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【発明の名称】 ガスタービンの排気装置
【発明者】 【氏名】大橋 一生

【要約】 【課題】高温の排気ガスが排気装置内で停滞しないようにすることにより、排気ガスからの熱伝達の影響を軽減することができる排気装置を提供することである。

【解決手段】タービンシュラウドと排気管とで排気通路を形成し、かつタービンシュラウドと排気管の間に排気通路内外の気密を保つシールリング部を備え、排気通路内よりも排気通路外の方が高圧のガスタービンの排気装置において、排気通路外からシールリング部を介して排気通路内へリークした空気の進行方向を排気通路内を流れる排気ガスの進行方向に対して同方向又は鋭角となるように、排気管と対向する側のタービンシュラウドの端部の内周面をタービンシュラウドと対向する側の排気管の端部の内周面よりも内周側に配置しかつタービンシュラウドの内周面を排気管側へ突出させた。シールリング部と排気通路の間に空間を設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 タービンシュラウドと排気管とで排気通路を形成し、かつ前記タービンシュラウドと排気管の間に排気通路内外の気密を保つシールリング部を備え、排気通路内よりも排気通路外の方が高圧のガスタービンの排気装置において、前記排気通路外から前記シールリング部を介して排気通路内へリークした空気の進行方向を排気通路内を流れる排気ガスの進行方向に対して同方向又は鋭角となるように、排気管と対向する側の前記タービンシュラウドの端部の内周面をタービンシュラウドと対向する側の排気管の端部の内周面よりも内周側に配置しかつ前記タービンシュラウドの内周面を排気管側へ突出させたことを特徴とするガスタービンの排気装置。
【請求項2】 シールリング部と排気通路の間に空間を設け、高温の排気ガスからのシールリング部への熱伝達を軽減させた請求項1に記載のガスタービンの排気装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、タービンシュラウドと排気管とを隣接配置し、シールリングにより両者間の気密を図ったガスタービンの排気装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図7は従来のガスタービンで使用されている排気装置200の断面略図である。排気装置200は、タービンシュラウド90と排気管91とから構成されている。タービンシュラウド90にはシールリングホルダ97が一体に固着されている。このシールリングホルダ97で環状のシールリング93を保持している。シールリング93は、タービンシュラウド90と排気管91の間の気密を保持している。また、タービンシュラウド90と排気管91とで排気通路92を形成している。
【0003】このように従来の排気装置200では、高温の排気ガス96からの熱伝達の影響によるタービンシュラウド90と排気管91の膨張の度合が異なっても、両者の間に隙間を設けることにより相互の剛性的なつながりを遮断し、排気装置200が破損することを防止していた。
【0004】ところが排気装置200では、排気ガス96が流れる排気通路92内よりも外部の方が高圧になっており、シールリング93から外部の空気94が排気通路92内へリークする。その結果、排気通路92内へ侵入した漏れ空気95と排気ガス96とが衝突し、高温の一部の排気ガスの流れが阻害され、タービンシュラウド90の内壁98付近に停滞することにより内壁98が高温になることがある。そしてタービンシュラウド90が部分的に熱膨張を起こし、図8に示すような排気装置200(シールリング93)のこじり等を招き、シールリング93のシール性の悪化や耐久性を損なう恐れがあった。
【0005】また、シールリング93は金属製であり、高温の排気ガスが停滞するとシールリング93の温度が上昇してばね定数の低下を招き、シール性が悪化する恐れがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで請求項1の発明では、高温の排気ガスが排気装置内(排気通路内)で停滞しないようにすることにより、排気ガスからの熱伝達の影響を軽減することができる排気装置を提供することを課題としている。また、請求項2の発明では、シールリングへの熱伝達を軽減することによりシールリングのばね定数の低下を防止することができる排気装置を提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため請求項1の発明では、タービンシュラウドと排気管とで排気通路を形成し、かつ前記タービンシュラウドと排気管の間に排気通路内外の気密を保つシールリング部を備え、排気通路内よりも排気通路外の方が高圧のガスタービンの排気装置において、前記排気通路外から前記シールリング部を介して排気通路内へリークした空気の進行方向を排気通路内を流れる排気ガスの進行方向に対して同方向又は鋭角となるように、排気管と対向する側の前記タービンシュラウドの端部の内周面をタービンシュラウドと対向する側の排気管の端部の内周面よりも内周側に配置しかつ前記タービンシュラウドの内周面を排気管側へ突出させた。また請求項2の発明では請求項1の発明において、シールリング部と排気通路の間に空間を設け、高温の排気ガスからのシールリング部への熱伝達を軽減させた。
【0008】
【発明の実施の形態】(請求項1の発明の実施例)図1は、請求項1の発明を実施したガスタービン50の断面略図である。ガスタービン50は、図示しないコンプレッサから供給される圧縮空気が外筒5と内筒6の間で形成した筒状の空気通路11内を流れ、ポート7,8等から内筒6内へ流入する。燃料噴射弁9からは燃料が噴射され、内筒6内で燃料と空気とで混合気が生成される。
【0009】この混合気は点火プラグ10により着火されて燃焼し、燃焼ガスが生成される。内筒6からスクロール12を経た燃焼ガス15はノズル13から噴射されてタービン14を回転軸25を中心に回転駆動させる。タービン14を回転駆動させた燃焼ガス15は、排気ガス17としてタービンシュラウド1と排気管2とで形成された排気装置100の排気通路4内を流れる。
【0010】図2は、請求項1の発明による排気装置100の断面略図である。図2に示すように排気装置100は、タービンシュラウド1と排気管2とで構成されている。タービンシュラウド1にはシールリングホルダ16が一体固着されている。
【0011】このシールリングホルダ16には金属製で環状のシールリング3が設けてある。シールリングホルダ16とシールリング3の間の気密性は高く、また、シールリング3の内周側は排気管2の環状の外周壁に圧着しており、タービンシュラウド1と排気管2の間の気密を保つようになっている。
【0012】タービンシュラウド1の端部26は、排気管2の端部27よりも内周側に突出している。図2に示すように、端部26と端部27の間には環状通路28が形成されている。
【0013】図1に示すように、高圧空気室19は圧縮空気が流れる空気通路11と連通しており、排気通路4内よりも高圧になっている。排気通路4内には排気ガス17が流れている。環状通路28は、排気通路4の上流側から下流側へ向かうほど直径が小さくなり、排気通路4と連通している。したがって、図2に示すように環状通路28内を通過して排気通路4内に流入する漏れ空気18は、鋭角な角度θで排気ガス17と合流(混合)し、そのまま排気通路4内を排気ガス17と共に下流側へ流れる。
【0014】図3は、図2とは異なる形状のタービンシュラウド1aと排気管2aにより形成された排気装置101の断面略図である。排気装置101では、排気管2aの端部に形成したシールリングホルダ部29に環状のシールリング3が設けてある。シールリングホルダ部29とシールリング3の間の気密性は高く、また、シールリング3の外周側面がタービンシュラウド1aの外周端部21の内周面に当接(圧着)して気密を保っている。
【0015】タービンシュラウド1aの内周端部21aと排気管2aの端部(シールリングホルダ29)とで形成された空気通路28aは、図2の空気通路28と同様に漏れ空気18を排気通路4内に排気ガス17に対して鋭角に流入させる。
【0016】図4は、請求項1の発明による図2及び図3とは異なる排気装置102の断面略図である。排気装置102には、図2の排気装置100のタービンシュラウド端部26を設ける代わりにタービンシュラウド1bの端部26aに筒状の板金22が固着されている。その他の構成は図2の排気装置100の構成と同じである。このように板金22を設けることにより、漏れ空気18は、排気通路4内を排気ガス17と同方向に流れる。
【0017】図5は、請求項1の発明によるさらに別の排気装置103の断面略図である。排気装置103には、図2の排気装置100のシールリング3の代わりにシールリング24が設けてあるが、その他の構成は排気装置100と同じである。
【0018】シールリング3(図2)やシールリング24に限らず、どのような種類のシールリングであっても、高圧空気室19から排気通路4内へ漏れ空気18が侵入することを完全に防止するのは困難である。しかし、漏れ空気18を排気ガス17に対して鋭角になるように排気通路4内へ流入させることにより、排気ガス17の流れが阻害されることを回避することができる。
【0019】(請求項2の発明の実施例)図6は、請求項2の発明による排気装置104の断面略図である。排気装置104のタービンシュラウド1cには図1の排気装置100のタービンシュラウド端部26よりも排気管2側へ突出した環状突出部30が設けてある。排気装置104のその他の構成は排気装置100の構成と同じである。
【0020】環状突出部30と排気管端部27の間には環状空間23が形成されている。漏れ空気18は環状空間23を通過して排気通路4内へ流入する。したがって、環状空間23内には漏れ空気18が充満している。
【0021】環状空間23は、シールリング3と排気通路4の間に介在しており、環状空間23内の漏れ空気18により、高温の排気ガス17がシールリングの接する排気管2に直接触れることを妨げ、排気ガス17から伝達される熱からシールリング3及びシール面2bを保護することができる。
【0022】
【発明の効果】請求項1の発明では、高圧空気室19から排気通路4へ流入する漏れ空気18の排気ガス17に対する流入角度を鋭角(角度θ)又はゼロにすることができるので、従来のように排気ガス17を排気通路4内で部分的に停滞させてタービンシュラウド1を部分的に昇温させ、タービンシュラウド1と排気管2の相対的な位置関係(向き)に変動を生じさせることがなく、シールリング3を保護してその寿命を延ばすことができる。
【0023】請求項2の発明では、シールリング3と排気通路4の間に環状空間23を設けたので、シールリング3に排気ガス17から直接熱伝達されることがなく、シールリング3の温度上昇を抑制することにより、シールリング3のばね定数の低下を防止することができる。よって、常に一定の気密性を維持することができる。
【出願人】 【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーディーゼル株式会社
【出願日】 平成12年11月28日(2000.11.28)
【代理人】 【識別番号】100062144
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆 (外1名)
【公開番号】 特開2002−161713(P2002−161713A)
【公開日】 平成14年6月7日(2002.6.7)
【出願番号】 特願2000−361023(P2000−361023)