエンジンフック1は、固着部6が、マニホールド取付フランジ3のリブ13の端部13aに溶接されることにより、マニホールド取付フランジ3のシール面3aに溶接による熱歪みが生じることを抑制して、当該シール面3aのシール性能を確保することができる。
【0020】したがって、本実施の形態のエンジンフック1は、エキゾーストマニホールド2のマニホールド取付フランジ3が板金により形成され、該マニホールド取付フランジ3にボルト4により締結されるエンジンフック1において、締結孔7をマニホールド取付フランジ3の取付用孔9に一致させると共に固着部6をマニホールド取付フランジ3に溶接で接合したことにより、ボルト4を締結孔7と取付用孔9とに容易に挿通させることができ、従来のエンジンフック21(図6参照)のように、当該エンジンフック21をボルト25で取り付ける際にエンジンフック21の締結孔27をマニホールド取付フランジ23の螺子孔28に位置合わせする必要がなくなり、作業効率が向上して組付け工数を削減することができる。また、エンジンフック1が、溶接による接合とボルト4による締結とを併用してマニホールド取付フランジ3に取り付けられることにより、溶接箇所を少なくしてマニホールド取付フランジ3の溶接による熱歪みを可及的に防止してシール面3aのシール性への影響を少なくすることができると共に、ボルト4のみで取り付けた場合(図5参照)に比べて、エンジン(図示せず)を吊り上げた際に、当該エンジンフック1にボルト4の回りのモーメントが発生するのを抑制することができ、該モーメントが作用することでボルト4が緩んでしまい、マニホールド取付フランジ3のシール面3aのシール性能が低下してガスケット14から排気ガスがリークしてしまうような事態を防止することができる。さらに、エンジンフック1は、マニホールド取付フランジ3と別体で形成されることにより、要求される強度に対応させて、材質、表面処理等を所要に変更することが可能となる。
【0021】また、固着部6が、マニホールド取付フランジ3のリブ13の端部13aに溶接されることにより、マニホールド取付フランジ3のシール面3aに溶接による熱歪みが生じることを抑制して、当該シール面3aのシール性能を確保することができる。
【0022】
【発明の効果】本発明のうち請求項1に記載の発明によれば、エキゾーストマニホールドのマニホールド取付フランジが板金により形成され、該マニホールド取付フランジにボルトにより締結されるエンジンフックにおいて、締結孔をマニホールド取付フランジの取付用孔に一致させると共に固着部をマニホールド取付フランジに溶接により接合したので、ボルトを締結孔と取付用孔とに容易に挿通させることができ、従来のエンジンフックのように、エンジンフックをボルトで取り付ける際に締結孔をマニホールド取付フランジの螺子孔に位置合わせする必要がなくなり、作業効率が向上して組付け工数を削減することができる。また、エンジンフックは、溶接による接合とボルトによる締結とを併用してマニホールド取付フランジに取り付けられるので、溶接箇所を少なくしてマニホールド取付フランジの溶接による熱歪みを可及的に防止してシール面のシール性への影響を少なくすることができると共に、ボルトのみで取り付けた場合に比べて、エンジンを吊り上げた際に、当該エンジンフックにボルトの回りのモーメントが発生するのを抑制することができ、該モーメントが作用することでボルトが緩んでしまい、マニホールド取付フランジのシール面のシール性能が低下してガスケットから排気ガスがリークしてしまうような事態を防止することができる。さらに、エンジンフックは、マニホールド取付フランジと別体で形成されることにより、要求される強度に対応させて、材質、表面処理等を所要に変更することが可能となる。
【0023】また、本発明のうち請求項2に記載の発明によれば、エンジンフックは、固着部がマニホールド取付フランジのリブの端部に溶接により接合されるので、マニホールド取付フランジのシール面に溶接による熱歪みが生じることを抑制して、当該シール面のシール性能を確保することができる。
【出願人】 【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
【出願日】 平成12年11月30日(2000.11.30)
【代理人】 【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫 (外3名)
【公開番号】 特開2002−168121(P2002−168121A)
【公開日】 平成14年6月14日(2002.6.14)
【出願番号】 特願2000−365728(P2000−365728)