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【発明の名称】 箱形のお墓
【発明者】 【氏名】野澤 供由

【要約】 【課題】墓所の敷地をほとんど必要とせず、故人の生存証明できる物証や生涯記録を保存でき、お墓の維持管理も簡単かつ安価である箱形のお墓を提供する。

【解決手段】故人が生存していたことを証明できる物証を識別可能状態で収納した物証収納容器2,2と、前記故人の生涯情報を記録した記録媒体3,3と、物証収納容器2,2と記録媒体3,3とを劣化防止ガスと共に密閉収納する箱1と、を備えたことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 故人が生存していたことを証明できる物証を識別可能状態で収納した物証収納容器と、前記故人の生涯情報を記録した記録媒体と、前記物証収納容器と前記記録媒体とを劣化防止ガスと共に密閉収納する箱と、を備えたことを特徴とする箱形のお墓。
【請求項2】 前記物証は前記故人のデオキシリボ核酸であることを特徴とする請求項1記載の箱形のお墓。
【請求項3】 前記記録媒体はコンパクトディスクであり、このコンパクトディスクに前記故人の生涯情報をデジタルデータとして記録する請求項1または2記載の箱形のお墓。
【請求項4】 前記箱は前記故人の遺品を収納する空間を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の箱形のお墓。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、故人を祭るお墓に係り、特に故人の生存証明と生涯情報を半永久的に保存する箱形のお墓に関する。
【0002】
【従来の技術】お墓の形態は、(1)納骨室、(2)墓石、(3)敷地の3つの要素からなっている。(1) 納骨室は、遺骨を納める空間で地方によっては小さな家ほどの規模を持つこともある。(2) 墓石は、家名や建立者名と故人の贈名等を刻印して後世に遺すものである(別に墓誌を設ける場合もある)。(3) 敷地は、お墓を設けるための敷地で通路を含めると、平均的には1基あたり3m2程度の面積を必要とする。
【0003】お墓を設けてよい土地を墓地と言い、これを維持管理する形態は、(1) 個人墓地又は地域の共同所有墓地、(2) 寺院墓地、(3) 霊園(公立、私立)、の3つに分類される。(1) 個人墓地又は地域の共同所有墓地は、現在の墓地埋葬法が施行させる以前から墓地として成立していたもので、現在でも地方では多く残っている。施設の維持管理は所有者が直轄で行われている場合が多く様々である。(2)寺院墓地は、主に仏教の寺院の管理運営する墓地で、お墓を建立しようとする人は寺院から敷地を借りることになる。期限は基本的に無いが、維持管理の費用を納められなくなった場合には、ある程度の期間を経た後その権利は基本的に消滅し、遺骨は無縁仏として共同埋葬される。管理料はお寺の規模、格式などによって決められる。寺院墓所の場合、お墓の所有者は原則的に檀家となり、お墓は永代供養の対象となる。寺院の場合、永代供養とは寺が存在する限り読経時に供養することを指す。(3) 霊園(公立、私立)は、人口の多い大中都市の近郊に地方自治体や企業によって建設されたものである。霊園の場合、土地の貸借と管理の形態は寺院墓地とほとんど同じ形態をとっているところが多い。また、霊園のほとんどが宗教、宗派を問わない前提で墓地を提供しているので、各お墓にお祭りされている霊の慰霊や供養は、お墓の所有者の責任で行うことになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来のお墓には、下記の問題点がある。
(1) 墓所の敷地は1基あたり3m2 程度の占有面積を必要とし、かつ高価なものとなるので都会では身近な場所で墓所を求めることは非常に困難になってきている。(2) 納骨室(カロート)は通常、防水構造には造られていないので、遺骨を納めても数十年後の保存状態は保障できない。また、このような納骨室に遺骨を納めることに違和感を覚える人は少なくない。(3) 墓石に刻印する情報は出生及び物故等の年月日程度が多く、檀家記録も縁者系図程度であり、故人の生涯記録として後世に遺される情報量は少ない。(4) お墓の維持管理に関して、縁者が法要・供養を長期間行わないと、寺院墓地では故人を無縁仏として処置することになる。
【0005】以上から本発明は、前記問題点に鑑みなされたものであり、墓所の敷地をほとんど必要とせず、故人の生存証明できる物証や生涯記録を保存でき、お墓の維持管理も簡単かつ安価である箱形のお墓を提供することを技術的課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を達成するために、本発明の箱形のお墓は、以下の手段を採用した。すなわち、本発明の箱形のお墓は、故人が生存していたことを証明できる物証を識別可能状態で収納した物証収納容器と、前記故人の生涯情報を記録した記録媒体と、前記物証収納容器と前記記録媒体とを劣化防止ガスと共に密閉収納する箱と、を備えたことを特徴とする。
【0007】また、本発明の箱形のお墓は、前記物証がDNA(デオキシリボ核酸)であり、容器内に密閉収納して前記物証収納容器とする構成のものも例示できる。
【0008】更に、本発明の箱形のお墓は、前記記録媒体がCD(コンパクトディスク)であり、このコンパクトディスクに前記故人の生涯情報(例えば、映像情報・音声情報・文字情報)をデジタルデータとして記録する構成のものも例示できる。
【0009】更にまた、本発明の箱形のお墓において、前記箱は前記故人の遺品を収納する空間を有する構成のものも例示できる。
【0010】この構成によれば、慰霊や供養の対象を従来の遺骨から物証(例えば、DNA)に置き換えることで収納するスペースが小さくて済み、お墓の簡潔化が図れる。このようにお墓の簡潔化が図れるので、墓所の敷地をほとんど必要せず、お墓の維持管理も簡単かつ安価とすることができる。また、記憶媒体に故人のパーソナルデータ(映像情報・音声情報・文字情報)をデジタルデータとして記録できるので、生涯記録の情報量が従来の墓誌や檀家記録に比して飛躍的に多くすることができ、墓石の必要性がなくなる。更に、物証と記憶媒体は劣化防止ガスを注入した箱に納めることで、長期間保存できる。なお、箱は耐候性、耐腐食性、耐衝撃性、耐磁性、及び耐放射線の機能を有し、少なくとも数百年間、内装品の保存に耐えられて美観も損なわないものが好ましく、例えば鉛の防護層にステンレス(SUS)の外装を施したものがよい。また、遺骨は海洋散骨して自然にかえす。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態に係る箱形のお墓を図1〜図3に基づいて詳細に説明する。この実施の形態の箱形のお墓は、図2に示すように、故人が生存していたことを証明できる物証を識別可能状態で収納した物証収納容器2,2と、故人の生涯を記録した記録媒体3,3と、故人の遺品4と、物証収納容器2,2と記録媒体3,3と遺品4とを劣化防止ガスと共に密閉収納する箱1と、を備えている。
【0012】物証収納容器2,2は、物証として故人のDNA(デオキシリボ核酸)を収納したアンプルである。アンプル2,2は遺髪等を収納した後に琥珀に類似した樹脂材を封入固化させたものであり、樹脂により遺髪等から酸素を遮ることで常温で長期間保存可能にしたものである。なお、アンプル2,2は予備を加えて2個とする。
【0013】記録媒体3,3は直径12cmのCD(コンパクトディスク)であり、このCD3,3に故人の生涯情報(パーソナルデータ:映像情報・音声情報・文字情報)をデジタルデータとして記録したものである。このCD3,3は、市販のCD再生機で再生可能なものである。このCD3,3は、2枚組みであり、それぞれプラスチックケースに収納される。
【0014】故人の遺品4は、思い出の写真、小物等である。
【0015】箱1は、図1に示すように、直方体を成し、矩形状の上蓋1a及び下蓋1bと、上蓋1aと下蓋1bの接合面を密封するメタルシール1cから構成される。また、箱1の外形寸法は、例えば幅140mm、奥行き250mm、厚み35mm程度である。
【0016】上蓋1a及び下蓋1bは、図3に示すように、鉛の防護層12a,12bにステンレス(SUS)の外装11a,11bを施し、更にパルプ材の内装13a,13bを施したものである。なお、ステンレス(SUS)の外装11a,11bは耐候性、耐腐食性に優れ、パルプ材の内装13a,13bは耐衝撃性に優れ、鉛の防護層12a,12bは耐磁性、耐放射線性に優れている。従って、箱1は少なくとも数百年間、内装品2,3,4の保存に耐えられて美観も損なわないものである。
【0017】上蓋1a及び下蓋1bは、図2に示すように、CD収納部14、遺品収納部15及びアンプル収納部16a,16bを有している。CD収納部14、遺品収納部15及びアンプル収納部16a,16bは、上蓋1a及び下蓋1bの内装13a,13b部分を凹状に形成したものである。すなわち、CD収納部14は、ケースに入った2枚のCD3,3が重ねて収納可能なように内装13a,13b部分を凹状に形成したものである。遺品収納部15は思い出の写真、小物等が収納可能なように内装13a,13b部分を凹状に形成したものである。アンプル収納部16a,16bは、2本のアンプル2,2が並列に収納可能なように内装13a,13b部分を凹状に形成したものである。
【0018】箱1はCD収納部14、遺品収納部15及びアンプル収納部16a,16bに夫々内装品2,3,4を収納した後、劣化防止ガス(例えば、窒素雰囲気ガス)を封入して上蓋1aと下蓋1bを閉じている。また、箱1は上蓋1aと下蓋1bの接合面をメタルシール1cで密封している。このメタルシール1cは80°程度で溶解する金属が好ましい。このメタルシール1cにより酸素が箱1内に侵入せず、箱1が窒素雰囲気を保てるように密閉されているので、内装品2,3,4を長期間保存可能にしている。
【0019】この実施の形態に係る箱形のお墓によれば、慰霊や供養の対象を物証(例えば、DNA)及び生涯を記録した記憶媒体(例えば、CD)にすることで、慰霊や供養の対象が従来の遺骨に比して極度に小形化される。従って、従来のように墓地に埋葬する必要がないから墓地を購入しなくて済み、共同の保管施設にお祭りしても占有面積が小さく、維持管理も簡易なので保管料も少なくて済む。なお、遺骨は海洋散骨して自然に返すことが考えられる。また、共同の保管施設用(永久保存用)の箱形のお墓とは別に同一の箱形のお墓を造り、箱形のお墓を位牌として仏壇にお祭りすることもできる。
【0020】また、この実施の形態に係る箱形のお墓によれば、CDのような大量記憶媒体に故人の生涯情報(パーソナルデータ:映像情報・音声情報・文字情報)をデジタルデータとして記録できるので、生涯記録の情報量が従来の墓誌や檀家記録に比して飛躍的に多くすることができ、墓石の必要性がなくなる。また、デジタルデータとしてCDに記録することで、データの経年劣化も少ない。
【0021】
【発明の効果】本発明によれば、慰霊や供養の対象を従来の遺骨から物証(例えば、DNA)に置き換えることで収納するスペースが小さくて済み、お墓の簡潔化が図れる。このようにお墓の簡潔化が図れるので、墓所の敷地をほとんど必要せず、お墓の維持管理も簡単かつ安価とすることができる。また、記憶媒体に故人の生涯情報(パーソナルデータ:映像情報・音声情報・文字情報)をデジタルデータとして記録できるので、生涯記録の情報量が従来の墓誌や檀家記録に比して飛躍的に多くすることができ、墓石の必要性がなくなる。更に、物証と記憶媒体は劣化防止ガスを注入した箱に納めることで、長期間保存できる。
【出願人】 【識別番号】500296022
【氏名又は名称】株式会社建築施設設計事務所
【出願日】 平成12年6月22日(2000.6.22)
【代理人】 【識別番号】100089244
【弁理士】
【氏名又は名称】遠山 勉 (外3名)
【公開番号】 特開2002−4641(P2002−4641A)
【公開日】 平成14年1月9日(2002.1.9)
【出願番号】 特願2000−188347(P2000−188347)