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【発明の名称】 内燃機関の排気浄化装置
【発明者】 【氏名】椎野 俊一

【氏名】青山 尚志

【氏名】土田 博文

【氏名】堀田 勇

【要約】 【課題】運転状態に応じて高効率な状態で改質装置を作動させて、要求に見合った量の改質ガスを生成する。

【解決手段】改質装置5に、エンジン1の排気通路2から排気の一部を排気流量制御弁4を介して導入し、また燃料タンク6内の燃料を燃料流量制御弁8を介して供給する。改質装置5では、これらを改質して少なくとも水素を含む改質ガスを生成し、バッファタンク10及び改質ガス供給制御弁11を介して、NOxトラップ触媒12の上流側の排気通路2に供給する。この場合に、NOxトラップ触媒12にトラップされているNOxを還元するための要求水素量と、エンジン1の運転状態(排気温度等)とに応じて、改質装置5への燃料供給量及び排気導入量を調節する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】燃料及び内燃機関の排気の一部を導入し、これらを改質して少なくとも水素を含む改質ガスを生成する改質装置を備える内燃機関の排気浄化装置において、要求水素量及び内燃機関の運転状態に応じて改質装置への燃料供給量及び排気導入量を調節する手段を設けたことを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
【請求項2】前記燃料供給量及び排気導入量調節手段は、内燃機関の運転状態として、排気温度及び空燃比を用い、これらと要求水素量とに応じて、前記改質装置への燃料供給量及び排気導入量を調節することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項3】前記燃料供給量及び排気導入量調節手段は、要求水素量に対し、燃料供給量がほぼ最小となるよう調節することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項4】前記燃料供給量及び排気導入量調節手段は、要求水素量に対し、生成される改質ガス量がほぼ最小となるよう調節することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項5】内燃機関の排気系に、排気の空燃比がリーンの時にNOxをトラップし、理論空燃比又はリッチの時に該トラップしたNOxを放出する性質を有する触媒を備え、前記改質装置を用いて生成した改質ガスを前記触媒の上流の排気通路に供給する場合に、前記要求水素量の算出のため、前記触媒のNOxトラップ量を推定する手段と、この推定結果を基に前記改質装置の要求水素量を算出する手段とを設けたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項6】前記要求水素量算出手段は、前記触媒のNOxトラップ量の変化分に応じて、前記改質装置の要求水素量を算出することを特徴とする請求項5記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項7】前記改質装置にて生成された改質ガスを一時的に保持する改質ガス保持手段を備える場合に、前記改質ガス保持手段の水素保持量を推定する手段を設け、前記要求水素量算出手段にて、前記触媒のNOxトラップ量及び前記改質ガス保持手段の水素保持量に応じて、前記改質装置の要求水素量を算出することを特徴とする請求項5記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項8】改質ガスを排気通路に供給した後酸素によって消費される水素量を推定する手段を設け、前記要求水素量算出手段にて、前記酸素によって消費される水素量を加算して、前記改質装置の要求水素量を算出することを特徴とする請求項5〜請求項7のいずれか1つに記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項9】前記改質装置にて生成された改質ガスを一時的に保持する改質ガス保持手段を備える場合に、前記改質ガス保持手段の改質ガス保持量を推定する手段を設け、改質ガス供給制御手段にて、前記触媒のNOxトラップ量及び前記改質ガス保持手段の改質ガス保持量に応じて、改質ガスの排気通路への供給を制御することを特徴とする請求項5〜請求項8のいずれか1つに記載の内燃機関の排気浄化装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の排気浄化装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の内燃機関の排気浄化装置として、SAE Paper931096、Fig.1に示されるように、燃料及び内燃機関の排気の一部を導入し、これらを改質する改質装置を設けたものがある。この改質装置は、導入された排気ガス中に含まれる酸素及び水分を用いて、部分酸化反応及び水蒸気改質反応により、炭化水素燃料から水素を含む改質ガスを生成する。生成された改質ガスは、内燃機関の燃料あるいはその一部として使用したり、排気系に導入して還元剤として使用したり、あるいはバーナに代表される燃焼式昇温装置の燃料として使用する等、種々の用途が考えられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような改質装置を使用するにあたっては、以下のような問題点があった。先ず改質ガスの用途及び内燃機関の運転状態に応じて決まる改質ガスの要求量を満たすように改質装置を作動させる必要がある。これは要求量に対し不足すると改質ガスによって得られる効果が減少し、一方過剰に生成した場合は、改質装置作動のために使用したエネルギーが無駄となるためである。また、例えばタンクを設けて改質ガスが過剰に生成された場合に余剰分を一時的に保持する構成とする場合でも、常に不足無く改質ガスを供給しようとすると大きなタンク容量が必要となり、車両への搭載を考慮すると、レイアウト上好ましくない。
【0004】また別の問題点として、内燃機関の運転状態によって排気ガスの温度、酸素濃度及び水分濃度が変化し、これに応じて改質装置の効率、生成される改質ガス量及び水素濃度等も変化するため、所定量の改質ガスを得るために必要な燃料供給量が増加して燃費の悪化を招いたり、生成される改質ガス量が変化して要求に対し過不足が生じることが考えられる。
【0005】本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、運転状態に応じて高効率な状態で改質装置を作動させて、要求に見合った量の改質ガスを生成することを可能にすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、請求項1の発明では、燃料及び内燃機関の排気の一部を導入し、これらを改質して少なくとも水素を含む改質ガスを生成する改質装置を備える内燃機関の排気浄化装置において、要求水素量及び内燃機関の運転状態に応じて改質装置への燃料供給量及び排気導入量を調節する手段を設けたことを特徴とする。
【0007】請求項2の発明では、請求項1の発明において、前記燃料供給量及び排気導入量調節手段は、内燃機関の運転状態として、排気温度及び空燃比を用い、これらと要求水素量とに応じて、前記改質装置への燃料供給量及び排気導入量を調節することを特徴とする。請求項3の発明では、請求項1又は2の発明において、前記燃料供給量及び排気導入量調節手段は、要求水素量に対し、燃料供給量がほぼ最小となるよう調節することを特徴とする。
【0008】請求項4の発明では、請求項1〜3の発明において、前記燃料供給量及び排気導入量調節手段は、要求水素量に対し、生成される改質ガス量がほぼ最小となるよう調節することを特徴とする。請求項5の発明では、請求項1〜4の発明において、内燃機関の排気系に、排気の空燃比がリーンの時にNOxをトラップし、理論空燃比又はリッチの時に該トラップしたNOxを放出する性質を有する触媒(以下、NOxトラップ触媒という)を備え、前記改質装置を用いて生成した改質ガスを前記触媒の上流の排気通路に供給する場合に、前記要求水素量の算出のため、前記触媒のNOxトラップ量を推定する手段と、この推定結果を基に前記改質装置の要求水素量を算出する手段とを設けたことを特徴とする。
【0009】請求項6の発明では、請求項5の発明において、前記要求水素量算出手段は、前記触媒のNOxトラップ量の変化分に応じて、前記改質装置の要求水素量を算出することを特徴とする。請求項7の発明では、請求項5の発明において、前記改質装置にて生成された改質ガスを一時的に保持する改質ガス保持手段を備える場合に、前記改質ガス保持手段の水素保持量を推定する手段を設け、前記要求水素量算出手段にて、前記触媒のNOxトラップ量及び前記改質ガス保持手段の水素保持量に応じて、前記改質装置の要求水素量を算出することを特徴とする。
【0010】請求項8の発明では、請求項5〜7の発明において、改質ガスを排気通路に供給した後酸素によって消費される水素量を推定する手段を設け、前記要求水素量算出手段にて、前記酸素によって消費される水素量を加算して、前記改質装置の要求水素量を算出することを特徴とする。請求項9の発明では、請求項5〜8の発明において、前記改質装置にて生成された改質ガスを一時的に保持する改質ガス保持手段を備える場合に、前記改質ガス保持手段の改質ガス保持量を推定する手段を設け、改質ガス供給制御手段にて、前記触媒のNOxトラップ量及び前記改質ガス保持手段の改質ガス保持量に応じて、改質ガスの排気通路への供給を制御することを特徴とする。
【0011】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、要求水素量及び内燃機関の運転状態に応じて、改質装置への燃料供給量及び排気導入量を調節する構成としたので、運転状態に応じて高効率な状態で改質装置を作動させて、要求に見合った量の改質ガスを生成することが可能になるという効果が得られる。
【0012】請求項2の発明によれば、内燃機関の運転状態として、排気温度及び空燃比を用い、これらと要求水素量とに応じて、改質装置への燃料供給量及び排気導入量を調節する構成としたので、要求量の水素を生成するために必要な量の燃料、酸素、水分を、種々の運転状態において改質装置に供給できるという効果が得られる。
【0013】請求項3の発明によれば、要求水素量に対して燃料供給量がほぼ最小となるように改質装置への燃料供給量及び排気導入量を調節する構成としたので、改質装置での燃料消費量を少なくして燃費悪化を抑えられるという効果が得られる。請求項4の発明によれば、要求水素量に対して生成される改質ガス量が最小となる、即ち改質ガス中の水素濃度が最大となるように、改質装置への燃料供給量及び排気導入量を調節する構成としたので、高水素濃度の改質ガスを生成でき、少流量で大きな効果が得られる上、例えばタンク等を設けて生成された改質ガスを一時的に保持する場合はタンク容量を小さくできるという効果も得られる。
【0014】請求項5の発明によれば、排気系にNOxトラップ触媒を備え、その上流に改質ガスを供給して、NOxトラップ触媒にトラップされているNOxを脱離浄化する場合に、NOxトラップ触媒のNOxトラップ量を推定し、その推定結果を基に要求水素量を算出する構成としたので、NOxトラップ触媒にトラップされているNOxを脱離浄化するための、還元に必要な量の水素を生成することが可能となる。
【0015】請求項6の発明によれば、NOxトラップ触媒のNOxトラップ量の変化分に応じて要求水素量を算出する構成としたので、改質装置にて生成された改質ガスを一時的に保持するなどして、間欠的に改質ガスを排気系に供給する場合でも、トラップされているNOxの還元に必要な量の水素を常時準備することが可能となる。
【0016】請求項7の発明によれば、改質ガス保持手段を備える場合に、その水素保持量を推定し、NOxトラップ触媒のNOxトラップ量と改質ガス保持手段の水素保持量とから、要求水素量を算出する構成としたので、NOx還元に必要な水素量と保持している水素量とに差が生じた場合でもNOxトラップ量を基準として改質装置の要求水素量にそれを反映させて補正することが可能となる。
【0017】請求項8の発明によれば、改質ガスを排気系に供給した後酸素によって消費される水素量を推定し、これを加算して、要求水素量を算出する構成としたので、改質ガス供給時に、そこに存在する酸素と反応して水素が消費されても、NOxを還元する水素量が不足するのを防止することが可能となる。請求項9の発明によれば、改質ガス保持手段を備える場合に、その改質ガス保持量を推定し、NOxトラップ触媒のNOxトラップ量及び改質ガス保持手段の改質ガス保持量に応じて、改質ガスの排気系への供給を制御する構成としたので、NOxトラップ触媒のNOxトラップ量が上限に達したり、改質ガス保持手段の改質ガス保持量が上限に達したりする前に、改質ガスを供給して、排気が悪化したり、効率が悪化するのを防止することが可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に本発明の一実施形態の構成を示す。内燃機関(以下エンジンという)1の排気通路2には、分岐管3が設けられ、排気の一部は分岐管3に設けられた排気導入量調節手段としての排気流量制御弁4を通って改質装置5に導かれる。改質装置5にはまた燃料タンク6からの燃料供給路7が接続されており、燃料供給路7の途中には燃料供給量調節手段としての燃料流量制御弁8が設けられている。ここにおいて、改質装置5は、これに導入される燃料及び排気ガスを改質して、少なくとも水素を含む改質ガスを生成する。
【0019】一方、改質装置5で生成された改質ガスは、改質ガス通路9に導かれ、バッファタンク10、その下流の改質ガス供給制御弁11を通り、排気通路2の分岐管3接続部より下流側に導入される。ここで、バッファタンク10は、生成された改質ガスを所定量まで一時的に保持することが可能な装置であり、改質ガス保持手段に相当する。
【0020】また、排気通路2には、改質ガス通路9との接続部より更に下流側に、排気空燃比がリーンの時にNOxをトラップし、理論空燃比又はリッチの時にトラップしたNOxを放出、浄化するNOxトラップ触媒12が設けられている。従って、改質装置5で生成された改質ガスは、NOxトラップ触媒12においてNOx還元のために使用される。
【0021】エンジンコントロールユニット13は、図示しない各種センサから入力されるエンジン1の運転状態に基づいて、エンジン1の運転制御を行うと共に、排気流量制御弁4、燃料流量制御弁8、改質ガス供給制御弁11の制御を行う。これらの制御弁4,8,11を制御するための目標流量演算に関する制御ブロック図を図2(A),(B)に示す。
【0022】図2(A)は、燃料流量制御弁8及び排気流量制御弁4による燃料供給量及び排気導入量の演算のための制御ブロック図で、エンジン1の運転状態と改質装置5の要求水素量とに応じて、改質装置5の目標作動点を決定し、これに基づいて燃料供給量及び排気導入量を算出する。図2(B)は、改質ガス供給制御弁11による改質ガスの供給を制御するための制御ブロック図であり、NOxトラップ触媒12にトラップされるNOxトラップ量を推定し、また、バッファタンク10の改質ガス保持量を推定し、これらに基づいて、改質ガスの供給を制御する。
【0023】より詳細な制御内容はフローチャートにより説明する。図3は本実施形態における排気浄化装置制御ルーチンのフローチャートであり、所定時間毎に実行される。先ずS1では、エンジン運転状態のパラメータとして、エンジン回転数Ne、吸入空気量Qa、空燃比A/F、冷却水温Twを読込む。更に、前回までのルーチンにおいて算出・記憶されているNOxトラップ触媒12のNOxトラップ量TNOx 、及びバッファタンク10の改質ガス保持量Tgas を読込む。
【0024】S2では、S1で読込まれたエンジン運転状態の各パラメータより、排気温度Texを推定する。各パラメータ(Ne、Qa、A/F、Tw)と排気温度Texとは、例えば図4に示すような関係にあるので、これらを予めテーブルあるいはマップデータ化しておき、パラメータの値に応じて参照する等の方法を用いることで、推定が可能である。尚、排気温度Texをセンサを用いて直接的に検出するようにしてもよい。
【0025】S3では、空燃比A/Fから、排気中の酸素濃度PO2、水分濃度PH2O を推定する。これらは空燃比A/Fに対し例えば図5に示すような関係にあるので、これを基にS2と同様の手法で推定が可能である。S4では、エンジン運転状態の各パラメータより、排気中のNOx量ENOx を推定する。各パラメータ(Ne、Qa、A/F、Tw)と排気中のNOx濃度とは例えば図6に示すような関係にあるので、これを基にS2,S3と同様の手法でNOx濃度を推定し、これに排気ガス量を乗じることで、NOx量ENOx を求めることが可能である。尚、排気ガス量は吸入空気量Qaと空燃比A/Fとから算出することが可能であるが、便宜的に吸入空気量Qaをそのまま用いることも考えられる。
【0026】S5では、NOxトラップ触媒12のNOxトラップ率INOx を推定する。これはNOxトラップ触媒12に流入したNOxのうちトラップされる割合を示すもので、NOxトラップ触媒12の状態、及び排気組成に応じて変化する。代表的な例を図7に示しており、NOxトラップ量TNOx 、排気温度Tex、空燃比A/Fから、S2〜S4と同様の手法でNOxトラップ率INOx を推定することができる。尚、NOxトラップ触媒12の温度を直接的に検出する手段を設け、排気温度Texの代わりに用いる方法も考えられる。
【0027】S6では、排気中のNOx量ENOx のうち、NOxトラップ触媒にトラップされるNOx量はENOx ×INOx で表されることから、これをNOxトラップ量増分として、dTNOx に代入する(dTNOx ←ENOx ×INOx )。S7では、NOxトラップ触媒12のNOxトラップにより、そのNOxトラップ量TNOx はdTNOx 分増加するので、前回までのNOxトラップ量TNOx にNOxトラップ量増分dTNOx を加算して、NOxトラップ量TNOx を更新する(TNOx ←TNOx +dTNOx )。ここで、S6,S7の部分がNOxトラップ量推定手段に相当する。
【0028】S8では、要求水素量dTH2を、NOxトラップ量増分dTNOx を還元するために必要な水素量として、NOxトラップ量増分dTNOx と係数Kとの積として求める(dTH2=dTNOx ×K)。この部分が要求水素量算出手段に相当する。ここで、KはNOxの水素量換算値、即ち単位量あたりのNOxを還元するのに必要な水素量を表す。本ステップにより、トラップされているNOxを還元するために必要な水素を常に準備できるようになる。
【0029】S9では、排気温度Texと空燃比A/Fとから、改質装置特性マップ(燃料供給量と排気導入量とに対する水素生成量の特性マップ)を得る。改質装置特性マップの例を図8に示す。このように、改質装置の特性は、排気温度Tex、空燃比A/F(排気中の酸素及び水分濃度)によって異なるので、S9では、排気温度Tex、空燃比A/Fに応じて異なる特性マップを選択する。図8の例では、排気温度Texが低温で、空燃比A/F小のときに図8(1)のマップ、排気温度Texが高温で、空燃比A/F小のときに図8(2)のマップ、排気温度Texが高温で、空燃比A/F大のときに図8(3)のマップを選択する。あるいは、基準となる特性マップに対し、これらの条件に応じて補正を行い、当該条件における特性マップを得るようにしてもよい。尚、改質装置5の温度を検出する手段を設け、特性マップを得る際に、排気温度Texの代わりに用いる方法も考えられる。また、空燃比A/Fを用いる代わりに、排気中の酸素濃度PO2及び水分濃度PH2O を用いてもよい。
【0030】S10では、S9で得られた改質装置特性マップを基に、S8で求めた要求水素量dTH2から、改質装置の目標作動点、即ち燃料供給量dFfuel、排気導入量dFexh を決定する。ここで、図8の改質装置特性マップからわかるように、ある量の水素を生成するために、等水素生成量線上に燃料供給量と排気導入量との多数の組み合わせが存在するが、燃費悪化抑制の観点からは供給燃料量が少ない方が望ましく、また車載レイアウトの観点からはバッファタンク10の容量が小さくて済むように、排気導入量(改質ガス量)が少ない方が望ましい。
【0031】よってS10では、これらを満たす点を、要求水素量dTH2に等しい等水素生成量線上に求める。図8にプロットした点は、各条件において所定の要求水素量dTH2が与えられた場合の改質装置の目標作動点(燃料供給量dFfuel、排気導入量dFexh )の決定例である。尚、目標作動点が決定すると、今回生成される改質ガス量dTgas も特性マップより求められる。
【0032】S11では、S10の決定結果(燃料供給量dFfuel、排気導入量dFexh )に基づいて、燃料流量制御弁8及び排気流量制御弁4を駆動し、改質装置5に所望の量の燃料及び排気ガスを供給する。S9〜S11の部分が燃料流量制御弁8及び排気流量制御弁4と共に燃料供給量及び排気導入量調節手段に相当する。これにより、改質装置5にて生成された改質ガスはバッファタンク10に一時的に保持される。
【0033】S12では、前回までの改質ガス保持量Tgas に今回生成された改質ガス量dTgas を加算して、改質ガス保持量Tgas を更新する(Tgas ←Tgas +dTgas )。この部分が改質ガス保持量推定手段に相当する。ところで、NOxトラップ触媒12でトラップ可能なNOx量には限りがあり、これを超えると触媒12下流にそのままNOxが放出されることになって好ましくないため、NOxトラップ量TNOx が上限に達する前にこれを脱離浄化する必要がある。
【0034】そこでS13では、NOxトラップ量TNOx が所定の上限値TNOxMax以上か否かを判定する。ここで、TNOxMaxは所望のNOxトラップ率が得られなくなるNOxトラップ量である。Yesの場合は、S15に進み、改質ガス供給制御弁11を開き、バッファタンク10内の改質ガスをNOxトラップ触媒12上流の排気通路2に供給して、NOxトラップ触媒12にトラップされているNOxを改質ガス中の水素により還元浄化する。
【0035】一方、Noの場合は、S14に進み、別の判定を行う。バッファタンク10の容量は有限であり、これを超える量の改質ガスは保持できない。また、容量は一度に還元する必要がある最大NOx量に応じて決めることが望ましいが、運転条件によっては、得られる水素濃度が低くなり、改質ガス容積が過大となることも考えられる。
【0036】そこでS14では、バッファタンク10がオーバーフロー状態か否か、即ち改質ガス保持量Tgas がバッファタンク容量に相当する所定の上限値TgasMax以上か否かを判定する。Yesの場合は、S15に進み、前述の通り、改質ガス供給制御弁11を開き、バッファタンク10内の改質ガスをNOxトラップ触媒12上流の排気通路2に供給して、NOxトラップ触媒12にトラップされているNOxを改質ガス中の水素により還元浄化する。
【0037】一方、Noの場合は、S17に進み、改質ガス供給制御弁11を閉じた状態として、本ルーチンを終了する。ここで、S13〜S17の部分が改質ガス供給制御弁11と共に改質ガス供給制御手段に相当する。尚、S15で改質ガス供給制御弁11を開いて改質ガスを放出した後は、S16に進み、NOxトラップ量TNOx 、改質ガス保持量Tgas をそれぞれ0にクリアして、本ルーチンを終了する。
【0038】次に本発明の他の実施形態について説明する。図9に他の実施形態における排気浄化装置制御ルーチンのフローチャートを示す。尚、構成は前記一実施形態(図1)と同一である。S21〜S27は、図3のS1〜S7と同一であるので、説明を省略する。但し、S21では、前回までのルーチンにおいて算出・記憶されているバッファタンク10の水素保持量TH2も読込む。
【0039】S28では、要求水素量dTH2を、NOxトラップ触媒12にトラップされているNOxトラップ量TNOx を還元するために必要な水素量TNOx ×Kと、改質ガスを供給する際排気系に存在する酸素TO2によって消費される水素量TO2×Lとの和から、バッファタンク10内の水素保持量TH2を減じた値として、算出する(dTH2←TNOx ×K+TO2×L−TH2)。この部分が本実施形態での要求水素量算出手段に相当する。尚、TO2の構成要素としては排気ガス中の酸素及びNOxトラップ触媒12に吸収されている酸素等が考えられ、空燃比A/Fに基づいて求めることができる。Lは酸素の水素量換算値、即ち単位量あたりの酸素によって消費される水素量を表す。TO2×Lを求める部分が消費水素量推定手段に相当する。このようにTO2×Lを考慮することにより、酸素に水素が消費されてNOxを還元する水素が不足するのを防止できる。
【0040】S29〜S31は、図3のS9〜S11と同一であるので、説明を省略する。但し、S30では、改質装置目標作動点として、燃料供給量dFfuel及び排気導入量dFexh を算出するが、S10とは異なり、改質ガス量dTgas の算出は行わない。S32では、改質装置の実作動点、即ち実燃料供給量dRfuel、実排気導入量dRexh を検知する。そして、S33では、実燃料供給量dRfuel、実排気導入量dRexh に基づいて、改質ガス量dTgas 、水素生成量dTH2を算出する。これらのステップにより、運転条件、制御弁作動特性等の原因で目標通りの流量が得られない場合でも、実際の作動点を検知できるので、改質ガス量dTgas 、水素生成量dTH2を正確に求めることが可能となる。
【0041】S34は、図3のS12と同一であるので説明を省略する。S35では、前回までのバッファタンク10の水素保持量TH2に今回保持される分である水素生成量dTH2を加算して、水素保持量TH2を更新する。(TH2←TH2+dTH2)。この部分が水素保持量推定手段に相当する。以降のS36〜S40は、図3のS13〜S17と同一であるので説明を省略する。但し、S39では、改質ガス供給弁11を開いて、バッファタンク10内の改質ガスを放出した後に、TNOx 、Tgas に加え、水素保持量TH2も0にクリアする。
【0042】以上の制御により、改質装置5において目標通りの作動が得られない場合であっても、次回演算の際の要求水素量にそれを反映して補正することができ、水素量の過不足を抑制することが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
【出願日】 平成12年11月30日(2000.11.30)
【代理人】 【識別番号】100078330
【弁理士】
【氏名又は名称】笹島 富二雄
【公開番号】 特開2002−161735(P2002−161735A)
【公開日】 平成14年6月7日(2002.6.7)
【出願番号】 特願2000−365234(P2000−365234)