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【発明の名称】 駐車場装置
【発明者】 【氏名】川西 浩

【氏名】石浦 肇

【要約】 【課題】中段の停止位置に昇降パレットを停止させて車両の乗降が行われる際、昇降パレットの停止レベルに変動を生ずることなく、安全に乗降できると共に、ワイヤーに加えられる張力を極力小さくして、ワイヤー寿命を延ばす。

【解決手段】車両の乗り込み位置となる中段と、この中段の上方と下方との少なくとも何れか一方に設けられた上下段とを備えた駐車場装置である。各昇降パレット1,3に設けられた動滑車41を、滑車機構により昇降させ、中段の車両乗り込み位置にて停止させる。中段のパレット停止位置には、昇降パレット3に対して係脱可能な固定装置26を設け、この固定装置26により昇降パレット3の荷重が受けられるようにして昇降パレット3を着座させることによって、昇降パレット3の中段における停止レベルを常に一定に保つ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水平方向に複数設けられたパレット停止位置に対し、このパレット停止位置より少ない数の走行パレット(2)が配設されることにより、少なくとも1パレット分の空きスペースが設けられ、この空きスペースに対して走行パレット(2)を水平方向に移動させるようにした中段と、この中段の上方と下方の双方、もしくは下方に設けられた複数のパレット停止位置を備えた上下段とから構成され、この上下段には、上下段のパレット停止位置で停止すると共に、この停止位置から上下方向に移動して中段の空きスペースにおける中段の停止位置で停止する昇降パレット(1,3)が設けられ、昇降パレット(1,3)の昇降が、各昇降パレット(1,3)に設けられた動滑車(41)と、動滑車(41)間に設けられた固定滑車(42)に渡されたワイヤー(43)と、ワイヤーの駆動装置(44)とを備えた滑車機構によって行われる駐車場装置において、中段のパレット停止位置に、下段の昇降パレット(3)に対して係脱可能な固定装置(26)を設け、この固定装置(26)により下段の昇降パレット(3)の荷重が受けられるようにして下段の昇降パレット(3)を着座させることにより、下段の昇降パレット(3)の中段における停止レベルを常に一定に保つようにしたことを特徴とする駐車場装置。
【請求項2】 車両の乗り込み位置となる中段と、この中段の上方と下方の双方、もしくは下方に設けられた上下段とを備え、この上下段には、上下段の停止位置で停止すると共に、この停止位置から上下方向に移動して中段の車両乗り込み位置にて停止する昇降パレット(1,3)が設けられ、昇降パレット(1,3)の昇降が、固定滑車(42)と、各昇降パレット(1,3)に設けられた動滑車(41)と、動滑車(41)間に渡されたワイヤー(43)と、ワイヤーの駆動装置(44)とを備えた滑車機構によって行われる駐車場装置において、中段のパレット停止位置に、下段の昇降パレット(3)に対して係脱可能な固定装置(26)を設け、この固定装置(26)により下段の昇降パレット(3)の荷重が受けられるようにして下段の昇降パレット(3)を着座させることによって、下段の昇降パレット(3)の中段における停止レベルを常に一定に保つものであり、上記の滑車機構は、下段の昇降パレット(3)を乗り込み位置より少し上方の位置で一旦停止させる手段(c)と、固定装置(26)が下段の昇降パレット(3)を支持可能な支持位置になったことを確認する手段(m)と、確認後にワイヤー(43)を繰り出すことにより固定装置(26)上に下段の昇降パレット(3)が着座したことを確認する手段とを有する制御機構を備えたものであることを特徴とする駐車場装置。
【請求項3】 中段の下方に設けられた下段に、昇降パレット(3)を下段の停止位置から上昇させないようにするための上昇方向固定装置(31)が設けられ、上記の中段における固定装置(26)は、上昇方向固定装置(31)と動力伝達手段で連結されることにより、上昇方向固定装置(31)と同じ駆動源(36)によって作動することを特徴とする請求項1又は2記載の駐車場装置。
【請求項4】 上中下段のパレット停止位置に昇降パレット(1,3)が着座した後にワイヤー(43)の張力が減じたことを検知する着座検知用センサ(h)と、この着座検知用センサ(h)の検知に基づきワイヤー(43)の繰り出しを停止させる手段とを備え、ワイヤー(43)の固定端にワイヤー(43)を緊張させるスプリング(52)が設けられ、上記の着座検知用センサ(h)がこのスプリング(52)の伸縮量を検知するセンサであることを特徴とする請求項1又は2に記載の駐車場装置。
【請求項5】 着座検知用センサ(h)に検知されるスプリング(52)の伸縮量より大きなスプリング(52)の伸縮量を検知する非常用センサ(i)が設けられ、この非常用センサ(i)の検知に基づき、装置を非常停止させるようにしたことを特徴とする請求項4記載の駐車場装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、駐車装置、特に、滑車とワイヤーによって昇降させるパレットを備えた駐車場装置の改良に関する。
【0002】従来より、この種の駐車場装置は、上段、中段、下段の3段の立体駐車場や、中段と、上下何れかの段の2段の立体駐車場に用いられている。図17は、中段と下段の2段のものを示したものであり、その全体の概略を説明する。この駐車場装置は、中段が車両の乗り込み位置となっており、この中段には、2つの走行パレット101,101が配設され、1パレット分の空きスペース102に対して走行パレットを水平方向に移動できるようになっている。下段には、3つの昇降パレット103a,103,103が設けられており、中段の空きスペース102に向けて上昇して停止する。この停止する位置が中段の停止位置であり、この停止位置で、昇降パレット103aに対する車両の乗り込みが行われる。図では、右端が空きスペース102となっており、そこに昇降パレット103aが上昇して停止している。この昇降パレットの昇降は、各昇降パレット103a,103,103に設けられた動滑車104と、動滑車間に設けられた固定滑車105、これらの滑車間に渡されたワイヤー106とによって行われるもので、ワイヤー106の一端はワイヤー106の巻取り装置107に接続され、他端は固定されている。下段における昇降パレット103の停止位置には、昇降パレットの上昇を阻止するための上昇阻止ストッパ109が設けられている。
【0003】この駐車場装置は、次のようにして使用される。まず、中段が車両の乗り込み位置となっているため、2つの走行パレット101,101には、そのまま車両が乗り降りする。下段の昇降パレットには、中段の空きスペース102に昇降パレット(図の例では103a)を上昇させて、中段の停止位置で停止させた後、車両が乗り降りする。次に、他の昇降パレット103に車両の乗り降りをするためには、右端の昇降パレット103aを下段に降ろし、走行パレット101を移動(図の例では右に移動)させることにより、上昇させる昇降パレット103の上方に、空きスペース102を移行させ、目的の昇降パレット103を上昇させる。この昇降パレット(図の例では右側の昇降パレット103a)の昇降に際しては、他の昇降パレット103に対して、上昇阻止ストッパ109を働かせた状態で、巻取り装置107でワイヤー106を巻き上げることにより、右側の昇降パレット103aのみが上昇する(図は、昇降パレット103aが中段の停止位置まで達した状態を描いている)。言い換えれば、移動させる昇降パレット103a以外の全ての昇降パレット103,103を固定することにより、当該昇降パレット103,103の動滑車104を固定滑車と同じ状態にし、移動させる昇降パレット103aの動滑車104のみが本来の動滑車としての機能を果たす状態にする。この状態から、ワイヤー106を作動させることにより、目的とする昇降パレット103aのみが昇降するものである。
【0004】ここで、昇降パレット103aが中段の停止位置に達した時、その位置で停止させ、その位置を保持させる方法として、次の2つの方法が知られている。第1は、図17の例であり、昇降パレット103aが中段の停止位置(乗り込み位置)まで上昇すれば、その位置を中段の停止位置センサ110で検知させ、巻取り装置107を停止させる方法である。この場合、同パレット103aは上昇動作を停止した後、ワイヤー106で吊り下げられた状態でその位置を保持しており、ワイヤー106には現状の吊上荷重分の張力しか作用していない。例えば同パレット103aが空車の状態で、中段の停止位置(乗り込み位置)で停止している場合には、パレット103aのみの荷重分が張力として働いている。この状態から車両を入庫させると、車両の重量分の吊上荷重が増加し、その分だけワイヤー106に伸びが生じるため、同パレット103aの停止位置は元の位置より下がることになる。その結果、中段の停止位置センサ110の検知範囲を超え、中段の停止位置センサ110が検知不能となり、装置の作動条件が崩れて、装置が動かなくなると共に、乗り込み部に大きな段差が生じ危険である。従ってこの場合は、昇降パレット103aが下がった分だけ、再度ワイヤー106の巻取り装置を作動させ、元のレベルまで引き上げる等の対策が必要となり、これに伴う作動制御が複雑となる。又、同パレット103aを元のレベルまで引き上げるタイミングは、装置の制御上、運転者が車を入庫してパレット103aが下がり、中段の停止位置センサ110の検知範囲を超えた時点であるが、この時点では、車は入庫途中であり、又、運転者は未だパレット103a上の車内におり、この状況で同パレット103aを動かすことは危険でもある。又、昇降パレット103aが中段の停止位置(乗り込み位置)にある間は、ワイヤー106には吊上荷重分の張力が常に作用していることになり、ワイヤー106の寿命を縮める要因となる。
【0005】第2の方法は、図18に示す方法であり、昇降パレット103aが中段の停止位置(乗り込み位置)まで上昇した際、ストッパー121等で物理的に上昇動作を停止させると共に、ワイヤー106の巻取り側と反対側の固定部に、ワイヤー106を緊張させるスプリング108を設け、このスプリング108の縮み量をセンサ122で検知して、ワイヤー106の巻取り装置107を停止させる方法である。ここで、センサ122によって検知されるスプリング108の縮み量は、ワイヤー106に最大吊上荷重分(パレット重量と、このパレットに乗り込む車両の最大予定重量による荷重分)を越える張力が作用した時のスプリングの縮み量に設定されている。従ってこの場合、同パレット103aが中段の停止位置に停止した状態で、ワイヤーには、常に最大吊上荷重分以上の張力がスプリング108によって作用している。これにより、図17に示した第1の方法のように、車両がパレット103a上に乗り込んでも、ワイヤー106が伸びることはなく、パレット103aの停止位置が下がるということもない。しかし、ワイヤー106には最大吊上荷重分以上の張力が常に作用しており、ワイヤー寿命の面で第1の方法の場合より、はるかに条件が悪くなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記の事情に鑑み、本願発明は、中段の停止位置に昇降パレットを停止させて車両の乗降が行われる際、車両の停止位置に変動が生ずることなく、安全に乗降できると共に、昇降パレットが中段の停止位置にある時に、ワイヤーに加えられる張力を極力小さくして、ワイヤー寿命を延ばすことができる駐車場装置を提供せんとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本願の請求項1の発明は、水平方向に複数設けられたパレット停止位置に対し、このパレット停止位置より少ない数の走行パレット2が配設されることにより、少なくとも1パレット分の空きスペースが設けられ、この空きスペースに対して走行パレット2を水平方向に移動させるようにした中段と、この中段の上方と下方の双方、もしくは下方に設けられた複数のパレット停止位置を備えた上下段とから構成され、この上下段には、上下段のパレット停止位置で停止すると共に、この停止位置から上下方向に移動して中段の空きスペースにおける中段の停止位置で停止する昇降パレット1,3が設けられ、昇降パレット1,3の昇降が、各昇降パレット1,3に設けられた動滑車41と、動滑車41間に設けられた固定滑車42に渡されたワイヤー43と、ワイヤーの駆動装置44とを備えた滑車機構によって行われる駐車場装置において、中段のパレット停止位置に、下段の昇降パレット3に対して係脱可能な固定装置26を設け、この固定装置26により下段の昇降パレット3の荷重が受けられるようにして下段の昇降パレット3を着座させることにより、下段の昇降パレット3の中段における停止レベルを常に一定に保つようにしたことを特徴とする駐車場装置を提供することにより、上記の課題を解決する。尚、本願の各発明にあっては、上下段とは、中段の上方と下方との少なくとも何れか一方の駐車用の段を意味するものであり、実施に際しては、中段と下段、又は、中段と上段と下段で実施し得るものである。また、駐車場全体は4段以上の段から構成する場合にあっても、これらの段の少なくとも2つの段が中段と上下段との位置関係にあれば本願発明の対象となり得る。この請求項1の発明にあっては、走行パレットが配位された段である中段のパレット停止位置に、下段の昇降パレット3に対して係脱可能な固定装置26を設け、この固定装置26により下段の昇降パレット3の荷重が受けられるようにしたため、車両の停止位置に変動が生ずることなく、しかも、昇降パレットが中段の停止位置にある時に、ワイヤーに加えられる張力を極力小さくして、ワイヤー寿命を延ばすことができる。
【0008】本願の請求項2の発明は、車両の乗り込み位置となる中段と、この中段の上方と下方の双方、もしくは下方に設けられた上下段とを備え、この上下段には、上下段の停止位置で停止すると共に、この停止位置から上下方向に移動して中段の車両乗り込み位置にて停止する昇降パレット1,3が設けられ、昇降パレット1,3の昇降が、固定滑車42と、各昇降パレット1,3に設けられた動滑車41と、動滑車41間に渡されたワイヤー43と、ワイヤーの駆動装置44とを備えた滑車機構によって行われる駐車場装置において、中段のパレット停止位置に、下段の昇降パレット3に対して係脱可能な固定装置26を設け、この固定装置26により下段の昇降パレット3の荷重が受けられるようにして下段の昇降パレット3を着座させることによって、下段の昇降パレット3の中段における停止レベルを常に一定に保つものであり、上記の滑車機構は、下段の昇降パレット3を乗り込み位置より少し上方の位置で一旦停止させる手段cと、固定装置26が下段の昇降パレット3を支持可能な支持位置になったことを確認する手段mと、確認後にワイヤー43を繰り出すことにより固定装置26上に下段の昇降パレット3を着座したことを確認する手段とを有する制御機構を備えたものであることを特徴とする駐車場装置を提供する。この請求項2の発明にあっては、車両の乗り込み位置である中段において、下段の昇降パレット3に対して係脱可能な固定装置26を設け、その荷重を受けるようにしたため、車両の乗降を行う際、車両の停止位置に変動が生ずることなく、安全に乗降できると共に、昇降パレットが中段の停止位置にある時に、ワイヤーに加えられる張力を極力小さくして、ワイヤー寿命を延ばすことができる。しかも、その中段における固定装置26への着座は、下段の昇降パレット3を乗り込み位置より少し上方の位置で一旦停止させる手段cと、固定装置26が下段の昇降パレット3を支持可能な支持位置になったことを確認する手段mと、確認後にワイヤー43を繰り出すことにより固定装置26上に下段の昇降パレット3が着座したことを確認する手段とを有する制御機構により制御されるため、極めて安全性が高い着座工程が実現する。
【0009】本願の請求項3の発明は、上記の請求項1又は2の発明に係る駐車場装置において、中段の下方に設けられた下段に、下段の昇降パレット3を下段の停止位置から上昇させないようにした上昇方向固定装置31が設けられ、上記の中段における固定装置26は、上昇方向固定装置31と動力伝達手段で連結されることにより、上昇方向固定装置31と同じ駆動源36によって作動することを特徴とするものを提供する。この請求項3の発明にあっては、中段における固定装置26は、上昇方向固定装置31と動力伝達手段で連結されることにより、上昇方向固定装置31と同じ駆動源36によって作動するものであるため、動力源の数を必要以上に多くすることなく、請求項1又は2の発明を実施し得るものである。
【0010】本願の請求項4の発明は、上記の請求項1又は2の発明に係る駐車場装置において、上中下段の停止位置に昇降パレット1,3が着座した後にワイヤー43の張力が減じたことを検知する着座検知用センサhと、この着座検知用センサhの検知に基づきワイヤー43の繰り出しを停止させる手段とを備え、ワイヤー43の固定端にワイヤー43を緊張させるスプリング52が設けられ、上記の着座検知用センサhがこのスプリング52の伸縮量を検知するセンサであることを特徴とするものを提供する。この請求項4の発明にあっては、従来の中段におけるセンサ122のように、ワイヤー106に最大吊上荷重分を越える張力が作用した時のスプリングの縮み量を検知するものではなく、昇降パレット1,3の着座後においてワイヤー43の張力が減じたことを検知するものである。よって、昇降パレット1,3が上中下段の停止位置において停止した状態では、ワイヤー43を緊張させるスプリング52により、ワイヤー43には必要最小限の張力しかかからない状態とすることができる。
【0011】本願の請求項5の発明は、上記の請求項4の発明に係る駐車場装置において、着座検知用センサhに検知されるスプリング52の伸縮量より大きなスプリング52の伸縮量を検知する非常用センサiが設けられ、この非常用センサiの検知に基づき、装置を非常停止させるようにしたことを特徴とするものである。この請求項5の発明では、行き過ぎワイヤーの切断等によって生ずる異常なスプリング52の伸縮量を検知することにより、装置を非常停止させるようにしたため、安全性を向上させることができるものである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本願発明の実施の形態を説明する。図1は本願発明の実施の形態に係る駐車場装置の斜め後方から見た斜視図、図2は同駐車場装置の昇降パレット吊り上げ機構の概要図、図3は同駐車場装置のパレット昇降・横行駆動機構の概要図、図4は同駐車場装置の走行パレットの横行駆動機構の概要図、図5は同駐車場装置の昇降パレットの昇降駆動機構の概要図、図6は同駐車場装置の昇降パレットの前端支持機構の概要図である。
【0013】〔全体構造〕まず、図1、図2を中心に、この駐車場装置の全体構造を説明する。図1に示すように、この駐車場装置は、上段、中段、下段の3段構造をフレーム4によって形成した立体駐車場装置であり、各段には横方向に複数(この例では3つ)のパレットスペースが設けられている。上段には、上段用の昇降パレット(以下、上段パレット1という)が3つ配位され、中段には走行パレット2が2つ配位され、下段には下段用の昇降パレット(以下、下段パレット3という)が3つ配位されている。尚、上段パレット1と下段パレット3とを特に区別する必要のない時には、両者を併せて、昇降パレットと呼ぶ。この例では、中段が車両の乗り込み位置となっているもので、中段には走行パレット2のない空きスペース20が、1パレット分の空間として形成されている。そして、この空きスペース20に対して、昇降パレット1,3が昇降して、停止し、停止した昇降パレット1,3に対して、車両の乗降がなされる。尚、昇降の対象となる昇降パレット1,3の下方又は上方に、中段の走行パレット2が存在する場合には、走行パレット2を横方向に移動(横行)させ、空きスペース20を移行する。フレーム4は、鉄骨を組み合わせて上段、中段、下段の3段構造を構成したものを図示しているが、以下の説明では、パレット1,2,3を支持するための地面を含めた固定された構造物全体の意味で用いるもので、図1以外には、フレーム4を原則として図示せず、また、以下の説明においても、符号を用いずにフレームとして説明する。
【0014】〔走行パレット〕次に、各パレットの駆動機構について説明する。まず、図4を中心に参照して、中段の走行パレット2の駆動機構について、説明する。この走行パレット2には、前後端に走行車輪21が設けられ、フレーム4(図1にのみ図示、以下同じ)に設けられたレール(図示せず)に案内されて、横行する。駆動手段は、フレームの左右方向に無端チェーン22を張設し、この無端チェーン22が張設されたスプロケット23を、電動機等の回転動力源24によって作動させる。そして、この無端チェーン22に、走行パレット2の適宜位置(この例では後端)を固定部25にて固定することにより、無端チェーン22の作動により走行パレット2を横行させるようにしたものである。図1に示すように、この例では、横方向には、3つのパレットスペースが設けられているため、右側に配位された走行パレット2は右側と中央との間を移動し、左側に配位された走行パレット2は左側と中央との間を移動するものであり、各走行パレット2に、この駆動機構が設けられている。但し、この駆動機構については、ラックとピニオン等の他の機構や、走行パレット2に自走機構を設ける等、適宜変更し得る。
【0015】〔昇降パレットの前端の支持〕次に、昇降パレット1,3の駆動機構について説明する。この昇降パレット1,3の昇降は、その後端に設けられた動滑車を利用した滑車機構によって行われ、前端側は、後端の駆動に追随可能に支持されている。まず、図6を中心に参照して、この前端側の支持機構について説明する。この支持機構は、滑車と、両端がフレームに固定された支持用ローラーチェーン64によって行われるもので、独立した駆動装置は用いられない。具体的には、昇降パレット1,3には、その前方側に前端側滑車61を設け、後方側に後端側滑車62を設ける。支持用ローラーチェーン64は、前端側滑車61の下方を巻回して、その一端を、昇降パレット1,3の前端側の上方のフレームに固定する。支持用ローラーチェーン64の他端側は、昇降パレット1,3の後端側滑車62の上方を巻回して、その他端を、昇降パレット1,3の後端側の下方のフレームに固定する。これにより、昇降パレット1,3の前端側の荷重が支持用ローラーチェーン64によって支持されると共に、昇降可能となる。即ち、昇降パレット1,3の前端側が支持されると共に、昇降パレット1,3の後端側を、次に説明する滑車機構によって支持駆動することにより、その動きに追随して、前端側も昇降する。尚、上段パレット1の場合には、前端側滑車61と後端側滑車62との間に中間滑車63を設けているが、下段パレット3のように、中間滑車63を設けずに実施しても機能的には同じである。
【0016】〔昇降パレットの駆動機構〕次に、図2、図5を中心に参照して、昇降パレット1,3の後端側の滑車機構について説明する。昇降パレット1,3は、動滑車と固定滑車を用いた滑車機構によって昇降するもので、各昇降パレット1,3の後端に、動滑車41が設けられている。この例では、安定を図るために、各昇降パレット1,3には、動滑車41,41を2個ずつ設けているが、1個ずつでも、それ以上でも、駆動原理上は同じである。固定滑車42は、動滑車41,41間においてフレームに固定されている。ここで言う動滑車41,41間とは、各昇降パレット1,3に2個ずつ設けられた動滑車41,41の間を意味するものではなく、昇降パレット1,3と昇降パレット1,3との間を意味する。
【0017】〔巻取り装置と緊張装置〕これらの動滑車41と固定滑車42には、連続するワイヤー43が渡されている。このワイヤー43の一端は、フレームに固定された巻取り装置44に接続され、他端は、スプリング52を用いた緊張装置51を介してフレームに固定されている。以下、巻取り装置44に接続されたワイヤー43の一端を、先端と言い、緊張装置51を介してフレームに固定されたワイヤー43の他端を、基端と言う。
【0018】巻取り装置44は、図7(A)に示すように、巻取りドラム45と、電動機等の巻取りドラムの動力源46と、両者間を接続するギア等の動力伝達手段47を備える。この図7(A)の例のように、安全性を高めるために、ワイヤー43は2本1組で用いられているが、他の図では、1本のみを図示している。
【0019】緊張装置51は、図7(B)に示すように、無負荷(昇降パレット1、3及びその上に搭載された車両の荷重がワイヤー43に働いていない状態)で、ワイヤー43の緩みを防止するための張力を付与する付勢手段であり、この例では、弾性体が用いられている。より具体的には、圧縮スプリング52により張力を付加している。圧縮スプリング52は、フレームに固定された固定受け部53と、可動するスプリング押さえ54との間に配位され、このスプリング押さえ54を常時基端側(図7(B)の上方側)に付勢する。このスプリング押さえ54は、軸部55を介してワイヤー43の基端に接続されている。詳しくは、スプリング押さえ54は、軸部55の一端に固定され、軸部55は、スプリング押さえ54からスプリング52及び固定受け部53内を摺動可能に通され、他端にワイヤー43の端部を固定するためのワイヤー固定部56を有する。従って、ワイヤー43は、緊張装置51によって常に基端側に付勢されている。そして、ワイヤー43に負荷がかかった場合(昇降パレット1,3及びその上に搭載された車両の荷重がワイヤー43に働いた場合)、その負荷に応じて、圧縮スプリング52が収縮する。尚、図示は省略するが、このワイヤー43への付勢は、引張スプリングを用いた構造によっても可能であり、その場合には、負荷に応じて、引張スプリングが伸びる。さらに、この例では、ワイヤー43に対する荷重を、スプリング52の伸縮を検知する構造を付加している。具体的には、軸部55には、センサ作動部57が設けられ、このセンサ作動部57の位置を検出する2つのセンサh,iが設けられている。これらのセンサh,iの働きは、昇降パレットの動きの説明が終わった後に、他の制御装置と共に説明する。
【0020】〔固定装置〕以上の構造により、巻取り装置44を作動して、ワイヤー43を繰り出し或いは巻き取ることにより、動滑車41を有する昇降パレット1,3が昇降する。この場合、全ての昇降パレット1,3を自由状態にしておくと、巻取り装置44の作動により、全ての昇降パレット1,3が昇降する。そこで、昇降の目的となる昇降パレット1,3のみを昇降させるために、目的以外の昇降パレット1,3を昇降不能に選択的に固定する装置が設けられている。
【0021】〔上段の固定装置〕まず、上段パレット1については、図5に示すように、上段の停止位置で、その上昇を阻止する上昇方向固定装置11と、下降を阻止する下降方向固定装置12とが上段のフレームに設けられている。上昇方向固定装置11は、この例では、フレーム自体を上段パレット1の上面に当接させ、その上昇を阻止しているが、フレームから固定片を上段パレット1の上方に突設する等、物理的に、上段パレット1の上昇を阻止し得る構造であれば、種々変更して実施し得る。この上段については、停止位置から上段パレット1を上昇させる必要はないため、上昇方向固定装置11は停止位置に着床した上段パレット1の上方に常に突出してその上昇を阻止しているものとすれば足りる。但し、必要な場合にのみ、その上昇を阻止する構造として実施することも可能である。下降方向固定装置12は、停止位置まで上段パレット1の上昇を許した後、その停止位置から下降しないようにするもので、この例では、上段パレット1に係脱可能な固定片13をフレームに設け、固定片13の先端側を上段パレット1の下方に突出させることにより、その下降を阻止する。停止位置まで上段パレット1が上昇する際には、固定片13をフレーム側に引っ込めて、上段パレット1の上昇を許す。この例では、上段パレット1の後端側の左右2か所に対応する位置に、固定片13,13を設けている。これらの固定片13,13は、基端側をフレームに回動可能に取り付け、両固定片13,13の基端同士を連結部材14で回動可能に接続すると共に、連結部材14を電動機等の駆動源15で左右に動かすようにしたものである。これにより、1つの駆動源15で、左右の固定片13,13が同時に回転し、その先端がフレームから出没する。これらの上昇方向固定装置11と下降方向固定装置12とは、1つの装置で兼用することもできる。その具体例としては、上下に制限のある係止孔を上段パレット1に設け、固定片13を、その係止孔に出没可能に差し込むことにより、上下双方の移動を阻止する構造を例示し得る。
【0022】〔下段の固定装置〕次に、下段パレット3については、図2、図5に示すように、下段の停止位置で、その上昇を阻止する上昇方向固定装置31と、下降を阻止する下降方向固定装置32とが、下段のフレームに設けられている。下降方向固定装置32は、この例では、フレーム自体を下段パレット3の下面に当接させ、その下降を阻止しているが、フレームから固定片を下段パレット3の下方に突設する等、物理的に、下段パレット3の下降を阻止し得る構造であれば、種々変更して実施し得る。下段については、停止位置から下段パレット3を下降させる必要はないため、下降方向固定装置32は停止位置に着床した下段パレット3に常に当接して下降を阻止しているようにすれば足りる。但し、必要な場合にのみ、その下降を阻止する構造として実施することも可能である。上昇方向固定装置31は、下段の停止位置まで下段パレット3の下降を許した後、その停止位置から上昇しないようにするもので、この例では、下段パレット3に係脱可能な固定片33をフレームに設け、固定片33の先端側を下段パレット3の上方に突出させることにより、その上昇を阻止する。停止位置まで下段パレット3が下降する際には、固定片33をフレーム側に引っ込めて、下段パレット3の下降を許す。この例では、下段パレット3の後端側の左右2か所に対応する位置に、固定片33,33を設けている。これらの固定片33,33は、図8に示すように、基端側を下段のフレーム4aに回動可能に取り付け、両固定片33,33から回動軸34,34を上方に延ばし、その先端同士を連結部材35で回動可能に接続すると共に、連結部材35を電動機等の駆動源36で左右に動かすようにしたものである。これにより、1つの駆動源36で、下段の左右の固定片33,33が同時に回転し、その先端が下段のフレームから出没する。これらの上昇方向固定装置31と下降方向固定装置32とは、1つの装置で兼用することもできる。その具体例としては、上下に制限のある係止孔を下段パレット3に設け、固定片33を、その係止孔に出没可能に差し込むことにより、上下双方の移動を阻止する構造を例示し得る。
【0023】以上の構成により、上段パレット1は、上段の停止位置で上下動不能に固定され、下段パレット3は、下段の停止位置で上下動不能に固定される。これらの各固定装置は、各パレット毎に、1組ずつ設けられている。よって、一つの上段パレット1を、上段の停止位置から下降させたい場合には、他の上段パレット1,1及び下段パレット3,3,3の固定装置11,12,31,32を作動して昇降不能とする。この状態で、巻取り装置44を作動して、ワイヤー43を繰り出すことにより、固定されていない上段パレット1のみが下降する。尚、この実施例では、上段パレット1については、上昇方向固定装置11が上昇パレット1の上昇を常時阻止しているため、特に固定装置の作動状態を変更させる必要はない。また、下段パレット3についても、下降方向固定装置32が下段パレット3の下降を常時阻止しているため、特に固定装置の作動状態を変更させる必要はない。他方、一つの下段パレット3を、下段の停止位置から上昇させたい場合には、他の上段パレット1,1及び下段パレット3,3の固定装置11,12,31,32を作動して昇降不能とする。この状態で、巻取り装置44を作動して、ワイヤー43を巻き取ることにより、固定されていない下段パレット3のみが上昇する。尚、この実施例でも、前述したように、上昇方向固定装置11及び下降方向固定装置32が昇降パレット1,3の昇降を常時阻止しているため、特に固定装置の作動状態を変更させる必要はない。尚、詳細な説明はなくとも理解されると考えるが、中段まで下降した上段パレット1を上昇させる場合には、他の全ての昇降パレット1,1,3,3,3を昇降不能に固定する。同様に、中段まで上昇した下段パレット3を下降させる場合には、他の全ての昇降パレット1,1,1,3,3を昇降不能に固定する。
【0024】〔中段での固定〕中段での固定は、前述の従来の技術で説明したように、ワイヤーの巻取り装置44を停止することによってのみ、行われていた。即ち、前述の上段或いは下段の場合と異なり、中段の空きスペース20にて停止している昇降パレット1,3を、その位置で固定した状態で、他の昇降パレット1,3を動かすと言った場合があり得ないため、従来の駐車場装置では、中段にあっては、ワイヤーの巻取り装置44を停止のみで、その固定がなされていた。ところが、従来の装置では、前述の課題を残すものであり、本願発明では、中段のパレット停止位置に、下段パレット3に対して係脱可能な固定装置26を設け、この固定装置により昇降パレットの荷重が受けられるようにして昇降パレットを着座させることにより、上記の課題を解決するものである。具体的には、この固定装置26は、図5、図8及び図9に示すように、中段のフレームに設けられ、中段の停止位置まで下段パレット3の上昇を許した後、その停止位置から下降しないようにするもので、この例では、下段パレット3に対して係脱可能な固定片27を中段のフレーム4bに設け、固定片27の先端側を下段パレット3の下方に突出させることにより、その下降を阻止する(図9(A))。停止位置まで下段パレット3が上昇する際には、固定片27をフレーム側に引っ込めて、下段パレット3の上昇を許す(図9(B))。この例では、下段パレット3の後端側の左右2か所と対応する位置に、固定片27,27を設けている。この固定片27は、独立して作動するものであってもよいが、この例では、前述の下段パレット3,3の上昇方向固定装置31と組み合わせることにより、上昇方向固定装置31と同じ駆動源36で、同時に作動させている。具体的には、図8及び図9に示すように、固定片27,27の基端側をフレームに回動可能に設け、その基端を、上昇方向固定装置31の連結部材35に接続したものであり、電動機等の駆動源36に設けられた回動腕36aを約90度回動させることにより、連結部材35を左右に動かす。これにより、固定片27,27が回転し、その先端がフレームから出没する。そして、中段のフレーム4bから突出した固定片27,27上に下段パレット3が着座することによって、下段パレット3の下降が阻止されるものである。上段パレット1についても、突出した固定片27,27上に着座させることによって、中段の停止位置から上段パレット1が下降することを阻止し得るが、この例では、上段パレット1は、中段のフレームに直接着座させることによって、その下降を阻止するようにしている。具体的には、上段パレット1からフレームに突出する突出片を設けておけばよい。
【0025】〔落下防止装置〕以上のように、上段パレット1は上段及び中段の停止位置で、また、下段パレット3は中段及び下段の停止位置で、それぞれ停止し、その後端側の各固定装置によって、固定される。さらに、この実施の形態では、安全性を高めるために、ローラーチェーン64の切断によっても昇降パレット1,3が落下することを防止するための落下防止装置が設けられている。詳しくは、図6に示すように、上段においては、上段パレット1の前端側に係合して落下を防止する上段落下防止装置65,65が設けられている。中段においては、下段パレット3の前端側に係合して落下を防止する下段落下防止装置66,66が設けられている。これらの装置は、各昇降パレット1,3が上昇した時にフレーム内に退避して、その上昇を許した後に突出し、各昇降パレット1,3を下方から支持するものである。また、各昇降パレット1,3が下降する時にフレーム内に退避して、その下降を許すもので、このような機能を果たすものであれば、その具体的構造は種々変更して実施し得る。尚、前述の各段の固定装置12,26は、パレットの下降方向の固定を行うと共に、ワイヤー43の切断時に昇降パレット1,3の後端側を支持するものであり、落下防止装置の機能をも同時に果たすものとなっている。
【0026】〔制御装置〕次に、この実施の形態に係る駐車場装置に関する制御装置を説明する。まず、この制御装置には、各パレットの位置及び作動状態等を確認するための種々のセンサが設けられており、図10を参照して、これらのセンサについて説明する。
【0027】〔センサ〕
a:上段パレット上限位置検知センサaこのセンサaは、上段に設けられた近接スイッチで、上段パレット1が上段の停止位置より所定寸法上昇したことを検知する。この所定寸法とは、固定装置の作動のために必要な最小の上昇寸法である。
b:上段パレット上限行き過ぎ検知センサbこのセンサbは、上段に設けられた近接スイッチで、上段パレット上限位置検知センサaの検知位置よりさらに上方に、上段パレット1が上昇したことを検知する。
c:下段パレット上限位置検知センサcこのセンサcは、中段に設けられた近接スイッチで、下段パレット3が中段の停止位置より所定寸法上昇したことを検知する。この所定寸法とは、固定装置の作動のために必要な最小の上昇寸法である。
d:下段パレット上限行き過ぎ検知センサdこのセンサdは、中段に設けられた近接スイッチで、下段パレット上限位置検知センサcの検知位置よりさらに上方に、下段パレット3が上昇したことを検知する。
e:上段パレット上限位置検知センサeこのセンサeは、上段に設けられたリミットスイッチで、上段パレット1が上段の停止位置まで上昇したことを検知する。
f:昇降パレット中段停止位置検知センサfこのセンサfは、中段に設けられたリミットスイッチで、上段パレット1が中段の停止位置まで下降したこと、及び、下段パレット3が中段の停止位置まで上昇したことを検知する。
g:下段パレット固定位置検知センサgこのセンサgは、下段に設けられたリミットスイッチで、下段パレット3が下段の停止位置まで下降したことを検知する。
h:着座検知用センサhこのセンサhは、緊張装置51に設けられたリミットスイッチであり、昇降パレット1,3が上、中、下の各段の停止位置に着座した時に、緊張装置51のスプリング52の伸縮状態を検出し、ワイヤーの巻取り装置44の駆動を停止させるものである。具体的には、着座により、ワイヤー43の張力が、緊張装置に関して説明した無負荷の状態の所定値まで低下した時、スプリング52がその値に応じた伸長状態となり、この状態のスプリング52の伸長状態(より具体的には、緊張装置51のセンサ作動部57の位置)を検知する。
i:非常用センサiこのセンサiも、緊張装置51に設けられたリミットスイッチであるが、ワイヤー43の張力が異常に小さくなったことを検知するセンサである。ワイヤー43の張力が異常に小さくなる場合とは、ワイヤー43の張力が無負荷の状態よりさらに小さくなった場合であり、具体的には、ワイヤーの巻取り装置44からワイヤー43が過剰に繰り出された場合や、ワイヤー43の切断が生じた場合である。図7(B)に示す例では、ワイヤー43の張力が小さくなるに従って、スプリング52が伸長するため、非常用センサiは、スプリング52が上記の着座検知用センサhの検知位置よりもさらに伸長した状態を検知するものである。
j:上段の下降方向固定装置(嵌状態)検知センサjこのセンサjは、上段の下降方向固定装置12に設けられたマイクロスイッチであり、下降方向固定装置12が嵌状態、即ち、固定片13がフレームから突出して、上段パレット1に係合した状態を検知する。
k:上段の下降方向固定装置(脱状態)検知センサkこのセンサkも、上段の下降方向固定装置12に設けられたマイクロスイッチであり、下降方向固定装置12が脱状態、即ち、固定片13がフレーム側に没して、上段パレット1との係合が外れた状態を検知する。
m:中段の下降方向固定装置及び下段の上昇方向固定装置(嵌状態)検知センサmこのセンサmは、中段の固定装置26に設けられたマイクロスイッチであり、固定装置26が嵌状態、即ち、固定片27がフレームから突出して、中段パレット3に係合した状態を検知する。
n:中段の下降方向固定装置及び下段の上昇方向固定装置(脱状態)検知センサnこのセンサnも、中段の固定装置26に設けられたマイクロスイッチであり、固定装置26及び31が脱状態、即ち、固定片27及び33がフレーム側に没して、中段パレット3との係合が外れた状態を検知する。
【0028】上記の各センサは、着座検知用センサh及び非常用センサiを除き、図10では、右側の停止位置にのみ符号を付したが、上中下の所定の各段における各停止位置に設けられている。また、各センサは、その機能を果たすものであれば、近接スイッチ等々のセンサの種類は種々変更して実施でき、また、センサの具体的な配置位置や個数等も適宜変更して実施し得る。これらのセンサの各種状態の検知に基づき、制御手段(図示せず)が、ワイヤーの巻取り装置44や固定装置の駆動手段を制御する。この制御手段としては、電気回路、電子回路、マイコン等、従来の種々の制御装置を適宜選択して用いることができる。
【0029】次に、これらのセンサ及び制御装置の働きを、パレットの動きの説明と共に、図10から図16を参照して、説明する。尚、これらの各図において、■〜■は上段パレット1を、■,■は中段の走行パレット2を、■〜■は下段パレット3を、それぞれ示すものである。そして、駐車場装置の操作盤(図示せず)には、各パレットの番号に対応した■〜■の押し釦が設けられ、これらの釦を押すことにより、必要なパレットが中段の乗り込み位置に呼び出されるようにしたものである。尚、前述の停止位置という表現は、後述の固定位置、上限位置の二つを含むものである。
【0030】まず、図10に示すように、上段パレット■が中段の固定位置(乗込み位置)に着座している状態から下段パレット■を呼び出す場合について説明する。尚、パレットの荷重は大きいものから■,■,■,■,■,■とする。
1)まず、乗込み位置に着座している上段パレット■を上限位置(上段の固定位置より所定寸法上昇した位置(以下同じ))まで上昇させる。この上昇のために、巻取り装置44を巻上げ方向に作動させ、次の作動を行わせる。作動開始条件は、全パレットが固定位置状態で、上段パレット■用を除き他の全ての昇降パレット用固定装置が作動している(嵌状態)ことである。
【0031】2)上記の作動開始条件にて、巻取り装置44を巻上げ方向に作動させると、荷重のバランスの関係で、図11に示すように、上段パレット■が上昇する前に、同パレットより軽い他のパレット(この場合残りの全部の昇降パレット■,■,■,■,■)が引き上げられる。詳しくは、上段パレット■,■は上段の上昇方向固定装置11に当たるまで(約4mm )、又下段パレット■,■,■は下段の上昇方向固定装置31に当たるまで(約2mm )、それぞれ引き上げられる。この引き上げ動作は、軽いパレットからの順(この場合■,■,■,■,■)となる。またこれらのパレットの固定位置用リミットスイッチ( 即ち、上段パレット固定位置検知センサe及び下段パレット固定位置検知センサg)は検知した状態を保持する。
【0032】3)他の軽いパレットが上段及び下段の上昇方向固定装置11,31に当接するまで引き上げられた後、上段パレット・が上昇を開始する(図11)。
【0033】4)上段パレット■は、上段の上限位置まで上昇し、上段パレット上限位置検知センサaが検知して巻取り装置44が停止することにより、上昇を停止する(図12)。上段パレット■が上段の上限位置まで上昇する手前で、上段パレット固定位置検知センサeが作動し、同パレットが上段の上限位置まで上昇しても、同センサeは検知状態を保持する。上段パレット■が上段の上限位置で停止しない場合は、上段パレット上限行き過ぎ検知センサbが検知し、巻取り装置44を停止させ次の動作をインターロックする。
【0034】5)次に上段パレット■の下降方向固定装置12の固定片13(図12には図示せず)が脱状態から嵌状態に回転作動し、上段の下降方向固定装置(嵌状態)検知センサjが嵌状態を確認する。
【0035】6)上段パレット■の下降方向固定装置12の固定片が嵌状態であることを確認した後、巻取り装置44が巻き下げ方向に回転し、同パレット■を下降させる(約4mm )(図13)。巻取り装置44の起動条件は、図12に示すように、上段パレット固定位置検知センサeが検知状態で、上段パレット上限位置検知センサaが検知状態であり、且つ、上段の下降方向固定装置(嵌状態)検知センサjが嵌状態を検知している状態である。この条件が満足されない場合、巻取り装置44は起動しない。
【0036】7)上段パレット■が下降し下降方向固定装置12の固定片に着座した後、上段の上昇方向固定装置11に当接する位置まで引き上げられていた他の上段パレット(■,■)は元の固定位置まで下降し、下降方向固定装置12の固定片に着座する。また、下段パレット(■,■,■) も同様に、元の下段の固定位置に戻り下降方向固定装置32上に着座する。尚、この下降及び着座の順は、重いパレット順に着座することになる(この場合■,■,■,■,■)。
【0037】8)全ての昇降パレットが固定位置に着座すれば、ワイヤー43の張力が減じ、緊張装置51のスプリング52の反力により、着座検知用センサhが検知し、巻取り装置44が停止する。着座検知用センサhの作動により停止しなかった場合、ワイヤー43の張力が更に減じ、非常用センサiが検知し、巻取り装置44が停止する。
【0038】9)巻取り装置44が正常停止した後、中段パレット■が左側に横行移動する(図14)。これにより、空きスペース20が中央に移行する。
【0039】10)中段パレット■が左側固定位置に横行移動完了後、中央の下段パレット■が上昇態勢に入る。
【0040】11)まず、下段パレット■に対し嵌状態となっていた下段の上昇方向固定装置31の固定片33(図14では図示せず)が脱方向に作動する。この例では、下段の上昇方向固定装置31と中段の固定装置26とは、前述のように、同じ駆動源36で同時に作動するため、中段の固定装置26の固定片27(図14では図示せず)も脱方向に作動しフレーム側に没している。そして、この脱状態を、中段の下降方向固定装置(脱状態)検知センサnが検知する。
【0041】12)下段の上昇方向固定装置31と中段の固定装置26とが脱状態であることを確認した後、巻取り装置44を巻き上げ方向に回転させ、下段パレット■を中段の上限位置に向けて上昇させる。
【0042】13)下段パレット■が上昇を開始する前に、同パレット■より軽い他の上段パレット(この場合■)は、上段の上昇方向固定装置11に当たるまで(約4mm)引き上げられる。また同パレット・より軽い他の下段パレット(この場合は■)は、下段の上昇方向固定装置31に当たるまで(約2mm )上昇する。またこれらのパレットに対する上段パレット固定位置検知センサe及び下段パレット固定位置検知センサgは、検知した状態を保持する。
【0043】14)このように、下段パレット■より軽い昇降パレット■,■が、上段の上昇方向固定装置11又は下段の上昇方向固定装置31に当接する位置に引き上げられた後、下段パレット■は上昇を開始する。
【0044】15)図15に示すように、下段パレット■は、中段の上限位置まで上昇し、下段パレット上限位置検知センサcが検知して巻取り装置44の巻取りを停止させることにより、上昇が停止する。下段パレット■が下段パレット上限位置検知センサcの検知位置(中段の上限位置)まで上昇する手前で、昇降パレット中段固定位置検知センサfが作動し、同パレットが中段の上限位置まで上昇しても、昇降パレット中段固定位置検知センサfは検知状態を保持する。下段パレット■が中段の上限位置で停止しない場合は、前の動作の場合と同様に、下段パレット上限行き過ぎ検知センサdが検知し、巻取り装置44を停止させ次の動作をインターロックする。
【0045】16)次に下段パレット■に対する中段の固定装置26の固定片27(図15では図示せず)が脱状態から嵌状態に回転作動し、中段の下降方向固定装置(嵌状態)検知センサmが嵌状態を確認する。
【0046】17)下段パレット■に対する中段の固定装置26が嵌状態であることを確認した後、巻取り装置44が繰り出し方向に作動し、同パレット■を下降させる。(約4mm )
【0047】18)下段パレット■が下降し中段の固定装置26の固定片27(図15では図示せず)に着座した後、上段の上昇方向固定装置11に当接する位置まで引き上げられていた上段パレット■は、元の固定位置まで下降し、下降方向固定装置12の固定片に着座する。下段パレット■も同様に、元の固定位置に着座する。重いパレット順に着座することになる(この場合■,■の順である)。
【0048】19)全ての昇降パレットが固定位置に着座すれば、ワイヤー43の張力が減じ、緊張装置51のスプリング52の反力により、着座検知用センサhが検知し、巻取り装置44が停止して、下段パレット■の呼出操作が完了する。着座検知用センサhの作動により停止しなかった場合、ワイヤー43の張力が更に減じ、非常用センサiが検知し、巻取り装置44が停止する。
【0049】以上のように、この実施の形態は、必要な昇降パレット1,3を乗り込み位置である中段まで、制御機構によって自動的に、移動させることができるものである。特に、この制御機構は、下段パレット3を中段で停止させるに際して、次の制御を行うことにより、確実で安全な停止を実現する。即ち、下段パレット3を乗り込み位置より少し上方の位置で下段パレット上限位置検知センサcにより検知して、ワイヤーの巻取り装置44を停止させる制御と、中段の固定装置26が下段パレット3に対し嵌状態(フレームから突出して支持可能な支持位置になった状態)になったことを中段の下降方向固定装置(嵌状態)検知センサmで検知して確認する制御と、この確認があった後に、ワイヤーの巻取り装置44を作動させてワイヤー43を繰り出すことにより固定装置26上に下段パレット3を着座させる制御とを行うことにより、安全な着座を実現している。さらに、上中下段における固定装置12,26,32上に昇降パレット1,3が着座した後にワイヤー43の張力が減じたことを検知し、この着座検知用センサhの検知に基づき、ワイヤーの巻取り装置44を停止させ、ワイヤー43の繰り出しを停止させる制御を行う。これにより、巻取り装置44の停止時のワイヤー43に加わる張力は、着座前(着座直後を含む)に加わっている荷重(昇降パレット1,3の重量及び車両が搭載されている時には車両の重量)による張力より、小さなものとすることができる。特に、この巻取り装置44の停止時の張力は、ワイヤ−43の緩みや滑車からの外れを防止するのに必要な張力と略等しくすることが、ワイヤーの寿命を延ばす点では最も有利であるが、この最低限度の張力より大きく、着座前の荷重による張力より小さな範囲で、適宜変更して実施することができる。またさらに、上記の着座検知用センサhに検知されるスプリング52の伸縮量より大きなスプリング52の伸縮量を検知する非常用センサiによる検知に基づき、装置の次の作動を非常停止させる制御を行うことによって、行き過ぎ動作を防止し、ワイヤーの切断時に装置の次の作動をインターロックし、安全性を向上させることができるものである。
【0050】以上、この実施の形態では、下段パレット3のみが、中段に設けた出没可能な固定装置26に対して着座するものであるが、上下の昇降パレット1,3を中段に設けた出没可能な固定装置26に対して着座するものとして実施することもできる。また、本願発明は、滑車機構を用いた駐車場装置に広く適用できるものであり、請求項2の発明のように、中段に走行パレットを有する駐車場装置に適用することができるものに限定されず、請求項1の発明のように、中段が乗り込み位置となる駐車場装置全般に適用可能である。
【0051】
【発明の効果】以上、本願の請求項1の発明は、走行パレットが配位された段である中段のパレット固定位置に昇降パレットを停止させる際、停止レベルを常に一定に保つことができると共に、昇降パレットが中段の固定位置で停止中、ワイヤーに加えられる張力を極力小さくして、ワイヤー寿命を延ばすことができる駐車場装置を提供することができるものである。本願の請求項2の発明は、車両の乗り込み位置である中段において、車両の乗降を行う際、昇降パレットの中段固定位置における停止レベルを一定に保つための安全な制御機構を有し、昇降パレットが中段の固定位置にある時に、ワイヤーに加えられる張力を極力小さくして、ワイヤー寿命を延ばすことができる駐車場装置を提供することができるものである。本願の請求項3の発明は、中段における下降方向固定装置を下段の上昇方向固定装置と同じ駆動源によって作動させることにより、動力源の数を必要以上に多くすることなく、請求項1又は2の発明を実施することかできる駐車場装置を提供することができたものである。本願の請求項4の発明は、上記の請求項1又は2の発明の効果に加えて、昇降パレットが上中下段の固定位置において停止した状態では、ワイヤーを緊張させるスプリングにより、必要最小限の張力しかワイヤーにかかっていない状態とすることができる駐車場装置を提供することができたものである。本願の請求項5の発明は、上記の請求項4の発明の効果に加えて、行き過ぎ動作及びワイヤーの切断等によって生ずる異常なスプリングの伸縮量を検知することにより、装置を非常停止させるようにしたため、安全性を向上させることができる駐車場装置を提供することができたものである。
【出願人】 【識別番号】592225124
【氏名又は名称】株式会社サノヤス・ヒシノ明昌
【出願日】 平成12年6月27日(2000.6.27)
【代理人】 【識別番号】100086346
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 武信
【公開番号】 特開2002−4618(P2002−4618A)
【公開日】 平成14年1月9日(2002.1.9)
【出願番号】 特願2000−192560(P2000−192560)