| 【発明の名称】 |
内燃機関の排気ガス浄化装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】柳原 弘道
【氏名】加藤 善一郎
【氏名】杉山 敏久
【氏名】辺田 良光
【氏名】白谷 和彦
【氏名】黒木 錬太郎
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| 【要約】 |
【課題】フィルタに付着したアッシュを除去すること。
【解決手段】エンジンECU60は、車両が減速状態にある場合には、インジェクタIJからの燃料噴射を停止して、燃焼室内への燃料供給をカットする。エンジンECU60は、EGRバルブ21のアクチュエータ211を介してEGRバルブ21の閉制御、すなわち、EGR管19を閉塞する制御を実行する。エンジンECU60は、過給器40に対する排気ガス流量を可変制御する可変翼45のアクチュエータ451を介して可変翼45の閉制御、すなわち、排気管18を閉塞する制御を実行する。エンジンECU60は、吸気制御バルブ20のアクチュエータ201を介して吸気制御バルブ20の閉制御、すなわち、吸気管17を閉塞する制御を実行する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】内燃機関の気筒と連通する排気通路にフィルタを備える排気ガス浄化装置であって、車両の走行状態が減速状態にあるか否かを判定する車両走行状態判定手段と、車両の走行状態が減速状態にあると判定された場合には、前記気筒内の負圧を増大させる負圧増大手段とを備える排気ガス浄化装置。 【請求項2】請求項1に記載の排気ガス浄化装置において、前記負圧増大手段は、前記内燃機関の気筒内への吸入空気量を低減制御する吸気量制御手段を含むことを特徴とする排気ガス浄化装置。 【請求項3】請求項2に記載の排気ガス浄化装置において、前記内燃機関は、前記排気通路に排出された排気ガスの一部を前記気筒へ環流する排気ガス環流装置を備え、前記負圧増大手段は、前記排気ガス環流装置による前記気筒への排気ガスの環流を遮断する排気ガス環流遮断手段を含むことを特徴とする排気ガス浄化装置。 【請求項4】請求項2または請求項3に記載の排気ガス浄化装置において、前記内燃機関は、前記排気通路を流動する排気ガスによって駆動されると共に前記気筒内への吸気量を増大させる過給装置を備え、前記排気ガス浄化装置はさらに、前記過給装置を駆動する排気ガス流量を可変制御して、前記排気通路から前記気筒内への排気ガスの反射波の動的エネルギを増大させる排気ガス流量可変手段を含むことを特徴とする排気ガス浄化装置。 【請求項5】内燃機関の気筒と連通する排気通路にフィルタを備える排気ガス浄化装置であって、車両の走行状態が減速状態にあるか否かを判定する車両走行状態判定手段と、車両の走行状態が減速状態にあると判定された場合には、前記排気通路から前記内燃機関の気筒内への排気ガスの逆流を促進する排気ガス逆流促進手段とを備える排気ガス浄化装置。 【請求項6】請求項5に記載の排気ガス浄化装置において、前記排気ガス逆流促進手段は、前記内燃機関の気筒内への吸入空気量を制御する吸気量制御手段を含むことを特徴とする排気ガス浄化装置。 【請求項7】請求項6に記載の排気ガス浄化装置において、前記排気ガス逆流促進手段は、更に、前記排気通路から前記気筒内への排気ガスの反射波の動的エネルギを増大させる動的エネルギ増大手段を含むことを特徴とする排気ガス浄化装置。 【請求項8】内燃機関の気筒と連通する排気通路にフィルタを備える排気ガス浄化装置におけるフィルタの再生方法であって、前記排気通路から前記内燃機関の気筒内への排気ガスの逆流を促進して、前記フィルタに堆積しているカルシウム系化合物を除去するフィルタの再生方法。 【請求項9】請求項8に記載のフィルタの再生方法はさらに、車両の走行状態が減速状態にあるか否かを判定し、車両の走行状態が減速状態にあると判定した場合には、前記排気通路から前記内燃機関の気筒内への排気ガスの逆流を促進させることを特徴とするフィルタの再生方法。 【請求項10】請求項8または請求項9に記載のフィルタの再生方法において、前記内燃機関の気筒内への吸入空気量を制御することによって前記排気通路から前記内燃機関の気筒内への排気ガスの逆流を促進させることを特徴とするフィルタの再生方法。 【請求項11】請求項8ないし請求項10のいずれかに記載のフィルタの再生方法において、前記排気通路を遮断することによって前記排気通路から前記内燃機関の気筒内への排気ガスの逆流を促進させることを特徴とするフィルタの再生方法。 【請求項12】請求項11に記載のフィルタの再生方法において、排気ガス環流装置による排気ガスの環流を遮断することによって前記排気通路から前記内燃機関の気筒内への排気ガスの逆流を促進させることを特徴とするフィルタの再生方法。 【請求項13】請求項11または請求項12に記載のフィルタの再生方法はさらに、過給装置を駆動する排気ガス流量を可変制御することによって前記排気通路から前記内燃機関の気筒へと反射する排気ガスの動的エネルギを増大させることを特徴とするフィルタの再生方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の排気ガスを浄化する技術に関し、特には、排気ガス中に含まれる浮遊粒子状物質成分を浄化する技術に関する。 【0002】 【従来の技術】これまで、内燃機関から排出される排気ガスを浄化する技術が種々提案されている。内燃機関の内、特にディーゼル機関では、排気ガス中に含まれる窒素酸化物、硫化酸化物の浄化のみならず、排気ガス中に含まれる浮遊粒子状物質の浄化が要求される。かかる要求に対しては、内燃機関の排気ガス排出経路にフィルタを配置し、フィルタによって浮遊粒子状物質を捕集する技術が知られている。 【0003】また、内燃機関の排気ガスには、浮遊粒子状物質の他にも、エンジンオイル中に含まれている潤滑成分、清浄成分であるカルシウム(Ca)が燃焼時に灰化して生成されるカルシウム系化合物であるアッシュが含まれている。アッシュとしては、例えば、CaSO4(硫酸カルシウム)、CaPO3(リン酸カルシウム)等が含まれる。このアッシュは、浮遊粒子状物質と同程度の大きさを有するため、浮遊粒子状物質と共にフィルタに捕集される。 【0004】浮遊粒子状物質およびアッシュは、フィルタ上に徐々に堆積するため、フィルタの捕集性能を維持するためには浮遊粒子状物質およびアッシュを除去する必要がある。特に、アッシュは、水分を吸収して互いに付着し合い、次第に肥大化していく特性を有している。 【0005】フィルタに堆積した浮遊粒子状物質を除去する技術としては、浮遊粒子状物質を捕集するフィルタに貴金属触媒を担持させ、貴金属触媒によって誘発される酸化反応によって浮遊粒子状物質を低温燃焼させる技術が知られている。また、ポスト噴射を実行することにより、浮遊粒子状物質を捕集したフィルタに対して未燃燃料を供給し、燃料の酸化反応によって浮遊粒子状物質を燃焼させる技術が知られている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】これに対して、フィルタに付着したアッシュは、燃焼によって発生した灰化成分であるため、浮遊粒子状物質を燃焼(酸化)除去するフィルタの再生を試みても、燃焼せずフィルタ上から除去することができないという問題がある。フィルタに付着したアッシュを放置すれば、フィルタが有する浮遊粒子状物質の捕集性能を回復させることができず、排気ガス中に含まれる浮遊粒子状物質を有効に捕集することができないという問題がある。 【0007】本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、フィルタに付着したアッシュを除去することを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上記の課題を解決するために本発明の第1の態様は、内燃機関の気筒と連通する排気通路にフィルタを備える排気ガス浄化装置を提供する。本発明の第1の態様に係る排気ガス浄化装置は、車両の走行状態が減速状態にあるか否かを判定する車両走行状態判定手段と、車両の走行状態が減速状態にあると判定された場合には、前記気筒内の負圧を増大させる負圧増大段とを備えることを特徴とする。 【0009】本発明の第1の態様に係る排気ガス浄化装置によれば、負圧増大手段によって内燃機関の気筒内の負圧が増大されるので、排気通路と気筒内の圧力差によってフィルタに付着したカルシウム系化合物であるアッシュを隔離し、除去することができると共に、車両の走行状態が減速状態にある場合に負圧が増大されるので、ドライバビリティに及ぼす影響を低減することができる。なお、負圧の増大とは、圧力値の絶対値が増大することを意味する【0010】本発明の第1の態様に係る内燃機関の排気ガス浄化装置において、前記負圧増大手段は、前記内燃機関の気筒内への吸入空気量を低減制御する吸気量制御手段を含んでも良い。かかる構成を備える場合には、吸気行程時に、気筒内へ流れ込む吸入空気量が制限または遮断されるので、気筒内の負圧を増大させることができる。 【0011】本発明の第1の態様に係る内燃機関の排気ガス浄化装置において、前記内燃機関は、前記排気通路に排出された排気ガスの一部を前記気筒へ環流する排気ガス環流装置を備え、前記負圧増大手段は、前記排気ガス環流装置による前記気筒への排気ガスの環流を遮断する排気ガス環流遮断手段を含んでも良い。かかる構成を備える場合には、排気通路と気筒との連通が遮断されるので、気筒内の圧力と排気通路との圧力差に起因する排気通路への排気ガスの流出を抑制し、気筒内の負圧の減少を防止することができる。 【0012】本発明の第1の態様に係る排気ガス浄化装置において、前記内燃機関は、前記排気通路を流動する排気ガスによって駆動されると共に前記気筒内への吸気量を増大させる過給装置を備え、前記排気ガス浄化装置はさらに、前記過給装置を駆動する排気ガス流量を可変制御して、前記排気通路から前記気筒内への排気ガスの反射波の動的エネルギを増大させる排気ガス流量可変手段を備えることを特徴とする。かかる構成を備える場合には、排気ガス流量可変手段によって、排気通路を閉塞し、排気通路へ排出された排気ガスを逆流させて排気ガスの反射波の動的エネルギを増大させることができる。 【0013】本発明の第2の態様は、内燃機関の気筒と連通する排気通路にフィルタを備える排気ガス浄化装置を提供する。本発明の第2の態様に係る内燃機関の排気ガス浄化装置は、車両の走行状態が減速状態にあるか否かを判定する車両走行状態判定手段と、車両の走行状態が減速状態にあると判定された場合には、前記排気通路から前記内燃機関の気筒内への排気ガスの逆流を促進する排気ガス逆流促進手段とを備えることを特徴とする。 【0014】本発明の第2の態様に係る内燃機関の排気ガス浄化装置によれば、排気通路から気筒内への排気ガスの逆流が促進されるので、フィルタに堆積しているカルシウム系化合物であるアッシュを除去することができる。 【0015】本発明の第2の態様に係る内燃機関の排気ガス浄化装置において、前記排気ガス逆流促進手段は、前記内燃機関の気筒内への吸入空気量を制御する吸気量制御手段を含んでもよい。かかる構成を備える場合には、気筒内の負圧を増大させて、排気通路内の排気ガスが気筒内に逆流することによりフィルタに堆積しているアッシュを除去することができる。また、前記排気通路から前記気筒内への排気ガスの反射波の動的エネルギを増大させる動的エネルギ増大手段を含んでも良い。かかる構成を備える場合には、動的エネルギの増大された排気ガスの反射波によって、フィルタに堆積しているアッシュを除去することができる。 【0016】本発明の第3の態様は、内燃機関の気筒と連通する排気通路にフィルタを備える排気ガス浄化装置におけるフィルタの再生方法を提供する。本発明の第3の態様に係るフィルタの再生方法は、前記排気通路から前記内燃機関の気筒内への排気ガスの逆流を促進して、前記フィルタに堆積しているカルシウム系化合物を除去することを特徴とする。 【0017】本発明の第3の態様に係るフィルタの再生方法によれば、内燃機関の気筒内へ逆流する排気ガスによってフィルタに付着したカルシウム系化合物であるアッシュを隔離し、除去することができる。 【0018】本発明の第3の態様に係るフィルタの再生方法はさらに、車両の走行状態が減速状態にあるか否かを判定し、車両の走行状態が減速状態にあると判定した場合には、前記排気通路から前記内燃機関の気筒内への排気ガスの逆流を促進させても良い。 【0019】本発明の第3の態様に係るフィルタの再生方法によれば、車両の走行状態が減速状態にある場合に排気通路から内燃機関の気筒内への排気ガスの逆流が促進さ【0020】本発明の第3の態様に係るフィルタの再生方法は、第2の態様に係る内燃機関の排気ガス浄化装置と同様に、種々の態様にて実現され得る。 【0021】 【発明の実施の形態】以下、本発明に係る内燃機関の浄化装置について図面を参照しつついくつかの実施例に基づいて説明する。 【0022】第1の実施例:図1および図2を参照して第1の実施例に係る内燃機関の浄化装置が適用され得る内燃機関および給排気系の概略構成について説明する。図1は第1の実施例に係る内燃機関の浄化装置が適用される内燃機関および給排気系の概略構成を示す説明図である。図2は第1の実施例に係る内燃機関の浄化装置が適用され得る内燃機関および給排気系の概略構成を示す他の説明図である。なお、図2では説明の都合上、一部を断面にて示している。 【0023】第1の実施例に用いられる内燃機関は、軽油を燃料とするコモンレール式のディーゼルエンジン10である。エンジン10は、シリンダブロック11内に4つのシリンダ12を備える4気筒エンジンであり、爆発燃焼によりシリンダ12を往復動するピストン13を介して駆動力を出力する。シリンダブロック11の上部にはシリンダヘッド14が配置されており、シリンダヘッド14は、各シリンダ12毎に吸気ポート15および排気ポート16を有している。各吸気ポート15には、吸気側カムICによって駆動されて吸気ポート15を開閉する吸気バルブ151が配置されており、各排気ポート16には、排気側カムECによって駆動されて排気ポート16を開閉する排気バルブ161が配置されている。 【0024】各吸気ポート15には、吸気管17の分岐端が連結され、各排気ポート16には、排気管18の分岐端が連結されている。排気管18から吸気管17へは、排気ガスの一部を環流して燃焼室における燃焼を緩慢にするためのEGR管19が延伸されている。吸気管17の先端には吸入空気を濾過するためのエアクリーナ171が配置されている。吸気管17の途中には、燃焼室への流入吸気量を制御する吸気制御バルブ20、排気ガス環流量を制御するEGRバルブ21が配置されている。両バルブ20、21は、アクチュエータ201、211によってそれぞれ駆動され、特に、吸気制御バルブ20は、アクセルペダルとリンク機構を介して機械的に連結されていない電子制御式バルブである。排気管18の分岐端には、それぞれフィルタ30が装填されている。排気管18の集合端には、排気ガス中の窒素酸化物等を浄化する排気ガス浄化触媒、消音器(共に図示しない)を備える排気マフラが結合されている。 【0025】本実施例に係るエンジン10は、エアクリーナ171から吸気された空気を圧縮してシリンダ12内に供給するための過給器40を備えている。過給器40は、吸気管17中に配置されているコンプレッサホイール41と、排気管18中に配置されているタービンホイール42と、両ホイール41,42を連結する軸43とを備えている。本実施例における過給器40は、可変ノズル式の過給器であり、タービンホイール42直前の排気管18(詳細には、タービンハウジング44)には、排気管18の断面積を連続的に変化させる可変翼45が配置されている。可変翼45はアクチュエータ451によって駆動される。また、吸気管17の途中には、コンプレッサホイール41により圧縮された吸入空気を冷却するためのインタークーラ46が配置されている。 【0026】シリンダヘッド14の略中央には、シリンダ12、ピストン13およびシリンダヘッド14によって形成される燃焼室に燃料を噴射するためのインジェクタIJが配置されている。本実施例において用いられるインジェクタIJは、高圧燃料ポンプFPによって昇圧された燃料を保有するコモンレールCRから高圧燃料の供給を受け、内蔵されているアクチュエータ(図示しない)によって開弁されるコモンレール式のインジェクタである。 【0027】図3を参照して、フィルタ30の装填状態について詳細に説明する。図3はフィルタ30をエンジン10の排気管18に装填した状態を概念的に示す説明図である。図示するように、燃焼室の上部を構成するシリンダヘッド14と排気管18との間に排気管18の一部を構成するフィルタホルダ31が介装され、フィルタホルダ31内には、各燃焼室毎にフィルタ30が装填されている。フィルタホルダ31は、シリンダヘッド14と排気管18とにボルトで締結されている。フィルタ30は、フランジ部がフィルタホルダ31と排気管18とに挟み込まれるようにして固定されている。尚、フィルタホルダ31とフィルタ30との間に空気層を設けるとともに、フランジ部を断熱材を介して挟み込むことにより、フィルタ30を断熱構造としてもよい。 【0028】フィルタ30は、排気ガス中に含まれている浮遊粒子状物質を、その捕集可能領域の全域に亘って分散捕集可能な3次元捕集型の金属製フィルタである。排気ガス中に含まれる浮遊粒子状物質には、一般的に煤と総称されている着火温度が約550℃以上の高温着火成分と、煤の着火温度よりも低い、約450℃前後の温度で着火する低温着火成分とが含まれている。フィルタ30は、排気ガスの熱エネルギおよび、排気ポート16を介して排気管17に排出される排気ガスの動的エネルギを利用して、フィルタ温度を浮遊粒子状物質の低温着火成分の着火温度まで上昇させて、浮遊粒子状物質の高温着火成分の燃焼を実現にするフィルタである。 【0029】次に、上記第1の実施例に係る内燃機関の浄化装置に適用され得るフィルタ30の詳細な構成について図4〜図8を参照して説明する。図4は、フィルタ30の外観形状を示す斜視図である。理解を容易にするために、一部分の断面をとって内部構造を拡大して表示している。フィルタ(パティキュレートフィルタ)30は、フランジのついた円筒状のケース302と、ケース302内に挿入されて外周をケースに溶接されたエレメント304とから構成されている。エレメント304は、耐熱金属製の不織布306と同じく耐熱金属製の波板308とを重ねて、中心棒310を芯にして円筒状に巻き付けたロール構造となっている。本実施例のパティキュレートフィルタ300で用いるエレメント304は、外径が約55mm、長さが約40mmのものを使用している。もちろん、これら寸法は、ディーゼルエンジンの排気量や排気管の内径などにあわせて、適宜変更することができる。 【0030】図5は、中心棒310を芯にして、不織布306と波板308とを重ねてロール状に巻き付ける様子を概念的に示した説明図である。こうして巻き取られた不織布306同士の間隔は、波板308によって所定の間隔に保たれており、不織布306と波板308との間には、中心棒310の軸方向に沿って多数の通路が形成されている。エレメント304の両側には、封止板312が溶接されている。封止板312は、不織布306と波板308との間に形成された通路を互い違いに閉塞して、排気ガスが不織布306を通過する構造を形成する。図6を参照して、封止板312により排気ガスが不織布306を通過する構造が形成される様子を説明する。 【0031】図6は、パティキュレートフィルタ30の断面構造を概念的に示す説明図である。尚、図6では、波板308は表示を省略している。図示するように、封止板312は、所定の間隔に保たれて隣接する不織布306の間に形成される通路を、互い違いになるように閉塞する。このため、図6に矢印で示したように、図の左側から排気ガスが流れてくると、封止板312で塞がれていない通路に一旦は流入するが、通路の出口側は封止板312で塞がれている。そこで排気ガスは、図中に太い矢印に示すように、通路側面を構成する不織布306を通って、出口側が塞がれていない通路に抜けていく。こうして排気ガスが不織布306を抜ける際に、排気ガス中に含まれている浮遊粒子状物質が、不織布306で捕集される。 【0032】不織布306は、鉄系の耐熱合金製の金属不織布を用いて形成されている。上記各本実施例のパティキュレートフィルタ30では、不織布306として、所定範囲の諸元を有する金属製不織布を用いており、このため、浮遊粒子状物質に含まれる高温着火成分である含炭素浮遊微粒子や低温着火成分である炭化水素系化合物を、排気ガス中の酸素と接触可能に分散した状態で捕集することができる。参考として、不織布306の諸元一例を図7に示す。尚、図7に示す不織布の諸元はあくまでも例示であって、不織布の諸元は図中に例示された値に限定されるものではない。また、本実施例では、Fe−Cr−Al合金製の金属不織布を用いているが、Ni系合金など、周知の他の耐熱性の金属不織布を用いても構わない。 【0033】図7中に示す「繊維径」とは、不織布を形成する金属繊維の平均直径を示す。金属不織布は、無数の金属繊維が複雑に絡み合って形成されており、金属繊維の間には、複雑に分岐した3次元的な通路が形成されている。「細孔径」とは、金属繊維間に形成された通路断面の大きさを表す指標であり、等価な断面積を有する円形通路の内径(直径)を示している。「細孔径」の値は、もっとも簡便には、走査型電子顕微鏡で撮影した金属不織布表面あるいは断面の写真に基づいて、目視によって計測することができる。細孔径の分布としては、代表的には約5μm〜50μmの分布を有する不織布を用いることができる。 【0034】図7に例示するような所定諸元の不織布を使用することで、排ガス中の含炭素浮遊微粒子や炭化水素系化合物を分散した捕集することができるメカニズムについては、明確に解明されたわけではない。しかし、推定されるメカニズムによれば、金属製の不織布に限らず、例えばコーディエライト製のハニカムフィルタのようなセッラミックスフィルタなどを用いても、同等の諸元を有するフィルタであれば、本実施例と同等の結果を得ることができると考えられる。 【0035】尚、上述した本実施例のエレメント304は、エレメント304の両端に封止板312を溶接して形成されているものとして説明したが、以下に説明するように、封止板312を用いない構造としてもよい。 【0036】図8は、封止板を用いない構造のエレメントを備えるパティキュレートフィルタ30の断面図である。図8では、図が煩雑となることをさけるために、波板308の表示は省略している。前述した図6では、不織布306の両端に互い違いに封止板312を溶接したが、封止板を溶接する代わりに、図8に示すように、不織布同士を端部313で互いに溶接してもよい。こうすれば封止板312を省略することができるので、パティキュレートフィルタ30をより簡便に製造することができる。 【0037】上記構成を備えるフィルタ30によれば、排気ガスの熱エネルギおよび排気ガスの有する動的エネルギを利用して、フィルタ30の温度を浮遊粒子状物質の低温着火成分の着火温度まで上昇させることが可能であり、また、着火した低温着火成分の熱エネルギを利用して浮遊粒子状物質の高温着火成分を着火、燃焼させてフィルタ30を再生することができる。なお、排気ガスの動的エネルギは、例えば、エンジン10の排気行程時に排気ポートからフィルタ30へ向かって排出される排気ガスのガス流によりもたらされる。 【0038】エンジン10の運転状態は、エンジンECU60によって制御されている。エンジンECU60には、吸気制御バルブ20(アクチュエータ201)、EGRバルブ21(アクチュエータ211)、可変翼45(アクチュエータ451)、およびインジェクタIJとが制御線を介して接続されている。エンジンECU60は、制御線を介して制御信号を送信することで、吸気制御バルブ20、EGRバルブ21、可変翼45、およびインジェクタIJの動作を制御する。エンジンECU60には、アクセルペダルの踏み込み量を開度として出力するアクセル開度センサ50、ブレーキペダルの踏み込みを検出するブレーキペダルセンサ51、車両の速度ならびに走行距離を検出するための車速センサ52、エンジン10の回転数を検出するエンジン回転数センサ53等が接続されている。 【0039】次に、上記構成を備えるエンジン10の一般的な動作について簡単に説明する。イグニッションキーがオン位置に切り換えられると、エンジンECU60は、図示しないグロープラグに通電してグロープラグの加熱を開始すると共に計器盤上のグローランプを点灯させる。エンジンECU60は、グロープラグの温度が燃料の爆発燃焼に要求される所定温度まで上昇したところで、グローランプを消灯させ、エンジンが始動可能な状態にあることを示す。イグニッションキーがオン位置から始動位置への切り換えを検出すると、エンジンECU60は、インジェクタIJを介してシリンダ内に燃料を噴射し、エンジン10が運転を開始する。 【0040】エンジンECU60は、エンジン回転数センサ53等を介してエンジン10の始動を検出すると、グロープラグへの通電を遮断する。エンジンECU60は、主としてアクセル開度センサ50およびエンジン回転数センサ53から検出データに基づいて、インジェクタIJからの燃料噴射量ならびに噴射時期を決定し、インジェクタIJの開弁時間ならびに開弁時期を制御する。エンジンECU60は、各センサからの検出結果に基づいて、吸気制御バルブ20の開度、EGRバルブ21の開度を制御する。エンジンECU60はまた、過給器40によって適当な過給効果が得られるように、可変翼45の開度を制御する。 【0041】エンジン10の排気ポート16から排出された排気ガス中の浮遊粒子状物質は、フィルタ30を通過する際に捕集され、フィルタ30を通過後の排気ガス中には浮遊粒子状物質が含まれていないか、含まれていても微量である。 【0042】第1の実施例に係る内燃機関の排気ガス浄化装置にて実行される、フィルタ30の再生処理(アッシュの除去処理)について図9〜図11を参照して説明する。図9は第1の実施例に係る内燃機関の浄化装置において実行されるフィルタ30の再生処理の処理ルーチンを示すフローチャートである。なお、本処理ルーチンは、例えば、週単位、月単位といった長期の所定期間間隔毎に実行されるものとする。図10はフィルタ30の再生処理に伴って、フィルタ30に付着していたアッシュがフィルタ30から除去され、シリンダ12内に導かれる状態を概念的に示す説明図である。図11はフィルタ30に付着していたアッシュがフィルタ30から剥離される様子を概念的により詳細に示す説明図である。 【0043】エンジンECU60は、先回のアッシュ除去処理からの積算区間走行距離DDが、アッシュ除去処理の判定走行距離である所定走行距離DDrefを超えたか否かを判定する(ステップS100)。一般的に、走行距離は、車速センサ52からの検出信号数と車輪の外径と乗算された値を積算することによって取得され、積算区間走行距離DDは、任意のリセット時からの走行距離を積算することによって取得される。エンジンECU60は、積算区間走行距離DDが所定走行距離DDref以下であると判定した場合には(ステップS100:No)、本処理ルーチンを終了する。 【0044】エンジンECU60は、積算区間走行距離DDが所定走行距離DDrefを超えたと判定した場合には(ステップS100:Yes)、車両が減速状態にあるか否かを判定する(ステップS110)。車両が減速状態にあるか否かは、例えば、アクセルペダル、ブレーキペダルの操作状態に基づいて判定される。エンジンECU60は、例えば、アクセルオフ(アクセル開度0)の場合、アクセルオフの状態が所定時間継続している場合、ブレーキペダルセンサ51がブレーキペダルの踏み込みを検出している場合には、車両が減速状態にあると判定する。 【0045】エンジンECU60は、車両が減速状態となるまで待機する(ステップS110:No)。車両が減速状態にある場合には、エンジン10は無負荷状態となるので、以下実行される吸気制御バルブ20の閉制御を比較的自由に実行することができると共に、ドライバビリティに与える影響も無視できるからである。エンジンECU60は、車両が減速状態にあると判定した場合には(ステップS110:Yes)、インジェクタIJからの燃料噴射を停止して、燃焼室内への燃料供給をカットする(ステップS120)。 【0046】エンジンECU60は、EGRバルブ21のアクチュエータ211を介してEGRバルブ21の閉制御、すなわち、EGR管19を閉塞する制御を実行する(ステップS130)。EGRバルブ21が閉制御されることにより、排気管18から吸気管17への排気ガスの環流が遮断され、この結果、シリンダ12内の負圧によってシリンダ12内の排気ガスが排気ポート161へ吸引され、排気ガスの排出量の増加を回避することができる。また、排気ガスの排出量の増加を抑制することにより、シリンダ12内の負圧を維持することができる。さらに、吸気行程時に吸気ポート15を介してシリンダ12内に流入する吸気量が低減され、シリンダ12内の負圧を増大させることができる。また、シリンダ12から排出された排気ガスのガス流のEGR管19への抜けが防止されるので、排気管18内の排気ガスのシリンダ12内への逆流を促進させることができる。 【0047】次に、エンジンECU60は、過給器40に対する排気ガス流量を可変制御する可変翼45のアクチュエータ451を介して可変翼45の閉制御、すなわち、排気管18を閉塞する制御を実行する(ステップS140)。可変翼45が閉制御されることにより、吸気行程時、バルブオーバラップに起因する排気管18からシリンダ12内への排気ガスの再吸入を防止することができる。この結果、シリンダ12内の負圧の増大を促進させることができる。また、排気管18が過給器40の手前で閉塞(遮断)されるので、シリンダ12から排出された排気ガスは、可変翼45によって反射され、また、排出された排気ガスと干渉することによってその波動が増大され、排気行程時には、逆流波としてシリンダ12内に流れ込むことができる。 【0048】続いて、エンジンECU60は、吸気制御バルブ20のアクチュエータ201を介して吸気制御バルブ20の閉制御、すなわち、吸気管17を閉塞する制御を実行する(ステップS150)。吸気制御バルブ20が閉制御されることにより、エアクリーナ171を介した外部空気の吸気が規制(阻止)され、吸気行程時に、シリンダ12内に発生する負圧を増大させることができる。シリンダ12内の負圧が増大された状態にて排気バルブ161が開弁されると、後述するように、フィルタ30に堆積、付着していたアッシュSHがフィルタ30から剥離して、シリンダ12内に流入させられる。なお、負圧の増大とは、圧力値の絶対値が増大することを意味する。 【0049】アッシュSHは、エンジンオイル中に含まれている潤滑成分、清浄成分であるカルシウム(Ca)が燃焼時に灰化して生成されるカルシウム系化合物であり、浮遊粒子状物質と共に排気ガス中に含まれている。アッシュとしては、例えば、CaSO4(硫酸カルシウム)、CaPO3(リン酸カルシウム)等が含まれる。このアッシュは、浮遊粒子状物質と同程度の大きさを有するため、浮遊粒子状物質の捕集率を上げると、アッシュもフィルタ30に捕集される。アッシュは、水分を吸収して互いに付着し合い、次第に肥大化し、フィルタ30上で固まってしまう特性を有している。また、フィルタ30が捕集した浮遊粒子状物質を燃焼させて自動的に再生する際にも、燃焼することなく、フィルタ30上に残存する。 【0050】エンジンECU60は、吸気制御バルブ20、EGRバルブ21、可変翼45を閉制御のまま維持する待機時間Tirefを設定し、計時を開始する(ステップS160)。シリンダ12内の負圧効果、排気管18からの排気ガスの反射効果を期待することができる期間、各バルブ20、21、可変翼45を閉制御のまま維持して、フィルタ30に付着しているアッシュを十分に剥離させるのである。ここで、シリンダ12内の負圧効果、排気管18からの排気ガスの反射効果を期待することができる期間としては、数ミリ秒であり、ピストン13は2〜4回程度、吸気・圧縮・爆発膨張・排気行程を繰り返す。待機時間Tirefを経過した後は、排気管18の圧力がシリンダ12内の圧力と等しくなってしまい、負圧による効果を得ることができなくなるからである。 【0051】エンジンECU60は、待機時間Tirefが経過するまで待機し(ステップS170:No)、待機時間Tirefが経過すると(ステップS170:Yes)、区間走行距離DDをリセットして0とする(ステップS180)。エンジンECU60は、吸気制御バルブ20、EGRバルブ21、可変翼45を閉制御を解除して、走行条件から本来要求されるバルブ開度、翼開度にて、吸気制御バルブ20、EGRバルブ21、可変翼45を制御して(ステップS190)、本処理ルーチンを終了する。 【0052】以上説明した、第1の実施例に係る内燃機関の排気ガス浄化装置の効果について図10および図11を参照して説明する。EGRバルブ21、可変翼45が閉制御され、最後に吸気制御バルブ20が閉制御されると、吸気行程時にシリンダ12内の負圧は急激に増大する。シリンダ12内の負圧が大きい状態にて、排気バルブ161が開弁されると、排気バルブ161が開弁した瞬間に、図10に示すように、可変翼45(過給器40の手前)からフィルタ30を介して、シリンダ12内に排気ガスが大きな波動を伴って逆流する。 【0053】排気ガスの逆流波によって、フィルタ30に堆積しているアッシュSHが剥離する。図11に示すように、詳細には、アッシュSHは、フィルタ30の不織布306に浮遊粒子状物質と共に堆積している。また、フィルタ30の不織布306の表面領域に多く堆積している。排気ガスの逆流波により、アッシュSHは不織布306の表面領域から剥離、離脱し、排気ポート16を介してシリンダ12内に流入していく。この結果、フィルタ30が捕集した浮遊粒子状物質を燃焼させて自動的に再生する場合にも除去できなかったアッシュSHをフィルタ30から除去することができる。これにより、フィルタ30における浮遊粒子状物質の捕集率も向上させることができる。 【0054】アッシュSHは、シリンダ12内に流入するに際して、吸気ポート16等に衝突することにより、砕かれ、微細化される。また、シリンダ12内においてピストン13の往復動によっても微細化される。シリンダ12内に流入し、微細化されたアッシュSHは、吸気制御バルブ20等の閉制御が解除されると、排気ポート161を介して排出され、フィルタ30に捕集されることなくフィルタ30を通過する。フィルタ30を通過したアッシュSHは、過給器40のタービンホイール42によっても微細化され、最後には排気マフラを介して外部に排出される。 【0055】その他の実施例:第1の実施例では、吸気制御バルブ20、EGRバルブ21、可変翼45の全ての閉制御する場合について説明したが、EGRバルブ21、可変翼45については、いずれか一方のみを閉制御してもよく、あるいは、双方の閉制御を実行しなくても良い。かかる場合には、排気管18に排出された排気ガスの反射の効果を得ることはできないが、吸気制御バルブ20を閉制御することによって、シリンダ12内の負圧を増大することはできるので、フィルタ30からアッシュSHを剥離させることはできる。 【0056】第1の実施例では、過給器40を備えるエンジン10を例にとって説明したが、過給器40を備えないエンジン10も存在する。この場合には、吸気制御バルブ20、EGRバルブ21の閉制御によってフィルタ30に堆積したアッシュSHを剥離させることができる。かかる条件下では、排気管18からシリンダ12への波動を伴う排気ガスの逆流波の効果を得難いが、例えば、吸気制御バルブ20の吸気絞りの程度を大きくしたり、吸気制御バルブ20、EGRバルブ21の閉制御の頻度を増やすことによって、アッシュSHをフィルタ30からより確実に除去することができる。 【0057】以上、いくつかの実施例に基づき本発明に係る内燃機関の排気ガス浄化装置を説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。 【0058】例えば、上記第1の実施例において、排気ポート161とフィルタ30との距離、フィルタ30と可変翼45との距離が、フィルタ30、可変翼45からの逆流排気ガスの波動が排気管18をフィルタ30,可変翼45に向かって流れる正流排気ガスの波動によってより増幅されるような距離に設定され得ることはもちろんである。 【0059】上記実施例では、コモンレール式のインジェクタIJ、および過給器40を粗なるディーゼルエンジン10を用いて説明したが、従来より用いられている分配式のインジェクションポンプを備えるエンジン、あるいは、過給器40を備えないエンジンに対しても適用され得ることは言うまでもない。さらに、上記実施例ではエンジンとしてディーゼルエンジンを用いて説明したが、一般的なガソリンエンジンに対しても適用し得るのはもちろんである。 【0060】第1の実施例において用いたフィルタ30の構造は例示に過ぎず、本発明に係る内燃機関の排気ガス浄化装置は、他の構造のフィルタを用いても、フィルタに堆積したアッシュを除去することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003207 【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年11月24日(2000.11.24) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100096817 【弁理士】 【氏名又は名称】五十嵐 孝雄 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−161727(P2002−161727A) |
| 【公開日】 |
平成14年6月7日(2002.6.7) |
| 【出願番号】 |
特願2000−357480(P2000−357480) |
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