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【発明の名称】 ガスタービンの排気装置
【発明者】 【氏名】荒川 貞雄

【氏名】今井 則和

【要約】 【課題】高圧の圧縮空気が低圧の排気通路へ漏れることを防止することができるガスタービンの排気装置を提供することである。

【解決手段】回転するタービンのタービン翼に沿って外周壁を形成するタービンシュラウドの端部または前記タービンシュラウドの端部に対向する排気通路端部のいずれかに環状の弾性板金部材を一体固着し、前記弾性板金部材を対向する排気通路端部又はタービンシュラウドの端部に圧接させることによりタービンシュラウドと排気通路の間の気密を保持する。弾性板金部材を蛇腹形状に形成する、または板ばねで構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 回転するタービンのタービン翼に沿って外周壁を形成するタービンシュラウドの端部または前記タービンシュラウドの端部に対向する排気通路端部のいずれかに環状の弾性板金部材を一体固着し、前記弾性板金部材を対向する排気通路端部又はタービンシュラウドの端部に圧接させることによりタービンシュラウドと排気通路の間の気密を保持することを特徴とするガスタービンの排気装置。
【請求項2】 前記弾性板金部材を蛇腹形状に形成した請求項1に記載のガスタービンの排気装置。
【請求項3】 前記弾性板金部材を板ばねで構成した請求項1に記載のガスタービンの排気装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、タービン翼を囲うタービンシュラウドと排気通路の間に気密を保持する部材を備えたガスタービンの排気装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図7は、従来のガスタービンの燃焼器200の断面略図である。燃焼器200は、内筒81,外筒82を備えている。内筒81の一端には燃料噴射弁83が設けてあり、他端にはスクロール94が接続されている。外筒82は、ハウジング80に固定されている。外筒82と内筒81の間には環状の空気通路86が形成されており、空気通路86には図示しないコンプレッサから圧縮空気が供給されている。スクロール94の下流側にはノズル93が設けてある。ハウジング80とスクロール94の間には、空気通路86と連通した圧縮空気室98が形成されている。
【0003】内筒81には空気を流入させるプライマリポート84とダイリューションポート85が設けてある。空気通路86の圧縮空気は、これらプライマリポート84とダイリューションポート85を介して内筒81内に入る。
【0004】燃料噴射弁83から噴射された燃料とプライマリポート84から流入した空気とが混合して混合気を生成し、混合気は点火プラグ87で着火されて燃焼ガスが発生する。燃焼ガスは内筒81からスクロール94を経てノズル93で加速され、加速された燃焼ガスによりタービン翼91を供えたタービン90が回転軸99を中心に回転する。タービン90を回転させた燃焼ガスは、さらに下流側へ流れ、排気ディフューザ96を介して排気管95から外部へ排出される。排気ディフューザ96と排気管95により排気通路88が形成されている。
【0005】タービン翼91の外周壁を形成するタービンシュラウド92と排気ディフューザ96の間には、耐熱鋼性のシールリング97が設けてある。このシールリング97により高圧側の圧縮空気室98と低圧側の排気通路88とが直接連通しないように気密を保っている。
【0006】圧縮空気室98と排気通路88の間を密封するには、シールリング97のみならず、タービンシュラウド92及び排気ディフューザ96のシールリング97と接触する部分に高精度な表面処理を施す必要があり、非常にコストがかかる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、高圧の圧縮空気が低圧の排気通路へ漏れることを防止することができるガスタービンの排気装置を提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため請求項1の発明では、回転するタービンのタービン翼に沿って外周壁を形成するタービンシュラウドの端部または前記タービンシュラウドの端部に対向する排気通路端部のいずれかに環状の弾性板金部材を一体固着し、前記弾性板金部材を対向する排気通路端部又はタービンシュラウドの端部に圧接させることによりタービンシュラウドと排気通路の間の気密を保持するようにした。請求項2の発明では請求項1の発明において、前記弾性板金部材を蛇腹形状に形成した。請求項3の発明では、請求項1の発明において前記弾性板金部材を板ばねで構成した。
【0009】
【発明の実施の形態】(請求項1,3の発明の実施例)図1は請求項1,3の発明を適用したガスタービンの燃焼器100の断面略図である。燃焼器100は、一端(図1で見て上端)に燃料噴射弁4を備えかつ他端(図1で見て下端)にスクロール13を接続した内筒2,内筒2と同芯でかつハウジング17に固定された外筒3,タービン翼10を備えかつ回転軸16を中心に回転するタービン9,タービン翼10の外周壁を形成するタービンシュラウド11及びタービンシュラウド11と排気管14とを気密を保ち連結する弾性板金部材で形成された排気装置1等で構成されている。
【0010】外筒3と内筒2の間には筒状の空気通路7が形成されている。空気通路7には、図示しないコンプレッサにより圧縮空気が供給されている。空気通路7は、ハウジング17とスクロール13等で仕切られた圧縮空気室15と連通している。また、排気装置1と排気管14とで排気通路20が形成されている。
【0011】内筒2にはプライマリポート5とダイリューションポート6が設けてある。燃料噴射弁4から噴射された燃料とプライマリポート5から流入した空気とが混合して内筒2内で混合気が生成され、この混合気は点火プラグ8により着火されて燃焼し、燃焼ガスが発生する。
【0012】高温の燃焼ガスは、ダイリューションポート6から内筒2内に流入した低温の空気と混合して希釈され、温度が低下した燃焼ガスがスクロール13を経てノズル12で加速される。加速された燃焼ガスによりタービン9が回転軸16を中心に回転駆動される。タービン9を回転駆動させた燃焼ガスは、排気通路20内をディフューザ機能を有する排気装置1を経て排気管14から外部へ排出される。
【0013】排気装置1と排気管14とは、円周上の複数箇所でボルト18(図1には1つのみ示す)により固着されており、排気装置1と排気管14の間の気密は保持されている。排気装置1とタービンシュラウド11との接続部分については、図2を用いて説明する。
【0014】図2は、排気装置1とタービンシュラウド11の接続部の拡大断面図である。タービンシュラウド11の端部には環状部材21が溶着され、排気装置1側に開口した環状の溝22を形成している。
【0015】排気装置1の左側の端部を外周側へ湾曲させ、環状の溝22内に圧入させる。排気装置1は弾性板金部材で形成されているので、復元力により溝22内の接触部23及び24で圧着する。これにより高圧側の圧縮空気室15と低圧側の排気通路20とが直接連通しなくなり、両者間の気密が保たれる。図2の構成では、接触部23と24の2箇所で2重に圧縮空気室15と排気通路20の間の気密が保持される。図2において、環状部材21がなくても、接触部23のみで圧縮空気室15と排気通路20の間の気密を保つことができる。
【0016】図3は、図2の変形例を示す断面図である。図3において図2と異なる点は、排気装置1の端部が蛇行状に湾曲している点であり、その他は図2に示す構成と全て同じである。図3の構成では、接触部25〜28の4箇所で4重に圧縮空気室15と排気通路20の間の気密が保持される。
【0017】図4は、請求項1の発明による別の排気装置の断面略図である。図4の排気装置では、排気ディフューザ33がタービンシュラウド11に溶着されており、また、排気管14にはテーパ状板金部材32が溶着されている。排気ディフューザ33にはテーパ面33aが設けてあり、テーパ状板金部材32は、このテーパ面33aに圧着し、高圧の圧縮空気室15と低圧の排気通路20とを遮断し、圧縮空気室15内の空気が排気通路20内に流出することを防止している。
【0018】テーパ状板金部材32の厚みを薄くして変形し易くすると、圧縮空気室15と排気通路20の差圧によりテーパ状板金部材32がテーパ面33aに押圧され、気密の保持をより確実にすることができる。
【0019】(請求項2の発明の実施例)図5は、請求項2の発明によるガスタービンの排気装置30の断面略図である。図1の燃焼器100において、排気装置1の代わりにこの排気装置30を設置することにより燃焼器を構成する(燃焼器全体の図は省略)。
【0020】排気装置30は、蛇腹部分30aを備えた弾性板金部材で形成されている。排気装置30の内周側には一端がテーパ状に広がる遮熱管31が設けてある。タービンシュラウド11の端部にはテーパ面11aが形成されている。
【0021】このテーパ面11aと排気装置30の先端部とは、間に遮熱管31を挟んで圧着している。テーパ面11aに排気装置30の先端部を押圧させてタービンシュラウド11と排気装置30の間を密封し、高圧の圧縮空気室15と低圧の排気通路20とを遮断する。排気装置30は遮熱管31により保護されているが、遮熱管31は必要に応じて設ければよい。
【0022】図6は、排気装置35をタービンシュラウド11にボルト・ナット37により気密を保ち固着し、かつ排気管14にテーパ面38を設け、テーパ面38と排気管14とは、間に遮熱管36を挟んで圧着している。このテーパ面38に排気装置35の端部を押圧させて排気装置35と排気管14の間を密封し、高圧の圧縮空気室15と低圧の排気通路20とを遮断する。排気装置30は遮熱管31により保護されているが、この遮熱管31は必要に応じて設ければよい。図6に示す構成においても図5と同じ効果を奏することができる。
【0023】
【発明の効果】請求項1の発明では、弾性板金部材で形成した排気装置1を排気管14に固着し、また、排気装置1の弾性力により排気装置1とタービンシュラウド11とを圧着させ気密を保つようにしたので、高圧の圧縮空気室15と低圧の排気通路20とを遮断することができ、圧縮空気室15内の空気が排気通路20内へ流出することを防止することができる。
【0024】従来は、タービンシュラウド92と排気ディフューザ96の両方にシールリング97を密着させて気密を保持していたが、請求項1の発明では、排気装置1をタービンシュラウド11又は排気管14のいずれかと固着し、固着しない側とのみ気密を保つようにすればよいので、従来よりも確実に気密を保持することができる。
【0025】請求項2の発明では、弾性板金部材に蛇腹部分30aを設けたので、排気装置1に振動等の外力が加わっても、蛇腹部分30aでその外力を吸収することができ、気密保持部分(圧着部分)を摺動させずに済み、気密保持部分を保護することができ、気密保持の確実性が向上する。高温下で気密保持部分が摺動して接触面が溶着することを防止することができ、確実に気密を保持することができる。
【0026】請求項3の発明では、弾性板金部材を板ばねで構成したので、排気装置1の製造のコストダウンを図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーディーゼル株式会社
【出願日】 平成12年6月29日(2000.6.29)
【代理人】 【識別番号】100062144
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆 (外1名)
【公開番号】 特開2002−13401(P2002−13401A)
【公開日】 平成14年1月18日(2002.1.18)
【出願番号】 特願2000−196464(P2000−196464)