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【発明の名称】 三相交流装置を備えたディーゼルパティキュレートフィルタ装置
【発明者】 【氏名】河村 英男

【氏名】井川 一夫

【要約】 【課題】このディーゼルパティキュレートフィルタ装置は,フィルタに設けたヒータを三相負荷に構成し,フィルタに捕集されたパティキュレート物質を三相交流電力で効率的に加熱燃焼させてフィルタを再生する。

【解決手段】このディーゼルパティキュレートフィルタ装置は,ハウジング1内に配置されたフィルタ3によって排気ガス中に含まれるパティキュレート物質を捕集して加熱焼却するため,発電機7からの三相交流をフィルタ3に設けたヒータを構成する三相負荷20に三相交流装置30によって供給する。コントローラ10は,フィルタ3へのパティキュレート物質の堆積量及びフィルタ3の温度に応答して,三相交流装置30を制御し,三相負荷20で効率的にパティキュレート物質を加熱焼却する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジンからの排気ガスが流入する入口側排気管と浄化された前記排気ガスが流出する出口側排気管が設けられたハウジング,前記排気ガス中に含まれるパティキュレート物質を捕集する前記ハウジング内に配置されたフィルタ,前記エンジンによって駆動される三相交流を発電する発電機,前記フィルタに捕集されたパティキュレート物質を加熱焼却するため前記フィルタに設けられたヒータを構成する三相負荷,前記発電機からの前記三相交流を前記三相負荷へ供給するため前記三相交流の線が前記三相負荷にそれぞれ接続される三相交流装置,及び前記フィルタへの前記パティキュレート物質の堆積量及び前記フィルタの温度に応答して前記三相交流装置を制御するコントローラから成るディーゼルパティキュレートフィルタ装置。
【請求項2】 前記排気ガスを前記フィルタが配設された排気ガス浄化室に流入させるため前記フィルタの上流側で前記フィルタを二分する領域に対向して設けられた一対の排気ガス流入口,及び前記排気ガス流入口に設けられたアクチュエータによってそれぞれ開閉する開閉弁を有し,前記コントローラは前記開閉弁を前記フィルタへの前記パティキュレート物質の前記堆積量及び前記フィルタの前記温度に応答して制御することから成る請求項1に記載のディーゼルパティキュレートフィルタ装置。
【請求項3】 前記発電機の三相電源はスター結線に構成され,前記ヒータを構成する前記三相負荷は前記スター結線のそれぞれの線に結線されたスター結線に構成され,前記三相負荷の制御は前記三相電源の交流出力によって行われることから成る請求項1又は2に記載のディーゼルパティキュレートフィルタ装置。
【請求項4】 前記フィルタに密着して設けられた温度センサで検出された温度に応答して前記発電機の出力を制御し,前記フィルタの温度を予め決められた所定の温度に制御することから成る請求項1〜3のいずれか1項に記載のディーゼルパティキュレートフィルタ装置。
【請求項5】 前記発電機の三相電源の電圧は,整流又は昇降圧制御を行うことなく,所定電圧をベースにして変動制御されることから成る請求項1〜4のいずれか1項に記載のディーゼルパティキュレートフィルタ装置。
【請求項6】 前記フィルタは,前記排気ガスの流れの上流側に配置された前記ヒータを構成するヒータ線,前記ヒータ線に接して配置された耐熱性を有するセラミック繊維がランダムに積層された第1不織布,前記第1不織布に接して配置されたHCの酸化を促し且つCの燃焼温度を低減させる触媒を担持した金属部材から成る触媒層,前記触媒層に接して配置された耐熱性を有するセラミック繊維がランダムに積層された第2不織布,及び前記第2不織布に接して配置された耐熱金属線を網み込んだ保持金網,から構成されていることから成る請求項1〜5のいずれか1項に記載のディーゼルパティキュレートフィルタ装置。
【請求項7】 前記ヒータの前記三相負荷は,前記ヒータ線,前記触媒層及び前記保持金網で構成され,前記三相交流の各線は前記ヒータ線,前記触媒層及び前記保持金網にそれぞれ接続されていることから成る請求項6に記載のディーゼルパティキュレートフィルタ装置。
【請求項8】 前記ヒータの前記三相負荷は,前記ヒータ線及び/又は前記触媒層を複列の複数極に構成して前記ヒータを合計で3極に構成されていることから成る請求項6に記載のディーゼルパティキュレートフィルタ装置。
【請求項9】 前記三相交流を前記三相負荷へ供給するための前記コントローラによるスイッチング制御を,前記三相交流の零クロス点でON−OFF制御することから成る請求項6〜8のいずれか1項に記載のディーゼルパティキュレートフィルタ装置。
【請求項10】 前記第1不織布を構成する前記セラミック繊維材は,炭化ケイ素,窒化ケイ素,アルミナ,フォルステライト等のセラミックスであることから成る請求項6〜9のいずれか1項に記載のディーゼルパティキュレートフィルタ装置。
【請求項11】 前記第2不織布を構成する前記セラミック繊維材は,炭化ケイ素,窒化ケイ素,アルミナ,フォルステライト等のセラミックスであり,前記第1不織布に比較して密度が大きい構造又は厚さが厚い構造に構成されていることから成る請求項6〜10のいずれか1項に記載のディーゼルパティキュレートフィルタ装置。
【請求項12】 前記触媒層は,Pt,Ni,Cr,Pd及び/又はCoを含んでいることから成る請求項6〜11のいずれか1項に記載のディーゼルパティキュレートフィルタ装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は,ディーゼルエンジンから排出される排気ガスに含まれるパティキュレート物質をフィルタで捕集し,捕集されたパティキュレート物質を加熱焼却してフィルタを再生するためフィルタへ通電する電力を有効に供給する三相交流装置を備えたディーゼルパティキュレートフィルタ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来,エンジンから排気される排気ガス中に含まれる浮遊粒子のカーボン,すす,HC,SOX 等から成るパティキュレート物質を除去するディーゼルパティキュレートフィルタ装置として,セラミックス繊維を積層した構造のフィルタ,多孔質セラミックスから成るハニカム構造のフィルタが知られている。この種のフィルタは,パティキュレート物質が捕集されてフィルタが目詰まりした時に,熱源を用いてパティキュレート物質を加熱焼却し,フィルタを再生処理することが一般的である。
【0003】また,特開平8−312329号公報に開示された再生機能を持つディーゼルパティキュレートフィルタ装置は,パティキュレートの着火温度を低下させ,通電金網への電力の供給を低減できる自己再生機能を持つものであり,排気系に設けた一対の排気ガス通路にフィルタを配置する。フィルタに通電金網と酸化反応温度を低下させる酸化触媒用金網を配置する。排気ガス通路に設けたシャッタ弁を,所定値以上の排圧に応答して排気ガス流量を自動的に絞るように作動させる。酸化触媒用金網によってパティキュレートの着火温度が低下し,シャッタ弁は閉鎖すると,パティキュレートは容易に着火燃焼する。また,フィルタは,フェルト状のセラミックス繊維積層部材を重ね合わせ,その両側に耐熱性を有するNi,Cr等を含む鉄製金網で押さえ,所定の形状に成形して作製することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで,ディーゼルパティキュレートフィルタでは,フィルタにパティキュレート物質が捕集された時に,捕集されたパティキュレート物質を焼却してフィルタを再生する必要があり,その時にフィルタに設けたヒータに通電してパティキュレート物質を加熱焼却してフィルタを再生しなければならない。フィルタの再生には,多量の電力が必要であり,その多量の電力を得るため,エンジンには永久磁石式多極型発電機が設けられている。永久磁石式多極型発電機は,周波数の大きい交流電力が発電するが,この交流電力をそのままの状態で使用できれば,効率は100%であり,極めて好都合である。しかし,一般的には,発電機で発電した交流電力は,スイッチングによって降圧され,整流されている。例えば,発電機で発電した交流電力を車両電力の24Vに変換すると,降圧制御で80%に効率が低下し,整流制御で80%に効率が低下し,総計で64%の効率低下となる。従って,発電機が5KWの発電電力の能力を有していても,3.2KWの出力が得られるだけである。
【0005】また,ディーゼルパティキュレートフィルタ装置では,ディーゼルエンジンから排出される排気ガス中に含まれるパティキュレート物質がフィルタに捕捉される場合に,セラミックス繊維材のフィルタにパティキュレート物質の粒子が引っ掛かり,これらの粒子が逐次大きくなり,隣接する繊維材間の隙間を埋めながら堆積していく。エンジンから排出される排気ガスの流量は,エンジンのようにエンジン負荷やエンジン回転数のエンジン作動状態によって,絶えず変化するので,排気管の排気ガス圧力を検出するのみでフィルタに堆積したパティキュレート物質の捕集量を検出した判定をすることは困難なことである。
【0006】更に,ディーゼルパティキュレートフィルタ装置では,フィルタに所定量以上のパティキュレート物質が堆積した時に,パティキュレート物質を加熱焼却してフィルタを再生するが,フィルタを再生処理するため,フィルタに捕集されたパティキュレート物質を加熱焼却する場合,フィルタの周りの雰囲気温度を一定温度まで上昇させなければならない。ディーゼルエンジンから排出されるパティキュレート物質は,未燃炭化物を含む粒子状物質であり,その構成成分はカーボンが約50%,HCが約25%及びその他のSOX ,HCを含んだ有害合成物が約25%である。これらの構成成分中のカーボンの燃焼温度は約600℃といわれ,この温度までフィルタ温度及びその雰囲気温度を上昇させなければ,カーボンは着火して燃焼しない。
【0007】また,従来のディーゼルパティキュレートフィルタ装置に使用されているフィルタは,セラミックス繊維材で筒状で襞状に折り曲げられて表面積が大きくなる形状に形成されているが,パティキュレート物質を加熱燃焼させる時にフィルタとその雰囲気温度は上昇し,その上昇温度によって襞状の円筒体が熱変形するので,その形状を維持するため,襞状のフィルタの折り曲げ部を耐熱性セラミックス等で補強しなければならず,また,フィルタが円筒状であるためハウジング内への配設が複雑になり,フィルタの部品点数が多くなり,製造コストがアップするという問題があった。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明の目的は,上記の課題を解決することであり,フィルタに設けたヒータを三相負荷に構成し,発電機を交流電力の位相がほぼ同一の3個の異なる巻線によって構成して発電電力を三相交流にして小さなスペースの中で有効に発電させ,発電された三相交流電力をそのままの状態でヒータの三相負荷で消費するように構成して電力を有効に利用するパティキュレート物質を加熱する三相交流装置を備えており,また,三相交流のスイッチング制御を零クロス点でON−OFF制御してスイッチング制御を極めて簡単にし,スイッチングリレー自体を簡単な構造に構成し,更に,フィルタに捕集されたパティキュレート物質の捕集量即ち堆積量をフィルタの電気抵抗値を利用して検出し,エンジンの作動状態で大きく変化する排気ガス流量によって変る排圧を検出してパティキュレート物質の堆積量を推定する従来方式よりパティキュレート物質の堆積量を確実に正確に検出できるディーゼルパティキュレートフィルタ装置を提供することである。
【0009】この発明は,エンジンからの排気ガスが流入する入口側排気管と浄化された前記排気ガスが流出する出口側排気管が設けられたハウジング,前記排気ガス中に含まれるパティキュレート物質を捕集する前記ハウジング内に配置されたフィルタ,前記エンジンによって駆動される三相交流を発電する発電機,前記フィルタに捕集されたパティキュレート物質を加熱焼却するため前記フィルタに設けられたヒータを構成する三相負荷,前記発電機からの前記三相交流を前記三相負荷へ供給するため前記三相交流の線が前記三相負荷にそれぞれ接続される三相交流装置,及び前記フィルタへの前記パティキュレート物質の堆積量及び前記フィルタの温度に応答して前記三相交流装置を制御するコントローラから成るディーゼルパティキュレートフィルタ装置に関する。
【0010】このディーゼルパティキュレートフィルタ装置は,前記排気ガスを前記フィルタが配設された排気ガス浄化室に流入させるため前記フィルタの上流側で前記フィルタを二分する領域に対向して設けられた一対の排気ガス流入口,及び前記排気ガス流入口に設けられたアクチュエータによってそれぞれ開閉する開閉弁を有し,前記コントローラは,前記開閉弁を前記フィルタへの前記パティキュレート物質の前記堆積量及び前記フィルタの前記温度に応答して制御するように構成されている。
【0011】前記発電機の三相電源はスター結線に構成され,前記ヒータを構成する前記三相負荷は前記スター結線のそれぞれの線に結線されたスター結線に構成され,前記三相負荷の制御は前記三相電源の交流出力によって行われる。
【0012】前記ディーゼルパティキュレートフィルタ装置は,前記フィルタに密着して設けられた温度センサで検出された温度に応答して前記発電機の出力を制御し,前記フィルタの温度を予め決められた所定の温度に制御する。
【0013】前記発電機の三相電源の電圧は,整流又は昇降圧制御を行うことなく,所定電圧をベースにして変動制御される。
【0014】前記フィルタは,前記排気ガスの流れの上流側に配置された前記ヒータを構成するヒータ線,前記ヒータ線に接して配置された耐熱性を有するセラミック繊維がランダムに積層された第1不織布,前記第1不織布に接して配置されたHCの酸化を促し且つCの燃焼温度を低減させる触媒を担持した金属部材から成る触媒層,前記触媒層に接して配置された耐熱性を有するセラミック繊維がランダムに積層された第2不織布,及び前記第2不織布に接して配置された耐熱金属線を網み込んだ保持金網,から構成されている。
【0015】前記ヒータの前記三相負荷は,前記ヒータ線,前記触媒層及び前記保持金網で構成され,前記三相交流の各線は前記ヒータ線,前記触媒層及び前記保持金網にそれぞれ接続されている。
【0016】前記ヒータの前記三相負荷は,前記ヒータ線及び/又は前記触媒層を複列の複数極に構成して前記ヒータを合計で3極に構成されている。
【0017】このディーゼルパティキュレートフィルタ装置は,前記三相交流を前記三相負荷へ供給するための前記コントローラによるスイッチング制御を,前記三相交流の零クロス点でON−OFF制御するように構成されている。従って,三相交流装置の制御は,スイッチングが極めて簡単になり,スイッチングリレー自体の構造もシンプルに構成することができる。
【0018】前記第1不織布を構成する前記セラミック繊維材は,炭化ケイ素,窒化ケイ素,アルミナ,フォルステライト等のセラミックスである。更に,前記第2不織布を構成する前記セラミック繊維材は,炭化ケイ素,窒化ケイ素,アルミナ,フォルステライト等のセラミックスであり,前記第1不織布に比較して密度が大きい構造又は厚さが厚い構造に構成されている。
【0019】前記触媒層は,Pt,Ni,Cr,Pd及び/又はCoを含んでいる。
【0020】このディーゼルパティキュレートフィルタ装置は,上記のように構成されているので,発電機によって小さなスペースで有効に発電された交流電力は3個の異なる巻線でほぼ同一の位相となる三相交流であり,フィルタを再生する時に,三相交流をそのままの状態でヒータを構成する三相負荷に接続してヒータ加熱に使用でき,フィルタ自体をヒータ線と触媒層及び/又は保持金網とを同時に加熱して発電された三相交流電力を有効に利用して効率をアップさせると共に,パティキュレート物質を短時間で加熱焼却してフィルタを再生できるので,装置そのものの使用に自由度ができ,しかも,触媒層が加熱負荷として利用されるのでHC,COの酸化反応を促進できる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下,図面を参照して,この発明による三相交流装置を備えたディーゼルパティキュレートフィルタ装置の実施例を説明する。図1はこの発明によるディーゼルパティキュレートフィルタ装置の具体的な実施例を示す概略断面図,図2は図1のディーゼルパティキュレートフィルタ装置におけるフィルタを示す拡大斜視図,図3は図2の符号A部分の拡大分解図,図4はフィルタの三相負荷を説明するための概略説明図,及び図5は発電機とフィルタとで構成された三相交流装置の結線状態を説明する回路図である。
【0022】以下,図1を参照して,この発明による三相交流装置を備えたディーゼルパティキュレートフィルタ装置の実施例を説明する。このディーゼルパティキュレートフィルタ装置は,エンジンから排出される排気ガスEGに含まれるカーボン,すす,HC,SOX 等から成るパティキュレート物質をフィルタ3で捕集し,フィルタ3に捕集されたパティキュレート物質をフィルタ3に設けたヒータで加熱焼却し,フィルタ3を再生するものである。このディーゼルパティキュレートフィルタ装置は,入口側排気管5と出口側排気管6がエンジンで発生した排気ガスEGが排出される排気管に接続されて組み込まれている。
【0023】フィルタ3を配設するハウジング1は,箱状の方形に形成され,車両のボディやフレームに対してブラケット等で簡単に取り付けることができると共に,ハウジングの外面を容易に遮熱できる構造に構成されている。ハウジング1には,フィルタ3が配設された排気ガス浄化室31を形成し且つ出口側排気管6が接続されたハウジング本体2A,開閉弁15,16が配設された排気ガス流入室4を形成し且つ入口側排気管5が接続されたハウジングカバー2B,及び排気ガス流入室4と排気ガス浄化室31とを区画する区画プレート2Cから構成されている。区画プレート2Cには,フィルタ3をフィルタハーフ部3A,3Bに二分する位置に対応して排気ガス流入口11,12が形成されている。
【0024】フィルタ3は,ハウジング1に排気ガスEGの流れに交差する方向に指向してハウジング1の一側から対向する他側へ延びるように配設されている。フィルタ3は,排気ガスEGに接する表面積を大きくするため,全体として,蛇腹状に折り曲げられ,長手方向に延びて,ハウジング1内の排気ガス浄化室31に配設されている。フィルタ3は,蛇腹の襞の山部が排気ガスEGの流れの上流側に同一方向に向かって平行に指向され,また,蛇腹の襞の谷部が排気ガスEGの流れに沿って同一方向に向かって平行に指向されている。フィルタ3は,その両端部の縁部34がハウジング本体2Aの周縁部35の一部と,区画プレート2Cの両端部の縁部36及びハウジングカバー2Bの周縁部32一部とで挟持された状態で密封状態に固定されて排気ガス浄化室31に配設されている。また,フィルタ3は,フィルタハーフ部3A,3Bとの境界の蛇腹の襞の山部が固着具37によって区画プレート2Cに固定されている。更に,フィルタ3は,その両側或いは中心部等の適宜の位置に,蛇腹形状の上流側から蛇腹形状に対応した形状の上流側支持板29Uと,蛇腹形状の下流側から蛇腹形状に対応した形状の下流側支持板29Lとが嵌め込まれており,フィルタ3の蛇腹形状が熱等で変形しないように保持されている。
【0025】このディーゼルパティキュレートフィルタ装置は,主として,排気ガスEGをフィルタ3が配設された排気ガス浄化室31に流入させるためフィルタ3の上流側でフィルタ3を二分する領域に対向して設けられた一対の排気ガス流入口11,12,排気ガス流入口11,12に設けられたアクチュエータ13,14によってそれぞれ開閉する開閉弁15,16,フィルタ3に捕集されたパティキュレート物質を加熱焼却するためフィルタ3に設けられたヒータを構成する三相負荷20,エンジンによって駆動される三相交流を発電する発電機7,及び発電機7からの三相交流を三相負荷20へ供給する三相交流装置30を有する。コントローラ10は,フィルタ3へのパティキュレート物質の堆積量及びフィルタ3の温度に応答して,アクチュエータ13,14によって開閉弁15,16を開閉制御すると共に,三相交流装置30のON−OFFのスイッチングを制御するように構成されている。三相交流装置30は,発電機7の三相交流の線36Gをヒータを構成する負荷28A,28B,28Cから成る三相負荷20にそれぞれ接続し,コントローラ10の指令によって断続制御されるように構成されている。
【0026】排気ガスEGは,入口側排気管5から排気ガス流入口11及び/又は排気ガス流入口12を通じて排気ガス浄化室31内のフィルタ3に送り込まれ,フィルタ3を通過する際に,排気ガスEGに含まれているパティキュレート物質がフィルタ3に捕集される。パティキュレート物質が焼却されて浄化された排気ガスEGは,出口側排気管6から外部に排出される。また,空気ポンプ17は,空気管18を通じて排気ガス流入口11,12に対応する排気ガス浄化室31に開口する空気供給口33からフィルタハーフ部3A,3Bへと空気を送り込むように構成されている。空気ポンプ17は,フィルタハーフ部3A,3Bの再生時に,コントローラ10の指令によってフィルタハーフ部3A,3Bが位置する排気ガス浄化室31に空気を供給するように制御される。図1では,空気ポンプ17は,フィルタハーフ部3A,3Bにそれぞれ対応して設けられているが,その構成に限らず,1台の空気ポンプ17によって空気管18に設けた調整弁を作動して一方又は両方のフィルタハーフ部3A,3Bへ空気を送り込むように構成することもできる。
【0027】フィルタ3は,排気ガス浄化室31内で,排気ガス流入口11,12に対応してフィルタハーフ部3A,3Bに二分されている。即ち,フィルタ3は,排気ガス流入口11,12に対応する領域に配設された一対のフィルタハーフ部3A,3Bから構成されている。フィルタハーフ部3A,3Bは,区画プレート等では区分されていないが,排気ガス流入口11及び/又は排気ガス流入口12を通じて流入する排気ガスEGの流れによって必然的に区分される。フィルタ3は,図3に示すように,排気ガスEGの流れの上流側に平行に延びるように配置されたヒータを構成するヒータ線21,ヒータ線21に接して配置された耐熱性を有するセラミック繊維がランダムに積層された第1不織布22,第1不織布22に接して配置された燃焼温度を低減させる触媒を担持した金属部材から成る触媒層23,触媒層23に接して配置された耐熱性を有するセラミック繊維がランダムに積層された第2不織布24,及び第2不織布24に接して配置された耐熱金属線を網み込んだ保持金網25から順次積層した積層構造に構成されている。保持金網25は,第1不織布22や第2不織布24の繊維或いは触媒層23の線や粒子等が飛散することを防止し,フィルタ3の形状を保持する機能を有する。
【0028】この実施例では,発電機7の三相電源7Gは,線36Rがスター結線に構成され,各線36Rにコイル7Cと抵抗7Rとが設けられている。三相交流装置30は,図5に示すように,フィルタ3におけるヒータを構成する三相負荷20の線36Rがスター結線のそれぞれの線36Rに結線されたスター結線に構成されている。各線36Rには,コントローラ10によってON−OFF制御されるスイッチングリレー27A,27B,27Cが組み込まれている。スイッチングリレー27A,27B,27Cは,三相負荷20の負荷28A,28B,28Cにそれぞれ対応している。負荷28A,28B,28Cは,ヒータ線21と,触媒層23及び/又は保持金網25に対応している。コントローラ10は,発電機7の三相電源7Gで発電される三相交流出力と接続する三相負荷20へのスイッチング制御によってヒータ加熱を行うように構成されている。例えば,三相交流装置30の一実施例は,図3に示すように,フィルタ3におけるヒータを構成する三相負荷20がヒータ線21,触媒層23及び保持金網25で構成され,発電機7の三相交流の線36Rは,ヒータ線21の端子19H,触媒層23の端子19C及び保持金網25の端子19Nにそれぞれ接続されている。三相交流装置30の別の実施例は,図4に示すように,ヒータ線21を2条列のヒータ線21A,21Bに形成し,ヒータ線21A,21Bの端子19HA,19HBに線36Rを通じて発電機7の2相交流をそれぞれ接続し,発電機7の残りの1相交流を触媒層23の端子19Cに線36Rを通じて接続し,ヒータ線21の端子19と触媒層23の端子19とを中性点26で接続し,合計で三相交流を形成するように構成されている。或いは,発電機7の三相交流に対応する三相負荷20は,ヒータ線21を三分割したり,又は触媒層23を三分割することもできる。また,発電機7の三相電源7Gの電圧は,コントローラ10によって整流又は昇降圧制御を行うことなく,所定電圧をベースにして変動制御される。
【0029】第1不織布22を構成するセラミック繊維材は,炭化ケイ素(SiC),窒化ケイ素(Si3 4 ),アルミナ(Al2 3 ),フォルステライト等の耐熱性セラミックスであり,30mm〜100mm程度の長さの繊維材が好ましい。また,第2不織布24は,第1不織布22と同様のセラミック繊維材を使用でき,第1不織布22に比較して密度が大きい構造又は厚さが厚い構造に構成されている。
【0030】また,触媒層23は,HCの酸化を促し且つCの燃焼温度を低減する触媒,例えば,白金(Pt),ニッケル(Ni),クロム(Cr),パラジウム(Pd)及び/又はコバルト(Co)を含んでいる材料から形成されている。触媒層23は,例えば,NiとCrとをベースにした金属線,金網,金属薄板等の金属材に,Pt,Ni,Cr,Pd及び/又はCo等から成る粒子を分散させた状態で担持させた材料から構成されている。
【0031】このディーゼルパティキュレートフィルタ装置は,フィルタ3へのパティキュレート物質の堆積量によって変化するフィルタ3中の隔置した二面間の電気抵抗値を検出してフィルタ3へのパティキュレート物質の捕集量を検出する捕集量検出装置40を有する。捕集量検出装置40は,例えば,フィルタ3中に設けられた触媒層23を構成する耐熱金属線に設けた第1電極とその下流側に配置された保持金網25の耐熱金属線に設けた第2電極との間の電気抵抗値を,比較器とブリッジ回路とから成る抵抗検出器で検出するように構成されている。捕集量検出装置40は,フィルタ3に堆積されたパティキュレート物質のカーボンの堆積量と電気抵抗値とが実質的に比例する特性を有することを利用してフィルタ3へのパティキュレート物質の捕集量即ち堆積量を検出するものである。
【0032】また,このディーゼルパティキュレートフィルタ装置は,フィルタ3の再生時に,フィルタ3の温度を検出するためフィルタ3を縦断する方向に延びる温度センサ8,9を備えている。コントローラ10は,温度センサ8,9で検出された温度に応答して発電機7の出力を制御し,フィルタ3の温度を予め決められた所定の温度に制御する。即ち,コントローラ10は,温度センサ8,9によって検出されたフィルタ3のフィルタハーフ部3A,3Bの温度及びそれらの雰囲気温度に応答して三相負荷20への通電を制御し,フィルタ3の過熱を防止する。温度センサ8,9は,例えば,抵抗温度係数の大きいニッケル等から成る金属線38と,金属線38の外側全面を覆うアルミナ等の耐熱性で耐腐食性のセラミックスから成る外管39から構成されている。温度センサ8,9は,例えば,フィルタ3のフィルタハーフ部3A,3Bの蛇腹の折り曲げ部の高温領域に沿って配置されている。温度センサ8,9は,例えば,ブリッジ回路と比較器を備えた回路から構成されている。温度センサ8,9は,通電された時に,金属線38が大きい正の抵抗温度係数を有するので,フィルタ3の温度が上昇すると,金属線38の抵抗が増大し,温度センサ8,9を流れる電流が小さくなる。そこで,温度センサ8,9を流れる電流の変化を上記回路で検出し,フィルタ3のフィルタハーフ部3A,3Bの温度をそれぞれ検出することができる。
【0033】コントローラ10は,フィルタ3の過熱を防止するため,温度センサ8,9からの検出温度に応答して三相交流装置30への通電を制御すると共に,空気ポンプ17を駆動するモータの作動を制御して排気ガス浄化室31内への排気ガスEG又は空気の供給量を調節する。コントローラ10は,フィルタ3のフィルタハーフ部3A,3Bの再生時に,例えば,エンジンの負荷が高い時に,モータの回転数を上昇させてフィルタ3に多量の排気ガスEG又は空気のガスを送り込み,低い時に,モータの回転数を低減してフィルタ3に少量のガスを送り込む制御をする。
【0034】コントローラ10は,捕集量検出装置40によって検出されたフィルタ3の電気抵抗値を検出し,予め決められた所定の電気抵抗値より小さくなれば,フィルタ3に捕集されたパティキュレート物質が予め決められた捕集量に達したと認識し,その電気抵抗値に応答して再生の開始を始め,次いで,フィルタ3に堆積されたパティキュレート物質を加熱焼却するため,三相交流装置30へ通電する制御を行う。また,コントローラ10は,フィルタ3の再生に応答して空気ポンプ17の作動と,開閉弁15,16の開閉作動を行うアクチュエータ13,14の作動を制御する。更に,コントローラ10は,回転センサで検出されたエンジン回転数,負荷センサで検出されたエンジン負荷等のエンジンの作動状態に応答して空気ポンプ17の作動状態を制御する。また,コントローラ10は,捕集量検出装置40の電気抵抗値を検出し,適正なパティキュレート物質の捕集量を演算し,開閉弁15,16の開閉時を制御し,更に,排気ガス浄化室31内へ送り込む排気ガスEG又は空気の流量を調整するため空気ポンプ17の作動を制御する。
【0035】このディーゼルパティキュレートフィルタ装置は,上記のように構成されており,次のように作動する。エンジンで発生した排気ガスEGは,入口側排気管5を通じて排気ガス流入室4へ流入する。排気ガス流入室4において,例えば,図1に示すように,開閉弁16が排気ガス流入口12を開放し,開閉弁15が排気ガス流入口11を閉鎖した状態であるとすると,排気ガスEGは,矢印のように,排気ガス流入室4から排気ガス流入口12を通じて排気ガス浄化室31へ送り込まれる。排気ガス浄化室31内にはフィルタ3のフィルタハーフ部3Bが対応しているので,排気ガスEGは,フィルタハーフ部3Bを通過して浄化され,出口側排気管6から外部へ排出される。また,フィルタハーフ部3Aとフィルタハーフ部3Bとの間には,仕切板等は設けられていないが,排気ガスEGがフィルタハーフ部3Aが配置されている排気ガス浄化室31に流入する現象は流体の流れ現象から発生しない。また,排気ガスEGがフィルタハーフ部3Bを通過する際に,排気ガスEGに含まれるパティキュレート物質はフィルタ3によって捕集される。
【0036】コントローラ10は,パティキュレート物質がフィルタ3に捕集されて堆積すると,捕集量検出装置40の電気抵抗値が低下し,電気抵抗値が予め決められた所定値以下になると,フィルタ3に所定量のパティキュレート物質が捕集された状態であるとして,次のような処理の指令を発する。コントローラ10は,アクチュエータ14を駆動して開閉弁16で排気ガス流入口12を閉鎖し,アクチュエータ13を駆動して開閉弁15を作動して排気ガス流入口11を開放する。そこで,入口側排気管5から排気ガス流入室4に流入した排気ガスEGは,排気ガス流入室4から排気ガス流入口11を通じて排気ガス浄化室31へ送り込まれる。
【0037】上記の処理と共に,コントローラ10は,空気ポンプ17を作動する制御を行い,空気ポンプ17の作動によって,排気ガスEG又は空気管18を通じて空気供給口33からフィルタハーフ部3Bが配置された排気ガス浄化室31に供給し,パティキュレート物質の燃焼に必要な酸素を供給し,パティキュレート物質を加熱焼却する。即ち,排気ガス浄化室31に供給された空気は,フィルタハーフ部3Bに捕集されているパティキュレート物質を加熱焼却するのに消費され,フィルタハーフ部3Bが浄化される。この時,フィルタ3に設けられた触媒層23によってパティキュレート物質の燃焼温度は低く抑制されると共に,フィルタ3及びその雰囲気は,温度センサ9(8)によって検出され,所定温度以上になると,ヒータを切り,ヒータによる加熱を停止してパティキュレート物質の燃焼伝播によって加熱焼却する。フィルタ3は,パティキュレート物質が加熱焼却されて再生され,次のパティキュレート物質の捕集処理の待機状態になる。
【0038】一方,排気ガス浄化室31内にはフィルタ3のフィルタハーフ部3Aが対応しているので,排気ガスEGは,フィルタハーフ部3Aを通過して浄化され,出口側排気管6から外部へ排出される。排気ガスEGがフィルタハーフ部3Aを通過する際に,排気ガスEGに含まれるパティキュレート物質はフィルタ3によって捕集される。コントローラ10は,パティキュレート物質がフィルタ3に捕集されて堆積すると,捕集量検出装置40の電気抵抗値が低下し,電気抵抗値が予め決められた所定値以下になると,フィルタ3に所定量のパティキュレート物質が捕集された状態であるとして再び排気ガス浄化処理が繰り返される。
【0039】
【発明の効果】この発明によるディーゼルパティキュレートフィルタ装置は,上記のように,三相交流装置を備えているので,発電機で発電された電力は有効に使用され,効率をアップでき,しかも,再生時には,フィルタをヒータ線,触媒層及び保持金網による複数面の加熱,或いは,ヒータ線と触媒層との複数面の加熱によるので,加熱焼却のレスポンスが向上し,パティキュレート物質のクイック焼却を達成できる。また,このディーゼルパティキュレートフィルタ装置は,フィルタを配設するハウジングを箱状即ち方形の形状であって極めてコンパクトな構造に構成したので,新車は勿論のこと,既存の車両に対しても,マフラの取付け構造或いはマフラの代わりに消音機能を持つものとして容易に取り付けることができる。更に,ヒータによってフィルタが加熱される時に,温度センサを,例えば,フィルタの最も高温となる領域であるフィルタの蛇腹の折り曲げ部の高温領域に沿って配置することによって,フィルタ全域における温度は,温度センサで検出した温度以下の温度に実質的に調整され,フィルタが局部過熱等によって破損することが防止される。
【0040】また,フィルタは,セラミックス繊維中に燃焼温度を抑制する触媒層を有するので,フィルタに捕集されたパティキュレート物質を低い温度で加熱焼却することが可能となり,高温で加熱することによるフィルタの耐久性の低下を防止することができ,フィルタの寿命を長くさせることができて耐久性を増大させることが可能である。また,フィルタには,実質的に平行に延びるヒータ線がセラミックス繊維に全面に配設されているので,フィルタに捕集されたパティキュレート物質は局部加熱されることなく,均等に加熱焼却される。また,加熱によってヒータ線が他のヒータ線に接したとしても,各ヒータは並列に結線されているので,トータルの抵抗は実質的に変わることがなく,スムースにパティキュレート物質を加熱焼却する機能を果たすことができる。
【出願人】 【識別番号】593053782
【氏名又は名称】株式会社アペックス
【出願日】 平成12年12月1日(2000.12.1)
【代理人】 【識別番号】100092347
【弁理士】
【氏名又は名称】尾仲 一宗
【公開番号】 特開2002−168113(P2002−168113A)
【公開日】 平成14年6月14日(2002.6.14)
【出願番号】 特願2000−366610(P2000−366610)