| 【発明の名称】 |
排気ガス浄化装置及びその製造方法、セラミックハニカム構造体の収容構造 |
| 【発明者】 |
【氏名】山田 啓二
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| 【要約】 |
【課題】被収容物の位置ずれや風蝕に起因するガス漏れが起こりにくく、しかも製造が簡単な排気ガス浄化装置を提供すること。
【解決手段】この排気ガス浄化装置1は、ケーシング8、マット状断熱材10及びセラミックハニカムフィルタ9を備える。管状のケーシング8は、内燃機関2の排気管6,7の途上に設けられ、排気ガスが流通可能になっている。ハニカムフィルタ9は、外周面9cにマット状断熱材10を巻き付けた状態でケーシング8内に収容される。ケーシング8は狭窄部21,22及び非狭窄部23を備える。狭窄部21,22はマット状断熱材10のガス流入側端部10a及びガス流出側端部10bに対応する箇所に配置されている。非狭窄部23は両狭窄部21,22間に配置されている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】内燃機関の排気管の途上に設けられるとともに排気ガスが流通可能な管状のケーシング内に、セラミックハニカムフィルタの外周面にマット状断熱材を巻き付けたものを収容した排気ガス浄化装置において、前記ケーシングは狭窄部を備えるとともに、前記狭窄部は前記マット状断熱材のガス流入側端部またはガス流出側端部に対応する箇所に配置されていることを特徴とする排気ガス浄化装置。 【請求項2】内燃機関の排気管の途上に設けられるとともに排気ガスが流通可能な管状のケーシング内に、セラミックハニカムフィルタの外周面にマット状断熱材を巻き付けたものを収容した排気ガス浄化装置において、前記ケーシングは狭窄部及び非狭窄部を備えるとともに、前記狭窄部は前記マット状断熱材のガス流入側端部及びガス流出側端部に対応する箇所に配置され、前記非狭窄部は前記両狭窄部間に配置されていることを特徴とする排気ガス浄化装置。 【請求項3】前記狭窄部は、前記マット状断熱材の端部をその厚さ方向に圧縮していることを特徴とする請求項1または2に記載の排気ガス浄化装置。 【請求項4】前記狭窄部における前記マット状断熱材の最小厚さは、前記ケーシングの非狭窄部における前記マット状断熱材の厚さの1/4〜3/4であることを特徴とする請求項3に記載の排気ガス浄化装置。 【請求項5】前記狭窄部は、前記マット状断熱材の端縁に対して同マット状断熱材の層方向から接触していることを特徴とする請求項1または2に記載の排気ガス浄化装置。 【請求項6】前記セラミックハニカムフィルタの外周面に凹凸を設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の排気ガス浄化装置。 【請求項7】前記セラミックハニカムフィルタは、多孔質炭化珪素焼結体からなる複数の角柱状ハニカムフィルタ個片の外周面同士をセラミック質からなるシール材ペースト層を介して接着して一体化したものを、全体として断面略円形状または断面略楕円形状に外形カットしてなるものであることを特徴とする請求項6に記載の排気ガス浄化装置。 【請求項8】請求項1乃至7のいずれか1項に記載の排気ガス浄化装置を製造する方法であって、セラミックハニカムフィルタの外周面にマット状断熱材を巻き付けたものを、金属からなる筒状の素材内に収容し、この状態で前記素材に対する塑性加工を行うことにより前記素材に前記狭窄部を形成することを特徴とする排気ガス浄化装置の製造方法。 【請求項9】流体が流通可能な管状のケーシング内に、セラミックハニカム構造体の外周面にマット状物を巻き付けたものを収容した構造において、前記ケーシングは狭窄部を備えるとともに、前記狭窄部は前記マット状物の流体流入側端部または流体流出側端部に対応する箇所に配置されていることを特徴とするセラミックハニカム構造体の収容構造。 【請求項10】流体が流通可能な管状のケーシング内に、セラミックハニカム構造体の外周面にマット状物を巻き付けたものを収容した構造において、前記ケーシングは狭窄部及び非狭窄部を備えるとともに、前記狭窄部は前記マット状物の流体流入側端部及び流体流出側端部に対応する箇所に配置され、前記非狭窄部は前記両狭窄部間に配置されていることを特徴とするセラミックハニカム構造体の収容構造。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、排気ガス浄化装置及びその製造方法、セラミックハニカム構造体の収容構造に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、多様多種の排気ガス浄化装置が提案されている。図9にその一例を示す。この排気ガス浄化装置31を構成するケーシング32は、エンジンの排気管33の途上に設けられる。同図におけるケーシング32は、等断面形状の金属製円筒状部材32aの両端開口に、一対の金属製円錐状部材32bを嵌合した構成となっている。このようなケーシング32内には、外周面にマット状断熱材34を巻き付けられた状態のセラミックハニカムフィルタ35が収容されている。ハニカムフィルタ35は、自身の軸線方向に沿って延びる多数のセル36を有している。従って、ケーシング32内を流れる排気ガスがハニカムフィルタ35を通り抜ける際、そのセル36のセル壁に粒子状物質(PM)がトラップされる。その結果、排気ガス中からPMが除去され、排気ガスが浄化されるようになっている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところが、ハニカムフィルタ35をケーシング32にセットして排気ガスを流通させた場合、PMの捕集量が多くなるほど、ハニカムフィルタ35のガス流入側端面35aにかかるガス圧(背圧)が上昇する。そして、背圧の値が大きくなると、被収容物(ハニカムフィルタ35及びマット状断熱材34)が本来の保持位置からガス流出側方向に位置ずれしてしまう。この場合、ケーシング32の内周面とマット状断熱材34との間に隙間が発生し、結果としてガスリークが生じやすくなってしまう。 【0004】これを防止する対策としては、例えばマット状断熱材34を通常よりも厚めに巻いておくことにより、ハニカムフィルタ35をケーシング32内に圧入する際の面圧を高く設定するということが考えられる。しかし、このような製造方法を採った場合、ハニカムフィルタ35の圧入作業が困難になり、結果的に製造しにくいものとなってしまう。 【0005】また、近年において排気ガスの温度は高くなる傾向にある。このため、マット状断熱材34のガス流入側端部が高温に晒されることにより、当該部位が短期間のうちに風蝕されてしまう。そして、このこともガスリークを発生させる原因となっている。 【0006】本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その第1の目的は、被収容物の位置ずれや風蝕に起因するガス漏れが起こりにくく、しかも製造が簡単な排気ガス浄化装置を提供することにある。 【0007】本発明の第2の目的は、上記の優れた排気ガス浄化装置の製造に好適な方法を提供することにある。本発明の第3の目的は、被収容物の位置ずれに起因する流体漏れが起こりにくく、しかも製造が簡単なセラミックハニカム構造体の収容構造を提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、内燃機関の排気管の途上に設けられるとともに排気ガスが流通可能な管状のケーシング内に、セラミックハニカムフィルタの外周面にマット状断熱材を巻き付けたものを収容した排気ガス浄化装置において、前記ケーシングは狭窄部を備えるとともに、前記狭窄部は前記マット状断熱材のガス流入側端部またはガス流出側端部に対応する箇所に配置されていることを特徴とする排気ガス浄化装置をその要旨とする。 【0009】請求項2に記載の発明では、内燃機関の排気管の途上に設けられるとともに排気ガスが流通可能な管状のケーシング内に、セラミックハニカムフィルタの外周面にマット状断熱材を巻き付けたものを収容した排気ガス浄化装置において、前記ケーシングは狭窄部及び非狭窄部を備えるとともに、前記狭窄部は前記マット状断熱材のガス流入側端部及びガス流出側端部に対応する箇所に配置され、前記非狭窄部は前記両狭窄部間に配置されていることを特徴とする排気ガス浄化装置をその要旨とする。 【0010】請求項3の発明は、請求項1または2において、前記狭窄部は、前記マット状断熱材の端部をその厚さ方向に圧縮しているとした。請求項4の発明は、請求項3において、前記狭窄部における前記マット状断熱材の最小厚さは、前記ケーシングの非狭窄部における前記マット状断熱材の厚さの1/4〜3/4であるとした。 【0011】請求項5に記載の発明は、請求項1または2において、前記狭窄部は、前記マット状断熱材の端縁に対して同マット状断熱材の層方向から接触しているとした。 【0012】請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項において、前記セラミックハニカムフィルタの外周面に凹凸を設けた。請求項7に記載の発明は、請求項6において、前記セラミックハニカムフィルタは、多孔質炭化珪素焼結体からなる複数の角柱状ハニカムフィルタ個片の外周面同士をセラミック質からなるシール材ペースト層を介して接着して一体化したものを、全体として断面略円形状または断面略楕円形状に外形カットしてなるものであるとした。 【0013】請求項8に記載の発明では、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の排気ガス浄化装置を製造する方法であって、セラミックハニカムフィルタの外周面にマット状断熱材を巻き付けたものを、金属からなる筒状の存在内に収容し、この状態で前記素材に対する塑性加工を行うことにより前記素材に前記狭窄部を形成することを特徴とする排気ガス浄化装置の製造方法をその要旨とする。 【0014】請求項9に記載の発明では、流体が流通可能な管状のケーシング内に、セラミックハニカム構造体の外周面にマット状物を巻き付けたものを収容した構造において、前記ケーシングは狭窄部を備えるとともに、前記狭窄部は前記マット状物の流体流入側端部または流体流出側端部に対応する箇所に配置されていることを特徴とするセラミックハニカム構造体の収容構造をその要旨とする。 【0015】請求項10に記載の発明では、流体が流通可能な管状のケーシング内に、セラミックハニカム構造体の外周面にマット状物を巻き付けたものを収容した構造において、前記ケーシングは狭窄部及び非狭窄部を備えるとともに、前記狭窄部は前記マット状物の流体流入側端部及び流体流出側端部に対応する箇所に配置され、前記非狭窄部は前記両狭窄部間に配置されていることを特徴とするセラミックハニカム構造体の収容構造をその要旨とする。 【0016】以下、本発明の「作用」について説明する。請求項1に記載の発明によると、ケーシングに設けられた狭窄部により、マット状断熱材のガス流入側端部またはガス流出側端部が確実に保持される結果、被収容物全体がガス流出側方向に位置ずれしにくくなる。また、マット状断熱材のガス流入側端部が狭窄部により保持される結果、排気ガスの影響を受けにくくなり、当該部位に風蝕が起こりにくくなる。さらに、本発明によれば、高い面圧の確保のために、例えばハニカムフィルタに対してマット状断熱材を通常より厚めに巻いておく等の対策も不要になる。よって、被収容物の圧入作業を比較的簡単に行うことが可能である。 【0017】請求項2に記載の発明によると、被収容物の保持力がよりいっそうアップすることにより、被収容物全体のガス流出側方向への位置ずれをより確実に防止することができる。 【0018】請求項3の発明によると、狭窄部によってマット状断熱材の端部がその厚さ方向に圧縮されることにより、当該部位の嵩密度が高くなる。その結果、当該部位において高い面圧が得られ、被収容物を保持する力が確実にアップする。また、狭窄部によってマット状断熱材のガス流入側端部がその厚さ方向に圧縮されている場合、嵩密度の上昇によって排気ガスが当該部位に侵入しにくくなる。このため、ガス流入側端部における風蝕が確実に防止される。 【0019】請求項4の発明によると、ハニカムフィルタの破壊を回避しつつ高い保持力を得ることができる。上記最小厚さが上記厚さの1/4未満であると、マット状断熱材の端部の嵩密度を大きくすることができる反面、ハニカムフィルタの特定部位に応力が集中してハニカムフィルタが破壊しやすくなるおそれがある。逆に、上記最小厚さが上記厚さの3/4以上であると、マット状断熱材の端部の嵩密度を十分に大きくすることができず、当該部位において高い面圧を得にくくなるおそれがある。 【0020】請求項5に記載の発明によると、マット状断熱材のガス流出側端縁に対して同マット状断熱材の層方向から狭窄部が接触した構造であると、被収容物のガス流出側方向への移動が規制され、その方向への位置ずれが確実に防止される。また、マット状断熱材のガス流入側端縁に対して同マット状断熱材の層方向から狭窄部が接触した構造であると、当該端縁が狭窄部によってある程度隠された状態となる。ゆえに、当該端縁が排気ガスに晒されにくくなり、マット状断熱材のガス流入側端部の風蝕が確実に防止される。 【0021】請求項6に記載の発明によると、ハニカムフィルタの外周面に設けられた凹凸に対してマット状断熱材が変形して追従する。この結果、好適なアンカー効果が得られ、マット状断熱材がハニカムフィルタを保持する力がアップする。ゆえに、ハニカムフィルタとマット状断熱材との間に位置ずれが生じにくくなる。 【0022】請求項8に記載の発明によると、塑性加工を行うことにより、金属からなる筒状の素材が塑性変形を起こす。このため、素材の所定部位に狭窄部を比較的簡単にかつ確実に形成することができる。また、被収容物の収容後に塑性加工を行う方法であるため、ケーシング内に被収容物を無理矢理圧入することが特に要求されず、被収容物の圧入作業を比較的簡単に行うことが可能である。 【0023】請求項9に記載の発明によると、ケーシングに設けられた狭窄部により、マット状物の流体流入側端部または流体流出側端部が確実に保持される結果、被収容物全体が流体流出側方向に位置ずれしにくくなる。さらに、本発明によれば、高い面圧の確保のために、例えばハニカム構造体に対してマット状物を通常より厚めに巻いておく等の対策も不要になる。よって、被収容物の圧入作業を比較的簡単に行うことが可能である。 【0024】請求項10に記載の発明によると、被収容物の保持力がよりいっそうアップすることにより、被収容物全体の流体流出側方向への位置ずれをより確実に防止することができる。 【0025】 【発明の実施の形態】以下、本発明を具体化した一実施形態のディーゼルエンジン用の排気ガス浄化装置1を、図1〜図5に基づき詳細に説明する。 【0026】図1に示されるように、この排気ガス浄化装置1は、内燃機関としてのディーゼルエンジン2から排出される排気ガスを浄化するための装置である。ディーゼルエンジン2は、図示しない複数の気筒を備えている。各気筒には、金属材料からなる排気マニホールド3の分岐部4がそれぞれ連結されている。各分岐部4は1本のマニホールド本体5にそれぞれ接続されている。従って、各気筒から排出された排気ガスは一箇所に集中する。 【0027】排気マニホールド3の下流側には、金属材料からなる第1排気管6及び第2排気管7が配設されている。第1排気管6の上流側端は、マニホールド本体5に連結されている。第1排気管6と第2排気管7との間には、同じく金属材料(具体的にはステンレス)からなる管状のケーシング8が配設されている。なお、ここで使用される金属材料としてはステンレスに限定されることはなく、塑性を有するものであればそれ以外の金属材料を選択しても勿論よい。ただし、排気管6,7の途上に設けられるという性質上、耐熱性や機械的強度に優れる金属材料が選択されることが望ましい。 【0028】本実施形態のケーシング8は、筒状の素材である単純形状をした金属製パイプ8A(図4参照)を出発材料とし、それに対する塑性加工を行うことにより製造されたものである。従って、このケーシング8は、1つの部材により構成された、いわゆる1ピース構造となっている。 【0029】図1,図2に示されるように、前記ケーシング8は、狭窄部21,22、非狭窄部23、フランジ部24,25、及び円錐部26,27を備えている。非狭窄部23は金属製パイプ8A本来の径に相当する箇所であって、ケーシング8の中央部に位置している。そして、ケーシング8における中央部内側には、被収容物(即ちセラミックハニカムフィルタ9の外周面9cにマット状断熱材10を巻き付けたもの)が収容されている。第1狭窄部21は、非狭窄部23のすぐガス流入側(図1,図2の左側)の位置に隣接している。第2狭窄部22は、非狭窄部23のすぐガス流出側(図1,図2の右側)の位置に隣接している。第1フランジ部24はケーシング8のガス流入側開口に設けられ、第2フランジ部25はケーシング8のガス流出側開口に設けられている。第1円錐部26は第1狭窄部21と第1フランジ部24との間に設けられ、第2円錐部27は第2狭窄部22と第2フランジ部25との間に設けられている。 【0030】第1フランジ部24は第1排気管6の下流側端に連結され、第2フランジ部25は第2排気管7の上流側端に連結されている。排気管6,7の途上にケーシング8が配設されていると把握することもできる。そして、この結果、第1排気管6、ケーシング8及び第2排気管7の内部領域が互いに連通し、その中を流体としての排気ガスが流通可能となっている。 【0031】図1,図2に示されるように、ハニカムフィルタ9の外周面9cとケーシング8の内周面との間にできるギャップには、マット状物としてのマット状断熱材10が配設されている。 【0032】本実施形態のマット状断熱材10は、耐熱性の無機繊維を主材料として形成されたものであることがよい。好適な耐熱性無機繊維としては、例えばアルミナ−シリカ系セラミックファイバ等がある。この他、例えば結晶質アルミナファイバ、シリカファイバ、ロックウール、ガラスファイバ、カーボンファイバ等を用いてもよい。なお、このマット状断熱材10中には有機バインダが含浸されていてもよい。 【0033】マット状断熱材10は弾性及び熱膨張性を有していることがよい。ここでいう熱膨張性とは、弾性構造を有するため熱応力を解放する機能があることを指す。その理由は、ハニカムフィルタ9の最外周部から熱が逃げることを防止することにより、再生時のエネルギーロスを最小限に抑えるためである。また、再生時の熱によって膨張させることにより、排気ガスの圧力や走行による振動等のもたらすガタツキを解消するためである。 【0034】図1,図2に示されるように、第1狭窄部21はマット状断熱材10のガス流入側端部10aに対応する箇所に配置されるとともに、ガス流入側端部10aをその厚さ方向(言い換えるとハニカムフィルタ9の径方向)に圧縮している。第2狭窄部22はマット状断熱材10のガス流出側端部10bに対応する箇所に配置されるとともに、ガス流出側端部10bをその厚さ方向に圧縮している。 【0035】両狭窄部21,22間に位置する非狭窄部23も、当該部位におけるマット状断熱材10をある程度は圧縮しているものの、その圧縮度合いは両狭窄部21,22におけるそれに比べて相対的に小さくなっている。 【0036】両狭窄部21,22におけるマット状断熱材10の最小厚さt1は、ケーシング8の非狭窄部23におけるマット状断熱材10の厚さt2の1/4〜3/4、さらには1/3〜2/3程度であることがよい。 【0037】上記最小厚さt1が上記厚さt2の1/4未満であると、マット状断熱材10の端部10a,10bの嵩密度を圧縮によって十分大きくすることができる。その反面、ハニカムフィルタ9の特定部位に応力が集中してハニカムフィルタ9が破壊しやすくなるおそれがある。逆に、上記最小厚さt1が上記厚さt2の3/4以上であると、マット状断熱材10の端部10a,10bの嵩密度を十分に大きくすることができず、当該部位において高い面圧を得にくくなるおそれがある。 【0038】また、組み付け状態において、狭窄部21,22におけるマット状断熱材10の嵩密度は、非狭窄部23におけるマット状断熱材10の嵩密度の1.1倍〜3倍、さらには1.5倍〜2倍程度に設定されることがよい。特に、狭窄部21,22におけるマット状断熱材10の嵩密度(具体的には最も圧縮されている箇所の嵩密度)は0.30g/cm3〜0.50g/cm3程度になることがよい。上記嵩密度が0.30g/cm3未満の場合には、マット状断熱材10の端部10a,10bにおいて高い面圧を得にくくなるおそれがある。逆に、上記嵩密度が0.50g/cm3を超えるようにしようとすると、ハニカムフィルタ9の特定部位に応力が集中してハニカムフィルタ9が破壊しやすくなるおそれがある。 【0039】ここで、マット状断熱材10の幅、即ちハニカムフィルタ9の軸縁方向に沿った長さを、L1とする。マット状断熱材10において嵩密度が相対的に高くなっている部位、即ち狭窄部21,22によって圧縮されている部位の長さ(1つ分の長さ)を、L2とする。この場合、L1に占めるL2の割合は1/20〜1/4であることがよく、さらには1/10〜1/5程度であることがよい。 【0040】また、本実施形態において用いられるセラミックハニカムフィルタ9は、上記のごとくディーゼルパティキュレートを除去するものであるため、一般にディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)と呼ばれる。図2等に示されるように、本実施形態のハニカムフィルタ9は、複数個のフィルタ個片F1を束ねて一体化することによって形成されている。ハニカムフィルタ9の中心部分に位置するフィルタ個片F1は四角柱状であって、その外形寸法は33mm×33mm×167mmである。四角柱状のフィルタ個片F1の周囲には、四角柱状でない異型のフィルタ個片F1が複数個配置されている。その結果、全体としてみると円柱状のハニカムフィルタ9(直径135mm前後)が構成されている。 【0041】本実施形態においてこれらのフィルタ個片F1は、セラミック焼結体の一種である多孔質炭化珪素焼結体製である。炭化珪素焼結体(SiC焼結体)を採用した理由は、他のセラミックに比較して、とりわけ耐熱性及び熱伝導性に優れるという利点があるからである。炭化珪素以外の焼結体として、例えば窒化珪素、サイアロン、アルミナ、コーディエライト、ムライト等の焼結体を選択することもできる。 【0042】図2に示されるように、これらのフィルタ個片F1は、いわゆるハニカム構造を有している。このようなハニカム構造を採用した理由は、PMの捕集量が増加したときでも圧力損失が小さいという利点があるからである。各フィルタ個片F1には、断面略正方形状をなす複数の貫通孔12がその軸線方向に沿って規則的に形成されている。各貫通孔12は薄いセル壁13によって互いに仕切られている。セル壁13の外表面には、白金族元素(例えばPt等)やその他の金属元素及びその酸化物等からなる酸化触媒が担持されている。各貫通孔12の開口部は、いずれか一方の端面9a,9bの側において封止体14(ここでは多孔質炭化珪素焼結体)により封止されている。従って、端面9a,9b全体としてみると市松模様状を呈している。その結果、フィルタ個片F1には、断面四角形状をした多数のセルが形成されている。セルの密度は200個/インチ前後に設定され、セル壁13の厚さは0.3mm前後に設定され、セルピッチは1.8mm前後に設定されている。多数あるセルのうち、約半数のものはガス流入側端面9aにおいて開口し、残りのものはガス流出側端面9bにおいて開口している。 【0043】図2等に示されるように、合計16個のフィルタ個片F1は、外周面同士がセラミック質からなるシール材ペースト層15を介して互いに接着されている。また、これらフィルタ個片F1を接着してなるフィルタ9の外周面9cにも、同様にセラミック質からなるシール材ペースト層16が設けられている。 【0044】前記シール材ペースト層15,16は、少なくとも無機繊維、無機バインダ、有機バインダ及び無機粒子からなり、かつ三次元的に交錯する前記無機繊維と無機粒子とを、前記無機バインダ及び有機バインダを介して互いに結合してなる弾性質素材のシール材ペーストを用いて形成されることが望ましい。 【0045】前記無機繊維としては、シリカ−アルミナファイバ、ムライトファイバ、アルミナファイバ及びシリカファイバから選ばれる少なくとも1種以上のセラミックファイバが挙げられる。これらのなかでも、特にシリカ−アルミナセラミックファイバを選択することが望ましい。シリカ−アルミナセラミックファイバは、弾性に優れるとともに熱応力を吸収する作用を示すからである。 【0046】前記無機バインダとしては、シリカゾル及びアルミナゾルから選ばれる少なくとも1種以上のコロイダルゾルが望ましい。そのなかでも、特にシリカゾルを選択することが望ましい。その理由は、シリカゾルは入手しやすく、焼成により容易にSiO2 となるため、高温領域での接着剤として好適だからである。しかも、シリカゾルは絶縁性に優れているからである。 【0047】前記有機バインダとしては親水性有機高分子が好ましく、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース及びカルボメトキシセルロースから選ばれる少なくとも1種以上の多糖類がより好ましい。これらのなかでも、特にカルボキシメチルセルロースを選択することが望ましい。その理由は、カルボキシメチルセルロースは、シール材ペーストに好適な流動性を付与するため、常温領域において優れた接着性を示すからである。 【0048】前記無機粒子としては、炭化珪素、窒化珪素及び窒化硼素から選ばれる少なくとも1種以上の無機粉末またはウィスカーを用いた弾性質素材であることが好ましい。このような炭化物や窒化物は、熱伝導率が非常に大きく、セラミックファイバ表面やコロイダルゾルの表面及び内部に介在して熱伝導性の向上に寄与するからである。特に、上記炭化物及び窒化物の無機粒子のなかでも、特に炭化珪素粉末を選択することが望ましい。その理由は、炭化珪素は熱伝導率が極めて高いことに加え、セラミックファイバと馴染みやすいという性質があるからである。しかも、本実施形態では、被シール体であるフィルタ個片F1が同種のもの、即ち多孔質炭化珪素製だからである。 【0049】なお、前記2箇所におけるシール材ペースト層15,16は、同種の材料を用いて形成されることが望ましく、特には全く同じ材料を用いて形成されることが極めて望ましい。 【0050】図2(b)に示されるように、シール材ペースト層16の外表面には凹凸18が設けられているため、滑面ではなく粗面になっている。なお、この凹凸18は微細なものであって、かつシール材ペースト層16の外表面において均一に分布している。凹凸18がある面の表面粗さRaは0.1mm〜0.5mmであることがよく、好ましくは0.2mm〜0.4mmであることがよい。 【0051】Raが0.1mm未満であると、好適なアンカー効果が得られなくなり、マット状断熱材10がハニカムフィルタ9を保持する力が十分に確保されなくなるおそれがある。逆に、Raが0.5mmを超えると、凹凸18に対するマット状断熱材10の追従が不十分になる結果、場所によって面圧にばらつきが生じるおそれがある。ゆえに、フィルタ9とマット状断熱材10との間に隙間ができ、排気ガスのリークが生じやすくなるおそれがある。 【0052】シール材ペースト層16の厚さは、0.5mm〜5mmであることがよい。シール材ペースト層16が薄すぎると、自身の外表面に前記の好適な粗面を形成することが困難になるおそれがある。また、外形カットにより生じるハニカムフィルタ9の外周面9cの溝17を完全に埋めて凹凸を解消することができず、依然としてそこに隙間が残りやすくなる。逆に、シール材ペースト層16を厚くしようとすると、層形成が困難になったり、ハニカムフィルタ9全体が大径化したりするおそれがある。 【0053】次に、上記の排気ガス浄化装置1を製造する手順を図3〜図5に基づいて説明する。まず、押出成形工程で使用するセラミック原料スラリー、端面封止工程で使用する封止用ペースト、フィルタ接着工程及び外周部溝埋め工程で使用するシール材ペーストをあらかじめ作製しておく。 【0054】セラミック原料スラリーとしては、炭化珪素粉末に有機バインダ及び水を所定分量ずつ配合し、かつ混練したものを用いる。封止用ペーストとしては、炭化珪素粉末に有機バインダ、潤滑剤、可塑剤及び水を配合し、かつ混練したものを用いる。シール材ペーストとしては、無機繊維、無機バインダ、有機バインダ、無機粒子及び水を所定分量ずつ配合し、かつ混練したものを用いる。 【0055】次に、前記セラミック原料スラリーを押出成形機に投入し、かつ金型を介してそれを連続的に押し出す。その後、押出成形されたハニカム成形体を等しい長さに切断し、四角柱状のハニカム成形体切断片を得る。さらに、切断片の各セルの片側開口部に所定量ずつ封止用ペーストを充填し、各切断片の両端面を封止する。 【0056】続いて、温度・時間等を所定の条件に設定して本焼成を行い、ハニカム成形体切断片及び封止体14を完全に焼結させる。このようにして得られる多孔質炭化珪素焼結体製のフィルタ個片F1は、この時点ではまだ全てのものが四角柱状である。 【0057】次に、必要に応じてフィルタ個片F1の外周面にセラミック質からなる下地層を形成した後、さらにその上にシール材ペーストを塗布する。そして、このようなフィルタ個片F1を16個用い、その外周面同士を互いに接着して一体化する。この時点では、図3(a)に示されるように、ハニカムフィルタ9Aは全体として断面正方形状を呈している。 【0058】続く外形カット工程では、前記フィルタ接着工程を経て得られた断面正方形状のハニカムフィルタ9Aを研削し、外周部における不要部分を除去してその外形を整える。その結果、図3(b)に示されるように、断面円形状のハニカムフィルタ9が得られる。なお、外形カットによって新たに露出した面においては、セル壁13が部分的に剥き出しになり、結果として外周面9cに軸線方向に沿って連続的に延びる溝17ができる。本実施形態においてできる溝17は、深さ0.5mm〜1mm程度のものである。 【0059】続く外周部溝埋め工程では、前記シール材ペーストを用い、それをハニカムフィルタ9の外周面9cの上に均一に塗布する。その結果、図3(c)に示されるハニカムフィルタ9が完成する。 【0060】続くキャニング工程では、まず、シール材ペースト層16が形成されたハニカムフィルタ9の外周面9cにマット状断熱材10を巻き付け、両端部をテープで固定する(図4参照)。この状態のハニカムフィルタ9を金属製パイプ8A内の中央部に収容する。なお、前記ハニカムフィルタ9をある程度圧入するようにしておくことがよい。 【0061】そして、この状態で金属製パイプ8Aに対する塑性加工を行うことにより、所定部位に狭窄部21,22を形成する。その結果、マット状断熱材10を介してケーシング8内にハニカムフィルタ9が確実に保持された状態となり、所望の排気ガス浄化装置1が完成する。 【0062】前記塑性加工としては、材料の塑性を利用して目的の形状に成形する加工法を指し、例えばスピニング加工等がある。ここでスピニング加工とは、旋盤の主軸に成形型をセットし、それに素材を取り付けて回転し、へらまたはロールで押し付けながら成形型と同じ形状を作る加工法をいう。本実施形態において具体的には、まず、目的とするケーシング8の外部形状に対応する内部形状を有する成形型を旋盤の主軸にセットする。そして、この成形型に素材である金属製パイプ8Aを取り付けて、金属製パイプ8Aを軸線方向を中心として回転させつつロール等で押し付ける。従って、この加工法によれば、周方向に沿って連続した狭窄部21,22が得られるとともに、回転対称形状のケーシング8が製造される。 【0063】次に、上記の排気ガス浄化装置1によるPMトラップ作用について簡単に説明する。ケーシング8内に収容されたハニカムフィルタ9には、ガス流入側端面9aの側から排気ガスが供給される。第1排気管6を経て供給されてくる排気ガスは、まず、ガス流入側端面9aにおいて開口するセル内に流入する。次いで、この排気ガスはセル壁13を通過し、それに隣接しているセル、即ちガス流出側端面9bにおいて開口するセルの内部に到る。そして、排気ガスは、同セルの開口を介してフィルタ個片F1のガス流出側端面9bから流出する。しかし、排気ガス中に含まれるPMはセル壁13を通過することができず、そこにトラップされてしまう。その結果、浄化された排気ガスがフィルタ個片F1のガス流出側端面9bから排出される。浄化された排気ガスは、さらに第2排気管7を通過した後、最終的には大気中へと放出される。 【0064】 【実施例及び比較例】(1)α型炭化珪素粉末51.5重量%とβ型炭化珪素粉末22重量%とを湿式混合し、得られた混合物に有機バインダ(メチルセルロース)と水とをそれぞれ6.5重量%、20重量%ずつ加えて混練した。次に、前記混練物に可塑剤と潤滑剤とを少量加えてさらに混練したものを押出成形することにより、ハニカム状の生成形体を得た。 【0065】(2)次に、この生成形体をマイクロ波乾燥機を用いて乾燥した後、成形体の貫通孔12を多孔質炭化珪素焼結体製の封止用ペーストによって封止した。次いで、再び乾燥機を用いて封止用ペーストを乾燥させた。端面封止工程に続いて、この乾燥体を400℃で脱脂した後、さらにそれを常圧のアルゴン雰囲気下において2200℃で約3時間焼成した。その結果、多孔質でハニカム状の炭化珪素製のフィルタ個片F1を得た。 【0066】(3)セラミックファイバ(アルミナシリケートセラミックファイバ、ショット含有率3%、繊維長さ0.1mm〜100mm)23.3重量%、平均粒径0.3μmの炭化珪素粉末30.2重量%、無機バインダとしてのシリカゾル(ゾルのSiO2の換算量は30%)7重量%、有機バインダとしてのカルボキシメチルセルロース0.5重量%及び水39重量%を混合・混練した。この混練物を適当な粘度に調整することにより、シール材ペースト層15,16の形成に使用されるペーストを作製した。 【0067】(4)次に、フィルタ個片F1の外周面に前記ペーストを均一に塗布するとともに、フィルタ個片F1の外周面同士を互いに密着させた状態で、50℃〜100℃×1時間の条件にて乾燥・硬化させる。その結果、フィルタ個片F1同士をシール材ペースト層15を介して接着する。ここではシール材ペースト層15の厚さを1.0mmに設定した。 【0068】(5)次に、ダイヤモンドカッターによる外形カットを実施して外形を整えることにより、断面円形状のハニカムフィルタ9を作製した。この後、露出した外周面9cに対し、専用の板治具を用いて前記ペーストを均一に塗布した。そして、50℃〜100℃×1時間の条件で乾燥・硬化して、厚さ0.6mmのシール材ペースト層16を形成し、ハニカムフィルタ9を完成させた。 【0069】得られたハニカムフィルタ9の各所を肉眼で観察したところ、外周面9cの溝17はシール材ペースト層16によって完全に埋められており、シール材ペースト層16の外表面には微細な凹凸が均一に形成されていた。なお、微細な凹凸の表面粗さRaは約0.25mmであった。 【0070】(6)次に、ハニカムフィルタ9にマット状断熱材10を巻き付けて両端部をテープで固定した。この状態のハニカムフィルタ9を金属製パイプ8A内の中央部に圧入した。そして、この状態で上記のごとく金属製パイプ8Aに対するスピニング加工を行い、狭窄部21,22を形成した。その結果、マット状断熱材10を介してケーシング8内にハニカムフィルタ9が確実に保持された状態となり、所望の排気ガス浄化装置1を得た。 【0071】なお、実施例1では、t1/t2の値を2/3程度に設定し、L2/L1の値を1/8程度に設定した。組み付け状態における非狭窄部23におけるマット状断熱材10の嵩密度を0.15g/cm3に設定し、狭窄部21,22におけるマット状断熱材10の嵩密度を0.20g/cm3に設定した。 【0072】実施例2では、t1/t2の値を1/2程度に設定し、L2/L1の値を1/8程度に設定した。組み付け状態における非狭窄部23におけるマット状断熱材10の嵩密度を0.15g/cm3に設定し、狭窄部21,22におけるマット状断熱材10の嵩密度を0.25g/cm3に設定した。 【0073】実施例3では、t1/t2の値を1/3程度に設定し、L2/L1の値を1/8程度に設定した。組み付け状態における非狭窄部23におけるマット状断熱材10の嵩密度を0.15g/cm3に設定し、狭窄部21,22におけるマット状断熱材10の嵩密度を0.30g/cm3に設定した。 【0074】実施例4では、t1/t2の値を1/2程度に設定し、L2/L1の値を1/15程度に設定した。組み付け状態における非狭窄部23におけるマット状断熱材10の嵩密度を0.15g/cm3に設定し、狭窄部21,22におけるマット状断熱材10の嵩密度を0.25g/cm3に設定した。 【0075】一方、比較的では、スピニング加工を実施せずに製造を行うことにより、狭窄部21,22を持たない排気ガス浄化装置1を得た。前記5種のものについて実際に排気ガスを一定時間供給した後、ハニカムフィルタ9とマット状断熱材10との位置ずれ、及びマット状断熱材10とケーシング8との位置ずれの発生状況を調査した。その結果、実施例1〜4では位置ずれが何ら認められなかった。これに対し比較例では、マット状断熱材10とケーシング8との間に位置ずれが発生し、被収容物が全体的に下流側に移動していた。 【0076】また、ガス流入側端部10aにおける風蝕の発生状況についても調査したところ、実施例1〜4では風蝕の発生は何ら認められなかった。これに対し比較例では、当該部位に風蝕が発生しているものがあった。 【0077】さらに、ハニカムフィルタ9とマット状断熱材10との間や、マット状断熱材10とケーシング8との間における隙間の有無を、排気ガスの供給開始前及び供給終了後においてそれぞれ調査した。その結果、実施例1〜4については、供給開始前及び供給終了後のいずれの時点においても隙間が認められなかった。一方、比較例については、供給開始前において隙間が認められなかったのに対し、供給終了後の時点では位置ずれや風蝕によって隙間が生じているのが確認された。ゆえに、その隙間を介してガスリークが生じやすい状態となっていた。 【0078】従って、本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。 (1)本実施形態の排気ガス浄化装置1では、ケーシング8に第1狭窄部21及び第2狭窄部22を設けている。そして、第1狭窄部21をマット状断熱材10のガス流入側端部10aに対応する箇所に配置し、第2狭窄部22をマット状断熱材10のガス流出側端部10bに対応する箇所に配置している。 【0079】従って、狭窄部21,22によって両端部10a,10bが確実に保持される結果、被収容物全体がガス流出側方向に位置ずれしにくくなる。しかも、ガス流入側端部10aが第1狭窄部21により保持される結果、排気ガスの影響を受けにくくなり、当該部位に風蝕が起こりにくくなる。以上のことから、位置ずれや風蝕に起因する排気ガスのリークを確実に防止することができる。 【0080】さらに、本実施形態の排気ガス浄化装置1によれば、高い面圧の確保のために、例えばハニカムフィルタ9に対してマット状断熱材10を通常より厚めに巻いておく等の対策も不要になる。よって、被収容物の圧入作業を比較的簡単に行うことが可能になり、製造が簡単な排気ガス浄化装置1とすることができる。 【0081】(2)この排気ガス浄化装置1では、狭窄部21,22がマット状断熱材10の両端部10a,10bをその厚さ方向に圧縮した構造となっている。このため、マット状断熱材10の両端部10a,10bの嵩密度が、マット状断熱材10のそれ以外の部位の嵩密度に比べて相対的に高くなる。その結果、両端部10a,10bにおいて高い面圧が得られ、被収容物を保持する力が確実にアップするようになっている。また、ガス流入側端部10aの圧縮によって嵩密度が高くなることから、排気ガスが当該部位に侵入しにくくなる。このため、ガス流入側端部10aにおける風蝕を確実に防止することができる。 【0082】(3)この排気ガス浄化装置1では、t1/t2の値を上記好適範囲内にて設定している。ゆえに、ハニカムフィルタ9の破壊を回避しつつ高い保持力を得ることができる。 【0083】(4)この排気ガス浄化装置1では、ハニカムフィルタ9の外周面9cに微細な凹凸18を設けているため、この凹凸18に対してマット状断熱材10が変形して追従するようになっている。この結果、好適なアンカー効果が得られ、マット状断熱材10がハニカムフィルタ9を保持する力がアップする。ゆえに、マット状断熱材10とケーシング8との間の位置ずれのみならず、ハニカムフィルタ9とマット状断熱材10との間の位置ずれも生じにくくなる。 【0084】(5)本実施形態のケーシング8は1ピース構造となっている。ゆえに、従来のケーシングとは異なり部材間に継ぎ目が存在しないため、継ぎ目部分からの外部へのガスリークといった心配がない。また、そもそも部品点数が少ないことに加え、連結具等が不要であるため、構造が簡単になるというメリットがある。しかも、振動による構成部品間のガタツキといった問題も解消されるため、極めて信頼性に優れたものとなる。 【0085】(6)本実施形態の製造方法によれば、スピニング加工を行うことにより金属製パイプ8Aを塑性変形させることを特徴としている。このため、金属製パイプ8Aの所定部位に狭窄部21,22を比較的簡単にかつ確実に形成することができる。また、被収容物の収容後にスピニング加工を行う方法であるため、ケーシング8内に被収容物を無理矢理圧入することが特に要求されない。ゆえに、被収容物の圧入作業を比較的簡単に行うことが可能となる。即ち、本実施形態の製造方法は、上記の優れた排気ガス浄化装置1の製造に好適であるということができる。 【0086】(7)また、スピニング加工に代表される塑性加工によれば、ケーシング8の製造時に切削くず等が出ることもなく、本質的に省資源であるという利点がある。しかも、この種の加工によれば、同一寸法の製品を大量に生産することが可能であるという利点がある。 【0087】なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。 ・ 図6に示される別例では、前記実施形態のものと形状等が異なる狭窄部28,29が形成されている。第1狭窄部28の内側面は、マット状断熱材10のガス流入側端部10aの端縁に対して、同マット状断熱材10の層方向(即ち図6にて示す矢印A1方向)から接触している。第2狭窄部29の内側面は、マット状断熱材10のガス流出側端部10bの端縁に対して、同マット状断熱材10の層方向(即ち図6にて示す矢印A2方向)から接触している。このような構造であると、第2狭窄部29の存在によって被収容物のガス流出側方向への移動が規制され、その方向への位置ずれを確実に防止することができる。また、マット状断熱材10のガス流入側端縁が、第1狭窄部28によって半分程度隠された状態となる。ゆえに、当該端縁が排気ガスに晒されにくくなり、マット状断熱材10のガス流入側端部10aの風蝕を確実に防止することができる。 【0088】・ 狭窄部21,22は必ずしもケーシング8の2箇所に設けられていなくてもよく、1箇所のみに設けられていてもよい。例えば、図7に示す別例では第2狭窄部22のみが設けられ、図8に示す別例では第1狭窄部21のみが設けられている。また、前記図6の別例において第1狭窄部28を省略した構成や、第2狭窄部29を省略した構成とすることも可能である。 【0089】・ 狭窄部21,22,28,29は、必ずしもケーシング8の周方向に沿って連続して形成されていなくてもよく、不連続状に形成されていてもよい。なお、実施形態にて示したスピニング加工によるケーシング8の製造が可能である観点からすると、不連続形状よりも連続形状のほうが有利であるといえる。 【0090】・ 狭窄部21,22,28,29の形状は実施形態や前記別例のものに限定されることはなく、任意に変更することが可能である。 ・ 狭窄部21,22,28,29を得るための塑性加工は、スピニング加工のみに限定されることはなく、他の塑性加工(例えばプレス加工、ロール成形加工等)であってもよい。 【0091】・ ケーシング8の材料となる金属製筒状素材は、実施形態の金属製パイプ8Aのような完全な筒体のみに限定されることはなく、例えば外周面の一部が切れて開口した金属製筒状素材、即ち不完全な筒体であっても構わない。 【0092】・ 外形カット工程前におけるフィルタ個片F1の形状は、実施形態のような四角柱状に限定されることはなく、三角柱状や六角柱状等であっても構わない。また、外形カット工程によってハニカムフィルタ9Aの全体形状を断面円形状に加工するのみならず、例えば断面楕円形状等に加工してもよい。 【0093】・ 実施形態においては、本発明のセラミックハニカム構造体を、ディーゼルエンジン2に取り付けられる排気ガス浄化装置用のハニカムフィルタ9として具体化していた。勿論、本発明の構造体は、排気ガス浄化装置用のハニカムフィルタ以外のものとして具体化されることができ、例えば熱交換器用部材、高温流体や高温蒸気のための濾過フィルタ、さらには触媒コンバータ等として具体化されることができる。また、マット状物は必ずしも断熱機能を有していなくてもよい。 【0094】次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。 (1) 請求項1乃至7のいずれか1つにおいて、前記狭窄部における前記マット状断熱材の嵩密度は、前記ケーシングの非狭窄部における前記マット状断熱材の嵩密度の1.1倍〜3倍であること。従って、この技術的思想1に記載の発明によれば、ハニカムフィルタの破壊を回避しつつ高い保持力を得ることができる。 【0095】(2) 請求項1乃至7、技術的思想1のいずれか1つにおいて、前記狭窄部における前記マット状断熱材の嵩密度は0.30g/cm3〜0.50g/cm3であること。従って、この技術的思想2に記載の発明によれば、ハニカムフィルタの破壊を回避しつつ高い保持力を得ることができる。 【0096】(3) 内燃機関の排気管の途上に設けられるとともに排気ガスが流通可能な管状のケーシング内に、セラミックハニカムフィルタの外周面にマット状断熱材を巻き付けたものを収容した排気ガス浄化装置において、前記ケーシングは前記マット状断熱材をその厚さ方向に圧縮する第1及び第2断熱材圧縮部を備えるとともに、前記第1断熱材圧縮部は前記マット状断熱材のガス流入側端部及び/またはガス流出側端部に対応する箇所に配置され、前記第2断熱材圧縮部は前記第1断熱材圧縮部よりも小さい圧縮力で前記マット状断熱材を圧縮していることを特徴とする排気ガス浄化装置。 【0097】 【発明の効果】以上詳述したように、請求項1〜7に記載の発明によれば、被収容物の位置ずれや風蝕に起因するガス漏れが起こりにくく、しかも製造が簡単な排気ガス浄化装置を提供することができる。 【0098】請求項8に記載の発明によれば、上記の優れた排気ガス浄化装置の製造に好適な方法を提供することができる。請求項9,10に記載の発明によれば、被収容物の位置ずれに起因する流体漏れが起こりにくく、しかも製造が簡単なセラミックハニカム構造体の収容構造を提供することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000158 【氏名又は名称】イビデン株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年11月29日(2000.11.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100068755 【弁理士】 【氏名又は名称】恩田 博宣 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−161726(P2002−161726A) |
| 【公開日】 |
平成14年6月7日(2002.6.7) |
| 【出願番号】 |
特願2000−363041(P2000−363041) |
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