| 【発明の名称】 |
SOHC型エンジンの動弁装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】土田 幸二
【氏名】田中 力
【氏名】高木 治郎
【氏名】大崎 浩一
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| 【要約】 |
【課題】吸気弁の可変バルブタイミング/リフト機構を備えたエンジンにおいて、特別の部材を必要とせずに、吸気ロッカアームをスラスト方向に精密且つ容易に位置決めする。
【解決手段】シリンダヘッド162 に一体に設けたカム軸受部16a…に動弁カム軸352 のジャーナル部35a…を支持するとともに、カム軸受部16a…の上面に設けたロッカ軸固定部16b〜16eに吸気ロッカ軸762 をボルト95…で固定する。吸気ロッカ軸762 に揺動自在に支持した吸気ロッカアーム83,84,85の両側面を、前記カム軸受部16a…の両側面に一体に形成した位置決め面16j…に摺動自在に当接させることにより、前記吸気ロッカアーム83,84,85をスラスト方向に位置決めする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 動弁カム軸(351 ,352 )に設けた複数の吸気カム(86,87)により駆動される複数の吸気ロッカアーム(83,84,85)間の連結状態を油圧で切り換えて吸気弁(81)のバルブタイミング或いはリフトを制御する油圧アクチュエータ(A1 ,A2 )を備えたSOHC型エンジンの動弁装置であって、前記吸気カム(86,87)のカム山の回転軌跡よりも大径のカムジャーナル部(35a)を支持するカム軸受部(16a)をシリンダヘッド(161 ,162 )に一体に形成し、前記カム軸受部(16a)から動弁カム軸(351 ,352 )の軸方向に一体に延出して吸気ロッカ軸(761 ,762 )をボルト(95)で固定するロッカ軸固定部(16b〜16e)を設け、隣り合うロッカ軸固定部(16b〜16e)間に前記複数の吸気ロッカアーム(83,84,85)を近接させて配設するともに、前記隣り合うロッカ軸固定部(16b〜16e)の対向部に前記吸気ロッカアーム(83,84,85)をスラスト方向に位置決めする位置決め面(16j)を形成したことを特徴とするSOHC型エンジンの動弁装置。 【請求項2】 前記油圧アクチュエータ(A1 ,A2 )を作動させるべく前記吸気ロッカ軸(761 ,762 )内に形成された吸気ロッカ軸内油路(771,772 )に制御油圧を供給する第1油路(561 ,562 )を、動弁カム軸(351 ,352 )の軸方向一端側のカム軸受部(16a)の側方であって前記吸気ロッカ軸(761 ,762 )を固定するボルト(95)から吸気ロッカ軸(761 ,762 )の軸方向にずれた位置に形成するとともに、シリンダヘッド(161 ,162 )をシリンダブロック(15)に結合するボルト孔に形成した制御油路(751 ,752 )と前記第1油路(561 ,562 )とを、下流端が前記カム軸受部(16a)に支持したカムジャーナル部(35a)に開口する第2油路(551 ,552 )で連通したことを特徴とする、請求項1記載のSOHC型エンジンの動弁装置。 【請求項3】 シリンダブロック(15)からV型に拡開する一対のシリンダヘッド(161 ,162 )を備えて成り、各シリンダヘッド(161 ,162)の動弁カム軸(351 ,352 )の軸方向一端側および他端側に、前記吸気ロッカ軸(761 ,762 )内に形成された吸気ロッカ軸内油路(771 ,772)に制御油圧を供給する制御油路(751 ,752 )と、排気ロッカ軸(721,722 )内に形成された排気ロッカ軸内油路(731 ,732 )に前記カムジャーナル部(35a)を潤滑する潤滑油を供給する潤滑油路(711 ,712 )とをそれぞれ形成し、前記軸方向一端側において中空ノックピン(571 ,572 )で前記吸気ロッカ軸内油路(771 ,772 )を前記制御油路(751 ,752 )に連通させるとともに、前記軸方向一端側のカムジャーナル部(35a)で前記排気ロッカ軸内油路(731 ,732 )と前記制御油路(751 ,752)との連通を遮断し、前記軸方向他端側において中実ノックピン(621 ,622 )で前記吸気ロッカ軸内油路(771 ,772 )と前記潤滑油路(771 ,772 )との連通を遮断するとともに、前記軸方向他端側のカムジャーナル部(35a)に形成した環状溝(35b)で前記潤滑油路(711 ,712 )を前記排気ロッカ軸内油路(731 732 )に連通させたことを特徴とする、請求項1記載のSOHC型エンジンの動弁装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ロッカアームをスラスト方向に位置決めする手段を備えたSOHC型エンジンの動弁装置に関する。 【0002】 【従来の技術】かかるSOHC型エンジンの動弁装置は、例えば実開平3−97507号公報により既に知られている。 【0003】上記従来のSOHC型エンジンの動弁装置は、ロッカアームの位置決め手段としてスプリングを使用していた。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来のスプリングを使用した位置決めを、動弁カム軸に設けた複数の吸気カムにより駆動される複数の吸気ロッカアーム間の連結状態を油圧で切り換えて吸気弁のバルブタイミング或いはリフトを制御する油圧アクチュエータを備えた動弁装置に適用した場合には、スプリングが油圧の影響を受けてロッカアームのスラスト規制が不十分となり、油圧アクチュエータの作動をスムーズに行わせることができない可能性があった。 【0005】また、スプリングの代わりにカラー部材等を使用した場合には、カムホルダーのシリンダヘッドへの組付誤差を吸収するために厚さの異なる多種類のカラー部材を準備する必要があるために部品管理が面倒であるばかりか、吸気ロッカアームを位置決めする作業にも多くの手間を要する問題があった。 【0006】本発明は、前述の事情に鑑みてなされたもので、特別の部材を必要とすることなく、吸気ロッカアームをスラスト方向に精密且つ容易に位置決めすることを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1記載に記載された発明は、動弁カム軸に設けた複数の吸気カムにより駆動される複数の吸気ロッカアーム間の連結状態を油圧で切り換えて吸気弁のバルブタイミング或いはリフトを制御する油圧アクチュエータを備えたSOHC型エンジンの動弁装置であって、前記吸気カムのカム山の回転軌跡よりも大径のカムジャーナル部を支持するカム軸受部をシリンダヘッドに一体に形成し、前記カム軸受部から動弁カム軸の軸方向に一体に延出して吸気ロッカ軸をボルトで固定するロッカ軸固定部を設け、隣り合うロッカ軸固定部間に前記複数の吸気ロッカアームを近接させて配設するともに、前記隣り合うロッカ軸固定部の対向部に前記吸気ロッカアームをスラスト方向に位置決めする位置決め面を形成したことを特徴とする。 【0008】また請求項2に記載された発明は、請求項1の構成に加えて、前記油圧アクチュエータを作動させるべく前記吸気ロッカ軸内に形成された吸気ロッカ軸内油路に制御油圧を供給する第1油路を、動弁カム軸の軸方向一端側のカム軸受部の側方であって前記吸気ロッカ軸を固定するボルトから吸気ロッカ軸の軸方向にずれた位置に形成するとともに、シリンダヘッドをシリンダブロックに結合するボルト孔に形成した制御油路と前記第1油路とを、下流端が前記カム軸受部に支持したカムジャーナル部に開口する第2油路で連通したことを特徴とする。 【0009】また請求項3に記載された発明は、請求項1の構成に加えて、シリンダブロックからV型に拡開する一対のシリンダヘッドを備えて成り、各シリンダヘッドの動弁カム軸の軸方向一端側および他端側に、前記吸気ロッカ軸内に形成された吸気ロッカ軸内油路に制御油圧を供給する制御油路と、排気ロッカ軸内に形成された排気ロッカ軸内油路に前記カムジャーナル部を潤滑する潤滑油を供給する潤滑油路とをそれぞれ形成し、前記軸方向一端側において中空ノックピンで前記吸気ロッカ軸内油路を前記制御油路に連通させるとともに、前記軸方向一端側のカムジャーナル部で前記排気ロッカ軸内油路と前記制御油路との連通を遮断し、前記軸方向他端側において中実ノックピンで前記吸気ロッカ軸内油路と前記潤滑油路との連通を遮断するとともに、前記軸方向他端側のカムジャーナル部に形成した環状溝で前記潤滑油路を前記排気ロッカ軸内油路に連通させたことを特徴とする。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。 【0011】図1〜図11は本発明の一実施例を示すもので、図1はエンジンのタイミングベルト側の側面図、図2は図1の2−2線断面図、図3はリヤバンクの動弁装置の平面図、図4は図3の4−4線断面図、図5は図3の5−5線断面図、図6は図5の6−6線断面図、図7は図4の7−7線断面図、図8はエンジンのタイミングベルト側の縦断面図(図10の8−8線断面図)、図9はエンジンのトランスミッション側の縦断面図(図10の9−9線断面図)、図10はシリンダヘッドの平面図、図11は油圧回路図である。 【0012】先ず図1および図2において、エンジン本体Eは、V型に形成されるシリンダブロック15の上部に一対のシリンダヘッド161 ,162 を結合して構成され、シリンダブロック15の下部にはオイルパン17が、また両シリンダヘッド161 ,162 の上部にはヘッドカバー181 ,182 がそれぞれ結合される。 【0013】シリンダブロック15は、クランクケース部15aと、該クランクケース部15aからV字形をなして上方に延びる一対のシリンダバレル部15b1 ,15b2 とを有し、両シリンダバレル部15b1 ,15b2 の上部にシリンダヘッド161 ,162 が結合される。また両シリンダバレル部15b1 ,15b2 には、直列に並ぶ複数のシリンダボア19…がそれぞれ設けられており、これらのシリンダボア19…内にピストン20…がそれぞれ摺動自在に嵌合される。またクランクケース部15aには、各シリンダボア19…の配列方向に沿って複数のジャーナル軸受21…が隔設されており、各ジャーナル軸受21…の下面にそれぞれ固着される軸受キャップ22…と、前記各ジャーナル軸受21…とによりクランク軸23が回転自在に支承され、該クランク軸23のクランクピン23a…と、前記各ピストン20…とはコンロッド24…を介して連結される。 【0014】クランク軸23の軸方向一端側で、シリンダブロック15における一側壁外面には、クランク軸23で駆動されるオイルポンプPが配設される。このオイルポンプPは、シリンダブロック15の前記側壁外面に取付けられるポンプケース25内に、クランク軸23に固定される内側ロータ26と、該内側ロータ26に噛合する外側ロータ27とが相互に偏心した位置で回転自在に収納、配置されて成るトロコイドポンプである。 【0015】シリンダブロック15の一側壁外面にはポンプボディ28が締結される。而してポンプケース25は、ポンプボディ28の背面側に設けられたポンプケース部29と、該ポンプケース部29に結合されるケース部材30とで構成されるものであり、ケース部材30がポンプケース部29の背面側すなわちシリンダブロック15側に取付けられた状態で、ポンプボディ28がシリンダブロック15に結合される。 【0016】ポンプケース25に設けられる吸込み口31には、オイルパン17内に配置されるオイルストレーナ32が吸込み管33を介して接続される。 【0017】エンジン本体Eにおける一側壁外面に近接した位置には、クランク軸23と平行にして両シリンダヘッド161 ,162 にそれぞれ回転自在に支承される動弁カム軸351 ,352 を駆動するための巻掛伝動系Tが配設されるものであり、この巻掛伝動系Tは、オイルポンプPのポンプケース25から突出したクランク軸23の端部に固定される第1駆動プーリ36と、動弁カム軸351 ,352 の端部にそれぞれ固定される被動プーリ371 ,372 と、第1駆動プーリ36および被動プーリ371 ,372 に巻掛けられる無端状のタイミングベルト38とを備え、第1駆動プーリ36は、ポンプケース25をシリンダブロック15の一側壁外面との間に挟む位置でクランク軸23に固定されることになる。 【0018】巻掛伝動系Tにおいて、第1駆動プーリ36および被動プーリ371 間でのタイミングベルト38の外周側にはアイドルプーリ39が係合され、このアイドルプーリ39の係合によりタイミングベルト38は、第1駆動プーリ36および被動プーリ371 間を仮に直接結ぶようにしたときの仮想系路R(図1参照)よりも内方側、すなわち第1駆動プーリ36および被動プーリ371 へのタイミングベルト38の巻掛け量を増大させる方向にタイミングベルト38の走行経路が偏倚されることになる。而してポンプボディ28には、アイドルプーリ39を回転自在に支承するためのボス40が設けられる。 【0019】両被動プーリ371 ,372 間でタイミングベルト38はウォータポンプ41に巻掛けられる。また被動プーリ372 および第1駆動プーリ36間でタイミングベルト38の外周には回転輪42が係合されており、この回転輪42は、該回転輪42をタイミングベルト38に圧接する方向のばね力を発揮するテンションばね(不図示)とともにテンショナ44を構成する。 【0020】このような巻掛伝動系Tはカバー45で覆われるものであり、カバー45の上部には、シリンダヘッド161 ,162 との間に配置されるリヤカバー47が結合される。 【0021】クランク軸23はカバー45からさらに突出されるものであり、クランク軸23のカバー45からの突出端部には、たとえば図示しないパワーステアリング用油圧ポンプを駆動するための第2駆動プーリ48と、たとえば図示しないACジェネレータや空気調和装置用コンプレッサを駆動するための第3駆動プーリ49とを有する回転輪50が固着される。 【0022】次に、図11に基づいて油圧回路の概略を説明する。 【0023】オイルパン17内の油を吸入口31を経て汲み上げるオイルポンプPの吐出口51はフィルタ・クーラユニット52を介してメインギャラリー53に接続されており、潤滑油としての油はメインギャラリー53から分岐してクランク軸23のジャーナル軸受21…やクランクピン23a…を潤滑する。更に、エンジン本体Eのトランスミッションサイドにおいて、メインギャラリー53の末端部から一対の潤滑油路711 ,712 が二股に分岐しており、その一方の潤滑油路711 はフロントバンクの排気ロッカ軸721 の内部に形成した排気ロッカ軸内油路731 を介して動弁カム軸351 を潤滑するとともに、その他方の潤滑油路712 はリヤバンクの排気ロッカ軸722 の内部に形成した排気ロッカ軸内油路732 を介して動弁カム軸352 を潤滑する。 【0024】エンジン本体Eのタイミングベルトサイドにおいて、フィルタ・クーラユニット52を通過した油の一部は制御油となり、ソレノイド弁74で作動する油圧制御弁Vにおいて調圧された後、一対の制御油路751 ,752 に二股に分岐する。一方の制御油路751 からフロントバンクの吸気ロッカ軸761 の内部に形成した吸気ロッカ軸内油路771 に供給され、フロントバンクの各吸気弁のバルブタイミング/リフトを制御する3個の油圧アクチュエータA1 …を作動させる。また他方の制御油路752 からリヤバンクの吸気ロッカ軸762 の内部に形成した吸気ロッカ軸内油路772 に供給された制御油は、リヤバンクの各吸気弁のバルブタイミング/リフトを制御する3個の油圧アクチュエータA2 …を作動させる。 【0025】次に、図3〜図6に基づき、動弁機構の構造をリヤバンクを例にとって説明する。 【0026】シリンダヘッド162 には、各シリンダに対応して一対の吸気弁81,81と一対の排気弁82,82とが設けられる。両吸気弁81,81は、一対の駆動吸気ロッカアーム83,84にそれぞれ連動、連結されており、両駆動吸気ロッカアーム83,84と、それらの駆動吸気ロッカアーム83,84間に挟まれた自由吸気ロッカアーム85とは、固定の吸気ロッカ軸762 に揺動可能に支承され、両駆動駆動ロッカアーム83,84は動弁カム軸352 に設けられた一対の低速吸気カム86,86によって揺動駆動され、自由吸気ロッカアーム85は動弁カム軸352 に設けられた高速吸気カム87によって揺動駆動される。 【0027】油圧アクチュエータA2 は、自由吸気ロッカアーム85への嵌合を可能として一方の駆動吸気ロッカアーム83に摺動自在に嵌合されるとともに駆動吸気ロッカアーム83との間に油圧室88を形成する第1切換ピン89と、第1切換ピン89の油圧室88とは反対側の端面に一端面を当接させて自由吸気ロッカアーム85に摺動自在に嵌合されるとともに他方の駆動吸気ロッカアーム84への嵌合が可能な第2切換ピン90と、第2切換ピン90の他端面に当接して他方の駆動吸気ロッカアーム84に摺動自在に嵌合される規制ピン91と、第2切換ピン90を介して第1切換ピン89に当接した状態にある規制ピン91を油圧室88側に付勢するばね力を発揮して駆動吸気ロッカアーム84および規制ピン91間に縮設される戻しばね92とを備える。 【0028】一方、両排気弁82,82は、一対の排気ロッカアーム93,93にそれぞれ連動、連結されており、排気ロッカアーム93,93は動弁カム軸352 に設けられた一対の排気カム94,94によって揺動駆動される。 【0029】シリンダヘッド162 には、動弁カム軸352 に形成された4個のカムジャーナル部35a…を支持する4個のカム軸受部16a…が一体に形成される。図5から明らかなように、カムジャーナル部35aの内径は前記各カム86,86,87,94,94の最大外径よりも大きく形成されており、動弁カム軸352 を挿入してカム軸受部16a…に支持できるので前記カム軸受部16a…には軸受キャップは設けられていない。したがって、軸受キャップの組付誤差によりスラスト規制の精度が低下することがない。 【0030】而して、前記油圧アクチュエータA2 では、油圧室88の油圧が高くなることにより、第1切換ピン89が自由吸気ロッカアーム85に嵌合するとともに第2切換ピン90が他方の駆動吸気ロッカアーム84に嵌合して、各ロッカアーム83,84,85が連結される。このように各ロッカアーム83,84,85が連結されると、両駆動吸気ロッカアーム83,84は、高速吸気カム87で揺動駆動される自由吸気ロッカアーム85と一体的に揺動作動することになり、両吸気弁81,81は高速吸気カム87に応じたタイミングおよびリフトで開閉作動することになる。また油圧室88の油圧が低くなると戻しばね92のばね力により第1切換ピン89が第2切換ピン90との当接面を駆動吸気ロッカアーム83および自由吸気ロッカアーム84間に対応させる位置まで戻り、第2切換ピン90が規制ピン91との当接面を自由吸気ロッカアーム85および駆動吸気ロッカアーム84間に対応させる位置まで戻るので各ロッカアーム83,84,85の連結状態が解除される。而してこの連結解除状態では、両駆動吸気ロッカアーム83,84が低速吸気カム86,86により揺動駆動されることになり、吸気弁81,81は低速吸気カム86,86に応じたタイミングおよびリフトで開閉作動することになる。 【0031】フロントバンク側においても、上述したリヤバンク側と同様に、両吸気弁81,81は、低速カム86,86で揺動駆動される一対の駆動吸気ロッカアーム83,84にそれぞれ連動、連結されており、両駆動吸気ロッカアーム83,84と、それらの駆動吸気ロッカアーム83,84間に挟まれて高速吸気カム87で揺動駆動される自由吸気ロッカアーム85とが固定の吸気ロッカ軸761 に揺動可能に支承される。而して、それらのロッカアーム83,84,85に設けられる油圧アクチュエータA1 は、上記油圧アクチュエータA2 と同様に構成される。 【0032】図3、図4および図10を併せて参照すると明らかなように、シリンダヘッド161 ,162 に動弁カム軸351 ,352 を支持すべく設けられた各5個のカム軸受部16a…の一側には、前記吸気ロッカ軸761 ,762 を支持するための4個の吸気ロッカ軸固定部16b,16c,16d,16eが一体に連設される。吸気ロッカ軸761 ,762 は、軸方向外側の2個の吸気ロッカ軸固定部16b,16eにそれぞれ1本のボルト95で固定されるとともに、軸方向内側の2個の吸気ロッカ軸固定部16c,16dにそれぞれ2本のボルト95,95で固定される。 【0033】また、前記カム軸受部16a…の他側には、前記排気ロッカ軸721 722 を支持するための4個の排気ロッカ軸固定部16f,16g,16h,16iが一体に連設される。排気ロッカ軸721 ,722 は、各排気ロッカ軸固定部16f,16g,16h,16iにそれぞれ1本のボルト96で固定される。 【0034】上述したように、吸気ロッカ軸761 ,762 を吸気ロッカ軸固定部16b〜16eにボルト95…で固定することにより、その支持剛性を高めることができ、また排気ロッカ軸721 ,722 を排気ロッカ軸固定部16f〜16iのボルト96…で固定することにより、その支持剛性を高めることができる。 【0035】図10に示すように、吸気ロッカ軸固定部16b〜16eの軸方向端部には吸気ロッカアーム位置決め面16j…が一体に連設されており、これら吸気ロッカアーム位置決め面16j…に駆動吸気ロッカアーム83…,84…の外側の側面、即ち自由吸気ロッカアーム85…に接していない側の側面が摺動自在に当接する。このように、吸気ロッカ軸固定部16b〜16eと一体に形成したロッカアーム位置決め面16j…に駆動吸気ロッカアーム83…,84…の側面を案内させることにより、駆動吸気ロッカアーム83…,84…および自由吸気ロッカアーム85のスラスト方向の位置決めを、カラー等の特別の位置決め部材を使用することなく容易かつ精密に行うことができる。その結果、駆動吸気ロッカアーム83…,84…および自由吸気ロッカアーム85間の連結・連結解除を司る油圧アクチュエータA1 …,A2 …の作動をスムーズに行わせることができる。 【0036】また、排気ロッカ軸固定部16f〜16iの軸方向端部には排気ロッカアーム位置決め面16k…が一体に連設される。対を成す2個の排気ロッカアーム93,93はスプリング97…によって相互に離反する方向に付勢され、前記スプリング97…に接していない側の側面が前記排気ロッカアーム位置決め面16k…に摺動自在に当接する。このように、排気ロッカ軸固定部16f〜16iと一体に形成した排気ロッカアーム位置決め面16k…に排気ロッカアーム93…の側面を案内させることにより、排気ロッカアーム93…のスラスト方向の位置決めを容易に行うことができる。 【0037】次に、吸気ロッカ軸761 ,762 を経て油圧アクチュエータA1 …,A2 …に至る制御油路の構造と、排気ロッカ軸721 ,721 を経て動弁カム軸351,352 に至る潤滑油路の構造とを、主として図8〜図11を参照しながら説明する。 【0038】エンジン本体Eのフロントバンクおよびリヤバンクの分岐部の近傍に、オイルポンプPからの油が潤滑油として供給されるメインギャラリー53がクランク軸23の軸方向に沿って形成される。エンジン本体Eのタイミングベルトサイドにおいて、前記油圧制御弁Vから供給された制御油がフロントバンク側の制御油路751 とリヤバンク側の制御油路752 とに二股に分岐する。制御油路751 ,752 は、シリンダブロック15のシリンダバレル部15b1 ,15b2 に穿設した第1制御油路75a1 ,75a2 と、シリンダヘッド161 ,162 をシリンダバレル部15b1 ,15b2 に結合するボルト54…の外周に沿って形成された第2制御油路75b1 ,75b2 とから構成される。 【0039】第2制御油路75b1 ,75b2 から直角方向に分岐する第2油路551 ,552 の下流端は、動弁カム軸351 ,352 のカムジャーナル部35a,35a(フロントバンクではタイミングベルトサイドから2番目のカムジャーナル部35a、リヤバンクでは最もタイミングベルトサイドのカムジャーナル部35a)に連通し、そのカムジャーナル部35a、35aを潤滑する。 【0040】フロントバンクにおいて、吸気ロッカ軸761 は中空ノックピン571 により吸気ロッカ軸固定部16eに位置決めされており、前記第2油路551 の中間部から直角方向に分岐する第1油路561 の下流端は、前記中空ノックピン571を介して吸気ロッカ軸内油路771 に連通する。リヤバンクにおいて、吸気ロッカ軸762 は中空ノックピン572 により吸気ロッカ軸固定部16bに位置決めされており、前記第2油路552 の中間部から直角方向に分岐する第1油路562 の下流端は、前記中空ノックピン572 を介して吸気ロッカ軸内油路772 に連通する。吸気ロッカ軸761 ,762 の下流端(ミッションサイド側の端部)は、後述する中実ノックピン621 ,622 により閉塞される。 【0041】而して、油圧制御弁Vからの制御油は制御油路711 ,712 、第2油路551 ,552 および第1油路561 ,562 を介して吸気ロッカ軸内油路771 ,772 に供給され、油圧アクチュエータA1 …,A2 …を作動させる。 【0042】一方、エンジン本体Eのミッションサイドにおいて、前記メインギャラリー53の下流端からフロントバンク側の潤滑油路711 とリヤバンク側の潤滑油路712 とが二股に分岐する。潤滑油路711 ,712 は、シリンダブロック15のシリンダバレル部15b1 ,15b2 に穿設した第1潤滑油路71a1 ,71a2 と、シリンダヘッド161 ,162 をシリンダバレル部15b1 ,15b2 に結合するボルト54…の外周に沿って形成された第2潤滑油路71b1 ,71b2 とから構成される。 【0043】第2潤滑油路71b1 ,71b2 から直角方向に分岐する第3油路581 ,582 の下流端は、動弁カム軸351 ,352 のカムジャーナル部35a,35a(フロントバンクでは最もミッションサイド側のカムジャーナル部35a、リヤバンクではミッションサイドから2番目のカムジャーナル部35a)に形成した環状溝35b,35bに連通し、そのカムジャーナル部35a、35aを潤滑する。更に、前記環状溝35b,35bから延びる第4油路591 ,592 は、それぞれ排気ロッカ軸内油路731 ,732 に連通する。 【0044】フロントバンクにおいて、吸気ロッカ軸761 は前記中実ノックピン621 により吸気ロッカ軸固定部16bに位置決めされており、前記第3油路581 の中間部から直角方向に分岐する第5油路601 の下流端は、前記中実ノックピン621 により閉塞されて吸気ロッカ軸内油路771 への連通を阻止される。リヤバンクにおいて、吸気ロッカ軸762 は前記中実ノックピン622 により吸気ロッカ軸固定部16eに位置決めされており、前記第3油路582 の中間部から直角方向に分岐する第5油路602 の下流端は、前記中実ノックピン622 により閉塞されて吸気ロッカ軸内油路772 への連通を阻止される。 【0045】而して、排気ロッカ軸内油路731 ,732 に供給された潤滑油は、その排気ロッカ軸内油路731 ,732 から分岐する各4本の第6油路611 …,612…を介して動弁カム軸351 ,352 のカムジャーナル部35a…を潤滑する。図11から明らかなように、リヤバンクの動弁カム軸352 の最もタイミングベルトサイドのカムジャーナル部35aは、タイミングベルト38から受ける荷重によって潤滑条件が厳しくなるが、そのカムジャーナル部35aは排気ロッカ軸内油路732 から第6油路612 を介して潤滑されるだけでなく、制御油路752 からも第2油路552 を介して潤滑され、潤滑不良を起こす虞がない。 【0046】図8〜図10から明らかなように、中空ノックピン571 ,572 および中実ノックピン621 ,622 が嵌合する第1油路561 ,562 および第5油路601 ,602 はカム軸受部16a…の側方に形成されているため、前記カム軸受部16a…から軸方向にずれたボルト95…が前記油路561 ,562 ,601,602 と干渉することがなく、これにより油路561 ,562 ,601 ,602 の形成が容易になるとともにカム軸受部16a…の強度低下も防止できる。 【0047】図10から明らかなように、フロントバンクのシリンダヘッド161 およびリヤバンクのシリンダヘッド162 は同一形状の部材を兼用しており、フロントバンクのシリンダヘッド161 をO点回りに180°回転させるとリヤバンクのシリンダヘッド162 に重なり合う。そしてフロントバンクのシリンダヘッド161 の中空ノックピン571 が嵌合する位置に対応して、リヤバンクのシリンダヘッド162 には中実ノックピン622 が嵌合する。そしてフロントバンクのシリンダヘッド161 の中実ノックピン621 が嵌合する位置に対応して、リヤバンクのシリンダヘッド162 には中空ノックピン572 が嵌合する。これにより、同一形状の部材をフロントバンクおよびリヤバンクのシリンダヘッド161 ,162 に兼用することを可能にしている。 【0048】上述したように、エンジン本体EのタイミングベルトサイドにオイルポンプPおよび油圧制御弁Vを配置するとともに、同じタイミングベルトサイドからフロントバンクおよびリヤバンクの吸気ロッカ軸761 ,762 に制御油を供給しているので、油圧制御弁Vの数が1個で済むだけでなく、油圧制御弁Vから吸気ロッカ軸761 ,762 に至る油路の長さを最小限に短縮して制御油圧の低下を回避することができる。 【0049】図3、図4および図7に示すように、リヤバンクのミッションサイドには、動弁カム軸352 の端部にオルダム継ぎ手98を介して接続されたデストリビュータ992 が設けられる。吸気ロッカ軸内油路772 の下流端には下向きに開口するリーク孔76a2 が形成されており、このリーク孔76a2 からリークした作動油は、シリンダヘッド162 に形成した油孔15c2 と、デストリビュータ支持部材100に形成した油孔100aとを介してオルダム継ぎ手98を潤滑し、デストリビュータ支持部材100に形成した油孔100bを介して排出される。更に、デストリビュータ支持部材100は動弁カム軸352 の軸端のフランジ部に当接し、該動弁カム軸352 のスラスト規制も行っている。 【0050】このように、吸気ロッカ軸内油路772 からリークする作動油でデストリビュータ992 のオルダム継ぎ手98を潤滑することにより、オルダム継ぎ手98における打音の発生や摩耗の発生を防止することができる。しかも、リーク孔76a2 からの作動油のリーク量は高回転時に増加するため、オルダム継ぎ手98における打音の発生や摩耗の発生を一層効果的に防止することができる。またリーク孔76a2 から作動油をリークさせることにより、油圧アクチュエータA2 …によるバルブタイミング/リフトの高回転時→低回転時の切換応答性を向上させることができる。 【0051】以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。 【0052】 【発明の効果】以上のように請求項1記載に記載された発明によれば、カムジャーナル部を支持すべくシリンダヘッドに一体に形成したカム軸受部に、吸気ロッカ軸をボルトで固定するロッカ軸固定部を一体に設け、このロッカ軸固定部に吸気ロッカアームをスラスト方向に位置決めする位置決め面を形成したので、組付誤差を吸収するためのカラーのような特別の部材を用いることなく吸気ロッカアームをスラスト方向に精密且つ容易に位置決めすることが可能となるばかりか、吸気ロッカアームの近傍にてボルトで吸気ロッカ軸を固定することができるので、吸気ロッカ軸の撓みを規制して油圧アクチュエータの作動をスムーズに行わせることが可能となる。 【0053】また請求項2に記載された発明によれば、吸気ロッカ軸内油路に制御油圧を供給する第1油路を、吸気ロッカ軸を固定するボルトと干渉することなく容易に形成することができるので、カム軸受部の剛性も確保できる。しかも、前記第1油路に連通する制御油路をシリンダヘッドをシリンダブロックに結合するボルト孔を利用して容易に形成することができるばかりか、前記制御油路と前記第1油路とを連通する第2油路を利用してカムジャーナル部を潤滑することができる。 【0054】また請求項3に記載された発明によれば、前記軸方向一端側において中空ノックピンで前記吸気ロッカ軸内油路を前記制御油路に連通させるとともに、前記軸方向一端側のカムジャーナル部で前記排気ロッカ軸内油路と前記制御油路との連通を遮断し、前記軸方向他端側において中実ノックピンで前記吸気ロッカ軸内油路と前記潤滑油路との連通を遮断するとともに、前記軸方向他端側のカムジャーナル部に形成した環状溝で前記潤滑油路を前記排気ロッカ軸内油路に連通させたので、ノックピンの形状及びカムジャーナル部の形状を選択するだけで各々のシリンダヘッドに必要な油路を形成することができ、これによりV型エンジンの一対のシリンダヘッドに同一部材を共用することが可能となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005326 【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成7年8月9日(1995.8.9) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100071870 【弁理士】 【氏名又は名称】落合 健 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2002−161718(P2002−161718A) |
| 【公開日】 |
平成14年6月7日(2002.6.7) |
| 【出願番号】 |
特願2001−310613(P2001−310613) |
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