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【発明の名称】 内燃機関の動弁装置への給油構造
【発明者】 【氏名】角田 俊哉

【氏名】西田 正美

【氏名】山谷 光隆

【氏名】呉宮 克典

【要約】 【課題】可変動弁機構53、54へのオイル供給を、チェーンケース7に形成したオイル通路101を介して行う場合に、ヘッド側オイル通路85の上流端部とケース側オイル通路101の下流端部とをシール部材等を設けずに確実に油密に接続して、コスト削減を図る。

【解決手段】チェーンケース7にエンジンマウントの取付部92を一体成形し、3本のボルトによりシリンダヘッド前端壁部4bに締結して、このエンジンマウント部材取付部92に形成したケース側接合面100aをシリンダヘッド前端壁部4bの本体側接合面61aに対し油密に接合する。ケース側接合面100aにケース側オイル通路101の下流端部を開口させるとともに、本体側接合面61aにおいてケース側接合面100aの下流端開口部に連通するようにヘッド側オイル通路85の上流端部を開口させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内燃機関の本体に動弁装置を駆動するためのチェーンを収容するチェーンケースが締結され、該チェーンケース及び内燃機関本体の内部にそれぞれ形成したケース側及び本体側オイル通路により、前記動弁装置にオイルを供給するようにした動弁装置への給油構造において、前記チェーンケースには、内燃機関を車体に搭載するためのマウント部材が取り付けられるとともに複数の締結部材により内燃機関本体に締結されたマウント部材取付部が設けられ、前記マウント部材取付部には、前記複数の締結部材により内燃機関本体側の接合面に対し油密に接合されるケース側接合面が設けられ、前記ケース側オイル通路の一端部が、前記ケース側接合面に開口する一方、前記本体側オイル通路の一端部は、前記内燃機関本体側の本体側接合面において前記ケース側オイル通路の開口部に連通するように開口されていることを特徴とする内燃機関の動弁装置への給油構造。
【請求項2】 請求項1において、前記本体側オイル通路の開口部は、内燃機関本体側の本体側接合面において、該内燃機関のクランク軸の軸線方向に沿って見て、気筒の径方向中心部近傍に位置していることを特徴とする内燃機関の動弁装置への給油構造。
【請求項3】 請求項2において、前記内燃機関本体は、シリンダブロックとシリンダヘッドとを備え、このシリンダヘッドに動弁装置が配設されており、前記チェーンケースのマウント部材取付部が前記シリンダヘッドの一端側の端壁部に締結され、該端壁部に前記本体側接合面が形成され、前記シリンダヘッドの端壁部とこの端壁部に隣接する気筒の点火プラグボス部との間に、該端壁部及びボス部を連結する連結壁が設けられ、前記連結壁の内部に前記本体側オイル通路が形成されていることを特徴とする内燃機関の動弁装置への給油構造。
【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1つの発明において、前記動弁装置は、前記ケース側及び本体側オイル通路を介して供給されるオイルを受けて吸気弁又は排気弁の少なくとも一方の動弁タイミングを変更する可変動弁機構を備えていることを特徴とする内燃機関の動弁装置への給油構造。
【請求項5】 請求項4において、前記動弁装置は、カム軸と該カム軸を軸支するカム軸受部とを備え、前記カム軸受部は、シリンダヘッドに設けられたシリンダヘッド側軸受部と、このシリンダヘッド側軸受部に締結されたキャップ部材とからなり、前記シリンダヘッド側軸受部及びキャップ部材には、それぞれ、前記本体側オイル通路を構成する第1及び第2オイル通路が形成され、前記第1オイル通路の下流端部が、前記シリンダヘッド側軸受部における前記キャップ部材との接合面に開口される一方、前記第2オイル通路の上流端部は、前記キャップ部材におけるシリンダヘッド側軸受部との接合面において前記第1通路の下流端開口部と連通するように開口され、前記第1オイル通路の下流端部ないし第2オイル通路の上流端部に、前記可変動弁機構へ供給するオイルを濾過するための専用のオイルフィルタが嵌合されていることを特徴とする内燃機関の動弁装置への給油構造。
【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1つの発明において、前記複数の締結部材は、3つ以上設けられ、そのうちの少なくとも3つの締結部材が前記チェーンケースのマウント部材取付部において三角形の頂点となるように配置されていることを特徴とする内燃機関の動弁装置への給油構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の吸気又は排気弁を作動させる動弁装置への給油構造に関し、特に、該動弁装置へオイルを供給する油路の構造の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種の給油構造として、例えば特開平11−324627号公報に開示されるように、油圧によって吸気又は排気弁の動弁タイミングを変更するように構成された可変動弁機構を備え、この可変動弁機構へのオイル供給通路を、タイミングチェーンを収容するチェーンケースの内部に設けたものが知られている。このものでは、オイル供給通路の上流側がシリンダブロック内のオイルギャラリに接続される一方、下流側はシリンダヘッドに配設されている前記可変動弁機構に接続されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記従来例の給油構造では、チェーンケース内のオイル通路をシリンダブロックやシリンダヘッドのオイル通路と接続するようにしているので、この接続部の周囲にOリングを配設したり、オイルシール剤を塗布して、オイル漏れを防止する対策が必要となる。このため、部品点数や加工工数が増加し、それに伴って製造コストが増加するという問題が生じる。
【0004】特に、前記従来例のような油圧式の可変動弁機構を備えたものでは、可変動弁機構の作動応答性を高めるために、油圧をかなり高くすることが要求されるため、前記したオイル漏れの対策に伴うコスト増加等が著しい。
【0005】本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、チェーンケース内に設けたチェーンケース側オイル通路と内燃機関本体側のオイル通路との接続部分の構造に工夫を凝らし、この接続部分にオイルシール部材等を別途設けることなく、オイル漏れを確実に防止することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために、本発明の解決手段では、内燃機関を車体に搭載するためのマウント部材をチェーンケースに取り付けるようにするとともに、該マウント部材の取り付けられる部位の近傍においてチェーンケースが内燃機関本体に強固に締結されることに着目し、その締結部分の近傍で本体側オイル通路とチェーンケース側オイル通路とを連通させるようにした。
【0007】具体的には、請求項1の発明では、内燃機関の本体に動弁装置を駆動するためのチェーンを収容するチェーンケースが締結され、該チェーンケース及び内燃機関本体の内部にそれぞれ形成したケース側及び本体側オイル通路により、前記動弁装置にオイルを供給するようにした動弁装置への給油構造を前提とする。そして、前記チェーンケースに、内燃機関を車体に搭載するためのマウント部材が取り付けられるとともに複数の締結部材により内燃機関本体に締結されるマウント部材取付部を設け、このマウント部材取付部には、前記複数の締結部材により内燃機関本体側の接合面に対し油密に接合されるケース側接合面を設けて、前記ケース側オイル通路の一端部を該ケース側接合面に開口させる一方、前記本体側オイル通路の一端部は、前記内燃機関本体側の本体側接合面において前記ケース側オイル通路の開口部に連通するように開口させる構成とする。
【0008】この構成によれば、チェーンケースのマウント部材取付部が複数の締結部材により内燃機関本体に強固に締結され、該マウント部材取付部のケース側接合面が内燃機関本体の本体側接合面に油密に接合される。
【0009】ここで、前記マウント部材取付部と、該マウント部材取付部が締結される内燃機関本体側の部位とは、内燃機関の自重が集中的に作用することから、特に高剛性に構成されており、しかも、両者が前記の如く複数の締結部材により強固に締結されている。そして、このように剛性が高くかつ締結力の高い部位で本体側及びケース側オイル通路の開口部同士を連通させることにより、その開口部の周囲にオイルシール部材等を配設することなく、オイル漏れを確実に防止することができる。よって、製造コストの低減を図りつつ、動弁装置へ安定してオイルを供給することができる。
【0010】請求項2の発明では、請求項1の発明において、前記本体側オイル通路の開口部を、内燃機関本体側の本体側接合面において、該内燃機関のクランク軸の軸線方向に沿って見て、気筒の径方向中心部近傍に位置づけるものとする。
【0011】このことで、クランク軸の軸線方向に沿って見て、本体側オイル通路の開口部が気筒の径方向中心部近傍に位置するということは、本体側オイル通路が気筒の径方向中心部近傍に位置するということであるから、この本体側オイル通路から動弁装置へと繋がるオイル通路の設計自由度が向上する。
【0012】請求項3の発明では、請求項2の発明において、前記内燃機関本体は、シリンダブロックとシリンダヘッドとを備え、このシリンダヘッドに動弁装置が配設されており、前記チェーンケースのマウント部材取付部が前記シリンダヘッドの一端側の端壁部に締結されていて、該端壁部に前記本体側接合面が形成されている。そして、前記シリンダヘッドの端壁部とこの端壁部に隣接する気筒の点火プラグボス部との間に、該端壁部及びボス部を連結する連結壁を設け、この連結壁の内部に前記本体側オイル通路を形成するものとする。
【0013】この構成では、チェーンケースのマウント部材取付部が締結されるシリンダヘッドの端壁部が、連結壁によって補強されるので、該端壁部に形成された本体側接合面の剛性が向上し、これにより、該接合面におけるオイル漏れをより確実にかつ容易に防止できる。
【0014】請求項4の発明では、請求項1〜3のいずれか1つの発明において、前記動弁装置は、前記ケース側及び本体側オイル通路を介して供給されるオイルを受けて吸気弁又は排気弁の少なくとも一方の動弁タイミングを変更する可変動弁機構を備えているものとする。
【0015】このことにより、可変動弁機構の応答性等の性能を良好に確保するためには、高圧なオイルの供給が必要となるので、斯かる高圧のオイルをケース側及び本体側オイル通路を介して供給する場合に、請求項1の発明の作用及び効果がより有効なものとなる。
【0016】請求項5の発明では、請求項4の発明において、前記動弁装置は、カム軸と該カム軸を軸支するカム軸受部とを備え、前記カム軸受部は、シリンダヘッドに設けられたシリンダヘッド側軸受部と、このシリンダヘッド側軸受部に締結されたキャップ部材とからなるものである。そして、前記シリンダヘッド側軸受部及びキャップ部材に、それぞれ、前記本体側オイル通路を構成する第1及び第2オイル通路を形成し、前記第1オイル通路の下流端部を、前記シリンダヘッド側軸受部における前記キャップ部材との接合面に開口させる一方、前記第2オイル通路の上流端部は、前記キャップ部材におけるシリンダヘッド側軸受部との接合面において前記第1通路の下流端開口部と連通するように開口させ、さらに、前記第1オイル通路の下流端部ないし第2オイル通路の上流端部に、前記可変動弁機構へ供給するオイルを濾過するための専用のオイルフィルタを嵌合させる構成とする。
【0017】この構成では、カム軸受部の内部に設けた第1及び第2オイル通路によって、オイルが可変動弁機構に対して供給されるようになる。また、可変動弁機構専用のオイルフィルタを設けたことで、該可変動弁機構の作動を安定して確保することができる。さらに、このオイルフィルタは、第1オイル通路の下流端部ないし第2オイル通路の上流端部に嵌合されているので、該オイルフィルタの設置場所を別途設ける必要がなく、省スペース化を図ることができるとともに、キャップ部材のシリンダヘッド側軸受部への取付構造を利用して前記オイルフィルタを配設することができるので、該オイルフィルタの組み付けを容易に行うことができる。
【0018】請求項6の発明では、請求項1〜5のいずれか1つの発明において、前記複数の締結部材を、3つ以上設け、かつそのうちの少なくとも3つの締結部材を、前記チェーンケースのマウント部材取付部において三角形の頂点となるように配置するものとする。
【0019】この構成により、三角形の頂点となるように配置された3つの締結部材によって、マウント部材取付部のケース側接合面と内燃機関本体の本体側接合面とを確実に油密に接合させることができ、これにより、請求項1の発明の作用を十分に得ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】(エンジン全体構成)図1及び図2は、本発明の実施形態に係るエンジン1(内燃機関)の外観を示し、このエンジン1は、クランク軸2の軸線方向に4つの気筒が直線的に並ぶように設けられた直列4気筒ガソリンエンジンである。このエンジン1は、アルミニウム合金製のシリンダブロック3の上部に、同じくアルミニウム合金製のシリンダヘッド4が組み付けられて、エンジン1本体が構成されており、該シリンダヘッド4の上部には、詳しくは後述するが、動弁装置(図6参照)が配設され、さらに、この動弁装置の上方を覆うようにシリンダヘッドカバー5が組み付けられている。一方、シリンダブロック3の下面には、オイルパン6が組み付けられている。
【0022】尚、この明細書では、前記シリンダブロック3及びシリンダヘッド4の長手方向すなわちクランク軸2の軸線X方向をエンジン1の前後方向とし、該クランク軸2の出力端側(図1の紙面手前側、図2の右側)をエンジン1の後側と呼ぶ一方、その反対側(図1の紙面奥側、図2の左側)をエンジン1の前側と呼ぶ。また、図1に示すようにエンジン1の後側から前側を見て、右側をエンジン1の右側と呼び、その反対側をエンジン1の左側と呼ぶものとする。
【0023】前記シリンダブロック3及びシリンダヘッド4からなるエンジン1本体の前端部には、該シリンダブロック3からシリンダヘッド4に亘るようにチェーンケース7が組み付けられている。このチェーンケース7は、その上側略1/4くらいの部分がシリンダヘッド4に取り付けられる一方、残りの下側の部分はシリンダブロック3に取り付けられて、動弁装置を駆動するためのタイミングチェーンをエンジン前方から覆うようになっている。
【0024】また、このエンジン1はクランク軸2の軸線X方向が図示しない車両の幅方向と概略一致するよう、該車両の前側に設けられたエンジンルームに横置きに搭載されるものであり、いわゆるロール慣性主軸マウントのためのエンジンマウント部材がチェーンケース7に取り付けられるようになっている。
【0025】また、前記エンジン1の左側面には、各シリンダ内の燃焼室へ空気を供給するための吸気マニホルド8が配設されている。さらに、このエンジン1の左側面におけるエンジン前側の部位には、図2にのみ示すが、それぞれVベルト9により駆動されるパワステポンプ10、ウォータポンプ11等の補記類が配置され、一方、エンジン後側の部位にはスタータモータ12やオイルフィルタ13が配置されている。
【0026】尚、図2に示す符号17は、オイルパン6内に貯留されているエンジンオイルの量を点検するためのレベルゲージである。
【0027】前記吸気マニホルド8は、樹脂を射出成形により形成した複数の部材を互いに溶着して、一体としたものである。詳しくは、この吸気マニホルド8は、大きく湾曲する4本の分岐管18,18,…を有し、これらの分岐管18,18,…の各下流端部に亘るように設けられた取付フランジ部(図示せず)がシリンダヘッド4の吸気側側壁部4aに取り付けられる一方、該4本の分岐管18,18,…の各上流端部はサージタンク19に集合し、そこからエンジン後側の斜め上方に向かって、共通吸気管20が直線的に延びている。
【0028】前記共通吸気管20の上流端部には、図外のエアフィルタを介して吸入される空気の流通量を調整するためのスロットル弁21が配設されているとともに、該スロットル弁21の弁体21aをバイパスする吸気の流通量を調節するために、電磁弁からなるアイドルスピードコントロール弁22が配設されている。
【0029】さらに、前記吸気マニホルド8の分岐管18,18,…の上方に近接して、図1にのみ示すが、各分岐管18,18,…に略直交するようにエンジン前後方向に延びるフューエルディスパイプ23が配設されている。このフューエルディスパイプ23のエンジン後側の端部には、図示しない燃料供給ホースが接続されていて、この燃料供給ホースにより燃料ポンプから送られてくる高圧の燃料がフューエルディスパイプ23を介して、各シリンダ毎のインジェクタに分配供給されるようになっている。また、このフューエルディスパイプ23内の燃料の圧力状態を検出するための燃圧センサ24と、設定圧以上となった高圧の燃料を逃がして、燃料タンクに戻すためのリリーフ弁25とが配設されている。
【0030】一方、エンジン1の本体右側には、図示しないが、各シリンダ内の燃焼室から既燃ガスを排出させる排気マニホルドが取り付けられている。該排気マニホルドの下流端部には、パイプ部材からなる排気管の上流端部が接続され、この排気管の下流端側が車体のフロア下まで延びていて、そこに排気浄化用の触媒が接続されるようになっている。
【0031】また、エンジン1の後側上方には、エンジン1前側から順に各シリンダ毎に配設された第1〜第4点火プラグ26a,26b,…に高圧電流を供給する点火コイルユニット27が配置されている。
【0032】尚、図1における符号28は、エンジン1の動弁装置におけるカム軸の回転位置を検出するためのカム角センサであり、また、符号29は、クランク軸2の出力端部に締結固定されるとともに、図外のオートマチックトランスミッション(AT)のトルクコンバータに締結されて、エンジン1の出力をATに伝達するドライブプレートである。
【0033】(シリンダブロックの構成)次に、前記シリンダブロック3の構成について、図3〜5に基づいて詳細に説明する。ここで、図3及び図4は、吸気マニホルド8やウォータポンプ11等の補機類を全て取り除いた状態で、それぞれシリンダブロック3の吸気側側壁部3a及びシリンダブロック3の前端壁部3bを示すものである。また、図5は、シリンダブロック3の水平断面構造を示す前記図4のAーA線断面図である。
【0034】前記図3に示すように、シリンダブロック3の吸気側側壁部3aには、その前端部の上端部近傍においてエンジン1外方に向かって膨出するように、ウォータポンプ11を収容するウォータポンプ収容部30が設けられている。一方、前記吸気側側壁部3aの後端側の下端部近傍には、エンジン1を潤滑するエンジンオイルを濾過するためのオイルフィルタ13の取付台座部31が設けられている。
【0035】図4に示すように、シリンダブロック3の前端壁部3bには、左右両側においてそれぞれ上端部から下端部に亘ってシリンダブロック3の前方へ突出する突出壁部32,32が設けられていて、この突出壁部32,32に対して、それぞれ、前記チェーンケース7下部の左右両側が取り付けられることで、このチェーンケース7とシリンダブロック3の前端壁部3bとの間に前記したタイミングチェーンを収容する扁平の空間部が形成されるようになっている。また、その突出壁部32,32のうち、シリンダブロック3の吸気側寄りのものには、ウォータポンプ収容部30内に連通する円形の開口部が形成されており、さらにその下方には該突出壁部32の内側にオイルポンプを収容するオイルポンプ収容空間33が開口している。
【0036】また、同図において明らかなように、このシリンダブロック3は、吸気側側壁部3a及び排気側側壁部3cの各下端部がそれぞれクランク軸2(この図には示さず)の軸心Xよりも下方まで延びているディープスカートタイプのものであり、それらの両スカート部に囲まれた部分が、クランク軸2を収容するクランク室34とされている。このクランク室34には、クランク軸2を軸支する主軸受部35と軸受キャップ36とが設けられ、該主軸受部35はシリンダブロック3に形成される一方、軸受キャップ36はボルト37により前記主軸受部35に対して締結固定されるようになっている。
【0037】また、図4にのみ示すが、シリンダブロック3のトップデッキには、シリンダブロック3にシリンダヘッド4を取り付けるためのヘッドボルト孔38が形成されている。
【0038】次に、シリンダブロック3におけるオイル通路の構造について説明する。図3〜5に示すように、シリンダブロック3の吸気側側壁部3aにおける上下方向の中間部には、シリンダブロック3の前端部から後端部に亘って直線的に延びるようにメインギャラリ39が形成されるとともに、オイルポンプから吐出されるエンジンオイルをオイルフィルタ13に導く第1供給路40と、このオイルフィルタ13により濾過されたエンジンオイルを前記メインギャラリ39に導く第2供給路41とが形成されている。
【0039】詳しくは、前記第1供給路40の上流端部は、オイルポンプの吐出孔と連通する一方、下流端部は、オイルフィルタ13の取付台座部31に開口して、オイルフィルタ13のオイル取入孔に連通している。また、前記第2供給路41の上流端部も前記取付台座部31に開口して、オイルフィルタ13のオイル吐出孔と連通する一方、下流端部は、前記メインギャラリ39と連通している。該メインギャラリ39は、前端部及び後端部がそれぞれプラグ39a、39bにより閉止される一方、前端部寄りの中間部に第3供給路42が分岐接続されている。この第3供給路42は、図4に示すようにシリンダブロック3の前端壁部3bの内部においてエンジン1の左右方向に延びるように形成されていて、その下流端部が図示しない油圧式チェーンテンショナに接続されるようになっている。
【0040】尚、このチェーンテンショナは、前記タイミングチェーンの緩み側スパン(クランク側スプロケットと排気側カム軸スプロケットとの間)にチェーンの張力調節用として設けられている。
【0041】また、第3供給路42はシリンダブロック3の吸気側からドリルにより穿孔されて形成されたものであり、吸気側(上流側)端部の開口部がプラグ42aにより閉止されているとともに、中間部には、詳しくは後述するが、チェーンケース7に形成されたオイル通路へオイルを供給するための連通路43が分岐接続されている。この連通路43は、図5に示すように、シリンダブロック3の前端壁部3bの内部を前後方向に延びるように形成され、その上流端部が第3供給路42の中間部と連通する一方、下流端部はシリンダブロック3の前端壁部3bの前面に開口している。
【0042】(動弁装置へのオイル供給通路の構成)次に、前記シリンダブロック3からシリンダヘッド4の動弁装置へ至るオイル供給通路の構成について説明する。以下、図6〜8に基づいて、まず、前記シリンダヘッド4の構成から説明する。
【0043】尚、図6は、吸気及び排気弁やカム軸等を全て取り除いた状態で、エンジン上側から見たシリンダヘッド4の上部を示すものである。また、図7は、エンジン前側から見たシリンダヘッド4の前端壁部4bを示すものである。さらに、図8は、シリンダヘッド4の前端側の垂直断面構造を示す前記図6のBーB線断面図である。
【0044】図6に示すように、シリンダヘッド4のミドルデッキ4cにおける各シリンダの径方向中心部近傍には、前記第1〜第4点火プラグ26a,26b,…がそれぞれ螺合するように第1〜第4プラグ孔45a、45b、…が設けられ、さらに、該プラグ孔45a、45b、…のそれぞれの周囲には、図示しない吸気及び排気弁を各シリンダ毎に2本ずつ配設するための配設孔46,46,…が設けられている。また、シリンダヘッド4の吸気側と排気側とにおいて、前記配設孔46,46,…の上方には、前記吸気及び排気弁を開閉作動させるカム軸47、48がシリンダの列方向(エンジン前後方向)に延びるように互いに平行に配置され、それぞれシリンダの列方向に所定距離隔てて前側から順に配置された吸気側及び排気側の第1〜第5カム軸受部49a、49b、…、50a、50b、…(第4及び第5カム軸受部は図示せず)によって軸支されている。
【0045】前記吸気側及び排気側のカム軸47、48の前端部には、それぞれカムスプロケット51、52が取り付けられており、この2つのカムスプロケット51、52と、クランク軸2の前端部に設けられているクランク側スプロケット(図示せず)との間には、タイミングチェーン(図示せず)が張架されていて、このタイミングチェーンを介してクランク軸2の回転力がカムスプロケット51、52に伝達されるようになっている。
【0046】また、前記吸気側及び排気側のカム軸47、48の前端部には、それぞれ可変動弁機構53、54が配設されている。この可変動弁機構53、54は、吸気側及び排気側のカム軸47、48とカムスプロケット51、52とを所定角度範囲で相対回動させることにより、該カム軸47、48のクランク軸2に対する回転位相を所定範囲内で無段階に変更するように構成された周知の構造のものである。
【0047】前記第1プラグ孔45aの上方には、シリンダヘッド前端壁部4bと離間して、該第1プラグ孔45aを囲むように該シリンダヘッド4のミドルデッキ4c上面からシリンダヘッドカバー5の裏面へ至るように延びるとともに、第1プラグ孔45aへ第1点火プラグ26aを取り付ける際に、該第1点火プラグ26aを第1プラグ孔45aへ導くように上方が開口した第1プラグボス部55が形成されている。また、第2プラグ孔45b及び第3プラグ孔45cの上方には、前記第1プラグボス部55と離間して、該第2及び第3プラグ孔45b、45cを囲むようにシリンダヘッド4のミドルデッキ4c上面からシリンダヘッドカバー5の裏面へ至るように延びるとともに、第2及び第3点火プラグ26b、26cを取り付ける際に該2つの点火プラグ26b,26cを第2及び第3プラブ孔45b、45cへそれぞれ導くように上方が開口した第2プラグボス部56が形成されている。
【0048】また、前記第1プラブボス部55の後側壁面の左側及び右側端部と第2プラグボス部56の前側壁面の左側及び右側端部とをそれぞれ連結するように、左側及び右側プラグボス間壁58、59が設けられている。
【0049】さらに、前記シリンダヘッド4の上部には、このシリンダヘッド前端壁部4bを補強するために、該前端壁部4bと前記第1プラグボス部55とを連結する連結壁57が設けられている。この連結壁57は、シリンダヘッド4の左右方向略中央部に設けられており、図8に示すように、上部が前記前端壁部4bの後面と第1プラグボス部55の前側壁部とを連結する一方、下部は、その前端部のみが前記前端壁部4bの後面に接続されていて、該前端部よりも後方には左右方向に貫通する略方形状の孔57aが形成されている。
【0050】また、前記シリンダヘッド前端壁部4bには、図7及び図8に示すように、チェーンケース7との締結部位を補強するための厚肉部61が設けられている。この厚肉部61の中心部は、前記図7に示すようにエンジン前方から見て、すなわちクランク軸2の軸線X方向に沿って見て、シリンダの径方向中心部近傍に位置するように設けられている。また、この厚肉部61は、前記図8に示すように、シリンダヘッド前端壁部4bの後面が該シリンダヘッド4のミドルデッキ4cとロアデッキ4dとの間に形成されたウォータジャケット62内へ膨出するようにして形成されている。
【0051】前記厚肉部61の上部はミドルデッキ4cと一体とされていて、このミドルデッキ4c上面からシリンダヘッド前端壁部4bの後面に至る左右一対の上面リブ75が形成されている。一方、前記ミドルデッキ4cよりも下方のウォータジャケット62内において、前記厚肉部61の後面からミドルデッキ4c下面に至る後面リブ76が形成され、さらに、該厚肉部61とロアデッキ4dの上面との間に亘って、シリンダヘッド前端壁部4bから後方に突出する下面リブ77が形成されている。この上面、後面及び下面リブ75、76、77により、シリンダヘッド前端壁部4bの剛性をより向上させている。
【0052】一方、前記シリンダヘッド前端壁部4bの前面には、前記図7に示すように、該厚肉部61に対応する中央寄りの部分に平坦面61aが形成されるとともに、左右両端においてそれぞれ上端部から下端部に亘ってシリンダヘッド4の前方へ突出する突出壁部63,63が設けられている。この突出壁部63,63に対して、それぞれ、前記チェーンケース7上部の左右両側を取り付けるとともに、該チェーンケース7のエンジンマウント部材取付部(図9及び図10に示す符号92)が前記シリンダヘッド前端壁部4bの厚肉部61に締結されるようになっている。
【0053】詳しくは、前記厚肉部61には、平坦面61aから後方に向かって3つのボルト孔64、65、66が穿孔されており、このボルト孔64、65、66にそれぞれチェーンケース7のエンジンマウント部材取付部92を前側から貫通する3本のボルト(図示せず)が螺入される。この3つのボルト孔64、65、66のうちの2つのボルト孔64、65は、平坦面61aの上側において互いに左右方向に離間し、左右方向から見て重複するように配置されている。残る1つのボルト孔66は、前記2つのボルト孔64、65に対し左右方向について中間位置でかつそれらの下方に配置されている。つまり、前記3つのボルト孔64、65、66は三角形の頂点となるように配置されている。
【0054】このことで、前記チェーンケース7のエンジンマウント部材取付部92は、前記シリンダヘッド前端壁部4bの厚肉部61に対し、三角形の頂点となるように配置された3本のボルトにより締結されることになるため、該3本のボルトの近傍、特に3本のボルトで囲まれた部分では、エンジンマウント部材取付部92がシリンダヘッド前端壁部4bに対して極めて強固に締結されることになる。尚、前記2つの突出壁部63,63の間には、チェーンケース7とシリンダヘッド前端壁部4bとに挟まれて、動弁装置駆動用のタイミングチェーンを収容する空間部が形成される。
【0055】前記の如き構成のシリンダヘッド前端壁部4bには、前記吸気側及び排気側のカム軸47、48をそれぞれ軸支する吸気側及び排気側の第1〜第5のカム軸受部49a、49b、…、50a、50b、…のうち、エンジン1の前端部に位置する第1のカム軸受部49a、50aが設けられている。すなわち、前記図7に示すように、シリンダヘッド前端壁部4bの上部には、左右方向に長いカムキャップ部材67が取り付けられていて、このカムキャップ部材67と前記前端壁部4bのシリンダヘッド側軸受部70とに亘るように、吸気側及び排気側の軸受面68、69がそれぞれ形成されている。すなわち、該吸気側及び排気側の軸受面68、69は、それぞれ上下に2分割されており、上側が前記カムキャップ部材67に形成される一方、下側が前端壁部4bの上端部、すなわちシリンダヘッド側軸受部70に形成されている。
【0056】また、前記吸気側及び排気側の軸受面68、69のそれぞれの左右両側において、カムキャップ部材67に上下方向の貫通孔71,71,…が形成されるとともに、シリンダヘッド前端壁部4bには、該各貫通孔71に連通するようにカムキャップボルト孔78が穿孔されていて、図示しない4本のカムキャップボルトによって、カムキャップ部材67が前記シリンダヘッド側軸受部70に締結されるようになっている。
【0057】また、前記カムキャップ部材67には、吸気側及び排気側の可変動弁機構53、54へそれぞれ供給されるオイルの圧力制御を行う2つのオイルコントロールバルブ72(以下OCVという)が配設されている。このOCV72の外形は略円柱状とされ、軸線が上下方向となるように配設されるとともに、下部は上部に比べ小径とされている。このOCV72の配設構造として、前記カムキャップ部材67には、前記第1のカム軸受部49a、50aの2つの軸受面68、69の間において左右方向に並列して、前記OCV72の下部が挿入可能な内径を有する上下方向の貫通孔73が形成されている。また、該貫通孔73の下部に対応するシリンダヘッド前端壁部4bには、該前端壁部4bの後面から前方へ向かって窪んだ凹部74が形成されている。そして、前記カムキャップ部材67の貫通孔73と前端壁部4bの凹部74に、OCV72の下部が収納されている。
【0058】さらに、前記カムキャップ部材67には、OCV72によって圧力制御されたオイルを前記吸気側及び排気側の軸受面68、69へそれぞれ供給するためのOCV下流油路80,80が設けられている。この各OCV下流油路80は、上流端部がOCV72に接続される一方、下流端部は前記吸気側及び排気側の軸受面68、69に形成された周溝81,81と連通している。そして、この各周溝81は、図示しないが吸気側及び排気側のカム軸47、48の内部に形成された油路の一端部と連通し、さらに、このカム軸内部の油路の他端部は、前記可変動弁機構53、54に接続されている。
【0059】また、前記カムキャップ部材67には、エンジン1本体のシリンダヘッド4から供給されるオイルをOCV72へ導くためのOCV上流油路82が設けられている。このOCV上流油路82は、下流端部が前記2つのOCV72にそれぞれ接続されて、カムキャップ部材67の内部を左右方向に延びる2本の横通路83,83と、カムキャップ部材67の左右方向略中央部において上下方向に延びるように設けられ、中間部に前記2つの横通路83,83の各上流端部がそれぞれ分岐接続される一方、下端部がカムキャップ部材67の下面に開口された縦通路84とからなる。この縦通路84は、シリンダヘッド前端壁部4bの上面に開口されたヘッド側オイル通路85の下流端部と連通している。尚、詳しくは後述するが、該ヘッド側オイル通路85の上流端部は、シリンダヘッド前端壁部4bの前面に形成された平坦面61aに開口されている。
【0060】次に、図9及び10に基づいて、チェーンケース7の構成について説明する。尚、図9は、エンジン後方から見たチェーンケース7の後面を示し、したがって、同図において図の右側がエンジン1の右側であり、図の左側がエンジン1の左側である。また、図10は、チェーンケース7の垂直方向の断面構造と、シリンダヘッド3及びシリンダブロック4との配置関係を示す前記図9のCーC線の断面図である。尚、このチェーンケース7を補強するために設けられているリブ等は省略している。
【0061】図9に示すように、チェーンケース7の左右両端縁部から下端縁部にかけて連続するように、ケース本体の後面から後方へ突出するフランジ部7aが形成され、このフランジ部7aの上部と下部とが、それぞれ前記シリンダヘッド4及びシリンダブロック3の各突出壁部63、32に取り付けられる。尚、図9及び図10において符号Xは、クランク軸2の軸線を示しており、符号91は、該クランク軸2の前端部が貫通するためのクランク軸貫通孔である。
【0062】また、図10に示すように、チェーンケース7の前面の上部には、図外のエンジンマウント部材を取り付けるエンジンマウント部材取付部92が一体に形成されている。このエンジンマウント部材取付部92は、全体としてエンジン前方側へ膨出するように形成され、その上面92aは略平坦であり、この上面92aに開口してそこから下方に延びるようにマウント取付ボルト孔94が設けられている。このマウント取付ボルト孔94は、軸線の上側が下側に比べてわずかにエンジン1の前方へ位置するように傾斜している。
【0063】前記エンジンマウント部材取付部92には、前記の如く、該エンジンマウント部材取付部92をシリンダヘッド4の厚肉部61へ締結するための3本のボルトがそれぞれ貫通するように、ボルト貫通孔96、97、98が設けられている。また、前記ボルト貫通孔96、97、98のシリンダヘッド側端部の周囲には、それぞれチェーンケース7の後面よりも後方に突出したボルト貫通孔ボス部96a、97a、98aが形成されていて、エンジン1の右側の上側ボルト貫通孔97のボス部97aと下側ボルト貫通孔98のボス部98aとは互いに連続するように一体的に形成されている。
【0064】また、前記2つの上側ボルト貫通孔96、97の間には、下側ボルト貫通孔98の上方で前記ボス部96a〜98aと同様に後方に突出する円形のボス部100が形成され、この円形ボス部100の後端に前記シリンダヘッド前端壁部4bの厚肉部61前面の平坦面61a(本体側接合面)と接合するように、ケース側接合面100aが設けられている。このように、エンジンマウント部材取付部92と厚肉部61とを締結するボルト間にケース側接合面100aを設けたことで、本体側接合面61aとケース側接合面100aとが極めて密に接合される。
【0065】そして、前記ケース側接合面100aには、本体側接合面61aに開口されているヘッド側オイル通路85の上流端部と連通するようにケース側オイル通路101の下流端部が開口している。すなわち、図10に示すように、チェーンケース7の内部には上下方向に延びるケース側オイル通路101が形成されていて、その下流端部が前記ケース側接合面100aにおいて開口される一方、上流端部はシリンダブロック3の前端壁部3bにおける連通路43の下流端開口部に対応する位置に開口されている。つまり、このエンジン1では、前記ケース側オイル通路101によって、シリンダブロック3のオイルギャラリ39からシリンダヘッド4の可変動弁機構53、54に対して直接的にオイルを供給できるようになっている。
【0066】また、前記ケース側オイル通路101の上流端開口部の周囲には、チェーンケース7の後面よりも後方へ突出したボス部102が形成されている。このボス部102の後面は、シリンダブロック前端壁部3bの連通路43の下流端部周囲と接合するように形成されており、その接合部分にはOリング103が配設されて、該接合部分からオイルが漏れることを防止している。
【0067】一方、ケース側オイル通路101の下流端部は、前記の如くへッド側オイル通路85の上流端部と連通しているが、このヘッド側オイル通路85は、図8に示すように上流端部が前記シリンダヘッド前端壁部4bの本体側接合面61aに開口し、そこから厚肉部61の内部を略水平に後方に延びる上流側オイル通路110と、この上流側オイル通路110の後端側に連通し、そこから上方に延びて、シリンダヘッド4の連結壁57の上面に開口される下流側オイル通路111とから構成されている。また、図7に示すように、前記本体側接合面61aにおける上流側オイル通路110の上流端開口部は、前記2つの上側ボルト孔64、65の中間に位置している。
【0068】また、前記下流側オイル通路111は、前記可変動弁機構53,54が要求するオイル量を十分に供給できる内径を有するように、ドリルにより連結壁43の上面から下方へ向かって穿孔して形成される。一方、上流側オイル通路110は、前記下流側オイル通路111を穿孔したドリル刃よりも大径のドリル刃によりシリンダヘッド4の本体側接合面61aから後方へ向かって穿孔して形成される。このように、上流側オイル通路110の内径を下流側オイル通路111の内径よりも大径としているため、チェーンケース7のケース側オイル通路101の下流端開口部と、前記上流側オイル通路110の上流端開口部(ヘッド側オイル通路85の開口部)とを接続させる際に、両方の開口部の中心が製造誤差等で上下あるいは左右方向に相対的にずれていても、下流側オイル通路111と同等のオイル流通断面積を確保して、前記可変動弁機構53、54へのオイル供給量を十分に確保することができる。
【0069】また、図7及び図8に示すように、前記ヘッド側オイル通路85を構成する下流側オイル通路111の下流端部と前記カムキャップ部材67の縦通路84の上流端部とが連通する部分に、可変動弁機構53、54専用のオイルフィルタ112が配置されている。これは、可変動弁機構53、54における構成部材間のクリアランスが極めて小さいことに鑑み、エンジン1の各潤滑部に供給するオイルを濾過するための通常のオイルフィルタ13とは別に、可変動弁機構専用のオイルフィルタ112を設けて、オイル中の異物を確実に取り除くことにより、可変動弁機構53、54の動作を安定させるようにしたものである。
【0070】この専用オイルフィルタ112の配設構造を詳しく説明すると、図8に示すように、前記下流側オイル通路111の下流端部には、その内径が該下流側オイル通路111の中間部の内径に比べて大径となるように穿孔された大径部113が設けられ、この大径部113と連通する前記カムキャップ部材67の縦通路84の上流端部は、該大径部113と略同径となるように形成している。そして、前記大径部113よりもわずかに大径の円柱状に形成された専用オイルフィルタ112の上部と下部とを、それぞれ縦通路84の上流端部と下流側オイル通路111の大径部113とに嵌合させるようにしている。
【0071】このようにオイル通路の一部を利用して専用オイルフィルタ112を配設しているため、該専用オイルフィルタ112を配設するための場所を別途設ける必要がない。また、専用オイルフィルタ112の組み付けは、該専用オイルフィルタ112の下部を前記下流側オイル通路111の大径部113に嵌合して、専用オイルフィルタ112を配設していないものと同様にカムキャップ部材67をシリンダヘッド4に締結することにより行うことができるため、専用オイルフィルタ112を配設したことによる製造工数の増加を抑制できる。
【0072】次に、シリンダブロック3から可変動弁機構53、54へ至るオイルの流れについて説明する。まず、オイルポンプから吐出され、オイルフィルタ13を経てシリンダブロック3のメインギャラリ39へ供給されたオイルは、該メインギャラリ39の前端部から第3供給路42に流通し、この第3供給路42から分岐する連通路43を介して、チェーンケース7のケース側オイル通路101へ至る。そして、このケース側オイル通路101を上方へ向かったオイルは、エンジンマウント部材取付部92後面のケース側接合面100aに開口した下流端部から、シリンダヘッド4側の本体側接合面61aに開口したヘッド側オイル通路85の上流側オイル通路110へと流れ、さらに、この上流側オイル通路110から下流側オイル通路111を通って、カムキャップ部材67の縦通路84に至る。この際、オイルは、下流側オイル通路111の下流端部と縦通路84の上流端部とに嵌合された可変動弁機構専用のオイルフィルタ112により濾過される。
【0073】さらに、濾過後のオイルは、前記縦通路84の途中から左右にそれぞれ分岐した横通路83,83に流通し、この各横通路83により、吸気側及び排気側のOCV72,72へ分配供給される。
【0074】そうして、前記各OCV72によってそれぞれ圧力を調整されたオイルが、OCV下流油路80,80を通って吸気側及び排気側の軸受面68、69の周溝81,81へ供給され、さらに、吸気側及び排気側のカム軸47、48の内部に形成された油路を介して、前記可変動弁機構53、54へ供給される。
【0075】したがって、この実施形態に係る内燃機関の動弁装置への給油構造によると、剛性の高いチェーンケース7のエンジンマウント部材取付部92と3つのリブ75、76、77によって補強されたシリンダヘッド前端壁部4bの厚肉部61とを、三角形の頂点となるように配置した3本のボルトによって締結し、かつそのうちの2本のボルトの間に、ケース側オイル通路101の下流端部が開口するケース側接合面100aとヘッド側オイル通路85の上流端部が開口する本体側接合面61aとを位置づけたため、該2つのオイル通路101,85の開口部の周囲にオイルシール部材等を設けることなく、接合面からのオイル漏れを確実に防止することができる。
【0076】特にこのエンジン1では、可変動弁機構53、54に対し、その作動応答性を高めるためにメインギャラリ39から流量絞り等を設けることなく直接的にオイルを供給しているので、前記ケース側接合面100a及び本体側接合面61aの接合部分には比較的高い油圧が作用することになるが、前記したように該ケース側接合面100a及び本体側接合面61aは強固に接合しているため、このような場合においても確実にオイル漏れを防止することができる。これにより、可変動弁機構53、54へのオイル供給を確実に行えるので、該可変動弁機構53、54の応答性を良好に確保することができる。
【0077】また、ヘッド側オイル通路85をシリンダヘッド4の左右方向の中間位置に設けたので、本実施形態のように吸気側及び排気側の可変動弁機構53、54がシリンダヘッド4の左右にそれぞれ設けられている場合に、オイル供給通路の取り廻しを容易に行うことができる。
【0078】(他の実施形態)尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その他の種々の実施形態を包含するものである。すなわち、前記実施形態では、3本のボルトを三角形の頂点となるように配置してチェーンケース7のエンジンマウント部材取付部92をシリンダヘッド4に対して締結しているが、これに限らず、例えば4本以上のボルトを用いて締結した場合でも、そのうちの少なくと3本が三角形の頂点となるように配置すれば、前記実施形態と同じ効果が得られる。また、ボルトの本数を2本としてそれらの間にケース側接合面100aと本体側接合面61aとを位置づけるようにしてもよい。
【0079】また、本発明は、シリンダブロック前端壁部3bの連通路43とチェーンケース7のケース側オイル通路101との接続部分にも適用することができる。
【0080】また、本発明は、可変動弁機構を備えていないエンジンの動弁装置にも適用することができる。
【0081】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発明に係る内燃機関の動弁装置への給油構造によると、複数の締結部材でチェーンケースのエンジンマウント部材取付部と内燃機関本体とを締結し、その締結部分の近傍で本体側接合面及びケース側接合面を油密に接合して本体側及びケース側オイル通路のそれぞれの開口部を連通させたので、別途オイルシール構造を設けることなくオイル漏れを確実に防止できるため、製造コストの低減を図りつつ、動弁装置へ安定してオイルを供給することができる。
【0082】請求項2記載の発明によると、本体側オイル通路を内燃機関の吸気側と排気側との中央部近傍に配置できるため、この本体側オイル通路から動弁装置へ繋がるオイル通路の設計自由度が向上する。
【0083】請求項3記載の発明によると、シリンダヘッドの端壁部がプラグボス部と連結されて補強されるので、本体側接合面の剛性が向上し、接合面におけるオイル漏れをより確実に防止できる。
【0084】請求項4記載の発明によると、可変動弁機構の性能を高めるために高圧なオイルの供給が必要となるので、斯かる高圧のオイルをケース側及び本体側オイル通路を介して供給する場合に、請求項1の発明の作用及び効果がより有効なものとなる。
【0085】請求項5記載の発明によると、可変動弁機構専用のオイルフィルタによって、該可変動弁機構の作動を安定して確保することができる。さらに、このオイルフィルタの設置構造により、省スペース化と組付工数の削減が図られる。
【0086】請求項6記載の発明によると、三角形の頂点となるように配置された3つの部材でマウント部材取付部を内燃機関本体に締結することで、本体側接合面とケース側接合面とをより油密に接合できる。
【出願人】 【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
【出願日】 平成12年12月4日(2000.12.4)
【代理人】 【識別番号】100077931
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 弘 (外7名)
【公開番号】 特開2002−168106(P2002−168106A)
【公開日】 平成14年6月14日(2002.6.14)
【出願番号】 特願2000−367993(P2000−367993)