| 【発明の名称】 |
内燃機関用バルブタイミング調整装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】佐藤 修
【氏名】杉浦 太衛
【氏名】金原 賢治
【氏名】山田 潤
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| 【要約】 |
【課題】簡素な構成で、進角応答性を向上させる。
【解決手段】エンジンの吸気バルブの開閉時期の位相を連続的に可変制御する連続可変バルブタイミング調整装置を、油圧によってベーンロータ3を回転させ、タイミングロータ1に対してカムシャフトを進角側に相対回転させるための進角室24と、油圧によってベーンロータ3を回転させ、タイミングロータ1に対してカムシャフトを遅角側に相対回転させるための遅角室25と、進遅角油圧制御弁40と、進角室24と遅角室25とを連通する連通路49と、エンジン回転数が低い回転数で、且つ高油温時に連通路49を流れるオイル量を遅角室25の圧力に応じて調整する油圧ピストン53を有する流量制御弁50と、進角室24から遅角室25へのオイルの流出を阻止するボールバルブ73を有するチェック弁70とから構成することで、低コストで進角応答性を向上させるようにした。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】内燃機関の吸気または排気バルブの開閉時期の位相を可変制御することが可能な内燃機関用バルブタイミング調整装置であって、(a)前記内燃機関のクランクシャフトと同期して回転するタイミングロータと、(b)このタイミングロータと相対回転運動が可能なカムシャフトと、(c)このカムシャフトと一体的に回転するベーンロータと、(d)油圧によって前記ベーンロータを回転させ、前記タイミングロータに対して前記カムシャフトを進角側に相対回転させるための進角油圧室と、(e)油圧によって前記ベーンロータを回転させ、前記タイミングロータに対して前記カムシャフトを遅角側に相対回転させるための遅角油圧室と、(f)油圧源およびドレンと前記進角油圧室および前記遅角油圧室とを選択的に連通することで、前記油圧源で発生した油圧を、前記進角油圧室および前記遅角油圧室に相対的に給排させる油圧給排手段と、(g)前記進角油圧室と前記遅角油圧室とを連通する連通路と、(h)この連通路に設けられて、前記遅角油圧室から前記進角油圧室へのオイルの流出を可能とし、且つ前記進角油圧室から前記遅角油圧室へのオイルの流出を阻止する弁体を有する弁装置とを備えたことを特徴とする内燃機関用バルブタイミング調整装置。 【請求項2】請求項1に記載の内燃機関用バルブタイミング調整装置において、前記進角油圧室と前記油圧源を連通し、且つ前記遅角油圧室と前記ドレンを連通する進角作動時に、前記連通路を流れるオイルの流量を、前記遅角油圧室内の油圧に応じて調整する流量制御弁を備えたことを特徴とする内燃機関用バルブタイミング調整装置。 【請求項3】請求項2に記載の内燃機関用バルブタイミング調整装置において、前記流量制御弁は、前記遅角油圧室内の油圧が所定値以上に上昇すると、前記連通路を閉弁し、前記遅角油圧室内の油圧が所定値よりも低下すると、前記連通路を開弁することを特徴とする内燃機関用バルブタイミング調整装置。 【請求項4】請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の内燃機関用バルブタイミング調整装置において、前記タイミングロータは、内周面に前記ベーンロータを摺動自在に、しかも回動自在に収容する筒状のシューハウジングを有し、このシューハウジングには、互いに周方向において対向する略台形状のシューが、径方向の内径側に突出するように複数設けられており、前記ベーンロータには、互いに周方向において対向する略扇状のベーンが、前記複数のシューの周方向の間隙内に嵌まるよう径方向の外径側に突出するように複数設けられており、前記連通路は、前記シューハウジングの各シューにそれぞれ設けられていることを特徴とする内燃機関用バルブタイミング調整装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関のカムシャフトによって駆動される吸気または排気バルブの開閉時期の位相を連続的に可変制御することが可能なバルブタイミング調整装置に関するもので、特に油圧を用いたベーン式の連続可変バルブタイミング・システムに関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来より、内燃機関のクランクシャフトと同期して回転するタイミングプーリやチェーンスプロケットを介してカムシャフトを駆動し、タイミングプーリやチェーンスプロケットとカムシャフトとの相対回転により位相差によって内燃機関の吸気または排気バルブの開閉時期の位相を連続的に可変制御するベーン式の連続可変バルブタイミング・システムがある。 【0003】このようなベーン式の連続可変バルブタイミング・システムは、タイミングプーリの内周壁に進角油圧室および遅角油圧室等の油圧サーボ系を設け、カムシャフトと一体的に回転するベーンロータを油圧により進角側または遅角側に回動させて吸気または排気バルブの開閉時期の位相を変更している。ここで、進角油圧室および遅角油圧室に油圧を供給するための油圧源としては、エンジンのクランクシャフトに同期して回転駆動されて、エンジン回転数に比例した吐出量を発生するオイルポンプが一般的に使用されている。 【0004】これにより、エンジン回転数が低い回転数の時は、オイルポンプからの吐出量が少なくなるため、特にエンジン回転数が低い回転数で、且つ高油温時は、オイル粘度の低下による洩れ量の増加によって、進角油圧室および遅角油圧室に相対的に給排される油圧が大きく低下し、外周に複数のベーン(羽根)を有するベーンロータの作動が不完全となるという問題が生じている。そこで、エンジン回転数が低い回転数の時のベーンの揺動振動を規制する機構によって応答性を向上させる目的で、特開平11−336516号公報に記載の技術(従来の技術)が提案されている。この従来の技術では、ベーンの揺動振動を規制する機構として、プランジャとチェック弁とを用いて構成されている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】ところが、従来の技術では、プランジャ内部に蓄えられた油圧をチェック弁によって保持することで、エンジン回転数が低い回転数の時のベーンの揺動振動中の逆転を防止しているが、簡素な構造を特徴としているバルブタイミング調整装置において、プランジャが増えることで部品点数が増加し、製品コストが上昇してしまうという問題があった。 【0006】また、位相応答性の向上が必要となる高油温時には、洩れ量が増加して、本来位相応答性を向上させたい条件で、うまく作動せず、その効果が十分に発揮できない可能性がある。さらに、ベーンを中間位相に保持させるためには、油圧をバランスさせる必要があるが、油圧サーボ系とは独立したプランジャによって負荷を受けるため、油圧バランスが成立せず、中間位相保持が安定しないという問題があった。 【0007】 【発明の目的】本発明は、内燃機関の吸気または排気バルブによって揺動変動が発生する場合に生ずる遅角油圧室内の油圧変動に着目し、エンジン回転数が低い回転数で、且つ高油温時に、特別なベーンの揺動振動防止手段を設けることなく、簡素な構成で位相変換の応答性、特に進角応答性を向上させることを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明によれば、進角油圧室と遅角油圧室とを連通する連通路を設け、更に連通路に弁体を有する弁装置を設けることにより、遅角油圧室内の油圧変動を利用して、内燃機関の吸気または排気バルブによってカムシャフトが駆動される負トルクによる進角作動時には、油圧給排手段を制御して、油圧源の油圧を進角油圧室に供給し、遅角油圧室より油圧を排出すると共に、遅角油圧室内のオイルを進角油圧室内へ移動させる。 【0009】それによって、エンジン回転数が低い回転数で、且つ高油温時でも、負トルクにより進角した量だけ、遅角油圧室内のオイルが進角油圧室内へ移動する。すなわち、カムシャフトのトルク変動に起因するベーンの揺動振動のうち、進角側への振幅を利用して、より進角方向へベーンロータが回転し、且つ進角油圧室にオイルの流入量が増加するため、特別なベーンロータの揺動振動防止手段を設けることなく、低コストで、且つ簡素な構成で進角応答性を向上させることができる。ここで、弁装置としては、遅角油圧室から進角油圧室へのオイルの流出を可能とし、且つ進角油圧室から遅角油圧室へのオイルの流出を阻止する弁体(ボールバルブ)を有するチェック弁を採用することが望ましい。 【0010】請求項2に記載の発明によれば、進角油圧室と遅角油圧室とを連通する連通路に、この連通路を流れるオイルの流量を、遅角油圧室内の油圧に応じて調整する流量制御弁を設けることにより、進角油圧室と油圧源を連通し、且つ遅角油圧室とドレンを連通する進角作動時に、負トルクによってベーンロータが進角した量だけ、遅角油圧室内のオイルが進角油圧室内へ移動する。これにより、カムシャフトのトルク変動に起因するベーンの揺動振動のうち、進角側への振幅を利用して、より進角方向へ移動し、且つ圧力損失が少なく進角油圧室にオイルの流入量が増加するため、進角応答性を向上することができる。 【0011】請求項3に記載の発明によれば、流量制御弁は、遅角油圧室内の油圧が所定値以上に上昇すると、連通路を閉弁し、遅角油圧室内の油圧が所定値よりも低下すると、連通路を開弁することを特徴とする。これにより、エンジン回転数が高い回転数の時には、油圧源から進角油圧室内へのオイルの吐出量が増加し、進角油圧室内に十分な油圧が供給されるため、流量制御弁は開弁せず、油圧サーボ系に影響を与えることはない。 【0012】請求項4に記載の発明によれば、タイミングロータには、内周面にベーンロータを摺動自在に、しかも回動自在に収容する筒状のシューハウジングが設けられている。そして、このシューハウジングには、互いに周方向において対向する略台形状のシューが、径方向の内径側に突出するように複数設けられている。そして、ベーンロータには、互いに周方向において対向する略扇状のベーンが、前記複数のシューの周方向の間隙内に嵌まるよう径方向の外径側に突出するように複数設けられている。そして、連通路は、シューハウジングの各シューにそれぞれ設けられている。これにより、タイミングロータよりも外側に突出するように連通路を設けていないので、タイミングロータが非常にコンパクトとなり、専用の油圧配管も必要としないので、コストダウンを図ることができる。 【0013】 【発明の実施の形態】〔第1実施形態の構成〕図1ないし図11は本発明の第1実施形態を示したもので、図1および図2は連続可変バルブタイミング調整装置を示した図で、図3は進角応答性向上機構を示した図である。 【0014】本実施形態は、4サイクル・レシプロエンジン(内燃機関)、例えばDOHC(ダブルオーバーヘッドカムシャフト)エンジン(以下エンジンと略す)のシリンダーヘッド(図示せず)内に設けられた吸気バルブ(図示せず)の開閉時期の位相(バルブタイミング)を連続的に可変制御することが可能な連続可変バルブタイミング調整装置(吸気連続可変バルブタイミング機構:VVT)である。 【0015】この連続可変バルブタイミング調整装置は、エンジンのクランクシャフト(図示せず)により回転駆動されるタイミングロータ1と、このタイミングロータ1に対して相対回転可能に設けられた吸気側カムシャフト(以下カムシャフトと略す)2と、このカムシャフト2の端部に固定されてタイミングロータ1内に回転自在に収容されたベーンロータ3と、このベーンロータ3を油圧によって正逆転回転させる油圧回路4と、この油圧回路4を制御するエンジン制御装置(以下ECUと呼ぶ)5とから構成されたベーン式の連続可変バルブタイミング・システムである。 【0016】タイミングロータ1は、エンジンのクランクシャフトによりタイミングチェーン(図示せず)を介して回転駆動される略円環板形状のチェーンスプロケット6、このチェーンスプロケット6の前端面に配置された略円筒状のシューハウジング7、およびチェーンスプロケット6とシューハウジング7とを締め付け固定するための3本の小径ボルト11等から構成されている。 【0017】チェーンスプロケット6の外周部には、タイミングベルトの内周側に形成された多数の歯状部(図示せず)に噛合する多数の歯状部12が形成されている。また、チェーンスプロケット6の環板部(シューハウジング7のリヤカバー部を構成する)には、3本の小径ボルト11を挿通するための3個のボルト挿通孔が形成されている。 【0018】シューハウジング7は、内部にベーンロータ3を回転自在に収容する円筒状のハウジング部、このハウジング部の軸方向の前端側を覆う円環板状のフロントカバー部、およびフロントカバー部の内周端より軸方向の前方に延長された円筒状のスリーブ部等から構成されている。ここで、13はチェーンスプロケット6とシューハウジング7との回転方向の位置決めを行う位置決めピンである。 【0019】シューハウジング7のハウジング部には、互いに周方向において対向する台形状のシュー(隔壁部)14が内周側に突出するように複数個(本例では3個)設けられている。これらのシュー14の各対向面は、断面円弧状に形成されており、隣設する2つのシュー14の周方向の間隙には扇状空間部が形成されている。また、複数個のシュー14には、3本の小径ボルト11を締結するための雌ネジ孔が形成されている。 【0020】さらに、シューハウジング7のハウジング部の内周壁には、ベーンロータ3の外周壁が摺接している。そして、各シュー14の周方向の一方側の側面(対向面)には、ベーンロータ3の各ベーン21の最進角位置を規定するための最進角側ストッパ15が形成され、また、各シュー14の周方向の他方側の側面(対向面)には、ベーンロータ3の各ベーン21の最遅角位置を規定するための最遅角側ストッパ16が形成されている。この最遅角側ストッパ16は、後記するシュー14の周方向の他方側の側面に形成される連通路49の出口と略同一平面上に形成されている。また、シューハウジング7のハウジング部の外周壁には、軽量化のための複数の凹状部17が形成されている。 【0021】カムシャフト2は、エンジンのシリンダーヘッド内に配されて、エンジンのクランクシャフトが2回転すると1回転するように駆動連結され、エンジンの吸気バルブの開閉時期(バルブタイミング)を決めるためのカム山をエンジンの気筒数だけ連結した棒状の軸で、その一端部が大径ボルト19によってジャーナル軸受8と共にベーンロータ3に締め付け固定されている。このカムシャフト2の一端部の軸心部には、大径ボルト19を締結するための雌ネジ孔が形成されている。 【0022】ベーンロータ3は、大径ボルト19を締結するための雌ネジ孔を有する円環板状のベース部の外周壁より径方向の外方へ突出する複数個(本例では3個)のベーン21、およびカムシャフト2とベース部とジャーナル軸受8とを位置決めするための位置決めピン22等から構成されている。ベーンロータ3のベース部およびベーン21の外周壁とシューハウジング7のハウジング部および各シュー14の内周壁との間には、複数個のシール部材23が装着されている。 【0023】なお、ベーンロータ3は、複数個のベーン21の外周壁とシューハウジング7のハウジング部の内周壁との間に微小のクリアランスが設けられている。このため、カムシャフト2およびベーンロータ3は、チェーンスプロケット6およびシューハウジング7と相対回動運動(例えばクランク角で40°CA〜60°CA)が可能である。また、ベーン21を有するベーンロータ3は、シューハウジング7と共に、油圧を用いてエンジンの吸気バルブの開閉時期の位相を連続的に可変するベーン式の油圧アクチュエータを構成する。 【0024】そして、ベーンロータ3の各ベーン21は、互いに周方向において対向する略扇状の羽根であり、隣設する2つのシュー14の周方向の間隙に形成される扇状空間部内に突出するように配置されている。そして、隣設する2つのシュー14の対向面とそれらにより形成される扇状空間部内に嵌め込まれるベーン21の周方向の両側面との間には、進角油圧室(以下進角室と略す)24と遅角油圧室(以下遅角室と略す)25とが形成されている。すなわち、各ベーン21が隣設する2つのシュー14により形成される扇状空間部を2つの油圧室に油密的に区画することにより、各ベーン21の周方向の両側に進角室24と遅角室25とが形成されている。 【0025】油圧回路4は、各進角室24に対して油圧を給排(供給または排出)する第1油通路(進角室側油路、第1油路)26、および各遅角室25に対して油圧を給排(供給または排出)する第2油通路(遅角室側油路、第2油路)27を有している。そして、第1、第2油通路26、27は、エンジンのシリンダーヘッドに固定された油路形成部材9内に形成され、第1、第2油通路26、27には、油圧供給油路28とドレン油路(ドレン)29とがそれぞれ通路切替用の進遅角油圧制御弁(OCV)40を介して接続されている。 【0026】そして、第1油通路26は、油路形成部材9内に形成され、更に油路形成部材9のジャーナル軸受部の外周面とジャーナル軸受8のスリーブ部との間に形成されている。なお、第1油通路26の軸方向の前後にはシール部材31、32が装着されている。第2油通路27は、油路形成部材9内に形成され、更に大径ボルト19の頭部およびベーンロータ3のベース部に形成されている。 【0027】そして、油圧供給油路28には、オイルパン(図示せず)内のオイルを汲み上げてエンジンの各部へオイルを吐出するためのオイルポンプ(油圧源)10が設けられ、ドレン29の出口端はオイルパンに連通している。ここで、オイルポンプ10は、エンジンのクランクシャフトに同期して回転駆動されて、エンジン回転数に比例した吐出量のオイルをエンジンの各部へ圧送する。 【0028】進遅角油圧制御弁40は、本発明の油圧給排手段に相当するもので、4ポート3位置切替弁(スプール弁)およびこの切替弁を駆動する電磁式アクチュエータ(電磁ソレノイド)39を有し、図4および図5に示したように、スリーブとスプール弁により形成される油路が各第1、第2油通路26、27と油圧供給油路28およびドレン29とを相対的に切り替え制御できるように構成され、ECU5からの制御信号によって切り換え作動される。 【0029】ここで、図4は進角作動時の進遅角油圧制御弁40の制御位置を示した図で、図5は遅角作動時の進遅角油圧制御弁40の制御位置を示した図である。なお、進角作動時には、オイルポンプ10と第1油通路26とが連通し、且つドレン29と第2油通路27とが連通する制御位置となる。また、中間位相保持時には、第1、第2油通路26、27内の油圧を保持する制御位置となる。さらに、遅角作動時には、オイルポンプ10と第2油通路27とが連通し、且つドレン29と第1油通路26とが連通する制御位置となる。 【0030】ここで、遅角室25には、第2油通路27に連通する油路41が連通しており、油路41には、弁本体42内を軸方向に変位する油圧ピストン方式のストッパーピン43が設けられ、このストッパーピン43には、スプリング44からスプリング力が与えられる。 【0031】ストッパーピン43は、エンジンが始動した時に、遅角室25内に十分な油圧が供給されるまでの間、シューハウジング7のフロントカバー部の内壁面に形成された凹状部(嵌合部)45に先端部が嵌まり込んで、シューハウジング7に対するベーンロータ3の位置決めを行い、タイミングロータ1のシューハウジング7とカムシャフト2およびベーンロータ3とが一体的に回転するようにする。なお、遅角室25内に十分な油圧が供給されると、スプリング力に抗して弁本体42内にストッパーピン43が引っ込み、タイミングロータ1のシューハウジング7とカムシャフト2およびベーンロータ3との相対回転が可能となる。 【0032】なお、46、47は第1、第2油通路26、27中の配管圧損で、油圧供給油路28は、進遅角油圧制御弁40だけでなく、エンジン各部へオイルを供給する油路で、48はこの油路中の配管圧損である。また、油圧供給油路28は、エンジン各部へ連通している。 【0033】そして、シューハウジング7の各シュー14には、吸気バルブの開閉時期の進角応答性を向上させるための進角応答性向上機構が設けられている。本実施形態の進角応答性向上機構は、シューハウジング7の各シュー14内に設けられた連通路49、この連通路49を流れるオイルの流量を調整するための流量制御弁50、および進角室24から遅角室25へのオイルの流出を阻止するチェック弁70等から構成されている。 【0034】連通路49は、進角室24と遅角室25とを連通するための油路である。その連通路49の入口は、シュー14の周方向の遅角室25側の側面に形成され、連通路49の出口は、シュー14の周方向の進角室24側の側面に形成されている。なお、図1では、3組の各油圧室のうちの1組の油圧室を連通しているが、その他の油圧室も図示しない連通路によって連通されている。 【0035】流量制御弁50は、連通路49の入口側、つまり連通路49の遅角室25側端に固定された弁本体51、この弁本体51の摺動孔(軸方向孔)内を軸方向に移動可能な油圧ピストン53、およびこの油圧ピストン53に所定の付勢力(スプリング力)を与えることが可能なスプリング(弁体付勢手段)54等から構成されている。これらのうち油圧ピストン53は、図6および図7に示したように、連通路49を形成する油溝(径方向油路、連通ポート)52の開度を変更する弁体を構成している。 【0036】油圧ピストン53の内部には、軸方向油路55および斜め油路56が形成されている。油溝52は、遅角室25側の摺動孔の内壁面と外壁面とを連通するように油圧ピストン53のサイド(側方、径方向)に形成されている。そして、油圧ピストン53の図示下端部のフランジ部の外周面とシュー14の内側面との間には、オイルが流入可能な所定のオリフィス(固定絞り)57が形成されている。スプリング54は、一端部がリテーナ58に保持され、他端部が油圧ピストン53の軸方向油路55の底面に保持されている。なお、リテーナ58には、多数の連通孔が形成されている。 【0037】そして、油圧ピストン53の前面の油圧室61には、遅角室25内の油圧が直接導入されており、油圧ピストン53の背面の油圧室(ダンパ油圧室)62には、遅角室25内の油圧がオリフィス57を介して導入されており、中間の油圧室63には、ドレン通路64を介して大気圧に設定されている。ここで、本実施形態では、油圧ピストン53の前面の油圧室61の面積(受圧面積A)よりも、油圧ピストン53の背面の油圧室(ダンパ油圧室)62の面積(受圧面積B)の方が大きく設定されている。 【0038】これにより、遅角室25の圧力(遅角室圧)が一定の圧力(所定値)以上になると、スプリング54のスプリング力に抗して油圧ピストン53が軸方向の遅角室25側に移動(リフト)する。このとき、油圧ピストン53のサイドの全周に形成されている油溝52を塞いで、進角室24と遅角室25とを連通する連通路49を遮断する。 【0039】逆に、遅角室25の圧力(遅角室圧)が一定の圧力(所定値)よりも低下すると、スプリング54のスプリング力によって、油溝52を介して進角室24と遅角室25とが連通する。このとき、油圧ピストン53の背面の油圧室(ダンパ油圧室)62へのオイルの導入は、オリフィス57を介して導入させているため、遅角室25の敏感な油圧変動に対しては油圧ピストン53は移動しない。すなわち、背面の油圧室62はダンパ手段を構成する。 【0040】これらの結果、油圧ピストン53は、油圧脈動には反応せず、遅角室25内の油圧が平均的に低下した時のみ、進角室24と遅角室25とを連通する連通路49を開弁するように構成されている。また、油圧ピストン53が開弁する圧力を、遅角室25がドレン29に開放した時のみ開弁するように設定していることにより、ベーンロータ3の各ベーン21を中間位相に保持する場合、遅角室25と進角室24は閉じられているため、油圧ピストン53が開弁して油圧バランスを崩すことはなく、進角室24および遅角室25等の油圧サーボ系に影響を与えることはない。 【0041】チェック弁70は、本発明の弁装置に相当するもので、図1、図3、図6および図7に示したように、流量制御弁50よりも進角室24側寄りに設けられ、進角室24と遅角室25とを連通する連通路49の途中に設けられた弁孔71を有する弁本体(バルブボデー)72、弁孔71を開閉するボールバルブ(弁体)73、およびこのボールバルブ73を弁孔71よりも進角室24側で保持する保持部材74等から構成されている。なお、保持部材74には、多数の連通孔が形成されている。 【0042】ECU5は、エンジン回転数を検出するクランク角センサ、エンジン負荷、吸入空気量を検出するエアフローメータからの信号によって現在の運転状態を検出すると共に、クランク角センサやカム角センサからの信号によってタイミングロータ1とカムシャフト2の相対回転位置を検出する。このECU5は、エンジン回転数やエンジン負荷に応じて、エンジンの吸気バルブの開閉タイミングが最適値となるように進遅角油圧制御弁40の電磁ソレノイド39を通電制御する。 【0043】〔第1実施形態の特徴〕次に、本実施形態の連続可変バルブタイミング調整装置の作動を図1ないし図11に基づいて簡単に説明する。ここで、図6は流量制御弁50の油圧ピストン53の閉弁時のオイル流れを示した図で、図7は流量制御弁50の油圧ピストン53の開弁時のオイル流れを示した図で、図8は遅い進角作動時の位相および油圧挙動を示したタイミングチャートで、図9は早い進角作動時の位相および油圧挙動を示したタイミングチャートである。 【0044】さらに、図10は遅い進角作動時の進遅角油圧制御弁の作動と流量制御弁の開弁時の作動を示した図で、図11は早い進角作動時の進遅角油圧制御弁の作動と流量制御弁の閉弁時の作動を示した図である。なお、遅い進角作動時とは、エンジン回転数が低回転数で、且つ高油温時の時に十分な油圧が得られず、進角作動が遅れる時を言う。また、早い進角作動時とは、エンジン回転数が高回転数の時に十分な油圧が得られ、通常の進角作動が行われる時を言う。 【0045】先ず、ベーンロータ3の各ベーン21を進角側に動作させる進角作動時の応答性向上制御について説明する。図4に示したように、進角作動時には、ECU5によって進遅角油圧制御弁40のスプール弁を軸方向に動かして、オイルポンプ10と進角室24とを第1油通路26を介して連通し、ドレン29と遅角室25とを第2油通路27を介して連通する。 【0046】ここで、ベーンロータ3のベーン21の各油圧室(進角室24および遅角室25)にかかるトルクを考えると、カムシャフト2によって吸気バルブを駆動する正トルクと、吸気バルブによってカムシャフト2が駆動される負トルクとの周期的な変動トルクが発生する。このとき、正トルクによって進角室24の圧力(進角室圧)は上昇し、負トルクによって遅角室25の圧力(遅角室圧)は上昇する。また、圧力が上昇した進角室24または遅角室25の反対側の遅角室25または進角室24の圧力(遅角室圧または進角室圧)は容積が増加するため、低下する。 【0047】エンジンが低速回転時(エンジン回転数が低い回転数の時)で、且つ高油温時の条件を考えると、図8のタイミングチャートおよび図10の作動説明図に示したように、進角室24内の油圧に対して、オイルポンプ10の吐出量が低下するため、オイルポンプ10から進遅角油圧制御弁40、第1油通路26を介して進角室24内へ流入するオイルの流入量が低下する。また、正トルクを受けた場合には、進角室24の圧力(進角室圧)が上昇するが、高油温時のオイル粘度の低下によりオイルが洩れるため、ベーンロータ3の各ベーン21は遅角側へ移動してしまう。 【0048】次に、負トルクがかかった場合、ベーンロータ3の各ベーン21は進角側へと大きく移動する。このとき、遅角室25は第2油通路27、進遅角油圧制御弁40を介してドレン29に開放されているが、進遅角油圧制御弁40のスリーブとスプール弁により形成される油路を介して油圧を排出すると、圧力損失が発生するため、遅角室25の油圧が上昇してしまう。これは、進角動作を行うためには抵抗となり、進角応答性を妨げる要因となる。 【0049】しかし、前述の連通路49は、遅角室25の圧力(遅角室圧)が大気圧付近において、流量制御弁50の油圧ピストン53の開弁圧を下回るため、流量制御弁50の油圧ピストン53は開弁(油溝52開放)しており、連通路49は連通している。ここで、上記のごとく、遅角室25の圧力が脈動的に上昇しており、且つ進角室24の圧力(進角室圧)は低下しているため、図7および図10に示したように、連通路49内には遅角室25から進角室24へ向かうオイルの流れが発生し、負トルクによって進角した周方向の移動量だけ、進角室24の圧力(進角室圧)は上昇し、逆に遅角室25の圧力(遅角室圧)は低下する。 【0050】そして、負トルクの次に正トルクがかかった場合を考える。このとき、進角室24の圧力(進角室圧)は上昇し、逆に遅角室の圧力(遅角室圧)は低下する。そして、前述のごとく、流量制御弁50の油圧ピストン53は開弁(油溝52開放)しており、進角室24から遅角室25へオイルが流れようとするが、連通路49の途中に設けられたチェック弁70のボールバルブ73が弁孔51を閉弁する。これにより、進角室24から遅角室25へのオイルの流れは阻止されるため、連通路49内に進角室24から遅角室25へのオイルの流れは発生しない。 【0051】その結果として、本実施形態のように、これらの連通路49、流量制御弁50およびチェック弁70等よりなる進角応答性向上機構を用いた場合には、カムシャフト2のトルク変動に起因するベーンロータ3の各ベーン21の揺動振動のうち進角側への振幅を利用して、より周方向の進角側へ各ベーン21が移動する。さらに、進遅角油圧制御弁40を介して遅角室25から進角室24へオイルを送り込まないので圧力損失が少なく、進角室24にオイルの流入量が増加する。このため、本実施形態(連通路49あり時)は、図8のタイミングチャートに示したように、従来の技術(連通路なし時)と比べて進角応答性を飛躍的に向上させることができる。 【0052】また、エンジンが高速回転時(エンジン回転数が高い回転数の時)の条件では、図9のタイミングチャートおよび図11の作動説明図に示したように、オイルポンプ10の吐出量が増加し、進角室24に十分なオイルの流入量を確保できるため、流量制御弁50の油圧ピストン53を制御する必要はない。ここで、本実施形態では、油圧ピストン53の前面の油圧室61の面積(受圧面積A)よりも、油圧ピストン53の背面の油圧室(ダンパ油圧室)62の面積(受圧面積B)の方が大きく設定されている。 【0053】これにより、遅角室25の圧力(遅角室圧)が一定の圧力以上になると、スプリング54のスプリング力に抗して油圧ピストン53が遅角室25側に移動(リフト)する。このとき、油圧ピストン53が油溝52を塞いで、進角室24と遅角室25とを連通する連通路49が遮断される。この場合には、遅角室25に排圧が発生するため、図6および図11に示したように、流量制御弁50の油圧ピストン53は閉弁(油溝52閉塞)し、進角室24および遅角室25等の油圧サーボ系に影響を与えることはない。 【0054】ベーンロータ3の各ベーン21を進角側と遅角側との中間位相に保持させる中間保持時には、流量制御弁50の油圧ピストン53の開弁圧を上回る遅角室25の圧力(遅角室圧)が発生するが、油圧脈動によって、流量制御弁50の油圧ピストン53の開弁圧力を下回る可能性もある。その結果として、中間位相に各ベーン21を保持させる中間保持時も、連通路49の途中に設けられたチェック弁70が機能し、進角室24の圧力(進角室圧)と遅角室25の圧力(遅角室圧)とを保持しようとするにも拘らず、進角してしまう場合がある。 【0055】しかし、流量制御弁50の油圧ピストン53の背面の油圧室(ダンパ油圧室)62と中間の油圧室63とを区画する油圧ピストン53に形成されたオリフィス57によって油圧脈動の振幅を低減しているので、上述したような問題は発生しない。また、低油温時は、オイルの洩れ量が少なく、オイル粘度による圧力損失が進角応答性を支配するようになるが、この低油温時の条件では、進角作動時に、遅角室25に十分な油圧を供給できるために、流量制御弁50の油圧ピストン53は開弁しない(油溝52閉塞)。 【0056】また、この応答性向上機構を吸気側のカムシャフト2に適用した場合を考える。エンジンの始動性を向上させるために、内部EGR(エンジンの各気筒の燃焼室内の残留ガス)を減少させる必要があるので、ベーンロータ3を遅角側で始動する必要がある。このため、ECU5によって進遅角油圧制御弁40のスプール弁を軸方向に動かして、進遅角油圧制御弁40を遅角側に制御するようにして始動を行うようにしている。 【0057】すなわち、図5に示したように、オイルポンプ10から油圧を供給する油圧供給油路28と遅角室25とを第2油通路27を介して連通し、ドレン29と進角室24とを第1油通路26を介して連通する。この際、流量制御弁50の油圧ピストン53が開弁(油溝52開放)していると、オイルポンプ10から第2油通路27を経て遅角室25内に供給されたオイルが、連通路49、進角室24を通ってドレン29へ流出してしまう可能性があり、十分に遅角室25の圧力(遅角室圧)が立ち上がらず、エンジンの軸受(図示せず)を損傷してしまう不具合が発生する可能性がある。 【0058】そこで、本実施形態では、ベーンロータ3の各ベーン21の最遅角位置を規定するための最遅角側ストッパ16を連通路49の出口と略同一平面上に形成しているので、流量制御弁50の油圧ピストン53が開弁(油溝52開放)していても、ベーンロータ3の各ベーン21が通常の最遅角位相でのエンジン始動では、各ベーン21が略液密的に連通路49の出口を閉塞することにより、遅角室25内のオイルが連通路49、進角室24を通って流出することを防止することができる。これにより、十分に遅角室25の圧力(遅角室圧)が立ち上がり、エンジンの軸受を損傷することはない。 【0059】〔第2、第3実施形態〕図12および図13は本発明の第2、第3実施形態を示したもので、図12および図13は連続可変バルブタイミング調整装置を示した図である。 【0060】第2実施形態では、第1実施形態に対して、流量制御弁50を、タイミングロータ1のシューハウジング7、カムシャフト2およびベーンロータ3の半径方向に配置して遠心力で、高速回転での作動を防止するようにしている。また、第1実施形態に対して、チェック弁70を、タイミングロータ1のシューハウジング7、カムシャフト2およびベーンロータ3の半径方向に配置して遠心力で、高速回転での作動を防止するようにしている。さらに、第3実施形態では、第1実施形態に対して、流量制御弁50を、カムシャフト2の軸方向に配置して遠心力による影響を無くすようにしている。 【0061】〔他の実施形態〕本実施形態では、シューハウジング7の内周部に3個のシュー14を設け、ベーンロータ3の外周部に3個のベーン21を設けることにより、3つの進角室(進角油圧室)24および3つの遅角室(遅角油圧室)25を設けてバルブタイミングを連続的に可変したが、シューハウジング7の内周部に4個以上のシュー14を設け、ベーンロータ3の外周部に4個以上のベーン21を設けることにより、4つ以上の進角室(進角油圧室)24および4つ以上の遅角室(遅角油圧室)25を設けてバルブタイミングを連続的に可変しても良い。また、2つの進角室(進角油圧室)24および2つの遅角室(遅角油圧室)25を設けてバルブタイミングを連続的に可変しても良い。 【0062】ここで、アイドル時には、エンジンの吸気バルブの開閉タイミングを大きく遅らせて(遅角させて)オーバーラップ(吸気バルブと排気バルブとが同時に開弁している時期)を無くして燃焼を安定さるようにしても良い。また、中速高負荷時には、吸気バルブの開閉タイミングを早めて(進角させて)オーバーラップを拡大し、自己EGR(燃焼室内の残留ガス)を増加させて燃焼温度を低下させ、HC、NOxの排出量を低減させるようにしても良い。この場合には、ポンプ損失の低減にもつながり燃費も向上する。また、高速高負荷時には、吸気バルブの閉タイミングを最適なところまで遅らせて(遅角させて)最高出力を確保するようにしても良い。 【0063】また、実際のカムシャフト2の位置をセンサで検出し、目標のバルブタイミングになるように進遅角油圧制御弁40をフィードバック制御しても良い。また、本実施形態では、バルブタイミングを連続可変としたが、バルブタイミングを進角側と遅角側との2段階可変や多段階としても良い。そして、本発明を、吸気連続可変バルブタイミング機構だけでなく、吸排気連続可変バルブタイミング機構、あるいは排気連続可変バルブタイミング機構に利用しても良い。また、内燃機関として、オーバヘッドバルブ(OHV)エンジンを用いても良く、オーバーヘッドカムシャフト(OHC)エンジンを用いても良い。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004260 【氏名又は名称】株式会社デンソー 【識別番号】000004695 【氏名又は名称】株式会社日本自動車部品総合研究所
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| 【出願日】 |
平成12年11月30日(2000.11.30) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100080045 【弁理士】 【氏名又は名称】石黒 健二
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| 【公開番号】 |
特開2002−168103(P2002−168103A) |
| 【公開日】 |
平成14年6月14日(2002.6.14) |
| 【出願番号】 |
特願2000−365573(P2000−365573) |
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