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【発明の名称】 収納部付き墓石
【発明者】 【氏名】成田 耕作

【氏名】水上 逸朗

【要約】 【課題】墓に収納された被収容物を誰でも容易に取り出すことを可能とすると共に、被収容物の保存環境を良好とする墓石を提供することを課題とする。

【解決手段】墓石1表面に少なくとも一つ設けられた開口部15の内部を空間とした収納部16と、前記開口部15を開閉自在に覆う蓋体17とを備える構成とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 墓石表面に少なくとも一つ設けられた開口部の内部を空間とした収納部と、前記開口部を開閉自在に覆う蓋体とを備えることを特徴とする収納部付き墓石。
【請求項2】 前記収納部内には被収納物を収納する金属製容器が取り出し可能に設置されることを特徴とする請求項1に記載の収納部付き墓石。
【請求項3】 前記収納部内には前記金属製容器内に被収納物を収容する木製容器が取り出し可能に設置されることを特徴とする請求項2に記載の収納部付き墓石。
【請求項4】 前記蓋体の表面に装飾が施されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の収納部付き墓石。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は墓石の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】図8に示すように、従来より、墓石101は、例えば墓石設置面Aの上に下台105を設け、その上に中台104、上台103、仏石102を順次載置してあり、下台105の前面中央にこうろ106を設け、下台105の上部前側の両端に設けられた一対の花生け107を設け、中台104の上面の前部に水鉢108を備えている。また、墓石設置面Aには、被収容物113(遺物、遺骨、故人の形見等)を収容する略筒状のカロート110を収容するためのカロート挿入穴109を設ける。
【0003】前記下台105は、直方体状の石材であり、中央には前記カロート110と連続する貫通孔111が設けられている。また、中台104は、下台105より小さい直方体状の石材であり、前面中央には前記貫通孔111と連続する骨挿入孔112が設けられている。さらに、前記上台103は、前記中台104より小さい直方体状の石材である。また、前記仏石102は、前記上台103との接触面を底面とし、その底面の縦横の辺の長さよりもはるかに大きい全高を持つ直方体状に形成されている。
【0004】以下に墓石1の設置手順を説明する。まず、図8、図9に示すように墓石設置面Aにカロート110を収容するカロート挿入穴109を設ける。次いで、そのカロート110をカロート挿入穴109に収容する。次に、墓石設置面A上に下台105を載せ、その上に中台104を載せる。このとき、カロート110と貫通孔111と骨挿入孔112が互いに連続するように位置をあわせるように搭載する。更に、中台104の上に上台103を載せその上に仏石102を載せる。また、水鉢108は中台104上面の前部に設け、一対の花生け107は、下台105の上面前部の両端に設ける。最後に、こうろ106を下台105の前面中央に着脱自在に配置する。
【0005】次にカロート110内部に収容された被収容物113は以下の手順に従い出し入れを行う。まず、こうろ106を下台105から取り外す。こうろ106を取り外すと中台104前面の骨挿入孔112が開放され、下台105に設けられた貫通孔111を介して墓石1の外部とカロート110とが連続状態となる。その後、骨挿入孔112からカロート110内部へ被収容物113を挿入したり、カロート110内部に収容された被収容物113を取り出す。被収容物113の出し入れ終了後はこうろ106を下台105に取り付ける。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来より用いられている墓石101では、誰でも容易にカロート110内部に収納された被収容物113の出し入れを行うことは困難であるという問題点があった。こうろ106は石材で形成されており、下台105から取り外すにはある程度の力を要するため、誰でも簡単に被収容物113を出し入れすることは難しい。
【0007】また、墓石を設置する際に耐震性や安定性、免震性などを考慮した設置方法で設置された墓石の場合には、墓石を構成するそれぞれの部分が接着固定又は何らかの方法で固定されているため、費用をかけて業者に依頼しないとそれらを動かすことができず、被収容物113の出し入れができないものもある。
【0008】さらに、墓石101は墓石設置面Aを土壌とする場所に多く立設されるためカロート110は土壌内部に設けられることになる。そのため、雨等の水分が土壌に浸透するとカロート110内部は湿気が多くなる。そのカロート110内部に、被収容物113として紙類(書物、経文、手紙、日記)や金属類を収納すると、カロート110内部の湿気により被収容物113に腐食や腐敗が生じてしまう。
【0009】本発明の目的は、かかる従来の問題点を解決するためになされたもので、誰でも容易に被収容物の出し入れを可能としながらも、被収容物の保存環境を良好とする収納部付き墓石を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は収納部付墓石であり、前述の技術的課題を解決するために以下のような構成とされている。すなわち、本発明は墓石表面に少なくとも一つ設けられた開口部の内部を空間とした収納部と、その開口部を開閉自在に覆う蓋体とを備えることを特徴とする。
【0011】本発明の収納部付き墓石は、前述した必須の構成要素から成るが、その構成要素が具体的に以下のような場合であっても、成立する。その具体的構成要素とは、前記収納部に金属製容器が収容されることを特徴とする。更に、前記金属製容器に木製容器が収容されることを特徴とする。
【0012】本発明の収納部付き墓石によると、被収容物は、墓石に設けられたら収納部内に収納されるため誰でも容易に被収容物の出し入れを行うことができる。
【0013】また、被収容物は、木製容器内部に収納された後、更に金属製容器内部に収納されるため極めて良好な保存環境の中で保存される。その保存環境は、木製容器により湿気が吸収され、金属製容器により水の進入が防がれている状態である。ここで、木製容器に吸湿性の優れた木材を用いることと、金属製容器に耐水、耐腐食性等に優れた金属を用いることにより、更に良好な保存環境を提供することができる。
【0014】更にまた、本発明の収納部付き墓石では、前記蓋体の表面に装飾が施されることを特徴とする。この装飾とは家紋や文字の他に仏像などがあり、これらを装飾することにより、墓に被収容物を収納するといったこれまでの概念に信仰対象などの精神的付加価値を与えることが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の収納部付き墓石を図1〜3に示される実施形態に沿って更に詳細に説明する。
【0016】この実施形態の収納部付き墓石1は、墓石設置面Aの上に設けられた下台5と、その上に順に設けられた中台4と、上台3と、仏石2と、下台5の前面中央に設けられたこうろ6と、下台5の上方前方の両端に設けられた一対の花生け7と、中台4の上面の前方に設けられた水鉢8とを備えている。また、下台5の下面側の墓石設置面Aにはカロート挿入穴9を設け、次いで、その内部に略筒状のカロート10が配置されている。
【0017】図1〜3に示すように、前記下台5は、一つの石材から成る直方体状であり、その上下面を貫通する貫通孔11を設けたものである。尚、貫通孔11は平面略矩形状、平面略円形状、平面略楕円状の形状とすることもできる。また、このように一材で下台5を構成せずに、4本の柱状の石材を枠状に組み合わせて構成することもできる。
【0018】また、前記中台4には、図1〜3に示すように、前記下面5より小さな接触面を底面とし、その底面の縦横の辺の長さよりもはるかに大きい全高をもつ直方体状に形成されている。その仏石2の表面には円形の開口部15が設けられており、この開口部15は仏石2の内部に向かって円柱状の空間を形成しており、この空間を収納部16としている。
【0019】更に、仏石2は、図1〜3に示すように、前記上台3との接触面を底面とし、その底面の縦横の辺の長さよりもはるかに大きい全高をもつ直方体状に形成されている。その仏石2の表面には円形の開口部15が設けられており、この開口部15は仏石2の内部に向かって円柱状の空間を形成しており、この空間を収納部16としている。
【0020】更に、図3及び図7に示すように、前記仏石2には、収納部16の開口部15を開閉自在に覆う蓋体17が設けられている。蓋体17は、開口部15と嵌合する嵌合部18と、開口部15の径より外径の大きい面板部19とを有する。嵌合部18は、開口部15と同一形状だが、開口部15より小さく形成されている。そのため、開口部15と嵌合部18のはめあい公差が大きくなり開閉を自在に行うことができる。また、仏石2表面と同一平面上にある面板部19には、家紋等の彫刻を施してある。ここで、家紋だけでなく故人の残した言葉や仏像などを彫刻すると、墓という概念に信仰の対象という新たな付加価値を与えることもできる。また、蓋体17に鍵などのロック装置を設ければ収納部16内部に収納した被収容物13の盗難を防ぐことが可能となる。
【0021】更に、図7に示すように前記収納部16内部には、金属製容器20が収容される。この金属製容器20を図4に示す。金属製容器20は、蓋21と金属製容器本体23から成る有底円筒形の容器である。金属製容器本体23の側面と底面の接続部分には面取りを施した面取り部24が設けられている。このことにより、金属製容器20を出し入れする際、収納部16内部に傷が付きにくくなりスムーズに出し入れを行うことが可能となる。また、面取り部24が設けられていることにより、金属製容器20の出し入れ時の安全性も向上する。この金属製容器20は収納部16から進入する水から被収容物13を保護するために耐水性、耐腐食性、耐久性に優れた材料を用いることが好ましい。尚、本発明の一実施形態における金属製容器20にはステンレスを用いている。
【0022】また、金属製容器20の蓋21には掴み部22が設けられている。この掴み部22は、金属製容器20の蓋21に凸部又は凹部を設け収納部16に収容された金属製容器20を取り出しやすくするためのものである。尚、本発明の一実施形態における掴み部22は、ステンレス製の摘み付きビスであり、金属製容器20の蓋21にねじ切りを施しそのネジ穴にこのビスを螺嵌させたものである。
【0023】更に、金属製容器20の蓋21が金属製容器本体23と嵌合する部分に弾性部材を設けてもよい。弾性部材を設けることにより、金属製容器20の蓋21と金属製容器本体23のはめあい公差が小さくなり、密封率が高まるため、確実に水の進入を防ぐことが可能となる。
【0024】また更に、図7に示すように、金属製容器20の内部には、木製容器25が収容される。図5に示すように、木製容器25は金属製容器20と同様、蓋を有する有底円筒形の容器であり、内部に被収容物13を収納する。この木製容器25は湿気から被収容物13を保護するために吸湿性に優れた材料を用いることが好ましい。尚、本発明の一実施形態における木製容器25には桐を用いている。
【0025】次に、この収納部付き墓石1に収納された被収容物13の出し入れ方法を述べる。まず、図6、図7に示すように被収容物13を木製容器25内部に収納する。次にその木製容器25を金属製容器20内部に収容する。更に、金属製容器20を収納部16へ収納し、蓋体17により開口部15を閉鎖する。被収容物13を取り出す場合には前述した操作手順を逆から行えばよい。
【0026】このような構成によると、収納部16から雨水等が進入してきた場合においても被収容物13を極めて良好な保存環境中で保存することが可能となる。まず、耐水性、耐腐食性に優れた金属製容器20により金属製容器20内部に水の進入を防ぐことが可能となる。さらに、木製容器25により金属製容器20内の多少の湿気からも被収容物13を保護することが可能となる。また、金属製容器20を耐久性に優れた材質で形成すれば外部からの衝撃からも被収容物13を保護することが可能となる。
【0027】また、本発明における一実施形態では金属製容器20と木製容器25を重ね合わせて2層として用いた場合について説明したが、被収容物13の種類や大きさによっては、金属製容器20と木製容器25の何れか一方のみを用いてもよい。また、金属製容器20と木製容器25の間に、断熱材を設けても良い。断熱材を設けることにより、収納部16内の温度変化を少なくし、それに伴う温度の変化も少なくすることが可能となる。
【0028】更にまた、本発明における一実施形態では開口部15を仏石2の側面に設けたものについて説明したが、開口部15を仏石2の上面に設け収納部16を縦穴にしたものでも良い。更に、本発明における一実施形態では収納部16を1つ設けたものについて説明したが収納部16を2つ以上設けても良い。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の収納部付き墓石によれば、墓石に設けられた収納部に被収容物が収納されるため、誰でも容易に被収容物の出し入れを行うことができる。
【0030】さらに、収納部を開閉自在に覆う蓋体に仏像などの彫刻を施すことにより、墓自体に、被収容物を収納するといったこれまでの概念だけでなく、信仰の対象という新しい価値をも与えることが可能となる。
【出願人】 【識別番号】500293308
【氏名又は名称】株式会社 アイエム
【出願日】 平成12年6月19日(2000.6.19)
【代理人】 【識別番号】100089244
【弁理士】
【氏名又は名称】遠山 勉 (外3名)
【公開番号】 特開2002−4638(P2002−4638A)
【公開日】 平成14年1月9日(2002.1.9)
【出願番号】 特願2000−183541(P2000−183541)