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【発明の名称】 廃熱回収ランキンサイクルシステム及び廃熱回収方法
【発明者】 【氏名】松岡 俊雄

【要約】 【課題】機関廃熱を回収して蒸気を発生させ、この蒸気によりタービン出力を得る廃熱回収ランキンサイクルシステムに対し、機関の運転状態に拘わりなく、常に機関廃熱の回収量を大きく維持でき、これによってシステムの高効率化を図る。

【解決手段】水を作動流体とするランキンサイクルを行う高温側発電ユニット6と、水よりも低沸点の冷媒を作動流体とするランキンサイクルを行う低温側発電ユニット7とにより発電システム1を構成する。ガスエンジン2からの排気ガスの廃熱を、先ず、高温側発電ユニット6により回収して水蒸気タービン64を駆動する。この廃熱回収後の排気ガスの廃熱を、低温側発電ユニット7により回収して蒸気タービン74を駆動する。各蒸気タービン64,74の出力軸64a,74aを、流体継手81で連結すると共に発電機82に接続する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 機関廃熱を回収して蒸気を発生させ、この蒸気によりタービン出力を得る廃熱回収ランキンサイクルシステムにおいて、機関からの排気の廃熱を回収して作動流体を蒸気にする第1蒸発手段、この蒸気により駆動される第1蒸気タービン、この第1蒸気タービンから流出した蒸気を凝縮させる第1凝縮手段、凝縮後の作動流体を上記第1蒸発手段に向けて循環させるために昇圧する第1昇圧手段を備えた高温側ランキンサイクル手段と、この高温側ランキンサイクル手段の作動流体よりも沸点の低い作動流体を使用し、上記第1蒸発手段によって回収されなかった排気の廃熱を回収して作動流体を蒸気にする第2蒸発手段、この蒸気により駆動される第2蒸気タービン、この第2蒸気タービンから流出した蒸気を凝縮させる第2凝縮手段、凝縮後の作動流体を上記第2蒸発手段に向けて循環させるために昇圧する第2昇圧手段を備えた低温側ランキンサイクル手段とを備えていることを特徴とする廃熱回収ランキンサイクルシステム。
【請求項2】 請求項1記載の廃熱回収ランキンサイクルシステムにおいて、高温側ランキンサイクル手段の作動流体は水である一方、低温側ランキンサイクル手段の作動流体は、以下の3条件、・水に比べて気化の潜熱が小さい・水に比べて液相での比熱が大きい・T−S線図上の乾き飽和蒸気線のエントロピ変化が水蒸気に比べて小さい「等エントロピタイプ」の飽和蒸気特性を有しているのうちの少なくとも一つを満たすものであることを特徴とする廃熱回収ランキンサイクルシステム。
【請求項3】 請求項1または2記載の廃熱回収ランキンサイクルシステムにおいて、各ランキンサイクル手段の蒸気タービンの出力軸は発電機に接続され、蒸気タービンの駆動により発電が行われるようになっており、高温側ランキンサイクル手段は、第1蒸発手段で生成した蒸気を取り出し可能な取出手段が設けられていて、この取出手段によって発電動作と蒸気取り出し動作とが切り換え可能に構成されていることを特徴とする廃熱回収ランキンサイクルシステム。
【請求項4】 請求項1または2記載の廃熱回収ランキンサイクルシステムにおいて、各ランキンサイクル手段の蒸気タービンの出力軸同士は流体継手を介して動力伝達可能に連結されている一方、これら出力軸の回転駆動力を受けて発電する発電機が備えられていることを特徴とする廃熱回収ランキンサイクルシステム。
【請求項5】 請求項3または4記載の廃熱回収ランキンサイクルシステムにおいて、発電機には、発電機出力を所定出力に変換するインバータが接続されていることを特徴とする廃熱回収ランキンサイクルシステム。
【請求項6】 請求項1〜5のうち何れか一つに記載の廃熱回収ランキンサイクルシステムにおいて、各ランキンサイクル手段は、昇圧手段から蒸発手段に向かって流れる作動流体と機関冷却水との間で熱交換を行って作動流体を予熱する予熱手段を備えていることを特徴とする廃熱回収ランキンサイクルシステム。
【請求項7】 廃熱回収ランキンサイクルシステムのタービン出力を得るために機関廃熱を回収する廃熱回収方法において、第1蒸気タービンを有する高温側ランキンサイクル手段と、この高温側ランキンサイクル手段の作動流体よりも沸点の低い作動流体を用い且つ第2蒸気タービンを有する低温側ランキンサイクル手段とを使用し、機関からの排気の廃熱を上記高温側ランキンサイクル手段によって回収して第1蒸気タービンを駆動させる高温側廃熱回収動作と、上記高温側ランキンサイクル手段によって回収されなかった排気の廃熱を低温側ランキンサイクル手段によって回収して第2蒸気タービンを駆動させる低温側廃熱回収動作とを備えていることを特徴とする廃熱回収方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、廃熱回収ランキンサイクルシステム及び廃熱回収方法に係る。特に、本発明は機関廃熱の回収量の増大を図るための対策に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ガスエンジンの駆動力及びこのガスエンジンからの廃熱を回収することで駆動する水蒸気タービンの駆動力により発電を行う発電システムが知られている。図7は、この種の発電システムの概略構成を示すブロック図である。この図に示すように、本発電システムは、ガスエンジンaから延びる出力軸a1が発電機bに接続されており、この出力軸a1の回転駆動力によって発電機bによる発電を行うようになっている。
【0003】また、ガスエンジンaは、空気供給系と燃料供給系とから成る吸気系を備えており、空気供給系から供給される空気と燃料供給系から供給される燃料との混合気が燃焼室に供給されることで駆動するようになっている。
【0004】空気供給系は、過給機(コンプレッサ)c及びインタクーラdを備えている。つまり、この過給機cによって空気を圧縮した後、この空気をインタクーラdで冷却することで、高密度の空気を燃焼室に向けて供給できるようになっている。尚、上記過給機cは、排気ガスが流れる排気管eに設けられたタービンfの出力軸f1に直結されており、このタービンfの回転出力を受けて空気を圧縮する。
【0005】一方、燃料供給系は、図示しないが、例えば炭化水素系燃料(Cmn)と水蒸気(H2O)とを吸熱反応させることによって、元の炭化水素系燃料よりも発熱量が大きな燃料を生成するようになっている。そして、この燃料が上記空気供給系から供給された空気と混合されてガスエンジンaの燃焼室に供給される。
【0006】また、この種の発電システムは、排気管eを流れる排気ガスの熱を回収して水蒸気を生成し、この水蒸気により水蒸気タービンkを駆動させることによって発電を行う廃熱回収発電ユニットgを備えている。この廃熱回収発電ユニットgは、ポンプh、廃熱ボイラi、過熱器j、水蒸気タービンk、復水器lが配管mによって順に接続されて成る水循環回路を備えている。ポンプhで昇圧された水は、廃熱ボイラi及び過熱器jにおいて、排気ガスとの間で熱交換を行って高圧の水蒸気となる。この水蒸気により水蒸気タービンkが駆動し、これによって、水蒸気タービンkの駆動軸k1に減速機nを介して接続された発電機oが発電を行う。減速機nでは、水蒸気タービンkの出力軸k1の回転数が所定回転数(例えば60Hzの交流電流を得るのに適した回転数)まで減速されて発電機oに伝達される。これにより、発電機oにより所定周波数の交流電流が得られる。
【0007】また、水蒸気タービンkから流出した水蒸気は、復水器lにおいて図示しない冷却系の冷却水等によって冷却されて凝縮し、再びポンプhによって昇圧される。以上の循環動作が繰り返されることで、排気ガスの廃熱を利用した発電動作が連続して行われるようになっている。
【0008】尚、この種の発電システムでは、原動機としてガスエンジンの他、ディーゼルエンジンやガスタービン等が使用される場合もある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところが、この種のシステムにおいて、排気管eを流れる排気ガスの温度が比較的低い場合には、廃熱回収発電ユニットgでの水蒸気タービンkの動力が十分に得られず、システムの効率の悪化を招いてしまう。
【0010】図8は、水蒸気タービンkの出口乾き度が89%である場合の排気ガス温度と水蒸気圧力との関係において、水蒸気タービンkによる動力回収可能な領域と動力回収不可能な領域とを示す図である。例えば、水蒸気圧力が1.5MPaである場合、排気ガス温度としては320℃以上が必要であり、これよりも低温である場合には水蒸気タービンkの動力が得られなくなってしまう。
【0011】例えば、電力需要が低くて機関の負荷が小さい場合には、排気ガス温度が低くなり、場合によっては排気ガス温度が300℃以下まで低下することがある。このような状況では、排気ガスの熱回収を十分に行うことができず、機関廃熱の回収量が低下してしまい、システムの効率の悪化を招くことになる。
【0012】本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、機関の運転状態に拘わりなく、常に機関廃熱の回収量を大きく維持でき、これによってシステムの高効率化を図ることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】−発明の概要−上記の目的を達成するために、本発明は、高温側及び低温側のランキンサイクル手段を備えさせ、先ず、機関廃熱を高温側のランキンサイクル手段によって回収した後、残りの廃熱を、高温側のランキンサイクル手段の作動流体よりも低沸点の作動流体を使用した低温側のランキンサイクル手段によって回収することで、機関廃熱の回収量を大きく確保すると共に、機関廃熱の熱量が小さくても低温側のランキンサイクル手段によって確実に熱回収が行えるようにしている。
【0014】−解決手段−具体的に、第1の解決手段は、機関廃熱を回収して蒸気を発生させ、この蒸気によりタービン出力を得る廃熱回収ランキンサイクルシステムを前提とする。この廃熱回収ランキンサイクルシステムに対し、高温側ランキンサイクル手段と低温側ランキンサイクル手段とを備えさせている。高温側ランキンサイクル手段は、機関からの排気の廃熱を回収して作動流体を蒸気にする第1蒸発手段、この蒸気により駆動される第1蒸気タービン、この第1蒸気タービンから流出した蒸気を凝縮させる第1凝縮手段、凝縮後の作動流体を上記第1蒸発手段に向けて循環させるために昇圧する第1昇圧手段を備えている。一方、低温側ランキンサイクル手段は、高温側ランキンサイクル手段の作動流体よりも沸点の低い作動流体を使用し、上記第1蒸発手段によって回収されなかった排気の廃熱を回収して作動流体を蒸気にする第2蒸発手段、この蒸気により駆動される第2蒸気タービン、この第2蒸気タービンから流出した蒸気を凝縮させる第2凝縮手段、凝縮後の作動流体を上記第2蒸発手段に向けて循環させるために昇圧する第2昇圧手段を備えている。
【0015】この特定事項により、先ず、機関から排出された比較的高温度の排気の廃熱は高温側ランキンサイクル手段を循環する作動流体によって回収され、この回収された熱は第1蒸気タービンの駆動源として利用される。その後、上記熱回収されて比較的低温度となった排気の廃熱は低温側ランキンサイクル手段を循環する低沸点の作動流体によって回収され、この回収された熱が第2蒸気タービンの駆動源として利用される。このように、排気の温度状態に適した作動流体を使用する2つのランキンサイクル手段を組み合わせることにより、これまで回収不可能であった比較的低温度の排気からの廃熱回収が可能となる。また、例えば機関の負荷が小さいことが原因で排気温度が低く、従来の水蒸気ランキンサイクルによる熱回収が不可能な状況であっても、低温側ランキンサイクル手段による熱回収が可能となるので、タービン出力を良好に得ることができ、システムの高効率化を維持できる。
【0016】第2の解決手段は、各ランキンサイクル手段の作動流体を具体的に特定したものである。つまり、上記第1の解決手段において、高温側ランキンサイクル手段の作動流体を水とする。一方、低温側ランキンサイクル手段の作動流体として、以下の3条件のうちの少なくとも一つを満たすものとしている。
【0017】・水に比べて気化の潜熱が小さいこと・水に比べて液相での比熱が大きいこと・T−S線図上の乾き飽和蒸気線のエントロピ変化が水蒸気に比べて小さい「等エントロピタイプ」の飽和蒸気特性を有していること上記の3条件の設定理由について説明する。先ず、水に比べて気化の潜熱が小さい作動流体を使用した場合、第2蒸発手段における加熱過程に要する熱量が少なくなる。つまり、図2に示したT−S線図上の線図B(この線図Bの内部面積が低温側ランキンサイクル手段で回収される熱量を表している)における「4’→1’」の長さが短くなる。これにより、この線図Bの高さを高くして内部面積を大きくすることが可能となり、機関廃熱の回収量の増大を図ることができる。
【0018】また、水に比べて液相での比熱が大きい作動流体を使用した場合、液相状態での単位温度上昇に必要な熱量が大きくなる。つまり、図2の線図Bにおける「3’→4’」の傾斜角度が小さくなり、この傾斜が排気の等圧線に沿うようになる。これによっても、この線図Bの高さを高くして内部面積を大きくすることが可能となり、機関廃熱の回収量の増大を図ることができる。
【0019】T−S線図上の乾き飽和蒸気線のエントロピ変化が水蒸気に比べて小さい「等エントロピタイプ」の飽和蒸気特性を有している作動流体を使用する理由は以下のとおりである。この作動流体を使用した場合、第2蒸気タービンでの膨張過程(線図Bの「1’→2’」)において作動流体が過熱蒸気から湿り蒸気に移行してしまうことがなくなる。つまり、湿り蒸気の発生によって第2蒸気タービン内での流動損失が増加するといった状況を回避できる。また、膨張過程後の作動流体の過熱度が大きくなりすぎて第2凝縮手段での放熱量が極端に大きくなるといったこともなくなる。つまり、この膨張過程後の作動流体の熱回収のための再生器を備えさせる必要がなくなる。
【0020】以上のような条件を備えた作動流体として、具体的には、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、アンモニア、アンモニア水等のフロンや代替フロンが挙げられる。
【0021】第3の解決手段は、廃熱回収ランキンサイクルシステムの利用形態を具体的に特定したものである。つまり、上記第1または第2の解決手段において、各ランキンサイクル手段の蒸気タービンの出力軸に発電機を接続し、蒸気タービンの駆動により発電が行われるようにする。また、高温側ランキンサイクル手段に、第1蒸発手段で生成した蒸気を取り出し可能な取出手段を設け、この取出手段によって発電動作と蒸気取り出し動作とを切り換え可能に構成する。
【0022】この特定事項により、廃熱回収ランキンサイクルシステムを、発電のためのシステムとして使用したり、給湯などを行うための熱源を得るためのコージェネレーションシステムとして使用することが可能となる。例えば、排気温度が低い場合(機関の低負荷運転の場合であって、高温側ランキンサイクル手段では蒸気タービンの駆動力が得られない状況)や熱需要が大きい場合には、低温側ランキンサイクル手段のみで発電を行わせ、高温側ランキンサイクル手段ではランキンサイクルを行わず、つまり、この高温側ランキンサイクル手段では廃熱をそのまま利用するための熱回収動作のみを行わせることで、各ランキンサイクル手段を有効に利用して要求に応じた発電量と熱量(給湯などに利用するための熱量)とを提供することが可能となる。
【0023】第4の解決手段は、発電用の出力を取り出すための構成を具体化したものである。つまり、上記第1または第2の解決手段において、各ランキンサイクル手段の蒸気タービンの出力軸同士を流体継手を介して動力伝達可能に連結する。また、これら出力軸の回転駆動力を受けて発電する発電機を備えさせている。
【0024】この特定事項により、各出力軸の回転数が異なる場合であっても、互いに動力伝達が可能となり、発電機での発電動作を安定して行うことが可能となる。また、各ランキンサイクル手段のそれぞれに個別に発電機を接続することなしに、各ランキンサイクル手段で得られた動力を電力に変換することが可能となるので、システム全体のコストの削減を図ることができる。
【0025】第5の解決手段は、上記第3または第4の解決手段において、発電機に、発電機出力を所定出力に変換するインバータを接続している。これにより、発電機によって発生した電流を所望の周波数に調整された交流電流として得ることが可能となる。また、ランキンサイクル手段の蒸気タービンの出力軸の回転を減速機で減速させて所望の周波数の電流を得るといった従来の手法では、減速機での機械損失が大きかった。本解決手段では、この機械損失を大幅に削減でき、発電効率の向上を図ることができる。
【0026】第6の解決手段は、上記第1〜第5のうち何れか一つの手段において、各ランキンサイクル手段に、昇圧手段から蒸発手段に向かって流れる作動流体と機関冷却水との間で熱交換を行って作動流体を予熱する予熱手段を備えさせている。これにより、機関廃熱の回収量の更なる増大を図ることができる。
【0027】第7の解決手段は、上記第1の解決手段に係る廃熱回収ランキンサイクルシステムにおいて実行される廃熱回収方法に係るものである。つまり、廃熱回収ランキンサイクルシステムのタービン出力を得るために機関廃熱を回収する廃熱回収方法を前提とする。そして、第1蒸気タービンを有する高温側ランキンサイクル手段と、この高温側ランキンサイクル手段の作動流体よりも沸点の低い作動流体を用い且つ第2蒸気タービンを有する低温側ランキンサイクル手段とを使用して、高温側廃熱回収動作と低温側廃熱回収動作とを行うようにしている。高温側廃熱回収動作では、機関からの排気の廃熱を上記高温側ランキンサイクル手段によって回収して第1蒸気タービンを駆動させる。低温側廃熱回収動作では、上記高温側ランキンサイクル手段によって回収されなかった排気の廃熱を低温側ランキンサイクル手段によって回収して第2蒸気タービンを駆動させる。この特定事項によっても上記第1の解決手段の場合と同様の作用を得ることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本形態では、原動機(機関)としてガスエンジンを使用し、このガスエンジンの駆動力による発電及びガスエンジンの廃熱を利用した蒸気タービンの駆動による発電を行う発電システムとして本発明の廃熱回収ランキンサイクルシステムを適用した場合について説明する。
【0029】−発電システムの構成説明−図1は、本形態に係る発電システムの概略構成を示すブロック図である。この図に示すように、本発電システム1は、ガスエンジン2から延びる出力軸21が第1の発電機3に接続されており、この出力軸21の回転駆動力によって第1の発電機3による発電を行わせる構成となっている。
【0030】また、ガスエンジン2の吸気系は、空気供給系4と図示しない燃料供給系とから成っており、空気供給系4から供給される空気と燃料供給系から供給される燃料との混合気が図示しない燃焼室に供給されてガスエンジン2が駆動するようになっている。
【0031】空気供給系4は、過給機(コンプレッサ)41及びインタクーラ42を備えている。つまり、この過給機41によって空気を圧縮した後、この空気をインタクーラ42で冷却することで、高密度の空気を燃焼室に向けて供給できるようになっている。尚、上記過給機41は、排気ガスが流れる排気管5に設けられたタービン51の出力軸52に直結されており、タービン51の回転出力を受けて空気を圧縮する。
【0032】一方、燃料供給系は、図示しないが、例えばメタン等の炭化水素系燃料(Cmn)と水蒸気(H2O)とを吸熱反応させることによって、元の炭化水素系燃料よりも発熱量が大きな燃料を生成するようになっている。そして、この燃料が上記空気供給系4から供給された空気と混合されてガスエンジン2の燃焼室に供給される。
【0033】本発電システム1の特徴は、排気管5を流れる排気ガスの熱を回収することで蒸気タービンを駆動させる2つの廃熱回収発電ユニット6,7を備えていることにある。これら廃熱回収発電ユニット6,7は、上記過給用のタービン51を通過した直後の比較的高温(例えば400℃程度)の排気ガスの熱を回収する高温側ランキンサイクル手段としての高温側発電ユニット6と、この高温側発電ユニット6によって廃熱回収された後の比較的低温(例えば200℃程度)の排気ガスの熱を回収する低温側ランキンサイクル手段としての低温側発電ユニット7とから成っている。以下、各発電ユニット6,7について説明する。
【0034】(高温側発電ユニット6の説明)高温側発電ユニット6は、作動流体として水が使用されると共に、第1昇圧手段としてのポンプ61、廃熱ボイラ62、過熱器63、第1蒸気タービンとしての水蒸気タービン64、第1凝縮手段としての復水器65が配管66によって順に接続された水循環回路を備えている。また、ポンプ61の出口側の配管は、ガスエンジン2のウォータジャケット(冷却水通路)22に接続していると共に、このウォータジャケット22の出口側には、廃熱ボイラ62に繋がる配管66が接続している。つまり、このウォータジャケット22が本発明でいう予熱手段を構成するようになっている。また、本発明でいう第1蒸発手段としての上記廃熱ボイラ62及び過熱器63では、水循環回路を流れる水と排気管5を流れる排気ガスとの間で熱交換が行われるようになっている。
【0035】このため、この高温側発電ユニット6では、ポンプ61で昇圧された水が、ガスエンジン2のウォータジャケット22を通過することで予熱され、その後、廃熱ボイラ62及び過熱器63において、排気ガスとの間で熱交換を行って高圧の水蒸気となる。この水蒸気により水蒸気タービン64が駆動し、水蒸気タービン64の出力軸64aが回転する。その後、この水蒸気タービン64から流出した水蒸気は、復水器65において図示しない冷却系の冷却水等によって冷却されて凝縮し、再びポンプ61によって昇圧されることになる。このように、高温側発電ユニット6では、水を作動流体としたランキンサイクルが行われるようになっている。
【0036】また、本高温側発電ユニット6は、作動流体である水(水蒸気)を給湯用などの熱源として利用すべくコージェネレーションシステムとしても使用可能となっている。つまり、上記ポンプ61の直上流側に給水管67が、過熱器63の直下流側に取出手段としての取出管68がそれぞれ接続されており、これら給水管67及び取出管68に開度調整可能な電動弁67a,68aが設けられている。これにより、過熱器63から流出した水蒸気を給湯用などの熱源として使用する場合には、これら電動弁67a,68aを開放し、この水蒸気を取出管68から取り出すと共に、給水管67から回路内に水を補給するようになっている。
【0037】(低温側発電ユニット7の説明)低温側発電ユニット7は、上記高温側発電ユニット6によって廃熱回収された後の比較的低温の排気ガスの熱を回収可能とすべく、作動流体としては、水よりも沸点の低いフロンまたは代替フロンが使用されている。具体的には、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、アンモニア、アンモニア水等である。また、この低温側発電ユニット7は、第2昇圧手段としてのポンプ71、第2蒸発手段としての廃熱ボイラ72、第2蒸気タービンとしての蒸気タービン74、第2凝縮手段としての復水器75が配管76によって順に接続された冷媒循環回路を備えている。また、ポンプ71の出口側の配管は、ガスエンジン2の冷却水との間で熱交換可能に構成されている。つまり、この両者間で熱交換を行うための予熱手段としての熱交換器77が備えられており、ポンプ71の出口側の配管は、この熱交換器77の二次側配管77aに接続していると共に、この二次側配管77aの出口側には、廃熱ボイラ72に繋がる配管76が接続している。一方、ウォータジャケット22の出口側の配管は、熱交換器77の一次側配管77bに接続していると共に、この一次側配管77bの出口側には、ウォータジャケット22の入口側に繋がる配管が接続している。また、この配管には冷却水循環用のポンプ23が設けられている。この熱交換器77における熱交換動作によって冷媒(フロンまたは代替フロン)が予熱される構成である。
【0038】このため、この低温側発電ユニット7では、ポンプ71で昇圧された液相の冷媒が、熱交換器77を通過することで予熱され、その後、廃熱ボイラ72において、排気ガスとの間で熱交換を行って高圧の蒸気(気相冷媒)となる。この蒸気により蒸気タービン74が駆動し、蒸気タービン74の出力軸74aが回転する。その後、この水蒸気タービン74から流出した蒸気は、復水器75で冷却水等によって冷却されて凝縮し、再びポンプ71によって昇圧されることになる。このように、低温側発電ユニット7では、フロンまたは代替フロンを作動流体としたランキンサイクルが行われるようになっている。
【0039】また、上記高温側発電ユニット6の水蒸気タービン64の出力軸64aと低温側発電ユニット7の蒸気タービン74の出力軸74aとは流体継手81を介して連結されている。このため、各出力軸64a,74aの回転数が異なる場合であっても、互いに動力伝達が可能となっている。また、これら出力軸64a,74aには、第2の発電機である高速発電機82が接続されていると共に、この高速発電機82にはインバータ83が取り付けられている。
【0040】−発電システム1の動作説明−次に、上述の如く構成された発電システム1の動作について説明する。
【0041】上記空気供給系4から供給された空気と燃料供給系から供給された燃料との混合気がガスエンジン2の燃焼室に供給されることにより、ガスエンジン2が駆動する。このガスエンジン2の駆動に伴って出力軸21が回転駆動し、その回転駆動力によって第1の発電機3が駆動して発電動作が行われる。
【0042】一方、ガスエンジン2からの排気ガスは、排気管5を流れ、その熱量が上記各発電ユニット6,7のタービン駆動用熱源として利用される。具体的に、高温側発電ユニット6では、上述した如く、ポンプ61での水の昇圧動作、この水がウォータジャケット22を通過することによる予熱動作、予熱後の水が廃熱ボイラ62及び過熱器63を通過することによる高圧水蒸気の発生動作が順に行われ、この水蒸気により水蒸気タービン64が駆動して、水蒸気タービン64の出力軸64aが回転する。その後、この水蒸気タービン64から流出した水蒸気は、復水器65で冷却されて凝縮し、再びポンプ61によって昇圧される。高温側発電ユニット6では、このような水の循環が繰り返される(以上、本発明でいう高温側廃熱回収動作)。
【0043】一方、低温側発電ユニット7では、ポンプ71での冷媒の昇圧動作、この冷媒が熱交換器77を通過することによる予熱動作、予熱後の冷媒が廃熱ボイラ72を通過することによる高圧蒸気の発生動作が順に行われ、この蒸気により蒸気タービン74が駆動して、蒸気タービン74の出力軸74aが回転する。その後、この蒸気タービン74から流出した蒸気は、復水器75で冷却されて凝縮し、再びポンプ71によって昇圧される。低温側発電ユニット7では、このような冷媒の循環が繰り返される(以上、本発明でいう低温側廃熱回収動作)。
【0044】このようにして各タービン64,74の出力軸64a,74aが回転することにより、この回転駆動力は高速発電機82に伝達され、この高速発電機82による発電が行われる。この際、各出力軸64a,74aの回転数が異なっている場合であっても、その差は流体継手81によって吸収され、動力伝達が良好に行われる。高速発電機82によって発生した電流はインバータ83によって周波数調整されて所定周波数(例えば60Hz)の交流電流が得られる。
【0045】このようにして、排気管5を流れる排気ガスの熱を回収する手段として、作動流体を水とした高温側発電ユニット6と、作動流体をフロンや代替フロンなどの比較的低沸点の冷媒とした低温側発電ユニット7とを採用したことにより、排気ガスの熱回収量を大幅に増大させることができる。
【0046】また、本発電システム1をコージェネレーションシステムとして使用する場合には、上記給水管67及び取出管68に設けられた電動弁67a,68aを開放する。これにより、高温側発電ユニット6の過熱器63から流出した水蒸気を取出管68から取り出して給湯用などの熱源として使用することが可能になる。この際の回路中の水量の不足分は、給水管67から補給されることになる。
【0047】以下、本発電システム1をコージェネレーションシステムとしても使用する場合における、電力需要及び熱需要に応じた各発電ユニット6,7の運転状態について説明する。
【0048】表1は電力需要及び熱需要に応じた各発電ユニット6,7の運転状態を示している。先ず、熱需要が無く且つ電力需要が大きい場合には、ガスエンジン2の負荷が大きいため、排気ガスの温度も高温になっており、各発電ユニット6,7での廃熱回収量が十分に得られる。このため、上述した動作の如く、各発電ユニット6,7において廃熱を利用したランキンサイクルにより蒸気タービン64,74の駆動が行われ、これらタービン64,74の出力軸64a,74aの回転駆動力が高速発電機82に伝達されて発電が行われる。
【0049】これに対し、熱需要が無く且つ電力需要も小さい場合には、ガスエンジン2の負荷が小さいために排気ガスの温度は低温になっており、高温側発電ユニット6での廃熱回収量は水蒸気タービン64を駆動させるほどは得られない。このため、高温側発電ユニット6のランキンサイクルは停止され、低温側発電ユニット7のみによる発電が行われる。
【0050】また、熱需要が有り且つ電力需要が大きい場合には、高温となっている排気ガスの熱を高温側発電ユニット6によって取り出して給湯用などの熱源として使用するべく、給水管67及び取出管68の電動弁67a,68aが開放され、且つこの高温側発電ユニット6のランキンサイクルは停止された状態で、低温側発電ユニット7のみによる発電が行われる。つまり、高温側発電ユニット6では、給水管67からの給水を、排気ガスより回収した熱によって加熱して水蒸気を生成し、この水蒸気を取出管68から供給する動作のみが行われる。
【0051】更に、熱需要が有り且つ電力需要が小さい場合には、低温となっている排気ガスの熱を高温側発電ユニット6によって取り出して給湯用などの熱源として使用するべく、上記の場合と同様に、給水管67及び取出管68の電動弁67a,68aが開放され、且つこの高温側発電ユニット6のランキンサイクルは停止された状態で、低温側発電ユニット7のみによる発電が行われる。つまり、この場合にも、高温側発電ユニット6では、給水管67からの給水を、排気ガスより回収した熱によって加熱して水蒸気を生成し、この水蒸気を取出管68から供給する動作のみが行われる。
【0052】
【表1】

【0053】−回収熱量の説明−以下、本発電システム1で回収される熱量について図2を用いて説明する。図2は、本発電システム1で回収できる熱量を示したT−S線図である。この図における線図Aは高温側発電ユニット6において行われるランキンサイクル(水蒸気ランキンサイクル)を示しており、この線図Aの内部の面積が高温側発電ユニット6によって回収された熱量を示している。一方、線図Bは低温側発電ユニット7において行われるランキンサイクル(フロンサイクル)を示しており、この線図Bの内部の面積が低温側発電ユニット7によって回収された熱量を示している。
【0054】線図Aの「1→2」は水蒸気タービン64での膨張過程、「2→3」は復水器65での凝縮過程、「3→4」はポンプ61での昇圧過程及びウォータジャケット22と廃熱ボイラ62とによる加熱過程、「4→5」は廃熱ボイラ62での蒸発過程、「5→1」は過熱器63での水蒸気過熱過程をそれぞれ示している。
【0055】一方、線図Bの「1’→2’」は蒸気タービン74での膨張過程、「2’→3’」は復水器75での凝縮過程、「3’→4’」はポンプ71での昇圧過程及び熱交換器77と廃熱ボイラ72とによる加熱過程、「4’→1’」は廃熱ボイラ72での蒸発過程をそれぞれ示している。尚、この低温側発電ユニット7において行われるランキンサイクルでは、作動流体が「Wetタイプ」(このタイプの詳細は後述)の冷媒でない場合は過熱器による過熱過程は必要ない。
【0056】従来のシステム(図7に示すもの)では、上記線図Aの内部の面積分しか熱量を回収することができなかった。本形態では、低沸点冷媒を作動流体とする低温側発電ユニット7を備えさせたことにより、上記線図Bの内部の面積分の熱量をも回収することが可能となり、機関廃熱の回収量が増大し、システムの高効率化を図ることができる。また、各発電ユニット6,7のポンプ61,71から流出した作動流体をガスエンジン2の冷却水で予熱することによっても機関廃熱の回収量の増大を図ることができ、システムの更なる高効率化が図れる。また、例えば機関の負荷が小さいことが原因で排気ガスの温度が低く、そのために高温側発電ユニット6による熱回収が不可能な状況であっても、低温側発電ユニット7による熱回収が可能となるので、タービン出力を良好に得ることができ、システムの高効率化を維持できる。
【0057】次に、上記低温側発電ユニット7において行われるランキンサイクルによって回収される熱量(線図Bの内部の面積)を増大させるのに適した冷媒の条件について説明する。この低温側発電ユニット7の作動流体として使用可能な冷媒の条件としては、以下の3つの条件のうち少なくとも一つを備えている必要がある。
(1)水に比べて気化の潜熱が小さいこと(2)水に比べて液相での比熱が大きいこと(3)飽和蒸気特性が、T−S線図上の乾き飽和蒸気線のエントロピ変化が水蒸気に比べて小さい「等エントロピタイプ」であること以下、その理由について説明する。
(1)水に比べて気化の潜熱(液相から気相に変化するのに要する熱量)が小さい冷媒を低温側発電ユニット7の作動流体として使用した場合、線図Bにおける「4’→1’」の長さが短くなる。図3(a)は気化の潜熱が小さい冷媒を使用した場合のT−S線図であり、図3(b)は気化の潜熱が大きい冷媒を使用した場合のT−S線図である。このように、気化の潜熱が小さい冷媒を使用した場合の方が線図Bの内部の面積を大きく確保することができ、機関廃熱の回収量の増大が図れるのである。
(2)水比べて液相での比熱が大きい冷媒、つまり、顕熱(単位温度上昇に必要な熱量)が大きい冷媒を低温側発電ユニット7の作動流体として使用した場合、線図Bにおける「3’→4’」の傾斜角度(等エンタルピ線に対する傾斜角)が大きくなる。図4(a)は比熱が大きい冷媒を使用した場合のT−S線図であり、図4(b)は比熱が小さい冷媒を使用した場合のT−S線図である。このように、比熱が大きい冷媒を使用した場合の方が線図Bの内部の面積を大きく確保することができ、機関廃熱の回収量の増大が図れるのである。
(3)作動流体の飽和蒸気特性としては、「Wetタイプ」、「等エントロピタイプ」、「Dryタイプ」が知られている。図5(a)は「Wetタイプ」、図5(b)は「等エントロピタイプ」、図5(c)は「Dryタイプ」のT−S線図をそれぞれ示している。
【0058】「Wetタイプ」のものは、蒸気タービン74での膨張過程「1’→2’」において過熱蒸気から湿り蒸気に移行してしまい、この膨張過程で液相冷媒が発生して、蒸気タービン74内での流動損失が増加したり、エロージョンやコロージョンの問題が発生するため好ましくない。「Dryタイプ」のものでは、蒸気タービン74での膨張過程「1’→2’」の後の冷媒過熱度が大きくなりすぎ、このまま復水器75に流入させたのでは液相に戻るまでの放熱量が極端に多くなって、熱回収のための再生器を備えさせる必要が生じてしまう。
【0059】「等エントロピタイプ」(T−S線図上の乾き飽和蒸気線のエントロピ変化が水蒸気に比べて小さいもの)を採用した場合には、上記「Wetタイプ」や「Dryタイプ」のような不具合は生じず、良好なランキンサイクルを行わせることができる。この等エントロピタイプの冷媒の具体例としては、プロパン、I−ブテン、ブタン、R−11、R−12、R113、R114等が挙げられる。
【0060】−実施形態の効果−以上説明したように、本形態では、水を作動流体とする高温側発電ユニット6と、水よりも沸点の低い冷媒を作動流体とする低温側発電ユニット7とにより排気ガスの熱を回収して発電を行いまたは熱源として利用するようにしたことにより、これまで回収不可能であった比較的低温度の排気ガスからの熱回収が可能となる。つまり、機関の負荷が小さいことなどが原因で排気ガス温度が低く、そのために高温側発電ユニット6による熱回収が不可能な状況であっても、低温側発電ユニット7による熱回収が可能となるので、タービン出力を良好に得ることができ、システムの高効率化を維持できる。
【0061】−実験例−次に、本発明の効果を確認するために行った実験例について説明する。本実験では、上記実施形態に係る発電システム1における原動機として、ガスエンジン、ディーゼルエンジン及びガスタービンをそれぞれ適用した場合の熱回収量を測定することにより行った。また、ガスエンジンとしては三元触媒を備えて理論空燃比で燃焼を行わせたものと、希薄燃焼を行わせたものとのそれぞれについて実験を行った。
【0062】実験の結果を図6に示す。この図において破線の斜線を付した領域は高温側発電ユニット6によって回収された熱回収量を示し、Iは排気ガスから回収された熱量、IIは冷却水から回収された熱量である。また、実線の斜線を付した領域は低温側発電ユニット7によって回収された熱回収量を示し、IIIは排気ガスから回収された熱量、IVは冷却水から回収された熱量である。
【0063】この図に示すように、低温側発電ユニット7による熱回収が十分に行われていることが確認できた。特に、ガスエンジン及びディーゼルエンジンにあっては低温側発電ユニット7を付加したことによる熱回収量は従来(高温側発電ユニットのみを備えたもの)の1.5倍程度に増大している。
【0064】−その他の実施形態−上記実施形態では、原動機としてガスエンジン2を使用し、このガスエンジン2の駆動力による発電及びガスエンジン2からの廃熱を回収することで駆動する蒸気タービン64,74による発電を行う発電システム1として本発明を適用した場合について説明した。本発明は、これに限らず、原動機として、ディーゼルエンジンやガスタービン等の種々の機関を適用することが可能である。また、原動機や蒸気タービンの出力の利用形態としても発電に限らず、種々の装置への適用が可能である。
【0065】
【発明の効果】以上のように、本発明では、高温側及び低温側のランキンサイクル手段を備えさせ、先ず、機関廃熱を高温側のランキンサイクル手段によって回収した後、残りの廃熱を、低沸点の作動流体を使用した低温側のランキンサイクル手段によって回収することで、機関廃熱の回収量を大きく確保すると共に、機関廃熱の熱量が小さくても低温側のランキンサイクル手段によって確実に熱回収が行えるようにしている。このため、従来では回収不可能であった比較的低温度の排気からの熱回収が可能となり、システムの高効率化を維持することができる。その結果、機関廃熱の熱量が小さくてもタービン出力を良好に得ることができ、システムの運転が常に安定して行われ、信頼性の向上を図ることができる。
【0066】また、低温側ランキンサイクル手段の作動流体として、「水に比べて気化の潜熱が小さいもの」「水に比べて液相での比熱が大きいもの」「T−S線図上の乾き飽和蒸気線のエントロピ変化が水蒸気に比べて小さい等エントロピタイプの飽和蒸気特性を有するもの」を採用した場合、低温側ランキンサイクル手段における熱回収の増大を図ることが可能な作動流体による廃熱回収動作を実現することができる。このため、システム全体としての廃熱回収量の大幅な増大を図ることができる。
【0067】また、高温側ランキンサイクル手段に、回路内の蒸気を取り出し可能な取出手段を設けた場合には、本システムを給湯などを行うための熱源を得るためのコージェネレーションシステムとして使用することが可能となり、システムの利用範囲の拡大を図ることができる。
【0068】更に、各ランキンサイクル手段の蒸気タービンの出力軸同士を流体継手を介して動力伝達可能に連結した場合には、各ランキンサイクル手段のそれぞれに個別に発電機を接続することなしに、各ランキンサイクル手段で得られた動力を電力に変換することが可能となる。これにより、システム全体のコストの削減を図ることができる。また、一方のランキンサイクル手段のみに発電動作を行わせる場合であっても、出力軸同士の繋脱状態を切り換えるための手段は必要無く、構成及び制御の簡素化を図ることができる。
【0069】更に、上記発電機にインバータを接続した場合、タービン出力軸を減速機で減速させて所望の周波数の電流を得る従来手法のものに比べて機械損失を大幅に削減でき、発電効率の向上を図ることができる。
【0070】加えて、昇圧手段から蒸発手段に向かって流れる作動流体を機関冷却水によって予熱するようにした場合には、機関廃熱の回収量の増大を図ることができ、更なるシステムの高効率化を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーディーゼル株式会社
【出願日】 平成12年11月29日(2000.11.29)
【代理人】 【識別番号】100075502
【弁理士】
【氏名又は名称】倉内 義朗
【公開番号】 特開2002−161716(P2002−161716A)
【公開日】 平成14年6月7日(2002.6.7)
【出願番号】 特願2000−362746(P2000−362746)